【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、文部科学省、「元素戦略プロジェクト 高分散貴金属ミニマム化触媒の物質設計とプロセシング」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の排気ガス浄化用触媒担体は、
一般式
MPO
4
(式中、MはY、La又はAlである)
で表されるリン酸塩又は式ZrP
2O
7で表されるリン酸ジルコニウム(両者を併せて本発明のリン酸塩ともいう)からなる。
【0019】
上記の一般式MPO
4で表されるリン酸塩及び式ZrP
2O
7で表されるリン酸ジルコニウムは、例えば後記の参考例でも示されているように、公知の共沈法で製造することができる。
【0020】
また、本発明の排気ガス浄化用触媒担体は、さらに、SiO
2を含有するのが好ましい。このようにSiO
2を含有する排気ガス浄化用触媒担体は、上述した本発明のリン酸塩の粉末とSiO
2の粉末とを混合することにより製造したものでも、リン酸塩を水熱合成法により生成する際に、SiO
2粉末を共存させることにより製造したものでもよく、特に、本発明のリン酸塩の中でも、リン酸ランタンを含有するのが好ましい。
【0021】
このようにSiO
2を含有する排気ガス浄化用触媒担体は、上記リン酸塩と比較してさらに耐熱性が向上するという効果を奏する。特に、SiO
2粒子にリン酸塩が分散担持された状態の担体とすることにより、高熱環境下において熱処理されても、担持された貴金属の埋没等が低減され、高温環境耐久後においても、CO、HC、NOxの低温活性の低下が低減される。
【0022】
なお、リン酸塩をリン酸ランタンとした場合、SiO
2とリン酸塩との合計に対するリン酸塩の比率は、5〜40mol%が好ましい。
【0023】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、上記の一般式MPO
4で表されるリン酸塩又は式ZrP
2O
7で表されるリン酸ジルコニウムを含む担体にRhなどの貴金属を担持させたものである。上記の担体に特に、Rhを担持させことにより、空気過剰率λが1のストイキ領域から空気過剰率λが1よりも大きいリーン領域にかけてのNO
X浄化活性が高く、Rh担持ジルコニアと比較して大幅に性能の向上した排気ガス浄化用触媒となる。Rhの担持量はRhメタルの質量に換算して担体の質量を基準にして好ましくは0.05〜2質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。Rhの担持量がRhメタルの質量に換算して担体の質量を基準にして0.05質量%未満である場合には貴金属の絶対量が少ないため活性が悪くなり、2質量%を超える場合には貴金属の量が多すぎて高分散担持することができないことがある。
【0024】
本発明の排気ガス浄化用触媒は、例えば、上記の一般式MPO
4で表されるリン酸塩又は式ZrP
2O
7で表されるリン酸ジルコニウムとRh化合物の溶液(例えば、ヘキサアンミンRh水酸塩溶液)とを、Rhの担持量がRhメタルの質量に換算して担体の質量を基準にして好ましくは0.05〜2質量%となる量比で混合し、その後、蒸発乾固させ、450〜650℃で焼成することにより製造することができる。
【0025】
本発明の排気ガス浄化用触媒構成体は、セラミックス又は金属材料からなる触媒支持体上に上記の本発明の排気ガス浄化用触媒からなる層を形成させ、担持させたものである。このような排気ガス浄化用触媒構成体においては、セラミックス又は金属材料からなる触媒支持体の形状は、特に限定されるものではないが、一般的にはハニカム、板、ペレット等の形状である。ハニカム形状の場合、触媒支持体に担持させる排気ガス浄化用触媒の担持量は好ましくは70〜300g/L、より好ましくは100〜250g/Lである。この担持量が70g/L未満である場合には担持量不足により耐久性が悪くなる傾向がある。また、このような触媒支持体の材質としては、例えば、アルミナ(Al
2O
3)、ムライト(3Al
2O
3−2SiO
2)、コージェライト(2MgO−2Al
2O
3−5SiO
2)等のセラミックスや、ステンレス等の金属材料を挙げることができる。
【0026】
本発明の排気ガス浄化用触媒構成体は、例えば、次の方法によって製造することができる。ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に上記の一般式MPO
4で表されるリン酸塩又は式ZrP
2O
7で表されるリン酸ジルコニウム50〜70質量部、好ましくは60〜70質量部、La安定化アルミナ20〜40質量部、好ましくは20〜30質量部及びアルミナ系バインダー5〜10質量部を混合し、湿式粉砕処理してRh含有スラリーを調製する。この時、Rhの担持濃度が固形分に対して0.1〜0.5質量%、好ましくは0.1〜0.2質量%になるように硝酸Rhを加える。得られたスラリーを、周知の方法に従って、セラミックス又は金属材料からなる触媒支持体、好ましくはハニカム形状の触媒支持体に、排気ガス浄化用触媒の担持量が好ましくは70〜300g/L、より好ましくは100〜250g/Lとなるように塗布し、乾燥させ、450〜650℃で焼成して、触媒支持体と、該触媒支持体上に担持されている排気ガス浄化用触媒の層とを含む排気ガス浄化用触媒構成体を得る。
【0027】
以下に、製造実施例、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
製造実施例1
<リン酸アルミニウム(AlPO
4)の合成(共沈法)>
目的の所定比となるように、硝酸アルミニウム・9水和物を純水に溶解させ、その溶液にリン酸を入れて溶液とし、その溶液に10質量%アンモニア水をゆっくりと滴下してpH値を4.5〜10(好ましくは4.5〜9)とし、得られたゲル状生成物を純水にて洗浄濾過し、120℃で一晩乾燥した。乾燥後、空気中1,000℃で25時間焼成してリン酸アルミニウム(AlPO
4)を得た。
【0028】
製造実施例2
<リン酸イットリウム(YPO
4)の合成(共沈法)>
目的の所定比となるように、硝酸イットリウム溶液及びリン酸を入れた溶液に10質量%アンモニア水をゆっくりと滴下してpH値を6〜10(好ましくは6〜9)とし、得られたゲル状生成物を純水にて洗浄濾過し、得られた前駆体を120℃で一晩乾燥した。その後、空気中800℃で5時間焼成してリン酸イットリウム(YPO
4)を得た。
【0029】
製造実施例3
<リン酸ランタン(LaPO
4)の合成(共沈法)>
目的の所定比となるように、硝酸ランタン溶液及びリン酸を入れた溶液に10質量%アンモニア水をゆっくりと滴下してpH値を6〜10(好ましくは6〜9)とし、得られたゲル状生成物を純水にて洗浄濾過し、得られた前駆体を120℃で一晩乾燥した。その後、空気中800℃で5時間焼成してリン酸ランタン(LaPO
4)を得た。
【0030】
製造実施例4
<リン酸ジルコニウム(ZrP
2O
7)の合成(共沈法)>
目的の所定比となるように、硝酸ジルコニル・2水和物を純水に溶解させ、その溶液にリン酸を入れて溶液とし、その溶液に10質量%アンモニア水をゆっくりと滴下してpH値を4.5〜10(好ましくは4.5〜9)とし、得られたゲル状生成物を純水にて洗浄濾過し、120℃で一晩乾燥した。乾燥後、空気中900℃で5時間焼成してリン酸ジルコニウム(ZrP
2O
7)を得た。
【0031】
製造実施例5
<リン酸ランタン(LaPO
4)の合成(水熱合成法)>
目的の所定比となるように、硝酸ランタン溶液及びリン酸を入れた溶液に、10質量%アンモニア水をゆっくりと滴下してpH値を7〜12(好ましくは8〜12)とし、得られたゲル状生成物に、200℃で24時間水熱処理を施した。得られた生成物を純水にて洗浄濾過し、乾燥後、空気中1000℃で5時間焼成してリン酸ランタン(LaPO
4)を得た。
【0032】
製造実施例6
<リン酸ランタン(LaPO
4)/SiO
2担体の合成(水熱合成法)>
目的の所定比となるように、硝酸ランタン溶液及びリン酸を入れた溶液に、SiO
2粒子を添加し、混合物に、10質量%アンモニア水をゆっくりと滴下してpH値を7〜12(好ましくは8〜12)とし、得られたゲル状生成物に、200℃で24時間水熱処理を施した。得られた生成物を純水にて洗浄濾過し、乾燥後、空気中1000℃で5時間焼成してSiO
2粒子にリン酸ランタン(LaPO
4)が分散担持された担体を得た。
【0033】
参考例1
<Rh担持リン酸アルミニウム>
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に製造実施例1で調製したリン酸アルミニウム担体を、Rh担持濃度がRhメタルの質量に換算して担体の質量を基準にして1.0質量%となる量比で浸漬させ、その後、蒸発乾固後、焼成を行い、
参考例1の排気ガス浄化用触媒(Rh担持リン酸アルミニウム)を得た。
【0034】
参考例2
<Rh担持リン酸イットリウム>
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に製造実施例2で調製したリン酸イットリウム担体を、Rh担持濃度がRhメタルの質量に換算して担体の質量を基準にして1.0質量%となる量比で浸漬させ、その後、蒸発乾固後、焼成を行い、
参考例2の排気ガス浄化用触媒(Rh担持リン酸イットリウム)を得た。
【0035】
参考例3
<Rh担持リン酸ランタン>
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に製造実施例3で調製したリン酸ランタン担体を、Rh担持濃度がRhメタルの質量に換算して担体の質量を基準にして1.0質量%となる量比で浸漬させ、その後、蒸発乾固後、焼成を行い、
参考例3の排気ガス浄化用触媒(Rh担持リン酸ランタン)を得た。
【0036】
参考例4
<Rh担持リン酸ジルコニウム>
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に製造実施例4で調製したリン酸ジルコニウム担体を、Rh担持濃度がRhメタルの質量に換算して担体の質量を基準にして1.0質量%となる量比で浸漬させ、その後、蒸発乾固後、焼成を行い、
参考例4の排気ガス浄化用触媒(Rh担持リン酸ジルコニウム)を得た。
【0037】
比較例1
<Rh担持ジルコニア>
硝酸Rh水溶液に市販のジルコニア粉末を、Rh担持濃度がRhメタルの質量に換算して担体の質量を基準にして1.0質量%となる量比で浸漬させ、その後、蒸発乾固後、焼成を行い、比較例の排気ガス浄化用触媒(Rh担持ジルコニア)を得た。
【0038】
<FT−IRの測定方法>
参考例1〜4及び比較例1で得た各々のRh担持サンプルのFresh品を試料セルに詰め、N
2気流中、600℃で30分間保持した後、300℃まで降温した。その後、C
3H
6を3,300ppmCの濃度及びO
2を0.6%の濃度で30分間導入し、触媒表面に吸着したHC種をFT−IRで観察した。FT−IRの評価は日本分光製FT/IR−6200及び拡散反射測定装置DR−400を用いて行った。
【0039】
<FT−IRの測定結果>
FT−IRの測定結果を
図1に示す。
図1より、ZrO
2担体においてはカルボン酸アニオンに帰属する吸着種及びRh上へのBrigde型CO吸着種が観察されており、C
3H
6の部分酸化が起きていることが示唆された。LaPO
4担体、YPO
4担体においてはカルボン酸アニオンの他にAryl−CHOのアルデヒドに帰属する吸着種が観察された。また、両者ともにLinear型CO吸着種が観察されており、C
3H
6の部分酸化が起きていることが示唆された。AlPO
4担体においてはカルボン酸アニオンに帰属する吸着種は認められず、Aryl−CHOのアルデヒドに帰属する吸着種及びRh上へのLinear型CO吸着種が観察されており、C
3H
6の部分酸化が起きていることが示唆された。ZrP
2O
7担体においても、カルボン酸アニオンに帰属する吸着種は認められず、R−CHOのアルデヒドに帰属する吸着種及びRh上へのBrigde/Linear型CO吸着種が観察されており、C
3H
6の部分酸化が起きていることが示唆された。
【0040】
参考例5
<Rh担持リン酸アルミニウム、Rh単層0.15g/L>
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に製造実施例1で調製したリン酸アルミニウム担体73質量部、La安定化アルミナ21質量部、アルミナ系バインダー6質量部を添加し、湿式粉砕処理を施してRh含有スラリーを得た。この時、Rh担持濃度が固形分に対して0.15質量%になるように硝酸Rh溶液を加えた。得られたスラリーをセラミックハニカム基材に100g/Lとなるように塗布し、乾燥、焼成を行い、
参考例の排気ガス浄化用触媒構成体(ハニカム触媒)とした。
【0041】
参考例6
<Rh担持リン酸イットリウム、Rh単層0.15g/L>
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に製造実施例2で調製したリン酸イットリウム担体73質量部、La安定化アルミナ21質量部、アルミナ系バインダー6質量部を添加し、湿式粉砕処理を施してRh含有スラリーを得た。この時、Rh担持濃度が固形分に対して0.15質量%になるように硝酸Rh溶液を加えた。得られたスラリーをセラミックハニカム基材に100g/Lとなるように塗布し、乾燥、焼成を行い、
参考例の排気ガス浄化用触媒構成体(ハニカム触媒)とした。
【0042】
参考例7
<Rh担持リン酸ランタン、Rh単層0.15g/L>
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に製造実施例3で調製したリン酸ランタン担体73質量部、La安定化アルミナ21質量部、アルミナ系バインダー6質量部を添加し、湿式粉砕処理を施してRh含有スラリーを得た。この時、Rh担持濃度が固形分に対して0.15質量%になるように硝酸Rh溶液を加えた。得られたスラリーをセラミックハニカム基材に100g/Lとなるように塗布し、乾燥、焼成を行い、
参考例の排気ガス浄化用触媒構成体(ハニカム触媒)とした。
【0043】
参考例8
<Rh担持リン酸ジルコニウム、Rh単層0.15g/L>
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液に製造実施例4で調製したリン酸ジルコニウム担体73質量部、La安定化アルミナ21質量部、アルミナ系バインダー6質量部を添加し、湿式粉砕処理を施してRh含有スラリーを得た。この時、Rh担持濃度が固形分に対して0.15質量%になるように硝酸Rh溶液を加えた。得られたスラリーをセラミックハニカム基材に100g/Lとなるように塗布し、乾燥、焼成を行い、
参考例の排気ガス浄化用触媒構成体(ハニカム触媒)とした。
【0044】
比較例2
<Rh担持ジルコニア、Rh単層0.15g/L>
硝酸Rh溶液にZrO
2粉末73質量部、La安定化アルミナ21質量部、アルミナ系バインダー6質量部を添加し、湿式粉砕処理を施してRh含有スラリーを得た。この時、Rh担持濃度が固形分に対して0.15質量%になるように硝酸Rh溶液を加えた。得られたスラリーをセラミックハニカム基材に100g/Lとなるように塗布し、乾燥、焼成を行い、比較例の排気ガス浄化用触媒構成体(ハニカム触媒)とした。
【0045】
<触媒性能の評価方法>
ハニカム触媒の空気過剰率λが1よりも大きいリーン領域のライトオフ性能は、NO:1,000ppm、C
3H
6:1,650ppmC、O
2:0.25%、H
2O:10%及び残余のN
2から成る模擬排ガス(λ=1.2)をSV=100,000h
-1となるように
参考例5〜8及び比較例2の各々のセラミックハニカム触媒に流通させて100〜500℃における出口ガス成分をCO/HC/NO分析計(ベスト測器製Exhaust Gas Analyzer SESAM3−N、BEX−5200C)を用いて測定した。得られたライトオフ性能評価結果より、C
3H
6/NOそれぞれの30%浄化率に到達する温度(T30)と400℃における浄化率(η400)を求め、各々のRh担持触媒の性能を比較した。
【0046】
ハニカム触媒の酸素過剰率λ(空燃比A/F)スキャン評価は、CO、CO
2、C
3H
6、H
2、O
2、NO、H
2O及び残余N
2から成る完全燃焼を想定した模擬排ガスをλ=0.4〜1.5(A/F=14.2〜14.8)(CO/H
2及びO
2濃度を変動)の範囲でスキャンを行い、SV=100,000h
-1となるように
参考例5〜8及び比較例2の各々のセラミックハニカム触媒に流通させて400℃における出口ガス成分をCO/HC/NO分析計(堀場製作所製MOTOR EXHAUST GAS ANALYZER MEXA9100)を用いて測定し、各Rh担持触媒の性能を比較した。
【0047】
ハニカム触媒のライトオフ及び酸素過剰率λ(空燃比A/F)スキャン評価は水蒸気を10%含んだ模擬排ガス耐久後の触媒について性能比較を行った。模擬排ガス耐久条件は800℃に保持した電気炉に触媒をセットし、C
3H
6もしくはCOとO
2(完全燃焼比)の混合ガス(50sec)及びAir(50sec)を周期させながら模擬排ガスを流通させて50時間処理した。
【0048】
<模擬排ガスによるL/O性能の評価結果>
図2〜
図4にそれぞれ各サンプルの空気過剰率λ=1.2(空燃比A/F=14.7)のリーン領域でのNO−C
3H
6の反応結果(C
3H
6の浄化率、NOの浄化率及びCO生成濃度)の結果を示す。Rhの担体として特定のリン酸塩を用いると高温域でNOx浄化性能の大幅な向上が認められ、何れの仕様もRh担持ジルコニアの性能を凌駕した。また、FT−IRにおいても観察されたように、特定のリン酸塩は何れもC
3H
6の部分酸化由来と思われるCOの生成が認められており、ZrP
2O
7を用いた場合に最も生成濃度が高く、部分酸化されたCOや中間体を介して、NOxの浄化が進んでいるものと思われる。
【0049】
また、空気過剰率λ=1.2(空燃比A/F=14.7)における各サンプルのL/O性能データは第1表に示す通りである。
【0051】
<模擬排ガスによる酸素過剰率λ(空燃比A/F)スキャン評価の結果>
第2表、第3表及び第4表に各サンプルの酸素過剰率λ(空燃比A/F)スキャン結果を示す。
【0055】
L/O性能の結果と同様に、Rhの担体として特定のリン酸塩を用いると、空気過剰率λ=1のストイキから1よりも大きいリーン領域(λ=1、1.2及び1.5、A/F=14.6、14.7及び14.8)において比較例のRh担持ジルコニアのNOx浄化性能を凌駕しており、性能序列はZrO
2<LaPO
4<YPO
4<AlPO
4<ZrP
2O
7であった。FT−IRの結果(
図1)を考慮するとリーンNOx性能に優れるものほど、HCの反応中間体としてアルデヒド中間体を形成する傾向にあった。
【0056】
以上の結果より、空気過剰率λが1よりも大きいリーン領域においてリン酸塩の酸点上にてC
3H
6の部分酸化が起こり、反応性の高いアルデヒド中間体とNOが反応することでNO−C
3H
6の反応が促進され、NOx浄化性能の向上に繋がったものと推測される。
【0057】
実施例11(0.4wt%Rh/5mol%LaPO
4/SiO
2)
5mol%LaPO
4/SiO
2の比率になるように原料を調整し、上記製造実施例6の合成方法にて合成を行った。
【0058】
その後、硝酸Rh水溶液に上記粉末をRh担持濃度0.4wt%になるように浸漬させ、乾燥し、500℃×1時間焼成したものを排気ガス浄化用触媒とした。
【0059】
実施例12(0.4wt%Rh/10mol%LaPO
4/SiO
2)
10mol%LaPO
4/SiO
2の比率になるように原料を調整すること以外は実施例11と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0060】
実施例13(0.4wt%Rh/20mol%LaPO
4/SiO
2)
20mol%LaPO
4/SiO
2の比率になるように原料を調整すること以外は実施例11と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0061】
実施例14(0.4wt%Rh/30mol%LaPO
4/SiO
2)
30mol%LaPO
4/SiO
2の比率になるように原料を調整すること以外は実施例11と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0062】
実施例15(0.4wt%Rh/40mol%LaPO
4/SiO
2)
40mol%LaPO
4/SiO
2の比率になるように原料を調整すること以外は実施例11と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0063】
実施例16(0.2wt%Rh/20mol%LaPO
4/SiO
2)
Rh担持濃度0.2wt%としたこと以外は実施例13と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0064】
実施例17(0.05wt%Rh/20mol%LaPO
4/SiO
2)
Rh担持濃度0.05wt%としたこと以外は実施例13と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0065】
実施例18(0.01wt%Rh/20mol%LaPO
4/SiO
2)
Rh担持濃度0.01wt%としたこと以外は実施例13と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0066】
参考例21(0.4wt%Rh/LaPO
4)
上記製造実施例5の合成方法にて合成を行い、目的の物質を得た。
【0067】
その後、硝酸Rh水溶液に上記粉末をRh担持濃度0.4wt%になるように浸漬させ、乾燥し、500℃×1時間焼成したものを排気ガス浄化用触媒とした。
【0068】
参考例22(0.2wt%Rh/LaPO
4)
Rh担持濃度0.2wt%としたこと以外は
参考例21と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0069】
参考例23(0.05wt%Rh/LaPO
4)
Rh担持濃度0.05wt%としたこと以外は
参考例21と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0070】
参考例24(0.01wt%Rh/LaPO
4)
Rh担持濃度0.01wt%としたこと以外は
参考例21と同様にして、排気ガス浄化用触媒とした。
【0071】
比較例11(0.4wt%Rh/SiO
2)
ヘキサアンミンRh水酸塩溶液にSiO
2をRh担持濃度0.4wt%になるように浸漬させ、120℃一晩乾燥し、500℃×1時間焼成したものを排気ガス浄化用触媒とした。
【0072】
比較例12(0.2wt%Rh/SiO
2)
Rh担持濃度0.2wt%としたこと以外は比較例11と同様にして排気ガス浄化用触媒とした。
【0073】
比較例13(0.05wt%Rh/SiO
2)
Rh担持濃度0.05wt%としたこと以外は比較例11と同様にして排気ガス浄化用触媒とした。
【0074】
比較例14(0.01wt%Rh/SiO
2)
Rh担持濃度0.01wt%としたこと以外は比較例11と同様にして排気ガス浄化用触媒とした。
【0075】
〈触媒性能評価方法及び結果〉
実施例11〜15、参考例21及び比較例11で得られた各々の排気ガス浄化用触媒を、調製後(Fresh)と耐久後(Aged)について触媒活性を以下のようにして評価した。なお、耐久条件は、水蒸気10%を含んだ大気雰囲気中で、900℃で25時間とした。
【0076】
固定床流通型反応装置を用い、反応管に触媒粉をセットし、CO:0.51%、NO:500ppm、C
3H
6:1170ppmC、O
2:0.4%、残余N
2から成る完全燃焼を想定した模擬排気ガスをW/F(触媒質量/ガス流量)=5.0×10
-4g・min・cm
-3となるように反応管に流通させ、100〜500℃における出口ガス成分をCO/NO/HC分析計を用いて測定した。得られたライトオフ性能評価結果より50%浄化率に到達する温度(T50)を求めた。比表面積はN
2吸着法でRh分散度はCO吸着法にて測定を行った。その結果は第5表に示す通りであった。
【0078】
Freshの浄化性能を見ると、比較例11や
参考例21と比較して、SiO
2に分散析出させたLaPO
4(実施例11〜15:5mol%〜40mol%LaPO
4/SiO
2)の方がCO/NO/C
3H
6のT50が低く、活性が高いことがわかった。また、Agedの浄化性能を見ると、実施例12〜15:10mol%〜40mol%LaPO
4/SiO
2は比較例11や
参考例21よりCO/NO/C
3H
6のT50が低く、活性が高いことがわかった。これは、LaPO
4をSiO
2に分散担持させることにより、高比表面積化させたこと、及び、LaPO
4同士のシンタリングを抑制できたことによる効果と思われる。特に実施例12〜15では耐久後のRh分散度においても、比較例11よりも高くこの効果が顕著に表れているものと思われる。
【0079】
これらの結果から、LaPO
4はSiO
2に分散析出させるとさらに好ましく、なおかつ、LaPO
4の比率としては、5mol%〜40mol%がよく、より好ましくは10mol%〜40mol%がよいことがわかった。
【0080】
実施例13、16〜18及び比較例11〜14、
参考例21〜24について、得られた各々の排気ガス浄化用触媒を水蒸気10%を含んだ大気雰囲気中で、900℃で25時間耐久後、調製後、触媒活性を上記の通り、評価した。NOのT50を第6表に示す。
【0082】
20mol%LaPO
4/SiO
2はRhが低濃度の領域でも、Rh担持LaPO
4やRh担持SiO
2より性能が優れることがわかった。
【0083】
実施例13、比較例11、
参考例21について耐久温度を変え、同様の評価を行った。NOのT50を第7表に示す。
【0085】
20mol%
LaPO
4/SiO
2は耐久温度によらず、Rh担持SiO
2やRh担持LaPO
4よりも浄化性能が高いことがわかった。