(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被覆部材は、一端が前記第1被覆部材と前記第2被覆部材の連結部に固定され、他端が前記ベースフレームまたは前記第1クッションに係止される第3被覆部材を含むことを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
前記被覆部材の先端には、左右方向における複数箇所に、前記ベースフレームまたは前記第1クッションに係合可能な係止部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術のようにシートクッションが前方に移動すると、シートバックとの間に隙間が生じてしまい、美観を損なう可能性がある。また、当該隙間に物が入り込んでしまう可能性もある。
【0005】
そこで、本発明は、シートの一部が前方へ移動可能に構成された乗物用シートにおいて、シートの一部と他部の隙間を隠すことができる乗物用シートを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、シートの一部と他部の間を被覆する部材のたるみを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、ベースフレームと、前記ベースフレームに設けられる第1クッションと、前記ベースフレームに設けられ、前記第1クッションの前方に隣接して配置された第2クッションと、を備え、前記第1クッションと前記第2クッションとは、相対位置が変化可能に構成され、前記第1クッションと前記第2クッションの間には、前記第1クッションと前記第2クッションの少なくとも一方が両者の相対位置を変化させるように移動するときに、当該移動する前記第1クッションまたは前記第2クッションに引かれて前記第1クッションと前記第2クッションの間で広がる被覆部材が設けられて
おり、前記被覆部材は、前記第2クッションの上部に取り付けられており、前記第1クッションと前記第2クッションの間を通って、先端が前記ベースフレームまたは前記第1クッションに係止されており、前記ベースフレームは、前記第2クッションの後方に配置され、左右方向に延びる棒状部材を有し、前記被覆部材は、前記棒状部材を巻き込んだ状態で設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、第1クッションと第2クッションの隙間の広がりに対応して、被覆部材が第1クッションと第2クッションの間で広がる。これにより、第1クッションと第2クッションの隙間を被覆部材で隠すことができる。
【0009】
また、第2クッションが前方へ移動したときに、被覆部材は第2クッションに引かれる一方で、先端がフレームまたは第1クッションに係止されていて移動しない。これにより、被覆部材が引っ張られた状態になり、被覆部材のたるみを抑制することができる。
【0010】
なお、被覆部材が第2クッションの上部に取り付けられている構成としては、例えば、被覆部材が第2クッションの上部に固定されている構成や、被覆部材が第2クッションの上部に固定されている棒状の部材に掛けられている構成等がある。
【0011】
また、前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、ベースフレームと、前記ベースフレームに設けられる第1クッションと、前記ベースフレームに設けられ、前記第1クッションの前方に隣接して配置された第2クッションと、を備え、前記第1クッションと前記第2クッションとは、相対位置が変化可能に構成され、前記第1クッションと前記第2クッションの間には、前記第1クッションと前記第2クッションの少なくとも一方が両者の相対位置を変化させるように移動するときに、当該移動する前記第1クッションまたは前記第2クッションに引かれて前記第1クッションと前記第2クッションの間で広がる被覆部材が設けられており、前記被覆部材は、前記第2クッションの上部に取り付けられており、前記第1クッションと前記第2クッションの間を通って、先端が前記ベースフレームまたは前記第1クッションに係止されており、前記ベースフレームは、前記第1クッションと前記第2クッションの間に配置され、左右方向に延びる棒状部材を有し、前記被覆部材は、前記棒状部材を巻き込んだ状態で設けられていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、少なくとも、第1クッションと棒状部材の間または第2クッションと棒状部材の間では、被覆部材が広がるので、この第1クッションと棒状部材の間または第2クッションと棒状部材の間で広がる被覆部材で第1クッションと第2クッションの隙間を隠すことができる。
【0013】
また、前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、ベースフレームと、前記ベースフレームに設けられる第1クッションと、前記ベースフレームに設けられ、前記第1クッションの前方に隣接して配置された第2クッションと、を備え、前記第1クッションと前記第2クッションとは、相対位置が変化可能に構成され、前記第1クッションと前記第2クッションの間には、前記第1クッションと前記第2クッションの少なくとも一方が両者の相対位置を変化させるように移動するときに、当該移動する前記第1クッションまたは前記第2クッションに引かれて前記第1クッションと前記第2クッションの間で広がる被覆部材が設けられており、前記被覆部材は、前記第1クッションの上部に取り付けられた第1被覆部材と、前記第2クッションの上部に取り付けられた第2被覆部材とを含み、前記第1被覆部材と前記第2被覆部材は、連結されており、前記第1被覆部材と前記第2被覆部材の一方の先端には、上方に開口する係合部材が固定され、前記第1被覆部材と前記第2被覆部材の他方の先端には、前記係合部材の開口に対して上方から挿入することで係合可能な被係合部材が固定されていることを特徴とする。
【0014】
これによれば、第1クッションと第2クッションの隙間に対して第1クッション側と第2クッション側の両方から被覆部材が延びているため、隙間全体を隠すことができる。
【0015】
また、乗物用シートの上側から係合部材と被係合部材を組み付けることが可能であるので、組み付け性が向上する。
【0016】
また、この構成において、前記被覆部材は、一端が前記第1被覆部材と前記第2被覆部材の連結部に固定され、他端が前記ベースフレームまたは前記第1クッションに係止される第3被覆部材を含む構成とすることが望ましい。
【0017】
これによれば、第2クッションが前方へ移動したときに、第1被覆部材と第2被覆部材は第2クッションに引かれていくが、第3被覆部材の他端は移動しないので、第1被覆部材と第2被覆部材が第3被覆部材により引っ張られた状態となる。これにより、被覆部材のたるみを抑制することができる。
【0018】
また、前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、ベースフレームと、前記ベースフレームに設けられる第1クッションと、前記ベースフレームに設けられ、前記第1クッションの前方に隣接して配置された第2クッションと、を備え、前記第1クッションと前記第2クッションとは、相対位置が変化可能に構成され、前記第1クッションと前記第2クッションの間には、前記第1クッションと前記第2クッションの少なくとも一方が両者の相対位置を変化させるように移動するときに、当該移動する前記第1クッションまたは前記第2クッションに引かれて前記第1クッションと前記第2クッションの間で広がる被覆部材が設けられており、前記第1クッションは、前方に、左右方向に延びる棒状の第1ハンガーを有し、前記第2クッションは、後端に、左右方向に延びる棒状の第2ハンガーを有し、前記被覆部材は、前記第1ハンガーと前記第2ハンガーに掛け渡され、前記第1ハンガーから垂れ下がる先端と前記第2ハンガーから垂れ下がる先端が前記ベースフレームに係止されていることを特徴とする。
【0019】
また、前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、ベースフレームと、前記ベースフレームに設けられる第1クッションと、前記ベースフレームに設けられ、前記第1クッションの前方に隣接して配置された第2クッションと、を備え、前記第1クッションと前記第2クッションとは、相対位置が変化可能に構成され、前記第1クッションと前記第2クッションの間には、前記第1クッションと前記第2クッションの少なくとも一方が両者の相対位置を変化させるように移動するときに、当該移動する前記第1クッションまたは前記第2クッションに引かれて前記第1クッションと前記第2クッションの間で広がる被覆部材が設けられており、前記被覆部材の少なくとも一方の端部を引き出し自在に巻き取る巻取器を備えることを特徴とする。
【0020】
そして、前記した乗物用シートにおいて、前記被覆部材は、少なくとも一部が弾性的に伸縮可能である構成とすることが望ましい。
【0021】
これによれば、第2クッションの移動に被覆部材を追従させやすくなる。また、第2クッションを移動させたときに、被覆部材に第2クッションによって引かれる方向とは反対側に引っ張る力が働くので、被覆部材のたるみを抑制することができる。
【0022】
前記した乗物用シートにおいて、前記被覆部材の先端には、左右方向における複数箇所に、前記ベースフレームまたは前記第1クッションに係合可能な係止部が設けられている構成とすることが望ましい。
【0023】
これによれば、被覆部材を一箇所のみで係止する場合に比べて、被覆部材のたるみを抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1クッションと第2クッションの隙間の広がりに対応して、被覆部材が第1クッションと第2クッションの間で広がる。これにより、第1クッションと第2クッションの隙間を被覆部材で隠すことができる。
【0025】
本発明によれば、第2クッションが前方へ移動したときに、被覆部材は第2クッションに引かれる一方で、先端がフレームまたは第1クッションに係止されていて移動しない。これにより、被覆部材が引っ張られた状態になり、被覆部材のたるみを抑制することができる。
【0026】
本発明によれば、少なくとも、第1クッションと棒状部材の間または第2クッションと棒状部材の間では、被覆部材が広がるので、この第1クッションと棒状部材の間または第2クッションと棒状部材の間で広がる被覆部材で第1クッションと第2クッションの隙間を隠すことができる。
【0027】
本発明によれば、第1クッションと第2クッションの隙間に対して第1クッション側と第2クッション側の両方から被覆部材が延びているため、隙間全体を隠すことができる。
【0028】
本発明によれば、乗物用シートの上側から係合部材と被係合部材を組み付けることが可能であるので、組み付け性が向上する。
【0029】
本発明によれば、第2クッションが前方へ移動したときに、第1被覆部材と第2被覆部材は第2クッションに引かれていくが、第3被覆部材の他端は移動しないので、第1被覆部材と第2被覆部材が第3被覆部材により引っ張られた状態となる。これにより、被覆部材のたるみを抑制することができる。
【0030】
本発明によれば、第2クッションの移動に被覆部材を追従させやすくなる。また、第2クッションを移動させたときに、被覆部材に第2クッションによって引かれる方向とは反対側に引っ張られる力が働くので、被覆部材のたるみを抑制することができる。
【0031】
本発明によれば、被覆部材を一箇所のみで係止する場合に比べて、被覆部材のたるみを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明において、前後、左右および上下は、乗物用シートに座る人を基準とする。
【0034】
図1に示すように、乗物用シートの一例としての車両用シートSは、第1クッションの一例としての固定クッションS1と、固定クッションS1の前方に隣接して配置される第2クッションの一例としてのシートクッションS2と、固定クッションS1の上方に配置されるシートバックS3とを備えて構成されている。
【0035】
この車両用シートSでは、公知の機構により、シートバックS3が、シートクッションS2に対して回動可能、すなわち、リクライニング動作が可能に設けられ、シートクッションS2が、シートバックS3のリクライニング動作に連動して、シートバックS3に対して前後方向に移動可能に設けられている。具体的には、車両用シートSは、シートバックS3が後方へ倒れる動作に連動して、シートクッションS2がシートバックS3に対し前方へ移動可能に構成されている。このため、シートクッションS2は、シートバックS3の動作に連動して固定クッションS1に対して前後に移動可能であり、固定クッションS1とシートクッションS2の距離(相対位置)が変化可能となっている。
【0036】
そして、
図2に示すように、車両用シートSの中には、シートフレームFが入っている。シートフレームFは、ベースフレームの一例としての左右に対向して配置される一対のサイドフレームF1と、サイドフレームF1に対し前後に移動可能に支持された可動フレームF2とを備えている。
【0037】
固定クッションS1は、図示しないフレームにウレタンフォームなどのクッション材からなるクッション部材11を被せ、クッション部材11の表面に合成皮革や布地などからなる表皮部材12を被せることで構成されている。固定クッションS1は、一対のサイドフレームF1に挟まれるように、サイドフレームF1の後部に設けられている。
【0038】
シートクッションS2は、可動フレームF2にクッション材からなるクッション部材13を被せ、クッション部材11の表面に合成皮革や布地などからなる表皮部材14を被せることで構成されている。具体的には、シートクッションS2は、後面が後側表皮部材14Aにより覆われ、上面が上側表皮部材14Bにより覆われている。そして、後側表皮部材14Aは、上端が上側表皮部材14Bの後端に縫いつけられており、下端がシートクッションS2の下面側においてシートクッションS2に設けられている表皮固定用ワイヤ16に係止されている。このシートクッションS2は、一対のサイドフレームF1に挟まれるように、サイドフレームF1に設けられている。
【0039】
シートバックS3は、図示しないフレームにクッション材からなるクッション部材17を被せ、クッション部材17の表面に合成皮革や布地などからなる表皮部材18を被せることで構成され、図示しないリクライニング機構を介して一対のサイドフレームF1に回動可能に支持されている。
【0040】
次に、固定クッションS1およびシートクッションS2の周辺の構成について詳しく説明する。
【0041】
サイドフレームF1には、固定クッションS1とシートクッションS2の間に、左右方向に延びて一対のサイドフレームF1を連結する棒状部材の一例としてのパイプ部材21が設けられている。
【0042】
パイプ部材21は、シートクッションS2の後面に形成された凹部13Aに入り込んで配置されている。これにより、パイプ部材21の上方で、固定クッションS1とシートクッションS2を接近させることが可能となっている。
【0043】
そして、パイプ部材21は、シートクッションS2を固定クッションS1に対して前方へ移動させるための図示しない移動機構と干渉しないように、当該移動機構の移動軌跡と異なる位置に設けられている。より詳細には、移動機構は、左右のサイドフレームF1よりも左右方向外側に配置されており、パイプ部材21は、左右のサイドフレームF1よりも内側に配置されている。これにより、パイプ部材21が移動機構の移動に影響を与えないので、移動機構の設計自由度を広げることが可能となっている。
【0044】
また、パイプ部材21の前方には、シートクッションS2の下方で一対のサイドフレームF1に架け渡された連結部材22が設けられている。
【0045】
そして、固定クッションS1とシートクッションS2の間には、シートクッションS2の上部に取り付けられた被覆部材15が設けられている。
【0046】
被覆部材15は、
図3に示すように、合成皮革や布地などからなるシート状の本体部15Aと、本体部15Aの下端部15Dにおいて左右方向における2箇所に設けられたゴム15Bと、各ゴム15Bの先端に設けられた係止部の一例としてのフック部材15Cとから構成されている。被覆部材15は、シートクッションS2の左右幅と略同じ大きさの幅で形成されている。また、被覆部材15は、ゴム15Bの部分が弾性的に伸縮可能となっている。
【0047】
この被覆部材15は、
図2に示すように、本体部15Aの上端が後側表皮部材14Aと一緒に上側表皮部材14Bに縫い合わされることにより、シートクッションS2に対して固定されている。そして、被覆部材15は、固定クッションS1とシートクッションS2の間のパイプ部材21よりも固定クッションS1側を通って、先端がフック部材15Cによって連結部材22に係止されている。
【0048】
これにより、被覆部材15は、固定クッションS1とシートクッションS2の間で、パイプ部材21を巻き込んだ状態で設けられている。
【0049】
以上のように構成された車両用シートSの作用および効果について説明する。
図4に示すように、シートバックS3を後方へ倒したときに、シートクッションS2が前方へ移動すると、被覆部材15の上端もシートクッションS2に固定されているため前方へ移動する。これにともない、被覆部材15は、ゴム15Bが伸びながらパイプ部材21に巻掛けられた状態でシートクッションS2に引かれて、パイプ部材21とシートクッションS2の間で広がっていく。
【0050】
このように、シートクッションS2が前方へ移動するのにともなって、被覆部材15が固定クッションS1とシートクッションS2の間で広がることにより、固定クッションS1とシートクッションS2の隙間の広がりに対応して、当該隙間を被覆部材15で隠すことができる。これにより、車両用シートSの美観を向上させるとともに、固定クッションS1とシートクッションS2の隙間に物が入り込んでしまうのを抑制することができる。
【0051】
そして、被覆部材15がパイプ部材21を巻き込んだ状態で設けられていることにより、被覆部材15の先端が、本実施形態のようにシートクッションS2の下面側に係止されている場合であっても、シートクッションS2が前方へ移動したときに、被覆部材15がパイプ部材21に掛かることで、少なくとも、シートクッションS2とパイプ部材21の間で広がることができる。これにより、被覆部材15で固定クッションS1とシートクッションS2の隙間を隠すことができる。
【0052】
また、被覆部材15は、基端がシートクッションS2に取り付けられており、先端が固定された連結部材22に係止されているため、シートクッションS2が前方へ移動したときに、被覆部材15の基端はシートクッションS2とともに移動するが、被覆部材15の先端は移動しない。これにより、シートクッションS2が前方へ移動するとき、被覆部材15が引っ張られた状態で広がるので、被覆部材15のたるみを抑制することができる。
【0053】
そして、被覆部材15は、ゴム15Bが弾性的に伸縮可能であるため、シートクッションS2の移動に被覆部材15の広がりを追従させやすくなる。また、シートクッションS2を移動させたときに、ゴム15Bが伸びることで、被覆部材15をシートクッションS2に引かれる方向とは反対側に引っ張る力が働くので、被覆部材15のたるみを抑制することができる。
【0054】
また、被覆部材15は、連結部材22に係止されるフック部材15Cが左右方向において2箇所に設けられているので、被覆部材15を一箇所のみで連結部材22に係止する場合に比べて、被覆部材15のたるみを抑制することができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。この第2実施形態では、被覆部材をシートクッションS2のみではなく、固定クッションS1にも取り付けている。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0056】
被覆部材35は、
図5に示すように、固定クッションS1の上部に取り付けられた第1被覆部材35Aと、シートクッションS2の上部に取り付けられ、第1被覆部材35Aと連結した第2被覆部材35Bと、一端が第1被覆部材35Aと第2被覆部材35Bの連結部に固定された第3被覆部材35Cとを含んでいる。
【0057】
第1被覆部材35Aは、上端が固定クッションS1の表皮部材12と縫い合わされることで基端が固定クッションS1に固定され、固定クッションS1とシートクッションS2の間へ向けて延びている。そして、第1被覆部材35Aの先端には、上方に開口する略J字断面の係合部材351が固定されている。
【0058】
第2被覆部材35Bは、上端がシートクッションS2の表皮部材14と縫い合わされることで基端がシートクッションS2に固定され、固定クッションS1とシートクッションS2の間へ向けて延びている。そして、第2被覆部材35Bの先端には、第1被覆部材35Aに固定されている係合部材351の開口に対して上方から挿入することで係合可能な被係合部材352が固定されている。
【0059】
そして、第1被覆部材35Aと第2被覆部材35Bは、固定クッションS1とシートクッションS2の間で、係合部材351と被係合部材352が係合することで連結されている。
【0060】
第3被覆部材35Cは、上端が第1被覆部材35Aに固定されている係合部材351に固定されている。そして、第3被覆部材35Cは、下端(他端)に、ゴム353が設けられており、ゴム353の先端にはフック354が固定されている。第3被覆部材35Cは、フック354によって、固定クッションS1とシートクッションS2の隙間の下方に設けられている左右のサイドフレームF1を連結する連結部材23に係止されている。
【0061】
以上のように被覆部材35を構成することにより、
図6に示すように、シートクッションS2が前方へ移動すると、第1被覆部材35Aと第2被覆部材35BがシートクッションS2に引かれて固定クッションS1とシートクッションS2の間で広がる。
【0062】
このとき、第1被覆部材35Aが固定クッションS1から延び、第2被覆部材35BがシートクッションS2から延びて第1被覆部材35Aに連結されているので、第1被覆部材35Aと第2被覆部材35Bの隙間全体を被覆部材35で隠すことができる。
【0063】
また、第1被覆部材35Aと第2被覆部材35Bは、第3被覆部材35Cにより連結部が下方へ引っ張られるので、第1被覆部材35Aと第2被覆部材35Bのたるみを抑制することができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、第1実施形態のように被覆部材を巻掛けるパイプ部材21が不要であるため、
図5に示すように、サイドフレームF1の固定クッションS1の前方に、固定クッションS1の表皮部材12の端部を係止するための表皮固定用ワイヤ24を設けてもよい。具体的には、固定クッションS1は、第1被覆部材35Aよりも下で他の表皮部材12に縫いつけられ、固定クッションS1とシートクッションS2の間へ向けて延びる前側表皮部材12Aを有している。そして、前側表皮部材12Aの下端が表皮固定用ワイヤ24に係止されている。
【0065】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。この第3実施形態では、被覆部材をシートクッションS2や固定クッションS1に固定していないで取り付けた構成となっている。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0066】
図7に示すように、車両用シートSは、固定クッションS1の上部の前方に、一対のサイドフレームF1を連結する棒状の第1ハンガー25が設けられている。
また、可動フレームF2は、後端がシートクッションS2の上部の後面から突き出しており、この突き出している部分に、棒状の第2ハンガー26が固定されている。
【0067】
そして、被覆部材45は、シート状の本体部45Aが、第1ハンガー25と第2ハンガー26に掛け渡されている。つまり、被覆部材45は、第1ハンガー25や第2ハンガー26(シートクッションS2の上部)に取り付けられている。
【0068】
被覆部材45は、第1ハンガー25から垂れ下がる本体部45Aの先端と、第2ハンガー26から垂れ下がる本体部45Aの先端に、ゴム45Bを介してフック部材45Cが設けられており、このフック部材45Cが、サイドフレームF1に固定されている係止部27に係止されている。
【0069】
以上のように構成することにより、
図8に示すように、シートクッションS2が前方へ移動すると、被覆部材45が第2ハンガー26(シートクッションS2)に引かれて、第1ハンガー25と第2ハンガー26の間で広がる。これにより、固定クッションS1とシートクッションS2の隙間を被覆部材45で隠すことができる。
【0070】
また、被覆部材45は、先端がゴム45Bによって下方へ引っ張られるので、第1ハンガー25と第2ハンガー26の間で被覆部材45がたるむのを抑制することができる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。この第
4実施形態では、被覆部材が固定クッションS1内に収容されており、シートクッションS2が前方へ移動したときに、被覆部材が引き出されるように構成されている。なお、本実施形態では、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0072】
図9に示すように、固定クッションS1は、クッション部材11に形成された凹部11A内に図示しない巻取軸とゼンマイバネを有する巻取器を備えている。
【0073】
被覆部材55は、固定クッションS1内の巻取器に巻き取られており、巻取器に巻き取られる方向に引っ張られている。そして、被覆部材55は、一端が固定クッションS1から出ており、第1実施形態と同様にシートクッションS2の上部に固定されている。
【0074】
以上のように構成することにより、
図10に示すように、シートクッションS2が前方へ移動すると、被覆部材55がシートクッションS2に引かれて固定クッションS1内から引き出される。これにより、固定クッションS1とシートクッションS2の間で被覆部材55が広がり、固定クッションS1とシートクッションS2の隙間を被覆部材55によって隠すことができる。
【0075】
そして、被覆部材55は、固定クッションS1内の巻取器によって引っ張られているので、引き出された被覆部材55がたるむのを抑制することができる。また、シートクッションS2を後方へ戻したときには、被覆部材55は再び固定クッションS1内に引き込まれて収容される。
【0076】
なお、第4実施形態においては、被覆部材55は固定クッションS1内に収容され、一端がシートクッションS2に固定されていたが、被覆部材はシートクッションS2内に収容された巻取器に巻き取られており、シートクッションS2から出た被覆部材の一端が固定クッションS1に固定された構成としてもよい。また、被覆部材をシートクッションS2と固定クッションS1の両方に収容された巻取器に巻き取られている構成としてもよい。これらの構成であっても、上記した構成と同様の効果を得ることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0078】
前記実施形態では、被覆部材15が合成皮革や布地などからなるシート状の部材であったが、本発明はこれに限定されるものではない。被覆部材は、柔軟性を有する薄い部材であればよく、例えば、複数の棒を連ねてなる簾状の部材であってもよい。
【0079】
また、前記実施形態では、被覆部材15にゴム15Bが設けられており、このゴム15Bが弾性的に伸縮することで、被覆部材15の本体部15Aのたるみを抑制することが可能になっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、被覆部材15の本体部15Aが、ゴムからなるシートやゴムが織り込まれた織物部材から形成され、本体部15A自体が伸縮可能となっていてもよい。
【0080】
前記実施形態では、被覆部材15を、固定クッションS1(第1クッション)とシートクッションS2(第2クッション)の間で広がるように設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、被覆部材をシートバックS3(第1クッション)とシートクッションS2(第2クッション)の間で広がるように設けてもよい。
【0081】
そして、第1実施形態では、被覆部材15の先端が、サイドフレームF1に設けられている連結部材22に係止されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、被覆部材の先端が、固定クッションS1に係止されるように構成されていてもよい。例えば、第1実施形態において、被覆部材15のフック部材15Cを固定クッションS1に係止すれば、被覆部材15が固定クッションS1とシートクッションS2を繋ぐように設けられるので、固定クッションS1とシートクッションS2の間に物が入り込んでも、これを被覆部材15で受けることができる。
【0082】
また、第1実施形態では、被覆部材15が掛かるパイプ部材21が設けられていたが、このパイプ部材は、被覆部材15が固定クッションS1とシートクッションS2の隙間をより隠すことができるように、高い位置に設けることが望ましい。具体的には、パイプ部材は、サイドフレームF1の後部の上部、より詳細には、シートクッションS2の被覆部材15が取り付けられている位置と同じ高さまたは、それよりも高い位置に設けられていることが望ましい。