特許第6049300号(P6049300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049300
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】顕微鏡システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20161212BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20161212BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   G02B21/00
   G02B21/36
   G01N21/64 E
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-109541(P2012-109541)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-238642(P2013-238642A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸吾
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−069480(JP,A)
【文献】 特開2009−204408(JP,A)
【文献】 特開2011−017658(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/072365(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0250628(US,A1)
【文献】 特開2003−295064(JP,A)
【文献】 特開2003−021791(JP,A)
【文献】 特開平08−179218(JP,A)
【文献】 特開2006−153691(JP,A)
【文献】 特開2007−122140(JP,A)
【文献】 特開2005−331887(JP,A)
【文献】 欧州特許第01598688(EP,B1)
【文献】 特開2005−351703(JP,A)
【文献】 特開2009−199485(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0179892(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0095329(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0137030(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0106791(US,A1)
【文献】 米国特許第05604854(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00
G01N 21/64
G02B 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本から発せられる複数の観察光を複数のグループに分け、これら複数のグループの撮影を顕微鏡により順番に実行する顕微鏡システムであって、
前記顕微鏡に備えられ前記観察光を撮影する複数の光検出器と、
前記複数のグループの撮影順番と各前記観察光の撮影に用いられる前記光検出器とをユーザに設定させる撮影条件設定手段と、
該撮影条件設定手段に設定された内容に従って前記顕微鏡に前記観察光の撮影を実行させる制御部とを備え、
前記撮影条件設定手段は、縦軸および横軸のうち一方に前記複数のグループにそれぞれ対応する複数の項目が、他方に前記複数の光検出器にそれぞれ対応する複数の項目が表示され、一の前記グループおよび一の前記光検出器にそれぞれ対応付けられた複数のセルがマトリクス状に配列されたテーブルを有し、前記セルに各前記観察光の撮影を示す撮影項目が設定され
前記一のグループおよび前記一の光検出器と交差する個々のセルに対し、前記撮影項目が設定されて選択状態に設定されることによって対応する前記光検出器による撮影の実行が設定され、前記撮影項目が設定されずに非選択状態に設定されることによって対応する光検出器による撮影の非実行が設定される顕微鏡システム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記光検出器の前段に設けられ前記観察光を波長毎に分散させる回折格子を備え、
前記少なくとも1つの光検出器が、前記回折格子によって分散された前記観察光の分散方向に沿って配列され、前記回折格子によって分散された各波長の光を検出する複数の検出チャンネルを備え、
前記少なくとも1つの光検出器と対応する前記セルは、前記他方の軸に沿う方向に前記複数の検出チャンネルと同一の数のサブセルに分割されている請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項3】
前記撮影条件設定手段は、複数の前記サブセルのうち一部のサブセルをグループ化し、グループ化された複数のサブセルに各前記撮影項目を設定させる請求項2に記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記撮影条件設定手段は、前記撮影項目が設定されている前記複数のサブセルの輪郭が前記他方の軸方向に拡大および縮小可能であり、前記輪郭の拡大または縮小に応じて前記グループ化された複数のサブセルの数を変更する請求項3に記載の顕微鏡システム。
【請求項5】
前記撮影条件設定手段が、前記観察光が蛍光である前記撮影項目について、前記蛍光の励起光の波長と対応するサブセルを他のサブセルとは異なる表示態様で表示する請求項2から請求項4のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項6】
前記撮影条件設定手段は、前記サブセルに設定されている前記撮影項目が他のサブセルにドラッグアンドドロップ操作されたときに、当該撮影項目をドロップ先のサブセルに再設定する請求項2から請求項5のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項7】
前記撮影条件設定手段は、同一のセル内において、複数の前記撮影項目を共通のサブセルに重複して設定することを禁止する請求項2から請求項6のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項8】
少なくとも1つの前記光検出器の前段に設けられ前記観察光を波長毎に分散させる回折格子と、
該回折格子によって分散される前記観察光の分散方向に移動可能に設けられ、前記回折格子によって分散された各波長の光のうち前記光検出器へ通過させる光を選択する可動スリットとを備え、
前記少なくとも1つの光検出器と対応する前記セルは、前記可動スリットにより選択される光の波長と対応する波長が前記他方の軸に沿って表示されている請求項1に記載の顕微鏡システム。
【請求項9】
前記撮影条件設定手段は、前記セルに設定されている前記撮影項目が他のセルにドラッグアンドドロップ操作されたときに、当該撮影項目をドロップ先のセルに再設定する請求項1から請求項8のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項10】
前記撮影条件設定手段は、前記セルに設定されている前記撮影項目が、前記一方の軸方向に隣接する前記セル同士の間または前記一方の軸の外側にドラッグアンドドロップ操作されたときに、前記セル同士の間または前記テーブルの末尾にセルを追加し、追加したセルに当該撮影項目を再設定する請求項1から請求項9のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項11】
前記撮影条件設定手段は、前記セルに設定されている各撮影項目について前記制御部による実行の有無が選択可能であり、前記撮影項目が設定されている前記セルを実行の有無に応じて互いに異なる表示態様で表示する請求項1から請求項10のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【請求項12】
前記撮影条件設定手段は、前記セルに設定されている全ての撮影項目について前記制御部によるシーケンシャル撮影の実行の有無が選択可能であり、シーケンシャル撮影を実行しないことが選択された場合に、前記セルに設定されている全ての前記撮影項目を同一の前記グループに再設定する請求項1から請求項11のいずれかに記載の顕微鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、標本から発せられる複数の観察光を複数のグループに分け、各グループの観察光を時差を設けて順番に撮影する顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。このような顕微鏡によれば、光検出器の数よりも多い数の観察光を撮影することができる。また、複数の観察光の波長帯域が互いに重複する場合に、これら複数の観察光を別々のグループに振り分けることにより、各観察光をクロストークなく撮影することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−295064号公報
【特許文献2】特開2001−356272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の観察光をグループ化する際には様々な条件を考慮しなければならない。例えば、観察光の波長が、光検出器の仕様、例えば、感度や最適な波長帯域などに適合するように、観察光と光検出器との組み合わせを決定する必要がある。また、複数の観察光を同一のグループに振り分ける場合には、別々の光検出器に適合し、かつ、クロストークのない波長の観察光同士を組み合わせなければならない。このように、ユーザは、様々な条件が同時に満たされるように観察光をグループ化しなければならず、グループの設定を容易に行うことができないという不都合がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、複数の観察光を複数にグループ化してグループ単位で順番に撮影する際のグループ化を容易に行うことができる顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、標本から発せられる複数の観察光を複数のグループに分け、これら複数のグループの撮影を顕微鏡により順番に実行する顕微鏡システムであって、前記顕微鏡に備えられ前記観察光を撮影する複数の光検出器と、前記複数のグループの撮影順番と各前記観察光の撮影に用いられる前記光検出器とをユーザに設定させる撮影条件設定手段と、該撮影条件設定手段に設定された内容に従って前記顕微鏡に前記観察光の撮影を実行させる制御部とを備え、前記撮影条件設定手段は、縦軸および横軸のうち一方に前記複数のグループにそれぞれ対応する複数の項目が、他方に前記複数の光検出器にそれぞれ対応する複数の項目が表示され、一の前記グループおよび一の前記光検出器にそれぞれ対応付けられた複数のセルがマトリクス状に配列されたテーブルを有し、前記セルに各前記観察光の撮影を示す撮影項目が設定され、前記一のグループおよび前記一の光検出器と交差する個々のセルに対し、前記撮影項目が設定されて選択状態に設定されることによって対応する前記光検出器による撮影の実行が設定され、前記撮影項目が設定されずに非選択状態に設定されることによって対応する光検出器による撮影の非実行が設定される顕微鏡システムを提供する。
【0007】
本発明によれば、ユーザによって撮影条件設定手段に設定された撮影条件に従って制御部が顕微鏡を制御することにより、標本から発せられる複数の観察光を複数のグループに分けて順番に撮影することができる。
【0008】
この場合に、ユーザは、撮影条件設定手段が有するテーブルに撮影条件として、各観察光を割り当てるグループおよび各観察光の撮影に使用する撮影部を設定する。このテーブルにおいて、同一のグループに属する撮影項目は同一の行または列に表示され、同一の撮影部を用いる撮影項目は同一の列または行に表示される。したがって、ユーザは、複数の観察光の撮影がどのような組み合わせで同一グループに割り当てられているか、また、いずれの観察光の撮影にいずれの撮影部が割り当てられているかを、テーブルから視覚的に容易に把握することができ、観察光のグループ化を容易に行うことができる。
【0009】
上記発明においては、少なくとも1つの前記光検出器の前段に設けられ前記観察光を波長毎に分散させる回折格子を備え、前記少なくとも1つの光検出器が、前記回折格子によって分散された前記観察光の分散方向に沿って配列され、前記回折格子によって分散された各波長の光を検出する複数の検出チャンネルを備え、前記少なくとも1つの光検出器と対応する前記セルは、前記他方の軸に沿う方向に前記複数の検出チャンネルと同一の数のサブセルに分割されていてもよい。
【0010】
このようにすることで、撮影部として複数の検出チャンネルを有する光検出器を用いる場合に、各検出チャンネルと対応してサブセルがテーブルに表示されているので、ユーザは、各観察光の検出に用いる検出チャンネルを視覚的に容易に設定することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記撮影条件設定手段は、複数の前記サブセルのうち一部のサブセルをグループ化し、グループ化されたサブセル群に1つの前記撮影項目が設定されるように構成されていてもよい。
このようにすることで、複数の検出チャンネルを用いて1つの観察光を検出することとなる。ここで、グループ化するサブセルを変更することにより各観察光の検出に用いる検出チャンネルの検出波長帯域を容易に変更することができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記撮影条件設定手段は、前記撮影項目が設定されている前記複数のサブセルの輪郭が前記他方の軸方向に拡大および縮小可能であり、前記輪郭の拡大または縮小に応じて前記グループ化された複数のサブセルの数を変更してもよい。
このようにすることで、各撮影項目が設定されているサブセルの数を、これらサブセルの輪郭を拡大・縮小することにより変更し、それにより各観察光の撮影に用いられる検出チャンネルの数を容易に変更することができる。
【0013】
前記撮影条件設定手段が、前記観察光が蛍光である前記撮影項目について、前記蛍光の励起光の波長と対応するサブセルを他のサブセルとは異なる表示態様で表示してもよい。
このようにすることで、観察光が蛍光である場合に、該蛍光を励起するために標本に照射されて標本において反射された励起光の反射光がいずれの検出チャンネルに入射されるかがユーザに対して提示される。したがって、ユーザは、励起光と対応するサブセルとは重複しないように撮影項目を設定するサブセルを選択することにより、観察光を励起光と分離して撮影することができる。
【0014】
また、上記発明においては、前記撮影条件設定手段は、前記サブセルに設定されている前記撮影項目が他のサブセルにドラッグアンドドロップ操作されたときに、当該撮影項目をドロップ先のサブセルに再設定しもよい。
このようにすることで、観察光の検出に用いる検出チャンネルの設定を容易に変更することができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記撮影条件設定手段は、同一のセル内において、複数の撮影項目を共通のサブセルに重複して設定することを禁止してもよい。
このようにすることで、複数の観察光の検出に同一の検出チャンネルが用いられることを未然に防ぐことができる。
【0016】
また、上記発明においては、少なくとも1つの前記光検出器の前段に設けられ前記観察光を波長毎に分散させる回折格子と、該回折格子によって分散される前記観察光の分散方向に移動可能に設けられ、前記回折格子によって分散された各波長の光のうち前記光検出器へ通過させる光を選択する可動スリットとを備え、前記少なくとも1つの光検出器と対応する前記セルは、前記可動スリットにより選択される光の波長と対応する波長が前記他方の軸に沿って表示されていてもよい。
【0017】
このようにすることで、回折格子によって波長毎に分散された観察光の一部を可動スリットによって選択して撮影部により撮影する構成において、可動スリットにより選択される波長と対応してセルに波長が表示されているので、ユーザは、可動スリットにより選択する波長を視覚的に容易に設定することができる。
【0018】
また、上記発明においては、前記撮影条件設定手段は、前記セルに設定されている前記撮影項目が他のセルにドラッグアンドドロップ操作されたときに、当該撮影項目をドロップ先のセルに再設定してもよい。
このようにすることで、テーブルに既に設定されている撮影項目の設定を容易に変更することができる。
【0019】
また、上記発明においては、前記撮影条件設定手段は、前記セルに設定されている前記撮影項目が、前記一方の軸方向に隣接する前記セル同士の間または前記一方の軸の外側にドラッグアンドドロップ操作されたときに、前記セル同士の間または前記テーブルの末尾にセルを追加し、追加したセルに当該撮影項目を再設定してもよい。
このようにすることで、簡単な操作でセルを必要に応じて追加することができる。
【0020】
また、上記発明においては、前記撮影条件設定手段は、前記セルに設定されている全ての撮影項目について前記制御部によるシーケンシャル撮影の実行の有無が選択可能であり、シーケンシャル撮影を実行しないことが選択された場合に、前記セルに設定されている全ての前記撮影項目を同一の前記グループに再設定してもよい。
このようにすることで、シーケンシャル撮影をしないこととした場合には、撮影項目をユーザの操作によって再設定する必要が無く、使い勝手をより向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の観察光を複数にグループ化してグループ単位で順番に撮影する際のグループ化を容易に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡システムの全体構成図である。
図2】(a)〜(d)は、図1の顕微鏡システムのGUIが有するテーブルおよびテーブルに対する各操作を説明する図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡システムの全体構成図である。
図4】(a)〜(e)は、図3の顕微鏡システムのGUIが有するテーブルおよびテーブルに対する各操作を説明する図である。
図5図3の顕微鏡システムのGUIが有するテーブルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る顕微鏡システム1について図1および図2を参照して説明する。
本実施形態に係る顕微鏡システム1は、図1に示されるように、レーザ走査型顕微鏡本体(以下、本体という。)2とコンピュータシステム3とを備えている。
【0024】
本体2は、3つのレーザ光源4,5,6と、該レーザ光源4,5,6からのレーザ光を標本S上において走査する走査ユニット7と、標本Sからの観察光を検出する2つの光検出器8,9と、コンピュータシステム3から受け取った制御信号に従って観察光の撮影を実行するコントロールユニット10とを主な構成として備えている。
【0025】
本実施形態においては、標本Sが蛍光色素であるFITC、PIおよびCy5によって3重染色され、これら蛍光色素から発せられた蛍光(観察光)を撮影する場合を想定している。すなわち、これら3つ蛍光色素の励起用のレーザ光源4,5,6として、Arレーザ、HeNe−Greenレーザ、HeNe−Redレーザが備えられている。これらレーザ光源4,5,6から出力されたレーザ光は、ミラーM1および2つのダイクロイックミラーDM1,DM2によって単一の光路に合成された後、ミラーM2によって偏向され、分光フィルタF1を介して走査ユニット7に入力される。
【0026】
走査ユニット7は、図示しないガルバノミラーを有し、コントロールユニット10からの制御信号に基づいてガルバノミラーを駆動することにより、対物レンズ11を通して標本Sに集光されたレーザ光を走査する。標本S上を走査されるレーザ光によって標本Sから発生した蛍光は、入射した光路を逆方向に戻り、分光フィルタF1により反射され、分光フィルタF2に入力される。
【0027】
分光フィルタF2は、蛍光を波長によって分割し、比較的短波長の蛍光をバリアフィルタBF1に入力し、比較的長波長の蛍光をミラーM3を介してバリアフィルタBF2に入力する。各蛍光は、これらバリアフィルタBF1,BF2でさらに波長選択され、光検出器8,9に入力される。光検出器8,9は、受光した蛍光の強度を電気信号に変換し、コントロールユニット10に出力する。コントロールユニット10は、光検出器8,9からの電気信号を標本Sの画像情報としてコンピュータシステム3に転送する。
【0028】
ここで、分光フィルタF2およびバリアフィルタBF1,BF2は、互いに異なる特性を有するものが複数回転ターレットに搭載されている。そして、コントロールユニット10からの制御指示によってターレットが回転することで、光路に配置される分光フィルタF2およびバリアフィルタBF1,BF2の特性が切り替えられるようになっている。
【0029】
コンピュータシステム3は、CPU12と、記憶媒体13と、モニタ14と、入力手段としてのキーボード15およびマウス16とを備えている。記憶媒体13には、本体2による撮影条件を設定するためのアプリケーションプログラムが記憶されており、CPU12が記憶媒体13からこのアプリケーションプログラムを読み出して実行させる。
【0030】
このアプリケーションプログラムは、3つの蛍光が振り分けられるグループと2つの光検出器とが対応付けて設定されたテーブルをモニタ14に表示すると共に、入力手段によってテーブルに撮影項目の登録をユーザに行わせるグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI、撮影条件設定手段)を備えている。ユーザは、入力手段を用いてテーブルに撮影項目を登録し、または、既に登録されている撮影項目の条件を変更することによりテーブルを書き換えることができる。CPU12は、GUIによって撮影項目が書き込まれたテーブルを記憶装置13から読み出し、該テーブルに設定された条件で撮影を実行させるための制御信号を本体2のコントロールユニット10に送信する。これにより、テーブルに設定された条件で本体2による蛍光の撮影が実行されるようになっている。
【0031】
以下、このテーブルとGUIによる操作について詳細に説明する。
GUIは、図2(a)に示されるように、本体2による蛍光の撮影条件を設定するためのテーブルを有している。該テーブルは、マトリクス状に配列された複数(本実施形態においては2×2)のセルを有し、横軸には2つの光検出器8,9に対応した項目として「第1光検出器」および「第2光検出器」が表示され、縦軸には3つの蛍光が割り当てられるグループに対応した項目として「第1グループ」および「第2グループ」が表示されている。各セルには、各蛍光に対応して「FITC」、「PI」および「Cy5」のうちいずれか1つの撮影項目が入力手段を用いて登録可能となっている。
【0032】
図2(a)においては、「第1グループ」に属するセルのうち、「第1光検出器」に対応するセルに「FITC」が設定され、「第2光検出器」に対応するセルに「PI」が登録されている。また、「第2グループ」に属するセルのうち、「第2光検出器」に対応するセルに「Cy5」が登録されている。これは、3つの蛍光のうちFITCとPIの蛍光が第1グループとして最初に撮影され、次いでCy5の蛍光が第2グループとして撮影されることを意味している。また、第1グループにおいて、FITCの蛍光は第1光検出器8によって、PIの蛍光は第2光検出器9によってそれぞれ撮影され、第2グループにおいて、Cy5の蛍光は第2光検出器9によって撮影されることを意味している。
【0033】
GUIは、既にセルに登録されている撮影項目について、入力手段を用いて別のセルに変更可能に構成されている。例えば、ユーザが、撮影項目である「Cy5」を選択し、選択した「Cy5」をテーブルの欄外である真下にドラッグすると、GUIは、第2グループの直下に「第3グループ」として新たな行を追加し、「Cy5」を「第3グループ」のうちの「第2光検出器」のセルに再設定するようになっている。
【0034】
続けて、ユーザは、「PI」を選択し、空となった直下段のセルに「PI」をドラッグアンドドロップすることにより、図2(b)に示されるように、「Cy5」と「PI」が登録されるセルを1行ずつ下方にずらすことができる。さらに、「Cy5」を選択して最上行にドラッグアンドドロップすることにより、図2(c)に示されるように、図2(a)に示される状態から「Cy5」と「PI」が登録されるセルを入れ替えることができる。以上のように撮影項目が設定されるセルを行方向に変更することにより、各蛍光の撮影を実行するグループを変更することができる。
【0035】
さらに、GUIは、同一のグループ内において横軸方向にも撮影項目が設定されるセルを変更可能に構成されている。例えば、ユーザは、図2(d)に示されるように、「PI」を選択して隣のセルにドラッグアンドドロップすることにより、PIの蛍光の撮影に用いる光検出器を、第2光検出器9から第1光検出器8に変更することができる。
【0036】
ここで、GUIは、既に撮影項目が登録されているセルに他の撮影項目を設定することを禁止するようになっている。例えば、GUIは、図2(c)に示されるように、「Cy5」が選択されているとき、既に「PI」および「FITC」が登録されているセルに「Cy5」を再設定することを禁止し、禁止されているセルに「Cy5」がドロップされたとしてもその変更を受け付けないようになっている。
なお、図2(b)〜(d)において、太線で囲まれているセルは、入力手段によって現在選択されている操作対象のセルを示している。
【0037】
次に、このように構成された顕微鏡システム1の作用について説明する。
ユーザは、まず、コンピュータシステム3により、FITC、Cy5およびPIの蛍光の撮影条件として、各蛍光を撮影するグループと光検出器とを設定する。具体的には、モニタ14に表示されているテーブル内のセルに、キーボード15およびマウス16を用いて撮影項目を登録する。このときに、ユーザは、3つの蛍光のうち2以上を同時に撮影したい場合には、2以上の蛍光を同一のグループの別々の光検出器に対応するセルに登録する。撮影項目が登録されたテーブルの情報は、CPU14から本体2のコントロールユニット10に送信される。
【0038】
本体2は、テーブルに設定された条件に基づき、レーザ光源4,5,6と、フィルタF2,BF1,BF2と、光検出器8,9とを制御する。例えば、図2(a)のように撮影項目が登録された場合、本体2は、まず、第1グループの撮影を実行する。すなわち、バリアフィルタF1をFITCの蛍光波長に合わせ、もう1つのバリアフィルタBF2をPIの蛍光波長に合わせ、レーザ光源(Arレーザ)4とレーザ光源(HeNe−Green)5とをオンにする。そして、FITCの蛍光およびPIの蛍光を、第1光検出器8および第2光検出器9によってそれぞれ同時に撮影する。
【0039】
次に、本体2は、第2グループの撮影を実行する。すなわち、第2のバリアフィルタBF2をCy5の蛍光波長に合わせ、レーザ光源(HeNe−Redレーザ)をオンにする。そして、Cy5の蛍光を第2光検出器9によって撮影する。本体2によって取得された各蛍光の画像情報はコンピュータシステム3に送信され、該コンピュータシステム3が画像情報から蛍光画像を生成する。
【0040】
この場合に、本実施形態によれば、3つの蛍光がどのような組み合わせで各グループに割り当てられ、さらに各蛍光の撮影にいずれの光検出器8,9が用いられるかを、ユーザは、テーブルから視覚的に容易に把握することができるという利点がある。また、ユーザは、3つの蛍光の撮影の順番や各蛍光の撮影に用いる光検出器8,9を変更する場合に、図2(b)〜(d)に示されるように、各撮影項目を入力手段を用いてドラッグアンドドロップするだけでよい。この場合も、モニタ14に表示されているテーブルから撮影条件を視覚的に容易に把握できるので、設定の変更を容易にかつ正確に行うことができるという利点がある。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る顕微鏡システム1’について図3から図5を参照して説明する。なお、上述した第1の実施形態に係る顕微鏡システム1と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態に係る顕微鏡システム1’は、光検出器の構成およびモニタ14に設定されているテーブルが主に第1の実施形態と異なっている。
【0042】
本体2’は、図3に示されるように、試料Sを透過した光を第1光検出器8によって検出することによりDIC(微分干渉コントラスト)画像情報を取得し、対物レンズ11によって集光された蛍光を第2光検出器20によって検出することにより3つの蛍光の画像情報を取得する構成となっている。
【0043】
すなわち、第1光検出器8は、標本Sを間に挟み対物レンズ11とは反対側に配置されている。また、第2光検出器20として、一列に並んだ32個の検出チャンネルを有し、3つの蛍光を共通に検出するマルチチャンネルフォトマルチプライヤ(以下、マルチチャンネルPMT20ともいう。)が備えられている。マルチチャンネルPMT20の前段には、ミラーM4によって反射されてきた蛍光を検出チャンネルの配列方向に沿って分散する回折格子21が備えられている。
【0044】
回折格子21によって波長毎に分散された光は、32個の検出チャンネルのうちその波長に対応した位置に配されている一の検出チャンネルに入射する。本実施形態においては、各検出チャンネルに入射する光の波長の幅は10nmとされ、マルチチャンネルPMT20は、430nmから750nmまでの波長の光を10nmの分解能で検出するように構成されている。
【0045】
GUIが備えるテーブルは、図4(a)に示されるように、横軸に光検出器8,20に対応した項目が表示され、縦軸にグループに対応した項目が表示されている。そして、マルチチャンネルPMT20に対応する列のセルは、該マルチチャンネルPMT20が有する32個の検出チャンネルに対応して横軸方向に32個のサブセルに分割されている。
【0046】
これら32個のサブセルは、各撮影項目と対応付けられている。例えば、「FITC」は、FITCの蛍光が入射する位置の、検出波長500nm〜530nmの検出チャンネルに対応する3つのサブセルと対応付けられている。同様に、「PI」は検出波長550nm〜620nmに対応する7個のサブセルと対応付けられ、「Cy5」は検出波長650nm〜750nmに対応する10個のサブセルと対応付けられている。GUIは、入力手段により撮影項目が選択されると、選択された撮影項目と対応付けられているサブセルに当該撮影項目を登録するように構成されている。
【0047】
ここで、GUIは、複数の撮影項目が選択されたときに、同一のレーザ光源4,5,6を撮影に用いる撮影項目を同一のグループに割り当て、異なるレーザ光源4,5,6を撮影に用いる撮影項目を別のグループに割り当てる。そして、撮影項目として、第1光検出器8を用いる撮影項目、本実施形態においては「DIC」が選択されたときには、該「DIC」を、選択されている蛍光の撮影項目のうち最も長波長側のサブセルと対応付けられている撮影項目と同一のグループに割り当てるようになっている。
【0048】
また、GUIは、撮影項目として蛍光の撮影を示す「FITC」、「PI」および「Cy5」が選択されたときに、各蛍光に対する励起光の波長(すなわち、レーザ光源4,5,6が出力するレーザ光の波長)と対応するサブセルを、他のサブセルとは異なる表示態様で表示するようになっている。図4(a)〜図4(d)においては、励起光の波長と対応するサブセルが黒色で表示されている。
【0049】
GUIは、以上のように各撮影項目に対して予め設定されているサブセルを入力手段を用いて変更可能となっている。
具体的には、GUIは、セルに登録されている撮影項目が入力手段により選択されると、当該撮影項目が登録されているセルの輪郭を横軸方向に変形可能とし、変形後の輪郭内に含まれるサブセルに撮影項目を再登録する。これにより、ユーザは、マウス16を用いて輪郭内に所望の数のサブセルが含まれるように輪郭を拡大または縮小することにより、各撮影項目が登録されるサブセルの数を変更することができる。図4(b)においては、図4(a)に示される設定から、「FITC」が登録されるサブセルが4個増加されている。
【0050】
このようにすることで、蛍光が微弱である場合には、サブセルの数を長波長側に増加させてマルチチャンネルPMT20による受光量を増加し、反対にFITCの蛍光が強い場合には、サブセルの数を減少させてマルチチャンネルPMT20による受光量を減少させることにより、コンピュータシステム3により生成される蛍光画像のコントラストを調節することができる。
【0051】
また、GUIは、セルに登録されている撮影項目が入力手段により選択されると、当該撮影項目を横軸方向に移動可能とし、移動先のサブセルに撮影項目を再登録する。これにより、ユーザは、マウス16を用いて各蛍光の撮影に用いられる検出チャンネルを変更することができる。図4(b)においては、図4(a)に示される設定から、「PI」が登録されている7個のサブセルが、右側に1つ移動されている。
このようにすることで、励起光が入射する検出チャンネルから十分に離れた位置の検出チャンネルを蛍光の検出に用いるように設定を変更することができる。
【0052】
また、GUIは、第1の実施形態と同様に、各撮影項目が登録されるセルまたはサブセルを入力手段を用いて変更可能に構成されている。例えば、ユーザは、図4(c)に示されるように、「FITC」を第1グループから第3グループにドラッグアンドドロップすることにより、FITCの蛍光を撮影するグループを変更することができる。
【0053】
ここで、GUIは、既に撮影項目が登録されているサブセルに、別の撮影項目が重複して登録されることを禁止する。例えば、図4(b)において、「FITC」と「PI」とが登録されているサブセルのうち一部が重複している。したがって、もし、ユーザが「FITC」を第1グループから第2グループへドラッグアンドドロップしたとしても、GUIは、その操作を受け付けないようになっている。
【0054】
次に、このように構成された顕微鏡システム1’の作用について説明する。
ユーザは、まず、コンピュータシステム3により、例えば、モニタ14に表示されているGUI画面内のプルダウンリストから、撮影項目を選択する。本実施形態においては、「FITC」、「PI」、「Cy5」および「DIC」を選択することとする。これにより、GUIは、図4(a)に示されるように、テーブルのセルに4つの撮影項目を登録する。ユーザは、最初にテーブルに提示された図4(a)の設定に対して、図4(b)〜(d)に示されるような変更を適宜加えることができる。
【0055】
本体2’は、テーブルに設定された条件に基づき、レーザ光源4,5,6と、光検出器8,20とを制御する。例えば、図4(a)のように撮影項目が設定された場合、本体2’は、まず、レーザ光源(Arレーザ)4をオンにし、第1グループであるFITCの蛍光を第2光検出器20によって撮影する。次に、本体2’は、レーザ光源(HeNe−Green)5をオンにし、第2グループであるPIの蛍光を第2光検出器20によって撮影する。
【0056】
次に、本体2’は、レーザ光源(HeNe−Redレーザ)6をオンにし、第3グループであるCy5の蛍光と標本Sの微分干渉像とを第1光検出器8および第2光検出器20によってそれぞれ同時に撮影する。本体2’によって取得された4つの画像情報はコンピュータシステム3に送信され、該コンピュータシステム3が画像情報から蛍光画像および微分干渉画像を生成する。
【0057】
このように、本実施形態によれば、第1の実施形態における効果に加えて、ユーザが撮影項目を選択するだけで、複数の撮影項目が適切にグループ化されるので、ユーザに必要とされる操作をさらに省くことができるという利点がある。
【0058】
なお、本実施形態においては、複数のグループを時差を設けて順番に撮影するシーケンシャル観察を行う場合について説明したが、GUIによりシーケンシャル観察の有効と無効とを選択可能とされていてもよい。GUIは、シーケンシャル観察が無効とされた場合に、図4(e)に示されるように、複数にグループ化されていた撮影項目を1つのグループにまとめる。
【0059】
また、本実施形態においては、テーブルに登録された各撮影項目について、本体2’による撮影の実行の有無を選択可能とされていてもよい。例えば、モニタ14に表示されるGUI画面に、各撮影項目の実行の有無が入力される図示しない欄が設けられている。GUIは、実行の「有」が選択された撮影項目をテーブルに表示する。一方、GUIは、実行の「無」が選択された撮影項目を、「有」が選択された撮影項目とは別の表示態様、例えば、別の色でテーブルに表示する。
【0060】
また、本実施形態においては、回折格子21によって分散された各波長の光を複数の検出チャンネルによって別々に検出することとしたが、これに代えて、回折格子21によって分散された光のうち一部の波長の光を可動スリットにより選択的に透過させ、該可動スリットを透過した光を共通の光検出器によって検出することとしてもよい。
この場合、第2光検出器に対応する列のセルには、図5に示されるように、可動スリットにより選択される波長に対応した波長が横軸方向に表示される。そして、各観察項目は、蛍光の波長帯域と対応する横軸方向の位置に登録される。
【符号の説明】
【0061】
1,1’ 顕微鏡システム
2 レーザ走査型顕微鏡本体(顕微鏡)
3 コンピュータシステム
4,5,6 レーザ光源
7 走査ユニット
8,9 光検出器(撮影部)
10 コントロールユニット(制御部)
11 対物レンズ
12 CPU
13 記憶媒体
14 モニタ
15 キーボード
16 マウス
20 マルチチャンネルフォトマルチプライヤ(撮影部)
21 回折格子
S 標本
図1
図2
図3
図4
図5