特許第6049199号(P6049199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049199
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   B62D1/06
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-104773(P2013-104773)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-223883(P2014-223883A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097386
【弁理士】
【氏名又は名称】室之園 和人
(72)【発明者】
【氏名】山川 智史
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 浩史
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−207433(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/010702(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04−11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が把持する環状のリムと、
ステアリングシャフトが連結されるボスと、
前記リムとボスを連結するスポークとを備え、
前記リムは、前記リムの回転中心線方向一方側のアッパーリムと他方側のロアリムとから成り、
前記アッパーリムとロアリムは、樹脂により断面円弧状に成形されて互いに振動溶着されているステアリングホイールであって、
前記アッパーリムの内面に、前記アッパーリムの中心に対して放射状に位置する複数の第1連結リブが立設され、
複数の前記第1連結リブと各別に交差し、それぞれが平行となる複数の直線状の第1追加リブが前記アッパーリムの内面に局所的に立設され、
前記ロアリムの内面に、前記ロアリムの中心に対して放射状に位置する複数の第2連結リブが立設され、
複数の前記第2連結リブと各別に交差し、それぞれが平行となる複数の直線状の第2追加リブが前記ロアリムの内面に局所的に立設され、
前記複数の第1連結リブの頂面と前記複数の第2連結リブの頂面とが各別に振動溶着され、
前記複数の第1追加リブの頂面と前記複数の第2追加リブの頂面とが各別に振動溶着されているステアリングホイール。
【請求項2】
運転者が把持する環状のリムと、
ステアリングシャフトが連結されるボスと、
前記リムとボスを連結するスポークとを備え、
前記リムは、前記リムの回転中心線方向一方側のアッパーリムと他方側のロアリムとから成り、
前記アッパーリムとロアリムは、樹脂により断面円弧状に成形されて互いに振動溶着されているステアリングホイールであって、
前記アッパーリムの内面に、前記アッパーリムの中心に対して放射状に位置する複数の第1連結リブが立設され、
所定の1又は2以上の前記第1連結リブと各別に交差する1又は2以上の第1追加リブが前記アッパーリムの内面に局所的に立設され、
前記ロアリムの内面に、前記ロアリムの中心に対して放射状に位置する複数の第2連結リブが立設され、
所定の1又は2以上の前記第2連結リブと各別に交差する1又は2以上の第2追加リブが前記ロアリムの内面に局所的に立設され、
前記第1連結リブと前記第2連結リブの一方に、リブ高さ寸法が高くなる凸部、他方にリブ高さ寸法が低くなる段差が形成され、
前記複数の第1連結リブの頂面と前記複数の第2連結リブの頂面とが各別に振動溶着され、
前記凸部の頂面と前記段差の段差面とが重ね合わされて振動溶着され、
前記1又は2以上の第1追加リブの頂面と前記1又は2以上の第2追加リブの頂面とが各別に振動溶着されているステアリングホイール。
【請求項3】
振動溶着時の前記アッパーリムとロアリムの振動方向、及び、前記第1追加リブの長手方向と前記第2追加リブの長手方向は前記アッパーリムとロアリムの左右方向に設定されている請求項1又は2記載ステアリングホイール。
【請求項4】
前記振動方向の前記第1追加リブの長さと、前記振動方向の前記第2追加リブの長さとは、それぞれ前記リムの太さと略同一に設定されている請求項1〜3のいずれか一つに記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記第1追加リブのリブ厚は前記アッパーリムの肉厚と略同一に設定され、
前記第2追加リブのリブ厚は前記ロアリムの肉厚と略同一に設定されている1〜のいずれか一つに記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
運転者が把持する環状のリムと、
ステアリングシャフトが連結されるボスと、
前記リムとボスを連結するスポークとを備え、
前記リムは、前記リムの回転中心線方向一方側のアッパーリムと他方側のロアリムとから成り、
前記アッパーリムとロアリムは、樹脂により断面円弧状に成形されて互いに振動溶着されているステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のステアリングホイールでは、アッパーリムとロアリムを振動溶着する場合、ロアリムを固定し、このロアリムの端面にアッパーリムの端面を重ね合わせ、アッパーリムをロアリムに対し周方向(円周方向)に振動させてロアリムに振動溶着していた。(特許文献1の明細書の段落(0043)参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−207433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造によれば、振動溶着されたアッパーリムとロアリムから成るリムは中空状に形成され、リム内に、周方向に連続した長い空間(中空部)が形成されるために、リムの剛性・強度が十分ではなかった。
本発明の目的は、剛性・強度を十分向上させることができるステアリングホイールを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
運転者が把持する環状のリムと、
ステアリングシャフトが連結されるボスと、
前記リムとボスを連結するスポークとを備え、
前記リムは、前記リムの回転中心線方向一方側のアッパーリムと他方側のロアリムとから成り、
前記アッパーリムとロアリムは、樹脂により断面円弧状に成形されて互いに振動溶着されているステアリングホイールであって、
前記アッパーリムの内面に、前記アッパーリムの中心に対して放射状に位置する複数の第1連結リブが立設され、
複数の前記第1連結リブと各別に交差し、それぞれが平行となる複数の直線状の第1追加リブが前記アッパーリムの内面に局所的に立設され、
前記ロアリムの内面に、前記ロアリムの中心に対して放射状に位置する複数の第2連結リブが立設され、
複数の前記第2連結リブと各別に交差し、それぞれが平行となる複数の直線状の第2追加リブが前記ロアリムの内面に局所的に立設され、
前記複数の第1連結リブの頂面と前記複数の第2連結リブの頂面とが各別に振動溶着され、
前記複数の第1追加リブの頂面と前記複数の第2追加リブの頂面とが各別に振動溶着されている点にある。(請求項1)。
【0006】
上記の構成によれば、アッパーリムの内面に立設された前記複数の第1連結リブの頂面と、ロアリムの内面に立設された前記複数の第2連結リブの頂面とが各別に振動溶着されている。従って、第1連結リブと第2連結リブでリムを補強することができ、リムの剛性・強度を向上させることができる。
例えば、第1連結リブと第2連結リブが振動方向と直交する方向に沿っている構造では、第1連結リブの頂面と第2連結リブの頂面との振動方向の接触長さが短い。そのために、両頂面同士の摺動中に一方の頂面が他方の頂面からはみ出して両頂面同士の溶着が不良になる虞がある。
これに対して、本発明の構成によれば、前記第1追加リブの頂面と第2追加リブの頂面も振動溶着される。この第1追加リブの頂面と第2追加リブの頂面との振動方向の接触長さは長いから、両頂面同士の摺動中に一方の頂面が他方の頂面からはみ出す不具合を回避でき、両頂面の振動溶着が良好になる。
その結果、第1連結リブの頂面と第2連結リブの頂面との溶着が不良になっても、第1連結リブと第2連結リブの周りの剛性・強度の低下を、互いに振動溶着された第1追加リブと第2追加リブによって抑制することができる。
また、前記1又は2以上の第1追加リブは、所定の1又は2以上の前記第1連結リブに対してだけ設けられ、前記1又は2以上の第2追加リブは、所定の1又は2以上の前記第2連結リブに対してだけ設けられている。従って、第1追加リブと第2追加リブを設けたことによる重量増加を最小限に抑えることができる。つまり、最小限の重量増加でリムの剛性・強度を効果的に向上させることができる。(請求項1)
【0007】
本第2発明の特徴は、
運転者が把持する環状のリムと、
ステアリングシャフトが連結されるボスと、
前記リムとボスを連結するスポークとを備え、
前記リムは、前記リムの回転中心線方向一方側のアッパーリムと他方側のロアリムとから成り、
前記アッパーリムとロアリムは、樹脂により断面円弧状に成形されて互いに振動溶着されているステアリングホイールであって、
前記アッパーリムの内面に、前記アッパーリムの中心に対して放射状に位置する複数の第1連結リブが立設され、
所定の1又は2以上の前記第1連結リブと各別に交差する1又は2以上の第1追加リブが前記アッパーリムの内面に局所的に立設され、
前記ロアリムの内面に、前記ロアリムの中心に対して放射状に位置する複数の第2連結リブが立設され、
所定の1又は2以上の前記第2連結リブと各別に交差する1又は2以上の第2追加リブが前記ロアリムの内面に局所的に立設され、
前記第1連結リブと前記第2連結リブの一方に、リブ高さ寸法が高くなる凸部、他方にリブ高さ寸法が低くなる段差が形成され、
前記複数の第1連結リブの頂面と前記複数の第2連結リブの頂面とが各別に振動溶着され、
前記凸部の頂面と前記段差の段差面とが重ね合わされて振動溶着され、
前記1又は2以上の第1追加リブの頂面と前記1又は2以上の第2追加リブの頂面とが各別に振動溶着されている点にある。(請求項2)
上記の構成によれば、アッパーリムの内面に立設された前記複数の第1連結リブの頂面と、ロアリムの内面に立設された前記複数の第2連結リブの頂面とが各別に振動溶着されている。従って、第1連結リブと第2連結リブでリムを補強することができ、リムの剛性・強度を向上させることができる。
例えば、第1連結リブと第2連結リブが振動方向と直交する方向に沿っている構造では、第1連結リブの頂面と第2連結リブの頂面との振動方向の接触長さが短い。そのために、両頂面同士の摺動中に一方の頂面が他方の頂面からはみ出して両頂面同士の溶着が不良になる虞がある。
これに対して、本発明の構成によれば、前記第1追加リブの頂面と第2追加リブの頂面も振動溶着される。この第1追加リブの頂面と第2追加リブの頂面との振動方向の接触長さは長いから、両頂面同士の摺動中に一方の頂面が他方の頂面からはみ出す不具合を回避でき、両頂面の振動溶着が良好になる。
その結果、第1連結リブの頂面と第2連結リブの頂面との溶着が不良になっても、第1連結リブと第2連結リブの周りの剛性・強度の低下を、互いに振動溶着された第1追加リブと第2追加リブによって抑制することができる。
また、前記1又は2以上の第1追加リブは、所定の1又は2以上の前記第1連結リブに対してだけ設けられ、前記1又は2以上の第2追加リブは、所定の1又は2以上の前記第2連結リブに対してだけ設けられている。従って、第1追加リブと第2追加リブを設けたことによる重量増加を最小限に抑えることができる。つまり、最小限の重量増加でリムの剛性・強度を効果的に向上させることができる。(請求項2)
本発明において、
振動溶着時の前記アッパーリムとロアリムの振動方向、及び、前記第1追加リブの長手方向と前記第2追加リブの長手方向は前記アッパーリムとロアリムの左右方向に設定されていると、次の作用を奏することができる。(請求項
【0008】
前記第1追加リブの頂面と第2追加リブの頂面の振動方向の接触長さをより確実に長くすることができ、両頂面同士の摺動中に一方の頂面が他方の頂面からはみ出す不具合を回避できて、両頂面の振動溶着をより良好にすることができる。(請求項
【0009】
本発明において、
前記振動方向の前記第1追加リブの長さと、前記振動方向の前記第2追加リブの長さとは、それぞれ前記リムの太さと略同一に設定されていると、次の作用を奏することができる。(請求項
【0010】
荷重負荷による曲げ方向の第1追加リブと第2追加リブの剛性・強度を確保することができる。(請求項
【0011】
本発明において、
前記第1追加リブのリブ厚は前記アッパーリムの肉厚と略同一に設定され、
前記第2追加リブのリブ厚は前記ロアリムの肉厚と略同一に設定されていると、次の作用を奏することができる。(請求項
【0012】
アッパーリムの成形時に、第1追加リブに対応する成形型のキャビティ内の樹脂材の流れやすさを、前記成形型の他のキャビティ内の樹脂材の流れやすさと同程度にすることができる。また、ロアリムの成形時に、第2追加リブに対応する成形型のキャビティ内の樹脂材の流れやすさを、前記成形型の他のキャビティ内の樹脂材の流れやすさと同程度にすることができる。従って、成形性を向上させることができる。(請求項
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、
強度を十分向上させることができるステアリングホイールを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】アッパーリムとロアリムの分解状態と組み付け状態を示す斜視図
図2】ステアリングホイールの斜視図
図3】アッパーリムとロアリムが組み付けられた状態を、リムの回転中心線方向で乗員側から見た図
図4】アッパーリムを裏側(内側)から見た図
図5】スポークのフレームに連結されたロアリムを裏側(内側)から見た図
図6】アッパーリムの上端部を裏側(内側)から見た図
図7】ロアリムの上端部を裏側(内側)から見た図
図8】(a)は図6のA−A断面図、(b)は図7のB−B断面図
図9】アッパーリムの上端部の第1連連結リブと第1追加リブを示す斜視図
図10】ロアリムの上端部の第2連連結リブと第2追加リブを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図2に自動車のステアリングホイール1を示してある。このステアリングホイール1は、運転者が把持する円形環状のリム2と、ステアリングシャフトの上端部が連結されるボス3と、リム2とボス3を連結するスポーク4とを備えている。
【0016】
前記スポーク4は、左側スポーク部41と右側スポーク部42と下側スポーク部43とから成る。左側スポーク部41は、リム2の左側の端部2Aとボス3を連結する。また、右側スポーク部42はリム2の右側の端部2Bとボス3を連結する。そして、下側スポーク部43は、リム2の下端部2Dとボス3を連結する。図2の符号2Cはリム2の上端部を示している。
【0017】
左側スポーク部41と右側スポーク部42と下側スポーク部43とボス3は、それぞれ金属製のフレーム41F,42F,43F,3F(図1図3参照)を備えている。そして、左側スポーク部41のフレーム41Fと右側スポーク部42のフレーム42Fと下側スポーク部43のフレーム43Fがボス3のフレーム3Fに連結されている。各フレーム41F,42F,43F,3Fは樹脂製のカバー6(図2参照)で覆われている。ステアリングシャフトの上端部は、ボス3のフレーム3Fに設けられた連結部3B(図1図3参照)に連結される。
【0018】
[リム2の構造]
図1図4図5に示すように、前記リム2は、リム2の回転中心線方向一方側(乗員側)のアッパーリム21と他方側(乗員とは反対側)のロアリム22とから成る。アッパーリム21とロアリム22は、樹脂により断面円弧状に成形されて互いに振動溶着されている。振動溶着時のアッパーリム21とロアリム22の振動方向は、アッパーリム21とロアリム22の左右方向W(径方向に相当)に設定されている。
【0019】
[アッパーリム21の構造]
図4に示すように、アッパーリム本体21Hの内面の底部幅方向中央に、アッパーリム本体21Hの全周にわたる円形環状の第1中間壁25が立設されている。そして、アッパーリム本体21Hの中心O1(アッパーリムの中心に相当)に対して放射状に位置する複数の第1連結リブ23が、アッパーリム本体21Hの内面に立設されている。
【0020】
前記複数の第1連結リブ23はアッパーリム本体21Hの周方向に均等な角度ごとに分散配置されている。図9に示すように、アッパーリム本体21Hの端面21H1(ロアリム本体22H(図5参照)に重ね合わされる端面)と、第1中間壁25の頂面25Tと、前記複数の第1連結リブ23の頂面23Tとは、アッパーリム本体21Hの深さ方向で略同一位置に位置する。
【0021】
さらに、図4図6図9に示すように、前記振動方向(アッパーリム21の左右方向W)に沿い、アッパーリム21の上端部21C側の複数の第1連結リブ23と各別に交差する複数の第1追加リブ27がアッパーリム本体21Hの内面に局所的に立設されている。第1追加リブ27は前記第1中間壁25とも交差している。
【0022】
[ロアリム22の構造]
図5に示すように、ロアリム本体22Hの内面の底部幅方向中央に、ロアリム本体22Hの全周にわたる円形環状の第2中間壁26が立設されている。そして、ロアリム本体22Hの中心02(ロアリムの中心に相当)に対して放射状に位置する複数の第2連結リブ24がロアリム本体22Hの内面に立設されている。
【0023】
前記複数の第2連結リブ24はロアリム本体22Hの周方向に均等な角度ごとに分散配置されている。図10に示すように、ロアリム本体22Hの端面22H1(アッパーリム本体21H(図4参照)に重ね合わされる端面)と、第2中間壁26の頂面26Tと、前記複数の第2連結リブ24の頂面24Tとは、ロアリム本体22Hの深さ方向で略同一位置に位置する(図1図10参照)。
【0024】
さらに、図5図7,図10に示すように、前記振動方向(ロアリム22の左右方向W)に沿い、ロアリム22の上端部22C側の複数の第2連結リブ24と各別に交差する複数の第2追加リブ28がロアリム本体22Hの内面に局所的に立設されている。第2追加リブ28は前記第2中間壁26とも交差している。
【0025】
上記のように、振動溶着時のアッパーリム21とロアリム22の振動方向、及び、第1追加リブ27の長手方向と第2追加リブ28の長手方向はアッパーリム21とロアリム22の左右方向に設定されている。
【0026】
前記振動方向の前記第1追加リブ27の長さと、前記振動方向の前記第2追加リブ28の長さとは、前記リム2の太さと略同一に設定されている。
【0027】
また、図6に示すように、前記第1追加リブ27のリブ厚はアッパーリム21の肉厚と略同一に設定され、図7に示すように、第2追加リブ28のリブ厚はロアリム22の肉厚と略同一に設定されている。アッパーリム21の肉厚とロアリム22の肉厚は同一である。従って、第1追加リブ27のリブ厚と第2追加リブ28のリブ厚は同一である。
【0028】
そして、前記複数の第1連結リブ23の頂面23T(図8(a),図9参照)と複数の第2連結リブ24の頂面24T(図8(b),図10参照)とが各別に振動溶着され、前記複数の第1追加リブ27の頂面27T(図9参照)と前記複数の第2追加リブ28の頂面28T(図10参照)とが各別に振動溶着されている。
【0029】
図8(a),図9に示すように、アッパーリム21の中心側の第1連結リブ23の端部には、第1連結リブ23の高さ寸法が高くなる断面長方形状の凸部23D(ロアリム22側に突出する凸部)が形成されている。
【0030】
また、図8(b),図10に示すように、ロアリム22の中心側の第2連結リブ24の端部には、第2連結リブ24の高さ寸法が低くなる段差24D(アッパーリム21とは反対側に凹む段差部)が形成されている。そして、前記凸部23Dの頂面と段差24Dの段差面とが重ね合わされて振動溶着されている。
【0031】
上記のように、前記凸部23Dの頂面と段差24Dの段差面とが重ね合わされて振動溶着されるのは次の理由による。
すなわち、アッパーリム21とロアリム22とに分割されるリム2の分割点は、リム2の断面において径方向最も外側に位置する。そして、リム2の外周側の分割点と内周側の分割点とは高さ方向の位置が異なっている。また、第1連結リブ23の頂面23Tと第2連結リブ24の頂面24Tは、リム2の分割面に平行に設定される。そして、両頂面23T,24Tには溶着溶け代が設けられる。
そのために、上記のように、第1連結リブ23の端部に凸部23Dが形成されるとともに、第2連結リブ24の端部に段差24Dが形成されて、前記凸部23Dの頂面と段差24Dの段差面とが重ね合わされて振動溶着されている。
【0032】
本発明の構成によれば、前記複数の第1連結リブ23の頂面23Tと前記複数の第2連結リブ24の頂面24Tとが各別に振動溶着されているから、第1連結リブ23と第2連結リブ24でリム2を補強することができ、リム2の剛性・強度を向上させることができる。
【0033】
第1連結リブ23と第2連結リブ24が振動方向と直交する方向に沿っている構造では、第1連結リブ23の頂面23Tと第2連結リブ24の頂面24Tとの振動方向の接触長さが短い。そのために、両頂面23T,24T同士の摺動中に一方の頂面23T(又は24T)が他方の頂面24T(又は23T)からはみ出して両頂面同士23T,24Tの溶着が不良になる虞がある。
これに対して、本発明の構成によれば、前記第1追加リブ27の頂面27Tと第2追加リブ28の頂面28Tも振動溶着される。この第1追加リブ27の頂面27Tと第2追加リブ28の頂面28Tの振動方向の接触長さは長いから、両頂面27T,28T同士の摺動中に一方の頂面27T(又は28T)が他方の頂面28T(又は27T)からはみ出す不具合を回避でき、両頂面27T,28Tの振動溶着が良好になる。
【0034】
その結果、第1連結リブ23の頂面23Tと第2連結リブ24の頂面24Tとの溶着が不良になっても、第1連結リブ23と第2連結リブ24の周りの剛性・強度の低下を、互いに振動溶着された第1追加リブ27と第2追加リブ28によって抑制することができる。
また、前記第1追加リブ27は、アッパーリム21の上端部21C側の複数の第1連結リブ23に対してだけ設けられ、前記第2追加リブ28は、ロアリム22の上端部22C側の第2連結リブ24に対してだけ設けられているから、第1追加リブ27と第2追加リブ28を設けたことによる重量増加を最小限に抑えることができる。つまり、最小限の重量増加でリム2の剛性・強度を効果的に向上させることができる。
【0035】
アッパーリム21の下端部21D(図4参照)に位置する第1連結リブ23や、ロアリム22の下端部22D(図5参照)に位置する第2連結リブ24は、振動方向と直交する方向に沿っていることから、振動溶着の不良が考えられる。しかしながら、アッパーリム21の下端部21Dやロアリム22の下端部22Dは下側スポーク部43に補強されている。従って、前記アッパーリム21の下端部21D側の第1連結リブ23の周りや、前記ロアリム22の下端部22D側の第2連結リブ24の周りのリム2の剛性・強度が低下することはない。
【0036】
前記振動方向の前記第1追加リブ27の長さと、前記振動方向の前記第2追加リブ28の長さとは、それぞれ前記リム2の太さと略同一に設定されているから、荷重負荷による曲げ方向の第1追加リブ27と第2追加リブ28の剛性・強度を確保することができる。
【0037】
そして、前記第1追加リブ27のリブ厚はアッパーリム21の肉厚と略同一に設定されているから、アッパーリム21の成形時に、第1追加リブ27に対応する成形型のキャビティ内の樹脂材の流れやすさを、前記成形型の他のキャビティ内の樹脂材の流れやすさと同程度にすることができる。
【0038】
また、第2追加リブ28のリブ厚はロアリム22の肉厚と略同一に設定されているから、ロアリム22の成形時に、第2追加リブ28に対応する成形型のキャビティ内の樹脂材の流れやすさを、前記成形型の他のキャビティ内の樹脂材の流れやすさと同程度にすることができる。これにより、成形性を向上させることができる。
【0039】
[別実施形態]
(1) 前記第1追加リブ27と、前記第1追加リブ27が交差する第1連結リブ23とはそれぞれ1個であってもよい。
【0040】
(2) 前記第2追加リブ28と、前記第2追加リブ28が交差する第2連結リブ24とはそれぞれ1個であってもよい。
【0041】
(3) 前記振動方向はアッパーリム21とロアリム22の左右方向Wに限られず、左右方向以外の方向であってもよい。
(4) 前記第1追加リブ27と第2追加リブ28は円弧状に形成されていてもよい。
(5) 上記第1の実施形態の構造に換え、あるいは、上記第1の実施形態の構造に加えて、次のように構成してあってもよい。
前記アッパーリム21の下端部21D側の複数の第1連結リブ23と各別に交差する複数の第1追加リブがアッパーリム本体21Hの内面に局所的に立設される。さらに、ロアリム22の下端部22D側の複数の第2連結リブ24と各別に交差する複数の第2追加リブがロアリム本体22Hの内面に局所的に立設される。そして、前記複数の第1追加リブの頂面と前記複数の第2追加リブの頂面とが各別に振動溶着される。
【符号の説明】
【0042】
2 リム
2A リムの左側の端部
2B リムの右側の端部
2D リムの下端部
3 ボス
4 スポーク
21 アッパーリム
21C アッパーリムの上端部
22 ロアリム
22C ロアリムの上端部
23 第1連結リブ
23T 第1連結リブの頂面
24 第2連結リブ
24T 第2連結リブの頂面
27 第1追加リブ
27T 第1追加リブの頂面
28 第2追加リブ
28T 第2追加リブの頂面
41 左側スポーク部
42 右側スポーク部
43 下側スポーク部
O1 アッパーリムの中心(アッパーリム本体の中心)
O2 ロアリムの中心(ロアリム本体の中心)
W 振動方向(アッパーリムとロアリムの左右方向)
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10