(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における車両用外気情報提示装置の構成を示すブロック図である。この車両用外気情報提示装置は、車両に搭載された装置であり、センサ部1、操作入力部2、健康状態入力部3、制御部5、記憶部4、表示部6、音声出力部7を備えている。また、操作入力部2と健康状態入力部3とで入力部8を構成し、表示部6と音声出力部7とで提示出力部9を構成する。
【0011】
センサ部1は車両外部(車外)外気の大気汚染状況をリアルタイムで検知する各種センサである。このセンサ部で使用されるセンシングデバイスとしては様々なものが考えられるが、ここでは黄砂および酸性雨の検知を目的として、pHセンサおよび導電率計が設置されているものとする。
なお、黄砂の検知には、日射計も合わせて使用すれば、より精度の高い検知を行うことができる。
【0012】
また、pHセンサおよび導電率計に代えて、他のセンシングデバイスとして、例えば花粉の検知用の浮遊粒子センサを使用する、大気汚染物質検知用のSOxセンサ、NOxセンサ、光化学オキシダントセンサの少なくとも1つを使用する、放射能汚染検知用の放射線センサを使用することにより、黄砂および酸性雨以外の大気汚染状況を検知することが可能となる。
なお、大気汚染現象以外にも、例えば紫外線検知用のUVセンサを使用することにより、大気汚染現象以外の気象状況等の検知への発展も可能である。
【0013】
操作入力部2は、ユーザ(乗員)からの手動による入力を受け付ける入力部であり、ハードウェアのスイッチ、キー、ボタンや、表示部6と一体型のタッチセンサであってもよいし、車両のハンドル等に設置されたリモコン等、いずれの形態のものであってもよい。
この操作入力部2は、この実施の形態1では、後述のとおり、ユーザ(乗員)が現時点における大気汚染状況を知りたいときに提示要求を行う場合や、健康状態情報をマニュアルで入力する場合に使用される。
【0014】
健康状態入力部3は、乗員の年齢および疾患に関する情報である健康状態情報の入力を受け付ける通信入力部であり、ICカードや携帯情報端末(携帯電話やスマートフォン等)に保存されている乗員の健康状態を、コネクタ等を用いた有線接続またはBluetooth(登録商標/以下、記載を省略する)やWi−Fi(登録商標/以下、記載を省略する)等を用いた無線接続により受け付ける。
【0015】
なお、乗員の健康状態情報が予め登録されているICカードや携帯情報端末などを保持していない場合には、操作入力部2を介して、乗員自らが健康状態情報を手動で入力することも可能である。
乗員の健康状態情報としては、乗員の年齢および既往歴、現病歴、お薬手帳等の疾患に関する情報があり、これらが予め格納されているICカードや携帯情報端末には、健康保険証、障害者手帳、子ども医療証等の情報が入っている。
【0016】
そして、ICカードを使用する場合には、そのICカードが非接触型ICカードのときには、非接触でカード情報を読み取るICカードリーダーとの無線通信による健康状態入力部3を介して、乗員の健康状態情報が装置側へ送信される。また、ICカードが接触型ICカードのときには、ICカードを挿入するタイプのICカードリーダーにICカードを挿入することにより、乗員の健康状態情報が装置側へ送信される。
【0017】
また、携帯情報端末を使用する場合には、その携帯情報端末に無線通信機能が備わっているときには、BluetoothやWi−Fi等の無線通信による健康状態入力部3を介して、乗員の健康状態情報が装置側へ送信される。また、携帯情報端末に無線通信機能が備わっていないときには、有線でコネクタ等に接続することにより、乗員の健康状態情報が装置側へ送信される。
【0018】
さらに、前述のとおり、ICカードや携帯情報端末等のデバイスを持ち合わせていない場合であっても、乗員の健康状態に応じた判定を行うことができるよう、操作入力部2を介して、乗員自らが健康状態情報を入力して装置側に送信することが可能となっている。
【0019】
記憶部4は、疾患と、この疾患の対象者に影響を与え得る大気の汚染レベル範囲とが対応付けられた情報テーブルが格納されている記憶部である。また、記憶部4は、制御部5のワークエリア(制御部5が取得した健康状態情報を一時的に保存しておくエリアや、制御部5が算出した判定基準を保存しておくエリア)等としても機能する。
【0020】
制御部5は、センサ部1より得られた検知データを取得してその検知データに基づいて車外の大気の汚染レベルを算出するとともに、操作入力部2または健康状態入力部3により受け付けられた乗員の健康状態情報と記憶部4に記憶されている情報テーブルとを参照して、乗員の疾患および大気の汚染レベル範囲とを基に、その乗員にとって車外の大気が汚染状態であるか否かを判定する際の判定基準として汚染レベルの閾値を算出する。
【0021】
また、制御部5はさらに、上記両方の算出結果に基づいて、すなわち、算出した車外の大気の汚染レベルと算出した閾値である判定基準とを比較することにより、その乗員にとって車外の大気が汚染状態であるか否かを判定し、その判定結果を含む外気汚染情報(判定結果である大気汚染情報やそれに対応するアドバイスなど)を、表示部6や音声出力部7などの提示出力部9に提示させる。
【0022】
表示部6は、例えば、
図2に示すように、車両のスピードメータ等のメータパネル部分に設置されたLEDランプなどの表示部であってもよいし、
図3に示すように、ナビゲーション装置やディスプレイ・オーディオ等の表示画面に用いられるLCD(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイなどの、車両に搭載された表示画面を有する表示部であってもよいが、いずれの場合であっても、制御部5からの指示を受けて、乗員に外気汚染情報などの各種情報を表示により提示する。
【0023】
なお、
図2は、表示部6が、車両のスピードメータ等のメータパネル21に設置されたLEDランプである例を示す図であり、この
図2では、LEDランプの表示部6が点灯(または点滅)していることを示している。
【0024】
また、
図3は、表示部6が、ナビゲーション装置やディスプレイ・オーディオ等の表示画面を有する表示部である場合の、表示画面例を示す図であり、一般的なナビゲーション画面(地図画面)に、外気汚染情報を示すポップアップ表示22が表示された状態を示している。
なお、例えば
図3に示すような表示画面で構成される表示部6の場合には、表示一体型のタッチパネルであって、例えばLCDとタッチセンサから構成されていてもよい。
【0025】
音声出力部7は、例えばスピーカなどであり、制御部5からの指示を受けて、ユーザ(乗員)に外気汚染情報などの各種情報を音声により提示する。
図3の吹き出し23は音声による外気汚染情報(外気汚染情報を示す音声出力内容)を示しており、ここでは、外気汚染情報を提示出力する際に、ポップアップ表示22と同時に音声出力による提示も行われることを示している。
【0026】
図4は、記憶部4に記憶されている情報テーブルの一例を示す図である。この情報テーブルは、少なくとも、疾患と、大気の汚染レベルと、それらに対応する詳細情報とを対応付けた情報テーブルであり、この
図4に示すように、例えば、疾患と、大気の汚染レベルと、乗員が高齢者や子供に該当するかそれ以外(一般)かという対象者の情報と、それらに対応する対応策等やアドバイスといった詳細情報、および、提示が表示である場合の警報表示色を対応付けたものなどが考えられる。
【0027】
ここで、疾患とは、乗員の健康状態として、どのような疾患を持っているかという情報のことであり、
図4では、疾患として、アレルギー疾患(ぜんそくや花粉症など)と、循環器系疾患を例示しているが、これよりも細かく分かれていてもよいし、該当する病名が羅列されているようなものであってもよい。
【0028】
また、大気の汚染レベルとしては、この実施の形態1では、センサ部1においてpH計と導電率計の2つを用いているために、それらの結果に基づいて制御部5が汚染レベルを算出し、その算出された汚染レベルに対応するものを情報テーブル(
図4)に格納しているが、センサデバイスが1つである場合には、検出される値の単位をそのまま使用した閾値が記憶されているようにしてもよい。
【0029】
対象者としては、
図4に示す例では、高齢者または子供に該当するかそれ以外かで分けているが、乳幼児についてはさらに別の判断をするようにしたり、年齢により細かく分けて判断するような情報テーブルであってもよい。なお、健康状態情報が保存されているICカードや携帯情報端末の中に、対象者を示すような情報が存在しない場合には、より厳しい方の結果(
図4のテーブルであれば、高齢者/子供向けのアドバイス)を提示するようにしたり、または、一般的な方を提示するようにするなど、予め設定しておくようにすればよい。
【0030】
また、
図4に示す情報テーブルでは、提示出力部9の中の表示部6によりユーザ(乗員)へ提示(表示)するという前提で、警報表示色についても含むようにしたが、汚染レベルや詳細情報/アドバイスに対応して表示色や音声出力時の警報音を変化させるようにしてもよい。
【0031】
なお、記憶部4に記憶されている情報テーブルは、ユーザ(乗員)からの要求により、判定基準(汚染レベルの閾値)を個別に変更することが可能である。また、対象者による区分けを細かくするような変更や、疾患を追加するような変更なども、必要に応じてユーザ(乗員)が任意に行うことができる。
【0032】
図5は、この実施の形態1における車両用外気情報提示装置の動作を示すフローチャートである。
まず、健康状態入力部3または操作入力部2を介して乗員の健康状態が入力されたか否かを、制御部5が判定する(ステップST1)。健康状態の入力があった場合(ステップST1のYESの場合)、その健康状態情報を取得して、記憶部4のワークエリアに保存する(ステップST2)。
【0033】
そして、記憶部4に予め記憶されている
図4に示すような情報テーブルを参照し、ステップST2で取得した健康状態情報の中の疾患データに基づいて、その乗員に対する判定基準を算出する(ステップST3)。ここで、判定基準とは、車外の外気汚染状況が汚染状態であるか否かを判断するとともに、汚染状態であるときにどの提示情報を提示するかを判断するための閾値のことである。また、ここで算出した判定基準についても、記憶部4のワークエリアに保存しておく。
【0034】
ここで、判定基準の算出の仕方、および、外気の大気が汚染状態であるか否かの判断の仕方について説明する。記憶部4に記憶されている情報テーブルの中で、詳細情報が「特に問題なし」であるものは「大気が汚染状態でない」と判断し、それ以外のものは「大気が汚染状態である」と判断して、その境界となる汚染レベルを、車外の大気が汚染状態であるか否かを判定する際に用いる判定基準として算出する。
【0035】
すなわち、
図4に示す情報テーブルを用いる場合に、取得した乗員の健康状態情報が、例えば疾患がアレルギー疾患で子供だった場合には、その詳細情報が「特に問題なし」であるのは汚染レベルが1未満のときであり、汚染レベルが1以上の場合には何らかの注意が必要であることが、情報テーブルを参照することによりわかる。これにより、制御部5は、汚染レベル「1」を判定基準として算出し、汚染レベルが1以上であれば汚染状態であると判断する。
さらに情報テーブルを参照して汚染レベルが1以上3未満なら「外出時は注意してください」を提示する必要があると判断し、汚染レベル「3」をその判定基準として算出する。また、汚染レベルが3以上なら「外出を避けてください」を提示する必要があると判断し、同様にその判定基準を算出する。
【0036】
また、例えば疾患が循環器系疾患であった場合には、その詳細情報が「特に問題なし」であるのは汚染レベルが2未満のときであり、汚染レベルが2以上の場合には何らかの注意が必要であることが、
図4に示す情報テーブルを参照することによりわかる。これにより、制御部5は、汚染レベル「2」を判定基準として算出し、汚染レベルが2以上であれば汚染状態であると判断する。
さらに情報テーブルを参照して汚染レベルが2以上4未満なら「外出時は注意してください」を提示する必要があると判断し、汚染レベル「4」をその判定基準として算出する。また、汚染レベルが4以上なら「外出を避けてください」を提示する必要があると判断し、同様にその判定基準を算出する。
【0037】
次に、センサ部1により検知された検知データを取得する(ステップST4)。そして、検知データの取得が完了するまで(ステップST5のNOの場合)これを続け、検知データの取得が完了したら(ステップST5のYESの場合)、取得した検知データに基づいて車外の大気の汚染レベルを算出する(ステップST6)。
【0038】
この実施の形態1では、センサ部1におけるセンシングデバイスとして、pHセンサと導電率計の2つを使用しているので、例えば検知データとして、pH=4.6、導電率=50μS/cmだった場合、黄砂または酸性雨に関する大気汚染レベルとして、「1.5」が算出されたものとして説明する。なお、この汚染レベルの算出には、予め設定された、pHおよび導電率と、黄砂または酸性雨に関する大気汚染レベルとの対応表(図示せず)が記憶部4に格納されているものとし、その対応表を参照することにより算出する。
【0039】
なお、センサ部1におけるセンシングデバイスが1つのみである場合には、検知データから汚染レベルへの換算を行う対応表を保持するようにしてもよいし、検知データ=汚染レベルとして、
図4に示す情報テーブルにおける汚染レベルのところに、検知データに対応する数値が記憶されているものを用いるようにしてもよい。
【0040】
そして、算出した汚染レベルと、ステップST3で算出した判定基準とに基づいて、すなわち、ステップST6で算出した汚染レベルとステップST3で算出した判定基準とを比較することにより、車外の大気が汚染状態であるか否かを判定する(ステップST7)。
【0041】
車外の大気が汚染状態であると判定した場合(ステップST7のYESの場合)には、さらに算出した汚染レベルとステップST3において算出した提示情報の判定基準とを比較することにより、汚染レベルに応じた提示情報を判定する(ステップST8)。そして得られた外気汚染情報を表示部6または音声出力部7などの提示出力部9に提示させる(ステップST9)。なお、表示部6における表示と音声出力部7からの音声出力の両方により提示させるようにしてもよい。
【0042】
例えば、乗員の健康状態情報として、疾患がアレルギー疾患で対象者が子供だった場合に、センサ部1により検知された検知データに基づいて汚染レベルを算出したら、汚染レベルが「1.5」であったとする。この場合、前述のとおり、汚染レベル「1」が判定基準となるので、車外の大気は汚染状態であると判断される。
【0043】
その結果、表示部6には、車外の大気が汚染状態であるという判定結果を含む外気汚染情報が表示される。すなわち、例えば
図3に示すように、「外に出るときは注意してね!マスク等を着用しましょう。」というポップアップ表示22が表示されるとともに、吹き出し23に示すように、表示内容と同じ内容が音声出力としても出力される。また、
図4に設定されている警報色にしたがって、ポップアップ表示22の枠が黄色で表示される。
なお、ここでは外気汚染情報として提示情報を表示または音声出力するものとしているが、もちろん外気汚染レベルそのものを提示するようにしてもよい。
【0044】
一方、車外の大気が汚染状態でないと判定された場合(ステップST7のNOの場合)であって、後述するようなユーザ(乗員)による外気汚染状態の提示要求もない場合(ステップST10のNOの場合)には、そのまま処理を終了する。
【0045】
なお、ここでは、健康状態の入力があったときには、車外の大気が汚染状態である判定された場合のみ外気汚染情報を提示するものとしているが、車外の大気の汚染状態にかかわらず、すなわち、車外の大気が汚染状態でなかった場合にも、汚染レベルが判定基準未満であることや、車外に出ても特に問題がないということを示すような外気汚染情報を提示するようにしてもよい。これにより、車外の大気が汚染状態でなくて外に出ても問題ない状態であることを、ユーザ(乗員)が確認してから安心して車外に出ることができる。
【0046】
このように、健康状態の入力があった場合(ステップST1のYESの場合)以外に、健康状態の入力はないが(ステップST1のNOの場合)、ユーザ(乗員)が現時点での車外の外気汚染状態を知りたいと思った場合など、操作入力部2を介してユーザ(乗員)により提示要求があった場合(ステップST11のYESの場合)には、制御部5は判定基準が算出済みか否かを判定する(ステップST12)。
【0047】
既に判定基準が算出され、記憶部4のワークエリアに保存されている場合には(ステップST12のYESの場合)、前述のステップST4〜ST6と同様の処理を行い、車外が汚染状態であれば(ステップST7のYESの場合)、前述のとおり、汚染レベルに応じた提示情報を判定し(ステップST8)、外気汚染情報を提示出力部9に提示させる(ステップST9)。
【0048】
一方、健康状態の入力がないまま提示要求があった場合など、まだ判定基準が算出されていない場合(ステップST12のNOの場合)には、デフォルト(標準)の判定基準を設定する(ステップST13)。例えば、デフォルト(標準)の判定基準として「3」を設定しておくなど、汚染レベルの閾値の標準値を予め設定して登録しておき、判定基準が算出されていない場合には、その登録しておいた標準値をデフォルト(標準)の判定基準として設定し、ステップST7における車外の大気が汚染状態であるか否かの判定の際に、この判定基準を用いる。
【0049】
このように、判定基準が算出されておらず、デフォルト(標準)の判定基準を設定した場合にも、その後は、前述のステップST4〜ST6と同様の処理を行い、車外が汚染状態であれば(ステップST7のYESの場合)、前述のとおり、汚染レベルに応じた提示情報を判定し(ステップST8)、外気汚染情報を提示出力部9に提示させる(ステップST9)。
【0050】
また、車外の大気が汚染状態でない場合(ステップST7のNOの場合)にも、ユーザ(乗員)による提示要求があった場合(ステップST10のYESの場合)は、汚染レベルが判定基準未満であって車外の大気が汚染状態でないという判定結果を含む外気汚染情報を提示する(ステップST9)。この場合にも、車外に出ても特に問題がないということを示すような詳細情報も含む外気汚染情報を提示してもよい。すなわち、操作入力部2により、ユーザ(乗員)による外気汚染情報の提示要求が受け付けられた場合には、車外の大気が汚染状態であるか否かにかかわらず、外気汚染情報を提示する。
【0051】
このように、健康状態を入力したとき、または、提示要求があったときに、そのときの車外の大気汚染状況をセンサにより検出して車外の大気が汚染状態にあるか否かを精度よく判定するとともに、乗員の健康状態に応じたきめ細やかな表示やアナウンス等により外気汚染情報をユーザ(乗員)に提示するようにしたので、ユーザ(乗員)は車両で移動した移動先で車外に出るよりも前に、その時のその場所における(即時的かつ局所的な)外気汚染状態を確認することができるとともに、乗員の健康状態に応じたアドバイス等を受けることができる。
【0052】
これにより、大気汚染によるアレルギー疾患者や呼吸器系疾患者、特に、小児ぜんそくや肺炎のように乳幼児や高齢者が発症すると重症化しかねない疾患を持った方々に対して、車外へ出る際にマスクや薬等の予防品を持ち忘れないようにしてもらうための一助となったり、車外へ出ると危険である場合に車外へ出てしまうことがないように事前にアドバイスをすることができるので、車外の大気が汚染されている状態であるときにユーザ(乗員)が外気に触れて健康状態を害することを防ぐことができる。
【0053】
以上のように、この実施の形態1によれば、ユーザ(乗員)は車両で移動した移動先で車外に出るよりも前に、その時のその場所における(即時的かつ局所的な)外気汚染状態を確認することができるとともに、乗員の健康状態に応じたアドバイス等を受けることができ、車外の大気が汚染されている状態であるときに乗員が外気に触れて健康状態を害することを防ぐことができる。
【0054】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2における車両用外気情報提示装置の構成を示すブロック図では、実施の形態1の
図1に示すブロック図と同じであるので、図示および説明を省略する。以下に示す実施の形態2では、実施の形態1における車両用外気情報提示装置と比べると、センサ部1が校正機能も備えている点が異なっている。
【0055】
図6は、この実施の形態2におけるセンサ部1の詳細構成を示すブロック図であり、制御部5との信号のやりとりについても示している。
実施の形態1におけるセンサ部1は、センシングデバイスとしてpHセンサ11および導電率計12を備えているものであったが、この実施の形態2では、これらのセンシングデバイスを校正するためのpH標準液13、導電率標準液14、純水15を格納容器に格納したセンサ校正部16をさらに備えている。
【0056】
このように、pH標準液13、導電率標準液14、および、溶液供給洗浄を行うための純水15を格納容器に格納したセンサ校正部16を有することにより、pHセンサ11および導電率計12は両センサともに校正可能である。
【0057】
すなわち、pHセンサ11や導電率計12のセンシングデバイスには汚れが付着したりして、長い間使用していると精度が悪くなるため、取り換えまたは校正が必要となる。そこで、pHセンサ11や導電率計12に汚れが付着したら、純水15を供給してセンシングデバイスの洗浄を行う。なお、
図6の符号17で示す矢印は、溶液供給洗浄のためにセンシングデバイスに純水15を供給することを示している。
【0058】
その後、pHセンサ11と導電率計12をそれぞれ、pH標準液13および導電率標準液14といった標準液で校正することにより、それぞれのセンシングデバイスの検出精度を保ったまま、長い間使用することができる。
このようにセンサ校正部16を備えた構成のセンサ部1を使用した場合には、実施の形態1と同様な効果を得ることができる上に、外気の大気汚染状況の検出精度がより高くなり、長時間に渡って高精度での検出が可能になる。
【0059】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。