【実施例】
【0015】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、全体として縦長の矩形状に構成されており、遊技者がパチンコ機10の前面に向かう姿勢でパチンコ遊技を行うことができるよう、パチンコ球の発射操作を行うための操作ハンドル17が前面右下部に設けられている。このパチンコ機10には、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤M(
図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤Mの後側に、図柄を変動表示可能な図柄表示装置18(
図2参照)が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤Mを透視可能に保護する透明板14aを窓部に備えた装飾枠としての前枠14が開閉可能に組付けられると共に、該前枠14の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿16が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠14の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿15が一体的に組付けられており、前枠14の開閉に合わせて上球受け皿15も一体的に開閉するよう構成される。また実施例では、前記図柄表示装置18としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。
【0016】
前記前枠14には、
図1に示す如く、下球受け皿16の右側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する前記操作ハンドル17が設けられる。この操作ハンドル17は、左回転方向に付勢された操作レバー17aを備えており、該操作レバー17aを右回転するよう遊技者が回動操作することで、中枠12に配設された図示しない打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿15に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤Mに向けて発射されるようになっている。また、前枠14の上部に、音声や効果音を出力可能なスピーカ19が配設されており、該スピーカ19から適宜の音声を出力することで、前記図柄表示装置18での図柄変動演出に合わせて音声演出を行い得るよう構成されている。
【0017】
(遊技盤Mについて)
前記遊技盤Mは、
図2に示すように、前面(盤面)にパチンコ球が流下可能な遊技領域13aが画成されたベニヤ板からなる平板状の板部材13と、該板部材13の裏側に、光透過性の合成樹脂材により前方へ開口した箱状に形成されて、前記図柄表示装置18や可動演出装置等が配設される設置部材20とから構成されている。板部材13および設置部材20は、正面視における外郭形状が略整合する大きさおよび形状に形成されて、板部材13の後面に設置部材20を取着した状態で、設置部材20が板部材13の後面を全面的に覆うよう構成されている。なお、板部材13をアクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材により光透過性を有するよう形成してもよい。この場合には、設置部材20を不透明な合成樹脂材により形成することで、裏側の構成をパチンコ機10前方から視認し難くしておくことが好ましい。
【0018】
前記板部材13(遊技盤M)の前面には、
図2に示す如く、円弧状に形成した案内レール21が配設されると共に、該案内レール21の右方位置に、左端縁が右方に凹む円弧状に形成した盤面飾り部材22が配設される。そして、案内レール21および盤面飾り部材22により遊技領域13aが略円形状に画成され、該遊技領域13a内に、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が打ち出され、該遊技領域13a内をパチンコ球が流下して遊技が行われる。また、板部材13(遊技盤M)の遊技領域13a内には、多数の遊技釘が植設されており、該遊技釘との接触により遊技領域13aを流下するパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成してある。
【0019】
前記遊技盤Mには、
図2に示す如く、後述する枠状装飾体31の下縁より下方位置に、前記遊技領域13aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞装置23および特別入賞装置24等が配設される。始動入賞装置23には、遊技領域13aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口が設けられると共に、該始動入賞口へ入賞したパチンコ球を検出する始動入賞センサ(図示せず)が設けられている。始動入賞センサは、後述する中継基板48を介して主制御装置(図示せず)に配線接続されており、始動入賞センサによるパチンコ球の検出を契機として前記図柄表示装置18の表示部18aで図柄変動が開始されると共に、所定数のパチンコ球が賞球として前記上下の球受け皿15,16に払い出される。また、前記特別入賞装置24は、特別入賞口が開閉扉で常には閉鎖されており、前記図柄表示装置18での図柄変動の結果、図柄表示装置18の表示部18aに所定の図柄組み合わせ(例えば同一図柄の三つ揃い等)で図柄が停止表示されることで所謂「大当り」が発生し、これにより開閉扉が開放するよう作動制御されて、特別入賞口への入賞により多数の賞球を獲得し得るようになっている。特別入賞装置24は、特別入賞口へのパチンコ球の入賞を検出する特別入賞センサ(図示せず)を備えている。この特別入賞センサは、中継基板48を介して主制御装置に配線接続されており、特別入賞センサによるパチンコ球の検出を契機として所定数のパチンコ球が賞球として前記上下の球受け皿15,16に払い出される。
【0020】
実施例では、前記遊技盤Mにおける枠状装飾体31および始動入賞装置23の配設位置より左側の位置に、遊技領域13aを流下するパチンコ球が入賞可能な複数(実施例では3つ)の第1普通入賞口25が設けられた第1サイド装飾体26が取り付けられると共に、枠状装飾体31および始動入賞装置23の配設位置より右側の位置に、遊技領域13aを流下するパチンコ球が入賞可能な第2普通入賞口27が設けられた第2サイド装飾体28が取り付けられている。そして、各普通入賞口25,27へ入賞したパチンコ球が普通入賞センサ29(
図6,
図9に第1普通入賞口用のセンサのみを示している)で検出されることで、所定数のパチンコ球が賞球として前記上下の球受け皿15,16に払い出される。なお、実施例では第2サイド装飾体28に特別入賞装置24が配設されている。また、遊技領域13aの最下部位置には、該遊技領域13aに打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口30が設けられている。
【0021】
(枠状装飾体31について)
前記板部材13の中央には、前後に貫通する大型の貫通孔が形成されており、該貫通孔に対して前後に開口する枠状の枠状装飾体(所謂センター役物)31が嵌め込まれるように着脱可能に配設される。そして、前記設置部材20の開口部20aから臨む前記図柄表示装置18の表示部18aは、枠状装飾体31における前後に開口する窓口31aを介して遊技盤Mの前側に露出して、該図柄表示装置18の表示部18aで展開される図柄変動演出を前側から視認し得るようになっている。
【0022】
前記枠状装飾体31には、
図2に示す如く、上縁部から左右両縁部に亘り、板部材13の前面より前方に突出する円弧状の庇状部31bが設けられており、前記遊技領域13aに打ち出されたパチンコ球を外周部の庇状部31bで案内し得ると共に、該パチンコ球が枠状装飾体31の窓口31aを横切って流下するのを該庇状部31bで規制している。また枠状装飾体31には、窓口31aの下側に、ステージ32が配設されると共に、窓口31aの左側に、遊技領域13aに開口して該遊技領域13aを流下するパチンコ球を取込んでステージ32に案内する球導入部33が設けられ、該球導入部33からステージ32に通出されたパチンコ球は、ステージ32上を左右および前後に転動した後に、前記各入賞装置23,24が配設されている遊技領域13aに排出される。
【0023】
(設置部材20について)
前記板部材13の裏面には、前記図柄表示装置18が着脱可能に配設されると共に、可動演出装置や発光装置等の遊技部品が配設される合成樹脂材で形成された前記設置部材20が配設され、該設置部材20に形成された前後に開口する開口部20a(
図3参照)を介して図柄表示装置18の表示部18aを板部材13(遊技盤M)の前側から視認し得るよう構成されている。前記設置部材20は、
図3に示すように、前方に開口する矩形箱状に形成された箱状本体34と、該箱状本体34の開口前端部に形成されて当該箱状本体34の開口外側へ延出し、前記板部材13の裏面に当接する固定部35とから構成される。箱状本体34は、板部材13に対向する矩形板状に形成された対向面壁36と、該対向面壁36における上下左右の各縁部から前方に延出する画壁37とから前方に開口するよう形成されて、各画壁37の前端部から箱状本体34の開口外側へ向けて延出するよう前記固定部35が形成される。そして、固定部35の前面を板部材13の裏面に当接した状態で、固定部35を板部材13にネジ止めすることによって板部材13に設置部材20が固定される。
【0024】
前記板部材13の裏側に設置部材20を取り付けた状態で、該設置部材20の対向面壁36と板部材13との間に所要の設置空間が画成され、設置部材20に配設された可動演出装置や発光装置等の遊技部品が該設置空間に収容されるようになっている。また、前記対向面壁36には、
図3に示す如く、上下および左右幅の大部分が開口する大型の前記開口部20aが形成されている。以下の説明において、対向面壁36における開口部20aの下方に位置する部分については、上左右の部分と区別するために下対向面壁36aと指称する場合もある。
【0025】
(下対向面壁36aの前側の構成について〕
図3および
図4に示すように、前記下対向面壁36aの前側中央部には、左右方向に離間する一対の壁部38a,38aからなる中央収容部38が下対向面壁36aから前方に突出するよう形成されて、下対向面壁36aおよび中央収容部38によって上下方向および前方に開口する装置用空間39が画成される。そして、設置部材20を板部材13に取り付けた状態で、中央収容部38(壁部38a,38a)の前端が板部材13の裏面に当接すると共に、装置用空間39に前記始動入賞装置23の装置本体(図示せず)が収容されるようになっている。また、前記下対向面壁36aには、球通路固定部40,41が中央収容部38を挟む左右位置に形成されており、各球通路固定部40,41に球通路部材(遊技機構成部材)42,43が取り付けられる。各球通路固定部40,41は、下対向面壁36aから前方に突出するよう形成されて、各球通路固定部40,41の前側に取り付けられる球通路部材42,43の前面が板部材13の裏面に当接するよう構成される。なお、以下の説明では、中央収容部38の左側に位置する球通路固定部を第1球通路固定部40と指称すると共に、該第1球通路固定部40に取り付けられる球通路部材を第1球通路部材42と指称し、中央収容部38の右側に位置する球通路固定部を第2球通路固定部41と指称すると共に、該第2球通路固定部41に取り付けられる球通路部材を第2球通路部材43と指称する場合もある。
【0026】
前記第1球通路固定部40は、
図4に示す如く、下対向面壁36aから箱状本体34の前端部近傍まで延在する複数の固定用ボス44と、これら複数の固定用ボス44で囲われた内側に位置して下対向面壁36aから前側に固定用ボス44より短い長さで突出するセンサ収容部(収容部)45とを備え、複数の固定用ボス44に前側から第1球通路部材42をネジ止め固定することで、該第1球通路部材42の後端がセンサ収容部45の前側に離間して対向するよう構成される(
図9参照)。そして、センサ収容部45を下対向面壁36aから前側に突出するように形成することで、
図6に示す如く、設置部材20の後側に下対向面壁36aの後面で開口するセンサ用収容空間46を画成している。なお、センサ収容部45における第1球通路部材42と対向する前部について、突出面部45aと指称するものとする。
【0027】
前記第1球通路部材42および第2球通路部材43には、前方に開放する第1球通路42aおよび第2球通路43aが夫々画成されており、第1,第2球通路部材42,43が前記第1,第2球通路固定部40,41に夫々取り付けられた状態で、各球通路42a,43aの開口前縁が前記固定部35と同一面上に位置するようになっている。そして、設置部材20を板部材13に取り付けた状態で、第1球通路部材42の第1球通路42aが、板部材13に配設された前記第1サイド装飾体26に設けられている第1普通入賞口25に連通すると共に、第2球通路部材43の第2球通路43aが、板部材13に配設された前記第2サイド装飾体28に設けられている第2普通入賞口27に連通するよう構成される。なお、実施例では、第2球通路部材43に、前記特別入賞口に連通する特別入賞用球通路43bが設けられている。
【0028】
図9に示す如く、前記第1球通路部材42に第1センサ取付部42bが形成されており、該第1センサ取付部42bには、第1普通入賞口25に入賞したパチンコ球を検出する前記普通入賞センサ(電気部品)29が後側から着脱自在に取り付けられるよう構成される。実施例では、前記各第1普通入賞口25に対応して3箇所に第1センサ取付部42bが形成されており、これら3つの第1センサ取付部42bは、上下方向および左右方向に離間して階段状に配置してある。また第1球通路部材42には、所定位置(実施例では中段位置)の第1センサ取付部42bに隣接して第2センサ取付部42cが形成されており、該第2センサ取付部42cには、磁気センサ(電気部品)47が後側から着脱自在に取り付けられる。この磁気センサ47は、磁石等から発せられる磁気を検出するものであって、遊技盤Mに磁石等を近付けて遊技領域13aを流下するパチンコ球を誘導する不正行為を検出するべく機能する。
【0029】
前記センサ収容部45の突出面部45aには、
図4に示す如く、前後方向に開放するセンサ挿通孔(開口部)45bが形成されている。実施例では、センサ収容部45における上段位置の第1センサ取付部42bに対応する位置と、中段位置の第1センサ取付部42bおよび第2センサ取付部42cに対応する位置との2箇所にセンサ挿通孔45bを形成してある。そして、第1球通路部材42を第1球通路固定部40に取り付けた状態で、上段位置の第1センサ取付部42bに取り付けられた普通入賞センサ29と、中段位置の第1センサ取付部42bおよび第2センサ取付部42cに取り付けられた普通入賞センサ29および磁気センサ47における第1球通路部材42の後端から後方に延出する部分が、対応するセンサ挿通孔45bを介して前記センサ用収容空間46内に延出して収容されるようになっている(
図9参照)。普通入賞センサ29は、設置部材20に配設される中継基板48を介して前記主制御装置に電気的に接続され、該普通入賞センサ29がパチンコ球を検出すると、検出信号が主制御装置に出力されるようになっている。そして、主制御装置は、普通入賞センサ29から検出信号が入力されると、図示しない球払出装置に制御信号を出力し、該球払出装置に所定数の賞球を払い出させるよう構成される。なお、第1球通路部材42における下段位置の第1センサ取付部42bは、該第1センサ取付部42bに取り付けられた普通入賞センサ29が第1球通路固定部40のセンサ収容部45に干渉しない位置に設けられる。
【0030】
(下対向面壁36aの後側の構成について)
図5に示すように、前記下対向面壁36aの後面には、左右方向の略中央位置に中継基板保持部49が設けられ、該中継基板保持部49に前記中継基板48が着脱自在に配設される。中継基板保持部49は、前記第1球通路固定部40の形成位置より右側に位置し、前記センサ用収容空間46が該中継基板保持部49の左側において後方へ開口している。なお、下対向面壁36aの後面には、中継基板保持部49の左側において前側に一段凹んだ設置凹部50が設けられ、該設置凹部50内に前記センサ用収容空間46の後方開口46a(後述)が後方へ開口するよう構成される(
図6参照)。また、下対向面壁36aの後面には、設置凹部50の右側上部(中継基板保持部側の上部)に、該設置凹部50に連通する側凹部51が設置凹部50と同じ深さで凹設されており、該側凹部51に後述する不正防止部材58の側延部59bが収容されるようになっている。更に、下対向面壁36aの後面には、設置凹部50の右側下部から後方に突出する第1被位置決め部(被位置決め部)52が設けられている。この第1被位置決め部52には、上方に開口する係合受部52aが設けられており、該係合受部52aに、後述する制御装置64の第1位置決め部65aが係脱自在に係合するよう構成される。また、設置凹部50における後方開口46aの左上隅の上方位置に、後方に向けて突出する位置決め突起53が設けられている。なお、下対向面壁36aの後面には、側凹部51と第1被位置決め部52との間に、設置凹部51よりも前方に凹むと共に後方に開口する配線用凹部54がセンサ用収容空間46と連通するように形成されており、該センサ用収容空間46に後端部が収容された前記普通入賞センサ29や磁気センサ47から導出する配線を、配線用凹部54を介してセンサ用収容空間46から外部に引き出し得るようにしてある。
【0031】
前記中継基板保持部49は、
図5に示す如く、前記下対向面壁36aの後面から前側に略矩形状に凹んだ基板収容凹部49aと、該基板収容凹部49aにおける右側縁から上下の縁部に亘って後方に突出する左方に開放するコ字状の突壁49bと、突壁49bの上下隅部に夫々設けられ、突壁49bの後端から左方(基板収容凹部側)に延出する押え片49c,49cと、基板収容凹部49aの左側縁に隣接して設けられて後方に突出する基板フック49dとを備える。そして、中継基板48の右側の上下隅部を、対応する押え片49c,49cの前側に臨ませて、中継基板48の左部側を前方へ押すことで、基板フック49dが中継基板48の後面に係止して、中継基板48が基板収容凹部49aに収容された状態で中継基板保持部49に着脱自在に取り付けられる。中継基板48には、前記磁気センサ47から導出する配線や始動入賞センサ、特別入賞センサおよび普通入賞センサ29等の配線(何れも図示せず)が接続される。また、中継基板48は、前記主制御装置と電気的に接続されており、これらセンサ29,47を主制御装置に中継接続している。
【0032】
前記下対向面壁36aの後面には、左右方向の両端部近傍に、主制御装置(遊技機構成部材)を着脱自在に取り付けるための取着部55が設けられており、該取着部55,55を介して主制御装置が下対向面壁36aの後側に取り付けられるよう構成される。なお、下対向面壁36aに主制御装置を取り付けた状態で、該主制御装置は、前記中継基板保持部49に取り付けた中継基板48および前記設置凹部50の後方に離間して前後に重なる位置関係となり、前記センサ用収容空間46の後方開口46aが主制御装置により後側から覆われて設置部材20の後方から視認不能となる。
【0033】
(センサ用収容空間46について)
図6に示すように、前記センサ用収容空間(空間)46は、上下左右の内側面56a,56b,56c,56dにより画成され、略矩形状の後方開口(開口)46aが前記設置凹部50において後方に開口している。後方開口46aは、設置凹部50の上下方向および左右方向の寸法より小さい略矩形状に形成されると共に、該設置凹部50の上下方向の中央で右側に偏った位置で開口している。なお、センサ用収容空間46の上下左右の内側面については、上内側面56a、下内側面56b、左内側面56cおよび右内側面56dと夫々指称する。センサ用収容空間46の上内側面56aおよび左内側面56cには、後方開口46aから前方に所定長さだけ離間した位置に、内側に突出する段部57が設けられ、該段部57によってセンサ用収容空間46は、段部57より後側で後方開口46aまでの領域の第1空間46bと、段部57と対応する位置の領域で第1空間46bより狭い第2空間46cとに分けられている。すなわち、センサ用収容空間46は、後側より前側が狭くなる段状に形成されている。
【0034】
(不正部品について)
ここで、前記下対向面壁36aに取り付けられた主制御装置で後側か覆われるセンサ用収容空間46には、例えば中継基板48に接続された前記各種センサ29を操作したり、主制御装置に信号を出力して、予め設定された制御とは異なる制御を行わせる等を目的とした不正部品が設置される虞がある。そこで、実施例に係るパチンコ機10では、センサ用収容空間46を埋める不正防止部材58をセンサ収容部45に取り付けることで、規定の不正部品の取り付けを防止するよう構成されている。ここで、規定の不正部品とは、予め設定されたサイズ(体積)を有する不正部品を指しており、当該サイズの不正部品については、不正防止部材58の存在によりセンサ用収容空間46への設置が阻止される。また、不正部品としては、基板や装置、器具等の電気信号を送出可能な電子部品が含まれる。
【0035】
(不正防止部材58について)
図6,
図7に示すように、前記不正防止部材58は、板状の基部59と、該基部59の前面から前方に突出する矩形枠状の挿入部60と、基部59に設けられて後述する制御装置64を着脱自在に取り付けるための被固定部61とを備える。また不正防止部材58は、前記センサ収容部45に設けた被係止部45c,45cに係脱自在に係止する係止部(取付部)62,62を備え、該係止部62,62を被係止部45c,45cに係止することで、該不正防止部材58がセンサ収容部45に取り付けられるよう構成される。実施例では、被係止部45cは、
図9に示す如く、センサ収容空間46の第1空間46bを画成する前記上内側面56aおよび下内側面56bに、孔や溝を該内側面56a,56bの後端より手側まで設けることで、該孔や溝の後端を画成する壁で構成される。これに対し、係止部62は、挿入部60に設けられて上下に離間し、相互に近接・離間方向に弾性変形可能な係止フックで構成され、
図9に示す如く、該係止フックに設けた係止爪62a,62aが孔および溝の後端を画成する被係止部45c,45cに係止することで、不正防止部材58がセンサ収容部45に取り付けられるよう構成される。なお、基部59には、
図6に示す如く、各係止部62と対応する位置に前後に貫通する貫通孔59aが夫々設けられ、係止部62の後端部が貫通孔59aから基部59の後方に延出して、該係止部62を基部59の後側から取り扱い得るようになっている。
【0036】
前記不正防止部材58の挿入部60は、
図7に示す如く、前記基部59より一回り小さい寸法とされて、該挿入部60の上下左右の縁部から基部59が夫々所定長さで外方に延在するようになっている。基部59は、前記センサ用収容空間46の後方開口46aを覆い得る寸法で、かつ前記設置凹部50に収容可能な寸法に設定されており、不正防止部材58がセンサ収容部45に前記被係止部45c,45cおよび係止部62,62を介して取り付けられた状態で、基部59が設置凹部50に収容されると共に、該基部59の前面が設置凹部50の後面に略当接して後方開口46aを塞ぐよう構成される。これに対し、挿入部60は、センサ用収容空間46における前記後側の第1空間46bに収容可能で該第1空間46bを埋めることが可能な寸法に設定される。すなわち、不正防止部材58がセンサ収容部45に被係止部45c,45cおよび係止部62,62を介して取り付けられた状態で、
図9に示す如く、挿入部60が第1空間46bに収容されて該第1空間46bを埋めるよう構成される。ここで、基部59が後方開口46aを「塞ぐ」とは、基部59が後方開口46aを完全に閉塞した状態に加え、該基部59と後方開口46aの縁部との間に前記規定の不正部品を差し込むのが不能となる程度の隙間が生じた状態を含む意味である。また、挿入部60が第1空間46bを「埋める」とは、挿入部60が第1空間46bを隙間なく埋めた状態に加え、該挿入部60の側壁部と第1空間46bを画成する内側面56a,56b,56c,56dとの間に規定の不正部品を差し込むのが不能となる程度の隙間が生じた状態を含む意味である。なお、以下の説明では、挿入部60の上下左右の側壁部について区別する場合には、上側壁部60a、下側壁部60b、左側壁部60cおよび右側壁部60dと夫々指称する場合がある。
【0037】
前記不正防止部材58の挿入部60には、側壁部60a,60b,60c,60dの内側に複数の仕切壁60eが格子状に配設されて、該側壁部60a,60b,60c,60dで囲われた空間を、前記規定の不正部品の設置が不能となる寸法の小空間に分割している。すなわち、不正防止部材58における挿入部60の内部空間は、仕切壁60eにより小空間に分割されて、挿入部60の内部空間への前記不正部品の設置は不能となる。また挿入部60には、複数(実施例では2つ)の延出部60fが前方に延出して設けられており、不正防止部材58がセンサ収容部45に取り付けられた状態で、該延出部60fがセンサ用収容空間46における前側の第2空間46cに挿入されるよう構成される(
図9参照)。この延出部60fは、前記センサ挿通孔45bを介してセンサ用収容空間46の第2空間46cに挿入されている普通入賞センサ29および磁気センサ47と干渉しない位置に設けられる。また、延出部60fの寸法は、該延出部60fが第2空間46cに挿入された状態で、該第2空間46cを規定の不正部品が収容不能な状態で埋めるよう設定される。すなわち、不正防止部材58がセンサ収容部45に取り付けられた状態で、センサ用収容空間46(第1空間46bおよび第2空間46c)は、挿入部60および延出部60fによって埋められている。なお、挿入部60における延出部60fが設けられていない部分が、不正防止部材58が普通入賞センサ29および磁気センサ47に干渉するのを避ける逃げ部として機能している。
【0038】
前記不正防止部材58がセンサ収容部45に取り付けられた状態での不正防止部材58とセンサ用収容空間46との関係をより具体的に説明すると、基部59の前面が設置凹部50における後方開口46aの外周縁部の後面に当接すると共に、挿入部60の前面が、センサ用収容空間46の第2空間46cを画成している段部57の後面に対向する。また、挿入部60の上側壁部60a、下側壁部60b、左側壁部60cおよび右側壁部60dが、センサ用収容空間46の第1空間46bを画成している上内側面56a、下内側面56b、左内側面56cおよび右内側面56dに夫々対向する。更に、挿入部60から前方に延出する延出部60fの前端が、前記突出面部45aの後面に対向すると共に、該延出部60fにおける上下右左の外面が、センサ用収容空間46の第2空間46cを画成している上内側面56a、下内側面56b、左内側面56c、右内側面56dおよび第2空間46cに挿入されている磁気センサ47の外表面に対向する。更にまた、前記逃げ部に位置する普通入賞センサ29および磁気センサ47の後端と挿入部60の前面とが対向する。ここで、挿入部60が段部57に対向する、各側壁部60a,60b,60c,60dがセンサ収容空間46の内側面56a,56b,56c,56dに対向する、延出部60fの外面が、各内側面56a,56b,56c,56dおよび磁気センサ47に対向する、挿入部60がセンサ29,47と対向するとは、前記規定の不正部品を差し込むのが不能となる程度に挿入部60が段部57に近接または当接した状態、各側壁部60a,60b,60c,60dが対応の内側面56a,56b,56c,56dに近接または当接した状態および延出部60fの外面が各内側面56a,56b,56c,56dおよび磁気センサ47に近接または当接した状態、挿入部60がセンサ29,47に近接または当接した状態をいう。すなわち、不正防止部材58をセンサ収容部45に取り付けることで、基部59が後方開口46aを塞ぐと共に、挿入部60および延出部60fが対応する第1空間46bおよび第2空間46cを埋めて、センサ用収容空間46への不正部品の設置は不能となる。
【0039】
前記不正防止部材58がセンサ収容部45に取り付けられた状態で、センサ用収容空間46は、前記配線用凹部54を介して外部後方に連通しており、前記普通入賞センサ29および磁気センサ47に接続する配線は、センサ用収容空間46から配線用凹部54を介して外部後方に引き出し可能に構成される。そして、配線用凹部54から引き出された配線は、前記中継基板48に接続され、普通入賞センサ29および磁気センサ47は、中継基板48を介して前記主制御装置に電気的に接続される。なお、センサ用収容空間46と配線用凹部54との連通部の大きさは、配線の挿通は許容するが、前記規定の不正部品の設置は不能な寸法に設定されている。
【0040】
前記不正防止部材58の基部59には、
図7に示す如く、右側縁の上部から右側方に延出する側延部59bが設けられており、該側延部59bが前記下対向面壁36aの後面に設けた側凹部51に収容されるようになっている。また、基部59における上縁部に、後述する制御装置64の前面が当接する上支持部(支持部)59c,59cが後方に向けて突設されて、左右方向に所定長さで延在している。実施例では、上支持部59cは、
図6に示す如く、左右方向に離間して2つ設けられており、右側の上支持部59cは、側延部59bの延出端から左方に向けて所定長さで延在し、左側の上支持部59cは、右側の上支持部59cの左端から離間する位置から左方に向けて所定長さで延在している。左側の上支持部58cの左端は、基部59の左側縁より所定長さ右側に位置して、該左側の上支持部58cの左端と基部59の左側縁との間の基部59に、前記設置凹部50に設けた位置決め突起53が挿脱可能な位置決め孔59dが前後方向に貫通して形成されている。なお、上支持部59cは、左右に分割されることなく連続するものであってもよい。
【0041】
前記基部59には、右側の上支持部59cの右端部および左側の上支持部59cの左端部に対応する位置において、該上支持部59c,59cより後方に延出する位置決め部59e,59eが設けられている。この位置決め部59e,59eは、上支持部59c,59cに前面を当接した制御装置64の左右側面に当接して、該制御装置64を左右方向に位置決めするべく機能する。また、上支持部59c,59cの下面に、左右方向に離間して複数の補強リブ59fが突設されており、該補強リブ59fは基板59の後面に接続されている。
【0042】
前記基部59には、上支持部59c,59cが設けられる上縁部に偏って前記被固定部61が設けられている。この被固定部61は、
図6,
図7に示す如く、基部59から上方(外方)に突出する筒状に形成されたものであって、該被固定部61には、前後方向に開口する係止孔61aが設けられている。実施例では、2つの上支持部59c,59cの間に被固定部61が設けられる。また基部59には、下縁部から下方(外方)に突出する第2被位置決め部63が、被固定部61より左側に偏倚して設けられる。この第2被位置決め部63は、基部59の後面より後方に延出する部分に上方に開口する係合受部63aが設けられており、該係合受部63aに、制御装置64の後述する第2位置決め部65bが係脱自在に係合し得るよう構成される。更に、基部59の下縁部には、後方に向けて突出して左右方向に所定長さで延在する下補強リブ59gが設けられている。また、下補強リブ59gの左端部に前記第2被位置決め部63が連設されると共に、該下補強リブ59gにおける第2被位置決め部63の連設部分に、制御装置64の前面が当接する下支持部59hが設けられている。前記上支持部59cおよび下支持部59hの基部後面からの突出寸法は、前記係止部62における基部後面からの延出寸法より大きく設定されて、上下の支持部59c,59hに前面が当接した制御装置64の前面が、係止部62に干渉するのを防止している。なお、基部59の右下角部に、前記下対向面36aの後面に設けた第1被位置決め部52との干渉を避ける切欠部59iが設けてある。
【0043】
前記基部59の後面には、
図6に示す如く、複数の突部72が設けられている。実施例では、基部59における上下の支持部59c,59hの形成位置間の上下方向の略中間位置において、左右方向に離間して2つの突部72が、不正防止部材58に取り付けられた制御装置64と前後に重なる位置に設けられている。この突部72の突出寸法は、前記係止部62における基部後面からの延出寸法より大きく、かつ前記上下の支持部59c,59hの基部後面からの突出寸法より小さく設定される。そして、この突部72は、上下の支持部59c,59hで上下の端部が支持されている制御装置64の上下方向の中間位置が前方に押された際に、該制御装置64の前面に当接することで、制御装置64が係止部62に当接するのを防止するべく機能する。また、突部72は、基部59と制御装置64との間に形成される隙間を分割することで、該隙間に不正部品が設置されるのを不能とするべく機能する。なお、前記挿入部60の側壁部60a,60b,60c,60dには、前後方向に延在する複数の補強リブ73が設けてある。
【0044】
(制御装置64について)
前記不正防止部材58の後側には、制御装置(遊技機構成部材)64が着脱自在に取り付けられる。この制御装置64は、パチンコ機10を制御する制御基板(図示せず)を基板ケース65に収容して構成された装置である。基板ケース65は、
図6,
図7に示す如く、前後に分割可能なベース体66とカバー体67とを係合手段によって着脱自在に係合することで組立てられて、該ベース体66とカバー体67との間に画成される空間に制御基板を収容するよう構成される。なお、カバー体67には、制御基板に設けられた配線接続用のコネクタを外部に露出するためのコネクタ開口部67aが複数設けられている。
【0045】
前記基板ケース65の上端部には、上方(外方)に突出する保持部68が設けられ、該保持部68にナイラッチ等の係止手段としての固定具69が保持されている。この固定具69は、
図9に示す如く、拡張部材70と、該拡張部材70の中心に穿設された孔部に挿通されるプランジャー部材71とを備え、拡張部材70が保持部68に設けた貫通孔68aに挿通された状態で該固定具69が保持部68に対して脱落しないように保持される。固定具69は、拡張部材70の一部が保持部68より前方に延出した状態で保持されており、拡張部材70は、プランジャー部材71を前方に押すことで外方へ拡開し、拡張部材70の拡開状態でプランジャー部材71を後方に引くことで該拡張部材70が元の縮径状態に戻るよう構成される。固定具69の拡張部材70は、縮径状態では前記不正防止部材58の被固定部61における係止孔61aに挿脱可能であると共に、係止孔61aに挿入された縮径状態の拡張部材70を拡開状態とすることで係止孔61aの内側に係合して抜き外しができないよう構成される。なお、
図9において符号71aは、プランジャー部材71の後端部に設けられた操作部を示す。
【0046】
前記基板ケース65の下端部には、左右方向に離間して第1位置決め部(位置決め部)65aおよび第2位置決め部65bが突設されている。これら第1位置決め部65aおよび第2位置決め部65bは、前記下対向面壁36aに設けた前記第1被位置決め部52の係合受部52aおよび不正防止部材58に設けた第2被位置決め部63の係合受部63aの夫々に係脱自在に係合するよう構成される。第1位置決め部65aおよび第2位置決め部65bが対応する係合受部52a,63aに係合した状態で、不正防止部材58に対して基板ケース65(制御装置64)の前後、左右および下方への移動が規制された状態に位置決めされると共に、基板ケース65の保持部68に保持された固定具69における該保持部68から前方に延出する拡張部材70が、不正防止部材58の係止孔61aに後方から挿脱可能な位置に臨むようになっている。そして、縮径状態の拡張部材70を係止孔61aに挿入して拡開状態とすることで該拡張部材70が係止孔61aの内側に係止し、これによって不正防止部材58に対して制御装置64が位置決めされた状態で取り付けられる。また、不正防止部材58の後側に制御装置64を取り付けた状態で、不正防止部材58をセンサ収容部45に取り付けるための前記係止部62,62(基部59の貫通孔59a,59a)が該制御装置64で後側から覆われる(
図9参照)。
【0047】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用について、以下説明する。
【0048】
前記第1球通路部材42を第1球通路固定部40に取り付ける場合には、複数の固定用ボス44の前端に第1球通路部材42をネジ止めすることで、第1球通路部材42の後面が前記突出面部45aと対向する状態で取り付けられる。このとき、第1球通路部材42の上段部および中段部の各第1センサ取付部42bに取り付けた普通入賞センサ29および第2センサ取付部42cに取り付けた磁気センサ47の後端部が、
図9に示す如く、前記突出面部45aに形成した対応するセンサ挿通孔45bを介してセンサ用収容空間46の第2空間46cに収容される。ここで、第1球通路固定部40のセンサ収容部45は、設置部材20の下対向面壁36aから前方に突出するよう形成されているから、
図9に示す如く、第1球通路部材42の前面を設置部材20の開口前端側に臨ませた状態で、普通入賞センサ29および磁気センサ47の後端部をセンサ用収容空間46に臨ませることができる。すなわち、センサ収容部45に前記不正防止部材58を取り付けていない状態において、板部材13から設置部材20を取り外すことなくセンサ用収容空間46の後方開口46aを介して普通入賞センサ29および磁気センサ47を第1球通路部材42に対して着脱することができる。
【0049】
前記センサ収容部45に不正防止部材58を配設する際には、該不正防止部材58の延出部60fおよび挿入部60をセンサ用収容空間46に後方開口46aから挿入する。このとき、前記一対の係止部62,62の係止爪62a,62aがセンサ用収容空間46における第1空間46bを画成する上内側面56aおよび下内側面56bに当接することで相互に近接するように弾性変形した状態となる。そして、不正防止部材58を前記基部59の前面が前記段部57の前面に当接する位置まで押し込むと、係止部62,62の係止爪62a,62aが、被係止部45cを形成するために各内側面56a,56bに形成した孔や溝に臨むことで弾性復帰し、該係止爪62a,62aが被係止部45c,45cに係止することで、不正防止部材58はセンサ収容部45に対して抜け止めされた状態で取り付けられる(
図9参照)。また、不正防止部材58は、前記位置決め孔59dに設置凹部50の位置決め突起53が挿入されると共に、前記側延部59bが下対向面壁36aの側凹部51に収容されることで、上下方向および左右方向に位置決めされる。なお、係止部62,62の後端部は、基部59の貫通孔59a,59aを介して基部59から後方に延出しているので、係止爪62a,62aの被係止部45c,45cに対する係止状態を解除する方向に両係止部62,62を弾性変形することで、不正防止部材58をセンサ収容部45から取り外すことができる。
【0050】
前記センサ収容部45に不正防止部材58を取り付けた状態では、
図9に示す如く、基部59が後方開口46aを塞ぐと共に、挿入部60の前面が、センサ用収容空間46を画成する前記段部57の後面に対向する。また、挿入部60の上下左右の各側壁部60a,60b,60c,60dが、第1空間46bを画成する対応の内側面56a,56b,56c,56dに対向し、センサ用収容空間46における後側の第1空間46bが不正防止部材58の挿入部60で埋められる。更に、挿入部60から前方に延出する複数の延出部60fが、センサ用収容空間46における前側の第2空間46cに挿入されて、該第2空間46cが延出部60fによって埋められる。すなわち、センサ収容部45に不正防止部材58を取り付けた状態では、センサ用収容空間46は該不正防止部材58によって埋められて、該センサ収容空間46に不正部品を設置するのは不能とされる。また、不正防止部材58における挿入部60の内部空間は、仕切壁60eにより小空間に分割されているから、挿入部60の内部空間に不正部品が設置されることもない。更に、延出部60fは、第2空間46cに収容されている前記普通入賞センサ29および磁気センサ47に干渉することなく対向するよう構成されているので、該センサ29,47の第2空間46cへの収容を許容しつつ、該第2空間46cへの不正部品の設置を効果的に防止し得る。
【0051】
また、前記普通入賞センサ29および磁気センサ47に接続する配線は、前記センサ収容部45に不正防止部材58を取り付けた状態で、前記配線用凹部54を介して外部後方に引き出して、前記中継基板48に接続することができる。そして、センサ用収容空間46と配線用凹部54との連通部の大きさは、配線の挿通は許容するが、不正部品の設置は不能な寸法に設定されているので、センサ用収容空間46から外方への配線の引き出しを許容しつつ、不正部品の設置を不能とし得る。
【0052】
前記不正防止部材58に対して制御装置64を取り付ける場合は、該制御装置64の第1および第2位置決め部65a,65bを、下対向面壁36aおよび不正防止部材58に設けた対応する第1および第2被位置決め部52,63の係合受部52a,63aに上側から係合させる。この状態で、制御装置64に設けた前記固定具69の縮径状態の拡張部材70の前端部を、不正防止部材58の被固定部61の係止孔61aに後側から挿入する。次に、固定具69のプランジャー部材71を押し込むことで、拡張部材70が拡開状態となって係止孔61aの内側に係止することで、不正防止部材58に対して制御装置64が位置決めされた状態で取り付けられる。
【0053】
前記不正防止部材58の後側に制御装置64を取り付けると、センサ用収容空間46は、制御装置64に後方から覆われて、前記設置部材20の後方から視認不能となる(
図5参照)。しかるに、センサ用収容空間46は、不正防止部材58により埋められているから、当該空間46に不正部品が設置されることはなく、長期に亘って不正行為が継続する事態を阻止し得る。また、制御装置64を取り付けるための被固定部61を不正防止部材58に設けているので、不正防止部材58を取り外した状態では制御装置64を取り付けることはできない。すなわち、不正行為者が不正防止部材58を取り外してセンサ用収容空間46に不正部品を設置した場合は、制御装置64を正常な状態で下対向面壁36aに取り付けることができないので、制御装置64が取り付けられていないことで不正行為を発見することが容易となる。
【0054】
ここで、前記センサ用収容空間46における普通入賞センサ29および磁気センサ47の後端部が収容されている第2空間46cには、不正防止部材58をセンサ収容部45から取り外した状態では、該センサ29,47と内側面56a,56b,56c,56dとの間に所要の隙間が画成される。このため、該隙間に不正部品が設置されることが考えられる。しかるに、実施例の不正防止部材58には、前記第1空間46bを埋める挿入部60から前方に突出する延出部60fが設けてあるので、前記隙間に不正部品が設置されていると、該不正部品に延出部60fが干渉して前記係止部62が被係止部45cに係止する位置まで延出部60fを第2空間46cに挿入することができない。すなわち、不正防止部材58がセンサ収容部45に取り付けられないことで、第2空間46c(センサ用収容空間46)に不正部品が設置されたのを簡単に発見できる。
【0055】
実施例では、前記制御装置64を位置決めするための被位置決め部52,63を不正防止部材58のみでなく、下対向面壁36aにも設けているので、該下対向面壁36aに対して制御装置64を正しい位置に取り付けることができる。また、被位置決め部52,63の一部を下対向面壁36aに設けているので、制御装置64に負荷が加わった際には、不正防止部材58のみでなく設置部材20でも該負荷が受けることができ、不正防止部材58に大きな負荷が加わるのを抑制し得る。前記不正防止部材58における被固定部61が設けられている基部59の上縁部に複数の補強リブ59fを設けているので、被固定部61の強度を向上することができ、不正防止部材58に対する制御装置64の安定した取り付けができる。また、不正防止部材58に対して制御装置64を着脱する際に、実施例のように前記固定具69のプランジャー部材71を操作部71aを持って押したり引いたりする構成であっても、基部59における被固定部61が設けられる部位は補強リブ59fによって補強されているので、プランジャー部材71の操作時に加わる負荷によって不正防止部材58が損傷するのを防止することができる。
【0056】
実施例のパチンコ機10では、前記不正防止部材58の後側に制御装置64を取り付けた状態で、不正防止部材58をセンサ収容部45に取り付けるための前記係止部62,62が該制御装置64で後側から覆われるので、制御装置64を取り外さない限り不正防止部材58をセンサ収容部45から取り外すことができない。すなわち、不正部品をセンサ用収容空間46に設置するためには、制御装置64を不正防止部材58から取り外す作業を行わなければならないので、この作業に手間が掛かり、不正行為を抑制することができる。
【0057】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、センサ用収容空間(空間)を前後で内容積が変化する段状としたが、内容積が変化しない形状であってもよい。
(2) 実施例では、不正防止部材および制御装置(遊技機構成部材)の上端部に被固定部および固定具(係止手段)を設けたが、該被固定部および固定具(係止手段)を設ける位置は下端部あるいは左右何れかの端部であってもよい。
(3) 実施例では、不正防止部材と下対向面壁(設置部材)とに、制御装置(遊技機構成部材)を位置決めするための被位置決め部を夫々設けたが、被位置決め部を不正防止部材および下対向面壁(設置部材)の何れか一方にのみ設ける構造を採用し得る。
(4) 実施例では、不正防止部材の挿入部や延出部は前方に開放する形状としたが、前側を閉じた構成としてもよい。
(5) 実施例では、センサ用収容空間(空間)に普通入賞センサや磁気センサを収容する場合で説明したが、該空間に収容される電気部品としては他のセンサであっても、あるいはセンサ以外の電気部品であってもよい。
(6) 実施例では、不正防止部材の後側に取り付けられる遊技機構成部材として、制御基板を基板ケースに収容した制御装置を挙げたが、制御基板(遊技機構成部材)を直に不正防止部材に取り付ける構成や、その他の中継基板を取り付ける構成を採用し得る。不正防止部材に取り付けられる遊技機構成部材は、制御装置や中継基板等の電気的な部品に限られるものでなく、遊技機を構成する各種の部材であればよい。
(7) 実施例では、不正防止部材の後側に制御装置を係止するための係止手段として、出没式の固定具を挙げたが、係止部を所定角度回転することで、被固定部に対する係止位置と係止解除位置との間を移動する回転式の固定具、その他公知の各種固定具を用いることができる。
(8) 実施例では、センサ収容部に不正防止部材を取り付ける取付部として係止フックを挙げたが、該不正防止部材をセンサ収容部にネジや、その他の手段によって取り付ける構成を採用し得る。
(9) 実施例では、不正防止部材を遊技盤を構成する設置部材に取り付けるよう構成したが、中枠等の他の部材に設けられた収容部の空間を不正部品の設置が不能となる状態で埋めるように該部材に不正防止部材を取り付けるようにしてもよい。
(10) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【0058】
実施例および変更例に記載された遊技機からは、下記の付記に記載した構成に係る遊技機を特定可能である。
〔付記〕
請求項1〜4の何れか一項の遊技機において、
前記不正防止部材(58)に、前記収容部(45)の空間(46)内に臨む電気部品(29,47)に干渉するのを避ける逃げ部が設けられ、前記空間(46)に不正部品が設置された場合には該不正部品に不正防止部材(58)が干渉して前記収容部(45)への不正防止部材(58)の取り付けが不能となるよう構成される。
付記の遊技機によれば、空間に不正部品が設置されたのを簡単に発見できる。