特許第6049198号(P6049198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049198
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/193 20060101AFI20161212BHJP
   H01R 12/88 20110101ALI20161212BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01R13/193
   H01R12/88
   H01R13/11 302E
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-95781(P2013-95781)
(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-216305(P2014-216305A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100069981
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 精孝
(74)【代理人】
【識別番号】100087860
【弁理士】
【氏名又は名称】長内 行雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166224
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 成夫
(72)【発明者】
【氏名】小椋 由幸
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−270290(JP,A)
【文献】 特開2005−142144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/193
H01R 12/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物と接触する端子と、端子を保持するハウジングと、所定の回動方向に回動することにより接続対象物と端子とを圧接させる押圧部材とを備えたコネクタにおいて、
前記端子に、端子の所定位置を支点として弾性変形することにより接続対象物に接触する接触片部と、押圧部材によって所定方向に押圧されることにより接触片部を接続対象物との接触方向に弾性変形させる押圧片部とを設け、
端子を、押圧部材の押圧点から支点までの距離が接続対象物との接点から支点までの距離よりも長くなるように形成するとともに、接続対象物との接点側が押圧部材の押圧点側よりも幅が広くなるように形成した
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記端子を、接触片部の接点と他の所定部分との間に接続対象物が挿入されるように形成するとともに、接触片部の接点と他の所定部分との間隔が接続対象物の対応寸法よりも小さくなるように形成した
ことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種電気機器の回路基板に実装され、電子部品や他の基板の端子等の接続対象物と接続するためのコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコネクタとしては、接続対象物と接触する端子と、端子を保持するコネクタ本体と、接続対象物と端子とを圧接させる押圧部材とを備え、押圧部材を所定方向に回動することにより、端子の接触片を押圧部材の押圧によって弾性変形させ、接続対象物に圧接させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−22936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記コネクタにおいて、パワートランジスタやパワートランジスタモジュール等、大電圧、高電流で使用される電子部品と接続するためには、端子の接触片による接触圧を高くする必要がある。しかしながら、前記コネクタでは、端子の接触片を押圧部材で直接押圧するようにしているため、接触片の接点から押圧部材の押圧点までの距離が短く、高い接触圧を得るためには押圧部材の押圧力を強くしなければならない。このため、接続対象物と接続する際、押圧部材を回動操作するために大きな力を必要としていた。
【0005】
また、端子の接触片を押圧部材の押圧によって接続対象物に圧接させると、応力緩和によって時間の経過とともに応力が低下し、これにより端子の接触圧が低下する。特に、大電圧、高電流で使用される電子部品と接続する場合、電子部品の熱で端子が高温となるが、温度が高いほど応力緩和による応力の低下が大きくなるため、高い接触圧を維持することが困難であった。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、押圧部材を大きな力で回動操作せずとも高い接触圧を得ることができるとともに、応力緩和による端子の接触圧の低下を抑制することのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、接続対象物と接触する端子と、端子を保持するハウジングと、所定の回動方向に回動することにより接続対象物と端子とを圧接させる押圧部材とを備えたコネクタにおいて、前記端子に、端子の所定位置を支点として弾性変形することにより接続対象物に接触する接触片部と、押圧部材によって所定方向に押圧されることにより接触片部を接続対象物との接触方向に弾性変形させる押圧片部とを設け、端子を、押圧部材の押圧点から支点までの距離が接続対象物との接点から支点までの距離よりも長くなるように形成するとともに、接続対象物との接点側が押圧部材の押圧点側よりも幅が広くなるように形成している。
【0008】
これにより、押圧部材の押圧点から支点までの距離が接続対象物と相手側端子との接点から支点までの距離よりも長くなっていることから、てこの原理により、接続対象物への接触圧が押圧部材からの押圧力よりも大きくなるとともに、押圧部材の押圧によって押圧片部に生ずる応力も小さくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接続対象物への接触圧を押圧部材からの押圧力よりも大きくすることができるので、押圧部材を大きな力で回動操作せずとも高い接触圧を得ることができ、押圧部材の操作性を向上させることができる。また、押圧部材の押圧によって押圧片部に生ずる応力を小さくすることができるので、応力緩和による応力の低下を抑制することができ、端子の接触圧を低下させることがないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタの押圧部材を閉じた状態を示す正面側斜視図
図2】押圧部材を開いた状態を示すコネクタの正面側斜視図
図3】押圧部材を閉じた状態を示すコネクタの正面視図
図4】押圧部材を閉じた状態を示すコネクタの背面視図
図5】押圧部材を閉じた状態を示すコネクタの平面図
図6】押圧部材を閉じた状態を示すコネクタの底面図
図7】押圧部材を閉じた状態を示すコネクタの側面図
図8】A−A線矢視方向断面図
図9】押圧部材を閉じた状態を示すB−B線矢視方向断面図
図10】押圧部材を開いた状態を示すB−B線矢視方向断面図
図11】押圧部材の底面図
図12】押圧部材の側面断面図
図13】端子の正面側斜視図
図14】端子の背面側斜視図
図15】端子の正面図
図16】端子の背面図
図17】端子の側面図
図18】端子の側面断面図
図19】相手側端子の接続工程を示すコネクタの側面断面図
図20】相手側端子の接続状態を示すコネクタの側面断面図
図21】コネクタの分解斜視図
図22】押圧力の作用を示す端子の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図22は本発明の一実施形態を示すものであり、電子部品や他の基板の端子等の接続対象物と接続するためのコネクタを示すものである。
【0012】
このコネクタは、接続対象物としての相手側端子1に接触する3つの端子10と、相手側端子1が挿入されるハウジング20と、所定の回動方向に回動することにより相手側端子1と端子10とを圧接させる押圧部材30とを備えている。
【0013】
各端子10は、導電性の金属板を折り曲げ加工することによって互いに同一形状をなすように形成され、それぞれ相手側端子1ごとに設けられている。端子10は、ハウジング20に固定される固定片部11と、相手側端子1と接触する接触片部12と、固定片部11と接触片部12との間に形成された弾性片部13と、接触片部12を相手側端子1に押圧する押圧片部14と、図示しない基板に接続される基板接続部15と、押圧部材30を回動自在に支持する支持部材としての一対の支持部16とからなる。
【0014】
固定片部11は幅方向両側を前後方向に屈曲させた断面略コ字状に形成され、その幅方向両側面にはそれぞれ接触片部12が係止する係止孔11aが設けられている。
【0015】
接触片部12は板厚方向が前後方向となる平板状に形成され、固定片部11の内側に配置されている。接触片部12の下端側は、固定片部11に向かって斜め下方に傾斜するとともに、その下端が固定片部11の反対側に略U字状に屈曲しており、固定片部11との間に相手側端子1が挿入されるようになっている。また、接触片部12の幅方向両端には固定片部11の係止孔11a内に係止する係止片12aがそれぞれ設けられ、各係止片12aはそれぞれ幅方向外側に向かって突出している。
【0016】
弾性片部13は、固定片部11から固定片部11の外側に向かって前後方向に延びる第1の弾性片13aと、第1の弾性片13aから上方に延びる第2の弾性片13bと、第2の弾性片13bから固定片部11の内側に向かって接触片部12の上端まで前後方向に延びる第3の弾性片13cとからなり、端子10の前後方向に弾性変形可能に形成されている。
【0017】
押圧片部14は接触片部12の下端から固定片部11の反対側に向かって斜め上方に延びるように形成され、その上端側を固定片部11の反対側に向かって押圧すると、係止孔11aに係止する係止片12aを支点として接触片部12の下端側を固定片部11側に変位させるようになっている。この場合、押圧片部14を押圧していない状態では、図10に示すように接触片部12と固定片部11との前後方向の間隔B1 が相手側端子1の前後方向の寸法B2 よりも小さくなっている。また、押圧片部14は、図16に示すように上端側と下端側との間が上方から下方に向かって徐々に幅が広くなるように形成され、下端側の幅W1 が上端側の幅W1 よりも広くなっている。
【0018】
基板接続部15は、固定片部11の下端から固定片部11の外側に向かって前後方向に延びるように形成されるとともに、下方に向かって延びる幅方向一対の接続片15aを有している。
【0019】
各支持部16は、固定片部11の幅方向両側からそれぞれ上方に延びるように形成され、その前後方向一端面には押圧部材30を支持する半円形状の軸受部16aが設けられている。
【0020】
ハウジング20は、合成樹脂の成形品からなり、前面部21、背面部22、幅方向一対の側面部23及び底面部24から形成されている。この場合、各側面部23の上面は、押圧部材30が所定の回動位置で当接することにより押圧部材30の回動を規制する当接面23aを形成している。ハウジング20には、各端子10をそれぞれ固定する3つの固定部25が設けられており、各端子10のうち2つの端子10がハウジング20の前側の幅方向両側に配置され、他の一つの端子10がハウジング20の後側の幅方向中央側に配置されるようになっている。この場合、前側の端子10は押圧片部14が後側になる向きに配置され、後側の端子10は押圧片部14が前側になる向きに配置される。後側の端子10の一方の支持部16の軸受部16aは、前側の一方の端子10の一方の支持部16(前側の他方の端子10側に位置する支持部16)の軸受部16aと前後方向に間隔をおいて対向しており、後側の端子10の他方の支持部16の軸受部16aは、前側の他方の端子10の一方の支持部16(前側の他方の端子10側に位置する支持部16)の軸受部16aと前後方向に間隔をおいて対向している。これにより、後側の端子10の各支持部16の軸受部16aと前側の各端子10の一方の支持部16の軸受部16aとの間に隙間Sが形成されている。固定部25は、端子10の固定片部11の前後方向一端側の端部を挿通する幅方向一対の固定溝25aと、固定片部11の前後方向他端側の面に接する幅方向一対の固定壁25bとからなり、各固定溝25aと各固定壁25bとの間に固定片部11を上方から圧入することにより、固定片部11をハウジング20に固定するようになっている。また、ハウジング20の底面部24には、各端子10の基板接続部15の接続片15aを挿通する複数の挿通孔24aと、相手側端子1が挿入される3つの挿入口24bが設けられている。
【0021】
押圧部材30は、合成樹脂の成形品からなり、各端子10の支持部16によって回動自在に支持されている。押圧部材30は、押圧部材30を回動操作するための操作部31と、操作部31の幅方向両側に形成された幅方向一対の側壁部32と、各側壁部32の間に幅方向に延びるように形成された回動軸33とからなる。
【0022】
操作部31は平板状に形成され、その内面の幅方向略中央にはハウジング20の前面部21の上端に当接するストッパ部31aが突設されている。
【0023】
各側壁部32は、押圧部材30の所定の開放位置(図2に示す回動位置)でハウジング20の当接面23aに当接する当接部32aを有し、当接部32aが押圧部材30の開放位置R1 でハウジング20の当接面23aに当接することにより押圧部材30の後方への回動が規制されるようになっている。
【0024】
回動軸33は、前側の一方の端子10の他方の支持部16の軸受部16aに係合する第1の軸部33aと、前側の一方の端子10の押圧片部14を押圧する第1のカム部33bと、前側の一方の端子10の一方の支持部16の軸受部16aと後側の端子10の一方の支持部16の軸受部16aに係合する第2の軸部33cと、軸受部16aの一方の隙間Sに挿通される第1の挿通部33dと、後側の端子10の押圧片部14を押圧する第2のカム部33eと、前側の他方の端子10の一方の支持部16の軸受部16aと後側の端子10の他方の支持部16の軸受部16aに係合する第3の軸部33fと、軸受部16aの他方の隙間Sに挿通される第2の挿通部33gと、前側の他方の端子10の押圧片部14を押圧する第3のカム部33hと、前側の他方の端子10の他方の支持部16の軸受部16aに係合する第4の軸部33iとを有し、これらの各部は回動軸33の軸方向一端側から他端側に亘って順次配列されている。図12に示すように、各軸部33a,33c,33f,33iは断面円形状に形成され、軸受部16aに回動自在に支持されるようになっている。第1及び第3のカム部33b,33hは、各軸部33a,33c,33f,33iの外周面よりも下方に突出するように形成され、前側の各端子10の押圧片部14を前方から後方に向かって押圧するようになっている。第2のカム部33eは、各軸部33a,33c,33f,33iの外周面よりも上方に突出するように形成され、後側の端子10の押圧片部14を後方から前方に向かって押圧するようになっている。第1及び第2の挿通部33d,33gは、周方向の一部が第2及び第3の軸部33c,33fの外径よりも前後方向に小さい縦長の断面長方形状に形成され、その前後方向の幅Dは隙間Sを挿通可能な寸法になっている。第1、第3及び第4の軸部33a,33f,33iの軸方向一端側には、前側の一方の端子10の他方の支持部16と他方の端子10の他方の支持部16にそれぞれ回動軸33の軸方向一方から当接する第1、第2及び第3の当接部33a−1,33f−1,33i−1が設けられ、各当接部33a−1,33f−1,33i−1は第1、第3及び第4の軸部33a,33f,33iの外周面よりも径方向外側に突出するように形成されている。第1及び第4の軸部33a,33iの軸方向他端側には、前側の一方の端子10の他方の支持部16と他方の端子10の他方の支持部16にそれぞれ回動軸33の軸方向他方から当接する第4及び第5の当接部33a−2,33i−2が設けられ、各当接部33a−2,33i−2は第1及び第4の軸部33a,33iの外周面よりも径方向外側に突出するように形成されている。第1及び第2の挿通部33d,33gには、後側の端子10の各支持部16と前側の各端子10の一方の支持部16にそれぞれ回動軸33の軸方向他方から当接する第6及び第7の当接部33d−1,33g−1が設けられ、各当接部33d−1,33g−1は第2及び第3の軸部33c,33fの外周面よりも径方向外側に突出するように形成されている。また、図11に示すように、第1及び第2の挿通部33d,33gは、第2及び第3の軸部33c,33fに対し、それぞれ回動軸33の軸方向他方に距離Aずつ偏位した位置に設けられている。
【0025】
以上のように構成されたコネクタにおいては、図19に示すように押圧部材30を開放位置R1 (操作部31の操作面が垂直となる回動位置)にした状態で、相手側端子1をハウジング20の挿入口24bから端子10の接触片部12と固定片部11との間に挿入する。その際、図10に示すように接触片部12と固定片部11との前後方向の間隔B1 は相手側端子1の前後方向の寸法B2 よりも小さくなっているため、相手側端子1は端子10の弾性片部13の弾性力に抗して接触片部12を前後方向に変位させながら接触片部12と固定片部11との間に圧入される。これにより、相手側端子1にゴミや塵埃等の異物が付着していた場合でも、接触片部12との摺動により相手側端子1から異物が除去される。また、接触片部12の圧接によって相手側端子1が接触片部12と固定片部11との間に挟持されるので、押圧部材30を閉鎖位置へ回動する前においても、相手側端子1が接触片部12と固定片部11との間に仮保持される。
【0026】
次に、図20に示すように押圧部材30を閉鎖位置R2 (操作部31の操作面が水平となる回動位置)まで前方に回動すると、各端子10の押圧片部14の上端側が押圧部材30の各カム部33b,33e,33hによって押圧され、接触片部12に相手側端子1側への押圧力が付与される。これにより、接触片部12及び固定片部11と相手側端子1との接触圧が高められるとともに、相手側端子1が接触片部12と固定片部11によって強固に保持される。
【0027】
即ち、端子10においては、図22に示すように、押圧部材30から押圧片部14の上端側の押圧点P1 に押圧部材30から押圧力F1 が加わることにより、押圧片部14が固定片部11の反対側に向かって弾性変形するとともに、係止孔11aに係止する係止片12aを支点P2 として接触片部12の下端側が固定片部11側に弾性変形しようとし、これにより接触片部12と相手側端子1との接点P3 に接触圧F2 が加わる。その際、押圧部材30の押圧点P1 から支点P2 までの距離L1 は、接触片部12と相手側端子1との接点P3 から支点P2 までの距離L2 よりも長くなっているので、てこの原理により、相手側端子1への接触圧F2 が押圧部材30からの押圧力F1 よりも大きくなる。これにより、押圧部材30を大きな力で回動操作せずとも高い接触圧F2 が得られる。また、押圧点P1 から支点P2 までの距離L1 が接点P3 から支点P2 までの距離L2 よりも長いことにより、押圧部材30の押圧によって押圧片部14に生ずる応力が小さくなるため、応力緩和による応力の低下が抑制される。その際、押圧片部14は、片持ち梁の曲げモーメントと同様、下端(固定端)側の曲げモーメントが上端(自由端)側よりも大きくなるが、図16に示すように、押圧片部14は上端側と下端側との間が上方から下方に向かって徐々に幅が広くなるように形成され、下端側(相手側端子1との接点P3 側)の幅W1 が上端側(押圧部材30の押圧点P1 側)の幅W1 よりも広くなっているため、押圧片部14の断面二次モーメントが上端側よりも下端側の方が大きくなり、押圧片部14に生ずる曲げ応力が押圧片部14の長さ方向に亘って均一化する。
【0028】
このように、本実施形態によれば、端子10を、押圧部材30の押圧点P1 から支点P2 までの距離L1 が接触片部12と相手側端子1との接点P3 から支点P2 までの距離L2 よりも長くなるように形成したので、てこの原理により、相手側端子1への接触圧F2 を押圧部材30からの押圧力F1 よりも大きくすることができる。これにより、押圧部材30を大きな力で回動操作せずとも高い接触圧F2 を得ることができるので、押圧部材30の操作性を向上させることができる。
【0029】
また、押圧点P1 から支点P2 までの距離L1 が接点P3 から支点P2 までの距離L2 よりも長いことにより、押圧部材30の押圧によって押圧片部14に生ずる応力を小さくすることができるので、応力緩和による応力の低下を抑制することができ、端子10の接触圧を低下させることがないという利点がある。これにより、例えばパワートランジスタやパワートランジスタモジュール等、大電圧、高電流で使用される電子部品と接続する場合など、電子部品の熱で端子13が高温となる場合でも、高温下での応力緩和による応力の低下も抑制することができ、高い接触圧を維持することができる。
【0030】
この場合、端子10を、相手側端子1との接点P3 側の幅W1 が押圧部材30の押圧点P1 側の幅W1 よりも広くなるように形成したので、押圧片部14に生ずる曲げ応力を押圧片部14の長さ方向に亘って均一化することができ、集中応力による応力緩和を抑制する上で極めて効果的である。
【0031】
また、端子10を、接触片部12の接点P3 と固定片部11との間に相手側端子1が挿入されるように形成するとともに、接触片部12の接点P3 と固定片部11との間隔B1 が相手側端子1の対応寸法B1 よりも小さくなるように形成したので、相手側端子1にゴミや塵埃等の異物が付着していた場合でも、接触片部12との摺動により相手側端子1から異物を除去することができ、異物の付着による接触不良の防止に極めて効果的である。この場合、押圧部材30を閉鎖位置へ回動する前においても、相手側端子1を接触片部12と固定片部11との間に仮保持することができるので、接続作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
1…相手側端子、10…端子、12…接触片部、14…押圧片部、20…ハウジング、30…押圧部材、P1 …押圧点、P2 …支点、P3 …接点。
図1
図2
図3
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図5
図6
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