特許第6049539号(P6049539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特許6049539間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ
<>
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000002
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000003
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000004
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000005
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000006
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000007
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000008
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000009
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000010
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000011
  • 特許6049539-間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049539
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】間接プリンタ用の調節可能なクラウンを備えたトランスフィックスローラ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   B41J2/01 101
   B41J2/01 301
   B41J2/01 401
【請求項の数】21
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-109588(P2013-109588)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-803(P2014-803A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年5月23日
(31)【優先権主張番号】13/523,358
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・イー・セイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ビン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】パラッカード・エス・ラメス
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル・エル・マクグラス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・エイ・ディルビオ
【審査官】 村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−008418(JP,A)
【文献】 特開2005−199714(JP,A)
【文献】 特開2005−144733(JP,A)
【文献】 特開2005−219490(JP,A)
【文献】 特開2010−069877(JP,A)
【文献】 特開平05−330036(JP,A)
【文献】 特開2009−046214(JP,A)
【文献】 特開2006−068954(JP,A)
【文献】 特開2009−046213(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0228133(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
G03G 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受像部材に属する第1ローラと、
第1端部および第2端部を有し、前記第1ローラとの係合状態へ入ったり出たりして、前記第1ローラに圧力を加えるように構成された第2ローラと、
前記第2ローラの前記第1端部を支持し、前記第2ローラの前記第1端部に第1モーメントを加えるように構成された第1旋回可能環状体と、
前記第2ローラの前記第2端部を支持し、前記第2ローラの前記第2端部に第2モーメントを加えるように構成された第2旋回可能環状体と、を含
前記第2ローラは、前記第1モーメントと前記第2モーメントによって、当該第2ローラの長手方向の中心部が第1ローラに対して進退するように湾曲する、
間接プリンタ。
【請求項2】
前記第1旋回可能環状体に動作可能に接続された第1端部、および前記第2旋回可能環状体に動作可能に接続された第2端部を有する部材と、
前記部材に動作可能に接続されたアクチュエータであって、前記部材の前記第1端部および前記第2端部に作用し、前記第1旋回可能環状体および前記第2旋回可能環状体を動かして、前記第2ローラの前記第1端部および前記第2端部に前記第1モーメントおよび前記第2モーメントを加えるように構成されたアクチュエータと、
をさらに含む、請求項1に記載の間接プリンタ。
【請求項3】
前記部材は、当該部材の前記第1端部と当該部材の前記第2端部の間に旋回軸を有する、請求項2に記載の間接プリンタ。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記旋回軸において前記部材に動作可能に接続されて、前記第1旋回可能環状体および前記第2旋回可能環状体を動かす、請求項3に記載の間接プリンタ。
【請求項5】
前記アクチュエータに動作可能に接続され、前記アクチュエータに作用して前記旋回軸を駆動させて、前記部材の前記第1端部と前記第2端部の間の角度を変化させるように構成されたコントローラをさらに含む、請求項4に記載の間接プリンタ。
【請求項6】
前記コントローラは、印刷予定の画像用のしわパラメータを特定し、検出された前記しわパラメータを基準として前記アクチュエータを動かすようにさらに構成される、請求項5に記載の間接プリンタ。
【請求項7】
前記第1ローラと前記第2ローラの少なくとも一方は、薄壁を有する円筒体を含む、請求項6に記載の間接プリンタ。
【請求項8】
前記第1旋回可能環状体に固定して結合された第1アームと、
前記第2旋回可能環状体に固定して結合された第2アームと、
ねじ式バーを支持する梁と、
前記ねじ式バーに動作可能に接続されたアクチュエータであって、前記梁に対して前記ねじ式バーを回転させるように構成された第1アクチュエータと、
前記第1アームと接触しているアプリケータであって、前記ねじ式バーが回転するとき、前記ねじ式バーおよび前記第1アームに沿ってスライドするように構成された第1圧力アプリケータと、
前記第2アームと接触しているアプリケータであって、前記ねじ式バーが回転するとき、前記ねじ式バーおよび前記第2アームに沿ってスライドするように構成された第2圧力アプリケータと、
をさらに含む、請求項1に記載の間接プリンタ。
【請求項9】
前記ねじ式バーの第1の側は右ねじを含み、前記ねじ式バーの第2の側は左ねじを含み、前記第1圧力アプリケータは、前記第1の側と前記第2の側のうちの一方に回転可能に連結され、前記第2圧力アプリケータは、前記第1の側と前記第2の側のうちの他方に回転可能に連結される、請求項8に記載の間接プリンタ。
【請求項10】
前記第1アクチュエータは、前記ねじ式バーを回転させて、前記第1アームに沿った位置に前記第1圧力アプリケータを配置すると共に、前記第2アームに沿った位置に前記第2圧力アプリケータを配置するように構成される、請求項8に記載の間接プリンタ。
【請求項11】
前記梁に動作可能に接続された第2アクチュエータであって、前記第1圧力アプリケータを通って前記第1アームまで達しかつ前記第2圧力アプリケータを通って前記第2アームまで達する圧力を、前記梁に加えるように構成された第2アクチュエータをさらに含む、請求項10に記載の間接プリンタ。
【請求項12】
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータに動作可能に接続され、前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータに作用して前記ねじ式バーを回転させて、前記第1アームと前記第2アームに圧力を加えるように構成されたコントローラをさらに含む、請求項11に記載の間接プリンタ。
【請求項13】
前記コントローラは、指定された媒体上に印刷される予定の画像用のしわパラメータを特定し、検出された前記しわパラメータを基準として前記第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを駆動するようにさらに構成される、請求項12に記載の間接プリンタ。
【請求項14】
前記第1ローラと前記第2ローラの少なくとも一方は、薄壁を有する円筒体を含む、請求項13に記載の間接プリンタ。
【請求項15】
間接プリンタに着脱可能に挿入するローラ組立品であって、
前記間接プリンタの受像部材との係合状態へ入ったり出たりして、前記受像部材に圧力を加えるように構成された薄壁ローラであって、第1端部および第2端部を有する薄壁ローラと、
前記ローラの前記第1端部を支持する環状体であって、前記ローラの前記第1端部に第1モーメントを加えるように構成された第1旋回可能環状体と、
前記ローラの前記第2端部を支持する環状体であって、前記ローラの前記第2端部に第2モーメントを加えるように構成された第2旋回可能環状体と、
前記第1旋回可能環状体および前記第2旋回可能環状体に動作可能に接続されたアクチュエータであって、前記第1旋回可能環状体および前記第2旋回可能環状体を旋回させて、前記ローラの前記第1端部および前記第2端部に前記第1モーメントおよび前記第2モーメントを加えるように構成されたアクチュエータと、
を含
前記第1モーメントと前記第2モーメントは、前記薄壁ローラの長手方向の中心部が前記受像部材に対して進退するよう前記薄壁ローラを湾曲させる、
ローラ組立品。
【請求項16】
前記第1旋回可能環状体に動作可能に接続された第1端部、および前記第2旋回可能環状体に動作可能に接続された第2端部を有する部材と、
前記部材に動作可能に接続されたアクチュエータであって、前記部材の前記第1端部および前記第2端部に作用し、前記第1旋回可能環状体および前記第2旋回可能環状体を動かして、前記ローラの前記第1端部および前記第2端部に前記第1モーメントおよび前記第2モーメントを加えるように構成された前記アクチュエータと、
をさらに含む、請求項15に記載のローラ組立品。
【請求項17】
前記部材は、当該部材の前記第1端部と前記第2端部の間に旋回軸を有する、請求項16に記載のローラ組立品。
【請求項18】
前記アクチュエータは、前記旋回軸において前記部材に動作可能に接続されて、前記第1旋回可能環状体および前記第2旋回可能環状体を動かす、請求項17に記載のローラ組立品。
【請求項19】
前記アクチュエータは、前記旋回軸を駆動して、前記部材の前記第1端部と前記第2端部の間の角度を変化させるように構成された、請求項18に記載のローラ組立品。
【請求項20】
前記第1旋回可能環状体に固定して結合された第1アームと、
前記第2旋回可能環状体に固定して結合された第2アームと、
ねじ式バーを支持する梁と、
前記ねじ式バーに動作可能に接続されたアクチュエータであって、前記梁に対して前記ねじ式バーを回転させるように構成された第1アクチュエータと、
前記第1アームと接触しているアプリケータであって、前記ねじ式バーが回転するとき、前記ねじ式バーおよび前記第1アームに沿ってスライドするように構成された第1圧力アプリケータと、
前記第2アームと接触しているアプリケータであって、前記ねじ式バーが回転するとき、前記ねじ式バーおよび前記第2アームに沿ってスライドするように構成された第2圧力アプリケータと、
をさらに含む、請求項15に記載のローラ組立品。
【請求項21】
前記梁に動作可能に接続された第2アクチュエータであって、前記第1圧力アプリケータを通って前記第1アームまで達しかつ前記第2圧力アプリケータを通って前記第2アームまで達する圧力を、前記梁に加えるように構成された第2アクチュエータをさらに含む、請求項20に記載のローラ組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下で説明されるシステムは、受像部材の表面から記録媒体へインク画像を転写するプリンタに関し、さらに詳細は、トランスフィックスローラと受像部材の間に形成されたニップの中を記録媒体が通過しながら、同媒体へ画像を転写するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
受像部材上に相転移インクを吐出して、同部材上に画像を形成する印刷ヘッドを含む典型的な間接プリンタの概略図が、図8に図示される。以下では単にプリンタ110と呼ばれる固体インク画像形成装置は、固体インク棒を受け入れて台に載せるインク装填器112を有する。インク棒は、装填器112を通ってインク溶融ユニット114に達するまで前進する。インク溶融ユニット114は、インク溶融ユニット114に突き当たるインク棒の一部を、インク棒が溶融する温度まで加熱する。溶融したインクは、重力、ポンプ動作、またはその両方によって、1つ以上の印刷ヘッド116へ供給される。プリンタコントローラ122は、媒体上に複写される予定の画像データを用いて、印刷ヘッド116を制御しかつ回転印刷ドラムまたは受像部材140上へ画像ピクセルとしてインクを吐出して、インク画像を形成する。用紙または他の記録基板などの記録媒体120は、シートフィーダ118から、受像部材140上のインク画像が同媒体へ転写できる位置まで供給される。画像転写プロセスを容易にするために、トランスフィックスローラ150と呼ばれることもある転写ローラと回転受像部材140の間のニップ内へ、媒体120が供給される。ニップにおいて、トランスフィックスローラ150は、媒体120を受像部材140に押し付ける。電気モータによって駆動された、レバーアーム、カムシャフト、カム、および歯車から成る組立品124は、コントローラ122からの信号に応答して、トランスフィックスローラを動かし、受像部材140との係合状態へ入ったり出たりする。
【0003】
受像部材140は、シャフトの周りに装着された中空のシリンダであって、シャフト内へ組み込まれた堅いエンドベルによって同シャフトの端部上に支持されている。受像部材140のシャフトは、ニップ144においてトランスフィックスローラ150の圧力の下でゆがむ。受像部材140のゆがみには、固有のものもある。受像部材140のシャフトは、エンドベルにおいてだけ支持されるので、端部においてよりも中央部においてさらにゆがみ、それゆえに中央部においてよりも端部においてニップ144にさらに圧力を加える。しかしながら、受像部材140による過度のゆがみによって、ニップ144における圧力の一貫性は欠如することになり、このため印刷品質は低下する。受像部材140の厚さは、以下で説明されるが、画像形成面に望ましい熱特性をもたらすために、かつ製造コストを低く保つために、できる限り材料を必要としないように選択される。しかしながら、受像部材140の厚さは、ニップ144におけるトランスフィックスローラ150からの加圧下で、受像部材140が印刷品質を低下させるほどにはゆがまないようにも選択される。
【0004】
トランスフィックスローラ150は、シャフトの周りに装着されたシリンダを含み、鋼、または類似の特性を備えた別の材料から形成される。受像部材140に関連して上述したように、トランスフィックスローラ150は、端部においてだけ支持されるので、端部においてよりも中央部においてさらにゆがむ。トランスフィックスローラ150の長さに沿ったゆがみの変動量は、結果的にニップ144の長さに沿った圧力の変動量をもたらす。トランスフィックスローラ150の厚さは、受像部材140の厚さと同様に、材料コストとトランスフィックスローラ150に沿ったゆがみの量とのバランスを取るように選択される。
【0005】
図8に示されたプリンタなどの間接プリンタの電源が入ると、受像部材は、所定温度まで加熱する必要があり、これにより、溶融された相転移インクが、受像部材の表面にとどまるが、それでもインク画像がニップに入ると記録媒体に転写しかつ定着するのに足りるほどの順応性のあることが可能となる。より大きい熱質量を有する受像部材は、より小さい熱質量を有する受像部材よりも、この所定温度に達するのにさらに熱エネルギおよび時間を必要とする。受像部材が所定温度に達するのに必要な時間を低減する1つのやり方は、受像部材の壁の厚さを低減することである。壁厚の低減は、受像部材が所定温度に達するのに必要な時間を減少させる一方で、トランスフィックスローラを用いて形成されたニップ内の圧力条件にも影響を及ぼす。トランスフィックスローラの変動がなくても、トランスフィックスローラおよび受像部材の端部間におけるニップの中心において、特に受像部材の壁が薄くなるにつれて、ニップ内の圧力はさらに一様でなくなりかつより弱くなる。
【0006】
図9に示されるように、比較的厚壁(例えば、9mm)を有する受像部材を用いて形成されたニップは、トランスフィックスローラおよび受像部材の幅全体にニップの一端から他端まで1つの圧力プロファイルを有し、他方で比較的薄壁(例えば、4.5mm)を有する受像部材を用いて形成されたニップは、別のプロファイルを有する。壁が比較的厚いと判断されるかそれとも薄いと判断されるかは、受像部材の長さ、受像部材を形成する材料、およびトランスフィックスニップ内に必要な圧力のレベルに依存する。本文書で用いられるように、約345mm長で、最小ピークが約7MPaのニップ圧力を発生させるアルミニウムローラに対して、「薄壁」は5mm以下の厚さを有するローラの壁を指し、他方「厚壁」は8.5mm以上の厚さを有するローラの壁を指す。ニップ144の端部は、受像部材140およびトランスフィックスローラ150の端部に対応する。薄壁受像部材用の圧力プロファイルの各端部における圧力は、厚壁受像部材用のプロファイルの各端部における圧力よりも大きい。受像部材140およびトランスフィックスローラ150が、ニップ144の端部において支持され、かつ端部領域でもっとも堅く固定しているので、同端部において圧力はもっとも高くなる。さらに加えて、薄壁受像部材プロファイルの中心における圧力は、厚壁受像部材プロファイルの中心における圧力を大幅に下回っている。支持された端部からもっとも遠い領域である中央部において、受像部材140およびトランスフィックスローラ150がもっともゆがむので、ニップ144の中央部において圧力はもっとも低くなる。ニップの長さ全体のこのような圧力差は、記録媒体内にしわを引き起こし、対応する印刷品質不良を引き起こすことがある。
【0007】
より薄壁の受像部材に対して、印刷品質が適正であることおよび媒体がひずまないことの保証に役立てるために、ニップ条件を修正する1つのやり方は、トランスフィックスローラにクラウンを追加することである。図10に示されるように、クラウン160は、トランスフィックスローラ150のエラストマコーティング153において形成された凸状の外形である。したがって、トランスフィックスローラ150の直径190は、クラウン160の中央部においてもっとも大きい。クラウン160は、トランスフィックスローラ150の中心に新たな干渉をもたらし、ニップの中心において圧力を増加させ、より薄壁の受像部材によって発生した、ニップの中心における圧力の減少を補償する。受像部材の壁がより薄く形成されるにつれて、トランスフィックスローラのクラウンは、新たな受像部材のゆがみを補償するためにより大きくする必要がある。しかしながら、クラウンの高さは、製造および使用法における実用的な制約によって制限される。
【0008】
さらに加えて印刷条件が、特に、横方向または縦方向のしわを形成しそうなとき、クラウンの高さによって、しわおよび/または画像品質不良が発生することがある。縦方向のしわは、印刷媒体において、ニップを通して印刷媒体を供給する方向(プロセス方向としても知られている)と平行な方向に形成される。縦方向のしわを発生させそうな一印刷条件は、印刷媒体の中心が印刷媒体の端よりも高速でニップの中を動くことである。この条件は、ニップの中心における、より大きいゆがみ、およびその結果としてのより低い圧力を、クラウンが補償するのに足りるほど高くはないことに起因することがある。この条件は、印刷の端に沿ったプロセス方向の画像が高濃度であることに起因することもある。縦方向のしわを発生させそうな別の条件は、印刷媒体がA3または類似のサイズとなることである。縦方向のしわを発生させそうな別の条件は、ニップを通して印刷媒体を供給する方向と直角の方向(プロセス直交方向としても知られている)に、紙目を配向することである。ニップの中心において加わる圧力を増加させると、縦方向のしわの発生が低減される。
【0009】
横方向のしわは、印刷媒体においてプロセス直交方向に形成される。横方向のしわを発生させそうな一印刷条件は、印刷媒体の端が印刷媒体の中心よりも高速でニップの中を動くことである。この条件は、ニップの中心において、クラウンがあまりに高く、ゆがみを過度に補償し、結果的に圧力が高くなることに起因することがある。この条件は、印刷の中心におけるまたは印刷全体にわたるプロセス方向の画像が高濃度であることに起因することもある。横方向のしわを発生させそうな別の条件は、印刷媒体がA3または類似のサイズとなることである。横方向のしわを発生させそうな別の条件は、プロセス方向に紙目を配向することである。ニップの中心において加わる圧力を減少させると、横方向のしわの発生が低減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、縦方向のしわおよび横方向のしわは、反対の条件によって発生し、それゆえに反対に調節することによって低減することができる。したがって、印刷条件が、縦方向または横方向のしわを発生させそうな応力を含むときに、ニップに沿った圧力の調節を可能にすることは、望ましい目標である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ローラ組立品は、間接プリンタに着脱可能に挿入するように開発されていて、転写ニップ内の圧力をより正確に調整することを可能にする。ローラ組立品は、薄壁ローラ、第1旋回可能環状体、第2旋回可能環状体、およびアクチュエータを含む。薄壁ローラは、第1端部および第2端部を有する。第1旋回可能環状体は、ローラの第1端部を支持し、かつローラの第1端部に第1モーメントを加えるように構成される。第2旋回可能環状体は、ローラの第2端部を支持し、かつローラの第2端部に第2モーメントを加えるように構成される。アクチュエータは、第1環状体および第2環状体に動作可能に接続され、かつ第1環状体および第2環状体を旋回させてローラの第1端部および第2端部に第1モーメントおよび第2モーメントを加えるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、間接プリンタに用いられる受像部材、トランスフィックスローラ、および支持組立品を有する画像転写システムを示す図である。
図2図2は、図1の受像部材の断面図である。
図3図3は、図1のトランスフィックスローラの断面図である。
図4A図4Aは、凹状位置における図1の支持組立品を示す図である。
図4B図4Bは、凸状位置における図1の支持組立品を示す図である。
図5図5は、図1の画像転写システムの代替の実施形態を示す図である。
図6図6は、凹状位置における図5の画像転写システムとともに用いるように構成された支持組立品を示す図である。
図7図7は、凸状位置における図5の画像転写システムとともに用いるように構成された支持組立品を示す図である。
図8図8は、図1または図5において描写された画像転写システムのうちの1つに利用することができる典型的な間接プリンタを示す図である。
図9図9は、典型的な間接プリンタにおけるニップに沿った圧力勾配のグラフを示す図である。
図10図10は、クラウンを有するトランスフィックスローラを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示される画像転写システム200は、受像部材204、トランスフィックスローラ208、ならびにトランスフィックスローラ208の中心におけるゆがみ、およびニップ216に沿った圧力変動量を調節する支持組立品212を含む。トランスフィックスローラ208は、周知のやり方で、受像部材204との係合状態へ入ったり出たりするように構成される。トランスフィックスローラ208は、受像部材204に圧力を加えるように構成され、かつニップ216を形成してインク画像を受像部材204からニップ216の中を通過する媒体へと転写するように構成される。支持組立品212は、トランスフィックスローラ208の中心領域および端部にさまざまな量の圧力を加えるように構成される。支持組立品212によってトランスフィックスローラ208に加わる圧力は、ニップ216において、トランスフィックスローラ208を通って受像部材204へ伝達される。
【0014】
図2は、受像部材本体224を形成する受像部材壁220を含む受像部材204の詳細な特徴を示す。受像部材本体224は、円筒形をしており、受像部材長228および受像部材径232を有する。受像部材204は、第1受像部材端部236および反対側の第2受像部材端部240も有する。第1受像部材端部236と第2受像部材端部240の間には、第1受像部材端部236と第2受像部材端部240とからおおよそ等距離にある受像部材中心部244がある。
【0015】
受像部材204は、アルミニウム、または類似の熱特性、機械特性および硬度特性を有する何らかの他の材料から作られる。受像部材204の表面は、印刷ヘッドからインクが吐出すると、インクが一時的に付着する場所であり、ニップ216(図1に示される)において圧力および熱を加えると、インクが同場所から印刷媒体へ転写できる場所でもある。受像部材壁220は、回転してインク印加装置からインクを受け取るので、対称であり、受像部材壁220上にインク画像を形成し、次いでニップ216(図1に示される)の中を通過する記録媒体上にインクを堆積させるように構成される。受像部材長228は、印刷媒体として標準シートの印刷用紙を収容できるように、約13.6インチである。受像部材径232は、印刷媒体がニップ216(図1に示される)の中を通過しながら、インクを受像部材204から印刷媒体へ効率的に転写可能にするのに足りるほどの大きさにするべきである。例えば、受像部材径232が約6.33インチの場合、受像部材204の外周は19.9インチであり、11インチ×17インチシートの印刷用紙または2枚の8.5インチ×11インチシートの用紙に対して、印刷ページ当たり1回の完全な回転を行うことができる。図1および図2における受像部材204の直径は、約6.33インチであり、外周は19.9インチである。本明細書で説明される受像部材の別の実施形態において、受像部材の直径、外周、および長さは、一般に周知の他の値になっている。
【0016】
図3は、トランスフィックスローラ長256およびトランスフィックスローラ径260を備えたトランスフィックスローラ本体252を有するトランスフィックスローラ壁248を含むトランスフィックスローラ208の詳細な特徴を示す。トランスフィックスローラ壁248は、厚さ264を有する。トランスフィックスローラ本体252は、円筒形をしており、それ自体を貫通する縦方向の開口部268を定める。トランスフィックスローラ208は、第1トランスフィックスローラ端部272および反対側の第2トランスフィックスローラ端部276をさらに含む。第1トランスフィックスローラ端部272と第2トランスフィックスローラ端部276の間には、トランスフィックスローラ中心部280がある。
【0017】
トランスフィックスローラ長256の長さは、印刷媒体として標準シートの印刷用紙の幅に沿って均一に圧力を加えるために、約13.6インチとなっている。言い換えれば、トランスフィックスローラ長256は、受像部材長228(図2に示される)に実質的に等しい。トランスフィックスローラ208を用いて、受像部材204の一部分だけから印刷媒体へインクを転写する圧力を加えるので、トランスフィックスローラ径260は、受像部材径232(図2に示される)ほどの大きさである必要はない。このように、トランスフィックスローラ208は、19.9インチ未満の外周を有することができ、受像部材204よりも高周波数で回転することができる。
【0018】
トランスフィックスローラ208は、トランスフィックスローラ150(図8に示される)よりも少し可撓性がある。トランスフィックスローラ208は、トランスフィックスローラ150の壁をトランスフィックスローラ本体252の壁248の厚さ264まで薄くすることによって、トランスフィックスローラ150よりも可撓性のあるように形成することができる。例えば、壁248の厚さ264は、約11.6mmから約2.6mmへ低減することができる。代替策としては、トランスフィックスローラ208は、鋼よりも弾性率の低い材料でトランスフィックスローラ本体252を形成することによって、トランスフィックスローラ150よりも可撓性のあるように形成することができる。代替策としては、トランスフィックスローラ208は、壁248を薄くし、かつ鋼よりも弾性率の低い材料でトランスフィックスローラ本体252を形成することによって、トランスフィックスローラ150よりも可撓性のあるように形成することができる。トランスフィックスローラ208の可撓性によって、トランスフィックスローラ208がトランスフィックスローラ長256に沿った種々のポイントに加わる荷重を受けかつ分散して、ニップ216(図1に示される)においてより一様な圧力を発生させることが可能となる。
【0019】
図4Aおよび図4Bは、第1旋回可能環状体284、第2旋回可能環状体288、および支持部材292を含む支持組立品212の詳細な特徴を示す。第1旋回可能環状体284は、第1トランスフィックスローラ端部272(図3に示される)を旋回可能に支持し、他方で依然としてトランスフィックスローラ208がニップ216(図1に示される)に対して回転することを可能にする。同様に、第2旋回可能環状体288は、第2トランスフィックスローラ端部276(図3に示される)を旋回可能に支持し、他方で依然としてトランスフィックスローラ208がニップ216(図1に示される)に対して回転することを可能にする。支持部材292は、旋回接続部304においていっしょに結合された、第1端部296および反対側の第2端部300を有する。第1端部296は、第1旋回可能環状体284に固定して結合され、第2端部300は、第2旋回可能環状体288に固定して結合される。支持部材292の第1端部296および第2端部300は、これらの端部間の角度308を定め、かつ旋回接続部304において旋回して角度308を変化させることができる。
【0020】
第1端部296と第2端部300の間の角度308が変化すると、第1旋回可能環状体284と第2旋回可能環状体288の角度も変化する。図4Aに示されるように、角度308が180度未満のとき、支持部材292は、トランスフィックスローラ208(図3に示される)に対して凹状位置にあり、第1旋回可能環状体284と第2旋回可能環状体288は、互いに向かう方へ曲げられる。反対に、図4Bに示されるように、角度308が180度よりも大きいとき、支持部材292は、トランスフィックスローラ208(図3に示される)に対して凸状位置にあり、第1旋回可能環状体284と第2旋回可能環状体288は、互いから離れる方へ曲げられる。代替の実施形態において、第1旋回可能環状体284と第2旋回可能環状体288は、種々の機構を用いて、互いに向かう方へまたは互いから離れる方へ曲げることができる。例えば、支持端部に力を加える、カム、歯車、または油圧ピストンを用いて、第1旋回可能環状体284および第2旋回可能環状体288を曲げることができる。
【0021】
次に図1に戻ると、画像転写システム200は、コントローラ312および支持部材アクチュエータ316をさらに含む。支持部材アクチュエータ316は、支持部材292の旋回接続部304とコントローラ312に動作可能に接続される。コントローラ312は、支持部材アクチュエータ316を作動させて、旋回接続部304を動かし、支持部材292の第1端部296と第2端部300の間の角度308を変化させるように構成される。コントローラ312は、支持部材アクチュエータ316を作動させて、第1旋回可能環状体284および第2旋回可能環状体288に下向きの圧力を加えるようにも構成される。
【0022】
このように、支持部材アクチュエータ316は、第1旋回可能環状体284および第2旋回可能環状体288に、それぞれモーメントMを加えるように構成される。各モーメントMは、支持部材アクチュエータ316から圧力の形で供給された力の量、および角度308によって決定された1つの方向に回転する傾向からなる。したがって、第1旋回可能環状体284のモーメントMと第2旋回可能環状体288のモーメントMは、力が等しく、方向が反対であり、すなわち一方は反時計回りの方向に回転する傾向を有し、他方は時計回りの方向に回転する傾向を有する。
【0023】
第1旋回可能環状体284のモーメントMおよび第2旋回可能環状体288のモーメントMは、第1トランスフィックスローラ端部272および第2トランスフィックスローラ端部276に加わって、トランスフィックスローラ208を湾曲させる。角度308が180度未満であるとき、トランスフィックスローラ208は、第1トランスフィックスローラ端部272および第2トランスフィックスローラ端部276が、トランスフィックスローラ中心部280よりも受像部材204に近くなるように曲げられる。したがって、トランスフィックスローラ208によって発生した圧力は、ニップ216の端部において、中央部におけるよりも大きい。反対に、角度308が180度よりも大きいとき、トランスフィックスローラ208は、第1トランスフィックスローラ端部272および第2トランスフィックスローラ端部276が、トランスフィックスローラ中心部280よりも受像部材204から遠くなるように曲げられる。したがって、トランスフィックスローラ208によって発生した圧力は、ニップ216の中央部において、端部におけるよりも大きい。
【0024】
コントローラ312は、縦方向のしわを発生させそうなまたは横方向のしわを発生させそうな印刷条件に関連するデータを受け取るようにさらに構成される。データは、例えば、画像を印刷するのに用いられる、用紙の種類またはインクの量および分布などの、縦方向の応力パラメータまたは横方向の応力パラメータを含むことができる。特に用紙の種類に関連するデータは、用紙サイズ、剛性、および粒子方向を含むことができる。用いられるインクの量および分布に関連するデータは、ページ上のインクの位置、ページの中心におけるインク濃度、ページの端におけるインク濃度、およびページ全体にわたるインク濃度を含むことができる。コントローラ312は、これらのデータを用いて、印刷予定のインク画像用のしわパラメータを特定するように構成される。
【0025】
コントローラ312は、インク画像用の特定されたしわパラメータに関連して、支持部材アクチュエータ316を作動させるように構成される。詳しくは、コントローラ312は、トランスフィックスローラ208を湾曲させることによって、ニップ216に沿って受像部材204に加わる圧力を調節するように構成される。トランスフィックスローラ208を湾曲させると、ニップ216の長さに沿って加わる圧力を調整して、印刷中にしわを発生させることを回避することができる。例えば、トランスフィックスローラ208を湾曲させて、トランスフィックスローラ中心部280が、ローラの端部よりも受像部材204に約50〜100マイクロメートル近くに位置決めされるようにすると、横方向のしわを除去することができる。反対に、例えば、トランスフィックスローラ208を湾曲させて、トランスフィックスローラ中心部280が、ローラの端部よりも受像部材204から約50〜100マイクロメートル遠くに位置決めされるようにすると、縦方向のしわを除去することができる。さらに加えて、これらの調節法は、プリンタが動作中に行うことができ、それによって時間のかかる再印刷または画像転写システム200の手動調節を回避することができる。
【0026】
コントローラ312は、電子部品、およびコントローラの一部に動作可能に接続または形成されるメモリに格納されたプログラム命令を用いて設定することができる。コントローラ312がプログラム命令を実行し、電子部品を作動させることに応じて、コントローラは、上述したデータなどのデータを受け取り、印刷予定の画像用のしわパラメータを特定する。一実施形態において、コントローラ312は、コントローラ312に動作可能に接続されかつユーザによって操作されるユーザインターフェースから、データを受け取るように構成することができる。ユーザは、しわのついた印刷ページを特定し、次いで各しわのついたページに関する情報をユーザインターフェースに入力する。ユーザは、例えば、用紙の種類、インクの量および分布、縦方向のしわの存在、および横方向のしわの存在に関する情報を入力することができる。コントローラ312は、ユーザインターフェースに入力された情報に関して、ニップ216に沿って圧力を調節し、ページを再印刷する。代替策としては、プリンタは、プリンタ内部に装着された光センサ(図示せず)を用いて印刷ページをスキャンすることができ、プリンタ内部のプロセッサは、プログラム命令を実行して、光センサによって生成された画像データを分析し、しわを検出することができる。コントローラ312は、このプロセッサに動作可能に接続され、転写ローラを制御する画像データ分析を受け取る。
【0027】
別の実施形態において、コントローラ312は、印刷前に印刷予定の画像に関連するデータを受け取るように構成することができる。次いでコントローラ312は、ニップ216においてデータに関して圧力を調節して、しわのついたページの印刷を回避することができる。印刷を開始する前に、印刷予定のページに対する用紙サイズ、剛性、および粒子方向を、それぞれ手動で入力することができ、またはその情報を、コントローラ312の内部に格納して、ユーザによって入力された用紙の種類に従って特定することができる。さらに加えて、プリンタは、例えば、ページ上のインクの位置、またはページの中心および端におけるインク濃度ならびにページ全体にわたるインク濃度を含む、印刷予定の画像用の電子画像情報を発生させることができる。コントローラ312は、用紙の種類ならびにインクの量および分布に関連するデータを用いて、印刷予定の画像用のしわパラメータを特定し、ニップ216に沿って加わる圧力を調節して、しわパラメータを補償し、印刷物にしわがつくのを防止することができる。
【0028】
別の実施形態において、コントローラ312は、ユーザインターフェースからまたはプリンタ内部から受け取ったデータを、メモリに格納するように構成することができる。このようにコントローラ312は、データおよびしわパラメータの目録を発生させ、目録を用いて、しわのついた印刷物を発生させそうな新たな印刷ジョブの条件を特定し、それに応じてニップ216に沿って圧力を調節することができる。それゆえにコントローラ312は、しわパラメータに関連するデータをユーザから受け取る必要性を、徐々に除去することができる。さらに加えて、コントローラ312は、別のプリンタに接続されたネットワークからデータを受け取るように構成することができる。ネットワーク内のプリンタの目録は、組み合わされて、しわのついた印刷物を発生させそうなより多くの条件を特定することができ、コントローラ312は、組み合わされた目録からデータを受け取ることができる。
【0029】
図1を続けて参照すると、動作中に、画像転写システム200は、ニップ216の端および中心の両方に圧力を加え、かつニップ216に沿って加わる圧力の量を変化させて、縦方向および横方向のしわの形成を防止する。コントローラ312は、支持部材アクチュエータ316を作動させて、支持部材292の第1端部296と第2端部の間の角度308を変化させ、第1旋回可能環状体284および第2旋回可能環状体288に下向きの圧力を加える。支持部材292の第1端部296と第2端部300の間の角度308は、第1旋回可能環状体284および第2旋回可能環状体288のそれぞれの方向の傾向を決定し、第1旋回可能環状体284は第1トランスフィックスローラ端部272にモーメントMを加え、第2旋回可能環状体288は第2トランスフィックスローラ端部276にモーメントMを加える。モーメントMは、第1受像部材端部236および第2受像部材端部240に向かう方へまたは離れる方へ第1トランスフィックスローラ端部272および第2トランスフィックスローラ端部276を動かし、かつトランスフィックスローラ中心部280を反対側に動かす。それによってコントローラ312は、トランスフィックスローラ208を動かし、ニップ216を形成する受像部材204との係合状態へ入る。したがって、より薄壁を備えたトランスフィックスローラ208は、トランスフィックスローラ208があまりに可撓性すぎてニップ216において受像部材204に適切な分布の圧力を加えることができないことに関して、ほとんど心配せずに用いることができる。上述したように、および図3に示されるように、壁248は、例えば2.6mmの厚さ264を有することができる。
【0030】
コントローラ312は、支持部材アクチュエータ316が第1旋回可能環状体284および第2旋回可能環状体288に加える力を制御することによって、ニップ216に沿って受像部材204に加わる圧力の量を調整し、かつ支持部材292の第1端部296と第2端部300の間の角度308を制御することによって、ニップ216に沿って受像部材204に加わる圧力の位置を調整する。このように、コントローラ312は、媒体がニップ216の中を動く間、ニップ216の端部および中心の両方において、受像部材204に加わる圧力の量および位置を同時に制御する。トランスフィックスローラ208によってニップ216の端部に加わる圧力の量は、トランスフィックスローラ208によってニップ216の中心に加わる圧力の量とは異なることがある。さらに加えて、コントローラ312は、必要に応じてプリンタの動作中に、ニップ216の端部および/または中心に加わる圧力の量を変化させて、ニップ216の長さに沿って所望の荷重を達成しかつ維持することができる。
【0031】
コントローラ312は、指定された媒体上に印刷される予定の画像用に、しわパラメータを特定するデータを受け取る。次いでコントローラ312は、特定されたしわパラメータに関連して支持部材アクチュエータ316を作動させる。指定された媒体上に印刷される予定の画像が縦方向のしわを発生させそうな応力を含むことを、特定されたしわパラメータが指し示すと、コントローラ312は支持部材アクチュエータ316を作動させて、ニップ316の中心においてトランスフィックスローラ208によって受像部材204に加わる圧力の量が、ニップ216の端部においてトランスフィックスローラ208によって受像部材204に加わる圧力の量に対して増加するようにする。反対に、指定された媒体上に印刷される予定の画像が横方向のしわを発生させそうな応力を含むことを、特定されたしわパラメータが指し示すと、コントローラ312は支持部材アクチュエータ316を作動させて、ニップ316の中心においてトランスフィックスローラ208によって受像部材204に加わる圧力の量が、ニップ216の端部においてトランスフィックスローラ208によって受像部材204に加わる圧力の量に対して減少するようにする。
【0032】
代替の実施形態において、画像転写システムは、トランスフィックスローラに直接には結合されない支持組立品を含むことができる。例えば、図5に図示されるように、支持組立品212’は、支持部材292’、ねじ式梁320’、第1アーム324’、第2アーム328’、第1圧力アプリケータ332’、および第2圧力アプリケータ336’を含む。図5の画像転写システム200’は、コントローラ312’が、ねじ式梁320’に動作可能に接続されたアクチュエータ340’を作動させて、支持部材292’に対してねじ式梁320’を回転させ、かつ第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’をそれぞれ第1アーム324’および第2アーム328’に沿って動かすことを除いて、上述した画像転写システム200と実質的に同様に構成されかつ動作する。コントローラ312’は、支持部材アクチュエータ316’も作動させて、支持部材292’に下向きの圧力を加える。
【0033】
ねじ式梁320’は、一方の側に右ねじおよび他方の側に左ねじを含む。第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’は、ねじ式梁320’の両側に位置決めされ、ねじ式梁320’が回転すると、ねじ山をかみ合わせて動くように構成される。したがって、ねじ式梁320’が回転すると、第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’は、ねじ式梁320’に沿って反対方向に動く。このように、ねじ式梁アクチュエータ340’は、第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’を第1アーム324’および第2アーム328’に沿って位置決めする。
【0034】
代替の実施形態において、第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’は、代替の方法を用いて、第1アーム324’および第2アーム328’に沿って位置決めすることができる。例えば、第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’は、ソレノイドまたは歯車列もしくは同類のものなどの機械的リンク機構を用いて、第1アーム324’および第2アーム328’に沿って位置決めすることができる。
【0035】
第1アーム324’は、第1旋回可能環状体284’に固定して結合され、第2アーム328’は、第2旋回可能環状体288’に固定して結合される。したがって、支持部材アクチュエータ316’によって支持部材292’に加わる下向きの圧力は、第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’を経由して、第1アーム324’および第2アーム328’に加わる。第1アーム324’および第2アーム328’に加わる下向きの圧力は、第1旋回可能環状体284’および第2旋回可能環状体288’によって、第1トランスフィックスローラ端部272’および第2トランスフィックスローラ端部276’へ伝達される。コントローラ312’は、ねじ式梁アクチュエータ340’を作動させて、第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’を第1アーム324’および第2アーム328’に沿って位置決めし、次いで第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’がいったん位置決めされると、支持部材アクチュエータ316’を作動させて、第1旋回可能環状体284’および第2旋回可能環状体288’へ伝達される下向きの圧力を加えることによって、第1トランスフィックスローラ端部272’および第2トランスフィックスローラ端部276’にモーメントMを加える。
【0036】
図6に示されるように、ねじ式梁320’を回転させて、第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’を第1アーム324’および第2アーム328’の外側の端部344’に向かう方へ動かし、次いで下向きの圧力を加えると、第1旋回可能環状体284’および第2旋回可能環状体288’にモーメントを加えて、トランスフィックスローラ208’(図5に示される)を凹状位置に湾曲させ、第1トランスフィックスローラ端部272’および第2トランスフィックスローラ端部276’(図5に示される)が、トランスフィックスローラ中心部280’(図5に示される)よりも受像部材204’(図5に示される)に近くなるようにする。したがって、トランスフィックスローラ208’によって発生した圧力は、ニップ216’の端部において、中央部におけるよりも大きい。
【0037】
反対に、図7に示されるように、ねじ式梁320’を回転させて、第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’を第1アーム324’および第2アーム328’の内側の端部348’に向かう方へ動かし、次いで下向きの圧力を加えると、第1旋回可能環状体284’および第2旋回可能環状体288’にモーメントを加えて、トランスフィックスローラ208’(図5に示される)を凸状位置に湾曲させ、第1トランスフィックスローラ端部272’および第2トランスフィックスローラ端部276’(図5に示される)が、トランスフィックスローラ中心部280’(図5に示される)よりも受像部材204’(図5に示される)から遠くなるようにする。したがって、トランスフィックスローラ208’によって発生した圧力は、ニップ216’の中央部において、端部におけるよりも大きい。
【0038】
代替の実施形態において、トランスフィックスローラ208’は、図10に示されたものと同様に、エラストマコーティング内にクラウンを含むことができる。トランスフィックスローラ208’内の固有のクラウンに起因してニップ216’の中央部において増加した圧力を補償するために、支持組立品212’は、図6に示されるように、トランスフィックスローラ208’を凹状方向にだけ湾曲させるように構成される。
【0039】
別の代替の実施形態において、トランスフィックスローラ208’は、エラストマコーティング内にフレアを含むことができる。フレアは、クラウンの逆であり、トランスフィックスローラ208’の端部上に、中央部におけるよりも大きい直径を形成する。トランスフィックスローラ208’内の固有のフレアに起因してニップ216’の端部において増加した圧力を補償するために、支持組立品212’は、図7に示されるように、トランスフィックスローラ208’を凸状方向にだけ湾曲させるように構成される。第1圧力アプリケータ332’および第2圧力アプリケータ336’が、内側の端部348’に向かう方へ位置決めされて、トランスフィックスローラ208’を凸状方向に湾曲させるので、この構成は、ねじ式梁320’が、第1旋回可能環状体284’および第2旋回可能環状体288’を超えて延びる必要がなく、それゆえにプリンタ内部の画像転写システム200’に、トランスフィックスローラ208’の端部を超える空きスペースがほとんどない場合に有利である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10