(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049599
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-248063(P2013-248063)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-105524(P2015-105524A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 宏明
【審査官】
大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−064003(JP,A)
【文献】
特開2012−144948(JP,A)
【文献】
特開2010−189869(JP,A)
【文献】
実開平04−033756(JP,U)
【文献】
実開昭60−056880(JP,U)
【文献】
特開2013−098509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/18,9/24−9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、この本体から分離可能に設けた構造体と、上記構造体に取り付けた電気機器と、上記本体に設けられる電源に接続した本体側ハーネスと、この本体側ハーネスの端部に取り付けた本体側コネクタと、上記電気機器に接続した電気機器側ハーネスと、この電気機器側ハーネスの端部に取り付けた電気機器側コネクタとを備えた作業機械において、
上記本体側コネクタに接続した第1コネクタと、上記電気機器側コネクタに接続した第2コネクタと、一端を上記第1コネクタに接続し、他端を上記第2コネクタに接続した中間ハーネスと、上記本体に取り付けられ上記中間ハーネスを把持可能な本体側クランプと、上記構造体に取り付けられ上記中間ハーネスを把持可能な電気機器側クランプとを備えたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
上記第1コネクタを上記本体側クランプに近接または当接させて配置し、上記第2コネクタを上記電気機器側クランプに近接または当接させて配置したことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業機械において、
当該作業機械が、上記本体を形成する旋回体と、上記構造体を形成し上記旋回体の後側位置に配置したカウンタウェイトとを有する油圧ショベルから成り、
上記電気機器が上記カウンタウェイトに取り付けたカメラから成ることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1または2に記載の作業機械において、
当該作業機械が、上記本体を形成する旋回体と、上記構造体を形成し上記旋回体の前側位置に配置した作業装置とを有する油圧ショベルから成り、
上記電気機器が上記作業装置に取り付けた照明装置から成ることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業機械において、
上記本体側クランプ及び上記電気機器側クランプのそれぞれは一枚板から成り、互いに対向して配置されボルトによって締結される一対の締結部と、これらの締結部に連設され上記中間ハーネスが把持される把持部とを有することを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体から分離可能な構造体に電気機器を取り付けた油圧ショベル等の作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の作業機械として、油圧ショベルが知られている。この油圧ショベルには、本体を形成する旋回体と、この旋回体から分離可能に設けた構造体例えばカウンタウェイトとを備え、カウンタウェイト上に電気機器、例えば後方を監視するカメラを設けたものがある。また、このような油圧ショベルは、旋回体に設けられる電源に接続した本体側ハーネスと、この本体側ハーネスの端部に取り付けた本体側コネクタと、カメラに接続される電気機器側ハーネス、すなわちカメラ側ハーネスと、このカメラ側ハーネスの端部に取り付けた電気機器側コネクタ、すなわちカメラ側コネクタとを備え、本体側コネクタとカメラ側コネクタとを接続した構成にしてある。旋回体に設けた電源からの電力を、本体側ハーネス、本体側コネクタ、カメラ側コネクタ、及びカメラ側ハーネスを介してカメラに供給することにより、カメラが作動し、このカメラによってカウンタウェイトの後方の監視が可能となる。この種の従来技術は、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−37662号公報
【特許文献2】特開2006−336361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の作業機械例えば上述した油圧ショベルにあって、本体側コネクタとカメラ側コネクタとが接続されている状態で、誤って本体からカウンタウェイトを分離すると、本体側ハーネスあるいはカメラ側ハーネスが切断されてしまうことが起こり得る。このような切断を生じると、カメラすなわち電気機器に電力を供給する電気配線系統の煩雑な修復作業が必要となる。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、誤って本体から電気機器を取り付けた構造体を分離した際でも、本体側ハーネス及び電気機器側ハーネスが切断されることを防ぐことができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、本体と、この本体から分離可能に設けた構造体と、上記構造体に取り付けた電気機器と、上記本体に設けられる電源に接続した本体側ハーネスと、この本体側ハーネスの端部に取り付けた本体側コネクタと、上記電気機器に接続した電気機器側ハーネスと、この電気機器側ハーネスの端部に取り付けた電気機器側コネクタとを備えた作業機械において、上記本体側コネクタに接続した第1コネクタと、上記電気機器側コネクタに接続した第2コネクタと、一端を上記第1コネクタに接続し、他端を上記第2コネクタに接続した中間ハーネスと、上記本体に取り付けられ上記中間ハーネスを把持可能な本体側クランプと、上記構造体に取り付けられ上記中間ハーネスを把持可能な電気機器側クランプとを備えたことを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明は、本体側ハーネスに接続した本体側コネクタに、中間ハーネスの一端に設けた第1コネクタを接続し、電気機器側ハーネスに接続した電気機器側コネクタに、中間ハーネスの他端に設けた第2コネクタを接続することによって、本体に設けた電源からの電力を本体側ハーネス、本体側コネクタ、第1コネクタ、中間ハーネス、第2コネクタ、電気機器側コネクタ、及び電気機器側ハーネスを介して構造体に取り付けた電気機器に供給でき、この電気機器を作動させることができる。
【0008】
またこのとき、中間ハーネスを本体側クランプによって把持させ、同じ中間ハーネスを電気機器側クランプによって把持させることにより、本体側ハーネス、本体側コネクタ、第1コネクタ、中間ハーネス、第2コネクタ、電気機器側コネクタ、及び電気機器側ハーネスを含む電気配線系統を、電気機器の作動、非作動に拘わらず安定した形態に保つことができる。
【0009】
このように電気機器の電気配線系統が正常な配線形態に保たれている状態にあって、本体から構造体を分離する場合には、例えば中間ハーネスの他端に接続された第2コネクタと電気機器側コネクタとの接続を解き、中間ハーネスに対する電気機器側クランプによる把持を解くことが行われる。これにより、本体側ハーネス、中間ハーネス、及び電気機器側ハーネスの切断を生じることなく構造体を本体から分離させることができる。
【0010】
ここで、上述のように構造体に取り付けた電気機器の電気配線系統が正常な形態に保たれている状態にあって、本体側コネクタと第1コネクタとの接続を解かず、また電気機器側コネクタと第2コネクタとの接続を解かずに、誤って本体から構造体を分離すると、中間ハーネスの一端の第1コネクタが本体側クランプに当接し、また電気機器側クランプが中間ハーネスの他端の第2コネクタに当接する。したがって、この状態で無理に本体から構造体を分離しようとすると中間ハーネスが切断する。すなわち、このように誤って本体から構造体を分離したときには、中間ハーネスが切断するものの、本体側ハーネス及び電気機器に接続された電気機器側ハーネスの切断を防ぐことができる。このような事態を生じたときには、中間ハーネスのみを切断されていない正規の中間ハーネスに取り換えれば済む。
【0011】
また本発明は、上記発明において、上記第1コネクタを上記本体側クランプに近接または当接させて配置し、上記第2コネクタを上記電気機器側クランプに近接または当接させて配置したことを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、電気機器の電気配線系統が正常な配線形態に保たれている状態で、誤って本体から構造体を分離した場合には、第1コネクタがわずかに動いて本体側クランプに当接し、または第1コネクタが動くことなく本体側クランプとの当接が維持され、また、電気機器側クランプがわずかに相対的に動いて第2コネクタに当接し、または電気機器側クランプが相対的に動くことなく第2コネクタとの当接が維持される。したがって、本体側ハーネス及び電気機器側ハーネスの長さ寸法を、第1コネクタの動き、電気機器側クランプの相対的な動きの有無に応じた比較的短い長さ寸法に設定することができる。
【0013】
また本発明は、上記発明において、当該作業機械が、上記本体を形成する旋回体と、上記構造体を形成し上記旋回体の後側位置に配置したカウンタウェイトとを有する油圧ショベルから成り、上記電気機器が上記カウンタウェイトに取り付けたカメラから成ることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記発明において、当該作業機械が、上記本体を形成する旋回体と、上記構造体を形成し上記旋回体の前側位置に配置した作業装置とを有する油圧ショベルから成り、上記電気機器が上記作業装置に取り付けた照明装置から成ることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記発明において、上記本体側クランプ及び上記電気機器側クランプのそれぞれは一枚板から成り、互いに対向して配置されボルトによって締結される一対の締結部と、これらの締結部に連設され上記中間ハーネスが把持される把持部とを有することを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、例えば本体側クランプの把持部に中間ハーネスを挿入した状態で一対の締結部をボルトで締結することにより、中間ハーネスを本体側において安定して把持することができる。また、電気機器側クランプの把持部に中間ハーネスを挿入した状態で一対の締結部をボルトで締結することにより、中間ハーネスを構造体側において安定して把持することができる。
【0017】
また、上述の状態から中間ハーネスの把持を解く場合には、例えば本体側クランプの一対の締結部を締結していたボルトを外し、中間ハーネスを本体側クランプの把持部から一対の締結部の間を通して抜き取ることにより、容易に本体側における中間ハーネスの把持を解くことができる。また、電気機器側クランプの一対の締結部を締結していたボルトを外し、中間ハーネスを電気機器側クランプの把持部から一対の締結部の間を通して抜き取ることにより、容易に構造体側における中間ハーネスの把持を解くことができる。
【0018】
また、本発明は、本体側クランプ及び電気機器側クランプのそれぞれが一枚板から成る簡単な構成であることから、これらの本体側クランプ及び電気機器側クランプの製作を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、誤って本体から電気機器を取り付けた構造体を分離した際には、中間ハーネスが切断することがあっても、本体側ハーネス及び電気機器に接続された電気機器側ハーネスの切断を防ぐことができる。これにより本発明は、電気機器の電気配線系統の修復工事を従来よりも簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る作業機械の第1実施形態を構成する油圧ショベルを示す側面図である。
【
図2】
図1に示す第1実施形態に係る油圧ショベルの要部を分解して示した拡大側面図である。
【
図3】第1実施形態に備えられる中間ハーネス部分を示す図である。
【
図4】第1実施形態に備えられる本体側クランプ、及び本体側クランプを本体に固定するボルトを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図である。
【
図5】
図4に示す本体側クランプの拡大側面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態を構成する油圧ショベルを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る作業機械の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明に係る作業機械の第1実施形態を構成する油圧ショベルを示す側面図、
図2は
図1に示す第1実施形態に係る油圧ショベルの要部を分解して示した拡大側面図である。
【0023】
本発明の作業機械に係る第1実施形態は、例えば油圧ショベルであり、この油圧ショベルは
図1,2に示すように、走行体1と、この走行体1上に配置され、本体を形成する旋回体2とを備えている。
【0024】
旋回体2の前側位置には、上下方向の回動可能に取り付けられ、掘削等の作業を行う作業装置3を配置してある。この作業装置3は、旋回体2に取り付けたブーム4、このブーム4の先端に取り付けたアーム5、及びアームの先端に取り付けたバケット6を含んでいる。この作業装置3は、当該油圧ショベルを分解して行われる運搬作業等に際して、本体を形成する旋回体2から分離可能な構造体を形成している。
【0025】
また、旋回体2上の前方部分には運転室7を配置してあり、旋回体2の後側位置には重量バランスを確保するカウンタウェイト8を配置してある。また、運転室7とカウンタウェイト8との間には、エンジン、油圧ポンプ等が収容されるエンジン室9を配置してある。このエンジン室9の上方はカバー10で覆われている。上述したカウンタウェイト8も、作業装置3と同様に、旋回体2から分離可能な構造体を形成している。
【0026】
構造体を形成するカウンタウェイト8の上部には、電気機器例えば後方の監視に活用されるカメラ11を配置してある。
【0027】
第1実施形態に係る油圧ショベルは、
図2に示すように、本体を形成する旋回体2に設けられる電源に接続した本体側ハーネス20と、この本体側ハーネス20の端部に取り付けた本体側コネクタ21とを備えている。また、第1実施形態は、カメラに接続した電気機器側ハーネスすなわちカメラ側ハーネス22と、このカメラ側ハーネス22の端部に取り付けた電気機器側コネクタすなわちカメラ側コネクタ23とを備えている。
【0028】
図3は第1実施形態に備えられる中間ハーネス部分を示す図、
図4は第1実施形態に備えられる本体側クランプ、及び本体側クランプを本体に固定するボルトを示す図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図、
図5は
図4に示す本体側クランプの拡大側面図である。
【0029】
前述した
図2及び
図3に示すように、この第1実施形態は、本体側コネクタ21に接続した第1コネクタ24と、カメラ側コネクタ23に接続した第2コネクタ25と、一端を第1コネクタ24に接続し、他端を第2コネクタ25に接続した中間ハーネス28とを備えている。また、この第1実施形態は、本体を形成する旋回体2に取り付けられ、中間ハーネス28の第1コネクタ24側の部分を把持可能な本体側クランプ26と、構造体を形成するカウンタウェイト8に取り付けられ、中間ハーネス28の第2コネクタ25側の部分を把持可能な電気機器側クランプ、すなわちカメラ側クランプ27とを備えている。
【0030】
上述した中間ハーネス28の一端に設けられる第1コネクタ24は、例えば本体側クランプ26に近接させて配置してある。同様に、中間ハーネス28の他端に設けられる第2コネクタ25も、例えばカメラ側クランプ27に近接させて配置してある。
【0031】
図3−5に示すように、上述した本体側クランプ26は一枚板から成り、互いに対向して配置されボルト29によって締結される一対の締結部26a,26bと、これらの締結部26a,26bに連設され中間ハーネス28が把持される把持部26cとを有している。同様に
図3に示すように、カメラ側クランプ27も一枚板から成り、互いに対向して配置されボルト30によって締結される一対の締結部27a,27bと、これらの締結部27a,27bに連設され中間ハーネス28が把持される把持部27cとを有している。
【0032】
このように構成した第1実施形態に係る油圧ショベルは、本体側ハーネス20に接続した本体側コネクタ21に、中間ハーネス28の一端に設けた第1コネクタ24を接続し、カメラ側ハーネス22に接続したカメラ側コネクタ23に、中間ハーネス28の他端に設けた第2コネクタ25を接続することによって、旋回体2に設けた電源からの電力を本体側ハーネス20、本体側コネクタ21、第1コネクタ24、中間ハーネス28、第2コネクタ25、カメラ側コネクタ23を介してカウンタウェイト8に取り付けたカメラ11に供給でき、このカメラ11を作動させることができる。
【0033】
またこのとき、中間ハーネス28の第1コネクタ24側の部分を旋回体2に取り付けた本体側クランプ26によって把持させ、中間ハーネス28の第2コネクタ25側の部分をカウンタウェイト8に取り付けたカメラ側クランプ27によって把持させることにより、本体側ハーネス20、本体側コネクタ21、第1コネクタ24、中間ハーネス28、第2コネクタ25、カメラ側コネクタ23、及びカメラ側ハーネス22を含む電気配線系統を、カメラ11の作動、非作動に拘わらず安定した状態に保つことができる。なお、本体側クランプ26の把持部26cに中間ハーネス28を挿入した状態で一対の締結部26a,26bをボルト29で締結することにより、中間ハーネス28の第1コネクタ24側の部分を旋回体2側において安定して把持させることができる。また、カメラ側クランプ27の把持部27cに中間ハーネス28を挿入した状態で一対の締結部27a,27bをボルト30で締結することにより、中間ハーネス28の第2コネクタ25側の部分をカウンタウェイト8側において安定して把持させることができる。
【0034】
このようにカメラ11の電気配線系統が正常な配線形態に保たれている状態にあって、旋回体2からカウンタウェイト8を分離する場合には、例えばエンジン室9のカバー10を開き、中間ハーネス28の他端に接続された第2コネクタ25とカメラ側コネクタ23との接続を解き、中間ハーネス28に対するカメラ側クランプ27の把持を解くことが行われる。これにより、本体側ハーネス20、中間ハーネス28、及びカメラ側ハーネス22の切断を生じることなくカウンタウェイト8を旋回体2から分離させることができる。
【0035】
中間ハーネス28の把持を解くに際しては、カメラ側クランプ27の一対の締結部27a,27bを締結していたボルト30を外し、中間ハーネス28をカメラ側クランプ27の把持部27cから一対の締結部27a,27bの間を通して抜き取ることにより、容易にカウンタウェイト8側における中間ハーネス28の第2コネクタ25側の部分の把持を解くことができる。
【0036】
本体側クランプ26における中間ハーネス28の把持を解く場合も、上述と同様であり、本体側クランプ26の一対の締結部26a,26bを締結していたボルト29を外し、中間ハーネス28を本体側クランプ26の把持部26cから一対の締結部26a,26bの間を通して抜き取ることにより、容易に旋回体2側における中間ハーネス28の第1コネクタ24側の部分の把持を解くことができる。
【0037】
ここで、上述のようにカウンタウェイト8に取り付けたカメラ11の電気配線系統が正常な配線形態に保たれている状態にあって、本体側コネクタ21と第1コネクタ24との接続を解かず、またカメラ側コネクタ23と第2コネクタ25との接続を解かずに、誤って旋回体2からカウンタウェイト8を分離すると、中間ハーネス28の一端の第1コネクタ24がわずかに動いて本体側クランプ26に当接し、またカメラ側クランプ27がわずかに相対的に動いて中間ハーネス28の他端の第2コネクタ23に当接する。したがって、この状態で無理に旋回体2からカウンタウェイト8を分離しようとすると、中間ハーネス28が切断する。すなわち、この第1実施形態では、このように誤って旋回体2からカウンタウェイト8を分離したときには、中間ハーネス28が切断するものの、本体側ハーネス20及びカメラ11に接続されたカメラ側ハーネス22の切断を防ぐことができる。
【0038】
第1実施形態によれば、上述したように誤って旋回体2からカメラ11を取り付けたカウンタウェイト8を分離した際には、中間ハーネス28が切断することがあっても、本体側ハーネス20、及びカメラ11に接続されたカメラ側ハーネス22の切断を防ぐことができる。これにより、この第1実施形態は、中間ハーネス28のみを切断されていない正規の中間ハーネス28に取り換えれば済み、カメラ11の電気配線系統の修復作業を簡単に行うことができる。
【0039】
また、この第1実施形態は、誤って旋回体2からカウンタウェイト8を分離した場合には、本体側クランプ26に近接させた第1コネクタ24がわずかに動いて本体側クランプ26に当接し、またカメラ側クランプ27がわずかに相対的に動いて第2コネクタ25に当接する。したがって、本体側ハーネス20及びカメラ側ハーネス22の長さ寸法を、第1コネクタ24の動き、カメラ側クランプ27の相対的な動きを許容させる程度の比較的短い長さ寸法に設定することができる。
【0040】
また、本体側クランプ26及びカメラ側クランプ27のそれぞれは一枚板から成る簡単な構成であることから、これらの本体側クランプ26及びカメラ側クランプ27の製作を容易に行うことができる。
【0041】
図6は本発明の第2実施形態を構成する油圧ショベルを示す側面図である。
【0042】
この
図6に示す第2実施形態も、本体を形成する旋回体2と、この旋回体2から分離可能な構造体を形成し旋回体2の前側位置に配置した作業装置3とを有する油圧ショベルから成るものである。この第2実施形態は、作業装置3に電気機器、例えば作業装置3の前方及び周囲を照らす照明装置31を取り付けた構成にしてある。
【0043】
この第2実施形態も、第1実施形態におけるのと同様に、旋回体2に設けられる電源に接続した図示しない本体側ハーネスと、この本体側ハーネスの端部に設けた図示しない本体側コネクタと、照明装置31に接続した電気機器側ハーネスすなわち照明装置側ハーネス32と、この照明装置側ハーネス32の端部に取り付けた電気機器側コネクタすなわち照明装置側コネクタ33とを備えている。
【0044】
また、この第2実施形態も、本体側コネクタに接続した図示しない第1コネクタと、照明装置側コネクタ33に接続した第2コネクタ34と、一端を図示しない上述の第1コネクタに接続し、他端を第2コネクタ34に接続した中間ハーネス35と、旋回体2に取り付けられ、中間ハーネス35の図示しない第1コネクタ側の部分を把持可能な図示しない本体側クランプと、中間ハーネス35の第2コネクタ34側の部分を把持可能な電気機器側クランプすなわち照明装置側クランプ36とを備えている。
【0045】
この第2実施形態では、中間ハーネス35の一端に設けられる図示しない第1コネクタを、旋回体2に取り付けられる図示しない本体側クランプに例えば当接させて配置し、第2コネクタ34を作業装置3に取り付けられる照明装置側クランプ36に例えば当接させて配置してある。
【0046】
このように構成した第2実施形態は、誤って旋回体2から照明装置31を取り付けた作業装置3を分離した際には、中間ハーネス35が切断することがあっても、図示しない本体側ハーネス、及び照明装置31に接続された照明装置側ハーネス32の切断を防ぐことができる。これにより第1実施形態と同様に、照明装置31の電気配線系統の修復工事を簡単に行うことができる。
【0047】
なお、この第2実施形態は、照明装置31の電気配線系統が正常な配線形態に保たれている状態で、誤って旋回体2から作業装置3を分離した場合に、中間ハーネス35の一端に設けた図示しない第1コネクタが動くことなく図示しない本体側クランプとの当接が維持され、また、照明装置側クランプ36が相対的に動くことなく第2コネクタ34との当接が維持される。したがって、図示しない本体側ハーネス及び照明装置側ハーネス32の長さ寸法を、より短い長さ寸法に設定することができる。
【0048】
上記第1実施形態において、本体側ハーネス20及びカメラ側ハーネス22の線径に比べて中間ハーネス28の線径を小さく、すなわち細く設定し、誤って旋回体2からカウンタウェイト8が分離されるときに、中間ハーネス28が切断されやすいように構成してもよい。同様に、第2実施形態において、図示しない本体側ハーネス及び照明装置側ハーネス32の線径に比べて中間ハーネス35の線径を小さく設定し、誤って旋回体2から作業装置8が分離されるときに、中間ハーネス35が切断されやすいように構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
2 旋回体(本体)
3 作業装置(構造体)
4 ブーム
8 カウンタウェイト(構造体)
9 エンジン室
10 カバー
11 カメラ(電気機器)
20 本体側ハーネス
21 本体側コネクタ
22 カメラ側ハーネス(電気機器側ハーネス)
23 カメラ側コネクタ(電気機器側コネクタ)
24 第1コネクタ
25 第2コネクタ
26 本体側クランプ
26a 締結部
26b 締結部
26c 把持部
27 カメラ側クランプ(電気機器側クランプ)
27a 締結部
27b 締結部
27c 締結部
28 中間ハーネス
29 ボルト
30 ボルト
31 照明装置(電気機器)
32 照明装置側ハーネス(電気機器側ハーネス)
33 照明装置側コネクタ(電気機器側コネクタ)
34 第2コネクタ
35 中間ハーネス
36 照明装置側クランプ(電気機器側クランプ)