特許第6049188号(P6049188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049188
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】吸収性物品の包装体
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   A61F13/15 220
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-287205(P2012-287205)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-128363(P2014-128363A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】尾関 昌幸
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−521117(JP,A)
【文献】 特開平09−058759(JP,A)
【文献】 特開2012−020184(JP,A)
【文献】 特開2006−043306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品と前記吸収性物品を包装する包装シートとを有し、前記包装シートに前記吸収性物品を収納して折り畳むことにより、前記吸収性物品を包装する吸収性物品の包装体であって、
前記包装シートの長手方向の端縁部ともう一方の端縁部とが重なり合って形成される開封口と、
前記開封口近辺の前記包装シートの長手方向の端縁部に、前記包装シートとの摩擦力の差により、前記開封口の位置を識別する高摩擦材層とを有し、
前記包装シートと前記包装シートとの間の静摩擦係数と、前記包装シートと前記高摩擦材層との間の静摩擦係数との差が、0.4以上であって、
前記高摩擦材層は、前記開封口の上側の端縁部の先端部に設けられ、
前記高摩擦材層は、基材に微粒子を含有する高摩擦材を塗工した部材を、前記包装シートに固着し、
前記高摩擦材層は、前記開封口の上側の端縁部の先端部の上面と下面を覆うことを特徴とする吸収性物品の包装体。
【請求項2】
前記高摩擦材層は、長手方向の長さが10mm以上であり、幅方向の長さが前記包装シートと略同一であることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項3】
前記高摩擦材層は、厚さが0.1〜1.0mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項4】
前記高摩擦材の材質は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等の合成樹脂、合成ゴム、天然ゴム、又はアルミナ、ゼオライト、バーミキュラライト等の無機微粒子、活性炭、もみ殻等の有機微粒子、若しくは熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等の合成樹脂を、ポリアクリル酸エステル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレンーアクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、若しくはブタジエン−スチレン共重合体に混合したものであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンテイライナー、軽失禁パッド、ライナー等の吸収性物品は、衛生的に保管、使用するために、通常、包装シートにより1枚ずつ個別に包装されている。そして、使用者は、使用する際に、該包装シートから吸収性物品を取り出して、装着する。
【0003】
例えば、下着に装着する前記吸収性物品は、下着側のバックシートに粘着層が設けられ、さらに、その粘着層には粘着層を保護する剥離紙が設けられ、その剥離紙と包装シートとが剥離不能に接着された状態で、吸収性物品本体の長手方向と直角方向に3つ折り又は2つ折りされ、包装シートの両側端縁部を熱シールにて固着して、包装されている。
【0004】
そして、使用者が、包装体の開封口に貼着された止着テープをつまんで、包装体を開封すると、吸収性物品に設けられた前記剥離紙は、包装シートと一体的にめくられて、前記粘着層が露出するので、該吸収性物品を下着に貼りつけて、使用することができる。
また、包装体の開封口には前記止着テープを設けず、開封口に指を入れるなどして開封し、前記と同様に吸収性物品を取り出して使用する場合もある。
【0005】
吸収性物品の包装体の構造に関して、特許文献1には、個別包装の長手方向端部の開封部に止着テープを設け、包装シートを特定の材料とすることにより前記止着テープをはがして、開封を容易にする方法が開示されている。また、特許文献2には、包装シートの長手方向端部に凸部のつまみを設けて、個別包装の開封を容易にする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−079963号公報
【特許文献2】特開平09−058759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、包装シートの端縁部に貼着された止着テープは、つまみにくく、吸収性物品本体を取り出すのが困難であるという問題があった。また、包装体の開封口に止着テープを設けない形式の場合、開封口がわかりにくい上、開封口の一端がつまみにくい問題があった。さらに、トイレ等の比較的暗い空間で吸収性物品の開封作業を行おうとすると、吸収性物品に対する視認性の低さが加わり、なおさらこの動作は困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、吸収性物品の包装体の開封口をつまみ易く、開封し易い吸収性物品の包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の吸収性物品の包装体は、吸収性物品と前記吸収性物品を包装する包装シートとを有し、前記包装シートに前記吸収性物品を収納して折り畳むことにより、前記吸収性物品を包装する吸収性物品の包装体であって、前記包装シートの長手方向の端縁部ともう一方の端縁部とが重なり合って形成される開封口と、前記開封口近辺の前記包装シートの長手方向の端縁部に、前記包装シートとの摩擦力の差により、前記開封口の位置を識別する高摩擦材層とを有することを特徴とする。
【0010】
(2)本発明の吸収性物品の包装体では、前記包装シートと前記包装シートとの間の静摩擦係数と、前記包装シートと前記高摩擦材層との間の静摩擦係数との差が、0.4以上であることを特徴とする。
【0011】
(3)本発明の吸収性物品の包装体では、(1)または(2)の構成において、前記高摩擦材層は、前記開封口の先端部に設けられていることを特徴とする。
【0012】
(4)本発明の吸収性物品の包装体では、(1)ないし(3)のいずれか1つの構成において、前記高摩擦材層は、基材に微粒子を含有する高摩擦材を塗工した部材を、前記包装シートに固着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開封口の位置に対する認識性が向上するため、開封口をつまみ易く、したがって、開封し易い吸収性物品の包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明における吸収性物品の包装体の1形態を示す斜視図。
図2図1に示す包装体における、開封口を開いた状態の斜視図。
図3図1に示す包装体における、開封した状態の斜視図
図4図1のA−A線に沿う吸収性物品の包装体の断面を示す模式図。
図5】本発明における吸収性物品の包装体の他の形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明における吸収性物品の包装体の1形態を示す斜視図である。図2は、図1に示す包装体における、開封口を開いた状態の斜視図である。図3は、図1に示す包装体における、開封した状態の斜視図である。図4は、図1のA−A線に沿う吸収性物品の包装体の断面を示す模式図である。図5は、本発明における吸収性物品の包装体の他の形態を示す斜視図である。
【0017】
本発明における吸収性物品の包装体10の1形態について、図1ないし図4にて説明する。該吸収性物品の包装体10は、吸収性物品1と、包装シート2を備える。吸収性物品1は、肌と接触する側から順に、液透過性のトップシート(図示せず)、液保持性の吸収体(図示せず)、液不透過性のバックシート(図示せず)が配置されている。バックシートには下着と接触する面に粘着層(図示せず)が設けられ、さらに、その粘着層には粘着層を保護する剥離紙(図示せず)が設けられ、その剥離紙と包装シート2とが剥離不能に接着された状態で、吸収性物品1の長手方向と直角方向に3つ折りされ、包装シート2の両側端縁部21を熱シールにて固着して、包装されている。
【0018】
開封口24は、包装シート2の長手方向の端縁部と、もう一方の端縁部とが重なり合って形成されており、各端縁部は、吸収性物品1の長手方向の前側の端縁部である前端縁部22と、後ろ側の端縁部である後端縁部23と呼ぶ。高摩擦材層3は、開封口24近辺の前端縁部22に形成されている。また、高摩擦材層3の後ろ側方向近傍で、包装シートの重なり合っている部分には、長手方向と直角方向にライン上のホットメルト接着剤を塗布して包装体2が封止されている(図示せず)。使用者は、包装シート2と高摩擦材層3との摩擦力の差を触感で認識し、開封口24の位置を容易に判断することができ、前端縁部22と後端縁部23の間に指を差し込んで、包装体2を開封する。高摩擦材層3は、図4(a)に示すように、開封口24の先端部25に形成することが好ましい。また、図4(b)に示すように、開封口24の先端部25を覆うように、高摩擦材層3を形成してもよい。さらに、図4(c)に示すように、高摩擦材層3は、吸収性物品の包装体10を形成した際に、包装シート2の後端縁部23に、前端縁部22と重ならない位置に形成してもよい。この開封作業により、剥離紙は包装シート2と一体的にめくられ、結果、粘着層が露出するので、使用者は、吸収性物品1を下着に貼りつけて、使用することができる。
【0019】
本発明の吸収性物品1としては、特に制限はないが、例えば、生理用ナプキン、パンテイライナー、軽失禁パッド、ライナー等をあげることができる。また、吸収性物品1を構成するトップシート、吸収体、バックシート、粘着層及び剥離紙に関して、構成成分及び位置等は、特に限定されず、適宜選択することができる。
【0020】
本発明の包装シート2としては、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の樹脂フィルム、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布及びスパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布、あるいはこれらの複合材料等を用いることができる。また、吸収性物品1と接する包装シート2の内側には、シリコン等による剥離処理を行うこともできる。そして、包装シート2の目付けは、特に制限はないが、強度および加工性の点から、15〜30g/mが好ましく、さらに20〜25g/mが好ましい。
【0021】
本発明の高摩擦材層3は、包装シート2との摩擦力の差により、開封口を識別するものであり、包装シート2の表面に形成する。高摩擦材層3の形成方法としては、例えば、基材に高摩擦材を塗工した部材を、ホットメルト等の接着剤により包装シート2の表面に固着する、包装シート2に高摩擦材を直接塗工する、あるいは、開封口24近傍の包装シート2にエンボス処理を行う等があげられる。
【0022】
高摩擦材層3の基材としては、特に制限はなく、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等の樹脂フィルム、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布及びスパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布、あるいはこれらの複合材料等をあげることができる。高摩擦材層3の基材は、包装シート2と同じ材料を用いても、異なる材料であっても、特に制限なく用いることができる。
【0023】
高摩擦材としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、天然ゴム等を含むものが使用できる。また、アルミナ、ゼオライト、バーミキュラライト等の無機微粒子、あるいは、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等の合成樹脂、活性炭、もみ殻等の有機微粒子をバインダーに混合して使用することができる。
【0024】
バインダーとしては、特に制限はないが、例えば、前記微粒子等を基材に固着できる合成樹脂をあげることができる。微粒子を包装シート2の基材に直接塗工するバインダーと、高摩擦材3の形成において、前記微粒子を基材に固着させるバインダーは、同じバインダーを用いても、異なるバインダーであっても、特に制限なく用いることができる。固着性 の点から、ポリアクリル酸エステル、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレンーアクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体等が好ましい。
【0025】
塗工方法としては、特に制限はないが、例えば、ブレードコート、ロールコート、バーコート等の塗工方法をあげることができる。
【0026】
高摩擦材層3は、視認性を高めるために、高摩擦材層3の基材、あるいは、バインダーに対して、着色したものを用いることができる。着色方法は、基材やバインダーに、あらかじめ顔料、色素、染料等を含有させる等があげられる。また、バインダーに含む場合は、剥離しない程度の割合で含有することが好ましい。
【0027】
また、包装シート2と包装シート2との間の静摩擦係数と、包装シート2と高摩擦材層3との間の静摩擦係数との差は、0.4以上であることが好ましい。静摩擦係数の差が0.4未満であると、使用者は、包装シート2の基材と高摩擦材層3の区別が付きにくくなってしまい、効率よく開封口24を探すことが難しくなる。さらに、開封口24の見つけやすさの向上の点から、好ましいのは0.5以上、最も好ましいのは0.6以上である。ここでの静摩擦係数とは、JIS P 8147に記載された傾斜法に準拠して測定したものである。
【0028】
高摩擦材層3の長手方向及び幅方向の長さについて、特に制限はないが、長手方向の長さを10mm以上とすることが好ましい。また、高摩擦材層3の幅方向の長さは、図1に示すように、包装シート2の幅と略同じとなるよう形成したり、図5に示すように、包装シート2の幅の一部分に形成したりすることができる。開封口24の認識性の向上の点から、包装シート2の幅と略同じとなるよう形成することが好ましい。
【0029】
高摩擦材層3の厚さについて、特に制限はないが、0.1〜1.0mmとすることが好ましい。0.1mm未満であると、包装体2から高摩擦材層3が剥離する恐れが生じる。1.0mmより厚いと、剛性が高くなり、これも剥離しやすくなる。
【実施例】
【0030】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
吸収性物品として、軽失禁ライナーを用いた。軽失禁ライナーのバックシートには、下着と接触する面に粘着層を設け、さらに、その粘着層には、粘着層を保護する剥離紙を設けた。
包装シートとして、スパンボンド不織布(目付け20g/m)を用いた。高摩擦材層は、基材として、スパンボンド不織布(目付け20g/m)を用い、長さ1.0cm、幅方向を包装シートと略同一となるよう、9.5cmにカットした。そして、高摩擦材層の基材の重量当たり5重量%となるよう硬化ポリエチレン微粒子樹脂を、アクリルエマルジョンを介して塗工し、高摩擦材層を調整した。高摩擦材層は、図4(a)に示すように、開封口24の先端部25に形成させた。剥離紙と包装シートとが剥離不能に接着された状態で、軽失禁ライナーは長手方向と直角方向に3つ折りされ、包装シートの両側端縁部を、熱シールにて固着して、吸収性物品の包装体を作成した。
【0032】
(A)前記包装シートと前記包装シートとの間の静摩擦係数及び(B)前記包装シートと高摩擦材層間に働く静摩擦係数を、JIS P 8147の傾斜法に規定される測定方法を用いて測定し、縦方向どうしの静摩擦係数と横方向どうしの静摩擦係数をそれぞれ5回、計10回の測定結果の平均値を表1に示した。なお、(A)の前記包装シート間の静摩擦係数の測定は、おもりに前記包装シートを、傾斜板に前記包装シートをそれぞれしわや弛みがないように固定して行い、(B)の前記包装シートと前記高摩擦材層との静摩擦係数の測定は、おもりに前記高摩擦材層を、傾斜板に前期包装シートを(A)と同様にそれぞれしわや弛みがないように固定して行った。また、(A)及び(B)における静摩擦係数の差を表1に示した。
【0033】
(官能評価)
成人女性20名に、目隠しした状態で、各サンプルの吸収性物品の包装体を開封し、吸収性物品を取り出す操作を行わせ、「(a)開封し易い」、「(b)どちらでもない」、「(c)開封しにくい」のいずれかの開封難易度の評価を選択させた。(a)の評価が14〜20 人のときを「○」、(a)の評価が8〜13人のときを「△」、(a)の評価が0〜7人のときを「×」で表示した。
【0034】
[実施例2]、[比較例1]、[比較例2]
実施例2及び比較例1または2においては、表1に示す組成で、包装シート及び高摩擦材を調製し、実施例1と同様にして包装シートを製造した後、吸収性物品として軽失禁ライナーを包装し、静摩擦係数の測定及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
高摩擦材層を形成していない比較例1の吸収性物品の包装体は、(A)包装シートと前記包装シートとの間の静摩擦係数と、(B)包装シートと高摩擦材層との間の静摩擦係数の差がないため、開封口の位置を判断する材料が、開封口である前端縁部と後端縁部の隙間を手探りで探し当てることであるため、開封作業の難易度は高くなったと考えられる。また、(A)包装シートどうしの静摩擦係数と、(B)包装シートと高摩擦材層の静摩擦係数の差が0.4未満の比較例2(0.14)では、開封口の位置を判断するための感触の差が十分ではないことが分かった。それと比較して、(A)と(B)の差が0.4以上の実施例1(0.43)及び実施例2(0.7)では、開封口の先端部に設置した高摩擦材層と、包装シートとの感触の差が十分だったため、開封口を見つけやすく、包装体の開封が容易となったと考えられる。この結果から、包装シートと高摩擦材層との静摩擦係数差の閾値は、0.4であることが分かった。
【0037】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが、当業者には明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0038】
1 吸収性物品
10 吸収性物品の包装体
2 包装シート
21 側端縁部
22 前端縁部
23 後端縁部
24 開封口
25 開封口の先端部
3 高摩擦材層
図1
図2
図3
図4
図5