(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049319
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】回折格子および回折格子の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20161212BHJP
G02B 1/02 20060101ALI20161212BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B1/02
G02B3/08
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-138391(P2012-138391)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-2294(P2014-2294A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】助川 隆
(72)【発明者】
【氏名】杉山 成
【審査官】
後藤 亮治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−075622(JP,A)
【文献】
特開2006−047343(JP,A)
【文献】
特開2003−295052(JP,A)
【文献】
特開2007−164013(JP,A)
【文献】
米国特許第04475792(US,A)
【文献】
特許第5864920(JP,B2)
【文献】
特開平02−264903(JP,A)
【文献】
特開平11−289107(JP,A)
【文献】
特開平06−211540(JP,A)
【文献】
特開2001−091718(JP,A)
【文献】
特開2010−188525(JP,A)
【文献】
特開昭55−134806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーズ型回折格子の製造方法であって、
ZnSeまたはZnSの結晶材料からなる被加工物に機械加工によって複数の格子溝を形成することにより回折格子を形成するステップを有し、
前記格子溝は2つの面を有し、該2つの面の少なくとも一方の面が前記結晶材料の結晶方位である(110)面となるように前記複数の格子溝を形成することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記回折格子の各格子は三角形の断面形状を有し、
前記格子溝の前記2つの面は、一方が前記三角形の断面形状の短辺を有する面であり、他方が前記三角形の断面形状の長辺を有する面であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記三角形の断面形状の前記短辺と前記長辺がなす角度は、90度であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
ダイヤモンドバイトを用いたシェーパー方式によって前記格子溝を加工することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ブレーズ型回折格子はイマージョン型回折格子であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記被加工物は直方体形状を有し、前記被加工物の上面および側面は前記結晶材料の(110)面であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記2つの面が前記結晶材料の結晶方位である(110)面であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記2つの面のうち前記結晶材料の結晶方位である(110)面である面の表面粗さは10nm以下であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のブレーズ型回折格子の製造方法。
【請求項9】
ブレーズ型回折格子の製造方法であって、
ZnSeまたはZnSの結晶材料からなる被加工物に機械加工によって複数の格子溝を形成することにより回折格子を形成するステップを有し、
前記格子溝は2つの面を有し、前記回折格子の各格子は三角形の断面形状を有し、
前記2つの面の一方が前記三角形の断面形状の短辺を有する面となり且つ前記結晶材料の結晶方位である(110)面となるように前記複数の格子溝を形成することを特徴とする製造方法。
【請求項10】
前記2つの面の他方が前記三角形の断面形状の長辺を有する面となり且つ前記結晶材料の結晶方位である(110)面となるように前記複数の格子溝を形成することを特徴とする請求項2または9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記2つの面の一方の表面粗さは10nm以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項12】
ZnSeまたはZnSの結晶材料からなるブレーズ型回折格子であって、
複数の格子溝のそれぞれは2つの面を有し、該2つの面の少なくとも一方の面が前記結晶材料の結晶方位である(110)面であることを特徴とするブレーズ型回折格子。
【請求項13】
前記2つの面の一方がブレーズ面、他方がカウンタ面であり、前記ブレーズ面が前記結晶材料の結晶方位である(110)面であることを特徴とする請求項12に記載のブレーズ型回折格子。
【請求項14】
前記2つの面が前記結晶材料の結晶方位である(110)面であることを特徴とする請求項12に記載のブレーズ型回折格子。
【請求項15】
前記2つの面のうち前記結晶材料の結晶方位である(110)面である面の表面粗さは10nm以下であることを特徴とする請求項12乃至14の何れか1項に記載のブレーズ型回折格子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光器などの光学装置に用いられる回折格子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
位相型回折格子は、格子溝形状を鋸歯型(ブレーズ型)、正弦波型、矩形波状等にすることにより、格子の1周期内で入射光に位相差を与え、回折光強度特性を用途に合わせて選択できるようにした回折格子である。ブレーズ型回折格子は三角断面の格子溝をもった位相型回折格子で、砥石を用いた研削加工やダイヤモンドバイトを用いたシェービング加工により所定断面形状の格子溝による刻線を順次形成して製作されている。
【0003】
結晶材料からなるブレーズ型回折格子は高次の回折光を使用するように設計された回折格子であり、良好な光学特性を得るためには格子溝を形成する機械加工を延性モードで行う必要がある。なお、延性モードと脆性モードとの境界には臨界切り取り厚さが存在する。臨界切り取り厚さは結晶の滑り面の結晶方位と加工面との関係、結晶軸と切削方向との関係、結晶軸と切削力方向(工具すくい角と切削方向に依存する)との関係に依存することが知られている。例えば、特許文献1には、SiやGeからなる結晶材料において溝加工面(格子溝を形成すべき面)を(111)面、切削方向を(111)面内とし、単結晶ダイヤモンドバイトを使用して超精密切削加工で格子溝を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−075622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、結晶材料の溝加工面(回折格子平面)の結晶方位(結晶の面方位)や臨界切り取り厚さをパラメータとしても安定した延性モードは得られない。ブレーズ型回折格子はそれが透過型またはイマージョン型(裏面反射型)として使用される場合、格子溝を構成する長辺および短辺の少なくとも一方の影響を受ける。ただし、光の入射方向は格子の断面形状の短辺に垂直になるように入射する使い方が一般的であり、反射型回折格子と同様に短辺の表面粗さ(面精度)が重要となる。
【0006】
また、ZnSe(セレン化亜鉛)またはZnS(硫化亜鉛)の結晶材料は光学材料として使用されているが、それらの結晶材料からブレーズ型回折格子の格子溝を形成する機械加工は従来提案されていなかった。
【0007】
そこで、本発明は、ZnSeまたはZnSの結晶材料からなるブレーズ型回折格子の格子溝を精度良く機械加工する回折格子の製造方法を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面としての回折格子の製造方法は、ブレーズ型回折格子の製造方法であって、ZnSeまたはZnSの結晶材料からなる被加工物に機械加工
によって複数の格子溝を形成することにより回折格子を形成するステップを有し、
前記格子溝は2つの面を有し、該2つの面の少なくとも一方の面が前記結晶材料の結晶方位である(110)面となるように前記複数の格子溝を形成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の側面としての回折格子の製造方法は、ブレーズ型回折格子の製造方法であって、ZnSeまたはZnSの結晶材料からなる被加工物に機械加工
によって複数の格子溝を形成することにより回折格子を形成するステップを有し、
前記格子溝は2つの面を有し、前記回折格子の各格子は三角形の断面形状を有し、前記2つの面の一方が前記三角形の断面形状の短辺を有する面
となり且つ前記結晶材料の結晶方位である(110)面となるように前記複数の格子溝を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ZnSeまたはZnSの結晶材料からなるブレーズ型回折格子の格子溝を精度良く機械加工する回折格子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態のブレーズ型回折格子の概略断面図である。
【
図3】
図1に示すブレーズ型回折格子を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【
図4】
図1に示すブレーズ型回折格子を製造する製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図4の各ステップにおける被加工物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、入射光を回折させるブレーズ型回折格子(エシェル型回折格子)10の概略断面図である。ブレーズ型回折格子は、格子溝が鋸歯(ブレーズ型)である回折格子であり、特定の次数と波長に対して高い回折効率を有する。本実施形態のブレーズ型回折格子10は、
図1に示すように、イマージョン型回折格子(透過型、裏面反射型回折格子)であるが、ブレーズ型回折格子10は表面で反射する反射型回折格子として構成されてもよい。
【0013】
ブレーズ型回折格子10の各格子は、ブレーズ方向BDとこれに垂直な格子法線(Grating Normal)GNを含む断面において、短辺11と長辺12で構成される非対称の三角形形状を有している。
図1の紙面に垂直な方向に短辺11と長辺12はそれぞれ延びている。
【0014】
短辺11と長辺12がなす角度θは頂角13と呼ばれ、本実施形態ではθ=90°である。頂角13は後述するバイトの先端部の開き角θ1とほぼ等しい。本実施形態のブレーズ型回折格子10においては、各格子を構成する面のうち、短辺11を有する面16が入射光を最も多く受光するブレーズ面として機能し、長辺12を有する面15がブレーズ面に隣接するカウンタ面として機能する。しかし、反射型のブレーズ型回折格子においては面15がブレーズ面となり、面16がカウンタ面となる場合もある。また、ブレーズ方向BDとこれに垂直な格子法線(Grating Normal)GNを含む断面において各格子が三角形形状の断面を有しない場合にも本発明は適用可能である。
【0015】
ブレーズ型回折格子10は、
図1に示すように、入射光をできるだけ多く分割するために短辺側に光の入射方向Lが正対するような配置で使用され易く、回折効率は短辺11の面精度(表面粗さ)に依存する。そこで、短辺11を含む面16を高精度に加工することが求められる。
【0016】
図2は、本実施形態の加工機20の概略斜視図であり、直交する3軸方向にXYZを設定している。加工機20は、ZnSe結晶材料またはZnS結晶材料からなる被加工物(ワーク)Wに複数の格子溝17を形成してブレーズ型回折格子10を製造する製造装置である。ZnSe結晶材料は、0.5〜22μmの可視光から遠赤外光までの光を透過する。ZnS結晶材料は、0.37〜14μmまでの光を透過し、ZnSeと同様に可視光と赤外光を透過させるため、可視光および赤外光を併用する光学素子として好適である。ZnSe、ZnSは、化学周期律上で12族のZnと、16族のSe、Sとの化合物であり、結晶構造もZincblende(B3)と呼ばれる同じ構造を持っているため、本実施形態ではどちらの材料でも適用できる。なお、ZnSeまたはZnSの結晶材料の加工のために、一般に大型の材料として比較的入手が容易なCVD方式で得られる材料は多結晶である。多結晶の材料は結晶方位が完全に均一でないため結晶軸に依存する加工特性が安定的に得られにくいため、良好な光学面を得ることが難しい。そのため、ZnSeまたはZnSの結晶材料として、単結晶である結晶材料を用いる方が好ましい。
【0017】
加工機20は、数十nmオーダーで切込みの数値制御(NC制御)が可能な超精密切削加工機である。加工機20は、先端が鋭利で高精度な加工転写性が得られるダイヤモンドバイト22を工具として利用し、切削刃を移動させて表面を切削するシェーパー(鉋削り)方式によって格子溝17を形成する。
【0018】
加工機20は、外部振動に強い高剛性の筺体21内に、X方向に移動可能なXステージ25とY方向に移動可能なYステージ26からなるXYステージに被加工物Wを搭載している。ダイヤモンドバイト22は、Z方向に移動可能なZステージ27に搭載されている。なお、本実施形態では、ダイヤモンドバイト22は回転しないが、ダイヤモンドバイト22が回転する加工機を使用してもよい。
【0019】
図3は、加工機20、被加工物W、ダイヤモンドバイト22の概略断面図であり、Mはダイヤモンドバイト22が被加工物Wに相対的に移動されるバイト送り方向Tと平行なブレーズ方向に平行なバイト送り平面を示している。
【0020】
ダイヤモンドバイト22は、
図3に示すように、格子溝17として機能する多角形溝断面形状を転写する少なくとも2つの稜線切れ刃23、24を有する。稜線切れ刃23、24の先端がなす角度θ1は格子溝17の開き角θとほぼ等しく、本実施形態では90°である。稜線切れ刃23、24の先端部の丸みは極力少なく、稜線の直線精度は先端部で非常に高いため、ブレーズ型回折格子10の格子溝の壁面精度を高精度に維持することができる。
【0021】
ダイヤモンドバイト22と被加工物Wが対抗する位置でZ方向への切込み量が、例えば、0.2μmとなるようにダイヤモンドバイト22を被加工物側に下ろした状態でXまたはY方向に直線または曲線状的にXYステージを移動する。ダイヤモンドバイト22と被加工物Wとの相対移動により切削速度を得て稜線切れ刃23、24で被加工物Wを切削加工する。
【0022】
もちろん、機械加工において移動対象はバイト側でも被加工物側でもよい。また、バイトへの過負荷を避けるためにZ方向への必要な切込み量を分割して分割された切り込み量だけを形成する工程を複数回繰り返してもよい。加工の際にはオイルミストをバイトすくい面の裏側から噴射させ加工熱を除去しながら切り屑を潤滑に流す。
【0023】
以下、加工機20を使用した回折格子の製造方法について説明する。
図4は、加工機20を使用した回折格子の製造方法(機械加工)を説明するためのフローチャートであり、Sは「ステップ」の略である。また、
図5は、
図4の各ステップにおける被加工物Wの概略断面図である。
【0024】
まず、
図5(a)に示すように、ZnSeまたはZnSの結晶材料からなる被加工物(ワーク)Wを円筒形状、立方体形状、または直方体形状などの適当な形状で取得する。例えば、立方体形状の被加工物Wを結晶成長装置などを利用して取得する(S110)。本実施形態では、上面(上側端面)と左側端面の両方が結晶方位(110)面となる直方体形状の被加工物Wを取得する。
【0025】
次に、S110の被加工物Wを、
図5(b)の点線Dで示すように、切削する(S120)。本実施形態では、この点線Dの上面に対する傾斜角度は例示的に20°とする。本実施形態は、S120で使用する切削加工機は加工機20ではなく、より精度の低い加工機を使用する。
【0026】
次に、
図5(c)に示すように、S120の被加工物Wの切削面Cを研磨装置Pによって研磨する(S130)。この場合、被加工物WはS140で使用する治具30を使用して研磨装置に設置してもよい。
【0027】
次に、
図5(d)に示すように、研磨された被加工物Wを治具30を介して加工機20の上述したXYステージに設置する(S140)。治具30は傾斜角度が20°であるので、被加工面がYステージ26の表面と平行になる。
【0028】
加工機20のバイト送り平面Mに対し、20度に傾斜するように被加工物Wを治具30に載せて傾けて加工機20に搭載し、バイト22が溝を加工するバイト送り平面Mの結晶方位が(Tanθ
A,1,0)になるように配置する(θ
A=20°)。このように、本実施形態は、工具であるダイヤモンドバイト22を回折格子溝面の分散直交方向(溝方向)と並進させてその形状を転写させるシェーパー方式を用いている。
【0029】
次に、被加工物Wの切削面Cに格子溝を形成する機械加工を行い(S150)、
図3に示す状態を得る。S150は被加工面である切削面Cに複数の格子溝を形成するステップである。本実施形態では、ZnSeまたはZnSの結晶を用いてブレーズ型回折格子を製作する際に、短辺11を含む面が(110)面になるように結晶方位を選択し、臨界切り取り厚さ以下で加工している。これにより、短辺11を含む面が(110)面以外の面の場合と比較して、脆性破壊を最小限に留めた非常に良好な加工により面精度が高い高品位な回折素子を得ることができた。頂角13が90度の場合には短辺11を含む面と長辺12を含む面の両面を(110)面で構成することができた。格子溝を形成する面の表面粗さを小さく抑えることにより、回折素子の回折効率向上、迷光の減少など点で有利な回折素子を得ることができる。
【0030】
図3では、一例として、20度の傾斜面を有する短辺11と長辺12が90度のブレーズ型回折格子10の短辺11を有する面16と長辺12を有する面15が(110)面になるように加工している。仕上げ時の切り込み厚さを0.2μm以下にすることにより表面粗さ10nm以下の良好な光学面が得られた。
【0031】
一方、このように結晶方位を選択せずに、例えば、短辺11を有する面16を(111)面とした場合、仕上げ時の切り込み厚さを0.2μm以下としても表面粗さが100nmを上回り、面精度が低下した。なお、従来は、S130の切削面の結晶方位を(111)面などに設定していた。
【0032】
なお、不純物により完全な結晶を得ることは難しいが、本実施形態の結晶方位は結晶支配性を意味しており、評価結晶方位すべてが完全に方位が揃った状態に限定されるものではない。
【0033】
ブレーズ型回折格子10を反射型回折格子として使用する場合、光の入射方向は
図1のブレーズ方向に垂直な格子法線から所定角度傾いた方向から格子に入射するために、短辺11と長辺12の影響を受ける。このため、この場合には、短辺11と長辺12の少なくとも一方が(110)面になるように機械加工することが好ましい。もちろん、頂角13が90°であれば短辺11と長辺12の両方を(110)面に設定することができる。また、本実施形態では、機械加工にダイヤモンドバイト22を使用しているが砥石を使用した切削加工であっても(110)面の加工は他の結晶方位面の加工よりも表面粗さを低く抑えることができる。このような回折格子を分光器やレーザー装置などの光学装置に組み込むことによって、より高い精度の光学装置を製造することができる。
【0034】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は本実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
W 被加工物
10 ブレーズ型回折格子
11 短辺
22 ダイヤモンドバイト
16 短辺を有する面
17 格子溝