【実施例1】
【0027】
実施例1の発電システムは、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCと称する。)とガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたトリプルコンバインドサイクル(Triple Combined Cycle:登録商標)である。このトリプルコンバインドサイクルは、ガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の上流側にSOFCを設置することにより、SOFC、ガスタービン、蒸気タービンの3段階で電気を取り出すことができるため、極めて高い発電効率を実現することができる。なお、以下の説明では、本発明の燃料電池として固体酸化物形燃料電池を適用して説明するが、この形式の燃料電池に限定されるものではない。
【0028】
図1は、実施例1の発電システムを表す概略構成図である。実施例1において、
図1に示すように、発電システム10は、ガスタービン11及び発電機12と、SOFC13と、蒸気タービン14及び発電機15とを有している。この発電システム10は、ガスタービン11による発電と、SOFC13による発電と、蒸気タービン14による発電とを組み合わせることで、高い発電効率を得るように構成したものである。
【0029】
ガスタービン11は、圧縮機21、燃焼器22、タービン23を有しており、圧縮機21とタービン23は、回転軸24により一体回転可能に連結されている。圧縮機21は、空気取り込みライン25から取り込んだ空気Aを圧縮する。燃焼器22は、圧縮機21から第1圧縮空気供給ライン26を通して供給された圧縮空気A1と、第1燃料ガス供給ライン27から供給された燃料ガスL1とを混合して燃焼する。タービン23は、燃焼器22から排ガス供給ライン28を通して供給された排ガス(燃焼ガス)Gにより回転する。なお、図示しないが、タービン23は、圧縮機21で圧縮された圧縮空気A1が車室を通して供給され、この圧縮空気A1を冷却空気として翼などを冷却する。発電機12は、タービン23と同軸上に設けられており、タービン23が回転することで発電することができる。なお、ここで、燃焼器22に供給する燃料ガスL1及び後述する燃料ガスL2、燃料ガスL4の各燃料ガスは、例えば、液化天然ガス(LNG)、水素(H
2)および一酸化炭素(CO)、メタン(CH
4)などの炭化水素ガス、石炭など炭素質原料のガス化設備により製造したガスを用いることが可能である。
【0030】
SOFC13は、還元剤としての高温の燃料ガスと、酸化剤としての高温の空気(酸化性ガス)とが供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行うものである。このSOFC13は、圧力容器内に空気極と固体電解質と燃料極が収容されて構成される。空気極に圧縮機21で圧縮された一部の圧縮空気A2が供給され、燃料極に燃料ガスL2が供給されることで発電を行う。また、SOFC13に供給される酸化性ガスは、酸素を略15%〜30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である(以下、SOFC13に供給される酸化性ガスを空気という)。
【0031】
このSOFC13は、第1圧縮空気供給ライン26から分岐した第2圧縮空気供給ライン(圧縮酸化性ガス供給ライン)31が連結され、圧縮機21が圧縮した一部の圧縮空気(圧縮酸化性ガス)A2を空気極の導入部に供給することができる。この第2圧縮空気供給ライン31は、供給する空気量を調整可能な制御弁32と、圧縮空気A2を昇圧可能なブロワ(昇圧機)33とが空気の流れ方向に沿って設けられている。制御弁32は、第2圧縮空気供給ライン31における空気の流れ方向の上流側に設けられ、ブロワ33は、制御弁32の下流側に設けられている。なお、制御弁32とブロワ(昇圧機)33の配置は
図1の配置に限定されることはなく、ブロワ(昇圧機)や制御弁の形式によって順序を逆にして配置しても良い。SOFC13は、空気極で用いられた排空気(排酸化性ガス)A3を排出する排空気ライン34が連結されている。この排空気ライン34は、空気極で用いられた排空気A3を外部に排出する排出ライン35と、燃焼器22に連結される排酸化性ガス供給ライン36とに分岐される。つまり、排空気ライン34と排酸化性ガス供給ライン36とは、SOFC13の空気極で用いられた排空気A3を、燃焼器22に供給するラインとして機能する。排出ライン35は、排出する空気量を調整可能な制御弁37が設けられ、排酸化性ガス供給ライン36は、SOFCとガスタービン間の系統を切り離すための遮断弁38が設けられている。
【0032】
また、SOFC13は、燃料ガスL2を燃料極の導入部に供給する第2燃料ガス供給ライン41が設けられている。第2燃料ガス供給ライン41は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁42が設けられている。SOFC13は、燃料極で用いられた排燃料ガスL3を排出する排燃料ライン43が連結されている。この排燃料ライン43は、外部に排出する排出ライン44と、燃焼器22に連結される排燃料ガス供給ライン45とに分岐される。排出ライン44は、排出する燃料ガス量を調整可能な制御弁46が設けられ、排燃料ガス供給ライン45は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁47と、燃料を昇圧可能なブロワ48が排燃料ガスL3の流れ方向に沿って設けられている。制御弁47は、排燃料ガス供給ライン45における排燃料ガスL3の流れ方向の上流側に設けられ、ブロワ48は、制御弁47の排燃料ガスL3の流れ方向の下流側に設けられている。なお、制御弁47とブロワ(昇圧機)48の配置は
図1の配置に限定されることはなく、ブロワ(昇圧機)や制御弁の形式によっては順序を逆にして配置しても良い。
【0033】
また、SOFC13は、排燃料ライン43と第2燃料ガス供給ライン41とを連結する燃料ガス再循環ライン49が設けられている。燃料ガス再循環ライン49は、排燃料ライン43の排燃料ガスL3を第2燃料ガス供給ライン41に再循環する再循環ブロワ50が設けられている。
【0034】
蒸気タービン14は、排熱回収ボイラ(HRSG)51で生成された蒸気によりタービン52を回転するものである。この排熱回収ボイラ51は、ガスタービン11(タービン23)からの排ガスライン53が連結されており、空気と高温の排ガスGとの間で熱交換を行うことで、蒸気Sを生成する。蒸気タービン14(タービン52)は、排熱回収ボイラ51との間に、蒸気供給ライン54と給水ライン55とが設けられている。そして、給水ライン55は、復水器56と給水ポンプ57とが設けられている。発電機15は、タービン52と同軸上に設けられており、タービン52が回転することで発電することができる。なお、排熱回収ボイラ51で熱が回収された排ガスGは、大気へ放出される。なお、本実施例においては排ガスGをHRSG51の熱源として利用しているが、排ガスGはHRSG以外の各種機器の熱源として利用することも可能である。
【0035】
ここで、本実施例の発電システム10の作動について説明する。発電システム10を起動する場合、ガスタービン11が起動した後に、蒸気タービン14、SOFC13が起動する。
【0036】
まず、ガスタービン11にて、圧縮機21が空気Aを圧縮し、燃焼器22が圧縮空気A1と燃料ガスL1とを混合して燃焼し、タービン23が排ガスGにより回転することで、発電機12が発電を開始する。次に、蒸気タービン14にて、排熱回収ボイラ51により生成された蒸気Sによりタービン52が回転し、これにより発電機15が発電を開始する。
【0037】
SOFC13では、まず、圧縮空気A2を供給して昇圧を開始し、加熱を開始する。排出ライン35の制御弁37と排酸化性ガス供給ライン36の遮断弁38を閉止し、第2圧縮空気供給ライン31のブロワ33を停止した状態もしくはブロワ33を運転した状態で、制御弁32もしくは加圧専用の図示されていない制御弁を所定開度だけ開放する。なお、ここで昇圧速度を制御するための開度調整を行う。すると、圧縮機21で圧縮した一部の圧縮空気A2が第2圧縮空気供給ライン31からSOFC13側へ供給される。これにより、SOFC13側は、圧縮空気A2が供給されることで圧力が上昇する。
【0038】
一方、SOFC13では、燃料極側に燃料ガスL2、窒素等の不活性ガスを供給して昇圧を開始する。ここで、図示されていないが、圧縮空気ラインの分岐から圧縮空気(酸化性ガス)を供給することで燃料極側を昇圧することも可能である。排出ライン44の制御弁46と排燃料ガス供給ライン45の制御弁47を閉止し、ブロワ48を停止した状態で、第2燃料ガス供給ライン41の制御弁42を開放すると共に、燃料ガス再循環ライン49の再循環ブロワ50を駆動する。なお、再循環ブロワ50は燃料極側の加圧前に起動していても良い。すると、燃料ガスL2が第2燃料ガス供給ライン41からSOFC13側へ供給されると共に、排燃料ガスL3が燃料ガス再循環ライン49により再循環する。これにより、SOFC13側は、燃料ガスL2、不活性ガス、空気等が供給されることで圧力が上昇する。
【0039】
そして、SOFC13の空気極側の圧力が圧縮機21の出口圧力になると、制御弁32にてSOFCへの供給空気流量を制御すると共に、ブロワ33が起動していなければブロワ33を駆動する。それと同時に遮断弁38を開放してSOFC13からの排空気A3を排酸化性ガス供給ライン36から燃焼器22に供給する。このとき、制御弁37も開放してSOFC13からの排空気A3の一部を排出ライン35から排出してもよい。すると、圧縮空気A2がブロワ33によりSOFC13側へ供給される。それと同時に制御弁46を開放してSOFC13からの排燃料ガスL3を排出ライン44から排出する。そして、SOFC13における空気極側の圧力と燃料極側の圧力とが目標圧力に到達すると、SOFC13の昇圧が完了する。
【0040】
その後、SOFC13の圧力制御が安定したら、制御弁37が開となっている場合は閉止する一方、遮断弁38の開放を維持する。このため、SOFC13からの排空気A3が排酸化性ガス供給ライン36から燃焼器22に供給され続ける。また、排燃料ガスL3の成分が燃焼器へ投入可能な成分となったら、制御弁46を閉止する一方、制御弁47を開放してブロワ48を駆動する。すると、SOFC13からの排燃料ガスL3が排燃料ガス供給ライン45から燃焼器22に供給される。このとき、第1燃料ガス供給ライン27から燃焼器22に供給される燃料ガスL1を減量する。
【0041】
ここで、ガスタービン11の駆動による発電機12での発電、SOFC13での発電、蒸気タービン14の駆動により発電機15での発電が全て行われることとなり、発電システム10が定常運転となる。
【0042】
次に、
図2を参照して、SOFC13の空気極側に導入される圧縮空気A2の温度変化と、SOFC13から排出される排空気A3の温度変化について説明する。
図2は、SOFCの温度変化に関するタイムチャートである。
【0043】
図2は、その横軸が時間となっており、その縦軸が温度となっている。SOFC13の空気極側に導入される圧縮空気A2の温度はT1となっており、SOFC13から排出される排空気A3の温度はT2となっている。また、0からt1までの時間が起動期間となっており、t1からt2までの時間が昇温期間となっており、t2以降が発電期間となっている。
【0044】
図2に示すように、発電システム10において、SOFC13の起動が開始されると、ガスタービン11の圧縮機21から圧縮空気A2が供給される。このとき、時間0からt1までの起動期間において、SOFC13に供給される圧縮空気A2の温度T1は、圧縮機21において昇温・昇圧される。このため、起動時において、SOFC13に供給される圧縮空気A2の温度T1は、ガスタービン11に依存するが300〜650℃程度である。一方で、時間0からt1までの起動期間において、SOFC13の内部は、圧縮空気A2の温度T1より低くなっている。このため、SOFC13の内部を通過して排出される排空気A3は、SOFC13の内部で熱交換されるため、SOFC13に供給される圧縮空気A2の温度T1よりも100℃以上低くなっている。また、時間t2以降におけるSOFC13から排出される排空気A3の温度T2は、例えば、550℃〜650℃に設定されている。よって、燃焼器22は、発電期間(時間t2以降)で安定して燃焼することが望ましく、発電期間(時間t2以降)の排空気A3の温度T2が好適な燃焼条件として設定されており、上記の排空気A3の温度T2と同様に、550〜650℃としている。
【0045】
このように、発電システム10では、SOFC13の起動時(起動期間中)において、SOFC13から排出される排空気A3の温度T2が、SOFC13に供給される圧縮空気A2の温度T1よりも低くなっている。このため、ガスタービン11の燃焼器22には、低温の排空気A3が供給される。この場合、燃焼器22は、発電期間で供給される550〜650℃の排空気A3や圧縮空気A2と比較して低温となる50〜300℃の排空気A3を用いて燃料ガスL1及び排燃料ガスL3を燃焼させることになるため、燃焼器22における燃焼条件から大幅に外れることから、燃焼が安定でなくなり、未燃成分の増加や最悪の場合失火する可能性がある。そこで、上記の発電システム10では、燃焼器22に供給される排空気A3を昇温している。
【0046】
再び、
図1を参照するが、実施例1の発電システム10は、排空気ライン34に設けられる昇温用燃焼器61を有している。昇温用燃焼器61は、例えば、供給される燃料ガスL4を燃焼させるバーナである。ここで、排空気ライン34は高圧となっていることから、昇温用燃焼器61としてバーナを適用する場合には、高圧下で燃料ガスL4を燃焼させることが可能なバーナを用いることがよい。そして、バーナは、燃料ガスL4を燃焼させることで、低温の排空気A3を昇温する。
【0047】
なお、昇温用燃焼器61は、例えば、触媒燃焼器を用いてもよい。昇温用燃焼器61として触媒燃焼器を適用する場合、触媒燃焼器は、白金(Pt)系またはパラジウム(Pd)系の触媒を用いた、ガス流れへの圧力損失が少なく反応表面積が多いハニカム構造やペレット構造、粒状構造等にしてもよい。また、触媒燃焼器は、その活性温度が、SOFC13の空気極の活性温度よりも低くすることが好ましい。そして、触媒燃焼器は、燃料ガスL4を触媒燃焼させることで、低温の排空気A3を昇温してもよい。
【0048】
昇温用燃焼器61には、昇温用燃料ガス供給ライン62が接続されている。昇温用燃料ガス供給ライン62は、昇温用燃焼器61へ向けて燃料ガスL4を供給する。昇温用燃料ガス供給ライン62は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁63が設けられている。
【0049】
昇温用燃焼器61に燃料ガスL4が供給されると、昇温用燃焼器61は、燃焼ガスL4と、酸化性ガスとしての排空気A3とを酸化反応させることで、燃料ガスL4を燃焼させる。そして、燃料ガスL4を燃焼させることで発生した熱により、排空気A3を昇温する。
【0050】
また、発電システム10は、排空気A3の流れ方向において、昇温用燃焼器61の下流側の排空気ライン34に、温度センサ65が設けられている。温度センサ65は、昇温用燃焼器61において昇温された排空気A3の温度を検出している。
【0051】
ここで、発電システム10には、制御装置70が設けられている。制御装置70は、発電システム10の各部を制御することで、発電システム10の運転を制御している。この制御装置70には、制御弁63と温度センサ65とが接続されている。なお、図示はしないが、この制御装置70には、制御弁63及び温度センサ65の他、各種制御弁及び各機器が接続されている。
【0052】
制御装置70は、温度センサ65の検出結果に基づいて、制御弁63を制御している。具体的に、制御装置70は、温度センサ65で検出された排空気A3の温度が、所定の温度となるように、制御弁63の開度をフィードバック制御(例えば、PID制御)する。つまり、制御装置70は、温度センサ65により検出した検出温度が、予め設定した所定の温度よりも高ければ、制御弁63の開度を閉弁側に制御する。一方で、制御装置70は、温度センサ65により検出した検出温度が、予め設定した所定の温度以下であれば、制御弁63の開度を開弁側に制御する。このように、制御装置70は、制御弁63を制御することで、昇温用燃焼器61に供給する燃料ガスL4の供給量を制御し、これにより、昇温用燃焼器61による排空気A3の昇温量を制御する。ここで、所定の温度とは、例えば、発電期間以降にSOFC13を経由して燃焼器22に供給される圧縮空気A3の温度であり、550〜650℃の温度である。
【0053】
次に、実施例1の発電システム10の運転方法について説明する。この発電システム10の運転方法は、SOFC13を昇温及び昇圧させて、SOFC13が発電可能な状態に至る過程において、SOFC13から排出される排空気A3を所定の温度まで昇温するときに行われる。
【0054】
発電システム10が起動され、制御弁32が所定開度に開弁されることで、SOFC13に圧縮機21から圧縮空気A2が供給され、かつ、遮断弁38が開弁されることで、SOFC13を経由して燃焼器22へ排空気A3が供給されると、圧縮空気の昇温工程が実行される。つまり、昇温工程は、SOFC13から排出される排空気A3の温度が、SOFC13に導入される圧縮空気A2の温度よりも低い場合に実行される。
【0055】
昇温工程では、制御装置70が、温度センサ65の検出温度が所定の温度となるように制御弁63を所定の開度に制御し、昇温用燃料ガス供給ライン62から燃料ガスL4を昇温用燃焼器61に供給する。そして、昇温工程では、昇温用燃焼器61において供給された燃料ガスL4を燃焼させることで、排空気A3を昇温する。つまり、昇温工程では、昇温用燃焼器61において、供給された燃料ガスL4と酸化性ガスとしての排空気A3とを酸化反応させることで燃料ガスL4を燃焼させ、燃料ガスL4を燃焼させることで発生した熱により、排空気A3を昇温する。
【0056】
このように実施例1の発電システム10にあっては、圧縮機21と燃焼器22を有するガスタービン11と、空気極及び燃料極を有するSOFC13と、SOFC13の空気極側から排出される排空気A3を、燃焼器22に供給する排空気ライン34及び排酸化性ガス供給ライン36と、排空気ライン34に設けられ、燃焼器22に供給される排空気A3を昇温する昇温用燃焼器61と、を備える。
【0057】
従って、昇温用燃焼器61は、排空気ライン34及び排酸化性ガス供給ライン36を通って、ガスタービン11の燃焼器22に供給される排空気A3を昇温することができる。このため、燃焼器22には、昇温された排空気A3が供給される。よって、燃焼器22は、昇温された排空気A3を用いて、燃焼を行うことができることから、ガスタービン11の燃焼器22における燃焼を、好適な燃焼条件にすることができる。これにより、ガスタービン11の燃焼器22における燃焼を安定させることで、未燃成分の増加や失火を抑制し、ガスタービンの出力制御への外乱を抑制することができる。
【0058】
実施例1の発電システム10では、昇温用燃焼器61は、SOFC13から排出される排空気A3を、燃料ガスL4を燃焼させることで昇温させる。従って、昇温用燃焼器61は、燃料ガスL4を燃焼させることで発生した熱によって、排空気A3を直接昇温することができるため、排空気A3の昇温を迅速に行うことができる。なお、上記したように、昇温用燃焼器61としては、触媒燃焼器を用いてもよいし、バーナを用いてもよい。
【0059】
実施例1の発電システム10では、排空気A3の流れ方向において、昇温用燃焼器61の下流側の排空気ライン34に設けられ、排空気A3の温度を検出する温度センサ65と、温度センサ65の検出結果に基づいて、昇温用燃焼器61による排空気A3の昇温量を制御する制御装置70と、をさらに備える。従って、制御装置70は、排空気A3の温度が所定の温度となるように、制御弁63を制御することで、排空気A3の昇温量を制御することができる。このため、SOFC13から排出される排空気A3の温度が変化しても、昇温用燃焼器61により昇温された排空気A3の温度を所定の温度に保つことができ、燃焼器22に供給される排空気A3の温度を安定させることができる。
【0060】
また、実施例1の発電システム10の運転方法にあっては、圧縮機21と燃焼器22を有するガスタービン11と、空気極及び燃料極を有するSOFC13と、SOFC13の空気極側から排出される排空気A3を、燃焼器22に供給する排空気ライン34及び排酸化性ガス供給ライン36と、排空気ライン34に設けられ、燃焼器22に供給される排空気A3を昇温する昇温用燃焼器61と、を備える発電システム10の運転方法であって、SOFC13の空気極側から排出される排空気A3を、昇温用燃焼器61において昇温させる昇温工程を含む。
【0061】
従って、昇温工程では、排空気ライン34及び排酸化性ガス供給ライン36を通ってガスタービン11の燃焼器22に供給される排空気A3を、昇温用燃焼器61により昇温することができる。このため、燃焼器22には、昇温された排空気A3が供給される。よって、燃焼器22は、昇温された排空気A3を用いて、燃焼を行うことができることから、ガスタービン11の燃焼器22における燃焼を、好適な燃焼条件にすることができる。これにより、ガスタービン11の燃焼器22における燃焼を安定させることで、未燃成分の増加や失火を抑制し、ガスタービンの出力制御への影響を抑制することができる。
【0062】
実施例1の発電システム10の運転方法では、発電システム10は、排空気A3の流れ方向において、昇温用燃焼器61の下流側の排空気ライン34に設けられ、排空気A3の温度を検出する温度センサ65と、温度センサ65の検出結果に基づいて、昇温用燃焼器61による排空気A3の昇温量を制御する制御装置70と、をさらに備え、昇温工程では、温度センサ65の検出結果に基づいて、昇温用燃焼器61による排空気A3の昇温量を制御する。従って、昇温工程では、排空気A3の温度が所定の温度となるように、制御装置70により昇温用燃焼器61を制御することができる。このため、SOFC13から排出される排空気A3の温度が変化しても、昇温用燃焼器61により昇温された排空気A3の温度を所定の温度に保つことができ、燃焼器22に供給される排空気A3の温度を安定させることができる。
【実施例2】
【0063】
次に、
図3を参照して、実施例2の発電システム80について説明する。
図3は、実施例2の発電システムを表す概略構成図である。なお、実施例2では、実施例1と重複する記載を避けるべく、実施例1と異なる部分について説明する。実施例1では、発電システム10の排空気ライン34に昇温用燃焼器61を設けたが、実施例2では、昇温用燃焼器61に代えて、発電システム10の排空気ライン34に熱交換器81が設けられている。以下、実施例2の発電システム80について説明する。
【0064】
図3に示すように、発電システム80において、排空気ライン34には、熱交換器81が設けられている。熱交換器81は、熱交換器本体81aと、加熱ライン(加熱流路)81bとを有している。熱交換器本体81aには、排空気ライン34が接続されており、排空気ライン34から供給された排空気A3が、熱交換器本体81aの内部で流通する。加熱ライン81bは、その内部に熱媒が流通しており、熱交換器本体81aの内部に設けられている。
【0065】
また、発電システム80は、加熱ライン81bに接続される熱交換用燃焼器82を有している。熱交換用燃焼器82には、燃焼用燃料ガス供給ライン83と、燃焼用空気供給ライン85とが接続されている。燃焼用燃料ガス供給ライン83は、熱交換用燃焼器82へ向けて燃料ガスL4を供給する。燃焼用燃料ガス供給ライン83は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁84が設けられている。燃焼用空気供給ライン85は、熱交換用燃焼器82へ向けて空気Aを供給する。燃焼用空気供給ライン85は、供給する空気Aを昇圧可能なブロワ(昇圧機)86が設けられている。
【0066】
熱交換用燃焼器82に燃料ガスL4及び空気Aが供給されると、熱交換用燃焼器82は、燃料ガスL4を燃焼させることで、燃焼ガスBを発生させる。このとき、熱交換用燃焼器82による燃焼は常圧で行われる。そして、熱交換用燃焼器82は、発生した燃焼ガスBを熱媒として加熱ライン81bに供給する。
【0067】
加熱ライン81bに熱媒が供給されると、加熱ライン81bは、熱交換器本体81aの内部を流通する排空気A3を加熱することで、排空気A3を昇温する。
【0068】
この発電システム80の制御装置70には、制御弁84と温度センサ65とが接続されている。なお、温度センサ65は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
制御装置70は、温度センサ65の検出結果に基づいて、制御弁84を制御している。具体的に、制御装置70は、温度センサ65で検出された排空気A3の温度が、所定の温度となるように、制御弁84の開度をフィードバック制御(例えば、PID制御)する。つまり、制御装置70は、温度センサ65により検出した検出温度が、予め設定した所定の温度よりも高ければ、制御弁84の開度を閉弁側に制御する。一方で、制御装置70は、温度センサ65により検出した検出温度が、予め設定した所定の温度以下であれば、制御弁84の開度を開弁側に制御する。このように、制御装置70は、制御弁84を制御することで、熱交換用燃焼器82に供給する燃料ガスL4の供給量を制御する。これにより、制御装置70は、熱交換器81の加熱ライン81bに供給する燃焼ガスBの流量を制御し、熱交換器81による排空気A3の昇温量を制御する。
【0070】
このように実施例2の発電システム80にあっては、熱交換器81は、SOFC13から排出される排空気A3を、熱交換により昇温しており、排空気ライン34に設けられる熱交換器本体81aと、熱交換器本体81aの内部に設けられる熱媒が流通する加熱ライン81bと、を有する。従って、熱交換器81は、熱交換器本体81aの内部に供給された排空気A3を、加熱ライン81bにより昇温することができる。このため、熱交換器81は、排空気A3に含まれる酸素等の成分を変化させることなく、排空気A3を昇温することができる。
【0071】
また、実施例2の発電システム80では、加熱ライン81bに接続される熱交換用燃焼器82は、燃料ガスL4を燃焼させることで発生する燃焼ガスBを、熱媒として、加熱ライン81bに供給する。従って、熱交換用燃焼器82は、常圧で燃料ガスL4を燃焼できることから、熱交換用燃焼器82として、一般的な燃焼器を適用することができ、また、熱交換用燃焼器82周りも平易な構成にすることができる。
【実施例3】
【0072】
次に、
図4を参照して、実施例3の発電システム90について説明する。
図4は、実施例3の発電システムを表す概略構成図である。なお、実施例3では、実施例2と重複する記載を避けるべく、実施例2と異なる部分について説明する。実施例2では、発電システム80の熱交換器81の加熱ライン81bに供給される熱媒が、熱交換用燃焼器82からの燃焼ガスBであったが、実施例3では、発電システム90の熱交換器81の加熱ライン81bに供給される熱媒が、高温熱源91からの熱媒となっている。以下、実施例3の発電システム90について説明する。
【0073】
図4に示すように、発電システム90において、排空気ライン34には、実施例2と同様の熱交換器81が設けられている。なお、熱交換器81に係る説明は省略する。熱交換器81の加熱ライン81bには、熱媒ライン92が接続されている。熱媒ライン92は、その一端が高温熱源91に接続され、その他端が加熱ライン81bに接続されており、高温熱源91からの熱媒を、加熱ライン81bに供給する。熱媒ライン92は、供給する熱媒の流量を調整可能な制御弁93が設けられている。
【0074】
高温熱源91は、発電システム90に設置される熱源であれば、いずれであってもよく、例えば、発電システム90の起動時に用いられる図示しない起動用ボイラを熱源として用いても良い。高温熱源91として起動用ボイラを用いる場合、熱媒としては、起動用ボイラで発生する蒸気が用いられる。
【0075】
つまり、高温熱源91は、熱媒ライン92を介して熱交換器81の加熱ライン81bに熱媒を供給すると、加熱ライン81bは、熱交換器本体81aの内部を流通する排空気A3を加熱することで、排空気A3を昇温する。
【0076】
なお、高温熱源91の熱媒は、起動用ボイラの蒸気に限らず、排熱回収ボイラ51の蒸気、ガスタービン11の圧縮機21から排出される圧縮空気A2、またはガスタービン11のタービン23から排出される排ガスG等を用いてもよい。このとき、これらの熱媒を併用してもよく、この場合、熱媒を切り替え可能に構成してもよい。
【0077】
この発電システム90の制御装置70には、制御弁93と温度センサ65とが接続されている。なお、温度センサ65は、実施例2と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
制御装置70は、温度センサ65の検出結果に基づいて、制御弁93を制御している。具体的に、制御装置70は、温度センサ65で検出された排空気A3の温度が、所定の温度となるように、制御弁93の開度をフィードバック制御(例えば、PID制御)する。つまり、制御装置70は、温度センサ65により検出した検出温度が、予め設定した所定の温度よりも高ければ、制御弁93の開度を閉弁側に制御する。一方で、制御装置70は、温度センサ65により検出した検出温度が、予め設定した所定の温度以下であれば、制御弁93の開度を開弁側に制御する。このように、制御装置70は、制御弁93を制御することで、熱交換器81に供給される熱媒の供給量を制御し、これにより、熱交換器81による排空気A3の昇温量を制御する。
【0079】
このように実施例3の発電システム90にあっては、熱交換器81の加熱ライン81bに接続される高温熱源91は、発生した熱媒を加熱ライン81bに供給する。従って、発電システム90に設けられる高温熱源91を活用して、排空気A3を昇温することができる。
【0080】
なお、実施例3では、高温熱源91からの蒸気を、熱交換器81の加熱ライン81bに供給し、加熱ライン81bにより排空気A3を昇温した。しかしながら、高温熱源91からの蒸気を、排空気ライン34に直接供給して、蒸気により排空気A3を昇温してもよい。