(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049306
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】グラップル装置
(51)【国際特許分類】
E02F 3/40 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
E02F3/40 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-120165(P2012-120165)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-245484(P2013-245484A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年1月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.発行日 :平成24年4月17日及び平成24年5月9日 刊行物名 :日刊木材新聞 公開者 :株式会社室戸鉄工所 新聞記事の内容:グラップル・アタッチメント1号機の公開記事
(73)【特許権者】
【識別番号】591117402
【氏名又は名称】株式会社室戸鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】西岡 敬雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 篤史
【審査官】
竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0129066(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/043888(WO,A1)
【文献】
特開昭60−208564(JP,A)
【文献】
特開2003−190830(JP,A)
【文献】
米国特許第05971455(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/28−3/413
A01G 23/06−23/14
B66C 1/00−3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のブーム先端に装着するグラップル装置であって、
グラップル装置は対向配置した第1掴み爪と第2掴み爪とを有し、且つ、閉じた際には一方の掴み爪が他方の掴み爪の内側に入り込むように開閉制御する開閉手段を有し、
前記第1及び第2掴み爪は、前記開閉手段の両側にそれぞれ連結した基端ピンと、当該基端ピンの両側から略弓形状に延在させた一対の側爪を有し、
前記一対の側爪の間は当該側爪と平行な複数の略弓形状の縦格子と、当該縦格子間を連結した複数の横格子とからなる格子形状になっており、前記第1及び第2掴み爪の幅は800〜1200mmであり、前記縦格子及び横格子の間隔が100〜250mmの範囲に設定されていることを特徴とするグラップル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパワーショベル等の建設機械のブーム先端に装着し、木材の荷役作業、建築物の解体作用や重量物の運搬作用に使用するグラップル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グラップル装置は、例えば
図5に示すように旋回装置20の下側に対向する一対の掴み爪111,112を有し、旋回装置の上部に第1取付ピン孔21と第2取付ピン孔22を有する。
第1取付ピン孔21及び第2取付ピン孔22には第1及び第2取付ピン21a,22aを取り付ける。
建設機械のブームの先端は、アーム1及びフロントリンク2とアタッチメントカプラ3とを、その前後方向2ヶ所にて軸着する。
このアタッチメントカプラに設けた装着凹部3a及び3bに前記第1及び第2取付ピンをそれぞれ装着することで、グラップル装置が上下及び回動操作可能になっている。
また、アーム1の先端にグラップル装置を直接的に取り付ける場合もある。
林業の分野では、これまで所定の長尺に切り出した木材をグラップルし、運搬車両に積荷及び荷おろしするのに使用されてきたので、従来のグラップル装置は
図5(a)に示すように側面視弓形状のフレーム枠状の掴み爪111,112となっていた。
また、木材を1本又は数本毎に囲むので掴み爪のW
0の寸法も約500〜700mm程度が一般的であった。
しかし、近年長尺の丸太木材の荷役だけでなく、従来は林地に残されていた短い丸太や端材等の残材もダンプ等に積み込んで林地の環境を保つことが要求されるようになってきた。
また、災害復旧現場においてもガレキや残材の速やかな荷役処理が要求されている。
ところが従来の掴み爪は
図5(a)に示したようにフレーム枠状になっているために、短い丸太残材や端材を掴もうとしても枠の空間部111a,112aからこぼれ落ちてしまい荷役作業が大変であった。
また、特許文献1に示すようなグラップル付バケット装置のようにバケットとグラップルを組み合せたものであってもグラップルがフレーム枠状になっているので、フレーム枠の内側から短い残材等がこぼれ落ちる問題は同じであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−036355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、林地の短い残材等の短尺材であっても荷役作業が容易で積み込み効率の高いグラップル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、建設機械のブーム先端に装着するグラップル装置であって、グラップル装置は対向配置した第1掴み爪と第2掴み爪とを有し、且つ、閉じた際には一方の掴み爪が他方の掴み爪の内側に入り込むように開閉制御する開閉手段を有し、
前記第1及び第2掴み爪
は、前記開閉手段
の両側にそれぞれ連結した基端ピンと、当該基端ピンの両側から略弓形状に延在させた一対の側爪を有し、前記一対の側爪の間は当該側爪と平行な複数の略弓形状の縦格子と、当該縦格子間を連結した複数の横格子とからなる格子形状になって
おり、前記第1及び第2掴み爪の幅は800〜1200mmであり、前記縦格子及び横格子の間隔が100〜250mmの範囲に設定されていることを特徴とする。
本明細書ではグラップルの先端を下にし、基端側を上にした状態にて縦方向及び横方向を表現し、掴み爪を構成する一対の側爪間を幅方向と表現する。
【0006】
本発明において、掴み爪の一対の側爪間を格子形状にしたのは短い丸太等が従来のフレーム枠の内側からこぼれ落ちるのを防止しつつ、小石や岩及び土等を格子の隙間から落とし、それらの混入を抑えるためである。
【0007】
短い残材を効率良く掴み込むには従来の掴み爪の500〜700mmからなる幅寸法では不充分であり本発明においては、第1及び第2掴み爪の幅寸法が800〜1200mmであるのが好ましい。
また、小石等の混入を防止するには、格子形状の格子間隔が100〜250mmであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るグラップル装置は掴み爪の幅方向内側を格子形状にしたので林地の短い丸太等の残材であっても掴み込むのが容易で効率的である。
また、掴み爪の幅寸法を従来よりも大きくすると、さらに掴み込み量を多くすることができる。
本発明に係るグラップル装置は一対の掴み爪の両方が格子形状のグラップルであってもよく、一対の掴み爪の一方がバケット形状になっている場合はその他方の掴み爪が格子形状になっていても上記のような効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るグラップル装置の構造例を示す。(a)は第1掴み爪側から見た斜視図で(b)はその反対側から見た斜視図である。
【
図2】グラップル装置の掴み爪を開いた状態を示す。
【
図4】(a)は短い残材を掴み込んだ状態、(b)は長尺の丸太材を掴み込んだ状態を示す。
【
図5】グラップル装置のブーム先端の取付け構造例を示し、(a)は従来の掴み爪構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るグラップル装置10の構造例を以下図面に基づいて説明する。
グラップル装置10のパワーショベル等の建設機械のブーム先端に取り付ける一般的な構造は先に
図5(b),(c)に基づいて説明したので省略する。
グラップル装置10は、旋回装置20の下側に水平方向に旋回可能に取付フレーム30を設けてある。
取付フレーム30は、一対の第1掴み爪11と第2掴み爪12が開閉可能に設けられている。
第1及び第2掴み爪11,12はそれぞれ基端ピン11a,12aの両端部から略弓形状の一対の側爪(11b,11c),(12b,12c)を延在させ、その先端部を先端爪11d,12dで連結してある。
本発明で特徴的なのは、第1及び第2掴み爪11,12が一対の側爪(11b,11c),(12b,12c)の間にこの側爪と略平行に略弓形状の複数の縦格子11f,12fを設け、この縦格子11f,12fを水平方向に連結した複数の横格子11e,12eを有する点にある。
図2に示すように縦格子のピッチ(間隔)a及び横格子のピッチ(間隔)bは100〜250mmの寸法になっている。
また、
図3に示すように掴み爪の幅寸法W
1は800〜1200mmの範囲になっている。
【0011】
第1及び第2掴み爪11,12は基端側に設けたブラケットを介して取付フレームに第1及び第2支点ピン14,15でそれぞれ軸着してある。
また、基端ピン11a、12aからブラケットを介して第1及び第2駆動ピン16,17を有し、この第1駆動ピン16と第2駆動ピン17との間に開閉手段を設けてある。
本実施例では、シリンダー13aとピストン13bにより開閉が油圧制御されている。
また、一対の掴み爪11、12が閉じる際には、第1掴み爪11と第2掴み爪12とは、図3、図4に示すように第2掴み爪12の先端爪12dが第1掴み爪11の内側に入り込むように閉じる。
これにより
図4(a)に示すように短い長さの端材、残材1aを一対の掴み爪11,12の間に格子形状により落ちこぼすことなく大量に掴み込むことができ、ダンプ等への積荷作業の効率が向上する。
また、
図4(b)に示すように長尺の丸太を掴むことももちろん可能である。
【符号の説明】
【0012】
10 グラップル装置
11 第1掴み爪
11a 基端ピン
11b 側爪
11c 側爪
11d 先端爪
11e 横格子
11f 縦格子
12 第2掴み爪
13a シリンダー
13b ピストン
14 第1支点ピン
15 第2支点ピン
16 第1駆動ピン
17 第2駆動ピン
20 旋回装置
21 第1取付ピン孔
22 第2取付ピン孔
30 取付フレーム