(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂製ボトルのプリフォームをその口部の大径箇所を介して下方から支持することで、プリフォームの本体部が吊下げられた基本姿勢で次工程に向けて案内する左右一対の案内レールと、前記基本姿勢から逸脱した異常姿勢で前記案内レール上を案内されるプリフォームを検出する検出手段とを備え、
前記検出手段は、上下方向において位置の異なる少なくとも2つの光電センサと、前記2つの光電センサによる検出結果の組み合わせに基づいてプリフォームの異常姿勢を判定する判定手段とを有すると共に、前記2つの光電センサの他に、基本姿勢のプリフォームの口部よりも上方の位置で遮光される上方光電センサを有し、
前記判定手段による前記判定に基づいて、プリフォームを下方に落下させる排斥開口部が前記光電センサよりも下流側の前記案内レールの一部に形成されるプリフォーム供給装置。
前記2つの光電センサは、前記案内レール上に横向き姿勢で支持されたプリフォームによって遮光される中間光電センサと、前記案内レール上に横向き姿勢で支持されたプリフォームによって遮光されず、前記基本姿勢のプリフォームの前記本体部によって遮光される下方光電センサとからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリフォーム供給装置。
前記案内レールの一部として、プリフォームの前記次工程への案内を許す小開位置と、前記排斥開口部を形成する大開位置との間で切り換え操作される左右一対の開閉ゲートが設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載のプリフォーム供給装置。
前記基本姿勢から逸脱した異常姿勢のプリフォームを検出する予備検出手段と、前記予備検出手段による検出に基づいて、前記案内レールの上方の位置において側方から排斥用の空気流を付与する予備排斥装置とが、前記検出手段よりも上流側に設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載のプリフォーム供給装置。
前記案内レールの上流側端部にプリフォームを供給するコンベアと、前記案内レールの上流側端部におけるプリフォームの滞留を判定する補助判定手段とを備え、前記補助判定手段による滞留の判定に基づいて、前記コンベアが一時停止される請求項1から7のいずれか一項に記載のプリフォーム供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、樹脂製のボトルのプリフォーム1からボトルをブロー成形する製造ラインの一部を示している。
プリフォーム1は、外周に雄ネジ部を備えた円筒状の口部1Mと、口部1Mの下端から下方に延びた本体部1Bとを備え、口部本体1Mと本体部1Bとの境界付近には大径のネックリング1Rが設けられている。
ここでは、プリフォーム1はポリエチレンテレフタレート樹脂によって形成されているが、これに限らず、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂などでもよい。
【0026】
(プリフォーム供給装置の概略構成)
製造ラインには、ランダムな姿勢で供給された多数のプリフォーム1を、可及的に一定の姿勢で一列状に整列させて、下流側の工程に向けて搬送する整列化・搬送手段として、互いに直列状に連設され、いずれも下流側に向かって下降する緩い傾斜姿勢を取ったアンスクランブラ3と補助アンスクランブラ4を有する。
【0027】
このうち、上流側のアンスクランブラ3は互いに逆向きに回転する左右一対の回転ローラ5(案内レールの一例)を備えており、補助アンスクランブラ4は、左右一対の長尺板状の搬送レール7(案内レールの一例)を備えている。ここでは、これらアンスクランブラ3と補助アンスクランブラ4とが本発明に係るプリフォーム供給装置に相当する。
【0028】
製造ラインにコンテナなどで供給された多数のプリフォーム1をアンスクランブラ3に供給する手法としては種々の手法が可能であるが、ここでは、2つの概して水平に延びた供給コンベアC1、C2が用いられる。平面視では、下流側の第2供給コンベアC2はアンスクランブラ3に対して直線状に配置されているが、上流側の第1供給コンベアC1は第2供給コンベアC2に対して略直角に配置されている。
【0029】
アンスクランブラ3では、基本的にプリフォーム1はネックリング1Rによって左右一対の回転ローラ5に支持され、口部1Mが上を向き、本体部1Bが概して真下に向いた安定した基本姿勢F0を取り易い。
【0030】
補助アンスクランブラ4でも、同様に、プリフォーム1は基本的にネックリング1Rによって左右一対の板状の搬送レール7(案内レールの一例)に支持され、同様の基本姿勢F0で下流側に滑り降りていく。
【0031】
補助アンスクランブラ4から一列状で排出されたプリフォーム1は、
図1に例示するように、例えば、下流工程としてのリンサー50に送られ、リンサー50で洗浄操作を受けたプリフォーム1は、殺菌装置51に送られて紫外線などにより殺菌処理され、次にブロー成形装置52に供給され、ブロー成形装置52でボトル状などに成形された容器(不図示)は充填装置53で飲料などの中身の充填を受ける。
【0032】
図1に示すように、アンスクランブラ3に設けられた一対の回転ローラ5の軸芯どうしは互いに平行で、次工程に向けて下向きとなるように傾斜配置されており、且つ、軸芯どうしと交差する垂線は概して水平とされている。
【0033】
一対の回転ローラ5は、回転ローラ5の一端に配置されたモータなどの駆動機構(不図示)によって同速度で回転駆動されているが、回転ローラ5の回転方向は、矢印で示すように、一対の回転ローラ5どうしの互いに対向する周面がいずれも上方に向かって移動する逆向きとされている。
【0034】
プリフォーム1が、口部1Mが上方を向き、本体部1Bが概して真下に向いた基本姿勢F0で、大径のネックリング1Rの外周下端を介して一対の回転ローラ5の間に吊下げられているとき、プリフォーム1のネックリング1R以外の箇所は基本的に回転ローラ5と接触しないように一対の回転ローラ5の間隔が設定されている。
【0035】
一対の回転ローラ5の左右にはガイド体6が配置されている。ガイド体6は一対の回転ローラ5の全長に亘って概して連続的に延設されており、ガイド体6の断面は下方の開口部が一対の回転ローラ5の間隙部と連通するホッパ状を呈している。
【0036】
また、アンスクランブラ3には、複数組(例えば3組)の姿勢矯正部材30がプリフォーム1の搬送方向に沿って互いに離間した状態で設けられている。一組の姿勢矯正部材30は、左右の各ガイド体6に設置された軸芯31P回りで回転自在に支持された揺動アーム31と、左右の各ガイド体6に固定されたストッパ32とを有する。
【0037】
各揺動アーム31は自重によって反対側のガイド体6に向かって揺動しようとするが、ストッパ32との当接によって、プリフォーム1と接触しない限り、揺動アーム31の先端が一対の回転ローラ5の中間付近に達するほどの姿勢で維持されている。
【0038】
また、一組の姿勢矯正部材30を構成する左右一対の揺動アーム31どうしは、プリフォーム1の搬送方向に沿って互いに僅かに変位して配置されている。
姿勢矯正部材30の先端の高さは基本姿勢F0のプリフォーム1の上端よりも高い位置に設定されているので、基本姿勢F0で搬送されるプリフォーム1は姿勢矯正部材30と接触することなく姿勢矯正部材30の横を通過する。
【0039】
しかし、例えば基本姿勢F0で搬送されるプリフォーム1の上に別のプリフォーム1が乗り上げた状態で搬送される場合のように、基本姿勢F0のプリフォーム1の上端よりも上方に位置する状態の異常姿勢のプリフォーム1が搬送される場合は、これらの異常姿勢のプリフォーム1が揺動アーム31の先端によって堰き止められることで、結果的に基本姿勢F0のプリフォーム1の上から除去され、場合によっては基本姿勢F0に矯正されて搬送される。
【0040】
第2供給コンベアC2によってアンスクランブラ3の上流側端部付近に供給されたプリフォーム1は、ガイド体6及び姿勢矯正部材30の作用で概して一対の回転ローラ5の上面に集められ、回転ローラ5の回転運動と次工程に向けて下向きとなる回転ローラ5の傾斜配置とから与えられる作用によって、下流側に概して一定速度で搬送される。
【0041】
一対の回転ローラ5の上端付近に供給されたプリフォーム1は、左右のガイド体6の作用によって、基本的に1列状で下流側に一定速度で搬送されるが、表2に例示するように、搬送されるプリフォーム1は基本姿勢F0を含めた種々の姿勢をとる傾向がある。
【0042】
基本姿勢F0以外の種々の異常姿勢のプリフォーム1を一対の回転ローラ5から排斥し、可及的に基本姿勢F0をとったプリフォーム1のみを次工程に供給するための排斥装置として、アンスクランブラ3には第1選択排斥装置R1が、補助アンスクランブラ4には第2選択排斥装置R2が設けられている。
【0043】
尚、回転ローラ5の上流側の端部付近には、回転ローラ5の上端から更に所定長さだけ上方に位置するプリフォーム1を検出する第1光電センサ部S1(補助判定手段の一例)が設けられている。
【0044】
第2供給コンベアC2によるプリフォーム1の供給速度が、一対の回転ローラ5に沿って下流側に流れるプリフォーム1の処理速度を越えると、回転ローラ5の上流側の端部付近に堆積されたプリフォーム1の量が過剰(滞留状態の一例)となるため、堆積したプリフォーム1の上端付近によって第1光電センサ部S1の光ビームが遮断され、後述する制御装置40が、第1光電センサ部S1から送られる遮断信号に基づいて第2供給コンベアC2を同遮断信号が無くなるまで停止させる。
【0045】
第1光電センサ部S1は、基本姿勢F0で搬送されるプリフォーム1よりも下方の位置に配置された発光素子S1A及び受光素子S1Bと、プリフォーム1がこれらの素子S1A,S1Bの上方に介在しない場合に、発光素子S1Aから上方に出射された光ビームを受光素子S1Bに向けて反射させるべくガイド体6の上端付近の高さに配置された反射ミラーS1Rとで構成されている。ここでは、発光素子S1Aと受光素子S1Bとは単一のモジュールとして一対の回転ローラ5の下方に一体的に設けられており、発光素子S1Aから上方に出射された光ビームは一対の回転ローラ5の間を通過して反射ミラーS1Rに達し、反射ミラーS1Rで反射された光ビームは一対の回転ローラ5の間を通過して受光素子S1Bに達する。
【0046】
(第1選択排斥装置の構成)
アンスクランブラ3の下流側端部付近に設けられた第1選択排斥装置R1は、基本姿勢F0のプリフォーム1の上端よりも上方に位置する遮光体を検出する第2光電センサ対S2(予備検出手段の一例)と、第2光センサ対S2による遮光体の検出に応じて、回転ローラ5の上方の位置において回転ローラ5の側方から一対の回転ローラ5の上方を横断するような横向きの排斥用の空気流を付与するエア噴出機構9(予備排斥装置の一例)とを有する。
【0047】
第2光電センサ対S2は、概して一対の回転ローラ5の間に形成された溝状のプリフォーム1の搬送経路を挟むように互いに対向配置された発光素子と受光素子とで構成され、発光素子から受光素子に向かって概して水平に照射される光ビームの高さは、一対の回転ローラ5の上端よりも僅かに上方に位置している。
【0048】
エア噴出機構9は、プリフォーム1の搬送方向に沿って間隔を空けて配置された複数のエアノズル9Aを有し、エアノズル9Aの基端側には高圧空気発生手段(不図示)が接続されている。複数のエアノズル9Aは一対の回転ローラ5の側方に配置されており、エアノズル9Aの開口部は一対の回転ローラ5の上端よりも僅かに上方の空間に向けられている。
【0049】
高圧空気発生手段は、エアポンプなどで形成された一定圧の高圧空気を貯留するための圧搾空気チャンバー(不図示)と、圧搾空気チャンバーとエアノズル9Aの間に介装された開閉バルブ(不図示)とで構成することができる。
【0050】
第1選択排斥装置R1では、特に後述する表2の8(a)に例示するように、1つのプリフォーム1の下端が別のプリフォーム1の口部に突き刺さったまま一対の回転ローラ5に上下向きに支持された異常姿勢パターンのプリフォーム1が、第2光センサ対S2の光ビームを一時的に遮断することで、受光素子S2Bから一定の遮断信号が制御装置40に送られ、制御装置40からエアノズル9Aの前記開閉バルブに対して開放操作信号が送られ、前記開閉バルブが一定の時間長さだけ開放される。
【0051】
その結果、前述した異常姿勢パターンのプリフォーム1が、各エアノズル9Aから噴出される噴出エアによって、一対の回転ローラ5を挟んでエアノズル9Aと反対側に設けられた排斥ダクト10へと排斥される。
【0052】
排斥ダクト10に排斥されたプリフォーム1は、排斥ダクト10の下方から概して斜め上向きに連設された回収コンベア11と第3の水平なコンベアC3とによって、上流側の第1コンベアC1の一部に戻される。他方、第1選択排斥装置R1によって排斥されなかったプリフォーム1は、一対の回転ローラ5の下流側の端部から、下流側に隣接する補助アンスクランブラ4に供給される。
【0053】
回収コンベア11は、排斥ダクト10の下方に始点を備えた概して水平な上流部11Aと、上流部11Aの下流側端部から急勾配で上向きに延びた中間部11Bと、中間部11Bの下流側端部から第3の水平なコンベアC3の上方まで概して水平に延びる下流部11Cとを有する。
回収コンベア11を構成するコンベアベルトの上面には、中間部11Bの急勾配姿勢において幾つかのプリフォーム1を支持可能な板状などのブレード35が搬送方向において等間隔で立設されている。
【0054】
尚、プリフォーム1の搬送方向に関して第1選択排斥装置R1の第2光電センサ対S2よりも上流側には、プリフォーム1に下向きの空気流を継続的に吹き付ける第1補助エアノズル8(姿勢矯正手段の一例)が設けられている。第1補助エアノズル8からは概して真下向きの空気流が吹き付けられ、この空気流は、特に一対の回転ローラ5上を大きく基本姿勢F0から逸脱した姿勢で下流側に移動していくプリフォーム1を基本姿勢F0に近付ける作用や、一対の回転ローラ5上を基本姿勢F0に近い不完全な姿勢で下流側に移動していくプリフォーム1を可及的に真の基本姿勢F0に修正する作用を引き起こす。
【0055】
(第2選択排斥装置の構成)
補助アンスクランブラ4に設けられた第2選択排斥装置R2は、基本姿勢F0から逸脱した異常姿勢で上流側の搬送レール7A上を案内されるプリフォーム1を検出する検出手段として、上下位置の異なる3組の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lと、これら3組の光電センサS3
H,S3
M,S3
Lによる検出結果の組み合わせに基づいてプリフォーム1の異常姿勢を判定する判定手段14とを有し、案内レール7の途中には判定手段14による判定に応じてプリフォーム1を下方に排斥可能な開閉ゲート15とが設けられている。
【0056】
開閉ゲート15は、後述する左右のゲート部材16の間を基本姿勢F0のプリフォーム1が通過可能な小開位置と、左右のゲート部材16が大きく離間した大開位置との間で切り換えられ、大開位置では光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lよりも下流側の案内レール7上に排斥開口部15Aが一時的に形成され、該当する異常姿勢のプリフォーム1は、排斥開口部15Aから下方のプリフォーム回収箱12などに落下することで、上流側の搬送レール7Aの搬送路から排斥される。
【0057】
光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lは、いずれも案内レール7に沿って形成されているプリフォーム1の搬送経路を挟んで互いに対向した発光部と受光部とを備え、最も上方に配置された上方光電センサ対S3
H(上方光電センサの一例)と、中間的な高さに配置された中間光電センサ対S3
M(光電センサの一例)と、最も下方に配置された下方第3光電センサ対S3
L(光電センサの一例)とからなる。
【0058】
上方光電センサ対S3
Hの光ビームは、基本姿勢F0のプリフォーム1の口部1Mよりも上方の位置で、且つ、基本姿勢F0のプリフォーム1の口部1Mの上に横倒し状態で重なり合ったプリフォーム1によって遮光される高さに配置されている。
中間光電センサ対S3
Mの光ビームは、上流側の搬送レール7A上に横向き姿勢で支持されたプリフォーム1によって遮光される高さに配置されている。
下方光電センサ対S3
Lの光ビームは、上流側の搬送レール7A上に横向き姿勢で支持されたプリフォームによっては遮光されず、基本姿勢のプリフォーム1の本体部1Bによって遮光される高さに配置されている。
【0059】
3組の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lは
図2に示すように、プリフォーム1の搬送方向に関してほぼ同様の位置に配置することができる。
尚、
図2に例示するように、上流側の搬送レール7Aの幅方向の両端からは、プリフォーム1どうしが上下に積み重なった場合に、プリフォーム1が幅方向の外側から落下するのを防止するための縦壁部7Cが概して垂直上方に延出している。縦壁部7Cの一部には、ストッパ21のアーム部材21Aの進入を許すスリット(不図示)が形成されており、さらに、3組の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lにおいて生成される光ビームの通過を許す貫通孔(不図示)も形成されている。
【0060】
また、後述する下流側の搬送レール7Bの幅方向の両端からも同様の縦壁部7Cが上方に延出しており、第2選択排斥装置R2の付近にもプリフォーム1の落下を防止するための縦壁部(不図示)が概して垂直上方に立設されている。
尚、
図2では縦壁部7Cの上流側端部付近のみが記載されており、
図1及び
図4−
図7などにおいては、これらの縦壁部は省略されている。
【0061】
開閉ゲート15は、左右一対の矩形板状のゲート部材16と、各ゲート部材16を小開位置と大開位置との間で横向きに移動操作するための往復駆動機構17とを有する。
小開位置では、ゲート部材16の幅方向内側の端面と、案内レール7の幅方向内側の端面とが概して一直線状に揃った状態となることで、ゲート部材16よりも上流側の案内レール7と、小開位置のゲート部材16と、ゲート部材16よりも下流側の案内レール7とが互いに協働して、基本姿勢F0のプリフォーム1を補助アンスクランブラ4よりも下流に送り出すことができる。
【0062】
往復駆動機構17は、概して直方体状の外形を有するシリンダ部材17Aと、シリンダ部材17Aから側方に出退移動可能なロッド部材17Bとを有し、ロッド部材17Bの先端は板状のジョイント部材17Cを介してゲート部材16の幅方向外側の端面に連結されている。
【0063】
また、シリンダ部材17Aの背面側は図では板状に例示した支持部材18を介して建屋側に固定されており、この支持部材18とゲート部材16との間には、ゲート部材16の移動軌跡を概して案内レール7の幅方向に案内するための前後一対のガイド機構20が設けられている。このガイド機構20は、ゲート部材16から幅方向外向きに延設された円筒状部材20Aと、一端が円筒状部材20A内に摺動自在に支持され、他端が支持部材18に固定された補助ロッド20Bとを有する。
【0064】
往復駆動機構17は種々の構成によって実現することが可能であるが、例えば、シリンダ部材17Aの内部をロッド部材17Bの基端側と連結されたピストン部材(不図示)によって2室に気密状に分割し、これらの2室を各別のエア配管によって前述の圧搾空気チャンバー(不図示)等と連通させ、これらのエア配管に設けた開閉弁を制御装置40によって交互に開閉制御して、前記ピストン部材を摺動移動させることで、左右のゲート部材16を開閉操作することができる。
【0065】
案内レール7上のプリフォーム1の搬送方向に関して光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lと開閉ゲート15の間の位置には、ゲート部材16を大開位置から小開位置に戻す際に、開閉ゲート15よりも上流側のプリフォーム1を堰き止めるためのストッパ21が設けられている。
【0066】
図2に例示するように、ストッパ21は、概して鉛直方向に延びた軸芯X回りで揺動自在に支持されたアーム部材21Aと、アーム部材21Aを遮断位置(二点鎖線で表示)と解除位置(実線で表示)との間で揺動操作するソレノイド式などのアクチュエータ21Bとを有する。解除位置では、アーム部材21Aの先端はプリフォーム1と干渉しないように案内レール7の側方に引退されているが、遮断位置では、アーム部材21Aの先端部位が一対の案内レール7の間の空間内に進入することで、下流側に移動しようとするプリフォーム1を堰き止める。
【0067】
また、第2選択排斥装置R2は、排斥開口部15Aの一部に向けて下向きの空気流を吹き出すための第2補助エアノズル23(排斥補助手段)を備えている。第2補助エアノズル23はゲート部材16の上方に配置されており、そのノズルの先端はゲート部材16の下流側端部よりも僅かに上流側に位置し、案内レール7に対して垂直よりも0°〜60°の範囲で下流側に倒された傾斜姿勢で設置されている。
【0068】
第2補助エアノズル23からは、制御装置40によって操作される電磁バルブなどの働きによって、ゲート部材16が大開位置に切り換えられた直後に空気流が吹き出され始め、ゲート部材16が小開位置に切り換えられた直後に空気流は停止される。第2補助エアノズル23から吹き出される空気流は、形成された排斥開口部15A内に位置するプリフォーム1を積極的に落下させる役割を果たす。
【0069】
尚、第2補助エアノズル23に対して、下流側に向いた初速によって斜め下方に落下する傾向のあるプリフォーム1に対して上流側に押し戻す力を与えることで、プリフォーム1が下流側の搬送レール7Bの上流側端面と衝突するのを防ぐ役割を担保させてもよい。
【0070】
(3組の光電センサ対の作用)
下記の表1は、第2選択排斥装置R2の3組の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lが示し得る検出結果(ONまたはOFF)の全てのパターン(組み合わせ)と、各パターンに基づいて制御装置40が行う処理の内容、すなわち、開閉ゲート15によるプリフォーム1の排斥を実施するか否かを示している。
【0071】
また、表1の後に示す表2は、3組の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lが示す検出結果(ONまたはOFF)の各パターンを現出すると予測されるプリフォーム1の姿勢の例を、制御装置40による処理の内容(表1と同一)と共に例示している。
【0074】
表2に例示するように、上方光電センサ対S3
Hが遮光される(OFF)場合(パターン5〜8)は、基本姿勢F0で搬送されるプリフォーム1の上端よりも十分に高い位置に別のプリフォーム1が様々な形態で積み重なった異常な状態の一種と見做されるので、中間光電センサ対S3
M及び下方光電センサ対S3
Lの検出結果(ON/OFF)と無関係に、開閉ゲート15はプリフォーム1を排斥可能な大開位置に切り換えられる。
【0075】
また、表2のパターン3に例示するように、上方光電センサ対S3
Hが遮光されず(ON)、下方光電センサ対S3
Lも遮光されず(ON)、中間光電センサ対S3
Mのみが遮光される(OFF)場合は、主に表2のパターン3(a),3(b)に例示するように、プリフォーム1が案内レール7上に横倒れ状態になった異常な状態と推測されるので、開閉ゲート15はプリフォーム1を排斥可能な大開位置に切り換えられる。
【0076】
尚、パターン3の中には、表2のパターン3(c)、3(d)のように、基本姿勢F0に類似しており、必ずしも下流側におけるジャミングの原因とならない姿勢のプリフォーム1が稀に発生する可能性があるが、パターン3(a),3(b)との区別が困難なため、大開位置に切り換えられた開閉ゲート15によって排斥される。
【0077】
表2のパターン4(a)に例示するように、基本姿勢F0のプリフォーム1が3組の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lの間を正しい状態で通過する際には、上方光電センサ対S3
Hは遮光されず(ON)、中間光電センサ対S3
M及び下方光電センサ対S3
Lが遮光される(OFF)ので、開閉ゲート15は小開位置に保持され、プリフォーム1は下流側の搬送レール7Bを経て、リンサー50へ供給される。
【0078】
また、表2のパターン4(b),4(c)に例示するように、プリフォーム1の軸芯が鉛直方向に対して傾斜している場合も、その傾斜の程度が、上方光電センサ対S3
Hは遮光されず(ON)、中間光電センサ対S3
M及び下方光電センサ対S3
Lが遮光される(OFF)範囲であれば、下流側でのジャミングの原因となる可能性が低いので、基本姿勢F0の範囲内として扱い、排斥されない。
【0079】
尚、表2のパターン1に例示するように、如何なる姿勢のプリフォーム1も未だ3組の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lの間に達していない状態では、プリフォーム1の排斥は不要なため、開閉ゲート15は小開位置に保持される。
【0080】
以上のパターンの他に、表2のパターン2に例示するように、何らかの原因でプリフォーム1が基本姿勢F0から大きく傾斜し、本体部1Bの下端付近が下方光電センサ対S3
Lを遮光する状態も少なくとも理論的には考えられる。
【0081】
このような姿勢のプリフォーム1は下流側でのジャミングの要因となる可能性があると考えられるので排斥すべきであるが、パターン1との区別が困難なため、開閉ゲート15は小開位置に保持され、直ぐには排斥されない。但し、パターン2を示すプリフォーム1は次の瞬間には下流側への僅かな移動に基づいてパターン3(d)などに移行し易いため、結局は無事に排斥されるものと推測される。
【0082】
(第2選択排斥装置の作用)
図4から
図7に、案内レール7上におけるプリフォーム1の種々の状況に対応した第2選択排斥装置R2の作用の例を示す。
図4は、案内レール7上を全てのプリフォーム1が基本姿勢F0で搬送されている場合を示す。3組の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lの検出結果はパターン4となるので、開閉ゲート15は小開位置に保持されたままである。
【0083】
図5に例示するように、1つのプリフォーム1が案内レール7上に横倒れ状態になった異常姿勢で搬送されてくると、上方光電センサ対S3
Hが遮光されず(ON)、下方光電センサ対S3
Lも遮光されず(ON)、中間光電センサ対S3
Mのみが遮光される(OFF)。
【0084】
そこで、制御装置40の判定手段14は、光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lから送られる各信号からパターン3と判定し、次の瞬間(例えば信号受信から0.1秒後など)には、
図6に例示するように、開閉ゲート15が大開位置に切り換えられ、該当するプリフォーム1が自重と第2補助エアノズル23から吐出される空気流によって下方に落下、排斥される。
【0085】
引き続き、開閉ゲート15が大開位置に切り換えられた次の瞬間(例えば信号受信から0.1秒後など)には、
図7に例示するように、ストッパ21が解除位置から遮断位置に切り換えられることで、上流側のプリフォーム1を堰き止めた状態とし、直後に開閉ゲート15が小開位置に戻され、
図4の通常状態に復帰する。
【0086】
判定手段14による排斥の判定からゲート部材16を大開位置に切り換えるまでの第1時間長さ、プリフォーム1の排斥のためにゲート部材16を大開位置に保持しておく第2時間長さ、ゲート部材16の大開位置への切り換えからストッパ21の遮断位置への切り換えまでの第3時間長さ、ストッパ21を遮断位置に保持しておく第4時間長さ、ゲート部材16の小開位置への戻し操作からストッパ21の解除位置への戻し操作までの第5時間長さなどは、制御装置40と連結されたモニタ画面(不図示)に各別に表示されるレバー状などのアイコンをポインティングデバイスなどで操作することで、個別に自在に設定変更できるように構成することができる。
【0087】
これらの第1〜第5の各時間長さの適切値は、光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lからゲート部材16の上流側端部までの距離、搬送方向に沿ったゲート部材16の長さ、案内レール7の傾斜角度によって異なるプリフォーム1の搬送速度、処理対象となるプリフォーム1の形状や質量、第2補助エアノズル23から吐出される空気流の強さなどによって左右されることが予測される。
【0088】
したがって、上述した第1〜第5の各時間長さを適切な値とすることで、異常姿勢のプリフォーム1の排斥率を高めることが可能となり、また、例えば、ゲート部材16を大開位置に切り換えた際に、異常姿勢のプリフォーム1の前後に隣接する基本姿勢F0のプリフォーム1が異常姿勢のプリフォーム1と共に落下、排斥されてしまう傾向を抑制し、異常姿勢のプリフォーム1のみが排斥される好都合な状態に近付けることができる。
【0089】
例えば、事前に実際のプリフォーム1を用いて行う試験的なプリフォーム処理によって、第1〜第5の各時間長さの適切値のデータをプリフォーム1の形状毎に収集しておき、モニタ画面上に示された複数のタイプのプリフォーム1の中から該当するものをポインティングデバイスなどで選択することで、簡単に第1〜第5の各時間長さが最も適切な値に設定されるように構成することが可能である。
【0090】
(その他の光電センサ部)
尚、
図1に示すように、第2選択排斥装置R2と重複する位置には、開閉ゲート15の上流側に隣接する領域でプリフォーム1どうしが上下に重なり合った状態を検出するための第4光電センサ部S4が設けられており、第2選択排斥装置R2の下流側にも、この下流側領域でプリフォーム1どうしが上下に重なり合った状態を検出するための第5光電センサ部S5が設けられている。
【0091】
第4光電センサ部S4は、第2選択排斥装置R2の一部を構成するストッパ21のアーム部材21Aよりも僅かに下流側に配置されており、第1光電センサ部S1と同様に、単一のモジュール状の発光素子S4A及び受光素子S4Bと、反射ミラーS4Rとからなるが、第1光電センサ部S1とは逆に、反射ミラーS4Rが下方に配置され、発光素子S4A及び受光素子S4Bが上方に配置されている。仮にプリフォーム1がこれらの素子S1A,S1Bの下方に存在しなければ、発光素子S5Aから下方に出射された光ビームは一対の案内レール7Bの間を通過して反射ミラーS5Rに達し、反射ミラーS5Rで反射された光ビームは一対の案内レール7Bの間を通過して受光素子S5Bに達する。
【0092】
第5光電センサ部S5は、例えば第4光電センサ部S4と同様に、上方に配置されたモジュール状の発光素子及び受光素子と、下方に配置された反射ミラーとで構成することができるが、
図1に例示したように、案内レール7の上を基本姿勢F0で搬送されているプリフォーム1の上端よりも上方の高さにおいて、搬送方向に関する幅方向で互いに対向配置された発光素子と受光素子とで構成することも可能である。
【0093】
第4光電センサ部S4及び第5光電センサ部S5は、例えば、上流側の第4光電センサ部S4は遮断されずに、下流側の第5光電センサ部S5のみが上下に積み重なったプリフォーム1によって遮断される(開閉ゲート15付近でプリフォーム1の詰まりが生じた可能性が高い)と、警報を発して、手動による管理を促すなどの方法で使用される。
【0094】
また、第4光電センサ部S4の遮断状態が一定時間以上にわたって続く場合(補助アンスクランブラ4の下流側端部の出口でプリフォーム1の詰まりが生じた可能性が高い)は、警報を発するように構成してもよい。
【0095】
〔別実施形態〕
〈1〉例えば、第1選択排斥装置R1による排斥率が十分に高いために、表2のパターン5〜8に属する姿勢のプリフォーム1が補助アンスクランブラ4に殆ど供給されない場合などでは、
図8に例示するように、上方光電センサ対S3
Hを省略し、第2選択排斥装置R2を構成する光電センサとして中間光電センサ対S3
Mと下方光電センサ対S3
Lのみを設けてもよい。
【0096】
〈2〉上記の実施形態では、複数の光電センサ対S3
H,S3
M,S3
Lを備えた第2選択排斥装置R2を、一対の回転ローラ5を含まない補助アンスクランブラ4に設けているが、一対の回転ローラ5を含むアンスクランブラ3に設けてもよい。この後者の構成の場合には、例えば、光電センサ対の発光部から発された光ビームが回転ローラ5と干渉することを回避するべく、光ビームが斜め方向に通過する構成などとすればよい。
【0097】
〈3〉開閉ゲート15は、ゲート部材16が概して水平に移動するスライド式の構成に限らず、ゲート部材16がプリフォーム1の搬送方向と平行な軸芯回りなどで下向きに揺動されることで開口部を形成する揺動式の構成で実施してもよい。
【0098】
〈4〉第1選択排斥装置R1において、光電センサ対の代わりに、プリフォーム1を撮像するCCDカメラと、CCDカメラによる撮像画像からプリフォーム1の異常姿勢を判定する画像解析部とを設置することも可能である。
【0099】
〈5〉アンスクランブラ3に一対の回転ローラ5を傾斜配置しているが、一対の回転ローラ5の代わりに、補助アンスクランブラ4と同様の左右の搬送レールを設け、同搬送レールに支持されたプリフォーム1を下流側に向けて空気流で送り出す機構を設けてもよい。
【0100】
〈6〉第1選択排斥装置R1における、第2光電センサ対による検出結果に基づいてエア噴出機構9が駆動される構成は、消費するエネルギーを節約するために有効であるが、エネルギー事情などによっては、アンスクランブラ3の運転時にはエア噴出機構9を常に駆動させる構成としてもよい。