特許第6049174号(P6049174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6049174マイクロホン用ショックマウント部材およびこれを用いたダイナミックマイクロホン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049174
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】マイクロホン用ショックマウント部材およびこれを用いたダイナミックマイクロホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   H04R1/02 108
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-199376(P2012-199376)
(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2014-57137(P2014-57137A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】古屋 裕章
【審査官】 冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−145785(JP,U)
【文献】 実開昭58−132487(JP,U)
【文献】 特開平04−248032(JP,A)
【文献】 実開平06−080045(JP,U)
【文献】 実開平01−126684(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
F16F 15/00−15/36
F16F 1/00−6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の外周体と環状の内周体との間に、周方向に沿って3つのスリットが形成されることにより、前記各スリット間に周方向に等間隔で3つの連結部が放射方向に形成されてなる全体がゴム素材により偏平状に一体形成されたマイクロホン用ショックマウント部材であって、
前記各連結部には、その中央部を除いた前記中央部の両外側に、それぞれ複数かつ同数の放射方向に細長い厚さ方向に貫通する開口が施されると共に、前記各連結部には、同数の前記開口がそれぞれ施されていることを特徴とするマイクロホン用ショックマウント部材。
【請求項2】
請求項1に記載されたマイクロホン用ショックマウント部材を用いたダイナミックマイクロホンであって、
前記マイクロホン用ショックマウント部材における前記外周体の外周縁部がマイクロホンケースに取り付けられると共に、前記内周体の内周縁部においてマイクロホンユニットもしくはマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体を支持したことを特徴とするダイナミックマイクロホン。
【請求項3】
前記マイクロホン用ショックマウント部材に施された複数の開口により分割された前記連結部を、選択的に切除可能にしたことを特徴とする請求項2に記載されたダイナミックマイクロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はマイクロホンケース内において、マイクロホンユニットを支持するショックマウント部材およびこれを用いたダイナミックマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックマイクロホンは、振動板に取り付けられたボイスコイルを磁気回路に形成された磁気ギャップ内に配置し、振動板の振動によってボイスコイルに音声電流を生成させることから動電型マイクロホンとも呼ばれている。
このダイナミックマイクロホンは、周知のとおりボーカル用のマイクロホンとして好適に用いられているが、ボイスコイルを備えた振動板を含む振動系の質量が大きいために、マイクロホンケースを手で握って使用する場合には、振動雑音(タッチノイズ)が生成され易いという問題を抱えている。
【0003】
そこで、この種のダイナミックマイクロホンの多くは、前記振動雑音を低減するための手段を備えている。
その手段の一つとして、振動板に生ずる慣性力を背部気室に生ずる圧力で相殺することで、振動雑音の発生を抑制するキャンセル方式が提案されている。
【0004】
このキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンは、マイクロホンユニットの背面側に、マイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体が取り付けられる。
そして、前記マイクロホンユニットと前記中空体とは、ゴム素材により構成されたショックマウント部材を介して、マイクロホンケース内に取り付けられる。
【0005】
このキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンによると、振動を受けて例えばマイクロホンの軸方向に重力が加わった場合において、振動板およびボイスコイルを含む振動系が慣性力で止どまる作用が働き、前記ボイスコイルが磁気回路に対して相対移動しようとする動作が生ずる。
この時、前記中空体による背部気室に生ずる圧力変化が前記振動板の背面に作用し、結果として前記振動系が磁気回路に対して相対移動するのを抑えるキャンセル作用が発生する。これにより振動雑音の発生を効果的に低減させることが可能となる。
【0006】
図7(A),(B)は、前記したキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンにおいて利用されている従来のショックマウント部材の全体構成を示した正面図および厚さ方向の中央部で切断した状態の断面図である。
このショックマウント部材1は、前記したとおりゴム素材により全体が円盤状に、すなわち円形状にして偏平状に形成されており、環状の外周体1aと環状の内周体1bとが、放射方向に形成された連結部1cを介して一体に成形されている。
【0007】
すなわち、前記した放射方向に形成された各連結部1cの間は、前記外周体1aと内周体1bとの間で円弧状のスリット1dになされており、図7に示すショックマウント部材1は、周方向に120度の間隔で3つの連結部1cが形成されている。
そして、前記外周体1aの外周縁部1fがマイクロホンケースの内壁面に取り付けられると共に、前記内周体1bの内周縁部1gにおいて、マイクロホンユニットもしくはマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体を支持するように構成されている。
【0008】
なお、前記したキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンについては、次に示す特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−15695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記した構成のショックマウント部材は、CR(クロロプレン)系のゴム素材が用いられており、このゴム素材は一般に±5度の公差で硬度の管理がなされている。
しかしながら、ショックマウント部材の硬度が前記公差の範囲内であるとしても、実際にダイナミックマイクロホンに装填して利用した場合においては、振動雑音の低減効果に大きなばらつきが生ずることが知られている。
【0011】
図8は、その一例を示したものであり、前記した図7に示すショックマウント部材を利用したキャンセル方式のダイナミックマイクロホンについて、異なるゴム硬度によるショックマウント部材を用いた場合の特性を示している。
すなわち、図8において縦軸は信号対雑音比(振動雑音)、横軸は周波数を示したものであり、特性aはゴム硬度が42度のものによるショックマウント部材を用いた場合の例を示しており、特性bはゴム硬度が47度のものによるショックマウント部材を用いた場合の例を示している。
【0012】
図8に示す実例からも理解できるとおり、キャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンにおいて、ショックマウント部材のゴム硬度が5度上昇した場合においては、マイクロホンユニットおよびマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体とを含む被支持体の共振周波数が上昇し、これに伴い明らかに振動雑音のレベルが上昇する。
したがって、ショックマウント部材を構成するゴム硬度を、より厳しく管理することが可能であれば、振動雑音のばらつきを抑えることが可能になるものの、現実においてはショックマウント部材を構成するゴム素材の原材料を含めて硬度管理をすることは難しい。
【0013】
以上のとおり、キャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンにおいては、ショックマウント部材の硬度の僅かなばらつき、例えばショックマウント部材の製造ロットの違いによっても、振動雑音の大幅なばらつきに発展するために、多量生産にあたり良好な振動雑音性能を有するダイナミックマイクロホンを安定して提供することが難しい。
【0014】
この発明は従来のキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンにおける前記した問題点に着目してなされたものであり、前記したショックマウント部材の硬度を容易に選択可能となるように構成することで、汎用性の高いショックマウント部材を提供することを課題とするものである。
加えてこの発明は前記したショックマウント部材を利用することにより、マイクロホンユニットおよびマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体とを含む被支持体の共振周波数を容易に選択可能にし、モデルに応じて最適な振動雑音性能を有するダイナミックマイクロホンを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記した課題を達成するためになされたこの発明に係るマイクロホン用ショックマウント部材は環状の外周体と環状の内周体との間に、周方向に沿って3つのスリットが形成されることにより、前記各スリット間に周方向に等間隔で3つの連結部が放射方向に形成されてなる全体がゴム素材により偏平状に一体形成されたマイクロホン用ショックマウント部材であって、前記連結部には、その中央部を除いた前記中央部の両外側に、それぞれ複数かつ同数の放射方向に細長い厚さ方向に貫通す開口が施されると共に、前記各連結部には、同数の前記開口がそれぞれ施されていることを特徴とする。
【0018】
一方、前記した課題を達成するためになされたこの発明に係るダイナミックマイクロホンは、前記した構成のマイクロホン用ショックマウント部材が用いられ、前記マイクロホン用ショックマウント部材における前記外周体の外周縁部がマイクロホンケースに取り付けられると共に、前記内周体の内周縁部においてマイクロホンユニットもしくはマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体を支持したことを特徴とする。
【0019】
加えて、前記したマイクロホン用ショックマウント部材に施された複数の開口により分割された前記連結部を、選択的に切除可能にした構成が採用される。
【発明の効果】
【0020】
前記した構成のショックマウント部材によると、外周体と内周体とが複数の連結部を介して、ゴム素材により一体成形され、外周体と内周体とを連結する各連結部には、厚さ方向に貫通する複数の開口がそれぞれ施された構成が採用される。
この構成によれば、前記各連結部に施された複数の各開口が連通するように、各開口により分割された各連結部を選択的に切除することにより、ショックマウント部材としての硬度を容易に選択することができる。これにより汎用性の高いショックマウント部材を提供することができる。
【0021】
また、前記した構成のショックマウント部材を用いたダイナミックマイクロホンによると、ショックマウント部材としての硬度を容易に選択することができるので、ショックマウント部材を介して支持されるマイクロホンユニットおよびマイクロホンユニットの背部気室を構成する中空体とを含む被支持体の共振周波数を容易に選択することが可能となる。これにより、モデルに応じて最適な振動雑音性能を有するキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明に係るダイナミックマイクロホンの全体構成を示した中央断面図である。
図2図1に示すダイナミックマイクロホンに用いられるショックマウント部材の正面図および厚さ方向の中央部で切断した状態の断面図である。
図3図2に示すショックマウント部材の連結部の一部を切除した状態の正面図および断面図である。
図4図3に示すショックマウント部材の連結部の一部をさらに切除した状態の正面図および断面図である。
図5図4に示すショックマウント部材の連結部の一部をさらに切除した状態の正面図および断面図である。
図6】ショックマウント部材の連結部の一部を順次切除した場合の振動雑音の変化を示した特性図である。
図7】従来のショックマウント部材の例を示した正面図および厚さ方向の中央部で切断した状態の断面図である。
図8図7に示すショックマウント部材を用いたダイナミックマイクロホンにおける振動雑音の発生例を示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明に係るショックマウント部材およびこれを用いたダイナミックマイクロホンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明するが、先にキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンの全体構成について説明し、このダイナミックマイクロホンに用いられるショックマウント部材の詳細な構成については、後で説明する。
【0024】
図1は、キャンセル方式を採用したこの発明に係るダイナミックマイクロホンの全体構成を断面図で示したものである。
符号11はマイクロホンユニットを示しており、このマイクロホンユニット11は周知のとおり、ボイスコイルを備えた振動板12および前記ボイスコイルが振動可能に配置された磁気ギャップを有する磁気回路13を備えており、このマイクロホンユニット11の前記磁気回路13を構成するヨークの周側面が、円筒状に形成されたホルダー14に嵌め込まれた状態で取り付けられている。
【0025】
また、前記円筒状のホルダー14を介してマイクロホンユニット11の背部気室22を形成する中空体21が接続されている。すなわち、前記中空体21に囲まれた背部気室22は、前記マイクロホンユニット11における振動板12の背面に連通するように構成されており、前記中空体21の末端部には開口23が施され、この開口には通気抵抗体(開口23と同一符号で示す。)が取り付けられている。
そして、前記マイクロホンユニット11と前記中空体21を含む被支持体は、ゴム素材により構成された第1のショックマウント部材1と、第2のショックマウント部材2に支持されて、マイクロホンケース31内に取り付けられている。
【0026】
前記第1のショックマウント部材1は、前記マイクロホンユニット11と前記中空体21を含む被支持体の全体の重量を支持する機能を果たすものであり、前記した被支持体全体の重心位置に配置されている。
また、前記第2のショックマウント部材2は、前記した被支持体がマイクロホンケース31内においてローリングするのを防止するために、さらに前記したキャンセル方式を採用した場合において、前記中空体21側を密閉するために配置されたものである。
【0027】
前記中空体21の外周面には円筒状に形成された錘24が取り付けられている。この錘24は、前記マイクロホンユニット11と中空体21を含む被支持体の全体の重心を、前記した第1のショックマウント部材1の支点に合わせるために配置されている。
これによりマイクロホンユニット11は、マイクロホンケース31内でのローリングがより抑制され、マイクロホンユニット11のローリングにより発生する振動雑音も低減させるように作用する。
なお、図1における符号26は前記マイクロホンケース31内を密封するための封止部材である。
【0028】
図1に示すマイクロホンケース31の下端部には、接続ピンを備えた出力コネクタ33が配置されており、この出力コネクタ33を構成する接続ピンは、絶縁基台34に植設されてマイクロホンケース31の下底部内に配置されている。
【0029】
図2(A)および(B)は、この発明に係る第1のショックマウント部材1の全体構成を示した正面図および厚さ方向の中央部で切断した状態の断面図である。
このショックマウント部材1は、図7に基づいてすでに基本形態を説明したとおり、ゴム素材(CR系ゴム)により全体が円盤状に、すなわち円形状にして偏平状に形成されており、環状の外周体1aと環状の内周体1bとが、放射方向に形成された連結部1cを介して一体に成形されている。
【0030】
前記した外周体1aと内周体1bとの間における放射方向に形成された前記各連結部1cによって挟まれた部分は、円弧状のスリット1dになされており、この実施の形態においては、周方向に120度の間隔で3つの連結部1cが形成されると共に、3つの円弧状のスリット1dが形成されている。
また、前記外周体1aと内周体1bとを連結する各連結部1cには、厚さ方向に貫通する複数の開口1eが、各連結部1cの周方向に沿って円弧状に配列されて施されている。
【0031】
図2に示すように、前記した連結部1cの各々には偶数個でそれぞれ同数の開口1eが形成されており、この例においては1つの連結部1cにおいて合計6つの開口1eがそれぞれ施されている。しかもこの例においては、放射方向に細長い開口1eが各連結部1cの中央部を除いた両外側寄りに、すなわち円弧状のスリット1d寄りに、それぞれ3つずつ集中して形成されている。
この構成により前記連結部1cは細長い各開口1eによって、周方向にさらに分割されている。
【0032】
前記した構成のショックマウント部材1は、前記外周体1aの外周縁部1fがマイクロホンケース31の内壁面に取り付けられる。このために、図2(B)の断面図に示されたように、ショックマウント部材1の外周縁の3か所にビス挿入穴1hが形成されており、前記マイクロホンケース31に挿通される図示せぬビスにより、ショックマウント部材1はマイクロホンケース31内に装着される。
【0033】
またショックマウント部材1における内周体1bの内周縁部1gにおいて、マイクロホンユニット11の背部気室22を構成する中空体21を支持するように構成されている。
なお、図1に示す例においては、第1のショックマウント部材1は、マイクロホンユニット11の背部気室22を構成する中空体21を支持するように構成されているが、第1のショックマウント部材1によってマイクロホンユニット11を支持するように構成される場合もある。
【0034】
前記した第1のショックマウント部材1の構成によると、3か所に形成された前記各連結部1cにおいて、6つの開口1eがそれぞれ周方向に施されて、連結部1cが周方向に分割されている。したがって、前記した円弧状のスリット1d側から分割された連結部1cを順に切除することで、円弧状のスリット1dに各開口1eが連通し、図3図5に示すように円弧状のスリット1dの周方向の長さを順に拡張することができる。なお、図3図5においては、図2に比較して符号の記載を適宜省略して示している。
このように、円弧状のスリット1dの周方向の長さを順に拡張することで、連結部1cの周方向の幅は順次狭くなり、ショックマウント部材1の実質的なゴム硬度は低下することになる。
【0035】
図6は、この発明に係る図2図5に示す構成のショックマウント部材1をそれぞれ利用して、図1に示すキャンセル方式のダイナミックマイクロホンを構成した場合の振動雑音特性を示したものであり、縦軸は信号対雑音比(振動雑音)、横軸は周波数を示している。すなわち、図6に示す特性aは図2に示すショックマウント部材1を利用した場合の振動雑音特性を示しており、図6に示す特性b〜dは、それぞれ図3図5に示したショックマウント部材1を利用した場合の振動雑音特性を示している。
なお、図6に示す特性eは、図2に示すショックマウント部材1を利用した場合のマイクロホンの周波数レスポンスを示している。
【0036】
図6に示す振動雑音特性から理解できるとおり、複数の開口1により分割された連結部1cを順に切除することで、マイクロホンユニットとその背部気室を構成する中空体とを含む被支持体の共振周波数を順に下げることができ、振動雑音のレベルを調整することができる。
したがって、この発明に係るショックマウント部材をキャンセル方式を採用したダイナミックマイクロホンに利用することで、それぞれのモデルに応じて振動雑音レベルを調整することが可能になるなど、前記した発明の効果の欄に記載したとおりの作用効果を得ることができる。
【0037】
なお、この発明に係るショックマウント部材は、図2図5に示したように、複数の開口1eにより分割された連結部1cを、スリット1dに近い方から一対ごとに切除した例を示しているが、その一対のうちの一方のみの分割された連結部1cを切除することで、振動雑音のレベルをさらに細かいレベルで調整することが可能となる。
また、開口1eにより分割された連結部1cを、スリット1dに近い方から順に切除することなく、開口1e同士を連通させるように連結部1cを切除することで、振動雑音のレベルを調整することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 第1のショックマウント部材
1a 外周体
1b 内周体
1c 連結部
1d スリット
1e 開口
1f 外周縁
1g 内周縁
1h ビス挿入穴
2 第2のショックマウント部材
11 マイクロホンユニット
12 振動板
13 磁気回路
14 ホルダー
21 中空体
22 背部気室
23 開口(通気抵抗体)
24 錘
26 封止部材
31 マイクロホンケース
33 出力コネクタ
34 絶縁基台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8