特許第6049519号(P6049519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6049519ポリゴン加工装置およびポリゴン加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049519
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】ポリゴン加工装置およびポリゴン加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/04 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   B23C3/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-69238(P2013-69238)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-188660(P2014-188660A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】松丸 肇
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−161542(JP,A)
【文献】 特開2008−070658(JP,A)
【文献】 特開2004−074360(JP,A)
【文献】 特開平05−169301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 3/04
B24B 5/00
B24B 5/36
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸に把持されたワークに対して、工具主軸に装着されたポリゴンカッタによって第1のポリゴン加工を行った後、前記ポリゴンカッタ以外の工具による加工を行い、当該加工後に、前記ポリゴンカッタによって第2のポリゴン加工を行うポリゴン加工方法において、
前記第1のポリゴン加工の終了に際して、前記第1のポリゴン加工時の前記主軸と前記工具主軸とを同期回転させた状態で、前記主軸を予め定められた所定の回転位置で停止させる同期停止ステップと、
前記加工の開始に際して前記主軸と前記工具主軸との同期を解除する同期解除ステップと、
前記加工の終了に際して、前記主軸を前記所定の回転位置で停止させる主軸停止ステップと、
前記第2のポリゴン加工の開始に際して前記主軸と前記工具主軸とを同期回転させる同期開始ステップと、を備え、
前記同期停止ステップの作動状態で前記第1のポリゴン加工を終了させ、前記同期解除ステップを作動させて前記加工を開始し、前記第1のポリゴン加工及び前記第2のポリゴン加工に対して位相を無関係に前記加工を行い、前記主軸停止ステップの作動状態で前記加工を終了させ、前記同期開始ステップを作動させて、前記第1のポリゴン加工に対して予め定められた位相で前記第2のポリゴン加工を行うように構成されたことを特徴とするポリゴン加工方法。
【請求項2】
ワークを把持する主軸と、ポリゴンカッタが装着された工具主軸と、前記主軸および前記工具主軸を回転制御する制御手段と、を備え、
前記ワークに対して、前記ポリゴンカッタによって第1のポリゴン加工を行った後、前記ポリゴンカッタ以外の工具による加工を行い、当該加工後に、前記ポリゴンカッタによって第2のポリゴン加工を行うように構成されるポリゴン加工装置において、
前記制御手段は、
前記第1のポリゴン加工の終了に際して、前記第1のポリゴン加工時の前記主軸と前記工具主軸とを同期回転させた状態で、前記主軸を予め定められた所定の回転位置で停止させる同期停止手段と、前記加工の開始に際して前記主軸と前記工具主軸との同期を解除する同期解除手段と、前記加工の終了に際して、前記主軸を前記所定の回転位置で停止させる主軸停止手段と、前記第2のポリゴン加工の開始に際して前記主軸と前記工具主軸とを同期回転させる同期開始手段とを備え、
前記同期停止手段の作動状態で前記第1のポリゴン加工を終了させ、前記同期解除手段を作動させて前記加工を開始し、前記第1のポリゴン加工及び前記第2のポリゴン加工に対して位相を無関係に前記加工を行い、前記主軸停止手段の作動状態で前記加工を終了させ、前記同期開始手段を作動させて、前記第1のポリゴン加工に対して予め定められた位相で前記第2のポリゴン加工を行うように構成されたことを特徴とするポリゴン加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリゴン加工装置およびポリゴン加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの外周面をポリゴンカッタを用いて多角形等に加工するポリゴン加工が従来より行われている。ポリゴン加工は、主軸によって把持されたワークが軸線周りに回転し、工具主軸に装着されたポリゴンカッタが、ワークと所定の回転比で同期回転することによって行われる。
【0003】
ワークの外周面に対して複数種類のポリゴン加工を行う場合、各ポリゴン加工間においてワークとポリゴンカッタとの位相を一致させてポリゴン加工を行うポリゴン加工方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5080120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、ワークの外周面に対してポリゴン加工を行う場合、まずワークに対して第1のポリゴン加工を行い、次いで、第1のポリゴン加工後のワークに対し、第1のポリゴン加工においてワークの外周面に生じたバリを除去するバリ取り加工等が行われ、次いで、回転工具台に設定された原点位置とポリゴンカッタとが相対的に所定の配置関係となるようにポリゴンカッタを回転させてから、バリ取り加工等が行われた後のワークに対し、第1のポリゴン加工においてワークの内周面に生じたバリを除去する等の第2のポリゴン加工を行う必要があり、加工の際の工程が増加するという欠点があった。
【0006】
本発明の目的は、回転する主軸により把持されたワークを、主軸に対して同期回転する工具主軸に装着されたポリゴンカッタを用いて複数のポリゴン加工を行うポリゴン加工装置およびポリゴン加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明によれば、ワークを把持する主軸と、ポリゴンカッタが装着された工具主軸と、主軸および工具主軸を回転制御する制御手段と、を備え、ワークに対して、ポリゴンカッタによって第1のポリゴン加工を行った後、ポリゴンカッタ以外の工具による加工を行い、当該加工後に、ポリゴンカッタによって第2のポリゴン加工を行うように構成されるポリゴン加工装置において、制御手段は、第1のポリゴン加工の終了に際して、第1のポリゴン加工時の主軸と工具主軸とを同期回転させた状態で、主軸を予め定められた所定の回転位置で停止させる同期停止手段と、加工の開始に際して主軸と工具主軸との同期を解除する同期解除手段と、加工の終了に際して、主軸を所定の回転位置で停止させる主軸停止手段と、第2のポリゴン加工の開始に際して主軸と工具主軸とを同期回転させる同期開始手段とを備え、同期停止手段の作動状態で第1のポリゴン加工を終了させ、同期解除手段を作動させて加工を開始し、主軸停止手段の作動状態で加工を終了させ、同期開始手段を作動させて第2のポリゴン加工を行うように構成される。
【0008】
本発明においては、主軸に把持されたワークに対して、工具主軸に装着されたポリゴンカッタによって第1のポリゴン加工を行った後、ポリゴンカッタ以外の工具による加工を行い、当該加工後に、ポリゴンカッタによって第2のポリゴン加工を行うポリゴン加工方法において、第1のポリゴン加工の終了に際して、ポリゴン加工時の主軸と工具主軸とを同期回転させた状態で、主軸を予め定められた所定の回転位置で停止させる同期停止ステップと、加工の開始に際して主軸と工具主軸との同期を解除する同期解除ステップと、加工の終了に際して、主軸を所定の回転位置で停止させる主軸停止ステップと、第2のポリゴン加工の開始に際して主軸と工具主軸とを同期回転させる同期開始ステップと、を備え、同期停止ステップの作動状態で第1のポリゴン加工を終了させ、同期停止ステップを作動させて加工を開始し、主軸停止ステップの作動状態で加工を終了させ、同期開始ステップを作動させて第2のポリゴン加工を行うように構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転する主軸により把持されたワークを、主軸に対して同期回転する工具主軸に装着されたポリゴンカッタを用いてポリゴン加工するポリゴン加工装置およびポリゴン加工方法を実現することができる。本発明によれば、ワークの外周面に対して2種類のポリゴン加工を行う場合、両時点におけるワークとポリゴンカッタとの位相を容易に一致させることができ、したがってワークの外周面に所定の位相関係で複数のポリゴン形状を正確に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るポリゴン加工装置を適用可能な工作機械に搭載されるタレット刃物台の構成の一例を例示する断面図である。
図2】本発明の実施例に係るポリゴン加工装置に用いられるポリゴンカッタを、図3に示すタレット刃物台に装着した状態を示す図であって、(a)は部分切欠側面図であり、(b)は部分切欠正面図である。
図3】本発明の実施例に係るポリゴン加工方法を実行可能な制御手段を示すブロック図である。
図4】本発明の実施例によるポリゴン加工方法の動作フローを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施例によるポリゴン加工方法によりワークに対して2種類のポリゴン加工を施す一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係るポリゴン加工装置を適用可能な工作機械に搭載されるタレット刃物台の構成の一例を例示する断面図である。図2は、本発明の実施例に係るポリゴン加工装置に用いられるポリゴンカッタを、図3に示すタレット刃物台に装着した状態を示す図であって、(a)は部分切欠側面図であり、(b)は部分切欠正面図である。このタレット刃物台10は、工作機械であるNC旋盤等の自動旋盤に搭載される。タレット刃物台10は、刃物台本体12と、刃物台本体12に旋回可能に支持されるタレット14とを備える。
【0012】
タレット14は、円柱または角柱状の外形を有する中空の頭部20と、頭部20の軸線方向一端から軸線方向へ同心に延設される中空円筒状の軸部22とを備える。タレット14の頭部20の外周面には、工具を装着する複数の工具装着部24が所定の割出角度毎に設けられる。各工具装着部24には、バイト等の旋削工具26やドリル、フライス等の回転工具28等の加工工具を選択的に装着できる。軸部22は、刃物台本体12に回転可能および軸線方向移動可能に支持される。
【0013】
タレット14は、係合部38を介して刃物台本体12に離脱可能に係合されており、サーボモータ32により、係合部38を離脱位置に移動させ、軸部22を回転駆動することによって、旋回駆動される。タレット14の所定の旋回位置で、係合部38を係合位置に移動させることによって、タレット14が刃物台本体12上で割出位置に固定され、所定の加工工具を選択することができる。
【0014】
軸部22内には、サーボモータ46によって回転駆動される駆動軸42が軸支されている。回転工具28を工具主軸を備えたホルダ48を介してタレット14の所望の工具装着部24に装着すると、工具主軸に連結される被動歯車50が、駆動軸42に取り付けられる駆動歯車44に噛合し、回転工具28が、サーボモータ46によって回転駆動される。
【0015】
所定の工具装着部24には、図2に示すように、ポリゴンカッタ54を、工具主軸を備えたホルダ60を介して装着することができる。ホルダ60の工具主軸にポリゴンカッタ54が装着され、ホルダ60内の動力伝達を介してポリゴンカッタ54(工具主軸)に連結される被動歯車62が、駆動歯車44に噛合することによって、ポリゴンカッタ54が、 サーボモータ46によって回転駆動される。
【0016】
タレット14を旋回させて、ポリゴンカッタ54を選択し、ワークWを把持し、主軸モータによって回転駆動される主軸とポリゴンカッタ54とを同期して回転させ、位相関係を維持することによって、ポリゴン加工を行い、ワークWの外周面に対して楕円や多角形等を形成することができる。ポリゴン加工は、ワークWの回転数とポリゴンカッタ54の回転数とが所定の比率となるように、工具主軸と主軸とが回転駆動される。例えば、ワークの外周面に四角形を形成する場合は、ワークを1回転させる間に、その角数の半分である2枚の刃物を配置したポリゴンカッタを2回回転させることで形成する。また例えば、ワークの外周面に六角形を形成する場合は、ワークを1回転させる間に、その角数の半分である3枚の刃物を例えば三角形状を構成するように配置したポリゴンカッタを3回回転させることで形成する。
【0017】
タレット14を旋回させて、旋削工具26を選択することによって、主軸の軸線を中心とした一般的なワークWの切削加工を行うことができる。例えば、外径バイトを用いたワークの外径加工、ワークの外周面に生じたバリ取り加工などがある。切削加工は、ポリゴンカッタ54が使用されないため、主軸と工具主軸との同期は必要なく、ワーク加工の時間短縮等を図るべく、主軸の回転速度をポリゴン加工時に比べて、高速に設定することができる。ただし通常工具主軸の最大回転数は主軸の最大回転数より低く設定されているため、主軸と工具主軸とが同期している場合、結果的に主軸の最大回転数が工具主軸の最大回転数によって規制されることになる。このため上記切削加工の場合、主軸と工具主軸との同期は解除され、主軸は工具主軸とは無関係に、切削加工に必要な回転数で回転駆動される。
【0018】
図3は、本発明の実施例に係るポリゴン加工方法を実行可能な制御手段を示すブロック図である。工具主軸及び主軸は、図3に示される制御手段によって駆動制御される。この制御手段は、本実施形態においては、数値制御(NC)旋盤に装備されるNC装置70から構成される。ただしNC装置とは別の他の制御装置を使用することもできる。
【0019】
NC装置70は、入力部72、表示部74、処理部(CPU)76、記憶部(ROM78およびRAM80)ならびに駆動制御部82等を備える。
【0020】
制御装置(NC装置70)は、CPU76が、ROM78またはRAM80に記憶された各種データや加工プログラム等に基づいて、駆動制御部82に作動指令を出力し、駆動制御部82が、CPU76からの作動指令に基づき、タレット刃物台10の割出駆動源(サーボモータ)32および回転駆動源(サーボモータ)46や、主軸を回転駆動する主軸モータ等の駆動機構88をそれぞれに制御し、タレット14の旋回や、回転工具28(工具主軸)や主軸の回転を作動させる。制御装置は、サーボモータ46の駆動(回転工具28の回転駆動)と主軸モータの駆動(主軸の回転駆動)の同期と非同期とを切り換えることが可能に構成されている。
【0021】
図4は、本発明の実施例によるポリゴン加工方法の動作フローを示すフローチャートである。
【0022】
まず、ステップS101において、ワークWを把持する主軸とポリゴンカッタ54が装着された工具主軸とを同期回転させ、ポリゴンカッタ54によって第1のポリゴン加工を行う。
【0023】
第1のポリゴン加工の後、ステップS102において、主軸と工具主軸との同期(すなわち位相関係)を維持しながら主軸を予め定められた所定の定点位置に停止させる。主軸と工具主軸とは同期しているので、主軸(ワーク)の停止とともに工具主軸(ポリゴンカッタ54)も停止する。前記定点位置として主軸原点(主軸の回転角度が0度の位置)等が考えられる。
【0024】
次いで、ステップS103において、主軸と工具主軸との同期を解除し、主軸を単独で回転させ、主軸で把持されたワークに対して切削加工を行う。ステップS103における切削加工に際しては、ポリゴンカッタ54は予め退避させておく。
【0025】
切削加工の後、ステップS104において、主軸を前記定点位置で停止させ、退避状態のポリゴンカッタ54を割り出す。これによりステップS101のときの主軸と工具主軸との位相関係とが同一となる。なおタレット14は、ポリゴンカッタ54がステップS102で停止した後、いったん退避し、再度割り出された際に、工具主軸の位相が退避前と割り出し後とが同一となるように構成される。
【0026】
主軸が上記所定の定点の位置で停止することで主軸と工具主軸とがステップS101のときと同じ位相関係になった後、ステップS105において、ポリゴンカッタ54によって第2のポリゴン加工を行う。
【0027】
このように、本発明の実施例によるワーク加工方法は、第1のポリゴン加工(ステップS101)の終了に際して、ポリゴン加工時の主軸と工具主軸とを同期回転させた状態で、主軸を予め定められた所定の回転位置で停止させる同期停止ステップ(ステップS102)と、切削加工(ステップS103)の開始に際して主軸と工具主軸との同期を解除する同期解除ステップと、切削加工(ステップS103)の終了に際して、主軸を所定の回転位置で停止させる主軸停止ステップ(ステップS104)と、第2のポリゴン加工(ステップS105)の開始に際して主軸と工具主軸とを同期回転させる同期開始ステップと、を備える。同期停止ステップの作動状態で第1のポリゴン加工(ステップS101)を終了させ、同期停止ステップを作動させて切削加工(ステップS103)を開始し、主軸停止ステップの作動状態で切削加工(ステップS103)を終了させ、同期開始ステップを作動させて第2のポリゴン加工(ステップS105)を行うように構成される。
【0028】
上述の各処理を実行するポリゴン加工装置は、ワークを把持する主軸と、ポリゴンカッタが装着された工具主軸と、主軸および工具主軸を回転制御する制御手段と、を備える。ここで、制御手段は、第1のポリゴン加工(ステップS101)の終了に際して、第1のポリゴン加工時の主軸と工具主軸とを同期回転させた状態で、主軸を予め定められた所定の回転位置で停止させる同期停止手段と、切削加工(ステップS103)の開始に際して主軸と工具主軸との同期を解除する同期解除手段と、切削加工(ステップS103)の終了に際して、主軸を所定の回転位置で停止させる主軸停止手段と、第2のポリゴン加工(ステップS105)の開始に際して主軸と工具主軸とを同期回転させる同期開始手段とを備え、同期停止手段の作動状態で第1のポリゴン加工(ステップS101)を終了させ、同期解除手段を作動させて切削加工(ステップS103)を開始し、主軸停止手段の作動状態で切削加工(ステップS103)を終了させ、同期開始手段を作動させて第2のポリゴン加工(ステップS105)を行うように、主軸および工具主軸の回転を制御する。
【0029】
図5は、本発明の実施例によるポリゴン加工方法により主軸によって把持されたワークWに対して、工具主軸に連結され、3枚の刃物66を備えたポリゴンカッタ54を用いて2種類のポリゴン加工を施す一例を説明する図である。図5(a)に示すようにワーク2の外周面に対して大小異なる2つの六角形を同じ位相で形成する場合について説明する。
【0030】
まず、ステップS201において、外径バイト57を割り出し、主軸に把持されたワークWをガイドブッシュ55によって案内して、ワークWに対し、外径加工(切削加工)を行う。次いで、ステップS202において、ポリゴンカッタ54を割り出し、ワークWの外径加工された部分に、ステップS203に示すように六角形を形成する第1のポリゴン加工を行う。ステップS203のポリゴン加工の後、主軸と工具主軸との同期(位相関係)を維持しながら主軸を主軸原点(所定の定点)の位置に停止させる。次いで、ステップS204において、外径バイト57を割り出し、主軸と工具主軸との同期を解除し、主軸を単独で回転させ、ワークWに対し、外径加工を行う。切削加工の後、主軸を主軸原点で停止させる。そして、ステップS205に示すようにポリゴンカッタ54を割り出し、ワークWに六角形を形成する第2のポリゴン加工を行う。第1のポリゴン加工を行う際と第2のポリゴン加工を行う際とで、ポリゴンカッタ54の位相とワークWの位相が一致するため、第1のポリゴン加工に対して、予め定められた位相(本実施形態においては同一位相)で第2のポリゴン加工を行うことができる。第1のポリゴン加工と第2のポリゴン加工との間に、ポリゴンカッタ54(工具主軸)とワークW(主軸)とで位相が無関係な切削加工が行われる場合であっても、主軸を主軸原点等の予め定められた所定の定点の位置に停止させるだけで、ワークWの外周面に対して、互いに所定の位相関係を合わせる必要があるポリゴン加工を簡単に行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
10 タレット刃物台
12 刃物台本体
14 タレット
20 頭部
22 軸部
24 工具装着部
26 旋削工具
28 工具主軸28
32 サーボモータ
38 係合
42 駆動軸
44 駆動歯車
46 サーボモータ
48 ホルダ
50 被動歯車
54 ポリゴンカッタ
55 ガイドブッシュ
57 外径バイト
60 ホルダ
62 被動歯車
66 刃物
70 NC装置
72 入力部
74 表示部
76 CPU
78 ROM
80 RAM
82 駆動制御部
84 可動構造体
86 選択動作記憶領域
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5