(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記架台に向けて前記天板の移動が開始される際に、前記天板を迎えるべく前記天板支持部を前記架台の前記内部近傍にまで移動させるよう前記多自由度天板支持機構の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
前記制御装置は、前記天板支持部を前記架台の前記内部近傍にまで移動させた後、前記多自由度天板支持機構を前記天板が前記内部近傍へ移動してくるまでその位置にて待機させることで、前記天板が前記内部に侵入し撮影が開始される時に前記多自由度天板支持機構が前記天板を支持するよう制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断装置。
前記多自由度天板支持機構は、前記連結部によって前記架台の幅方向に移動が可能とされることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の医用画像診断装置。
前記制御装置は、前記寝台装置に対して前記架台に向けて前記天板を移動させるよう指示し、その後予め定められる位置に到達した際には前記寝台装置に替えて前記多自由度天板支持機構が前記天板を移動させるよう指示することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の医用画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態における医用画像診断装置1の全体構成を示す全体図である。医用画像診断装置1は、被検体Hが横臥する天板2aを備える寝台装置2と、架台3と、医用画像診断装置1の制御を行う制御装置4とから構成される。また、本発明の実施の形態における医用画像診断装置1はさらに、架台3を挟み寝台装置2と対向する位置に天板2aの移動に合わせて当該天板2aを支持する多自由度天板支持機構5を備える。
【0013】
なお、本発明の実施の形態においては、制御装置4は、例えば
図1に示す操作卓として設けられていることを前提として、医用画像診断装置1の制御は当該制御装置4からの信号に基づいて行われることとして説明を行う。但し、制御装置の機能を架台3に設け、この架台3の制御装置が医用画像診断装置1全体の制御を行うこととしても良い。
【0014】
また、医用画像診断装置1としては、例えば、X線CT装置や磁気共鳴診断装置(MRI)、ポジトロン放出断層撮影装置(PET)等、寝台装置2の天板2aが装置(架台)内部に侵入しその状態で天板2aに横臥する被検体Hの撮影が行われる装置であればいずれの装置であっても良い。なお、以下においては、適宜X線CT装置を例に挙げて説明する。
【0015】
寝台装置2は、天板2aと、天板2aを支える寝台2bと、天板2a及び寝台2bとを支える基台2cとから構成される。天板2aには、医用画像診断装置1を利用して被検体Hの内部情報を取得する際、すなわち撮影する際には被検体Hがその上に直接接する(横臥する)。なお、天板2aの短軸方向の断面形状は、水平形状であっても横臥する被検体H側に向けて湾曲した形状であっても良い。さらに横臥した被検体Hを架台3内にて撮影するべく、
図1に示す矢印Aに示す両方向(水平方向)に進退可能とされている。
【0016】
寝台2bは、天板2aを支持する。寝台2bの内部には、天板2aが矢印Aの方向に移動する際の駆動装置や天板2aの移動に伴う天板2aの傾きを計測するエンコーダ等の各種機器が設けられている。これら各種機器で計測された結果は、制御装置4へ送信される。なお、天板2aが矢印Aの方向に移動する際、特に天板2aが架台3に向けて移動する場合には、寝台2bは移動しないことから、寝台2bによる天板2aの支持位置は、移動開始時には被検体Hの全体、移動に伴って胸部、胴部及び、脚部、胴部及び脚部、脚部というように移動する。
【0017】
基台2cは、天板2aと寝台2bとを支持する。また基台2cは天地方向、すなわち
図1に示す矢印Bの方向に移動可能とされており、被検体H及び天板2aの架台3内への進入の高さを調節することができる。また基台2cは、寝台2b同様移動することはない。
【0018】
架台3は、例えばX線CT装置の場合、X線を被検体Hに照射する。そのため、被検体H(天板2a)の進入及び退出を可能とするため、架台3の中央にトンネル状の開口3aが設けられる。図示しないX線の照射部(例えば、X線管)と受光部(例えば、X線検出器)は架台3内に収納されており、被検体Hの周囲を回転することで撮影を行う。架台3での撮影の進行に伴って被検体Hを載せる天板2aも矢印Aの方向に必要量移動する。なお、架台3内において被検体HにX線を照射する位置(撮影位置)を例えば、「X線パス」といい、
図1において一点鎖線にて示している。また、架台3は、撮影に応じて寝台装置2側、或いは、後述する多自由度天板支持機構5側に向けて傾けること(チルト)が可能とされている。
【0019】
制御装置4は、本発明の実施の形態においては
図1に示す通り操作卓として構成されている。操作卓(制御装置4)は、
図1では寝台装置2や架台3と横並びに示されているが、寝台装置2や架台3が設置される検査室とは別室に設けられることとされても良い。被検体Hの撮影を行う際には、例えば、検査技師によって操作卓(制御装置4)が操作され生成された制御信号に基づいて医用画像診断装置1(寝台装置2、架台3及び後述する多自由度天板支持機構5)が駆動制御される。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態における医用画像診断装置1の制御装置4の内部構成を示すブロック図である。
【0021】
制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)4aと、ROM(Read Only Memory)4bと、RAM(Random Access Memory)4c及び入出力インターフェイス4dがバス4eを介して接続されている。入出力インターフェイス4dには、入力部4fと、表示部4gと、通信制御部4hと、記憶部4iと、リムーバブルディスク4jと、駆動部制御部4kとが接続されている。例えば、医用画像診断装置1の駆動部4lである寝台装置2、架台3、多自由度天板支持機構5は、駆動部制御部4kによって制御される。
【0022】
CPU4aは、入力部4fからの入力信号に基づいてROM4bから医用画像診断装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部4iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU4aは、入力部4fや入出力インターフェイス4dを介して、
図1において図示していないその他の外部機器からの入力信
号に基づいて各種装置の制御を行う。
【0023】
さらにCPU4aは、RAM4cや記憶部4i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM4cにロードするとともに、RAM4cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、各部の駆動制御処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0024】
入力部4fは、医用画像診断装置1の操作者(例えば、医師や検査技師)が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス4eを介してCPU4aに送信される。
【0025】
表示部4gは、
図1に示すように、例えば液晶ディスプレイである。この表示部4gは、CPU4aからバス4eを介して出力信号を受信し、例えば撮影の際や画像処理を行う際の諸条件の設定を行うにあたって必要な画像等、或いはCPU4aの処理結果等を表示する。
【0026】
通信制御部4hは、LANカードやモデム等の手段であり、医用画像診断装置1をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御部4hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス4d及びバス4eを介してCPU4aに送受信される。
【0027】
記憶部4iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU4aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
【0028】
リムーバブルディスク4jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス4d及びバス4eを介してCPU4aに送受信される。
【0029】
図1に示す多自由度天板支持機構5は、架台3内に侵入する天板2aが、撮影対象である被検体Hの重みによって撓むことがないように天板2aを支持するための機構である。なお、
図1に多自由度天板支持機構5を示しているが、あくまでも例示に過ぎず、上述した多自由度天板支持機構5の働きを行うことが可能であればどのような機構を採用しても良い。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態における多自由度天板支持機構5の全体構成を示す斜視図である。
【0031】
多自由度天板支持機構5は、天板2aに直接接触し支持する天板支持部5aと、天板支持部5aをその一端において移動自在に支持する第1のアーム5bと、記第1のアーム5bの他端であって第1のアーム5bを回転自在に支持する第1の連結部5cと、第1の連結部5cにその一端が連結されることで第1のアーム5bと連結される第2のアーム5dと、第2のアーム5dの他端であって第2のアーム5dを回転自在に支持する第2の連結部5eと、第2の連結部5eにその一端が連結されることで第2のアーム5dと連結される第3のアーム5fと、第3のアーム5fの他端であって第3のアーム5fを移動自在に支持する第3の連結部5gと、多自由度天板支持機構5を設置面に固定する設置部5hとを備える。
【0032】
天板支持部5aは、後述する
図8ないし
図11に示すように、天板2aに直接接触し天板2aを支持する。天板支持部5aの構成は、例えば、移動中接触する天板2aがその移動を阻害されないように天板2aの移動方向に回転自在な構成とされている。また或いは
、天板2aの長軸方向端部を把持することが可能なように、或いは、例えば、天板2aの背面(被検体Hが接しない面)に設けられる突起に嵌合できるように構成されていても良い。
【0033】
第1のアーム5bは、その一端を天板支持部5aとし他端を第1の連結部5cとする。第1の連結部5cが回転自在に移動することによって、第1のアーム5bも第1の連結部5cを回転中心として移動する。第1のアーム5bが移動することによって、一端に設けられている天板支持部5aも移動する。
【0034】
第1の連結部5cは、
図1には図示していないが、その内部に第1のアーム5bを駆動するためのモータ等の動力源が設置されており、回転可能とされる。また、第1のアーム5bの傾きを計測するエンコーダも設置されている。動力源、エンコーダはいずれも制御装置4と接続され、制御装置4からの指示に従い第1のアーム5bを駆動するとともに、第1のアーム5bの動きに関する情報を制御装置4へと送信する。なお、第1の連結部5Cの構成は、第2の連結部5eの構成と略同じであるため、第2の連結部5eを説明する際にまとめて説明する。
【0035】
第2のアーム5dは、その一端が第1の連結部5cに連結されている。一方他端は、第2の連結部5eに連結され、第2の連結部5eの動きによって第2のアーム5d、及びその一端以降に連結されている第1の連結部5c、第1のアーム5b、天板支持部5aの動きが規制される。
【0036】
第2の連結部5eは、
図1には図示していないが、その内部に第2のアーム5dを駆動するためのモータ等の動力源が設置されており、回転可能とされる。また、第2のアーム5dの傾きを計測するエンコーダも設置されている。動力源、エンコーダはいずれも制御装置4と接続され、制御装置4からの指示に従い第2のアーム5dを駆動するとともに、第2のアーム5dの動きに関する情報を制御装置4へと送信する。
【0037】
図4は、第3の連結部5gを含む多自由度天板支持機構5を
図1に示すZ軸方向から示す説明図である。また、
図5は、
図4のA−A線断面図である。このA−A線断面図は、第2の連結部5eを切断して示すものである。
図5の上方において、切断されてその結合部のみが示されるが第2のアーム5dであり、中央部に上述した動力源であるモータ51が設けられている。すなわち、
図5において、第2のアーム5dは、逆凸状の形状とされている。この第2のアーム5dの凸部にモータ51が収納されるようになっているが、このモータ51の周囲にてボールベアリングBを介して第2のアーム5dと連結されているのが第3のアーム5fである。第2のアーム5dと第3のアーム5fとはこのように連結されているので、モータ51の駆動が後述する駆動伝達装置を介して第2のアーム5dに伝達され、第2のアーム5dは
図3に示す矢印の方向に移動することができる。
【0038】
モータ51の中央には、Z軸方向に回転軸52が貫通している。また、この回転軸52の一端にはエンコーダ53が接続されており、回転軸52の回転数から第2のアーム5dの傾きを計測することができる。
【0039】
回転軸52の他端には、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)といった駆動伝達装置54が取り付けられている。当該駆動伝達装置54は、
図5において回転軸52を軸に上下対称に示されている。
【0040】
本発明の実施の形態における駆動伝達装置54は、回転軸52に直接連結されるウェーブ・ジェネレータ54aと、フレクスプライン54bと、サーキュラ・スプライン54cとから構成される。ウェーブ・ジェネレータ54aは楕円状のカムの外周にボールベアリ
ングを配した構成を採用している。このボールベアリングが接触する内輪はカムなので変形しないが、外輪はカムの動きに伴うボールベアリングに動きによって弾性変形する。従って、ウェーブ・ジェネレータ54aが回転することで外輪は楕円状に撓むことになる。
【0041】
そこでモータ51が回転して回転軸52が矢印52aのいずれかの方向に回転すると、回転軸52と連結されているウェーブ・ジェネレータ54aもその回転方向に回転する。ウェーブ・ジェネレータ54aの回転によってフレクスプライン54bは楕円状に撓み、フレクスプライン54bの歯54baが、出力リングであるサーキュラ・スプライン54cの歯54caと噛み合う。
【0042】
ここでサーキュラ・スプライン54cは第3のアーム5fに固定されているので、結果として、第2のアーム5bが回転することになる。なお、ここでは駆動伝達装置54として、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)を例に挙げて説明したが、どのような駆動伝達装置が使用されても良い。
【0043】
結果として、モータ51が駆動することによって回転軸52が矢印52aのいずれかの方向に回転する。そして、駆動伝達装置54によってモータ51の駆動力を得た第2のアーム5dは指示された方向へと回転することができる。
【0044】
第3のアーム5fは、その一端が第2の連結部5eに連結されている。一方他端は、第3の連結部5gに連結されている。この第3の連結部5gの動きによって、第3のアーム5fをはじめとする多自由度天板支持機構5全体の動きが規制される。
【0045】
第3の連結部5gは、
図1には図示していないが、その内部に第3のアーム5fを駆動するためのモータ等の動力源が設置されており、移動可能とされる。動力源は制御装置4と接続され、制御装置4からの指示に従い第3のアーム5fを駆動するとともに、第3のアーム5fの動きに関する情報を制御装置4へと送信する。
【0046】
図6は、
図4のB−B線断面図である。第3の連結部5gは、設置部5h上に設置されたガイドレール5haを掴みZ軸方向に移動可能とされるLMガイド5gaと、第3のアーム5f、第2の連結部5e、第2のアーム5d、第1の連結部5c、第1のアーム5b、及び天板支持部5aをZ軸方向に移動可能にするモータ5gbとから構成される。具体的には、モータ5gbがボールねじ5gcをいずれかの方向へと回転させることによって、連結台5gdに連結固定されている第3連結部5gから天板支持部5aまでを移動させる。
【0047】
なお、第1のアーム5b、第2のアーム5d、及び第3のアーム5fの移動量は第1の連結部5c、第2の連結部5e、及び第3の連結部5gの移動量によって決まるが、実際の各アームの移動量(各連結部の移動量)は制御装置4からの指示に基づき決定される。
【0048】
また、本発明の実施の形態における多自由度天板支持機構5は、上述した第3の連結部5gの構成によって、Z方向に移動が可能とされている。これは被検体Hの撮影によっては、被検体Hの体軸から架台3の幅方向(Z方向)に天板2a(被検体H)を移動させることもあり得るからである。多自由度天板支持機構5がこのように移動可能とされていることによって、撮影の方法を問わず常に天板2aを支持することが可能となる。
【0049】
設置部5hは、多自由度天板支持機構5を設置面に固定する。ここで「設置面」とは、多自由度天板支持機構5が設置される面を示しており、医用画像診断装置1を構成する他の構成要素の設置面と同一面であっても良い。
【0050】
なお設置部5hは、多自由度天板支持機構5を設置面に固定するものであり、設置部5
h自体の移動が可能であることを否定するものではない、としても良い。すなわち、天板2aの移動に合わせて設置部5hが設置面を移動することによって多自由度天板支持機構5自体を移動させることが可能とされていても良い。
【0051】
次に、天板2aが架台3の開口3aに対して進入、退出をする際の、天板2aの移動に伴う多自由度天板支持機構5の動きについて説明する。
図7は、天板2aの移動に伴う多自由度天板支持機構5の動きの流れを示すフローチャートである。また、
図8ないし
図11は、天板2aの移動に合わせた多自由度天板支持機構5の動きの一例を示す説明図である。
【0052】
まず被検体Hが寝台装置2の天板2aに横臥する(
図1参照)。医用画像診断装置1を利用して被検体Hを撮影するためには、天板2aを架台3の内部(開口)3aに挿入(進入)させる必要がある。そこで、制御装置4は、架台3に向けて天板2aを移動させる(ST1)。
【0053】
一方、多自由度天板支持機構5は、天板2aが移動を開始するのに合わせて天板支持部5aを天板2aが進入する開口3aの近傍まで移動させ、その位置で天板2aが進入してくるのを待機する(ST2)。本発明の実施の形態においては、天板支持部5aを、例えばX線パスの付近まで移動させて待機させている。なお天板支持部5aをどの位置で待機させるかについては、任意に設定可能である。
【0054】
但し、本発明の目的の1つは撮影時に被検体Hが横臥した天板2aが被検体Hの重みによってだれる(撓む)ことを防止することにあるため、できるだけ早い段階から天板2aを支持することが好ましい。どの位置にて天板支持部5aが天板2aを待ち受けるかについては、例えば多自由度天板支持機構5を構成する各アームの長さ等を考慮に入れて決定されても良い。
【0055】
天板支持部5aが天板2aを待ち受けている間も天板2aは架台3の開口3aに進入してくる。天板支持部5aの待機位置まで天板2aが進入すると、天板支持部5aは天板2aに接触し支持する(ST3)。この状態を示すのが
図8の説明図である。なお、
図8以下の説明図においては、理解の都合上、架台3を天地方向に切断した場合の端面を簡略化して示すこととしている。また、被検体Hについてはその図示を省略している。
【0056】
図8に示すように、天板2aは矢印Cの方向に移動している。一方、多自由度天板支持機構5は、本発明の実施の形態においては上述したように、天板支持部5aをX線パス近傍にまで移動させて天板2aの移動を待ち受けている。そのため、第1のアーム5b、第2のアーム5dは概ね伸びた状態となっている。また、天板支持部5aが天板2aに接触し、支持することで天板2aは、寝台装置2と天板支持部5a(多自由度天板支持機構5)とによって支持されていることになる。
【0057】
架台3における撮影が進行するに従い、天板2aも徐々に開口3aの奥深くまで進入する(矢印Cの方向に移動する)。それに伴い、天板支持部5aも天板2aの移動中支持動作を継続する(ST4)。制御装置4には、寝台2bに設けられているエンコーダを介して天板2aの傾きに関する情報が入力される。また、天板2aの進行距離についても、例えば寝台装置2の駆動モ−タの回転数から算出することができる。これら天板2aの位置に関する情報は逐次制御装置4に集められる。これら制御装置4に集められた情報は、天板2aが傾いたり撓んだりせず撮影開始時の傾きを維持することができるように多自由度天板支持機構5の動きを制御する際に使用される。
【0058】
図9は
図8に示す状態よりもさらに天板2aが矢印Cの方向に進んだ状態を示している
。天板2aの移動に合わせて天板支持部5aもその天板2aとの設置位置をずらすことなく矢印Cの方向に移動している。
【0059】
天板2aが撮影に伴って架台3の多自由度天板支持機構5が設置されている側の開口3aから出て、寝台装置2から最も送り出された位置(このような位置を「インリミット位置」という)まで到達した場合は、天板2aは停止する。これに伴って、多自由度天板支持機構5も天板2aの停止位置で移動を停止する(ST5)。
【0060】
図10はこの状態を示している。
図10では、多自由度天板支持機構5は、X線パス付近にて天板2aを待ち受けている状態(
図8参照)とは対照的に架台3から離間する向きに第1のアーム5b、第2のアーム5dが概ね伸びた状態となっている。これは、天板2aの移動に追随して天板2aが停止するまで天板支持部5aが移動した結果である。
【0061】
以上説明した通り、移動する天板を寝台装置だけで支持するのではなく、多自由度天板支持機構をも利用して支持することで、天板の撓みを可能な限りなくし撮影画像の画質の劣化を防ぐことができる。また、このような機構を採用することによって天板の歪みをなくすために天板自体の厚みを厚くする必要がないことから、天板の厚みを薄くでき医用画像診断装置のコストの低減にも資する。また、多自由度天板支持機構の動きは上述したように天板のあらゆる動きに追随することができることから、天板の位置を気にすることなくいずれの位置においても天板を支持することができる。
【0062】
従って、天板の厚みを増すことなく被検体の撮影範囲全域にわたる天板の撓みを抑制して高画質の画像を取得しつつ、構成機器の動きに合わせて移動可能な多自由度天板支持機構を備える医用画像診断装置を提供することができる。
【0063】
特に医用画像診断装置がCT−PETである場合、天板の撓みをなくすべくこれまでは架台、或いは寝台装置自体が設置面に対して水平に移動していたが、上述した多自由度天板支持機構を採用することによって、架台等の移動を行わずとも済み、医用画像診断装置(CT−PET)の設置面積を最小限(装置の投影面積)に抑えることが可能となる。
【0064】
なお、天板がインリミットの位置まで移動した場合の多自由度天板支持機構5の動きについては、上述した動きの他、以下に述べる動きを行うように制御することも可能である。すなわち、多自由度天板支持機構5が天板2aのインリミット位置まで追随するのではなく、例えば、
図11に示すように多自由度天板支持機構5はある所定の位置から動かず、天板支持部5aの上を天板2aが移動していくように制御されても良い。この場合、天板支持部5aの構造を天板支持部5aの上を天板2aが滑るような構造としても良く、或いは、天板2aの移動方向に回転可能な構造としても良い。
【0065】
この場合、上述した効果を奏するのはもちろんのこと、天板支持部5aは寝台装置2により近い位置で天板2aを支持することになるため、天板2aの一方を支持する寝台装置2と天板支持部5aとの距離が短くなり、天板2aの撓みをより効果的に防止することが可能となる。
【0066】
また、これまでは、天板2aが寝台2によって移動させられることを前提に説明をしてきたが、例えば、寝台2自体による天板2aの移動は、例えば、多自由度天板支持機構5にその一端が支持されるまでとし、その後の移動は、多自由度天板支持機構5が天板2aを引っ張るように移動させるように制御装置から指示することも可能である。この場合は、天板支持部5aの形状として、上述したように、天板2aを把持、或いは天板2aと嵌合可能な形状を採用するとより確実に天板2aの移動を撓みなく行うことが可能となる。
【0067】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。