(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
<画像形成装置>
本発明に係る画像形成装置について説明する。まず、
図1を用いて画像形成装置の構成及び動作を説明する。
図1は画像形成装置の概略断面図である。
【0014】
画像形成装置には電子写真方式、オフセット印刷方式、インクジェット方式等複数の方式が挙げられる。本実施形態における画像形成装置60は電子写真方式を用いたカラーの画像形成装置である。画像形成装置60は、4色の画像形成部を中間転写ベルト上に並べて配置した、いわゆる中間転写タンデム方式の画像形成装置である。
【0015】
シート材Sはシート給送部61(シート材収納庫61A又は、シート給送トレイ61B)に積載される。リフトアップ装置は、シート材収納庫61A内に配置される。
【0016】
シート材Sは、画像形成タイミングに合わせてシート給送される。ここで、シート給送部61は、分離ローラ等によってシート材Sの摩擦分離をする。シート給送部61により送り出されたシート材Sは、搬送パス64(搬送パス64aまたは搬送パス64b)を通過し、レジストローラ65へと搬送される。
【0017】
レジストローラ65は、シート材Sと画像の相対位置を合わせるための装置であり、シート材Sのスキュー補正やタイミング補正を行った後、二次転写部へと送られる。
【0018】
二次転写部は、対向する二次転写内ローラ38および二次転写外ローラ66により形成されるシート材Sへのトナー像転写ニップ部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることでシート材S上にトナー像を吸着させる。
【0019】
<画像の作像プロセス>
以上説明した二次転写部までのシート材Sの搬送プロセスに対して、同様のタイミングで二次転写部まで送られて来る画像の形成プロセスについて説明する。尚、以下の説明における画像形成部は、
図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の4セット存在する。各画像形成部の構成は同様であるため、Y、M、C、Bkの添え字は必要な場合を除き、省略する。
【0020】
画像形成部は、主に感光体ドラム41(像担持体)、帯電装置42、露光装置39、現像器43、一次転写装置48、およびドラムクリーナ44等から構成される。
【0021】
この構成により、まず、感光体ドラム41表面は、帯電装置42により、一様に帯電される。次に、図中矢印の方向に回転する感光体ドラム41に対し、画像情報の信号に基づいて、露光装置39が駆動される。露光装置39からはレーザーが射出され、レーザーは、回折部材40を適宜経由して感光体ドラム41上に至り、そこで静電潜像が形成される。感光体ドラム41上に形成された静電潜像は、現像器43によるトナー現像を経て、感光体ドラム41上に各色のトナー像として顕在化する。
【0022】
その後、一次転写装置48により所定の加圧力および静電的負荷バイアスが与えられ、中間転写ベルト35上にトナー像が転写される。その後、感光体ドラム41上に僅かに残った転写残トナーはドラムクリーナ44により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0023】
次に、中間転写ベルト35について説明する。中間転写ベルト35は、駆動ローラ36、テンションローラ37、二次転写内ローラ38等のローラによって張架され、図中矢印Bの方向へと搬送駆動される。
【0024】
先述のY、M、C、Bkの各画像形成部による各色の画像形成プロセスは、並列処理される。そして、各色のトナー像は、中間転写ベルト35上に一次転写された上流色のトナー像上に重ね合わされる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト35上に形成され、二次転写部へと搬送される。
【0025】
<二次転写以降のプロセス>
それぞれ説明したシート材Sの搬送プロセス、及び画像形成プロセスをもって、二次転写部においてシート材S上にフルカラーのトナー像が二次転写される。
【0026】
その後、シート材Sは定着前搬送部67により定着装置68へと搬送される。定着装置68は、対向するローラもしくはベルト等による所定の加圧力と、ヒータ等の熱源による加熱効果を加えることで、シート材S上にトナー像を溶融固着させる。
【0027】
このようにして得られた定着画像を有するシート材Sは、排出トレイ70上に排出される。この排出過程で、排出搬送パス69を通るか、もしくは両面画像形成を要する場合には反転搬送装置71が有する反転誘導パス72を通るかが選択される。
【0028】
両面画像形成を要する場合、シート材Sは反転誘導パス72からスイッチバックパス74へと引き込まれる。そして、反転ローラ76の回転方向を正逆転させること(スイッチバック動作)を行うことで先後端を入れ替え、両面搬送パス73を介して再度画像形成部へと搬送される。
【0029】
<トナー供給装置構成>
図1に示すように、トナー供給装置10が装置本体の背面の上部に取りつけられている。トナー供給装置10は、現像器43へのトナーの供給と、トナーカートリッジ14(
図2参照)からトナー供給装置10のトナー供給部本体10a内へのトナーの補給を行う。トナー供給装置10の画像形成装置本体における機能としては、現像器43へトナーを供給するための機能が挙げられるため、現像器43へトナーを供給可能なように、現像器43上部にトナー供給装置10が配置される。
【0030】
図2は、トナー供給装置の側断面図である。
図2に示すように、トナー供給装置10のトナー供給部本体10a(ホッパー)には、トナーカートリッジ14の供給口14aがセットされる。
【0031】
供給口14aから供給されたトナーカートリッジ14からのトナーは、トナー貯蔵部18に貯蔵される。貯蔵されたトナーは、トナー供給部本体10a内の複数のスクリューによって、現像器43(
図1参照)へと搬送される。尚、複数のスクリューとしては、撹拌スクリュー11(撹拌部材)と、搬送部材としての第一スクリュー12(第一搬送部材)、第二スクリュー13(第二搬送部材)を有する。
【0032】
また、トナーカートリッジ14からトナーを補給する際は、供給口開閉機構30がトナーカートリッジ14の先端に設けられたキャップ15と係合する。これによって、トナーカートリッジ14が回転可能となり、トナーカートリッジ14を回転させることでトナーを補給することができる。供給口開閉機構30には、後述の方法でトナーカートリッジ14を回転駆動するためのカートリッジ駆動軸27が配設される。各部の詳細については、以下に説明する。
【0033】
まず、ユーザーがトナーカートリッジ14を指示に従って本体にセットする。この状態においては、
図3に示すように、トナーカートリッジ14の先端にあるキャップ15と、供給口開閉機構30のカートリッジ駆動軸27とが係合していない。このため、トナーカートリッジ14からトナーを補給することはできない。
【0034】
次に、ユーザーがトナーカートリッジ14を確実にセットしたことを不図示の検知センサが検知すると、後述の駆動源制御部103は、トナー供給部本体10a内にある供給口開閉機構30のカートリッジ駆動軸27を駆動させる。このカートリッジ駆動軸27の駆動により、トナーカートリッジ14先端のキャップ15が結合部材16と係合し、トナーカートリッジ14の先端のキャップ15を開くことになる。供給口開閉機構30の駆動は、駆動源21(カートリッジ駆動源)を用いて行う。
【0035】
本実施形態における駆動方式は、PWM(Pulse Width Modulation)制御による駆動である。ここで、PWM制御による駆動方式の詳細な説明を行う。
図4は画像形成装置の制御ブロック図である。
【0036】
図4に示すように、一定の電圧が印加されている状態において、駆動源制御部103内のスイッチング素子により、2kHzの周期で、駆動源21に印加する電圧をONとOFF状態のスイッチングを行う。このとき、ONとOFFの時間比率(以降、デューティー)を設定することで、駆動源21に入力される単位時間当たりの有効電圧値を変えることができる。
【0037】
たとえば、デューティーを50%とした場合、ONとOFFが同じ割合となるため、駆動源21に入力される電圧は一定印加電圧の半分の電圧にほぼ等しい状態となる。また、開閉動作の指令を与えられると、駆動源制御部103においてその指令を検知する。そして、トナーカートリッジ14の開閉においては、デューティーが100%で駆動源21を正回転させる。これに対して、トナーカートリッジ14を回転させる場合においては、回転の指令を駆動源制御部103で検知し、デューティーが70%で駆動源21を逆回転させる。
【0038】
その他の制御構成は、
図4に示す、駆動源21と後述の駆動源22(撹拌搬送部材駆動源)の動きは、制御部100によって制御される。また、後述のトナーセンサ17及び第2スクリュー回転センサ29の出力は、制御部100に伝達され、制御される。
【0039】
また、制御部100は、現像器43内のトナー残量を検知するセンサ43a(残量検知センサ)や、トナー供給装置10のトナーセンサ17及び第2スクリュー回転センサ29からの検知信号(出力値)を受取り、駆動源制御部103を駆動制御する。また、電源
部102を有し、各駆動源21及び駆動源22へ最適な電圧供給をする。
【0040】
DCモータである駆動源21及び駆動源22を駆動させるタイミングや、トナーセンサ17及び第2スクリュー回転センサ29の出力値はすべて制御部100で統括されている。制御部100は、トナーセンサ17の検知結果と撹拌スクリュー11、第一スクリュー12、第二スクリュー13の駆動状態から、トナーカートリッジ14の駆動によるトナー補給動作を実行するか否かを判断する。そして、それぞれの各部の制御は、制御部100が有するメモリ104(記憶部)において、予め設定された駆動期間中における駆動履歴の情報に基づいてCPU101によって行われる。
【0041】
図5はトナーカートリッジの駆動構成を示す斜視図である。駆動源21を正回転させると、
図5に示すように、駆動列のギアで駆動力がカムギア19に伝達され、供給口開閉機構30を駆動させる。
【0042】
図6はキャップ開閉機構の拡大斜視図である。供給口開閉機構30の詳細を
図6を用いて説明する。
【0043】
カムギア19の内部には溝(図示しない)が形成されている。このため、外周にあるカムギア19が図中矢印Dの方向に回転させられると、中央部にある円筒部材28が前進動作する。このとき、トナーカートリッジ14先端のキャップ15が、キャップ15と結合する結合部材16と係合する。
【0044】
さらに、カムギア19を矢印
D方向に回転させると、円筒部材28が後進動作することで、キャップ15を引き抜く。このときの状態が
図7である。
図7は結合部材
16がキャップ
15から引き抜かれた状態を示す図である。
【0045】
このとき、キャップ15と結合部材16が係合された状態でキャップ15が引き抜かれている。このため、
図5に示す駆動源21を逆回転させると、駆動力がワンウェイギア20によって分岐し、カートリッジ駆動軸27に伝達される。
【0046】
そして、結合部材16とカートリッジ駆動軸27とが結合して一体となっているため、
図7に示すように、カートリッジ駆動軸27の回転によって結合部材16が回転する。さらに、結合部材16と係合しているキャップ15が回転するため、トナーカートリッジ14自身も回転する。これによって、トナーがトナーカートリッジ14からトナー供給部本体10a内に補給される状態となる。
【0047】
次に、トナー供給部本体10a内のトナー貯蔵部18の詳細について説明する。トナー貯蔵部18には、トナーセンサ17(トナー検知センサ)が設けられており、トナーセンサ17の表面上にトナーが存在すると、トナーの圧力を感知し、トナー貯蔵部18内にトナーTが存在する状態であると認識する。
【0048】
図8はトナー供給装置の貯蔵部が満たされた状態を示す側断面図である。トナー貯蔵部18内のトナーTは通常は
図8に示す状態である。即ち、トナーTがトナーセンサ17よりも上方まで達しており、トナー貯蔵部18がトナーTで満たされた状態にある。
【0049】
一方で、現像器43への補給を行う過程で、トナー貯蔵部18のトナーが消費されてくると、
図9のような状態となる。
図9はトナー供給装置の貯蔵部へのトナー供給が必要な状態を示す側断面図である。
【0050】
図9に示すように、トナーセンサ17の表面上にトナーTが存在しなくなり、トナー貯蔵部18内にトナーTが無し状態と認識する。この場合、トナー貯蔵部18のトナーTが存在するように、トナーカートリッジ14からトナーが供給される。
【0051】
図10はトナーカートリッジの本体へのセット状態を示す斜視図である。トナーカートリッジ14は、
図10に示すように、トナーカートリッジ14自体に螺旋形状が形成されたボトル形状をしている。トナーカートリッジ14は、本体のカートリッジトレイ26にセットされる。また、カートリッジトレイ26は複数のコロ25が配設される。コロ25があることにより、トナーカートリッジ14を円滑に回転駆動させることができる。
【0052】
このようにトナーカートリッジ14自身が回転することで、トナーカートリッジ14内部に収容しているトナーがトナーカートリッジ14の供給口14aまで搬送され、排出される。これにより、トナー貯蔵部18へとトナーを供給することができる。
【0053】
最後に、トナー供給装置10から現像器43への供給機能について詳細に説明する。
図11はトナー供給装置10の上面図である。
【0054】
図11に示すように、現像器43内のセンサ43a(
図4参照)の出力によって、トナーが不足した信号を制御部100(
図4参照)が受け取る。すると、現像器43へ最適な量のトナーが供給されるように、トナー供給装置10に信号が送られる。
【0055】
トナー貯蔵部18のトナーは、撹拌スクリュー11によって矢印の方向に搬送され、さらに第一スクリュー12によって中央部へ搬送される。
【0056】
ここで、撹拌スクリュー11は、トナーを撹拌することだけを目的とした小判状でかつ内部が空洞な形状となっている。この構成により、トナー搬送過程におけるトナーの詰まりの発生を防止することができるため、トナーを撹拌しつつトナーが自然に流れるように搬送することができる。
【0057】
トナー供給部本体10aの中央部に搬送されたトナーは、
図11に示す中央部に空いた穴10hから落下し、第二スクリュー13部へと搬送される。
【0058】
図12はトナー供給構成を側面図である。
図12に示すように、第一スクリュー12から中央部に搬送されたトナーは、第二スクリュー13へと落下し、第二スクリュー13によって最終的に現像器43へと搬送される。
【0059】
次に、トナー供給装置10の駆動構成を説明する。
図13はトナー供給に係る駆動構成を示す斜視図である。
【0060】
現像器43へのトナー供給要求信号がトナー供給装置10に送られると、
図13に示す駆動源22(回転体駆動源)が駆動し、ギア列によって矢印のように駆動が伝達される。すると、トナー供給装置10内のスクリュー(撹拌スクリュー11、第一スクリュー12、第二スクリュー13)が回転して、トナー搬送方向下流側に配設される現像器43へとトナーが搬送される。
【0061】
このとき、撹拌スクリュー11を別途駆動させる構成のものも知られているが、別途駆動源が必要であったり、正逆駆動によって行う場合も、ワンウェイギア等が必要となり、高価な構成となってしまう。本実施形態の構成によれば、駆動源22が一つで、現像器43へのトナー補給が可能であり、安価な構成となっている。
【0062】
ここで、トナーカートリッジ14からトナー供給装置10内にトナーを補給する際のシーケンスについて説明する。
図14は第1実施形態の制御のフローチャートである。
【0063】
まず、トナーカートリッジの駆動回数(動作回数)Xと、実行回数Nを0にリセットする(Step1、Step2)。
【0064】
ここで、駆動回数Xは、トナーカートリッジを駆動することが必要となった回数、つまり、トナーセンサ17がOFF(トナー無し)となった回数である。駆動回数Xは、トナーカートリッジ14が交換されない限りリセットされることはない。実行回数Nは、トナーカートリッジ14の駆動によってトナーセンサ17がON(トナー有り)になるとリセットされる値である。詳細は後述する。
【0065】
次に、トナーが現像器43に補給され、トナーセンサ17がOFFになる(Step3)まで、トナーカートリッジ14の動作を待機させる。トナーセンサ17がOFFになると、
図4における
トナーセンサ
17の信号が制御部100に伝えられる。これを受けて制御部100は駆動を実行し、駆動回数Xを1回上昇させる(Step4)。
【0066】
そして、
図4における制御部100から、駆動源制御部103へとトナーカートリッジ14を駆動させるための指令が伝えられる。それによって、トナーカートリッジ14が駆動を始める。トナーカートリッジ14は、一度駆動すると4秒間駆動する(Step5)。その後、1秒間停止する(Step6)。これで、トナーカートリッジ14の駆動が一回行われたことになり、実行回数Nを一回上昇させる(Step7)。ここで、トナーセンサ17の状態を確認する(Step8)。
【0067】
Step8でトナーセンサ17がOFFのままであった場合、実行回数Nを確認する(Step9)。そして、所定の閾値(本実施形態では25)以下であれば、再びStep5に戻り、トナーカートリッジ14の駆動を行う。
【0068】
Step8でトナーセンサ17がONになっていると、その情報が制御部100に伝えられ、最終的にはStep2に戻り、実行回数Nをリセットする。ここで、実行回数Nをリセットする前に、本実施形態の特徴となる3つのStepを設ける。次に、簡単に各Stepの意味を説明する。
【0069】
StepAでは、新しいトナーカートリッジがセットされ、トナーセンサ17がOFFになった駆動回数Xを判定する。
【0070】
StepBにおいて、トナーカートリッジがトナー供給装置に補給する際、トナーセンサをONさせるのに要した実行回数Nを判定する。
【0071】
StepCでは、StepBの判定結果を基に、トナーカートリッジの回転数を制御する。次に、それぞれ詳細に説明する。
【0072】
まず、StepAでは、特定の駆動回数Xの場合のみ、続くStepにおける制御(回転数制御)を行うように制限している。StepAでは、新しいトナーカートリッジ14に交換された場合
(使用初期)には、なるべく早い段階でトナーカートリッジ14を適正な回転速度へと修正されることが望ましい。このため、本実施形態では、駆動回数Xを2回から10回
(トナーの供給動作が行われた回数が2回以上10回以下)の場合にStepB及びStepCに移行するように設定している。
【0073】
これは、トナーカートリッジ14内のトナーが空になるまでのすべての区間で回転数を制御する対象としてしまうと、トナーカートリッジ14内のトナー変動に伴って、トナーカートリッジ14を過剰に回転させてしまう虞があるためである。
【0074】
一方、1回目から行わない理由としては、1回目は、新しいトナーカートリッジ14に交換される時には、トナー供給装置10内のトナーがほぼ空になっているため、トナーセンサ17をONするのに必要とする実行回数が適正範囲外になることは明白だからである。
【0075】
次に、StepBでは、トナーセンサ17をONするのに必要とした実行回数Nを判定する。ここで、実行回数Nが多ければ多いほど、トナーカートリッジ14の回転が不足していることがわかる。適正範囲の回転数にすることで、実行回数も適正値になるからである。本実施形態においては2回以下を適正な値とした。このため、3回以上の場合はStepCへ移行する。
【0076】
最後に、StepCである。StepCに至った場合、トナーカートリッジ14の回転速度が不足している状態である。このため、StepCにおいて、回転速度を上昇させている。本実施形態においては、所定の計算式によって得られた値から、回転数を上昇させている。
【0077】
図15は第1実施形態のStepCにおいてデューティーを求めるための数式を示す図である。デューティーとは、前述のように、駆動源21に印加する電圧をONとOFFのスイッチングを行う場合のONとOFFの時間比率のことである。
図15においては、T
nがデューティー、Gがフィードバックゲイン、Nが実行回数、Aが閾値としている。本実施形態では、G=1、A=2である。
【0078】
本実施形態では、初期のデューティーであるT
0は本実施形態においては70%に設定される。そして、順次、
図15の式にて計算された値G(N−A)を、デューティーに変換し、順次加算していく。これにより、デューティーを変化させ、DCモータに与える電圧を上昇させることで、回転数を制御している。
【0079】
尚、デューティーの変化のさせ方は、
図15の式に限るものではなく、トナーカートリッジの排出特性や、トナーカートリッジの駆動構成によって最適な式を用いることが望ましい。
【0080】
上述した式によって、StepAの判定が外れるまで、つまり、制御区間内である駆動回数Xが2回以上で10回以下の間に、適正範囲に回転速度が上昇するように設定している。本実施形態では、駆動回数Xが2回〜10回の9回の制御区間における各実行回数をもとに制御を行うが、トナーの違いや、トナーカートリッジのトナー排出特性の違いによっては、制御区間を広げることや、逆に狭めることが好ましい。
【0081】
以上のStepA、StepB、StepCによって、次回のトナー補給動作を行う際、制御区間にトナーカートリッジ14の回転速度が適正範囲に設定される。それによって、DCモータの回転数のバラツキや、駆動列の負荷のバラツキによってトナーが効率的に排出され、トナーカートリッジ14内のトナーを無駄に残すことなく使い切ることが可能となる。
【0082】
また、適正な範囲に設定された後は、StepB、StepCを通ることなく、トナーカートリッジ14の回転が実行され、実行回数Nが規定値以上で(Step9)、トナー無しを判定する(Step10)。本実施形態では、駆動回数Xが10回以上は回転速度を固定しているが、これに限定されない。例えば、駆動回数Xが10回以降において、駆動回数Xに応じた
トナーカートリッジ
14の回転速度の適正範囲が予め分かっている場合は、駆動回数Xに応じて回転速度を変化させるテーブルを用意して制御してもよい。
【0083】
本実施形態では、実行回数Nが25回以上でトナーセンサ17がONしないと、トナー無しを判定する。トナーセンサ17がOFFのまま(トナー無し)を判定すると、画像形成装置60に設けられるユーザーインターフェイス(図示しない)を通してトナーカートリッジ14の交換が促される。
【0084】
ユーザーがその指示に従って操作し、トナーカートリッジ14を新品のものと交換する。トナーカートリッジ14が新品に交換されると、再び同様に本実施形態による回転速度の制御を行う。
【0085】
トナーカートリッジ14が交換された場合、前回の設定値を引き継ぐことも可能ではある。しかし、再度、本実施形態の制御を行うメリットとして各装置の様々なバラつきをリセットすることがあるため、トナーカートリッジ14ごとに本実施形態の制御を行うことが好ましい。
【0086】
バラつきとしては、駆動源21、22であるDCモータの回転数バラツキや、電源電圧のバラツキがある。それ以外にも、トナーカートリッジ14内のトナーの流動性の違い、例えば製造時期や画像形成装置本体が設置されている環境の変化によるトナーへの影響もある。また、使用期間が長くなると、駆動列の消耗によって、負荷状態も変化することもある。
【0087】
以上、説明したように、本実施形態によれば、トナーセンサ17がONになるまでに要したトナーカートリッジ14の駆動回数Xを記憶し、その駆動回数Xをもとにトナーカートリッジ14の駆動速度を制御する。これによって、別途センサを設けることなく、次回のトナー補給動作を行う際、トナーカートリッジ14の回転速度を適正範囲内にすることができる。よって、安価な構成でトナーカートリッジ14内のトナーを効率よく消費することが可能である。
【0088】
尚、本実施形態では、StepCにおいて、回転速度を上昇させる実行しか行っていない。それは、実行回数Nの適正範囲が1回ないし2回であり、回転速度が速すぎるかどうかの判定が難しいからである。
【0089】
しかしながら、トナーカートリッジ14の回転速度を上昇することのみに限るものではない。例えば、実行回数Nの適正範囲がたとえば5回や6回である場合、それを下回る回数でトナーセンサ17がONした場合、回転速度が速すぎることになる。この場合には、回転速度を下降するように変更することが好ましい。つまり、実行回数Nの適正範囲によって、トナーカートリッジ14の回転速度を変更するように制御する。このように制御することによって、トナーカートリッジ14内のトナーを効率的に排出することが可能となる。
【0090】
〔第2実施形態〕
第1実施形態においては、トナーカートリッジ14の実行回数に基づいて、トナーカートリッジ14の回転数を制御可能としていた。本実施形態においては、トナーセンサ17がONするまでのトナーカートリッジ14の駆動時間に基づいて回転数を制御する。
図16を用いて説明する。
図16は第2実施形態の制御のフローチャートである。
【0091】
まず、第1実施形態と同様に、トナーカートリッジの駆動回数Xを0にリセットする(Step1)。次に、駆動時間tを0にリセットする(Step2)。そして、トナーセンサ17がOFFになると(Step3)、駆動回数Xを1回増加させる(Step4)。
【0092】
次に、トナーカートリッジ14を駆動する(Step5)。ここで、設定したステップ時間s秒経過した後(Step6)、トナーセンサ17の状態を確認する(Step7)。ステップ時間sは自在に設定可能であり、短く設定することで、トナーセンサ17の状態を判定する頻度を上げることができる。本実施形態においては、Sは0.1秒としている。
【0093】
Step7においてトナーセンサ17がOFFであった場合、閾値と比較し(Step8)、閾値内であれば駆動を継続するためStep5に戻る。本実施形態においては、駆動時間tの閾値を100秒としている。
【0094】
Step7においてトナーセンサがONであった場合、トナーカートリッジ14の駆動を停止させる(Stept)。停止した後のStepA、StepB、StepCは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。ここで、本実施形態においては、StepBの判定は、駆動時間tを基準とし、所定の閾値を20秒(駆動時間t≧20)としている。つまり、駆動時間tが大きいほど、トナーカートリッジ14の回転速度が小さいこととなるため、次回のトナー補給動作を行う際、トナーカートリッジ14の回転速度を上昇させる必要がある。
【0095】
最後に、100秒間、トナーカートリッジ14を駆動してもトナーセンサ17がONとならない場合(Step8)、トナー無しと判定する(Step9)。その後、上述したように、トナーカートリッジ14の交換が促される。