(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、
図13に示す参考例では、冷凍室22及び冷蔵室23は、進行方向に対して平行に設けられた間仕切り壁31によって隔てられる。そして、冷凍室22側の天井に設けられたエバポレータユニット25から吹き出された空気が冷凍室22及び冷蔵室23の温度を維持する。この例では、まずエバポレータユニット25から吹出された空気が冷凍室22を冷却し、その後、間仕切り壁31に設置された吹出しファン26によって冷凍室22内の空気が冷蔵室23に送られる。また、冷蔵室23内の空気は、間仕切り壁31に設置された吸込みファン27又はファンなしの換気口を介して冷凍室22に戻される。なお、コンデンサユニット32は、荷箱の外部に設けられている。
【0007】
しかし、
図13に示す参考例の冷凍ユニットは、コンデンサユニット32とエバポレータユニット25が離れて設置されており、冷媒配管の管路が複雑になる。そのため、配管作業が難しく架装に時間が掛かるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、冷凍ユニットの冷媒配管の管路を簡素化しつつ、車両の進行方向に平行な間仕切り壁で仕切られた複数の室内空間をそれぞれ異なる温度に維持することが可能な
車両及びパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の
車両及びパネルは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る
車両は、
荷箱と、荷箱の外部に設けられるエバポレータと、
エバポレータよりも
荷箱内部側に設けられるパネル
と、
荷箱の内部において、パネルの前面に設けられる間仕切り壁とを備え、パネルは、荷箱内部からエバポレータへ供給される空気が通過する吸込み口と、エバポレータから
荷箱内部へ供給される空気が通過する吹出し口とを備え、
パネルは、パネルが設置されたときの幅方向に分割されて二つ又は三つの領域からなり、二つ又は三つの領域のうち少なくとも一つの第1領域は、吹出し口が設けられ、二つ又は三つの領域のうち第1領域と異なる少なくとも一つの第2領域は、エバポレータから
荷箱内部へ供給される空気が通過する吹出し用開口部に対向しつつ、吹出し口を有さ
ず、間仕切り壁は、パネルの前面において第1領域と第2領域を隔てて設けられる。
【0010】
この発明によれば、二つ又は三つの領域に分けられるパネルが、エバポレータよりも車両内部側に設けられ、少なくとも一つの領域(第1領域)にのみ吹出し口が設けられる。また、他の領域(第2領域)は、エバポレータからの空気の吹出し用開口部に対向しているが、吹出し口を有さない。したがって、エバポレータで生成された空気は、パネルの第1領域のみから吹き出し、パネルの第2領域では、エバポレータで生成された空気が吹き出すことはない。その結果、例えばパネルの幅方向全長にわたってエバポレータの空気が生成されたとしても、パネルの第1領域のみからエバポレータで生成された空気が吹き出すことになる。パネルの第1領域と第2領域を隔てる間仕切り壁を車両内部に設けることで、パネルの第1領域側に面する車両内部側にだけエバポレータからの空気が直接供給される。
【0011】
上記発明において、
パネルは、エバポレータ側であって吸込み口と吹出し口との間に設けられた隔壁を更に備えてもよい。
【0012】
この発明によれば、エバポレータから吹き出される空気がエバポレータに吸い込まれる空気と混ざることなく確実に車両内部側に供給される。
【0013】
上記発明において、
パネルは、パネルの
荷箱内部側の表面が、パネルが設置される
荷箱内部の壁面と同一面になるように、パネルが
荷箱内部に設置されてもよい。
【0014】
この発明によれば、
パネルは、パネルが
荷箱内部に設置されたとき、パネルの
荷箱内部側の表面が、パネルが設置される
荷箱内部の壁面と同一面になるため、パネル前面に間仕切り壁が設けられるとき、間仕切り壁と
荷箱内部の壁面との取り合いが直線になる。また、パネルが
荷箱内部側に飛び出さないため、
荷箱内部の空間の容積を大きく確保することができる。
【0015】
上記発明において、
パネルは、第2領域において、パネルの幅方向に沿って設けられた開口部と、エバポレータ側であって開口部の下部に設けられ、パネルの下方に傾斜した斜板とを更に備えてもよい。
【0016】
この発明によれば、パネルが車両内部に設置されたとき、エバポレータから吹き出された空気がパネルに接触すると、吹出し口以外の領域では車両内部の空気との温度差によってパネル面に結露が生じるおそれがある。結露水が生じた場合でも、パネルに設けられた開口部と斜板によって、結露水がパネルよりも下方に流れることを防止でき、更に結露水をエバポレータ側の下方に導くことができる。開口部は、開口部上部の部材断面に応じて変化し、例えば開口部上部が平板の場合、高さ方向が長さ方向に比べて短いスリット形状を有する。
【0017】
上記発明において、開口部の下部にパネルの幅方向に沿って設けられた第2開口部と、エバポレータ側であって第2開口部の下部に設けられ、パネルの下方に傾斜した第2斜板とを更に備えてもよい。
【0018】
この発明によれば、開口部よりも下部で結露水が生じた場合でも、パネルに設けられた第2開口部と第2斜板によって、結露水がパネルよりも下方に流れることを防止でき、更に結露水をエバポレータ側の下方に導くことができる。
【0019】
上記発明において、第2領域は、凹凸が繰り返されており、パネルが設置されたときの高さ方向に沿った凸部分の稜線を有してもよい。
【0020】
この発明によれば、凸部分の稜線は、パネルが設置されたときの高さ方向に沿って形成されることから、結露水が下方向へ流れやすくなる。また、第2領域は、凹凸面を有することから、第2領域に結露水が付着した状態でも、積荷に結露水が接触しにくくなる。
また、上記発明において、凸部分の下部において、第2領域の平板との間に開口部が形成されてもよい。
【0021】
上記発明において、二つ又は三つの領域は、それぞれ別体の部材でもよい。
【0022】
この発明によれば、部材間の熱伝導を抑えることができる。したがって、それぞれの領域が間仕切り壁で隔てられ異なる温度に設定された車両室内にそれぞれ面するとき、各車両室間の熱の損失を抑えることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、冷凍ユニットの冷媒配管の管路を簡素化しつつ、車両の進行方向左側と右側に温度の異なる室内空間を設けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係るエバポレータフロントパネル1が適用される冷凍冷蔵車21について説明する。
【0026】
冷凍冷蔵車21は、例えば要冷凍又は要冷蔵の食品などを輸送するバンであって、冷凍室22及び冷蔵室23両者を備える。冷凍冷蔵車21は、荷箱の前方の冷凍室22及び冷蔵室23と後方の荷室24に分けられる。冷凍室22と冷蔵室23は、維持される温度が異なり、冷凍室22は、冷蔵室23よりも低い温度に保たれる。荷室24は、例えば常温に保たれる。これにより、温度管理の不要な荷物だけでなく、要冷凍又は要冷蔵の食品等を同時に輸送することができる。
【0027】
冷凍室22及び冷蔵室23は、進行方向に対して平行に設けられた間仕切り壁31によって隔てられる。そして、荷箱前方の外部に設けられたコンデンサ・エバポレータユニット15から吹き出された空気が冷凍室22及び冷蔵室23の温度を維持する。この例では、まずコンデンサ・エバポレータユニット15から吹出された空気が冷凍室22を冷却し、その後、間仕切り壁31に設置された吹出しファン26によって冷凍室22内の空気が冷蔵室23に送られる。また、冷蔵室23内の空気は、間仕切り壁31に設置された吸込みファン27又はファンなしの換気口を介して冷凍室22に戻される。
【0028】
次に、コンデンサ・エバポレータユニット15について説明する。
コンデンサ・エバポレータユニット15は、荷箱前方の外部に設けられ、冷凍冷蔵車21の進行方向に対して垂直方向の前方壁30に設置される。
【0029】
コンデンサ・エバポレータユニット15は、
図3及び
図4に示すように、例えばエバポレータ16、エバポレータファン17、コンデンサ18などが共通のケース内に収容される。なお、エバポレータ16、コンデンサ18、圧縮機(図示せず。)及び膨張弁(図示せず。)は、冷媒配管(図示せず。)によって連結されて、冷媒回路を構成する。圧縮機は、コンデンサ・エバポレータユニット15とは別の場所に設置され、例えばエンジン又は電気モータなどによって駆動される。
【0030】
コンデンサ・エバポレータユニット15のケース内に配置されたコンデンサ18とエバポレータ16との間には断熱材からなる断熱壁20が形成される。断熱壁20は、高温のコンデンサ18側の領域と低温のエバポレータ16側の領域とを熱的に遮断している。
【0031】
エバポレータ16側の領域には、エバポレータファン17と、その下部にエバポレータ16が配置される。エバポレータ16よりも冷凍室22と冷蔵室23側には、コンデンサ・エバポレータユニット15を覆うようにエバポレータフロントパネル1が設置される。エバポレータフロントパネル1には、吹出し用開口部11及び吹出し口5と、吸込み口4と吸込み用開口部12が形成される。エバポレータファン17によって、冷凍室22内の空気が、吸込み口4と吸込み用開口部12を介してエバポレータ16側に吸入される(
図5の矢印C参照)。また、エバポレータファン17によって、エバポレータ16を通過して冷却された空気が、吹出し用開口部11及び吹出し口5を介して冷凍室22内へ吹き出される(
図5の矢印D参照)。
【0032】
コンデンサ・エバポレータユニット15内のエバポレータ16とエバポレータファン17は、冷却空気を供給する冷凍室22に対応する位置だけでなく、冷凍室23側にも内蔵されている。
【0033】
また、エバポレータ16の下方には、ドレンパン19が設けられる。ドレンパン19は、除霜運転によってエバポレータ16で生じる水滴や、エバポレータフロントパネル1の表面で発生する水滴を受ける。
【0034】
次に、エバポレータフロントパネル1について説明する。
エバポレータフロントパネル1は、車両内部側、すなわち冷凍室22及び冷蔵室23側に設置される第1パネル2及び第2パネル3と、エバポレータ16側に設けられる仕切り板10と、吸込み空気と吹き出し空気を隔てる隔壁7などからなる。
【0035】
第1パネル2及び第2パネル3は、例えば平板状の部材である。第1パネル2は、エバポレータフロントパネル1の幅方向の一側に設けられ、第2パネル3は、第1パネル2に隣り合い、かつエバポレータフロントパネル1の幅方向の他側に設けられる。本実施形態では、第1パネル2と第2パネル3は、別部材で構成される。そして、
図1などで示す例では、冷凍室22及び冷蔵室23内部側から見たとき、第1パネル2が左側に位置し、第2パネル3が右側に位置する。その結果、冷凍冷蔵車21のレイアウトは、
図5に示すように、進行方向左側が冷凍室22になり、進行方向右側が冷蔵室23になる。
【0036】
第1パネル2と第2パネル3が別部材であることから、吹出し口5の位置の入れ替えが容易である。すなわち、
図1の場合に対して、第1パネル2と第2パネル3の設置位置を変更するだけで、エバポレータ16からの吹出し位置を変更することができる。この場合、冷凍冷蔵車21のレイアウトは、
図5と異なり、進行方向左側が冷蔵室23になり、進行方向右側が冷凍室22になる。
【0037】
また、別部材である第1パネル2と第2パネル3は、断熱のために、第1パネル2と第2パネル3との間に隙間を設けたり、断熱材を挟み込んだりしてもよい。これにより、第1パネル2と第2パネル3との間の熱伝導を抑えることができ、冷凍室22と冷蔵室23間の熱の損失を抑えることができる。
【0038】
第1パネル2には、吸込み口4と吹出し口5とが形成される。吸込み口4は、冷凍室22内部からエバポレータ16へ供給される空気が通過する開口部である。吸込み口4は、第1パネル2の下部側に形成される。
【0039】
吹出し口5は、エバポレータ16から冷凍室22内部へ供給される空気が通過する開口部である。吹出し口5は、第1パネル2の上部側であって、吸込み口4よりも上方に形成される。また、吹出し口5は、
図3に示すように、エバポレータ16から冷凍室22へ向かって上向きの羽根板が形成される。羽根板の傾斜角度は、水平面に対して例えば26°である。これにより、エバポレータ16から冷凍室22内部へ供給される空気は、上向きに吹き出される。その結果、エバポレータ16側から吹き出された空気が吸込み口4に直接吸い込まれることによるショートサーキットが生じることはない。
【0040】
第2パネル3には、スリット6が形成される。スリット6は、エバポレータフロントパネル1の幅方向に対して平行に形成された開口部である。スリット6は、隔壁7よりも下方に形成される。スリット6は、冷蔵室23内の空気の吸い込み過ぎを防止し、かつ、結露水を確実に吸い込むことができる風速が得られるように細く(例えば3mm程度に)形成される。スリット6の上側には、
図4に示すように、第2パネル3がエバポレータ16側に屈曲された導入板9が形成される。また、スリット6の下方には、冷蔵室23からエバポレータ16に向かって下向きに傾斜した斜板8が設置される。斜板8は、一端が第2パネル3に接しており、他端がドレンパン19の上方に位置する。導入板9と斜板8は、スリット6の長さに対応した長さを有して設けられる。
【0041】
エバポレータフロントパネル1が冷凍冷蔵車21に設置されたとき、エバポレータ16から吹き出された空気がエバポレータフロントパネル1に接触すると、吹出し口5以外の領域では冷凍室22又は冷蔵室23の空気との温度差によってエバポレータフロントパネル1の表面に結露が生じるおそれがある。本実施形態によれば、結露水が生じた場合でも、エバポレータフロントパネル1に設けられた導入板9、スリット6及び斜板8を介して、水滴をエバポレータ16下方のドレンパン19まで導くことができる。したがって、結露水がエバポレータフロントパネル1よりも下方に流れることを防止できる。
【0042】
仕切り板10は、例えば第1パネル2と第2パネル3を合わせた長さを有し、第1パネル2と第2パネル3に対向して設けられる。仕切り板10には、吹出し用開口部11と吸込み用開口部12が形成される。吹出し用開口部11は、エバポレータファン11の開口部の大きさに対応して設けられる。また、吸込み用開口部12は、エバポレータフロントパネル1の幅方向に沿って形成される。
【0043】
吹出し用開口部11は、エバポレータ16から冷凍室22内部へ供給される空気が通過する開口部である。吹出し用開口部11は、仕切り板10の上部側であって、吸込み用開口部12よりも上方に形成される。
【0044】
吸込み用開口部12は、冷凍室22内部からエバポレータ16へ供給される空気が通過する開口部である。吸込み用開口部12は、仕切り板10の下部側に形成される。
【0045】
隔壁7は、
図2〜
図4に示すように、第1パネル2及び第2パネル3のエバポレータ16側にエバポレータフロントパネル1の幅方向に対して平行に設けられる。隔壁7は、
図2に示すように、吸込み口4と吹出し口5の間の位置に形成される。隔壁7が設けられることによって、第1パネル2及び第2パネル3と仕切り板10との間には、空気が流通するダクト空間が形成される。隔壁7よりも上方には、エバポレータ16から冷凍室22内部へ供給される吹出し空気が流通するダクト空間が形成され、隔壁7よりも下方には、冷凍室22内部からエバポレータ16へ供給される吸込み空気が流通するダクト空間が形成される。その結果、エバポレータ16から吹き出される空気は、エバポレータ16に吸い込まれる空気と混ざることなく確実に冷凍室22側に供給される。
【0046】
エバポレータフロントパネル1が冷凍冷蔵車21に取り付けられるとき、エバポレータフロントパネル1の冷凍室22及び冷蔵室23内部側の表面は、
図3及び
図4に示すように、エバポレータフロントパネル1が設置される車両内部の壁30と同一面になる。その結果、
図6に示すように、エバポレータフロントパネル1が冷凍室22及び冷蔵室23側に飛び出さないため、冷凍室22及び冷蔵室23内部の空間の容積を大きく確保することができる。また、エバポレータフロントパネル1の前面に間仕切り壁31が設けられるとき、間仕切り壁31と車両内部の壁31との取り合いが直線になる。したがって、間仕切り壁31に切り欠きなどの加工を施す必要がなく、冷凍冷蔵室1の製造に要する時間やコストを低減できる。
【0047】
本実施形態のエバポレータフロントパネル1が設置されることによって、コンデンサ・エバポレータユニット15内のエバポレータ16で冷却された空気は、まず、エバポレータファン17に吸い込まれ、エバポレータフロントパネル1のダクト空間、すなわち隔壁7よりも上方であって第1パネル2及び第2パネル3と仕切り板10との間の空間に吹き出される。そして、冷却された空気は、該ダクト空間を流通して、第1パネル2に形成された吹出し口5から冷凍室22へ吹き出される。
【0048】
また、冷凍室22内の空気は、エバポレータファン17によって吸込み口4を介してコンデンサ・エバポレータユニット15内に吸い込まれる。このとき、まず、吸い込まれた空気は、エバポレータフロントパネル1のダクト空間、すなわち隔壁7よりも下方であって第1パネル2及び第2パネル3と仕切り板10との間の空間に導入される。そして、吸込み用開口部12を介してエバポレータ16側に吸入される。
【0049】
以上、本実施形態によれば、
図13を用いて説明した従来の冷凍冷蔵車21において、コンデンサユニット32とエバポレータユニット25が離れて設置されている場合と異なり、一体型のコンデンサ・エバポレータユニット15を用いて、
図5に示すように、間仕切り壁31を挟んで冷凍室22と冷蔵室23を進行方向の左側と右側に配置することができる。
【0050】
すなわち、本実施形態のエバポレータフロントパネル1が取り付けられない一体型のコンデンサ・エバポレータユニット15では、エバポレータ16で生成された冷却空気がコンデンサ・エバポレータユニット15の幅方向全長にわたって吹き出されることになる。この場合、エバポレータフロントパネル1の前面に間仕切り壁を設けたとしても、間仕切り壁を挟んで形成される2室とも同一温度になってしまい、それぞれの空間を独立して温度調整することができない。
【0051】
一方、本実施形態のエバポレータフロントパネル1が取り付けられることによって、エバポレータ16で生成された冷却空気は、エバポレータフロントパネル1の一側のみから吹き出される。したがって、
図5及び
図6に示すように、エバポレータフロントパネル1の前面に間仕切り壁31を設けることで、間仕切り壁を挟んで形成される2室を独立して温度調整できる。その結果、温度の異なる冷凍室22と冷蔵室23を進行方向の左側と右側に配置できる。
【0052】
また、
図13の従来例のように、コンデンサユニット32とエバポレータユニット25が離れて設置される場合、冷媒配管の管路が複雑になる。そのため、配管作業が難しく架装に時間が掛かるという問題があった。一方、本実施形態によれば、一体型のコンデンサ・エバポレータユニット15を採用できるため、架装が容易になり、製造に掛かる時間やコストを低減できる。
【0053】
また、エバポレータフロントパネル1のサイズを従来のコンデンサ・エバポレータユニット15のサイズに合わせれば、従来のエバポレータフロントパネルを本実施形態のエバポレータフロントパネル1へ交換するだけで、すでに使用されている車両を、進行方向の左側と右側に冷凍室22と冷蔵室23を備えた車両に簡単に変更できる。
【0054】
更に、エバポレータフロントパネル1は車両の壁30から飛び出さないように設けられるため、冷凍室22及び冷蔵室23の空間を広く確保することができる。例えば、本実施形態では、ダクト空間が第1パネル2及び第2パネル3よりもエバポレータ16側に形成されていることから、冷凍室22及び冷蔵室23内に別途ダクトを設置する必要がなく、ダクトによる飛び出しを無くすことができる。
【0055】
そして、エバポレータフロントパネル1の前面に間仕切り壁31が設けられるとき、間仕切り壁31と車両内部の壁31との取り合いが直線になる。したがって、間仕切り壁31に切り欠きなどの加工を施す必要がなく、冷凍冷蔵室1の製造に要する時間やコストを低減できる。このとき、
図6に示した両方向矢印のように、間仕切り壁31が移動可能な仕様であるときは、気密性を上げることができ、冷気漏れによる温度調整不良を防止できる。
【0056】
また更に、エバポレータフロントパネル1には、結露水をエバポレータ16側に導くスリット6が設けられるため、水滴が冷蔵室23内へ流れることなく、冷蔵室23内部や積荷を濡らしてしまうおそれがなくなる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、
図7及び
図8を参照して、本発明の第2実施形態に係るエバポレータフロントパネル1について説明する。
【0058】
第1実施形態に係るエバポレータフロントパネル1は、縦に2分割されて、一側に第1パネル2が設けられ、他側に第2パネル3が設けられる場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、エバポレータフロントパネル1は、
図8に示すように、縦に3分割されてもよい。
【0059】
まず、
図7を参照して、本発明の第2実施形態に係るエバポレータフロントパネル1が適用される冷凍冷蔵車21について説明する。なお、第1実施形態と重複する構成については、詳細な説明を省略する。
【0060】
冷凍冷蔵車21は、荷箱が冷凍室22、冷蔵室23及び荷室24の3室に分けられる。冷凍室22、冷蔵室23及び荷室24は、維持される温度が異なり、冷凍室22は、冷蔵室23よりも低い温度に保たれる。荷室24は、例えば常温に保たれる。
【0061】
冷凍室22及び冷蔵室23は、進行方向に対して平行に設けられた間仕切り壁31Aによって隔てられ、冷凍室22及び荷室24は、進行方向に対して平行に設けられた間仕切り壁31Bによって隔てられる。そして、荷箱前方の外部に設けられたコンデンサ・エバポレータユニット15からから吹き出された空気が冷凍室22及び冷蔵室23の温度を維持する。この例では、まずコンデンサ・エバポレータユニット15から吹出された空気が冷凍室22を冷却し、その後、間仕切り壁31Aに設置された吹出しファン26によって冷凍室22内の空気が冷蔵室23に送られる。また、冷蔵室23内の空気は、間仕切り壁31に設置された吸込みファン27又はファンなしの換気口を介して冷凍室22に戻される。
【0062】
次に、本実施形態に係るエバポレータフロントパネル1について説明する。
エバポレータフロントパネル1は、車両内部側、すなわち冷凍室22、冷蔵室23及び荷室24側に設置される1枚の第1パネル2及び2枚の第2パネル3と、エバポレータ16側に設けられる仕切り板10と、吸込み空気と吹き出し空気を隔てる隔壁7などからなる。
【0063】
図8に示すように、第1パネル2は、エバポレータフロントパネル1の幅方向の中間に設けられ、2枚の第2パネル3は、第1パネル2に隣り合い、かつエバポレータフロントパネル1の幅方向の両端側にそれぞれ設けられる。本実施形態では、第1パネル2と第2パネル3は、別部材で構成される。そして、
図8で示す例では、冷凍室22及び冷蔵室23内部側から見たとき、第1パネル2が中央に位置し、2枚の第2パネル3が第1パネル2に対して右側と左側にそれぞれ位置する。その結果、冷凍冷蔵車21のレイアウトは、
図7に示すように、進行方向左側が荷室24になり、進行方向中央が冷凍室22になり、進行方向右側が冷蔵室23になる。
【0064】
なお、第1パネル2の位置は、上述した例に限定されず、例えばエバポレータフロントパネル1の幅方向の一端側でもよい。この場合、第2パネル3は、エバポレータフロントパネル1の幅方向の中間や他端側に設けられる。そして、第1パネル2の位置に対応して、冷凍室22の位置が決定される。
【0065】
上記のとおり、本実施形態に係るエバポレータフロントパネル1を設置することにより、進行方向に対して平行に設けられた2枚の間仕切り壁31A、31Bによって荷箱が3室に区切られる場合についても、各室内空間をそれぞれ異なる温度に維持することができる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、
図9を参照して、本発明の第3実施形態に係るエバポレータフロントパネル1について説明する。なお、第1実施形態と重複する構成については、詳細な説明を省略する。
【0067】
第1実施形態に係るエバポレータフロントパネル1では、第2パネル3のスリット6がドレンパン9の底板部分よりも上方にある場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第1実施形態で説明したスリット6よりも下方にスリット51が形成されてもよい。
【0068】
スリット51は、エバポレータフロントパネル1の幅方向に対して平行に形成された開口部である。スリット51の上側には、
図9に示すように、第2パネル3がエバポレータ16側に屈曲された導入板53が形成される。また、スリット51の下方には、冷蔵室23からエバポレータ16に向かって下向きに傾斜した斜板52が設置される。斜板52は、一端が第2パネル3に接している。導入板9と斜板8は、スリット6の長さに対応した長さを有して設けられる。更に、排水管54が、ドレンパン9の下部に設けられる。排水管54の一端は、斜板52の下端に接続され、排水管54の他端側は、コンデンサ・エバポレータユニット15の外部に延設される。
【0069】
本実施形態によれば、スリット6よりも下方で結露水が生じた場合でも、エバポレータフロントパネル1に設けられた導入板53、スリット51及び斜板52を介して、水滴を排水管54まで導くことができる。したがって、結露水がエバポレータフロントパネル1よりも下方に流れることを更に確実に防止できる。
【0070】
(第4実施形態)
次に、
図10〜
図12を参照して、本発明の第4実施形態に係るエバポレータフロントパネル1について説明する。なお、第1実施形態と重複する構成については、詳細な説明を省略する。
【0071】
第1実施形態に係るエバポレータフロントパネル1では、第2パネル3のスリット6よりも上部が平板である場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。第2パネル3は、例えば、
図10に示すように、角形状の凹凸が繰り返された波板41を有し、波板41の下端に開口部42が形成されてもよい。
【0072】
波板41の凸部41aは、冷蔵室23側に位置し、凹部41bは、エバポレータ16側に位置する。凸部41aは、冷蔵室23側に飛び出すことがないように第2パネル3の表面よりもエバポレータ16側に設けられることが望ましい。
【0073】
凸部41a及び凹部42bの稜線方向は、第2パネル3が設置されたとき鉛直方向に対して平行に設けられることで、結露水が開口部42に滴下しやすくなる。
【0074】
本実施形態によれば、第2パネル3の波板41の表面に結露水が生じた場合、波板41、開口部42及び斜板8を介して、水滴をエバポレータ16下方のドレンパン19まで導くことができる。また、第2パネル3が平板ではなく、凹凸面を有することから、波板41に結露水が付着した状態でも、積荷に結露水が接触しにくくなる。
【0075】
なお、本実施形態の第2パネル3に対して、第1実施形態のスリット6や第3実施形態のスリット51を追加してもよい。
【0076】
図10に示した例では、角形状の凹凸が繰り返された波板41であるが、
図11に示すように、曲面形状の凹凸が繰り返された波板43を第2パネル3に用いてもよい。この場合、波板43の下部に開口部44が形成される。波板43の凸部43aは、冷蔵室23側に位置し、凹部43bは、エバポレータ16側に位置する。
【0077】
また、
図12に示すように、溝部45に複数枚の長板46が平行に設置されて、溝部45及び長板46の下部に開口部47が形成されてもよい。溝部45は、板部材であってエバポレータ16側に窪んで形成される。長板46の一端面46aは、冷蔵室23側に位置し、他端面46bは、エバポレータ16側に位置しかつ溝部45の表面と接続される。長板46の長さ方向は、第2パネル3が設置されたとき鉛直方向に対して平行に設けられる。
【0078】
本実施形態の
図12に示す変形例によれば、第2パネル3の溝部45及び長板46の表面に結露水が生じた場合、溝部45、長板46、開口部47及び斜板8を介して、水滴をエバポレータ16下方のドレンパン19まで導くことができる。