特許第6049449号(P6049449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049449
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】倣い溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/127 20060101AFI20161212BHJP
   B23K 9/10 20060101ALI20161212BHJP
   B23K 37/047 20060101ALI20161212BHJP
   B23K 9/167 20060101ALI20161212BHJP
   B23K 9/02 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B23K9/127 502E
   B23K9/127 508A
   B23K9/10 A
   B23K37/047 501A
   B23K9/167 A
   B23K9/02 S
   B23K9/02 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-287700(P2012-287700)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-128820(P2014-128820A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(72)【発明者】
【氏名】近藤 尚美
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−000645(JP,A)
【文献】 特開平06−149327(JP,A)
【文献】 特開平09−103880(JP,A)
【文献】 特開昭60−121074(JP,A)
【文献】 特開2001−191177(JP,A)
【文献】 特許第5901284(JP,B2)
【文献】 特許第5901285(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/127
B23K 9/02
B23K 9/10
B23K 9/167
B23K 37/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径の異なる2つの円形部材を同心円状に配置してなる被溶接部材を、当該被溶接部材の中心軸まわりに回転させる回転テーブルと、
前記被溶接部材の最外周より内側であって前記2つの円形部材の境界付近を溶接する溶接トーチと、
前記被溶接部材に対して径方向に移動しながら軸方向の変位量を測定し、当該変位量が所定の閾値以上となったときに検出信号を出力する変位計と、
前記溶接トーチおよび前記変位計に対する前記被溶接部材の径方向の位置を変更する径方向移動部と、
各部の動作を制御して倣い溶接を行う制御部と、
ユーザからの指示を受けて前記径方向移動部により前記溶接トーチを前記被溶接部材に対して相対的に径方向に移動させるコントローラとを備え、
前記制御部は、
前記変位計から検出信号が出力されたときの前記径方向移動部の径方向の位置に基づいて前記被溶接部材に対する前記溶接トーチの軌道を計算するトーチ軌道計算部と、
前記トーチ軌道計算部により計算された軌道上の所定の溶接開始点に前記溶接トーチを移動させる溶接開始点移動部と、
前記溶接開始点移動部により前記溶接トーチが前記溶接開始点に移動された後、前記コントローラにより当該溶接トーチの電極位置と当該溶接開始点とのズレを解消するように当該溶接トーチが径方向に移動された場合に、その移動量を計測するトーチ移動量計測部と、
前記トーチ移動量計測部により計測された移動量に基づいて前記被溶接部材に対する前記溶接トーチの軌道を再計算するトーチ軌道再計算部と、
前記トーチ軌道計算部および前記トーチ軌道再計算部により最終的に決定された軌道に従い、前記回転テーブルを回転させながら前記径方向移動部の径方向の位置を制御して溶接を行う溶接実行部とを備えた
ことを特徴とする倣い溶接装置。
【請求項2】
前記溶接トーチの軸方向の位置を変更する軸方向移動部を備え、
前記コントローラは、ユーザからの指示を受けて前記軸方向移動部により前記溶接トーチを軸方向に移動させ、
前記トーチ移動量計測部は、前記溶接開始点移動部により前記溶接トーチが前記溶接開始点に移動された後、前記コントローラにより当該溶接トーチの電極位置と当該溶接開始点とのズレを解消するように当該溶接トーチが軸方向に移動された場合に、その移動量を計測する
ことを特徴とする請求項1記載の倣い溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変位計で測定した被溶接部材の形状に倣って溶接する倣い溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の倣い溶接装置において、ロボットにより溶接位置を教示する場合、溶接トーチを手動動作にて溶接位置に移動し、溶接位置と電極位置が適正な位置にあることを目視により確認することで、溶接位置を教示していた(例えば特許文献1,2参照)。溶接トーチ位置の教示がずれた場合は、不良品を作る可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2011−283747号公報
【特許文献2】特願2011−283750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の倣い溶接装置のうちTIG溶接装置では、±0.2mmの範囲内で電極位置と溶接位置との位置合わせが必要となる。一方、TIG溶接装置の溶接トーチの電極は、溶接に使用することで消耗するため、時々再研磨する必要がある。この際、電極を再セットする必要があるが、±0.2mm精度が確保できていない場合がある。そして、その状態のまま溶接を行うと不良品が発生する可能性が高いという課題がある。また、TIG溶接は、製品組立の最終工程で行われるため、不良品が出ると損失が大きくなるため、不良品発生は皆無にする必要がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、倣い溶接装置の電極を再セットする必要がある場合にも所望の位置精度を確保することができ、溶接不良の発生を減少させることが可能な倣い溶接装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る倣い溶接装置は、外径の異なる2つの円形部材を同心円状に配置してなる被溶接部材を、当該被溶接部材の中心軸まわりに回転させる回転テーブルと、被溶接部材の最外周より内側であって2つの円形部材の境界付近を溶接する溶接トーチと、被溶接部材に対して径方向に移動しながら軸方向の変位量を測定し、当該変位量が所定の閾値以上となったときに検出信号を出力する変位計と、溶接トーチおよび変位計に対する被溶接部材の径方向の位置を変更する径方向移動部と、各部の動作を制御して倣い溶接を行う制御部と、ユーザからの指示を受けて径方向移動部により溶接トーチを被溶接部材に対して相対的に径方向に移動させるコントローラとを備え、制御部は、変位計から検出信号が出力されたときの径方向移動部の径方向の位置に基づいて被溶接部材に対する溶接トーチの軌道を計算するトーチ軌道計算部と、トーチ軌道計算部により計算された軌道上の溶接開始点に溶接トーチを移動させる溶接開始点移動部と、溶接開始点移動部により溶接トーチが溶接開始点に移動された後、コントローラにより当該溶接トーチの電極位置と当該溶接開始点とのズレを解消するように当該溶接トーチが径方向に移動された場合に、その移動量を計測するトーチ移動量計測部と、トーチ移動量計測部により計測された移動量に基づいて被溶接部材に対する溶接トーチの軌道を再計算するトーチ軌道再計算部と、トーチ軌道計算部およびトーチ軌道再計算部により最終的に決定された軌道に従い、回転テーブルを回転させながら径方向移動部の径方向の位置を制御して溶接を行う溶接実行部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、倣い溶接装置の電極を再セットする必要がある場合にも所望の位置精度を確保することができ、溶接不良の発生を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置の教示状態を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は正面図である。
図2】この発明の実施の形態1における制御部の構成を示すブロック図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置の測定動作を説明する図である。
図4】この発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置の動作を示すフローチャートである。
図5】この発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置の電極位置の修正を説明する図である。
図6】この発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置のトーチ軌道再計算を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置を表す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。図1は被溶接部材100の溶接位置を教示している状態である。なお図1(b)では制御部8およびリモコン9の図示を省略している。
この倣い溶接装置は、外径の異なる2つの円形部材を同心円状に配置してなる被溶接部材100を載置して、この被溶接部材100の中心軸であるZ軸まわりをθ方向に回転する回転テーブル1と、被溶接部材100の最外周より内側であって2つの円形部材の境界付近を溶接する溶接トーチ2と、被溶接部材100のZ軸方向の変位を検出する変位計3と、溶接トーチ2と変位計3に対して回転テーブル1をR軸方向(被溶接部材100の径方向)に移動する径方向移動部4と、溶接トーチ2と変位計3をZ軸方向(軸方向)に移動する軸方向移動部5と、溶接トーチ2の姿勢を変更するトーチ回転部6と、変位計3をZ,R軸と直交するX軸方向に移動させ測定位置または退避位置に保持する変位計移動部7と、これら各部の動作を制御して倣い溶接を行う制御部8と、ユーザからの指示を受けて径方向移動部4・軸方向移動部5により溶接トーチ2を被溶接部材100に対してR軸・Z軸方向に移動させるリモコン(コントローラ)9とを備える。
【0010】
図1に例示した被溶接部材100は、円筒形状の大径部材101と、この大径部材101より外径の小さい円筒形状の小径部材102とから構成される。大径部材101の内部に小径部材102を入れ子にし、小径部材102と大径部材101との間を溶接して(端部(へり)溶接)、一体化することになる。
図示例の他にも、例えば、円筒形状の大径部材の上に、この大径部材より外径の小さい円板形状の小径部材を軸方向に重ね、当該小径部材の外周を大径部材の上端面に溶接する隅肉溶接を行うものであってもよい。
【0011】
倣い溶接装置において、回転テーブル1は、大径部材101、小径部材102を位置決め保持して、これら部材の中心軸であるZ軸を中心にしてθ方向に回転させる。また、この回転テーブル1は径方向移動部4上に設置されており、R軸方向に移動可能である。
径方向移動部4は、被溶接部材100の形状を測定する場合には回転テーブル1を図1に示す変位計計測位置に移動させて、被溶接部材100の溶接部を変位計3のセンシング領域に入るように配置し、一方、溶接する場合には回転テーブル1を溶接位置に移動させて、被溶接部材100を溶接トーチ2から所定距離に配置する。
【0012】
溶接トーチ2は、TIG溶接などのアーク溶接用であり、先端側に溶接用の電極2aを備える。もう一方の電極は図示を省略する。
トーチ回転部6は、溶接トーチ2の電極2aの先端を中心にしてθ’角度回転させ、被溶接部材100に対する溶接トーチ2の角度を調整可能である。図1の例では、端部溶接のために回転テーブル1の面に対して溶接トーチ2をθ’=90°としている。また、隅肉溶接の場合は、回転テーブル1の面に対して溶接トーチ2をθ’=45°傾斜させる。
【0013】
変位計3は、レーザ光線等のスポット光を回転テーブル1上の被溶接部材100へ向けて上側から照射して、反射光に基づいて被溶接部材100のZ軸方向の変位量を測定し、大径部材101または小径部材102の外周端を検出するセンサである。この変位計3は、Z軸方向の変位量が所定の閾値を超えた場合に外周端を検出したことを示す信号を制御部8へ出力する。
変位計移動部7は、変位計3をX軸方向に移動可能であり、被溶接部材100の形状を測定する場合には図1に示す測定位置に変位計3を保持し、溶接する場合には退避位置へ変位計3を退避させる。
【0014】
軸方向移動部5には、溶接トーチ2を保持するトーチ回転部6と、変位計3を保持する変位計移動部7とが固定されており、これら溶接トーチ2、トーチ回転部6、変位計3および変位計移動部7をZ軸方向に移動可能である。
【0015】
制御部8は、予め与えられたプログラムに従って倣い溶接装置全体を制御するものであり、回転手段(回転テーブル1およびトーチ回転部6)の回転量、移動手段(径方向移動部4、軸方向移動部5および変位計移動部7)の移動量をそれぞれ制御する。また、制御部8には、変位計3から外周端検出信号が入力される。この制御部8の内部構成については後述する。
【0016】
リモコン9は、制御部8により最初に溶接トーチ2に溶接位置を教示した後、溶接トーチ2の電極位置と溶接位置とにズレが生じている場合に、このズレを解消するように溶接トーチ2を移動させるものである。この際、リモコン9は、径方向移動部4により被溶接部材100が載置された回転テーブル1をR軸方向に移動させることで溶接トーチ2を被溶接部材100に対して相対的に移動させ、また、軸方向移動部5を制御することで、溶接トーチ2をZ軸方向に移動させる。
【0017】
次に、制御部8の構成について、図2を参照しながら説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における制御部の構成を示すブロック図である。
制御部は、図2に示すように、トーチ軌道計算部81、溶接開始点移動部82、トーチ移動量計測部83、トーチ軌道再計算部84および溶接実行部85から構成されている。
【0018】
トーチ軌道計算部81は、変位計3から検出信号が出力されたときの径方向移動部4の径方向の位置に基づいて被溶接部材100に対する溶接トーチ2の軌道を計算するものである。
【0019】
溶接開始点移動部82は、トーチ軌道計算部81により計算された軌道上の溶接開始点に溶接トーチ2を移動させるものである。この際、溶接開始点移動部82は、径方向移動部4により被溶接部材100が載置された回転テーブル1をR軸方向に移動させることで溶接トーチ2を被溶接部材100に対して相対的に移動させ、また、軸方向移動部5を制御することで、溶接トーチ2をZ軸方向に移動させる。
【0020】
トーチ移動量計測部83は、溶接開始点移動部82により溶接トーチ2が溶接開始点に移動された後、リモコン9により当該溶接トーチ2の電極位置と溶接開始点(溶接位置)とのズレを解消するように当該溶接トーチ2がR軸方向・Z軸方向に移動された場合に、その移動量を計測し、記憶するものである。
【0021】
トーチ軌道再計算部84は、トーチ移動量計測部83により計測された移動量に基づいて被溶接部材100に対する溶接トーチ2の軌道を再計算するものである。
【0022】
溶接実行部85は、トーチ軌道計算部81およびトーチ軌道再計算部84により最終的に決定された溶接トーチ2の軌道に従い、回転テーブル1を回転させながら径方向移動部4の径方向の位置を制御して、溶接トーチ2から被溶接部材100の溶接位置までの距離を一定に保って溶接を行うものである。
【0023】
ここで、倣い溶接装置としてTIG溶接装置を用いた場合、被溶接部材100の溶接位置に対して溶接トーチ2を±0.2mm程度で位置決めする必要がある。この際、被溶接部材100の形状のばらつき、被溶接部材100を回転テーブル1に設置する際の位置決め誤差等があるため、新たに被溶接部材100を溶接する都度、溶接位置を測定して、溶接時に溶接トーチ2の軌道の計算を行う必要がある。
この溶接トーチ2の溶接位置Rは、図3に示すように、被溶接部材100の外周端検出位置R’からのオフセット値R0を使って計算することで、精度良く計算できる。
【0024】
上記のように溶接トーチ2の軌道は、被溶接部材100の外周端検出点からのオフセット量をキャリブレーションで設定しているが、電極再研磨した場合は、電極位置が溶接位置から0.2mm以上ずれる場合がある。この状態で溶接すると、本来あるべき溶接位置に対して、電極の位置ズレが発生する。そして、TIG溶接では、0.2mm以上電極位置がずれると、溶接ビード形状が溶接中心に対し不均一となり、ボイド等が発生する場合がある。
また、電極の溶接位置に対するZ軸方向の距離が適正でない場合、アークが不安定になり、溶接不具合が発生する。すなわち、溶接トーチ2が溶接位置からZ軸方向に離れすぎると、アークの接地点が安定せず迷走状態となるため、アークが不安定になる。また、溶接トーチ2が溶接位置にZ軸方向に近づきすぎると、アークが集中するため、穴開き等が発生する。
そこで、下記の手順で溶接トーチ2の軌道の修正を行う。
【0025】
図4はこの発明の実施の形態1に係る倣い溶接装置の動作を示すフローチャートである。
倣い溶接装置の動作では、図4に示すように、まず、トーチ軌道計算部81は、変位計3から検出信号が出力されたときの径方向移動部4の径方向の位置に基づいて被溶接部材100に対する溶接トーチ2の軌道を計算する(ステップST1)。
【0026】
次いで、溶接開始点移動部82は、トーチ軌道計算部81により計算された軌道上の溶接開始点(R,Z)に溶接トーチ2を移動させる(ステップST2)。
また、トーチ移動量計測部83は、記憶している移動量ΔR,ΔZをリセットする(ステップST3)。
【0027】
次いで、溶接トーチ2を溶接開始点に移動した後装置を止め、ユーザは、溶接トーチ2の電極位置が溶接開始点の溶接中心(溶接位置)にあるかを確認し、そのズレ量を目視で確認する(ステップST4)。
【0028】
このステップST4においてR軸方向にズレがある場合には、リモコン9は、ユーザからの指示を受けて径方向移動部4により溶接トーチ2をR軸方向に移動させ、溶接中心に誘導する(ステップST5〜8)。この際、図5(a)に示すように、溶接トーチ2の電極が溶接中心に対してR軸の−側にずれている場合には、リモコン9により溶接トーチ2を+ΔR移動させる。また、図5(b)に示すように、溶接トーチ2の電極が溶接中心に対してR軸の+側にずれている場合には、リモコン9により溶接トーチ2を−ΔR移動させる。これにより図5(c)に示すように、溶接トーチ2の電極位置を溶接中心に移動させる。
【0029】
次いで、トーチ移動量計測部83は、ステップST5〜8における溶接トーチ2のR軸方向の移動量±ΔRを計測し、溶接開始点RをR±ΔRに再設定する(ステップST9)。
【0030】
一方、ステップST4においてZ軸方向にズレがある場合には、リモコン9は、ユーザからの指示を受けて軸方向移動部5により溶接トーチ2をZ軸方向に移動させる(ステップST10〜13)。
【0031】
次いで、トーチ移動量計測部83は、ステップST10〜13における溶接トーチ2のZ軸方向の移動量±ΔZを計測し、溶接開始点ZをZ±ΔZに再設定する(ステップST14)。
【0032】
次いで、トーチ軌道再計算部84は、トーチ移動量計測部83により計測された移動量(ΔR,ΔZ)に基づいて被溶接部材100に対する溶接トーチ2の軌道を再計算する(ステップST15)。
【0033】
次いで、溶接実行部85は、トーチ軌道計算部81およびトーチ軌道再計算部84により最終的に決定された溶接トーチ2の軌道に従い、回転テーブル1を回転させながら径方向移動部4の径方向の位置を制御して、溶接トーチ2から被溶接部材100の溶接位置までの距離を一定に保って溶接を行う(ステップST16)。
このように、溶接トーチ2の電極をR軸において溶接位置に精度良く安定して倣わせることができため、溶接ビード形状が溶接中心に対して均一となり、ボイド等の発生を減少させることができる。また、電極の溶接位置に対するZ軸方向の距離を適正化できるため、アークが安定し、溶接不具合の発生を抑制することができる。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、計算した軌道上の溶接開始点に溶接トーチ2を移動させた後、当該溶接トーチ2の電極位置と溶接開始点とにズレが生じている場合にリモコン9により当該溶接トーチ2をR軸方向・Z軸方向に移動させ、その移動量に基づいて溶接トーチ2の軌道を再計算するように構成したので、倣い溶接装置の電極を再セットする必要がある場合にも所望の位置精度を確保することができ、溶接不良の発生を減少させることができる。
【0035】
なお上記では、TIG溶接装置を用いて位置補正を行う場合について説明を行った。しかしながら、これに限るものではなく、例えば、半田ごてによる電子部品の自動半田付け作業のように、ツールとワークの位置関係が微妙に変化する場合や、電子部品分の実装機で、基準マークを自動認識できない場合(目視で基準マークを読み取り、修正量を実装機プログラムに反映する搭載システム)等に対しても同様に適用可能である。
【0036】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 回転テーブル
2 溶接トーチ
2a 電極
3 変位計
4 径方向移動部
5 軸方向移動部
6 トーチ回転部
7 変位計移動部
8 制御部
9 リモコン(コントローラ)
81 トーチ軌道計算部
82 溶接開始点移動部
83 トーチ移動量計測部
84 トーチ軌道再計算部
85 溶接実行部
100 被溶接部材
101 大径部材
102 小径部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6