特許第6049311号(P6049311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049311
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】印面電子化装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20161212BHJP
   B41K 1/02 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   G06T1/00 400F
   B41K1/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-127493(P2012-127493)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-242833(P2013-242833A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】506344343
【氏名又は名称】ウィッツェル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】松崎 敦志
【審査官】 新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−144280(JP,A)
【文献】 特開2001−283205(JP,A)
【文献】 特開2000−090235(JP,A)
【文献】 特開2009−131382(JP,A)
【文献】 特表2001−505326(JP,A)
【文献】 特開平05−165946(JP,A)
【文献】 特開平01−145785(JP,A)
【文献】 特開昭62−280984(JP,A)
【文献】 特開平02−194478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00−7/60
B41K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直角プリズムの長辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、斜辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、
前記直角プリズム、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、
前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、
前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあることを特徴とする印面電子化装置
【請求項2】
二つの直角プリズムのそれぞれの斜面が並行となるように長辺面ごとを密着し、一つの短辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、光源もしくは光拡散版を装着したプリズムの斜辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、残る短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、
二つの前記直角プリズム、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、
前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、
前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあることを特徴とする印面電子化装置
【請求項3】
平行四辺形の導光体ブロックのひとつの短辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、同面と鋭角を構成する長辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、残る短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、
前記導光体ブロック、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、
前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、
前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあることを特徴とする印面電子化装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は朱肉やインクを用いることなく、印鑑と同等の印面画像を電子的に得る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
朱肉やインクを用いることなく、印鑑と同等の印面画像を電子的に得る技術については、特許文献1、2に記載されている。
【0003】
これらはいずれも、予め捺印された印鑑の印面画像をカメラやスキャナーなどで電子化および記憶しておき、使用者が捺印する際の印鑑の回転角度を検知し、その角度に応じ記憶された印面画像を傾けて、編集用画面内に配置するもので、実際に捺印したときの印面画像に近い画像を電子化する従来技術である。
【0004】
また特許文献3には、導光体と透明な弾性体と電子式カメラを用いて印面を撮影する技術が記載されている。
【0005】
この技術は、一度も捺印することなく、印面を撮影する技術で、実際に捺印したときの印面画像に近い画像を電子化する別の従来技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許公開2004−157820
【特許文献2】特許公開平10−149405
【特許文献3】特許公開平5−165946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来から知られている技術には以下のような課題があった。
【0008】
特許文献1及び2の技術においては、印鑑自体に電子回路や電子部品が必要であり、通常利用されている印鑑をそのまま利用できないという課題があった。
【0009】
また特許文献3の技術では、「互いに平行な2面(10a,10b)を有する透明な導光体(10)の一方の面(10a)に検出すべき凹凸物体(20)を接触させ、他方の面(10b)の外側から入射させた光(21)を導光体(10)と物体(20)との接触面で散乱させて、」との要件があり、これを実現するためには別の導光体を含む照明光源を導光体の他方の面(10b)の外側に設置の必要があり、装置の高さが高くなり装置が大型化する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで小型で構成でき、通常の印鑑の印面画像を電子化できるようにするために、第一の発明は
直角プリズムの長辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、斜辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、
前記直角プリズム、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあるものとした。
【0011】
また、小型に構成でき、通常の大面積の印鑑の印面画像を電子化できるようにするために、第二の発明としては
二つの直角プリズムのそれぞれの斜面が並行となるように長辺面ごとを密着し、一つの短辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、光源もしくは光拡散版を装着したプリズムの斜辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、残る短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、
二つの前記直角プリズム、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあるものとした。
【0012】
さらに、小型で部品点数を少なく構成でき、通常の大面積の印鑑の印面画像を電子化できるようにするために、第三の発明としては
平行四辺形の導光体ブロックのひとつの短辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、同面と鋭角を構成する長辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、残る短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、
前記導光体ブロック、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあるものとした。
【発明の効果】
【0013】
第一の発明は、
直角プリズムの長辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、斜辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、前記直角プリズム、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあるものであるため、小型で構成でき、通常の印鑑の印面画像を電子化できる効果がある。
【0014】
また、第二の発明は、
二つの直角プリズムのそれぞれの斜面が並行となるように長辺面ごとを密着し、一つの短辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、光源もしくは光拡散版を装着したプリズムの斜辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、残る短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、二つの前記直角プリズム、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあるものであるため、小型で構成でき、通常の大面積の印鑑の印面画像を電子化できる効果がある。
【0015】
さらに、第三の発明は、
平行四辺形の導光体ブロックのひとつの短辺面に光源もしくは光拡散版を装着し、同面と鋭角を構成する長辺面に密着可能で、かつ印鑑の印面が押し付けられる透明弾性体シートを装着し、残る短辺面に相対する位置に電子式カメラを装着し、電子式カメラの出力を映像信号処理装置に接続した印面電子化装置であって、前記導光体ブロック、前記光源もしくは前記光拡散版、および前記電子カメラを保持する部品保持具を備え、前記印面に接触していない前記透明弾性体シートの表面に到達した光が全反射し、前記印面に接触している前記透明弾性体シートの表面に到達した光が前記印面で乱反射して、前記電子カメラに到達するように、前記光源もしくは前記光拡散版が配置され、前記透明弾性体シートは硬度が15から40の間にあるものであるため、小型で部品点数を少なく構成でき、通常の大面積の印鑑の印面画像を電子化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】 第一の発明の第一実施例主要部品構成例
図2】 第一の発明の第一実施例
図3】 第一の発明の原理説明図
図4】 本発明で用いる電子カメラに撮影される画像の例
図5】 第一の発明で用いる映像信号処理装置▲1▼の例
図6】 第一の発明の第二実施例
図7】 第一の発明の第三実施例
図8】 第二の発明の実施例
図9】 第二の発明の原理説明図
図10】 第二の発明で用いる映像信号処理装置▲2▼の例
図11】 第三の発明の実施例
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は第一の発明の第一実施例主要部品構成例である。ここで直角プリズム101の長辺面には光源もしくは光拡散板102が付着され、斜辺面には透明弾性体シート103が付着され、短辺面には電子式カメラ104が装着されている。
【0018】
電子式カメラの映像信号出力はカメラケーブル1041を通して、図示しない映像信号処理装置に送られる。
【0019】
本発明はこの構成で、印鑑200の印面201を前記透明弾性体シートに押し付けることにより、印面のうち透明弾性体シートに密着した部分が明瞭に画像として電子式カメラで撮影可能となる原理を利用している。
【0020】
以下図面を用いて、印面画像の電子化が可能となる方法を説明する。
【0021】
図2は第一の発明の第一実施例であり、図1に示したA−A’間の断面を含む印面電子化装置100を示している。
【0022】
印面電子化装置100は、前記直角プリズム101、光源もしくは光拡散板102、透明弾性体シート103、電子式カメラ104とこれらを支える部品保持具199、カメラケーブル104、映像信号処理装置105、印面電子化装置通信端子106から構成されている。
【0023】
電子式カメラからの出力信号は、カメラケーブル1041を通して映像信号処理装置カメラ接続端子1051に入力され、映像信号処理装置105で信号処理をなされたあと、映像信号処理装置出力端子1052に出力され、前記印面電子化装置通信端子106に伝達される。
【0024】
図3は、第一の発明の原理説明図である。ここでは光源もしくは光拡散板から出た光が、どのように電子式カメラに到達するかについて説明を行う。
【0025】
ここで光源もしくは拡散板102の色は白色とし、透明弾性体シートの屈折率は直角プリズムの屈折率とほぼ等しいものとする。
【0026】
光源もしくは光拡散板から出射された光線301は直角プリズム101内を進行し、透明弾性体シートに達するが、直角プリズムと透明弾性体シートの屈折率がほぼ等しいため、透明弾性体シート内を直進する。
【0027】
光源もしくは光拡散板から出射された光線301が、印面に接触していない透明弾性体シート表面1031に到達し、このシート表面の法線302と光線301の成す角303が全反射角以上であった場合、光線301は100%反射され、光線304となってプリズム通過し、電子式カメラに到達する。
【0028】
これは、透明弾性体シートの屈折率をnとし、入射光線と印面に接触していない透明弾性体シート表面上の法線が作る角度をθとし、nとθが数1に表す式を満たす場合θを全反射角と呼び、角303がθ以上である場合、入射光線の100%を透明弾性体シート表面が反射する原理を利用している。
【数1】
【0029】
これに対し、光源もしくは光拡散板から出射された光線301が、印面に接触している透明弾性体シート表面1032に到達した場合、印面と透明弾性体シートの間に空間が無いため光線301は透明弾性体シート表面で反射することなく通過し、印面に到達する。
【0030】
印面に到達した光線301は印面で乱反射した光線305となり、その一部がプリズム通過し、電子式カメラに到達する。
【0031】
このように、印面に接触していない透明弾性体シート表面1031に到達した光は全反射するため、この部分を電子式カメラでは白色と認識し、印面に接触している透明弾性体シート表面1032に到達した光線は印面で乱反射するため、この部分を電子式カメラでは印面と同じ色と認識する。
【0032】
したがって、印面の凹凸が同色の印鑑であっても、電子カメラでは印面の凸の部分は印面の色で、印面の凹の部分は白色と見えるため、容易に凹凸の差が認識できる。
【0033】
透明弾性体シートは、プリズムと印面の密着性を改善するために用いており、2012年現在日本国内で株式会社エクシールコーポレーションより販売されている、ハイパーゲルシート(硬度30、厚み1mm、屈折率1.48)を用いているが、類似の性能のものであればこれに限る必要はない。
【0034】
透明弾性体シートの硬度は、実験によれば15度から40度までが望ましい。これは硬度15度未満ではわずかな力で印面の凹部が透明弾性体シートの表面に接触し、硬度40度超では、印面凸部全部を透明弾性体シートに密着させるために、大きな押力を必要とするからである。
【0035】
本発明は、特許文献3で必要とされていた照明装置位置を、印面を押しつける面に平行な面から、印面を押しつける面と鋭角を構成する面に変更したことにより、小型化が可能となった。
【0036】
次に電子式カメラで撮影される画像について、説明を行う。
【0037】
図3に示したように、本方式では電子式カメラの撮像素子1042と印面201が成す角φ306が0度ではないため、図4に示すように印面にひずみを生じた画像が撮影される。
【0038】
図4において、403の仮想印面形状に対し、カメラでは404のように撮影される。
【0039】
ここで
1)仮想印面形状の中心点=原点座標(0,0)
2)カメラレンズ中心から前記座標(0,0)までの距離=L(空気長)
3)撮像素子1042と印面201が成す角306=φ
4)仮想印面形状の座標=(R,R
5)基準化した撮像素子上の座標=(x,y)
6)R=0のときのR=xとなるように撮像素子上の(x,y)の座標を基準化する。
とした場合、(R,R)と(x,y)の間では、数2、数3で表す式が成り立つ。
【0040】
【数2】
【数3】
【0041】
このようなひずみは台形ひずみと呼ばれ、電子式カメラで撮影した画像は、台形ひずみを取り除くための映像信号処理が必要とされる。
【0042】
図5は、前記台形ひずみを補正する部分を含む映像信号処理装置▲1▼105を表している。
【0043】
図5において、映像信号処理装置カメラ接続端子1051に入力された映像信号は、反転部1053において、左右反転のための信号処理がなされる。
【0044】
これは電子式カメラで撮影した映像は、印面を直接撮影した映像であるため、実際に印鑑を用いて捺印した画像と比べると、左右が反転しているため、これを補正するため左右反転のための信号処理がなされる。
【0045】
左右反転をなされた映像信号は、台形ひずみ補正部1054において数2、および数3に記した演算式に従い台形ひずみ補正がなされる。
【0046】
台形ひずみ補正がなされた映像信号は2値化部1055で2値化される。
【0047】
これは、実際の印鑑と朱肉を用いて捺印する場合、印鑑の凸部に付着した朱肉部分のみが紙面に付着し、それ以外は紙面が元のままであり、印面画像はいわば2値化画像であるのに対し、本発明では映像信号がフルカラーの連続データとなるため、ある閾値を設け、映像信号がある閾値以上であれば印面の凹部、それ以下なら印面の凸部とする2値化を行う。
【0048】
2値化された映像信号は、画像認識部1058と画像記憶部1056に導かれる。
【0049】
画像認識部では、2値化された映像信号を1フレームごとに取り出し、数フレーム分比較し、安定したと判断した場合は、印面画像の周囲の欠落や特徴を判断し、適正と判断した場合、画像記憶部に映像信号の最終フレームを画像信号として記憶するように指示を出す。
【0050】
指示を受けた画像記憶部は、2値化された映像信号の最終フレームを画像信号として記憶し、通信部1057に記憶したことを伝達する。
【0051】
通信部1057の出力は映像信号処理装置出力端子1052と接続されており、この端子は印面電子化装置通信端子106に接続されているため、通信部1057は印面画像を記憶したことを出力すると、印面電子化装置通信端子106にその出力が現れる。
【0052】
印面電子化装置通信端子106の接続は図面では明記していないが、例えばパーソナルコンピュータと接続し、通信部1057は印面画像を記憶したことを出力すると、パーソナルコンピュータがそれを受信し、パーソナルコンピュータの都合の良いタイミングで、印面画像を送信するよう通信部1057に指示を出し、通信部はそれに従い、記憶した印面画像をパーソナルコンピュータに送信するという、一連の動作を行うことが可能な構成である。
【実施例】
【0053】
図6は、第一の発明の第二実施例である。
【0054】
ここでは、第一の発明の第一実施例に用いた直角プリズム101を、直角二等辺プリズム1011に置き換えたもので、他の構成部品は第一実施例と同じである。
【0055】
第一の発明の第二実施例においては、全反射角を利用する関係から、電子式カメラの光軸はプリズムのカメラ側の面の法線に対し、15度ないし20度傾斜させる必要があるが、これも第一の発明の範疇に入る実施例である。
【0056】
図7は第一の発明の第三実施例である。
【0057】
図7においては、パーソナルコンピュータ500の内部に、表示装置501、演算処理装置502、キーボード503が含まれており、印面撮影装置150からのカメラケーブル1041はパーソナルコンピュータのUSB端子504に接続されている。
【0058】
この図では、USB端子は映像信号処理機能ブロック1050に接続され、この機能ブロックは映像信号処理装置▲1▼105と同等の信号処理を行うが、この機能が演算処理装置502内で実現する様子を示している。
【0059】
印面電子化装置は単独で用いられる場合は少なく、パーソナルコンピュータと組み合わせて、利用者がキーボード503や図示しないマウス等を操作し、印面画像をデータとして取り込み、文書、書類として保存、印刷するケースが多いと考えられる。
【0060】
近年、パーソナルコンピュータの演算処理装置の処理能力が大幅に拡大しているため、本実施例のように、この処理能力の一部で映像信号処理を行うことで、印面電子化装置100内から映像信号処理装置▲1▼105を取り除くことが可能となり、実施例1に比べ製造原価を低減できる。
【0061】
なお、本実施例では演算処理装置含む機器としてパーソナルコンピュータを代表例として挙げたが、現金引き出し機や捺印読み取り機なども演算処理装置含む機器として利用可能である。
【0062】
図8は第二の発明の第一実施例である。
【0063】
この実施例では、第一の発明の第一実施例(図2)と比較し、第二直角プリズム107が追加され、映像信号処理装置▲1▼105が映像信号処理装置▲2▼115に変更されている。
【0064】
図9は第二の発明の原理説明図である。
【0065】
この発明で、光源もしくは光拡散板から出た光301は、印面に接触していない透明弾性体シート表面1031で全反射した光304と、印面で乱反射した光305はともに直角プリズム101と第二直角プリズム107の長辺面を通過し、第二直角プリズムの斜辺面で全反射をし、同短辺面から出た光が電子カメラ104に入力するようになされている。
【0066】
本発明は、第一の発明に比べ印面からカメラまでの距離を多くとることができ、大きな印面を持つ印鑑にも対応が可能なる利点がある。
【0067】
本発明も、特許文献3で必要とされていた照明装置位置を、印面を押しつける面に平行な面から、印面を押しつける面と鋭角を構成する面に変更したことにより、小型化が可能となった。
【0068】
図10は第二の発明で用いる映像信号処理装置▲2▼115の例である。
【0069】
本発明で用いる映像信号処理装置▲2▼115は第一の発明で用いた映像信号処理装置▲1▼105(図5)に比べ、反転部1053が省略されている。
【0070】
これは、図9で説明したように、印面とカメラの間の第二直角プリズムの斜辺面で反射を行うため、第一の発明で必要であった反転部が不要になったためである。
【0071】
図11は第三の発明の実施例である。
【0072】
本実施例は、第二の発明実施例(図8)に比べて直角プリズム101及び第二直角プリズムが省略され、代わりに平行四辺形導光体ブロック108が用いられている。
【0073】
本実施例は、第一の実施例に比べ部品点数が減り、製造が容易である利点がある。
【0074】
第一、第二の発明で用いたプリズムや、第三の発明で用いた平行四辺形導光体ブロックの材質は、ガラスやアクリル等での実現が可能である。
【0075】
第二の発明で、二つのプリズムを直角二等辺プリズムで構成すること及び、第二、第三の発明で映像信号処理装置▲2▼の機能を、パーソナルコンピュータに代表される演算処理装置を含む機器内に含めることも、本発明の一形態と考えられる。
【符号の説明】
【0076】
100・・・印面電子化装置
101・・・直角プリズム
1011・・直角二等辺プリズム
102・・・光源もしくは光拡散板
103・・・透明弾性体シート
1031・・印面に接触していない透明弾性体シート表面
1032・・印面に接触している透明弾性体シート表面
104・・・電子式カメラ
1041・・カメラケーブル
1042・・撮像素子
105・・・映像信号処理装置▲1▼
1050・・映像信号処理機能ブロック
1051・・映像信号処理装置カメラ接続端子
1052・・映像信号処理装置出力端子
1053・・反転部
1054・・台形ひずみ補正部
1055・・2値化部
1056・・画像記憶部
1057・・通信部
1058・・画像認識部
106・・・印面電子化装置通信端子
107・・・第二直角プリズム
108・・・平行四辺形導光体ブロック
115・・・映像信号処理装置▲2▼
150・・・印面撮影装置
199・・・部品保持具
200・・・印鑑
201・・・印面
301・・・光源もしくは光拡散板から出射された光線
302・・・印面に接触していない透明弾性体シート表面上の法線
303・・・光源もしくは光拡散板から出射された光線と印面に接触していない透明弾性体シート表面上の法線が作る角度
304・・・印面に接触していない透明弾性体シート表面で全反射した光線
305・・・印面に接触している透明弾性体シート表面で乱反射した光線
306・・・印面と撮像素子が成す角
401・・・印面実物の座標
402・・・カメラで撮影される印面の座標
403・・・仮想印面形状
404・・・カメラで撮影される仮想印面形状
500・・・パーソナルコンピュータ
501・・・表示装置
502・・・演算処理装置
503・・・キーボード
504・・・USB端子
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11