【実施例】
【0102】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
[実施例1]
チタニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の調製
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジ-ズ(株)製)をTiO
2換算基準で7.75重量%含む四塩化チタン水溶液93.7kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)36.3kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ72.6kgを得た。
【0103】
次に、このケーキに、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水(三菱瓦斯化学(株)製)83.0kgと純水411.4kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、撹拌下で加熱し、さらに純水159.0kgを加えて、過酸化チタン酸をTiO
2換算基準で1重量%含む過酸化チタン酸水溶液を726.0kg得た。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.5であった。
【0104】
次いで、前記過酸化チタン酸水溶液72.9kgに陽イオン交換樹脂3.5kgを混合して、これに、スズ酸カリウム(昭和化工(株)製)をSnO
2換算基準で1重量%含むスズ酸カリウム水溶液9.1kgを撹拌下で徐々に添加した。
【0105】
次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を分離した後、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を15重量%含むシリカゾル(日揮触媒化成(株)製)0.8kgと純水18.0kgとを混合して、オートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、120L)中で165℃の温度で18時間、加熱することにより、チタニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液を得た。
【0106】
得られた水分散液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が10重量%の水分散液10.0kgを得た。
この水分散液の中に含まれるコア粒子はルチル型の結晶構造を有し、このコア粒子に含まれる金属元素の含有量を測定したところTiO
275.2重量%、SnO
29.3重量%、SiO
212.2重量%およびK
2O3.3重量%であった。
【0107】
コアシェル型微粒子の調製
オキシ塩化ジルコニウム(太陽鉱工(株)製)をZrO
2換算基準で2重量%含むオキシ塩化ジルコニウム水溶液26.3kgに、アンモニアを15重量%含むアンモニア水を撹拌下で徐々に添加して、pH8.5のスラリー液を得た。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、ジルコニウム成分をZrO
2に換算基準で10重量%含むケーキ5.26kgを得た。
【0108】
次に、このケーキ200gに純水1.80kgを加え、さらに水酸化カリウム(関東化学(株)製)を10重量%含む水酸化カリウム水溶液120gを加えてアルカリ性にした後、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水400gを加えて、50℃の温度に加熱してこのケーキを溶解した。さらに、純水1.48kgを加えて、過酸化ジルコン酸をZrO
2換算基準で0.5重量%含む過酸化ジルコン酸水溶液4.0kgを得た。なお、この過酸化ジルコン酸水溶液のpHは、12.2であった。
【0109】
一方、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)を純水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸液をSiO
2換算基準で2重量%含む珪酸水溶液を得た。なお、この珪酸水溶液液のpHは、2.3であった。
【0110】
次に、前記工程で得られた、チタニウムを主成分とするコア粒子を含む水分散液3.0kgに純水12.0kgを加えて固形分含有量を2重量%としたものを、90℃の温度に加熱した後、これに前記過酸化ジルコン酸水溶液1020gと珪酸水溶液795gを徐々に添加し、さらに添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成した。
【0111】
次いで、この混合液をオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、50L)に入れて、160℃の温度で18時間、加熱処理を行なったのち、室温まで冷却して、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて固形分含有量10重量%に濃縮することにより、チタニウムを主成分とするコア粒子の表面を、ジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物からなるシェルで被覆してなるコアシェル型微粒子の水分散液(以下、「CT−1」という)を調製した。
【0112】
このコアシェル型微粒子の結晶構造はルチル型であった。
また、このコアシェル型微粒子に含まれる金属成分を測定したところ、TiO
261.5重量%、SnO
27.6重量%、SiO
222.2重量%、ZrO
24.8重量%およびK
2O3.9重量%であった。
また、このコアシェル型微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡法で測定したとき、13nmであり、比表面積は、224m
2/gであった。
【0113】
シリカ被覆コアシェル型微粒子の調製
市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製、JIS3号水硝子、SiO
2濃度24質量%)を純水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸液をSiO
2換算基準で4.5重量%含むpHは、2.3の珪酸水溶液を得た。
【0114】
前記工程で得られたコアシェル型微粒子の水分散液(CT−1)3.0kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)0.3kgを用いて脱アルカリした後、樹脂分離して水分散ゾルを得た。次いで、この水分散ゾルに前記珪酸水溶液1681.1gを攪拌しながら徐々に添加し、さらに添加終了後、35℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成することにより、シリカで被覆されたコアシェル型微粒子の水分散液を得た。
【0115】
次いで、この水分散液に10.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH10.0に調整し、85℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成した。
なお、この水分散液に含まれる、シリカで被覆されたコアシェル型微粒子の形状は米粒状であった。
【0116】
金平糖状の無機酸化物微粒子の調製
アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の調製
次いで、この水分散液にアルミン酸ナトリウムをAl
2O
3換算基準で0.9重量%含むアルミン酸ナトリウム水溶液485.6gを徐々に添加し、さらに添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌下で1.5時間加熱処理を行なうことにより、シリカ被覆コアシェル型微粒子の表面をアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液を得た。
【0117】
この水分散液を室温まで冷却した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を添加してpHを9.5に調整した後、樹脂を分離して、固形分含有量が6.9重量%のアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CTS−1)5.0kgを得た。
【0118】
突起形成工程
前記で得られたアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CTS−1)5.0kgにイオン交換水6.9kgを加えて、さらに水ガラス(AGCエスアイテック(株)製、JIS3号水硝子、SiO
2濃度24質量%)69.4gを添加した。ついで、この混合溶液の温度を87℃に昇温し、30分間87℃で維持した。
【0119】
次いで、水ガラス(AGCエスアイテック(株)製、JIS3号水硝子、SiO
2濃度24質量%)をイオン交換水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、SiO
2換算基準で3.0重量%の珪酸水溶液2067.9gを得た。そして、温度を87℃に維持した前記アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液全量に対して、前記珪酸水溶液全量を、それぞれ87℃にて3時間かけて添加したのち、87℃で一時間熟成することにより粒子成長を行い、金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液を得た。
【0120】
ついで、この水分散液を室温まで冷却した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を添加してpHを9.5に調整した。ついで、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が30重量%の金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CTC−1)1.4kgを得た。
【0121】
この水分散液に含まれる無機酸化物微粒子は、チタニウムを主成分とするコア粒子の表面を、ジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物からなるシェルと、シリカからなるシェルで被覆した表面に、アルミニウムとケイ素とを含む複合酸化物よりなる突起が形成された金平糖状の微粒子であって、この微粒子に含まれる各成分の含有量を測定したところ、酸化物としてTiO
254.5重量%、SnO
26.6重量%、SiO
234.0重量%、ZrO
22.1重量%、Al
2O
31.2重量%、K
2O1.3重量%およびNa
2O0.3重量%であった。
さらに、この金平糖状微粒子の比表面積は260m
2/gであった。
【0122】
Al修飾金平糖状微粒子の調製(1)
工程(1)
前記工程で得られた金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CTC−1)1400gを撹拌機と加熱装置を備えた内容積13リットルのSUS製反応容器に供して、温度25℃で撹拌しながらAl
2O
3換算基準で0.9重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液2712gを1時間20分間かけて一定速度で添加して混合溶液を得た。
この時、Al
2O
3/SiO
2(混合モル比)は0.100であり、アルミン酸ナトリウム水溶液の添加速度は1.5×10
-2g/Hrであった。
【0123】
工程(1.1)
得られた混合溶液を攪拌しながら、95℃に加熱したのち、温度を95℃に保ちながら6.0時間撹拌を続けた。この混合液のpH は10.9、SiO
2換算基準の固形分濃度は24.2重量%、Al
2O
3換算基準の固形分濃度は0.36重量%であった。
【0124】
工程(1.2)
上記工程で得られた混合溶液に陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)ダイヤイオン SK1BH)を投入してpHを9に調整した。
【0125】
工程(2)
上記工程で得られた混合溶液から樹脂を分離除去したのち、オートクレーブにて165℃で1時間加熱処理して、Al修飾金平糖状微粒子の水分散液を得た。
【0126】
工程(3)
次いで、上記工程により得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液を室温まで冷却した後に、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)ダイヤイオン SK1BH)を投入して、pH3.5に調整した後、樹脂を分離せず、攪拌下で80℃に保ちながら7時間熟成した。
その後、陽イオン交換樹脂を分離除去し、SiO
2換算基準で固形分濃度 24.2重量%、pH4.9のAl修飾金平糖状微粒子の水分散液を得た。
【0127】
このAl修飾金平糖状微粒子の水分散液を、限外ろ過膜を用いて濃縮し、固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(以下、「CTA−1」という)1470gを得た。このAl修飾金平糖状微粒子の金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO
254.5重量%、SnO
26.6重量%、SiO
233.9重量%、ZrO
22.1重量%、Al
2O
31.4重量%、K
2O1.3重量%およびNa
2O0.3重量%であった。さらにAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は264m
2/gで、透過型電子顕微鏡により測定した平均粒子径は20nmであった。
【0128】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量は25(μeq/g)であり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.095μeq/m
2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該微粒子の単位表面積あたりにAl
2O
3換算基準で0.5×10
-6モル/m
2であった。
【0129】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製
上記の工程で得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gの分散溶媒を限外濾過膜装置(旭化成(株)製濾過膜、SIP−1013)を用いて水からメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)に置換した。
【0130】
得られたAl金平糖状微粒子のメタノール分散液(以下「CTM−1」という)の水分含有量は約0.5重量%、固形分濃度は30重量%であった。また、該メタノール分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の平均粒子径は20nm、比表面積は264m
2/gであって、単位表面積あたりに修飾されたアルミニウムの量はAl
2O
3換算基準で1.5×10
-6モル/m
2、Al修飾金平糖状微粒子の単位比表面積当りに存在する負電荷量、表面粗度は0.095μeq/m
2であった。
【0131】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0132】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−1)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)を調製した。
【0133】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H2)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)164.4gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)29.1gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0134】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)250.1gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−1)452.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)6.6gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H2)を調製した。
【0135】
プライマー層膜形成用塗料組成物(P1)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)162.8gを入れた容器を用意し、これに、本実施例で調製したAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液CTM−1(206.7gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
【0136】
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)528.8g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(P1)を調製した。
【0137】
プライマー層膜形成用塗料組成物(P2)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)127.4gを入れた容器を用意し、これに、本実施例で調製したAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液CTM−1206.7gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
【0138】
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)528.8g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(P2)を調製した。
【0139】
[実施例2]
Al修飾金平糖状微粒子の調製(2)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子の調製(1)の工程(1)において、金平糖状微粒子の水分散液(CTC−1)1400gに添加するアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の量を、2712gから1532gに変更し、添加時間を80分から46分に変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−2)を得た。
【0140】
この水分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の各金属成分含有量は酸化物換算基準で、TiO
254.5重量%、SnO
26.6重量%、SiO
234.6重量%、ZrO
22.1重量%、Al
2O
30.6重量%、K
2O1.3重量%およびNa
2O0.3重量%であった。さらに、このAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は262m
2/gで、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は20nmであった。
【0141】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量は20μeq/gであり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.076μeq/m
2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該微粒子の単位表面積あたりにAl
2O
3換算基準で0.2×10
-6モル/m
2であった。
【0142】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(2)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製の工程において、Al修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本実施例で得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−2)1470gを用いる以外は実施例1と同様にしてAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−2))を得た。得られたAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−2)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。また前記メタノール分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子のTEMで求めた平均粒子径は20nm、比表面積は262m
2/gであって、Al修飾金平糖状微粒子に修飾されたアルミニウムの量はAl
2O
3基準の単位表面積換算で0.2×10
-6モル/m
2、Al修飾金平糖状微粒子の単位比表面積当りに存在する負電荷量、表面粗度は0.076μeq/m
2であった。
【0143】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0144】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CPM−2)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、光学基材用塗料組成物としてのハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)を調製した。
【0145】
[実施例3]
Al修飾金平糖微粒子の調製(3)
実施例1のAl修飾金平糖微粒子の調製の工程(1)において、金平糖状微粒子の水分散液(CTC−1)1400gに添加するアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の量を、2712gから9158gに変更し、添加時間を80分から4.5時間に変更した以外は実施例1と同様の方法を用いて固形分濃度30重量%の、Al修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−3)を得た。
【0146】
この分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の各金属成分含有量は酸化物換算基準で、TiO
254.1重量%、SnO
26.4重量%、SiO
234.1重量%、ZrO
22.0重量%、Al
2O
31.8重量%、K
2O1.3重量%およびNa
2O0.3重量%であった。
【0147】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は268m
2/gで、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は20nmであった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面電荷量は29μeq/gであり、単位比表面積当たりに存在する負の電荷量、表面粗度は0.110μeq/m
2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の単位表面積あたりのアルミニウムの修飾量はAl
2O
3換算基準で0.7×10
-5モル/m
2であった。
【0148】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(3)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(1)の工程において、Al修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本実施例で得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−3)1470gを用いる以外は実施例1と同様な方法によりAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−3))を得た。
【0149】
得られたメタノール分散液(CTM−3)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。また前記メタノール分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液のTEMで求めた平均粒子径は20nm、比表面積は268m
2/gであって、Al修飾金平糖状微粒子に修飾されたアルミニウムの量はAl
2O
3基準の単位表面積換算で0.6×10
-6モル/m
2、Al修飾金平糖状微粒子の単位比表面積当りに存在する負電荷量、表面粗度は0.110μeq/m
2であった。
【0150】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H4)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0151】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−3)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H4)を調製した。
【0152】
[実施例4]
ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の調製
純水18.57kgにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(太陽鉱工(株)製、ZrOCl
2・8H
2O)0.50kgを溶解し、これに濃度10重量%のKOH水溶液17.56kgを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル(ZrO
2濃度1重量%)を調製した。ついで、得られたジルコニウム水酸化物ヒドロゲルを、限外濾過膜法により電導度が0.5mS/cm以下になるまで洗浄した。
【0153】
上記操作により得られたZrO
2として濃度1重量%のジルコニウム水酸化物ヒドロゲル102.75kgに、濃度10重量%のKOH水溶液20.24kgを加えて十分攪拌した後、濃度35重量%の過酸化水素水溶液0.56kgを加えた。このとき、激しく発泡して溶液は透明になり、pHは11.4であった。
【0154】
ついで、この溶液に濃度28.8重量%のアンモニア水溶液5.63kgを加えて充分攪拌して、ジルコニア系コア粒子の前駆体スラリーを得た。このとき、前記スラリーは薄黄色になり、pHは13.4であった。
【0155】
この前駆体スラリーを3等分してオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、100L)に充填し、150℃で11時間水熱処理を行った後、遠心沈降法によりジルコニア系複合酸化物微粒子を分離し、これを充分に洗浄したのちイオン交換水に分散させて、ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液10.10kgを得た。この水分散液の固形分含有量はZrO
2換算基準で10重量%であった。
【0156】
次いで、前記コア粒子の水分散液10.10kgをスプレードライヤー(NIRO社製NIRO ATOMIZER)に供して噴霧乾燥した。これにより、ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の乾燥粉体0.90kgを得た。得られた乾燥粉体に含まれるコア粒子の平均粒子径は約2μmであった。
【0157】
次に、上記で得られた乾燥粉体0.90kgを、空気雰囲気下、500℃の温度にて2時間焼成して、ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の焼成粉体0.84kgを得た。
【0158】
上記で得られた焼成粉体0.84kgを純水0.74kgに分散させ、これに、濃度28.6%の酒石酸水溶液0.55kg、濃度50重量%のKOH水溶液0.23kgを加えて充分攪拌した。ついで、粒子径0.1mmのアルミナビーズ(大明化学工業(株)製高純度アルミナビーズ)を加え、これを湿式粉砕機(カンペハピオ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記焼成粉体の粉砕及び分散処理を行った。その後、アルミナビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、さらに純水6.65kgを添加して撹拌し、ジルコニウムを含む複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液8.84kgを得た。この水分散液の固形分含有量は11重量%であった。
【0159】
ついで、限外濾過膜を用いてイオン交換水で洗浄した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SANUPC)0.43kgを加えて脱イオン処理をした後、遠心分離機(日立工機(株)製CR−21G)に供して12,000rpmの速度で1時間処理して、ZrO
2換算基準の固形分濃度が10重量%のジルコニウムを含む複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液(CZ−1)9.50kgを得た。前記水分散液(CZ−1)に含まれるコア粒子の平均粒子径は28nm、比表面積は153m
2/gであった。
さらに、このコア粒子に含まれる金属成分の含有量は、各金属成分の酸化物換算基準で、ZrO
298.5重量%およびK
2O1.5重量%であった。
【0160】
シリカ被覆コア粒子の調製
実施例1に記載された「シリカ被覆コアシェル型微粒子の調製」の工程において、実施例1で調製したコアシェル型微粒子の水分散液(CT−1)3.0kgを用いる代わりに本実施例で調製したジルコニア系コア粒子の水分散液(CZ−1)3.0kgを用いた以外は実施例1の「シリカ被覆コアシェル型微粒子の調製」と同様な方法によりジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)をシリカで被覆したシリカ被覆コア粒子の水分散液を得た。なお、この水分散液の固形分含有量は6.9重量%であった。
【0161】
金平糖状の無機酸化物微粒子の調製(4)
アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の調製(2)
ついで、実施例1で調製したシリカ被覆コアシェル型微粒子のかわりに、本実施例で調製した、シリカ被覆コア粒子を用いた以外は、実施例1に記載の「アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の調製」と同様の工程により、アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CZS−1)5.0kgを得た。
このアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した覆微粒子はジルコニウムを主成分とするコア粒子の表面がシリカで被覆され、さらにその表面にアルミニウムを含むシェルが斑点状に存在してなる微粒子であった。
【0162】
粒成長工程
実施例1で調製したアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CTS−1)を含む水分散ゾル5.0kgを用いる代わりに本実施例で調製したアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CZS−1)5.0kgを用いた以外は実施例1に記載の「金平糖状の無機酸化物微粒子の調製」の「粒成長工程」と同様な方法により固形分含有量が30重量%の金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CZC−1)0.7kgを得た。
【0163】
この水分散液(CZC−1)に含まれる無機酸化物微粒子の金属成分含有量はZrO
268.7重量%、SiO
229.8重量%、Al
2O
31.2重量%およびNa
2O0.3重量%であった。
また、この無機酸化物微粒子の比表面積は107m
2/gで、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は25nmであった。
【0164】
Al修飾金平糖状微粒子の調製(4)
実施例1で調製した金平糖状微粒子の水分散液(CTC−1)1400gを用いる代わりに本実施例で調製した金平糖状微粒子の水分散液(CZC−1)を含む水分散ゾル1400gを用いた以外は実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子の調製(1)」に記載の工程と同様な方法により固形分含有量が30重量%のAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CZA−1)0.7kgを得た。
【0165】
この水分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、ZrO
268.4重量%、SiO
229.9重量%、Al
2O
31.4重量%およびNa
2O0.3重量%であった。
【0166】
さらに、このAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は111m
2/gで、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は25nmであった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面電荷量は29μeq/gであり、単位比表面積当たりに存在する負の電荷量、表面粗度は0.190μeq/m
2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該粒子の単位面積あたりにAl
2O
3換算基準で1.2×10
-6モル/m
2であった。
【0167】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(4)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製の工程においてAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本実施例で調製したAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CZA−1)1470gを用いた以外は実施例1と同様な方法によりAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CZM−1)を得た。
【0168】
このAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CZM−1)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。またこのメタノール分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の透過型電子顕微鏡写真により測定した平均粒子径は25nm、比表面積は111m
2/gであって、単位表面積あたりに修飾されたアルミニウムはAl
2O
3基準で1.2×10
-6モル/m
2、単位比表面積当りに存在する負電荷量は0.190μeq/m
2であった。
【0169】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H5)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)162.2gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)28.7gの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液55.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0170】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)246.2gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CZM−1)459.5g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H5)を調製した。
【0171】
[比較例1]
米粒状コアシェル型微粒子の調製
実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子の調製(1)」の工程(1)において、金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CTC−1)1400gを用いるかわりに、実施例1で調製した、チタニウムを主成分とするコア粒子の表面を、ジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物からなるシェルで被覆してなるコアシェル型微粒子の水分散液(CT−1) 1400gを用いて、さらにアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の添加量を、2712gから添加なしに変更した以外は実施例1と同様の方法によって、固形分濃度30重量%の、コアシェル型微粒子の水分散液(RCTA−1)を得た。
【0172】
この水分散液(RCTA−1)に含まれるコアシェル型微粒子の金属成分含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO
261.5重量%、SnO
27.6重量%、SiO
222.2重量%、ZrO
24.8重量%およびK
2O3.9重量%であった。さらに、このコアシェル型微粒子の比表面積は224m
2/gであった。また、このコアシェル型微粒子は米粒状で、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は13nmであった。
【0173】
また、この米粒状コアシェル型微粒子の表面負電荷量は145μeq/gであり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.650μeq/m
2であった。
また、この米粒状コアシェル型微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該粒子の単位面積あたりにAl
2O
3換算基準で0であった。
【0174】
米粒状コアシェル型微粒子を含むメタノール分散液の調製
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製の工程において、A修飾金平糖微粒子の水分散液(CTA−1)のかわりに本比較例で作成した米粒状コアシェル型微粒子の水分散液(RCTA−1)を用いた以外は実施例1と同様にして米粒状コアシェル型微粒子を含むメタノール分散液(RCTM―1)を調製した。
【0175】
得られたメタノール分散液(RCTM―1)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。また前記メタノール分散液に含まれる米粒状コアシェル型微粒子のTEMで求めた平均粒子径は13nm、比表面積は224m
2/gであって、単位表面積あたりに修飾されたアルミニウムの量はAl
2O
3基準の単位表面積換算で0モル/m
2、米粒状コアシェル型微粒子の単位比表面積当りに存在する負電荷量は0.650μeq/m
2であった。
【0176】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(C1)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)187.8gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)33.3gの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液64.0gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0177】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)291.8gおよび本比較例で調製された固形分濃度30重量%の米粒状コアシェル型微粒子のメタノール分散液(RCTM−1)373.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(C1)を調製した。
【0178】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(C2)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)170.2gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)30.1gの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液58.0gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0179】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)260.4gおよび本比較例で調製された固形分濃度30重量%の米粒状コアシェル型微粒子のメタノール分散液(RCTM−1)432.8g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)6.8gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(C2)を調製した。
【0180】
プライマー層膜形成用塗料組成物(Y1)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)176.0gを入れた容器を用意し、これに、固形分濃度30重量%の米粒状コアシェル型微粒子のメタノール分散液(RCTM−1)193.6gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
【0181】
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)531.1g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(Y1)を調製した。
【0182】
プライマー層膜形成用塗料組成物(Y2)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)142.1gを入れた容器を用意し、これに、固形分濃度30重量%の米粒状コアシェル型微粒子のメタノール分散液(RCTM−1)227.4gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
【0183】
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)531.1g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(Y2)を調製した。
【0184】
[比較例2]
Al修飾金平糖状微粒子の調製(5)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子の調製(1)の工程(1)において、金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CTC−1)1400gに添加するアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の量を、2712gから45791gに変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(RCTA−2)を得た。
【0185】
この水分散液(RCTA−2)に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の各金属成分含有量は酸化物換算基準で、TiO
252.6重量%、SnO
26.4重量%、SiO
232.4重量%、ZrO
22.0重量%、Al
2O
34.4重量%、K
2O1.3重量%およびNa
2O0.9重量%であった。さらに、Al修飾金平糖状微粒子の比表面積は271m
2/gで、透過型電子顕微鏡写真から求めた平均粒子径は20nmであった。
【0186】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量は65μeq/gであり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.240μeq/m
2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該粒子の単位面積あたりにAl
2O
3換算基準で1.6×10
-6モル/m
2であった。
【0187】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(5)
実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(1)」の工程でAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本比較例で調製したAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(RCTA−2)1470gを用いる以外は実施例1と同様にしてAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(RCTM−2))を得た。
【0188】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(C3)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0189】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび本比較例で調製された固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(RCTM−2)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(C3)を調製した。
【0190】
[比較例3]
Al修飾金平糖状微粒子の調製(6)
実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子の調製(1)」の工程(1)において、金平糖状微粒子の水分散液(CTC−1)1400gに添加するアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の量を、2712gから69gに変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(RCTA−3)を得た。
【0191】
この水分散液(RCTA−3)に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の各金属成分含有量は酸化物換算基準で、TiO
254.51重量%、SnO
26.6重量%、SiO
235.1重量%、ZrO
22.1重量%、Al
2O
30.1重量%、K
2O1.3重量%およびNa
2O0.3重量%であった。
【0192】
さらに、このAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は260m
2/gで、透過型電子顕微鏡より求めた平均粒子径は20nmであった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量は11μeq/gであり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.042μeq/m
2、であった。
【0193】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該粒子の単位面積あたりにAl
2O
3換算基準で4.5×10
-8モル/m
2であった。
さらに、前記チタニウム系無機酸化物微粒子水分散ゾルに含まれるチタニウム系無機酸化物微粒子のTEMで求めた平均粒子径から求めた比表面積は92m
2/gであった。
【0194】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製
実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(1)」でAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本比較例で得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(RCTA−3)1470gを用いる以外は実施例1と同様にしてAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(RCTM−3))を得た。このメタノール分散液(RCTM−3)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。
【0195】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(C4)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0196】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび前記で調製された固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(RCTM−3)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(C3)を調製した。
実施例1〜4および比較例1〜3で調製した各粒子の性状を表1に示す。
【0197】
試験用プラスチックレンズ基板(試験片)の作成
(1)プラスチックレンズ基材の前処理
市販のプラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−8」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.60)および「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を、40℃に保った10重量%濃度のKOH水溶液に2分間浸漬してエッチング処理を行った。更に、これらを取り出して水洗したのち、十分に乾燥させた。
【0198】
(2)プライマー層膜の形成
前処理を行ったプラスチックレンズ基材にプライマー層膜形成用塗料組成物をそれぞれ塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度120mm/分)を用いて行った。
次に、前記塗膜を100℃で10分間、加熱処理して、塗膜(プライマー層)の予備乾燥を行った。
このようにして形成された前記プライマー層の予備硬化後の膜厚は、概ね0.5〜0.7μmであった。
【0199】
(3)ハードコート層膜の形成
前記前処理を行ったプラスチックレンズ基材、またはプライマー層膜を形成したプラスチックレンズ基材の表面に、ハードコート層膜形成用の塗料組成物を塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度250mm/分)を用いて行った。
【0200】
次に、前記塗膜を90℃で10分間、乾燥させた後、110℃で2時間、加熱処理して、塗膜(ハードコート層)の硬化を行った。この際、前記プライマー層の本硬化も同時に行った。
なお、このようにして形成された前記ハードコート層膜の硬化後の膜厚は、概ね3.0〜3.5μmであった。
【0201】
(4)反射防止膜層の形成
前記ハードコート層膜の表面に、以下に示す構成の無機酸化物成分を真空蒸着法によって蒸着させた。ここでは、ハードコート層側から大気側に向かって、SiO
2:0.06λ、ZrO
2:0.15λ、SiO
2:0.04λ、ZrO
2:0.25λ、SiO
2:0.25λの順序で積層された反射防止層膜の層をそれぞれ形成した。また、設計波長λは、520nmとした。
【0202】
外観、耐擦傷性、密着性、耐候性の評価
実施例1〜4、比較例1〜3で得られたハードコート層膜形成用の塗料組成物H1、H2、H3、H4、H5、C1、C2、C3、C4と、プライマー層膜形成用塗料組成物P1およびY1を用いて、表2に示す組み合わせで前処理を行ったプラスチックレンズ基材上にプライマー層膜およびハードコート層膜を形成して試験片1〜12を作製した。
【0203】
なお、プライマー層膜形成用塗料組成物P1とハードコート層膜形成用塗料組成物H1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片7の基材、および、プライマー層膜形成用塗料組成物Y1とハードコート層膜形成用塗料組成物C1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片8を作成した。
【0204】
さらに、プライマー層膜形成用塗料組成物P2とハードコート層膜形成用塗料組成物H20を塗布し反射防止層膜を形成した試験片9の基材、および、プライマー層膜形成用塗料組成物Y2とハードコート層膜形成用塗料組成物C2を塗布し反射防止層膜を形成した試験片9〜10の基材としては「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を用い、それ以外の試験片の基材には「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を用いた。
【0205】
このようにして得られた試験片1〜10について、上記の評価試験法を用いて、外観(干渉縞)、外観(曇り)、耐擦傷性、膜硬度、密着性、耐候性、耐光性を試験して評価した。その結果を表3に示す。
【0206】
この結果から明らかなように、実施例で作成した塗料組成物を塗布して得られた試験片では耐擦傷性が比較的高いとともに、曇りがなく透明度が高いことがわかった。また、密着性、耐候性および耐光性が高いことがわかった。
【0207】
【表1】
【0208】
【表2】
【0209】
【表3】