特許第6049400号(P6049400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049400
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20161212BHJP
   G01G 17/00 20060101ALI20161212BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20161212BHJP
   B65G 47/56 20060101ALI20161212BHJP
   B65G 43/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   G01G11/00 M
   G01G17/00 A
   B65G47/52 B
   B65G47/56
   B65G43/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-236952(P2012-236952)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-85316(P2014-85316A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】302046001
【氏名又は名称】アンリツインフィビス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】朝井 英治
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆治
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 裕吉
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−149973(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0059291(US,A1)
【文献】 実開平07−008730(JP,U)
【文献】 特開2007−178172(JP,A)
【文献】 特開2004−277171(JP,A)
【文献】 実開昭60−103127(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 11/00
G01G 17/00
B07C 5/16 − 5/32
B65G 15/00, 15/42
B65G 43/00
B65G 47/20, 47/52, 47/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長物被計量物(W)を所定の搬送方向(X)に搬送する助走コンベア(2)と、
前記助走コンベアから搬送されてきた前記長物被計量物を搬送面の所定位置で受け、該長物被計量物の重量を搬送しながら測定する秤量コンベア(3)と、を備えた計量装置(1)において、
前記助走コンベアは、
無端ベルトの上面が助走搬送面となって、前記長物被計量物をその長手方向が前記搬送方向と直交する向きにして搬送する助走搬送ベルト(4)を備え、
前記秤量コンベアは、
無端ベルトによる循環路の上面が前記搬送面となる秤量傾斜搬送面(7)を形成して、前記長物被計量物をその長手方向が前記搬送方向と直交する向きにして搬送する搬送ベルト(6)と、
前記搬送ベルトのベルト表面に突設され、前記助走コンベアから受け渡された前記長物被計量物が前記秤量傾斜搬送面上を転がり突き当たることで該長物被計量物を止める凸部(8)と、を備えることを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記秤量コンベア(3)は、前記凸部(8)に止めて搬送している前記長物被計量物(W)の重量を前記秤量傾斜搬送面(7)における前記秤量コンベアの前記搬送方向(X)の下流側となる後段の装置に受け渡し可能な位置に前記長物被計量物が到達する前に測定することを特徴とする請求項1記載の計量装置。
【請求項3】
前記秤量コンベア(3)には、凸部(8)が、助走コンベア(2)から受け渡された直後の長物被計量物(W)が突き当たる位置から、助走コンベアから受け渡された長物被計量物が秤量傾斜搬送面(7)を最大長転がり落ちて突き当たる位置までの間の任意の位置で、前記助走コンベアから前記長物被計量物が受け渡されることを特徴とする請求項1又は2記載の計量装置。
【請求項4】
前記助走コンベア(2)は、少なくとも前記長物被計量物(W)を前記秤量コンベア(3)に受け渡す直前の位置に、前記秤量コンベア(3)の前記秤量傾斜搬送面(7)が前記搬送方向(X)に向かって下り傾斜している所定角度と同一の所定角度で下り傾斜している助走傾斜搬送面(5)を形成していることを特徴とする請求項1又は2又は3記載の計量装置。
【請求項5】
前記凸部(8)の位置を検知する凸部検出センサ(10)が設けられ、前記凸部検出センサからの検知信号に応じて前記助走コンベア(2)の搬送速度を変更する供給制御手段(11)を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば長物野菜(人参、胡瓜、アスパラなど)のような長物被計量物の重量測定に用いて好適な計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、被計量物(長物野菜)を1個ずつ間隔をあけて搬送ベルト上に載置して搬送しながら、被計量物の重量に基づく搬送ベルトの下方変位量を検出して重量を自動計測する計測手段を備えた農作物の計量装置が開示されている。この自動計量装置では、搬出装置の第1搬送ベルトの搬送終端と、計量装置における第2搬送ベルトとの間に、搬送方向に対して長手方向が直交する横向き姿勢で送られてきた長物野菜の姿勢を、その長手方向が搬送方向に沿った状態となるように姿勢変更する案内シュートが設けられている。すなわち、下端出口が第2搬送ベルトの搬送方向に沿った長孔に形成された案内シュートを、第2搬送ベルトの始端部に臨ませて配設させている。これにより、第1搬送ベルトの終端部から落下した被計量物を、その長手方向が搬送方向に沿った状態となるようにして、第2搬送ベルトの下方変位量を検出して重量を自動計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−229677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、長物野菜のように被計量物が長物である場合、その長手方向を搬送方向に向けて搬送すると、被計量物が計量装置における第2搬送ベルトを被計量物の長さにあわせて長くする必要があった。また、第2搬送ベルトに受け渡された後、被計量物が安定するまでに時間を要し、その結果、測定に時間がかかってしまう。換言すれば、所定時間内では振動などによる測定精度の低下要素を包含していた。このように、長物野菜などの被計量物の長手方向を搬送方向に向けた場合では、搬送速度が速くなる傾向もあり、安定搬送が行いにくく、測定精度を低下させるという問題があった。
【0005】
これに対して、長物野菜などの被計量物の長手方向を搬送方向と直交する向きにすると、今度は搬送される被計量物が転がるなど、姿勢が変化したり振動が発生したりしてしまう。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、長物被計量物を安定搬送するとともに重量測定にかかる時間を短縮して長物被計量物の重量測定を高精度で行える計量装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、各実施形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明に係る請求項1記載の計量装置は、長物被計量物Wを所定の搬送方向Xに搬送する助走コンベア2と、
前記助走コンベアから搬送されてきた前記長物被計量物Wを搬送面の所定位置で受け、該長物被計量物Wの重量を搬送しながら測定する秤量コンベア3と、を備えた計量装置1において、
前記助走コンベア2は、
無端ベルトの上面が助走搬送面となって、前記長物被計量物Wをその長手方向が前記搬送方向Xと直交する向きにして搬送する助走搬送ベルト4を備え、
前記秤量コンベア3は、
無端ベルトによる循環路の上面が前記搬送面となる秤量傾斜搬送面7を形成して、前記長物被計量物Wをその長手方向が前記搬送方向Xと直交する向きにして搬送する搬送ベルト6と、
前記搬送ベルト6のベルト表面に突設され、前記助走コンベア2から受け渡された前記長物被計量物Wが前記秤量傾斜搬送面7上を転がり突き当たることで該長物被計量物Wを止める凸部8と、を備えることを特徴としている。
【0008】
このような構成では、転がりやすい長物被計量物Wを搬送しながら重量測定を行うにあたり、長物被計量物Wをその長手方向が搬送方向Xと直交する向き(すなわち、長物被計量物Wが転がりやすい方向)にして搬送する。このとき、長物被計量物Xが搬送される循環路の上面は、秤量傾斜搬送面7となる。前段の助走コンベア2から秤量傾斜搬送面7に受け渡された長物被計量物Wは、秤量傾斜搬送面7上で下り方向へ転がり、ベルト表面に突設された凸部8に突き当たることで止まる。秤量傾斜搬送面7の凸部8に当たって止まった長物被計量物Wは、秤量傾斜搬送面7上の下り方向への移動(転がり)が凸部8と重力によって規制される。これにより、転がりやすい長物被計量物Wは、搬送方向Xの上流又は下流方向(転がりやすい方向)に移動規制され、安定した状態で搬送される。
【0009】
請求項2記載の計量装置は、請求項1記載の計量装置において、前記秤量コンベア3は、前記凸部8に止めて搬送している前記長物被計量物Wの重量を前記秤量傾斜搬送面7における前記秤量コンベア3の前記搬送方向Xの下流側となる後段の装置に受け渡し可能な位置に前記長物被計量物Wが到達する前に測定することを特徴としている。
【0010】
このような構成では、助走コンベア2から秤量コンベア3に受け渡された長物被計量物Wは、秤量コンベア2において、秤量傾斜搬送面7における搬送方向Xの下流側の後段装置に受け渡しが可能な位置に到達する直前に重量測定が行われる。すなわち、秤量コンベア3に受け渡された長物被計量物Wは、可能な最長時間、秤量傾斜搬送面7に配置されるとともに、重量測定は、配置開始から長い時間を経た後段装置に受け渡す直前に行われる。これにより、秤量傾斜搬送面7に受け渡された直後の振動や移動(転がり)などがない安定状態での重量測定が可能となる。
【0011】
請求項3記載の計量装置は、請求項1又は2記載の計量装置において、前記秤量コンベア3には、凸部8が、助走コンベア2から受け渡された直後の長物被計量物Wが突き当たる位置から、助走コンベア2から受け渡された長物被計量物Wが秤量傾斜搬送面7を最大長転がり落ちて突き当たる位置までの間の任意の位置で、前記助走コンベア2から前記長物被計量物Wが受け渡されることを特徴としている。
【0012】
このような構成では、凸部8が、長物被計量物Wを受ける所定位置よりも秤量傾斜搬送面7における傾斜面を下がった任意の位置にあって、長物被計量物Wが凸部8に突き当たり可能な位置、すなわち、直接に当たらなくとも数回転した後に凸部8に当たるような位置に到達したところで、長物被計量物Wは助走コンベア2から受け渡される。したがって、長物被計量物Wが助走コンベア2から秤量コンベア3に受け渡されるときのタイミングは、凸部8がこのような突き当たり可能な位置にある期間とすることができる。
【0013】
請求項4記載の計量装置は、請求項1又は2又は3記載の計量装置において、前記助走コンベア2は、少なくとも前記長物被計量物Wを前記秤量コンベア3に受け渡す直前の位置に、前記秤量コンベア3の前記秤量傾斜搬送面7が前記搬送方向Xに向かって下り傾斜している所定角度と同一の所定角度で下り傾斜している助走傾斜搬送面5を形成していることを特徴としている。
【0014】
このような構成では、助走コンベア2に助走傾斜搬送面5が形成され、この助走傾斜搬送面5に秤量傾斜搬送面7と同様の凸部8が設けられることで、長物被計量物Wは秤量傾斜搬送面7上における下り方向への移動(転がり)が凸部8と重力によって規制される。これにより、転がりやすい長物被計量物Wは搬送方向Xの上流又は下流方向に移動規制され、安定した状態で長物被計量物Wを秤量コンベア3に受け渡すことが可能となる。
【0015】
請求項5記載の計量装置は、請求項1乃至4の何れかに記載の計量装置において、前記凸部8の位置を検知する凸部検出センサ10が設けられ、前記凸部検出センサからの検知信号に応じて前記助走コンベア2の搬送速度を変更する供給制御手段11を備えることを特徴としている。
【0016】
このような構成では、秤量傾斜搬送面7における任意の凸部8が凸部検出センサ10によって検出され、検出された凸部8が、長物被計量物Wを受ける所定位置よりも下り傾斜した位置にあって、凸部8が、長物被計量物Wと突き当たり可能な位置に到達するタイミングで、長物被計量物Wが秤量傾斜搬送面7に受け渡し可能となるように、助走コンベア2の搬送速度を変更することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る請求項1記載の計量装置によれば、秤量コンベアにおいて、長物被計量物の安定搬送が可能になるとともに、長物被計量物の重量測定にかかる時間の短縮が可能となる。これにより、長物被計量物を高精度測定することができる。
【0018】
請求項2記載の計量装置によれば、秤量コンベアにおいて、重量測定のタイミングを後にすることで長物被計量物が安定した状態で測定することが可能となる。これにより、高精度測定を実現することができる。
【0019】
請求項3記載の計量装置によれば、秤量コンベアでは長物被計量物を転がして止めるため、凸部とのタイミングの同期を、厳密に行う必要がなくなり、ラフに行うことができる。
【0020】
請求項4記載の計量装置によれば、長物被計量物は助走傾斜搬送面にて静止状態であるため、助走コンベアから秤量コンベアへの長物被計量物の受け渡しがスムーズ、且つ容易に行えるようになる。
【0021】
請求項5記載の計量装置によれば、助走コンベアから秤量コンベアに長物被計量物を受け渡すとき、凸部とのタイミングの同期を容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る計量装置(第1実施形態)を計量部に備えた重量選別装置を示す側面図である。
図2】長物被計量物を示す斜視図である。
図3】第1実施形態を概念的に示す側面図である。
図4】(a)秤量コンベアを示す平面図である。 (b)秤量コンベアの他の例を示す平面図である。
図5】第2実施形態を概念的に示す側面図である。
図6】第3実施形態を概念的に示す側面図である。
図7】(a)助走コンベアの変形例を示す平面図である。 (b)秤量コンベアの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
各実施形態(計量装置1又は21又は31)は、人参、胡瓜、アスパラなどの長物野菜を主に被計量物(長物被計量物W)として、長物被計量物Wを搬送しながらその重量を測定するものであり、後段に設けられた振分装置40と共に重量選別装置50を構成する。なお、本明細書中、長物被計量物Wとは、図2に示すように、その長さLが断面の外接円の直径dよりも長い(d<L)、転がりやすいものをいう。
【0024】
図1に示すように、重量選別装置40は、計量装置1(又は21又は31)と、計量装置1の後段に設けられた振分装置50とからなる。計量装置1は、長物被計量物Wを搬送する助走コンベア2と、助走コンベア2から搬送されてきた長物被計量物Wを搬送しながらその重量を測定する秤量コンベア3とを備えている。助走コンベア2は、無端ベルトからなる助走搬送ベルト4を備えており、この助走搬送ベルト4を図1における時計回りに回転させて、長物被計量物Wを搬送方向Xへと搬送する。
【0025】
「第1実施形態」
まず、第1実施形態(計量装置1)について説明する。
図3に示すように、助走コンベア2は、長物被計量物Wを所定の搬送方向Xに搬送し、この長物被計量物Wを後段に設けられた秤量コンベア3に受け渡す。助走コンベア2には長物被計量物Wを秤量コンベア3に受け渡す直前の位置に助走傾斜搬送面5が形成されている。第1実施形態において、助走傾斜搬送面5は、搬送方向Xに向かって所定角度下り傾斜している。なお、第1実施形態において、助走コンベア2の助走搬送ベルト4には、後述する秤量コンベア3の搬送ベルト6に設けられる凸部8と同様の凸部が搬送方向Xに所定間隔をあけて突設されている。
【0026】
秤量コンベア3は、搬送ベルト6を備えている。搬送ベルト6は、無端ベルトからなり、循環路の上面が秤量傾斜搬送面7となる。第1実施形態において、秤量傾斜搬送面7は、搬送方向Xに向かって所定角度下り傾斜している。搬送ベルト6は、長物被計量物Wを、その長手方向が搬送方向Xと直交する向きとなる姿勢で搬送する。なお、この長物被計量物Wの搬送姿勢は上述した助走コンベア2においても同様である。
【0027】
搬送ベルト6のベルト表面には、長物被計量物Wが転がり突き当たることにより、この長物被計量物Wを所定位置で止める凸部8が突設されている。秤量傾斜搬送面7は下り傾斜となっているため、助走コンベア2から受け渡された長物被計量物Wは、ある程度秤量傾斜搬送面7を転がり落ちて凸部8に突き当たり止まる。
【0028】
図4(a)に示すように、凸部8は、搬送ベルト6の幅方向の略全長にわたって延在する、例えば断面四角形の桟材などで形成することができる。凸部8は、搬送ベルト6の循環方向における複数位置(図示の例では2つの位置)に設けられており、その位置関係は、偶数位置であれば、側面から見て点対称となる。このような位置関係にすることにより、搬送ベルト6は循環時に安定して無駄な振動が抑えられる。この凸部8によれば、直線状の長物被計量物Wを安定的に突き当ててこれを秤量傾斜搬送面7上の所定位置に止める他、図4(b)に示すような凸部9のように、複数に分割された桟材の任意のものが搬送方向Xの上流側と下流側に前後して配設されてもよい。この凸部9によれば、例えば、比較的出っ張りが多い胡瓜などが被計量物である場合、形状が一部出っ張っているこのような胡瓜などの長物被計量物13をその長手方向に移動規制しながら突き当てて止めることができる。このような凸部8,12は、助走コンベア2にも同様に設けられて、助走傾斜搬送面5における長物被計量物13を安定的に突き当てて止める。
【0029】
秤量コンベア3は、図示しない秤量センサによって、搬送しながら測定する、いわゆるダイナミック測定を行い、凸部8が長物被計量物Wを搬送方向Xの下流側となる後段の振分装置40に受け渡し可能な位置に到達する直前に重量測定を行う。秤量センサは、秤量コンベア3を支持して、長物被計量物Wの荷重に基づいて秤量信号を出力する荷重センサである。秤量センサは、例えば、電磁平衡機構の秤機構で構成されており、長物被計量物Wが秤量コンベア3で搬送されている間にこの秤量センサに加わる荷重を測定するようになっている。また、荷重センサは、重量を測定できる秤機構であればよく、例えば、差動トランス機構や歪みゲージ機構などの秤機構で構成されてもよい。
【0030】
計量装置1において、長物被計量物Wは、凸部8が長物被計量物Wを受ける所定位置よりも秤量傾斜搬送面7における傾斜面を下がった任意の位置にあって、凸部8が長物被計量物Wと突き当たり可能な位置に到達したところで、助走コンベア2から受け渡される。ここで、突き当たり可能な位置とは、凸部8が、助走コンベア2から受け渡された直後の長物被計量物Wが突き当たる位置から、助走コンベア2から受け渡された長物被計量物Wが秤量傾斜搬送面7を最大長転がり落ちて突き当たる位置までの間の任意の位置であればよい。
【0031】
図3に示すように、凸部8が突き当たり可能な位置に到達したか否かは凸部検出センサ10によって検出することが可能となる。この場合、計量装置1には中央演算装置や記憶装置を備えた供給制御手段11が設けられている。供給制御手段11は、凸部8の位置を検知する凸部検出センサ10からの検知信号に応じて、図示しない駆動モータの回転を制御して助走コンベア2の速度を変更する。
【0032】
ここで、計量装置1の後段に設けられ、計量装置1(秤量コンベア3)から長物被計量物Wが受け渡される振分装置40について説明する。図1に示すように、振分装置40は、振分コンベア41と、複数の振分部42とを備えている。振分コンベア41は、図1に示すように、反時計回りに回転する無端ベルトからなり、その循環路の上面の一部に振分傾斜搬送面43を有する。第1実施形態において、振分傾斜搬送面43は、ベルトの循環方向に向かって下り傾斜している。振分コンベア41のベルト44にはその循環方向とは反対側が開いた複数のL字形保持具45がベルト44の循環方向に沿って所定間隔あけて突設されている。計量装置1から振分傾斜搬送面43に受け渡された長物被計量物Wは、L字形保持具45に保持されてベルト44によって、図1における反時計回りに搬送される。
【0033】
振分コンベア41のベルト循環路の下面には、循環方向に沿って複数(第1実施形態では7箇所)の振分部42が所定間隔あけて配設されている。振分部42は、突出杆の昇降装置46を備えている。突出杆昇降装置46は、図示しない振分制御部からの振分信号によって突出杆を上向きに突出し、搬送される長物被計量物WをL字形保持具45から脱落させる。L字形保持具45から外された長物被計量物Wは、傾斜シュート47によって収容部48に落下する。これにより、振分制御部が計量装置1からの計量情報に基づき、それぞれの振分部42を作動させることで、長物被計量物Wの重量ごとの選別を可能としている。
【0034】
ここから、第1実施形態(計量装置1)における作用を説明する。
計量装置1では、転がりやすい長物被計量物Wを搬送しながら測定するにあたり、長物被計量物Wをその長手方向が搬送方向Xと直交するベルト幅方向(すなわち、長物被計量物Wが転がりやすい方向)に向けて搬送する。長物被計量物Wが搬送される循環路の上面は、秤量傾斜搬送面7となる。
【0035】
助走コンベア2から秤量傾斜搬送面7に受け渡された長物被計量物Wは、秤量傾斜搬送面7上にて下り方向へ転がり、ベルト表面に突設された凸部8に突き当たることで止まる。秤量傾斜搬送面7の凸部8に当たって止まった長物被計量物Wは、搬送方向Xにおける前後の回転が凸部8と重力によって規制される。これにより、転がりやすい長物被計量物Wは、搬送方向Xの上流又は下流方向(転がりやすい方向)に移動規制され、安定した状態で搬送される。
【0036】
また、助走コンベア2から秤量コンベア3に受け渡された長物被計量物Wは、秤量コンベア3において、振分装置40に受け渡し可能な位置に到達する直前に重量測定が行われる。すなわち、秤量コンベア3に受け渡された長物被計量物Wは、可能な最長時間、秤量傾斜搬送面7に配置されるとともに、その測定は、配置開始から長い時間が経た振分装置40への受け渡し直前に行われる。これにより、秤量傾斜搬送面7に受け渡された直後の振動や移動などが生じなくなった安定状態で測定が可能となる。この結果、測定タイミングを後にすることで長物被計量物Wを安定させた状態で測定でき、高精度測定を実現することができる。
【0037】
さらに、長物被計量物Wは、凸部8に突き当たり可能な位置、すなわち、直接に当たらなくとも数回転した後に凸部8に当たるような位置にこの凸部8が到達したところで、助走コンベア2から受け渡される。したがって、助走コンベア2から秤量コンベア3に受け渡しを行うときのタイミングは、凸部8が上述した突き当たり可能な位置にある期間とすることができる。この結果、長物被計量物Wを転がして止めるため、凸部8とのタイミングの同期をラフに行うことができる。
【0038】
また、助走コンベア2が助走傾斜搬送面5を有し、助走傾斜搬送面5に秤量傾斜搬送面7と同様の凸部8が設けられていることで、長物被計量物Wは、搬送方向Xの前後の回転が凸部8と重力によって規制される。これにより、転がりやすい長物被計量物Wは、搬送方向Xの前後方向に移動規制され、安定した状態で秤量コンベア3に受け渡し可能となる。この結果、長物被計量物Wの受け渡しが更にスムーズ、且つ容易になる。
【0039】
さらに、計量装置1では、秤量傾斜搬送面7における任意の凸部8が凸部検出センサ10によって検出され、検出された凸部8が突き当たり可能な位置に到達するタイミングで、長物被計量物Wが秤量傾斜搬送面7に受け渡し可能となるように、供給制御手段11によって助走コンベア2の速度が変更される。この結果、助走コンベア2から長物被計量物Wを受け渡すときの凸部8の同期を容易に行うことができる。
【0040】
「第2実施形態」
次に、第2実施形態(計量装置21)について説明する。
図5に示すように、計量装置21は、助走コンベア22における長物被計量物Wの搬送面が略水平であり、上述した凸部8が設けられていない通常のベルトにより構成されている。助走コンベア22によって搬送されてきた長物被計量物Wは、助走コンベア22の終端に到達すると、落下して秤量コンベア3に受け渡される。
【0041】
計量装置21によれば、上述した第1実施形態のような助走傾斜搬送面5や凸部8を有しない通常の助走コンベア22が使用可能となり、装置コストを安価にすることができる。
【0042】
「第3実施形態」
次に、第2実施形態(計量装置31)について説明する。
図6に示すように、計量装置31は、上述した第2実施形態と同様に助走コンベア22における長物被計量物Wの搬送面が略水平であり、上述した凸部8が設けられていない通常のベルトにより構成されていることに加え、秤量コンベア32の秤量傾斜搬送面33が上り傾斜となるように構成されている。また、助走コンベア22と秤量コンベア32には、その対向する端部にオーバーラップしている部分がある。すなわち、上述した下り傾斜の秤量コンベア2では、受け渡し直後の長物被計量物Wが搬送方向Xに転がるが、第3実施形態における秤量コンベア32では、受け渡し直後の長物被計量物Wが搬送方向Xとは逆方向に転がる。
【0043】
計量装置31によれば、助走コンベア22から受け渡された長物被計量物Wの搬送方向Xに働く慣性力を抑止することができ、助走コンベア22によって勢いの付いた長物被計量物Wが凸部8を乗り越えることを確実に防止することができる。
【0044】
次に、上述した各実施形態(計量装置1、計量装置21、計量装置31)に共通する変形例について説明する。
まず、図7(a)には、助走コンベア62が、2本のベルト面で形成され、これらが平行に配置された計量装置61を示している。図に示すように、計量装置61では、助走コンベア62の終端で秤量コンベア3(32)の始端を挟むことで、助走コンベア62と秤量コンベア3とをオーバーラップさせている。この変形例では助走コンベア62と秤量コンベア3は同期して駆動される。
【0045】
計量装置61によれば、助走コンベア62における長物被計量物Wの受け渡し端部(搬送方向Xの下流側の端部)と秤量コンベア3における受け取り端部(搬送方向Xの上流側の端部)のそれぞれの搬送面の高さを略同一として、これら助走コンベア62と秤量コンベア3を配置することができ、長物被計量物Wの受け渡しをスムーズに行えるようになる。
【0046】
次に、図7(b)には、秤量コンベア72が、2本のベルト面で形成され、これらが平行に配置された計量装置71を示している。図に示すように、計量装置71では、秤量コンベア72の終端で助走コンベア2(22)の始端を挟むことで、助走コンベア2と秤量コンベア72とをオーバーラップさせている。この変形例では助走コンベア2と秤量コンベア72は同期して駆動される。
【0047】
計量装置71によれば、上記同様、助走コンベア2における長物被計量物Wの受け渡し端部(搬送方向Xの下流側の端部)と秤量コンベア72における受け取り端部(搬送方向Xの上流側の端部)のそれぞれの搬送面の高さを略同一として、これら助走コンベア2と秤量コンベア72を配置することができ、長物被計量物Wの受け渡しをスムーズに行えるようになる。
【0048】
したがって、各実施形態(計量装置1、計量装置21、計量装置31)及びこれらの変形例(計量装置61、計量装置71)によれば、長物被計量物Wの安定搬送が可能になるとともに、長物被計量物Wの重量測定にかかる時間の短縮が可能となる。これにより、長物被計量物Wを高精度測定することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…計量装置
2…助走コンベア
3…秤量コンベア
4…助走搬送ベルト
5…助走傾斜搬送面
6…搬送ベルト
7…秤量傾斜搬送面
8…凸部
10…センサ(凸部検知センサ)
11…供給制御手段
W…長物被計量物
X…搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7