特許第6049250号(P6049250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049250
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】光酸発生剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 381/12 20060101AFI20161212BHJP
   C07C 309/06 20060101ALI20161212BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20161212BHJP
   C08F 220/30 20060101ALI20161212BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20161212BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20161212BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   C07C381/12
   C07C309/06
   C09K3/00 K
   C08F220/30
   G03F7/004 503A
   G03F7/039 601
   H01L21/30 502R
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2011-255772(P2011-255772)
(22)【出願日】2011年11月24日
(65)【公開番号】特開2012-136511(P2012-136511A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】61/418,196
(32)【優先日】2010年11月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ダブリュー.サッカレー
(72)【発明者】
【氏名】スザンヌ・エム.コーリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エフ.キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.ラボーメ
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンディ・オンゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ビップル・ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】アーマド・イー.マッドクル
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−301609(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0013049(US,A1)
【文献】 特開2000−241965(JP,A)
【文献】 特開2007−057669(JP,A)
【文献】 特表2004−521372(JP,A)
【文献】 特開2002−268224(JP,A)
【文献】 特開2003−149812(JP,A)
【文献】 特開2006−251551(JP,A)
【文献】 特開2011−219456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 381/12
C07C 309/06
C08F 220/30
C09K 3/00
G03F 7/004
G03F 7/039
H01L 21/027
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物:
【化1】
式(I)中、Gは:
【化2】
(式中、XはIもしくはSであり、XがIの場合にはR’は孤立電子対であり、またはXがSの場合にはR’はC6−30アリール、しくはC7−20アルキル−アリール基である)であり;並びに
式(I)におけるZは、
【化3】
である。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物と、酸感受性官能基を含むポリマーとを含むフォトレジスト。
【請求項3】
ポリマーが、酸感受性官能基を含む第1の重合単位と、塩基可溶性官能基を含む第2の重合単位とを含む請求項2に記載のフォトレジスト。
【請求項4】
第1の重合単位が式:
【化4】
(式中、RはH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである)
を有する化合物、または前記化合物の少なくとも1種を含む組み合わせから形成され、並びに
第2の重合単位が式:
【化5】
(式中、RはH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである)
の塩基可溶性モノマー、または前記モノマーの少なくとも1種を含む組み合わせから形成される請求項3に記載のフォトレジスト。
【請求項5】
(a)基体表面上のパターン形成される1以上の層を有する基体、および
(b)パターン形成される前記1以上の層上の、請求項2に記載のフォトレジストの層
を含む、コーティングされた基体。
【請求項6】
(a)請求項2に記載のフォトレジストの層を基体の表面上に適用し、
(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様に露光し、および
(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供する
ことを含む、電子デバイスを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2010年11月30日に出願された米国仮出願第61/418,196号のノンプロビジョナルであり、その仮出願の内容はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
紫外領域のスペクトル(すなわち、<300nm)において放射線に露光されたときに分解して酸を生じさせる化合物(本明細書において「光酸発生剤」と称される)は、マイクロエレクトロニクス用途のための化学増幅型フォトレジストにおいてポリマーの脱保護もしくは架橋を「化学的に増幅する」ためのベースである。(高活性化エネルギーフォトレジストからの)イソブチレンおよび(低活性化エネルギーフォトレジストからの)アセトアルデヒドのような低分子量の有機分子を主として含むだけでなく、光酸発生剤からの分解生成物も含むこのフォトレジストの分解生成物が、例えば、248nmおよび193nmの波長で操作する像形成ツール(ステッパ)に使用されるフォトレジストにおいて観察されてきた。この材料のガス放出はこの光学素子(optics)を覆い、腐蝕する場合がある。
分解生成物のガス放出の影響を制限するために、例えば、光学素子のクリーニングおよび/または光学素子とフォトレジスト塗膜との間の犠牲的バリアもしくはフィルタの導入のような手段が行われてきた。しかし、45nm未満のますます小さくなるライン幅において増大した解像度に向かう産業界のトレンド、および改良された反射光学素子を有し、有意により短い波長(例えば、13.5nmでの極端紫外線(EUV)領域において)で操作する新たなツールの開発のせいで、フォトレジストにおける組成物水準でのガス放出の制御における新たな興味が存在する。
【0003】
フォトレジストは、EUV露光中のフォトレジストのガス放出に対するその貢献について検討されてきた。ポレンター(Pollentier)(「EUVLプロセスを使用するデバイス統合についてのEUVレジストガス放出/汚染の検討(Study of EUV Resist Outgassing/Contamination for Device Integration using EUVL Processes)」Pollentier,I.,J.Photopolym.Sci.Technol.,2010,23(5)巻、605〜612ページ)は、サンプルが密閉チャンバー内で曝露される残留ガス分析(RGA)によってガス放出についていくつかのフォトレジストを検査し、そして曝露後にその雰囲気がガスクロマトグラフィ/質量分析によって分析された後で、試験されたフォトレジストの主たる分解生成物のいくつかは、光酸発生剤(例えば、検討された光酸発生剤はトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートであった)の分解生成物のせいであるベンゼンおよびジフェニルスルフィドのような低分子量化合物を含んでいることを見いだした。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「EUVLプロセスを使用するデバイス統合についてのEUVレジストガス放出/汚染の検討(Study of EUV Resist Outgassing/Contamination for Device Integration using EUVL Processes)」Pollentier,I.,J.Photopolym.Sci.Technol.,2010,23(5)巻、605〜612ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、硫黄を含む揮発性分解生成物は、この材料が光学素子から効果的に除去されない場合があるという懸念があり、トリフェニルスルホニウムカチオンをベースにしたイオン性光酸発生剤は望ましく高い感度を有し、かつフォトレジストにおいて速いフォトスピード(<10mJ/cm)を提供するので、このことはさらに問題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
先行技術の上記および他の欠点は、ある実施形態においては、式(I)の光酸発生剤化合物によって克服されうる:
【化1】
式中、Gは式(II)を有し:
【化2】
式(II)において、XはSもしくはIであり、各Rは等しく(commonly)Xに結合されており、かつ独立してC1−30アルキル基;多環式もしくは単環式C3−30シクロアルキル基;多環式もしくは単環式C6−30アリール基;または前述の少なくとも1種を含む組み合わせである;Gは263.4g/molより大きい分子量を有する;またはGは263.4g/mol未満の分子量を有しかつ1以上のR基は隣のR基にさらに結合されている;aは2もしくは3であり、XがIの場合にはaは2であり、もしくはXがSの場合にはaは3である;並びに式(I)におけるZはスルホン酸、スルホンイミドもしくはスルホンアミドのアニオンを含む。
【0007】
別の実施形態においては、フォトレジストは前記光酸発生剤化合物と、酸感受性官能基を含むポリマーとを含む。
別の実施形態においては、コーティングされた基体は(a)基体表面上のパターン形成される1以上の層を有する基体、および(b)パターン形成される前記1以上の層上のフォトレジスト組成物の層を含む。
別の実施形態においては、電子デバイスを形成する方法は(a)請求項9のフォトレジスト組成物の層を基体上に適用し、(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様に(patternwise)露光し、および(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において開示されるのは、活性化放射線に露光される場合に、特に、改良されたリソグラフィのための放射線、例えば、eビーム、x線および13.5nmのは長を有する極端紫外線(EUV)放射線に露光されるフォトレジスト組成物に使用される場合に、低いガス放出特性を有する新規の光酸発生剤(本明細書においてはPAG)である。光酸発生剤はこれら化学線に対して高い感度を有するオニウムカチオンの塩であるが、これらPAGの分解生成物は、フォトレジスト組成物、露光および処理の類似の条件下で、例えば、ジフェニルヨードニウムカチオンおよびトリフェニルスルホニウムカチオンを有する従来のPAGと比べて低減される。
【0009】
本明細書において使用される場合、「オニウム」とは、ヨードニウムもしくはスルホニウムカチオンをいう。また、本明細書において使用される場合、「置換」とはハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ、アミノ、チオール、カルボキシル、カルボキシラート、アミド、ニトリル、チオール、スルフィド、ジスルフィド、ニトロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、C6−10アリールオキシ、C7−10アルキルアリール、C7−10アルキルアリールオキシ、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせのような置換基を含むことを意味する。本明細書において式に関して開示された基もしくは構造は、他に特定されない限りは、または得られた構造の所望の特性にその置換が有意に悪影響を及ぼさない限りは、そのように置換されることができる。また、本明細書において使用される場合、「(メタ)アクリル」とはアクリラートもしくはメタクリラートを意味し、他に特定されない限りはこれらのいずれかに限定されない。
【0010】
本明細書において開示されたPAGは、カチオンがアリール置換オニウム(すなわち、二置換ヨードニウムもしくは三置換スルホニウム)カチオンであって、そのアリール置換オニウムカチオンの分子量がトリフェニルスルホニウムカチオンの分子量よりも大きいか、またはその構造が、置換基であるアリール基が、例えばオニウムを含む複素環構造において、もしくは縮合芳香族環システムの部分として、1以上の隣のアリール基にさらに結合されている;カチオン−アニオン構造に基づく。
【0011】
よって、本明細書において開示されるPAGは、式(I)を有する化合物を含む:
【化3】
式中、Gはアリール置換オニウムカチオンであり、Zは好適な強酸(例えば、スルホン酸もしくはスルホンイミドのアニオン)の共役塩基に基づくアニオンである。
【0012】
Gは式(II)を有する:
【化4】
式(II)において、Xはオニウムヘテロ原子であり、好ましくはSもしくはIである。各Rは等しく(commonly)Xに結合されており、かつ独立してC1−30アルキル基;多環式もしくは単環式C3−30シクロアルキル基;多環式もしくは単環式C6−30アリール基;または前述の少なくとも1種を含む組み合わせである。
【0013】
カチオンG(式(II)で表される)は263.4g/molより大きい(すなわち、本明細書においてTPSカチオンとも称されるトリフェニルスルホニウムカチオン(Cの分子量より大きい)分子量を有することができる。GがTPSカチオンよりも大きな分子量を有する場合には、このアリール置換基はTPSよりもさらに構造的に大きく、よってGの分解生成物は対応するTPSの分解生成物よりも分子量が大きいと理解される。
【0014】
あるいは、式(II)におけるGは263.4g/mol未満の分子量を有することができ、ただし、1以上のR基は隣のR基にさらに結合されている。例えば、オニウムへテロ原子(IもしくはS)中心に等しく結合されている隣のフェニル基は、そのフェニル基とオニウムへテロ原子との間の結合点に対して互いにオルトに(もしくはメタ、もしくはパラ、または1つのアリールがフェニルであり隣のアリールが異なっている、例えば、ナフチル、アントラシルなどである場合に独立して異なる結合点を介して)、単結合もしくはC1−20橋かけ基、例えば、メチレンもしくは置換メチレン、ヘテロ原子、例えば、O、S、Nなど、またはより長い橋、例えば、エチレン、トリメチレン、o−もしくはm−フェニレンなどによって、さらに結合されることができる。この例におけるこの方法においては、オルト−二置換ビフェニル縮合5員環が得られ、この場合ビフェニルが等しくオニウムへテロ原子に結合する。
【0015】
また、式(II)においては、aは2もしくは3であり、XはIの場合にはaは2であり、もしくはXがSの場合にはaは2もしくは3である。上述の場合、R基の数は独立したR基を言及することができ、または2つのR基が互いに結合しかつXに結合されている場合のXに結合したR基の1/2、または3つのR基が互いに結合しかつXに結合されている場合のXに結合した基の1/3を言及することができることがさらに認識される。
【0016】
このましいPAG化合物には、Gが下記式(III)、(IV)もしくは(V)のものが挙げられる:
【化5】
式中、XはIもしくはSであり、各R、R、RおよびRは独立して隣のフェニル基への単結合、ヒドロキシ、ニトリル、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10フルオロアルキル、C1−10アルコキシ、C1−10フルオロアルコキシ、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C6−20アリールオキシ、C6−20フルオロアリールオキシ、C1−20アルキレン、またはC1−20アルコキシレン基であり;pは2もしくは3であり、XがIの場合にはpは2であり、XがSの場合にはpは2もしくは3であり;各qおよびrは独立して0〜5の整数であり、並びにsおよびtは独立して0〜4の整数である。式(III)においてXがSかつpが2の場合には少なくとも1つのRは、アリール基をXに結合させるC1−20アルキレンもしくはC1−20アルコキシレン基であることがさらに認識される。式(V)においては、ArおよびArはさらに独立して、ナフチル、ビフェニル、アントラセニル、フェナントレニル、ビス−アリールエーテルおよびこれら構造を含む組み合わせに基づく構造を含むC10−30縮合もしくは単結合多環式アリール基(例えば、フェニル−ナフチル、ビフェニル−ナフチルなど)であり;並びに、Rは孤立電子対(XがIの場合)、またはC6−20アリール基(XがSの場合)であり、かつ置換基、例えば、一般的に上述されるものをさらに含むことができる。
【0017】
式(I)における典型的なPAGカチオンGには、以下の構造が挙げられる:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
式中、XはSもしくはIであり、ただし、XがIの場合にはR’は孤立電子対であり、RはC1−10アルキル、C1−10フルオロアルキル、C1−10アルコキシ、もしくはC1−10フルオロアルコキシ基であり、XはSの場合にはR’はC6−30アリール、C6−30アリーレン、もしくはC7−20アルキル−アリール基であり、各R’’は独立してH、OH、ハロゲン、C1−20アルキル、C1−20フルオロアルキル、C1−20アルコキシ、C1−20フルオロアルコキシ、C3−20シクロアルキル、C3−20フルオロシクロアルキル、C6−20アリール、C7−20アルキル−アリール、もしくは前述の少なくとも1種を含む組み合わせであり、並びに、各R’’’は独立してH、C1−20アルキル、C1−20フルオロアルキル、C1−20アルコキシ、C1−20フルオロアルコキシ、C3−20シクロアルキル、C3−20フルオロシクロアルキル、C6−20アリール、C7−20アルキル−アリール、もしくは前述の少なくとも1種を含む組み合わせである。
【0018】
式(I)におけるZはスルホン酸、スルホンイミドもしくはスルホンアミドのアニオンを含む。好ましくは、ZはC1−30アルカンスルホン酸、C3−30シクロアルカンスルホン酸、C1−30フッ素化アルカンスルホン酸、C3−30フッ素化シクロアルカンスルホン酸、C6−30アリールスルホン酸、C6−30フッ素化アリールスルホン酸、C7−30アルキルアリールスルホン酸、C7−30フッ素化アルキルアリールスルホン酸、C1−30フッ素化アルカンスルホンイミド、C2−30フッ素化シクロアルカンスルホンイミド、C6−30フッ素化アリールスルホンイミド、C7−30アルキルアリールスルホンイミド、C7−30フッ素化アルキルアリールスルホンイミド、もしくは前述の少なくとも1種を含む組み合わせのアニオンである。
【0019】
式(I)の典型的なアニオンZには、下記式を有するものが挙げられる:
【化11】
【0020】
本明細書に開示されたPAGは好ましくはEUVリソグラフィのためのフォトレジストにおいて有用であり、EUV放射線に露光される場合に、他の波長の放射線を超えて、特異的な吸収および分解特性を望ましく有することができる。例えば、EUV放射線源は、EUV領域の放射スペクトル(約12〜14nm、使用される典型的な放射は13.4〜13.5nmである)に加えて、光酸発生剤が感受性であり得るより長い波長、例えば、248nmおよび/または193nm(これらはDUVおよび193nmリソグラフィに使用されるKrFおよびArFエキシマレーザーについての放射バンドでもある)で放射することができる。本明細書に開示されたPAGの感度はEUVに対しては高く、そして当該技術分野において「帯域外(Out−of−Band)」(OOB)放射波長と称される他の輝線に対しては、好ましくは最小限、すなわち、トリフェニルスルホニウム(TPS)PAGもしくはジ−(t−ブチルフェニル)ヨードニウムPAGのようなこの波長(248もしくは193nm)で典型的に使用されるPAGの感度でよりも低い。本明細書において開示されたPAGは、EUVおよび248もしくは193nm露光条件でこのPAGを使用して準備されたフォトレジストについてのクリアのための線量(dose−to−clear)(E、mJ/cm単位で報告される)の比率1.5以下、具体的には1.3以下、より具体的には1.1以下、およびさらにより具体的には1.0以下として報告される、248もしくは193nm放射線に対するOOB感度を好ましくは有することができる。
【0021】
このPAGはヨードニウムもしくはスルホニウムPAGを製造するのに使用される好適な一般的方法によって製造されうる。本明細書に開示されるヨードニウム光酸発生剤は一般的にいくつかの様々な方法のいずれかによって製造されうる。例えば、ビス−アリールヨードニウム塩は、強酸性/脱水条件(例えば、硫酸および無水酢酸)下で、電子供与基、例えば、アルキル基、オレフィン基、ヒドロキシ基、エーテル基、他の芳香族基、例えば、電子供与基で置換されたフェニル基(例えば、フェノキシ基)など、および他の類似の基で置換されたC6−30アリール基と、ヨウ素酸カリウム(KIO)のようなヨウ素酸塩との単純な縮合によって、ビス−アリール置換ヨードニウム塩前駆体を提供することにより製造されうる。より高い収率で、対称置換および非対称置換双方のヨードニウム塩前駆体を製造するのに有用な他の方法には、過ホウ酸ナトリウム(NaBO)および酢酸の存在下でのヨウ化アリールの酸化、そして電子供与基を有する第2のヨウ化アリールとの縮合、またはKoser’s試薬(アリールヒドロキシヨードニウムトシラート、すなわち、Ar−I(OH)(OTs))との縮合が挙げられる。
【0022】
スルホニウム光酸発生剤は概して、例えば、スルフィニル基とアリールもしくはアルキル化合物との縮合を促進させるのに好適な脱水剤もしくはルイス酸(例えば、硫酸もしくはEaton’s試薬)の存在下で、スルフィニルジアリール化合物(すなわち、上述のようなC6−30アリール基、好ましくは電子供与基で置換されたC6−30アリール基から製造されたジアリールスルホキシド)を別の基、例えば、C6−30アリール化合物もしくはC1−30アルキル基、好ましくは電子供与基を有するものと化合させて、カチオンを生じさせることにより製造されうる。スルフィニルジアリール化合物の縮合は置換基との分子内縮合でもあり得ることが認識される。
【0023】
これらの方法のいずれかによって製造されるヨードニウムもしくはスルホニウム塩はさらに、好適な酸もしくは酸の塩、イミド、もしくはアミドを使用するメタセシスアニオン交換にかけられて、所望のアニオン(例えば、上述のZ)を伴う対応するヨードニウムもしくはスルホニウム塩を提供することができる。好ましくは、メタセシス交換に使用されるアニオンはスルホン酸もしくはその塩、またはスルホンアミドもしくはスルホンイミドの塩である。
【0024】
本明細書において上述のPAG化合物はフォトレジストを製造するのに有用である。ある実施形態においては、フォトレジストはPAG化合物と、酸感受性官能基を含むポリマーとを含む。
【0025】
ポリマーはフォトレジストにおいて有用なあらゆるポリマーであることができ、限定されないが、例えば、DUV(258nm)および198nm露光のための化学増幅型ポジティブもしくはネガティブトーンフォトレジストに使用されうるフォトレジストを製造するのに有用なポリマーが考えられる。しかし、好ましくは、ポリマーは改良されたマイクロリソグラフィのための化学線、例えば、上述のようなx線、eビームもしくはEUVで像形成するためのフォトレジストを製造するのに有用なものである。フォトレジストにおける成分のこの文脈で使用される「ポリマー」は1種のポリマー、1種より多いポリマー、もしくは1種以上のポリマーとフォトレジストにおいて有用な別の1種以上のポリマーとの組み合わせを意味しうると理解される。
【0026】
好ましいポリマーは、それぞれがポリマーに異なる特性を付与する2種以上の重合単位の組み合わせを含むことができる。好ましくは、ポリマーは酸感受性官能基を含む第1の重合単位、および塩基可溶性官能基を含む第2の重合単位を含む。第1の重合単位は酸感受性官能基を有するC10−30酸感受性オレフィンエステルモノマーから形成されうる。酸感受性基はオレフィンエステルが結合される第三級アルキル中心を有する環式アルキル基、多環式アルキル基、もしくは芳香族基でありうる。第1の重合単位は好ましくは下記式
【化12】
を有する化合物または、前述の少なくとも1種を含む組み合わせから形成されることができ、式中、RはH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである。好ましい典型的なモノマーには、上記構造におけるRが−CH基であるもの(すなわち、(メタ)アクリラート基)が挙げられる。
【0027】
第2の重合単位は塩基可溶性官能基を有するC10−30塩基可溶性オレフィンエステルモノマーから形成されうる。塩基可溶性官能基は、ヘキサフルオロイソプロパノール基および場合によってはヒドロキシルのような第2の極性基を有する環式アルキル基もしくは多環式アルキル基のオレフィンエステル、または塩基可溶性官能基としてヘキサフルオロイソプロパノール基もしくはフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族基のオレフィンエステルもしくはビニル芳香族であることができる。第2の重合単位は好ましくは下記式:
【化13】
の塩基可溶性モノマー、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせから形成されることができ、式中、RはH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである。
【0028】
上で特定されたモノマーの第1および第2の重合単位を含む全てのポリマーは、本明細書に開示された光酸発生剤を伴うことが意図されると認識される。ポリマー中に、例えば、C8−20ビニル芳香族基、例えば、スチレン、4−ヒドロキシスチレンなど;C7−20環式オレフィン、例えば、ノルボルネンおよび置換ノルボルネン;C4−20オレフィン無水物、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸など;他のC10−30(メタ)アクリラートモノマー、例えば、ラクトン官能基を有するもの、例えば、アルファ−(ガンマブチロラクトン)(メタ)アクリラートなど、並びに前述の少なくとも1種を含む組み合わせなどに由来するものをはじめとする追加のモノマー単位がさらに含まれうることが認識される。
【0029】
フォトレジストはPAG化合物およびポリマーに加えて、添加剤、例えば、光分解性塩基、および界面活性剤などを含むことができる。他の添加剤、例えば、溶解速度抑制剤、増感剤、追加のPAGなども含まれうる。フォトレジスト成分は分配およびコーティングのために溶媒中に溶解される。
【0030】
フォトレジストは光分解性塩基を含むことができる。塩基材料、好ましくは光分解可能カチオンのカルボキシラート塩の包含は酸分解性基からの酸の中和のためのメカニズムを提供し、そして光発生酸の拡散を制限し、それによりフォトレジストにおける向上したコントラストを提供する。
【0031】
光分解性塩基には、弱酸(pKa>2)、例えば、C1−20カルボン酸などのアニオンと対になった、光分解性カチオンおよび好ましくはPAGを製造するのにも有用なものが挙げられる。典型的なこのカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、および他のこのようなカルボン酸が挙げられる。典型的な光分解性塩基には、カチオンがトリフェニルスルホニウムもしくは下記のいずれかである、以下の構造のカチオンおよびアニオンを組み合わせたものが挙げられる:
【化14】
式中、Rは独立して、H、C1−20アルキル、C6−20アリールもしくはC6−20アルキルアリールであり、アニオンは
【化15】
RC(=O)−O、またはOHであり、
式中、Rは独立してH、C1−20アルキル、C1−20アルコキシ、C6−20アリールもしくはC6−20アルキルアリールである。他の光分解性塩基には、非イオン性光分解性発色団、例えば、2−ニトロベンジル基およびベンゾイン基などをベースにしたものが挙げられる。典型的な光塩基発生剤はオルト−ニトロベンジルカルバマートである。
【0032】
代替的にもしくは追加的に、他の添加剤には、光分解性でない塩基であるクエンチャー(quencher)、例えば、ヒドロキシド、カルボキシラート、アミン、イミンおよびアミドをベースにしたものが挙げられうる。好ましくは、このクエンチャーには、C1−30有機アミン、イミンもしくはアミドが挙げられ、または強塩基(例えば、ヒドロキシドもしくはアルコキシド)または弱塩基(例えば、カルボキシラート)のC1−30第四級アンモニウム塩であり得る。典型的なクエンチャーには、アミン、例えば、Troger’s塩基、ヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)もしくはジアザビシクロノネン(DBM)、またはイオン性クエンチャー、例えば、第四級アルキルアンモニウム塩、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)もしくは乳酸テトラブチルアンモニウムが挙げられる。
【0033】
界面活性剤には、フッ素化および非フッ素化界面活性剤が挙げられ、好ましくは非イオン性である。典型的なフッ素化非イオン性界面活性剤には、ペルフルオロC界面活性剤、例えば、FC−4430およびFC−4432界面活性剤(3Mコーポレーションから入手可能);並びに、フルオロジオール、例えば、POLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656およびPF−6520フルオロ界面活性剤(Omnovaから)が挙げられる。
【0034】
フォトレジストは、フォトレジストに使用される成分を溶解し、分配し、そしてコーティングするのに概して好適な溶媒をさらに含む。典型的な溶媒には、アニソール、アルコール、例えば、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールおよび1−エトキシ−2プロパノール、エステル、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、メトキシエトキシプロピオナート、エトキシエトキシプロピオナート、ケトン、例えば、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン、並びに上記溶媒の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0035】
本明細書に開示されるフォトレジスト組成物は、固形分の全重量を基準にして50重量%以下、具体的には1〜40重量%、より具体的には1〜30重量%、およびさらにより具体的には2〜20重量%の量でPAGを含むことができる。本明細書に開示されたフォトレジスト組成物は、固形分の全重量を基準にして50〜99重量%、具体的には55〜95重量%、より具体的には60〜90重量%、およびさらにより具体的には65〜90の量でポリマーも含む。
【0036】
光塩基発生剤は、固形分の全重量を基準にして0.01〜5重量%、具体的には0.1〜4重量%、およびさらにより具体的には0.2〜3重量%の量でフォトレジスト中に存在することができる。界面活性剤は、固形分の全重量を基準にして0.01〜5重量%、具体的には0.1〜4重量%、およびさらにより具体的には0.2〜3重量%の量で含まれることができる。クエンチャーは、固形分の全重量を基準にして、例えば、0.03〜5重量%の比較的少量で含まれることができる。他の添加剤は、全重量を基準にして30重量%以下、具体的には20%以下、もしくはより具体的には10%以下の量で含まれうる。固形分は、PAG、ポリマー、光塩基発生剤、クエンチャー、界面活性剤、および何らかの任意の添加剤を含むと理解される。フォトレジスト組成物の全固形分量は固形分および溶媒の合計重量を基準にして0.5〜50重量%、具体的には1〜45重量%、より具体的には2〜40重量%、およびさらにより具体的には5〜35重量%でありうる。固形分は、溶媒を除く、PAG、ポリマー、光塩基発生剤、クエンチャー、界面活性剤、および何らかの任意の添加剤を含むと理解される。
【0037】
本明細書において開示されたPAGを含むフォトレジストはフォトレジストを含む層を提供するために使用されることができ、このことが比較のフォトレジスト(式(I)の光酸発生剤を含むが、Gがトリフェニルスルホニウムカチオンである)を含む層について、同じ条件下でEUV放射線に露光される場合に得られる濃度よりも低い濃度で揮発性分解生成物を生じさせうる。相対的なガス放出は、例えば、残留ガス分析(RGA)もしくは膜収縮技術によって決定されうる。
【0038】
コーティングされた基体はPAGを含むフォトレジストから形成されうる。このコーティングされた基体は(a)基体表面上のパターン形成される1以上の層を有する基体、および(b)パターン形成される1以上の層上のPAGを含むフォトレジスト組成物の層を含む。
【0039】
基体は任意の寸法および形状であることができ、好ましくはフォトリソグラフィに有用なもの、例えば、ケイ素、二酸化ケイ素、シリコンオンインシュレータ(silicon−on−insulator;SOI)、ストレインドシリコン(strained silicon)、ガリウムヒ素、コーティングされた基体、例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタルでコーティングされた基体、超薄型ゲート(ultrathin gate)酸化物、例えば、酸化ハフニウム、金属もしくは金属コーティングされた基体、例えば、チタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、これらの合金およびこれらの組み合わせでコーティングされた基体である。好ましくは、本明細書においては、基体の表面はパターン形成される臨界寸法層、例えば、1以上のゲートレベル層もしくは半導体製造のための基体上の他の臨界寸法層を含む。このような基体には、例えば、直径が200mm、300mmもしくはより大きい寸法、またはウェハ製造に有用な他の寸法を有する円形ウェハとして形成されるケイ素、SOI、ストレインドシリコンおよび他のこのような基体材料が好ましくは挙げられうる。
【0040】
さらに、電子デバイスを形成する方法は(a)PAGを含むフォトレジスト組成物の層を基体上に適用し、(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様に露光し、および(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供することを含む。
【0041】
適用はスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディングなどをはじめとするあらゆる好適な方法によって達成されうる。フォトレジストの層の適用は好ましくは、回転するウェハ上にフォトレジストが分配されるコーティングトラックを使用して、溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることにより達成される。分配中に、ウェハは4,000rpm以下、好ましくは約500〜3,000rpm、およびより好ましくは1,000〜2,500rpmの速度で回転させられうる。コーティングされたウェハは回転させられて溶媒を除去し、そして一般的にホットプレート上でベークされて、残留する溶媒をさらに除去し、そして膜から自由体積を除く。
【0042】
次いで、ステッパのような露光ツールを用いてパターン様露光が行われ、露光ツールにおいてはパターンマスクを通して膜が照射され、それによりパターン様に露光される。この方法は好ましくは、極端紫外線(EUV)もしくはeビーム放射線をはじめとする高解像が可能な波長で活性化放射線を発生させる改良型の露光ツールを使用する。活性化放射線を使用する露光は露光領域でPAGを分解して、酸および分解副生成物を発生させ、次いでその酸はポリマーの化学変化をもたらす(酸感受性基をデブロッキング(deblocking)して塩基可溶性基を生じさせるか、あるいは露光領域において架橋反応を触媒する)ことが認識される。この露光ツールの解像度は30nm未満であり得る。
【0043】
次いで、露光された層を、その膜の露光部分を選択的に除去できる(この場合、フォトレジストはポジティブトーンである)、またはその膜の未露光部分を選択的に除去できる(この場合、フォトレジストはネガティブトーンである)好適な現像剤で処理することにより、露光されたフォトレジスト層の現像が達成される。好ましくは、フォトレジストは、酸感受性(脱保護可能な)基を有するポリマーをベースにしたポジティブトーンであり、そして現像剤は好ましくは金属イオンを含まない、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、水性の0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。パターンは現像後に形成される。
【0044】
1以上のこのパターン形成プロセスに使用される場合には、フォトレジストは電子および光電子デバイス、例えば、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックチップおよび他のこのようなデバイスを製造するために使用されることができる。
【実施例】
【0045】
本発明は以下の実施例によってさらに例示される。本明細書において使用される全ての化合物は、手順が以下に示されているもの以外は市販されている。構造的な特徴付けはOMNI−PROBEを用いるINOVA 500NMRスペクトロメータ(プロトンについて500MHzで操作する)、またはGEMINI300NMRスペクトロメータ(フッ素について282MHzで操作する)(それぞれ、Varianから)における核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析よって行われた。他に特定されない限りは全ての試薬は商業的に得られた。比較例のPAGであるトリフェニルスルホニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホナート(TPS−PFBuS)およびビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホナート(DTBPI−PFBuS)は東洋合成工業株式会社から商業的に入手された。
【0046】
実施例1:(4−tert−ブチルフェニル)ジナフタレン−2−イル−スルホニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホナートの合成。
A:ビス(2−ナフチル)スルフィドの合成
2−ナフトール(33.3g、0.23mol)、2−ナフタレンチオール(36.7g、0.23mol)およびp−トルエンスルホン酸(44g、0.23mol)の混合物がトルエン(500mL)中で、4時間、N雰囲気下で加熱還流された。冷却後、飽和NaHCO溶液を用いて反応が停止させられた。次いで、この混合物はCHClで抽出され、合わせた有機抽出物はHOで洗浄され、次いでロータリーエバポレーションによって濃縮乾固された。粗生成物はトルエンからの結晶化によって精製されて、52g(79%)の上記スルフィドを得た。H NMR(CDCl)δ=7.44−7.52(m,3H)、7.72−7.85(m,3H)、7.9(br s,1H)。
【0047】
B:PAGの合成
DTBPI−PFBuS(3.4g、4.91mol)、ビス(2−ナフチル)スルフィド(1.43g、4.99mmol、1.02当量)を、上記ジアリールスルフィドとして、および安息香酸銅(0.038g、0.124mmol、0.025当量)のクロロベンゼン(約10mL)中の懸濁物が80℃に、約3時間加熱され、室温(本明細書においてr.t.と略す)に冷却された。この反応混合物は減圧下でロータリーエバポレーションによって濃縮され、粗残留物を沸騰ヘキサンで洗浄し、乾燥させて標記化合物(2.94g、83%)を灰白色固体として得た。H NMR(アセトン−d)δ:8.71(s,2H)、8.37(d,J=9Hz,2H)、8.18(d,J=8.5Hz,2H)、8.12(d,J=8Hz,2H)、8.00(d,J=8.5Hz,2H)、7.89−7.96(m,4H)、7.87(t,J=8Hz,2H)、7.79(t,J=8Hz,2H)、1.39(s,9H)。19F NMR(アセトン−d)δ:−82.21(3F)、−115.72(2F)、0122.38(2F)、−127.00(2F)。
【0048】
実施例2:A.4,4’−スルフィニルジフェノールの合成
過酸化水素(HO中30重量%、50mL、0.382mol)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物(32.4mL、0.191mmol、0.5当量)のエタノール(350mL)中溶液を4,4’−チオジフェノール(125g、0.573mol、1.5当量)のエタノール(1.25L)中溶液に、4時間にわたって滴下添加した。完全に添加した後、反応混合物を室温で30分間攪拌し、減圧濃縮し、酢酸エチル(1L)で希釈し、水(600mL)で洗浄した。水性層は酢酸エチルで抽出(3回×600mL)され、合わせた有機層を乾燥(NaSO)させ、減圧濃縮した。粗固体はメチルtert−ブチルエーテル(1L)で希釈され、一晩攪拌された。沈殿がメチルtert−ブチルエーテル(3回×500mL)で洗浄され、空気乾燥されて、標記化合物を定量収率で白色固体として得た。H NMR(アセトン−d)δ:8.85−9.05(brs,2H)、7.50(d,J=8.5Hz,4H)、6.95(d,J=8.5Hz,4H)。
【0049】
B.(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼンの合成
フェノール(150g、0.159mol)、炭酸カリウム(26.4g、0.191mol、1.2当量)およびテトラメチルエチレンジアミン(0.92g、7.95mmol、0.05当量)がジメチルスルホキシド(DMSO;100mL)中に溶解され、室温で30分間攪拌された。1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン(30.56g、0.166mol、1.04当量)が添加され、この溶液が18時間にわたって90℃に加熱され、室温に冷却された。この反応混合物が酢酸エチル(600mL)で希釈され、1Mの水酸化カリウム(3回×300mL)で洗浄され、乾燥(NaSO)させられ、減圧濃縮されて、標記化合物(16.50g、52%)を橙色オイルとして得た。H NMR(アセトン−d)δ:7.27(dt,J=8.5Hz,1Hz,2H)、6.94(dd,J=8Hz,1Hz,2H)、6.92(dt,J=8Hz,1Hz,1H)、4.12(t,J=5Hz,2H)、3.80(t,J=5Hz,2H)、3.64(t,J=5Hz,2H)、3.50(t,J=5Hz,2H)、3.29(s,3H)。
【0050】
C.4,4’−スルフィニルビス((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼン)の合成
4,4’−スルフィニルジフェノール(20.0g、85.0mmol)、炭酸カリウム(26.6g、0.192mol、2.26当量)およびテトラメチルエチレンジアミン(0.495g、4.25mmol、0.05当量)がDMSO(100mL)に溶解され、室温で30分間攪拌された。次いで、1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン(32.67g、0.179mmol、2.1当量)が添加され、この溶液が18時間、90℃に加熱され、室温に冷却された。この反応混合物は酢酸エチル(600mL)で希釈され、水(5回×500mL)で洗浄され、乾燥(NaSO)させられ、減圧濃縮されて、標記化合物(33.40g、90%)を橙色オイルとして得た。H NMR(アセトン−d)δ:7.59(d,J=8.5Hz,4H)、7.07(d,J=8.5Hz,4H)、4.17(t,J=4.5Hz,4H)、3.80(t,J=5Hz,4H)、3.63(t,J=4.5Hz,4H)、3.48(t,J=4.5Hz,4H)、3.28(s,6H)。
【0051】
D.トリス(4−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホナートの合成
Eaton’s試薬(メタンスルホン酸中7.7重量%のP;4mL)が、4,4’スルフィニルビス((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼン)(1.00g、2.28mmol)および(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼン(0.447g、2.28mmol、1当量)のジクロロメタン(5mL)中溶液に2時間にわたって滴下添加され、一晩室温で攪拌された。この反応混合物は水(75mL)の添加によりゆっくりとクエンチされ、酢酸エチル(4回×50mL)で抽出された。1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−−スルホン酸カリウム(1.54g、4.56mmol、2当量)がこの水層に添加され、次いでジクロロメタン(100mL)が添加され、得られた二相混合物が室温で一晩攪拌された。これら層は分離され、水性層はジクロロメタン(3回×50mL)で抽出され、合わせた有機層が減圧濃縮された。粗オイルが熱水(100mL)中に溶解され、メチルtert−ブチルエーテル(2×50mL)、次いでジクロロメタン(3回×100mL)で抽出された。ジクロロメタン層が乾燥(NaSO)させられ、減圧濃縮されて、橙色オイルとして標記化合物(0.80g、38%)を得た。H NMR(アセトン−d)δ:7.79(d,J=9.5Hz,6H)、7.34(d,J=9Hz,6H)、4.29(t,J=5Hz,6H)、3.85(t,J=5Hz,6H)、3.64(t,J=5Hz,6H)、3.49(t,J=5Hz,6H)、3.28(s,9H)。19F NMR(300MHz、(CDCO)δ:−82.21(3F)、−115.89(2F)、−122.42(2F)、−127.00(2F)。
【0052】
実施例3〜5、7〜9
実施例3〜5および7〜9のPAGへの前駆体スルフィドは以下のジアリールスルフィド手順に従って製造され、対応するPAGは、表1に示された具体的なジアリールスルフィドおよび試薬モル比が使用され、かつメチルt−ブチルエーテル、ジクロロメタンおよびヘプタンもしくはヘキサンの混合物が沈殿溶媒として使用されたことを除いて、実施例1の一般的な手順に従って製造された。
【0053】
ビス(4−ビフェニル)スルフィド(実施例3についての前駆体)の合成
4−ヨードビフェニル(25g、0.089mol)、無水NaS(3.84g、0.049mol)、CuI(1.7g、8.9mmol)およびKCO(6.77g、0.049mol)の無水DMF(100mL)中の懸濁物がN下で130℃で24時間加熱された。冷却後、水が添加され、混合物はジクロロメタンで抽出された。合わせた有機相が2NのNaOH(水性)、次いで水で洗浄された。溶媒が除去され、残留物はカラムクロマトグラフィ(シリカ/ヘキサン)によって精製され、9.4g(31%)の上記スルフィドを生じさせた。H NMR(CDCl)δ=7.33−7.38(m,1H)、7.42−7.48(m,4H)、7.54−7.61(m,4H)。
【0054】
ビス(1−ナフチル)スルフィド(実施例4についての前駆体)の合成
1−ヨードナフタレン(25.4g、0.10mol)、無水NaS(3.90g、0.05mol)、CuI(1.71g、9.0mmol)およびKCO(6.91g、0.05mol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF;100mL)中の懸濁物がN下で130℃で24時間加熱された。冷却後、水が添加され、混合物はジクロロメタンで抽出された。合わせた有機相が2NのNaOH(水性)、次いで水で洗浄された。溶媒がロータリーエバポレーションによって除去され、残留物はカラムクロマトグラフィ(シリカ/ヘキサン)によって精製され、9.7g(34%)の上記スルフィドを生じさせた。H NMR(CDCl)δ=7.31−7.33(m,2H)、7.51−7.56(m,2H)、7.78(dd,J=4.25,4.25Hz,1H)、7.89(dd,J=6.25,3.2Hz,1H)、8.43(dd,J=6.1,3.5Hz,1H)。
【0055】
4−ビフェニル(2−ナフチル)スルフィド(実施例5についての前駆体)の合成
2−ナフタレンチオール(21.4g、0.134mol)、4−ヨードビフェニル(25.0g、0.89mol)、CuI(16.95g、0.089mmol)、KCO(12.3g、0.089mol)およびエチレングリコール(10mL)のtert−アミルアルコール(500mL)中の混合物がN下で48時間還流された。冷却後、ジクロロメタンが添加され、混合物は2NのNaOH、水で抽出され、アルミナプラグを通してろ過された。溶媒が減圧下で除去されて、残留物はカラムクロマトグラフィ(シリカ/ヘキサン)によって精製され、8.9g(32%)の上記スルフィドを生じさせた。H NMR(CDCl)δ=7.33−7.38(m,1H)、4.41−7.50(m,7H)、7.52−7.61(m,4H)、7.74−7.84(m,3H)、7.9(br s,1H)。
【0056】
(ビス4−ブロモフェニル)スルフィド(実施例7についての前駆体)の合成
臭素(38.4g、0.24mol)が室温で、ジクロロメタン(50mL)およびHO(50mL)の混合物中のジフェニルスルフィド(18.6g、0.1mol)の溶液に滴下添加された。冷却後、飽和水性亜硫酸水素ナトリムを添加することにより過剰の臭素が使い尽くされた。粗生成物がジクロロメタンで抽出され、合わせた有機層が水で洗浄された。溶媒はロータリーエバポレーションによって除去され、生成物はイソプロパノールから結晶化されて、29.6g(86%)のスルフィドを生じさせた。H NMR(CDCl)δ7.19(dてJ=8.5Hz,4H)、7.43(d,J=8.5,4H)。
【0057】
ビス(4−ペンタフルオロフェノキシフェニル)スルフィド(実施例8についての前駆体)の合成
無水DMF(150mL)中の4,4’−チオジフェノール(20.0g、0.092mol)、ヘキサフルオロベンゼン(68g、0.37mol)およびKCOがN下で48時間、90℃で加熱された。冷却後、水が添加され、混合物はジクロロメタンで抽出された。有機層は水で洗浄され、ロータリーエバポレーションによってジクロロメタンが除去された。このクルード物はカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ヘキサン)によって精製され、41g(81.3%)の上記スルフィドを生じさせた。H NMR(CDCl)δ6.91(d,J=8.75Hz)、7.31(d,J=8.75Hz)。
【0058】
9−アントラセニル(2−ナフチル)スルフィド(実施例9についての前駆体)の合成
2−ナフタレンチオール(15.5g、0.097mol)、9−ブロモアントラセン(25.0g、0.0.097mol)、CuI(19.1g、0.1mol)、KCO(15.0g、0.11mol)、KI(16.6g、0.1mol)およびエチレングリコール(10mL)のtert−アミルアルコール(500mL)中の混合物がN下で48時間還流された。冷却後、ジクロロメタンが添加され、混合物は2NのNaOHおよび水で洗浄され、アルミナプラグを通してろ過された。溶媒が減圧下ロータリーエバポレーションによって除去され、残留物はカラムクロマトグラフィ(シリカ/ヘキサン)によって精製され、16.5g(50.5%)の上記スルフィドを生じさせた。H NMR(CDCl)δ7.13(dd,J=8.7,1.85Hz,1H)、7.28−7.35(m,3H)、7.43−7.47(m,1H)、7.49−7.56(m,4H)、7.58(d,J=8.7Hz,1H)、7.66−7.70(m,1H)、8.06−8.10(m,2H)、8.64(s,1H)、8.84−8.89(m,2H)。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例6
実施例6のPAGは、(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼンの代わりに2,6−ジメチルフェノール(0.975g、7.98mmol、1当量)(シグマアルドリッチから市販)が使用されたこと、かつ3.50g(7.98mmol、1当量)の4,4’−スルフィニルビス((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼン)および3.24g(9.58mmol、1.2当量)の1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸カリウムが使用されたことを除いて、実施例2の工程AおよびDの手順に従って製造された。
【0061】
表2は実施例3〜9のPAGについての特徴付けデータ(H NMR)を示す。
【表2】
【0062】
実施例10:1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸ビフェニル−4−イル(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムの合成
過ホウ酸ナトリウム四水和物(55mmol、8.46g)が氷酢酸(45mL)中の4−ヨードビフェニル(5.00mmol、1.40g)の溶液に40℃で、複数ポーションで添加され、8時間攪拌され、室温に冷却された。この反応物の体積は真空下で20mLまで低減させられ、水(50mL)で希釈され、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出された。合わせた有機物画分が乾燥(MgSO)させられ、真空下で濃縮されて、4−ジアセトキシヨードビフェニルを生じさせ、これは次の工程においてさらに精製することなく使用される。
【0063】
アセトニトリル(3mL)中p−トルエンスルホン酸(1当量、0.364g、2.00mmol)の溶液がアセトニトリル(3mL)中の4−ジアセトキシヨードビフェニル(1当量、0.796g、2.00mmol)に添加され、次いでアセトニトリル(1mL)中のフェニルエーテル(1当量、0.340g、2.00mmol)が添加され、室温で2時間攪拌された。この反応混合物は水(20mL)で希釈され、ヘプタン(3回×10mL)で抽出された。ジクロロメタン(20mL)が水性層に添加され、次いで1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸カリウム(1.1当量、0.744g、2.20mmolが添加され、室温で一晩攪拌された。この有機層は水(3回×20mL)で洗浄され、乾燥(MgSO)させられ、真空下で濃縮されて標記化合物を生じさせた。
【0064】
実施例1〜10からのPAGカチオンは以下の表3に示され;それぞれは1,1,2,2,3,3,4,4,4,−ノナフルオロブタン−1−スルホナート(ペルフルオロブタンスルホナート、PFBuS)アニオンを用いて、以下の合成手順に従って製造された。
【0065】
【表3】
【0066】
ポリマーAの合成
メタクリル酸1−エチルシクロペンチル(59.24g、0.325mol)、メタクリル酸(2−イソプロピル)−2−アダマンチル(12.18g、0.046mol)、メタクリル酸アルファ−(ガンマ−ブチロラクトン)(39.51g、0.232mol)、メタクリル酸(3−ヒドロキシ)−1−アダマンチル(65.84g、0.279mol)、およびメタクリル酸3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシル(23.23g、0.046mol)が、乳酸エチル(本明細書において、EL)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(本明細書において、PGMEA)およびガンマ−ブチロラクトンの溶媒混合物(それぞれ40/30/30 v/v比)300gに溶解された。VAZO V−601開始剤(32.08g;デュポンから入手可能)が、同じ溶媒混合物20gに溶解された。追加の前記溶媒混合物280gを収容する反応器が70〜72℃に加熱され、その温度で開始剤溶液が添加された。数分後、モノマー溶液がこの反応器に3.5時間にわたって供給された。この反応溶液はさらに30分間70℃に保持された。11.6Lの攪拌された水中に沈殿させることにより粗ポリマーが単離され、集められ、空気乾燥された。空気乾燥されたこのポリマーは976.8gの前記溶媒混合物に溶解され、メタノールおよび水(それぞれ80/20 v/v比)の攪拌された混合物19.5L中で沈殿させられ、集められ、空気乾燥された。このポリマーは真空オーブン中で60℃で乾燥させられて、128.6g(64%)のポリマーAを白色粉体(GPC:Mw=6,551、多分散度=1.41)として生じさせた。
【0067】
ポリマーBの合成
メタクリル酸1−エチルシクロペンチル(48.78g、0.268mol)、メタクリル酸(2−イソプロピル)−2−アダマンチル(10.03g、0.038mol)、メタクリル酸ガンマ−ブチロラクトン(45.55g、0.268mol)、およびメタクリル酸3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシル(95.64g、0.191mol)が、EL、PGMEAおよびガンマ−ブチロラクトンの溶媒混合物(それぞれ40/30/30 v/v比)300gに溶解された。VAZO V−601開始剤(27.29g;デュポンから入手可能)が、上記溶媒混合物20gに溶解された。追加の前記溶媒混合物280gを収容する反応器が70〜75℃に加熱され、その温度で開始剤溶液が添加された。数分後、モノマー溶液がこの反応器に3.5時間にわたって供給された。この反応溶液はさらに30分間70−71℃に保持された。メタノールおよび水(それぞれ50/50 v/v比)の攪拌された混合物12Lに沈殿させることにより粗ポリマーが単離され、集められ、空気乾燥された。空気乾燥されたこのポリマーは760.2gの前記溶媒混合物に溶解され、メタノールおよび水(それぞれ50/50 v/v比)の攪拌された混合物15.2L中で沈殿させられ、集められ、空気乾燥された。このポリマーは真空オーブン中で60℃で乾燥させられて、165g(82%)のポリマーBを白色粉体(GPC:Mw=6,655、多分散度=1.60)として生じさせた。
【0068】
フォトレジスト製造および処理
比較配合例
EL中のポリマーAの10重量%溶液5.563g、EL中のポリマーBの10重量%の溶液5.563g、EL中のTPS−PFBuSの2重量%溶液6.250g(比較PAG例)、PGMEA中のTroger’s塩基の1重量%溶液1.113g、EL中のOmnova PF656界面活性剤の0.5重量%溶液0.250g、EL溶媒21.51gおよびPGMEA9.750gを混合することにより、ポジティブトーンフォトレジスト組成物が製造された。配合されたレジストはろ過された(0.2μm)。
【0069】
配合例1〜8
比較配合例(CFEx)について記載された配合に従って、表4に特定された量に置き換えて、実施例1〜6、8および9のPAGを含むポジティブトーンフォトレジスト組成物が製造された。
【0070】
【表4】
【0071】
上記フォトレジスト配合物CFExおよび配合例(FEx)1〜8は以下のようにリソグラフィ処理された。配合されたレジストはTEL ACT−8(東京エレクトロン株式会社)コーティングトラックを用いて、下部反射防止コーティング(BARC)(248nm露光についてはAR商標9、ロームアンドハースエレクトニックマテリアルズLLC、または193nm露光についてはAR商標19、ロームアンドハースエレクトニックマテリアルズLLC、またはEUVについての有機下層)をウェハ上に有する200mmシリコンウェハ上にコーティングされ、130℃で90秒間ソフトベークされて厚さ約60nmのレジスト膜を形成した。このフォトレジスト層はフォトマスクを通して248nmKrFエキシマレーザー放射線、193nmArFエキシマレーザー放射線、またはEUV放射線(eMET、13.4〜13.5nm)の放射線で露光され、露光された層は90℃で60秒間露光後ベーク(PEB)された。コーティングされたウェハは、次いで、金属イオンを含まない塩基現像剤(0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で処理されて、フォトレジスト層を現像した。
【0072】
各露光波長についてのクリアのための線量(E)値、並びに248nmおよび193nmでのEUVについて相対的なレジスト除去線量(帯域外感度、OOB)が表5に示される。
【0073】
【表5】
【0074】
表5に認められるように、PAG実施例1〜6、8および9は、それぞれ、Eによって測定されるようにEUV放射線に対する望ましい感度を示すが、比較例(CFEx.トリフェニルスルホニウムカチオンを有する)は、実施例2(2.0mJ/cm)および6(1.6mJ/cm)以外の全てより高い感度(2.7mJ/cm)を有していた。しかし、実施例1、3〜6、8および9のPAGはそれぞれ、CFEx(248nmでのOOB=0.6)よりも248nmでの向上した帯域外感度(248nmでの0.4以下のOOB)を示し、実施例1〜6、8および9の全てのPAGはCFEx(193nmでのOOB=1.9)よりも193nmでの向上したOOB(193nmでの1.5以下のOOB)を示す。よって、実施例1〜6、8および9の代表的なPAGはEUV露光に対して感受性であると共に、比較例よりもEUVでない露光波長に対してより低い感度を示すことが認められうる。
【0075】
本明細書に開示された全ての範囲は終点を含み、その終点は互いに独立して組み合わせ可能である。「場合によって」または「任意の」とはその後に記載された事象もしくは状況が起こってもよく、または起こらなくてもよく、そしてその記載はその事象が起こる例およびその事象が起こらない例を含む。本明細書において使用される場合、「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金もしくは反応生成物を包含する。全ての参考文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
さらに、用語「第1」、「第2」などは、本明細書においては、順序、品質もしくは重要性を示すものではなく、1つの要素を他のものから区別するために使用されることもさらに留意されたい。