【文献】
European Journal of Cardiothoracic Surgery,2006年,Vol.29,No.5,p736−741
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
内視鏡的粘膜切除(EMR)は、胃腸管における低侵襲手術の大きな進歩の代表である。EMRは、内視鏡検査によって視覚化が得られ、粘膜、胃腸管の最内層(食道から直腸までの大部分の胃腸癌がその起源を有する部位)への接近手段が得られるという概念に基づく。この方法は、内視鏡下手術の治療力と切除組織の病理検査の診断力との組み合わせである。
【0006】
EMRは、最初、内視鏡検査医が非常に高い胃癌発生率に直面していた日本において急増した。これは、結腸癌のほうがはるかに一般的な疾患である、米国をはじめとする大部分の西洋諸国と異なる。大部分の結腸癌は、結腸管腔に突出する粘膜ポリープで発生し、そのため結腸癌は、内視鏡検査時にワイヤーループを使用してポリープベースを把持することによって比較的容易に除去される。その後、ポリープは、切断作用と焼灼を同時にもたらす電流を用いて切除される。
【0007】
対照的に、胃における大部分の癌はポリープで始まらず、ほんのわずかに隆起した、扁平な、またはわずかに窪んだ粘膜形成異常病変(mucosal dysplastic lesion)で始まる。
そのような病変は、単純なワイヤースネアで把持することが非常に難しい。日本の内視鏡検査医は、係蹄が可能になるように罹患した粘膜領域を隆起させる多数の方法を開発する
ために力を尽くした。これらの技術の大部分は、粘膜を隆起させてスネアでそれを把持できるようにするために、粘膜下組織、粘膜直下の胃腸管の層への流体注入を用いた。残念なことに、今までに用いられた流体は、例えば一般にそれらが、十分持続する隆起面を生じさせるには不十分な粘度であるため、EMRに最適なものでなかった。最適な持続的隆起粘膜面を生じさせることができる流体を利用できれば、EMRは、早期癌および前悪性形成異常が同じく非ポリープ状であり平坦である傾向がある食道においても、また結腸においても有効に用いることができる(結腸の場合は、大小両方の扁平性または無茎性ポリープの除去を助けるために用いることができる)。
【0008】
この指摘について未精製逆感熱性ポリマーを考慮することができたが、残念なことに、体温でゲル化するこれらのポリマーは、注入のために使用するカテーテル内でゲル化する。カテーテルは結腸または胃の中に配置されるとすぐに体温に温まるからである。
【0009】
驚くべきことに、急速な可逆的液体−ゲル転移を示す精製逆感熱性ポリマー(LeGoo−endo(商標))は、ヒト内視鏡的胃腸粘膜切除(EMR)のエクスビボおよびインビボのブタモデルにおいて、粘膜下注入溶液として効能のあることが、今般、証明された。精製特性の結果として達成される急速な可逆的液体−ゲル転移により、LeGoo−endoは室温で液体であり、EMR部位でカテーテルから出て初めてゲル化する。LeGoo−endo(商標)で得られる粘膜隆起は、他の一般に使用されている物質で得られるものより持続性であった。さらに、LeGoo−endo(商標)での結果は、大きさおよび整合性の点で有意な変動を受けなかった。LeGoo−endo(商標)は、インビボ結腸EMRにおいて十分に機能した。これらの結果は、LeGoo−endo(商標)または他の精製逆感熱性ポリマーの使用が、ヒトEMR手術の安全性および効率を増加させ得ることを示している。
【0010】
ある特定の実施形態において、精製逆感熱性ポリマーからインビボで形成されたブレブ(すなわち、粘膜隆起を生じさせるゲル)は、約30〜180分間、約45〜150分間、約60〜120分間、約75〜100分間、約90分間、約80分間、約70分間、約60分間、約50分間、約40分間、または約30分間存続する。
【0011】
上述の結果を得るために、体温でゲルに転移する精製逆感熱性ポリマー溶液を結腸または胃にカテーテルによって注入する方法を開発する必要があった。その挑戦の中で、カテーテルは体内に在る間に急速に体温に達するため、精製逆感熱性ポリマーが、所望のEMR部位に達する前にカテーテル内でゲル化することになるという事実を克服した。例えば、カテーテル内でのゲル形成のため、カテーテルに接続された注射器のプランジャーを押すことによる手動での注入を実行できず、1200psiより低い圧力では機械式注入器で補助する注入も実行できず;さらに、1200psiより高い圧力は、従来のいずれのカテーテルも破裂させるのに十分であるため、除外される。言い換えると、この方法は、精製逆感熱性ポリマーがカテーテル内で(すなわち、EMR部位に達する前に)ゲル化する場合、および従来のカテーテルが耐えることができる圧力では、精製逆感熱性ポリマーを流体状でEMR部位に送達するのに不十分である場合には、実行できない。
【0012】
驚くべきことに、これらの送達問題は、精製逆感熱性ポリマーを充填した注射器に接続した高圧針カテーテルを含む系で解決された。ここで、該高圧針カテーテルは、手動(例えば、スクリュー)、電気的または加圧ガス機構によって注射器のプランジャーに対して圧力を生じさせる投与器具(例えば、シリンジポンプ)の中に含まれている。該系を用いて利用可能であり、かつ耐えられる、より高い圧力は、2つの機能を有する:(a)粘性流体をカテーテルに押し通す機能;および(b)室温注射器からカテーテルに入る精製逆感熱性ポリマーが、そのポリマーが停留時間中にカテーテル内でゲル化せず、カテーテルから出てはじめてゲル化し、EMR部位と直接接触するように、カテーテルの温度を常に
調節にする、十分速い注入に備える機能。
【0013】
要するに、LeGoo−Endo(図中の「PS137−25」を意味する)は、弾性粘膜が及ぼす圧力に耐えることができる永続ブレブの形成を可能にする、体温で未精製20%ポロキサマー407の粘度の3.9倍の粘度を有する精製ポロキサマー237の水溶液であり;さらに、25Cおよび室温でのLeGoo−Endoの粘度は、それぞれの温度での未精製20%ポロキサマー407の粘度の10分の1未満であり、そのために、1つには加圧下で新たなLeGoo−Endoがカテーテルに入るとその新たなLeGoo−Endoによってカテーテルが継続的に冷却されるという理由で、LeGoo−Endoの投与中のカテーテル内でのゲル形成が防止される。
【0014】
逆感熱性ポリマー
一般に、体温でまたは体温付近でゲルになる、本発明の方法において使用する逆感熱性ポリマーは、液体またはソフトゲル形で患者の体内に注入することができる。注入された材料は、体温に達すると液体またはソフトゲルからハードゲルに転移される。本発明の方法に関連して使用する逆感熱性ポリマーは、逆熱ゲル化特性を有するブロックコポリマーを含むことができる。一般に、体温ではゲルとしておよび体温より下では液体として存在する生体適合性で生体分解性のブロックコポリマーも本発明に従って使用することができる。また、逆感熱性ポリマーは、治療剤、例えば、抗血管新生剤、ホルモン、麻酔薬、抗微生物剤(抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤)、抗炎症剤、診断剤または創傷治癒剤を含むことができる。同様に、低濃度の染料(例えば、メチレンブルー)または充填剤を逆感熱性ポリマーに添加することができる。
【0015】
逆感熱性ポリマーの分子量は、1,000と50,000の間、または5,000と35,000の間であり得る。概して、該ポリマーは、水溶液の状態である。例えば、典型的な水溶液は、ポリマーを約5%〜約30%または約10%〜約25%含有する。適する逆感熱性ポリマー(例えば、ポロキシマーまたはポロキサミン)の分子量は、例えば、5,000と25,000の間、または7,000と20,000の間であり得る。
【0016】
哺乳動物に投与される逆感熱性ポリマー調合剤(formulation)のpHは、一般に、約6
.0〜約7.8であり、これは哺乳動物の身体への注入に適するpHレベルである。このpHレベルは、任意の適する酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウム、によって調節することができる。
【0017】
ポロキサマー(Pluronic)
注目に値することとして、Pluronic(登録商標)ポリマーは、ユニークな界面活性剤能力および極端に低い毒性および免疫原性応答を有する。これらの製品は、急性経口毒性および皮膚毒性が低く、刺激または感作を引き起こす可能性が低く、一般的な慢性および亜慢性毒性が低い。実際、Pluronic(登録商標)ポリマーは、医療用途での直接使用に対しおよび食品添加物としてFDAにより認可されている数少ない界面活性剤である(BASF(1990)Pluronic(登録商標)およびTetronic(登録商標)界面活性剤、BASF Co.,Mount Olive,N.J.)。最近、一部のPluronic(登録商標)ポリマーは、薬物の治療効果、およびアデノウイルスによって媒介される遺伝子導入効率を向上させることが判明した(March K
L,Madison J E,Trapell B C.「Pharmacokinetics of adenoveiral vector−mediated gene
delivery to vascular smooth muscle cells:modulation by poloxamer 407 and implication for cardiovascular gene therapy」Hum Gene Therapy 1995,6,41−53)。
【0018】
ポロキサマー(またはPluronic)は、非イオン性界面活性剤として、多様な工業用途に広く用いられている。(Nonionic Surfactants: polyoxyalkylene block copolymers,Vol.60.Nace VM,Dekker M(editors),New York,1996.280
pp)。それらの界面活性特性は、洗浄力、分散、安定化、発泡および乳化に有用であった。(Cabana A,Abdellatif AK,Juhasz J.「Study of the gelation process of polyethylene oxide,polypropylene oxide−polyethylene oxide copolymer(poloxamer 407)aqueous solutions.」Journal of Colloid and Interface Science.1997;190:307−312)。ある特定のポロキサミン、例えばポロキサミン1307および1107も逆感熱性を示す。
【0019】
これらのポリマーの一部は、鎌状赤血球貧血ばかりでなく、様々な心血管用途について考慮されてきた。(Maynard C,Swenson R,Paris JA,Martin JS,Hallstrom AP,Cerqueira MD,Weaver
WD.Randomized,controlled trial of RheothRx(poloxamer 188)in patients with suspected acute myocardial infarction.RheothRx in Myocardial Infarction Study Group.Am Heart J.1998 May;135(5 Pt 1):797−804;O’Keefe JH,Grines CL,DeWood MA,Schaer GL,Browne K,Magorien RD,Kalbfleisch JM,Fletcher WO Jr,Bateman TM,Gibbons RJ.Poloxamer−188 as an adjunct to primary percutaneous transluminal coronary angioplasty for acute myocardial infarction.Am J Cardiol.1996 Oct 1;78(7):747−750;およびOrringer
EP,Casella JF,Ataga KI,Koshy M,Adams−Graves P,Luchtman−Jones L,Wun T,Watanabe M,Shafer F,Kutlar A,Abboud M,Steinberg M,Adler B,Swerdlow P,Terregino C,Saccente S,Files B,Ballas S,Brown R,Wojtowicz−Praga S,Grindel JM.Purified poloxamer 188 for treatment of acute vasoocclusive crisis of sickle cell disease:A randomized controlled trial.JAMA.2001 Nov 7;286(17):2099−2106)。
【0020】
重要なことに、このクラスのポリマーの一部のメンバー、例えば、ポロキサマー188、ポロキサマー407、ポロキサマー338、ポロキサマー1107および1307は、生理温度範囲内で逆感熱性を示す。(Qiu Y,Park K.Environment−sensitive hydrogels for drug delivery.Adv Drug Deliv Rev.2001 Dec 31;53(3):321−339;およびRon ES,Bromberg LE Temperature−responsive gels and thermogelling polymer
matrices for protein and peptide delivery Adv Drug Deliv Rev.1998 May 4;31(3):197−221)。言い換えると、これらのポリマーは、低温で水溶液に可溶であるがより
高い温度ではゲルであるクラスのメンバーである。ポロキサマー407は、約12,500の平均分子量および約30%のポリオキシプロピレンフラクションを有する、生体適合性ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーであり;ポロキサマー188は、約8400の平均分子量および約20%のポリオキシプロピレンフラクションを有し;ポロキサマー338は、約14,600の平均分子量および約20%のポリオキシプロピレンフラクションを有し;ポロキサミン1,107は、約14,000の平均分子量を有し、ポロキサミン1307は、約18,000の平均分子量を有する。このタイプのポリマーは、それらの粘度が温度の上昇および低下に伴ってそれぞれ上昇および低下するため、可逆的にゲル化するともいわれる。そのような可逆的ゲル化系は、流体状態で材料を取り扱うことが望ましいが、機能遂行が好ましくはゲル化した状態またはより粘性な状態である場合、有用である。上で述べたように、ある特定のポリ(エチレンオキシド)/ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマーは、これらの特性を有し;それらは、Pluronic(登録商標)ポロキサマーおよびTetronic(登録商標)ポロキサミン(BASF,Ludwigshafen,Germany)から市販され、ポロキサマーおよびポロキサミンとしてそれぞれ一般に公知である。米国特許第4,188,373号、同第4,478,822号および4,474,751号参照(これらのすべてが引用することにより本明細書の一部をなす)。
【0021】
ポロキサマーの平均分子量は、約1,000ダルトンから16,000ダルトンを超える範囲にわたる。ポロキサマーは、逐次的な一連の反応の生成物であるため、個々のポロキサマー分子の分子量は、平均分子量あたりの統計分布を構成する。加えて、市販のポロキサマーは、相当量のポリ(オキシエチレン)ホモポリマーおよびポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)ジブロックポリマーを含有する。これらの副生成物の相対量は、そのポロキサマーの成分ブロックの分子量が増加するにつれて増加する。製造業者に依存して、これらの副生成物は、ポリマーの総質量の約15〜約50%を構成し得る。
【0022】
逆感熱性ポリマーの精製
逆感熱性ポリマーは、水溶性ポリマーを分画(fractionation)するプロセスを用いて精
製することができ、該プロセスは、既知量のポリマーを水に溶解するステップ、ポリマー溶液に可溶性抽出塩を添加するステップ、2つの異なる相が出現するために適する時間、一定した最適温度で溶液を維持するステップ、およびそれらの相を物理的に分離するステップを含む。加えて、好ましい分子量のポリマーフラクションを含有する相を水で原容積に希釈することができ、抽出塩を添加して原濃度を達成することができ、ならびに必要な場合には、出発原料より狭い分子量分布および最適な物理特性を有するポリマーを回収できるまで分離プロセスを繰り返すことができる。
【0023】
ある特定の実施形態において、精製ポロキサマーまたはポロキサミンは、約1.5〜約1.0の多分散度を有する。ある特定の実施形態において、精製ポロキサマーまたはポロキサミンは、約1.2〜約1.0の多分散度を有する。
【0024】
前述のプロセスは、水中の該ポリマーおよび適切な塩から構成される水性二相系を形成することから成る。そのような系では、相分離を誘導するために可溶性塩を単相ポリマー−水系に添加して高塩低ポリマー下相と低塩高ポリマー上相が生じる。より低い分子量のポリマーが、高塩低ポリマー相に優先的に分配される。このプロセスを用いて分画することができるポリマーとしては、ポリエーテル、例えばポリ(エチレングリコール)およびポリ(エチレンオキシド)等のグリコール、例えばポロキサマー、ポロキサミンおよびポリオキシプロピレン/ポリオキシブチレンコポリマー等のポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ならびに例えばポリビニルアルコール等の他のポリオールが挙げられる。これらのポリマーの平均分子量は、約800ダルトンから100,000ダルトンを超える範囲にわたり得る。米国特許第6,761,824号参照(引用により本明細書の一部を
なす)。上述の精製プロセスは、ポロキサマー分子、ポリ(オキシエチレン)ホモポリマー、およびポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)ジブロック副生成物におけるサイズおよび極性の差、従って、溶解度の差を本質的に活用する。より低い分子量フラクションおよび副生成物を一般に含む、ポロキサマーの極性フラクションを除去し、それによって、ポロキサマーのより高い分子量フラクションを回収することができる。この方法によって回収される、より高い分子量の精製ポロキサマー(精製逆感熱性ポリマーの一例)は、より高い平均分子量、より低い多分散性および水溶液中でのより高い粘度をはじめとする、出発原料または市販のポロキサマーとは実質的に異なる物理特性を有する。
【0025】
他の精製方法を用いて所望の結果を達成することができる。例えば、WO 92/16484(引用より本明細書の一部をなす)には、潜在的に有害な副作用を引き起こすことなく有益な生物学的作用を示すポロキサマー188のフラクションを単離するための、ゲル透過クロマトグラフィーの使用が開示されている。このようにして得られたコポリマーは、1.07以下の多分散度を有し、実質的に飽和されていた。潜在的に有害な副作用は、低分子量、およびポリマーの不飽和部分と関連し、一方、医学的に有益な作用は均一でより高い分子量の材料に存在することが示された。他の同様に改善されたコポリマーが、コポリマーの合成中にポリオキシプロピレンセンターブロックを精製することによって、またはコポリマー生成物自体を精製することによって得られた(例えば、米国特許第5,523,492号および米国特許第5,696,298号参照。両方とも引用により本明細書の一部をなす)。
【0026】
さらに、米国特許第5,567,859号(引用により本明細書の一部をなす)に開示されているように、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを分画するために超臨界流体抽出技術が用いられている。1.17未満の多分散性を有する相当に均一なポロオキシアルキレンブロックコポリマーから構成される精製フラクションが得られた。この方法によると、2200ポンド毎平方インチ(psi)の圧力および40℃での温度で維持された二酸化炭素流中で、より低い分子量フラクションが除去された。
【0027】
加えて、米国特許第5,800,711号(引用により本明細書の一部をなす)には、塩抽出および液相分離技術を用いる低分子量種のバッチ式除去によるポリオキシアルキレンブロックコポリマーの分画プロセスが開示されている。ポロキサマー407およびポロキサマー188は、この方法によって分画された。それぞれの場合、出発原料と比較して高い平均分子量および低い多分散度を有するコポリマーフラクションが得られた。しかし、多分散度の変化はわずかであり、ゲル透過クロマトグラフィーによる分析から、一部の低分子量材料が残存することが示された。分画ポリマーの水溶液の粘度は、10℃と37℃の間の温度で市販ポリマーの粘度(一部の医療および薬物送達用途にとって重要な特性)より有意に大きかった。それにもかかわらず、これらのポリマーの低分子量不純物の一部は、体内で用いると有害な副作用を引き起こすと考えられ、そのため分画プロセスではそれらを除去することが特に重要となる。結果として、このプロセスによって分画されたポリオキシアルキレンブロックコポリマーは、すべての医療用途に適切でない。
【0028】
上で述べたように、ヒトにおいてより高濃度でこれらのポリマーを使用するには、市販の製剤中に存在する、より低い分子量の不純物を除去する必要がある。米国特許第5,567,859号(引用により本明細書の一部をなす;実施例8および9)において示されているように、より低い分子量の不純物が、見られる毒性作用の主たる原因である。未精製ポロキサマー188を使用する臨床試験では、許容できないレベルの一過性腎機能不全が見出され(Maynard C,Swenson R,Paris JA,Martin JS,Hallstrom AP,Cerqueira MD,Weaver WD.Randomized,controlled trial of RheothRx(poloxamer 188)in patients with suspecte
d acute myocardial infarction. RheothRx in Myocardial Infarction Study Group.Am Heart J.1998 May;135(5 Pt 1):797−804)、一方、精製ポロキサマー188を使用する別の臨床試験は、腎機能不全が見出されなかったことに具体的に触れている(Orringer EP,Casella JF,Ataga
KI,Koshy M,Adams−Graves P,Luchtman−Jones L,Wun T,Watanabe M,Shafer F,Kutlar A,Abboud M,Steinberg M,Adler B,Swerdlow P,Terregino C,Saccente S,Files B,Ballas S,Brown R,Wojtowicz−Praga S,Grindel JM.Purified poloxamer 188 for treatment of acute vasoocclusive crisis of sickle cell disease:A randomized controlled trial.JAMA.2001 Nov 7;286(17):2099−2106)。従って、ここで構想するようなEMR用途では、分画されたポロキサマーおよびポロキサミンのみを利用することが肝要であるようである。さらに、これらの感熱性ポリマーの分画は、より強い機械的抵抗を有する改善されたゲルをもたらし、その改善された感熱性のため、ゲル化を達成するためにさほどポリマーを必要としない(精製スキームおよび結果として生ずる粘度に関しては、例えば、米国特許第6,761,824号(引用により本明細書の一部をなす)を参照のこと)。
【0029】
精製逆感熱性ポリマーを使用するEMRと併用される薬物送達
多くのタイプの生物活性分子の治療的に有効な使用は、簡単には実現されなかった。処置が治療恩恵をもたらす患者の特定の細胞へのそのような物質の治療有効量の送達を果たすための方法が得られないからである。適切な時間で、制御された様式で、最小限の副作用、および用量当たりより大きな効率で薬物を送達する新たな方法が、薬物送達および製薬業界によって捜し求められている。
【0030】
本発明のEMR方法において使用する可逆的ゲル化ポリマーは、新たな高分子(例えば、ペプチド)薬または他の治療製品ばかりでなく、従来の小分子薬にも適する送達ビヒクルとする物理化学特性を有する。従って、精製逆感熱性ポリマーを含む組成物は、予め選択された医薬効果をもたらすために選択された医薬剤をさらに含むことができる。医薬効果は、疾患または身体的障害の根源または症状を処置するために捜し求められるものである。医薬品は、消費者製品ばかりでなく、FDA医薬品ガイドラインのもとでの規制を受ける製品を含む。重要なこととして、本発明のEMR法で使用される組成物は、生物活性材料を安定化および放出することができる。可溶化は、バルク水性相への溶解の結果として起こるか、またはポロキサマーの疎水性ドメインにより作られるミセルに溶質が取り込まれることによって起こると予想される。薬物の放出は、拡散またはネットワーク浸食機構によって起こる。
【0031】
本発明のEMR方法において使用する組成物が、多種多様な医薬用途およびパーソナルケア用途を達成するために同時に利用できることは、当業者には理解される。医薬組成物を製造するために、望ましい医薬効果を付与する有効量の医薬活性薬剤を、本発明のEMR方法において使用する可逆的ゲル化組成物に組み込む。好ましくは、選択される薬剤は水溶性であり、これは、可逆的ゲル化組成物全体にわたって容易に均一分散する。該薬剤が組成物と非反応性であることも好ましい。水溶性でない材料については、組成物全体にわたって親油性材料を分散または懸濁させることも本発明のEMR方法の範囲内である。本発明の方法を用いて無数の生物活性材料を送達することができ;送達される生物活性材料としては、麻酔薬、抗微生物剤(抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤)、抗炎症剤、診断剤または創傷治癒剤が挙げられる。
【0032】
本発明の方法において使用する可逆的ゲル化組成物は、様々な生理条件下での適用に適するため、多種多様な医薬活性薬剤を組成物に組み込み、該組成物から投与することができる。精製逆感熱性ポリマーのポリマーネットワークに入れる医薬剤は、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、核タンパク質、多糖類、糖タンパク質、リポタンパク質、ならびにそれらの合成および生物学的に操作された類似体をはじめとする、生物活性を有するいずれの物質であってもよい。
【0033】
本発明の方法において使用するポリマーに、非常に多数の治療剤を組み込むことができる。一般に、本発明の方法によって投与することができる治療剤としては、限定ではないが、抗生物質および抗ウイルス剤等の抗感染薬;鎮痛薬および鎮痛薬配合剤;食欲抑制薬;駆虫薬;抗関節炎薬;抗喘息剤;抗癲癇薬;抗うつ薬;抗利尿薬;下痢止め薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤;抗偏頭痛製剤;制吐薬;抗新生物薬;抗パーキンソン病薬;鎮痒薬;抗精神病薬;解熱薬、鎮痙薬;抗コリン作動薬;交感神経様作動薬;キサンチン誘導体;心血管用製剤(カルシウムチャネル遮断薬およびベータ遮断薬、例えばピンドロール、および抗不整脈薬を含む);抗高血圧薬;利尿薬;血管拡張薬(一般的な冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬および脳血管拡張薬を含む);中枢神経系刺激薬;咳および感冒用製剤(うっ血除去薬を含む);ホルモン、例えば、エストラジオールおよび他のステロイド(コルチコステロイドを含む);催眠剤;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経遮断薬;神経刺激薬;鎮静薬;および精神安定剤;ならびに天然由来かまたは遺伝子操作されたタンパク質、多糖類、糖タンパク質もしくはリポタンパク質が挙げられる。非経口投与に適する医薬品は、Lawrence A.Trissel,American Society of Hospital Pharmaceutists,Bethesda,MD.によるHandbook on Injectable Drugs,6
th Edition,1990によって例示されるように、周知である。
【0034】
医薬活性化合物は、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、核タンパク質、多糖類、糖タンパク質、リポタンパク質、ならびにそれらの合成および生物学的に操作された類似体をはじめとする、生物活性を有するいずれの物質であってもよい。用語「タンパク質」は、当該技術分野において認知され、および本発明の目的のためにペプチドも包含する。タンパク質またはペプチドは、自然由来かまたは合成の、いずれの生物活性タンパク質またはペプチドであってもよい。
【0035】
タンパク質の例としては、抗体、酵素、成長ホルモンおよび成長ホルモン放出ホルモン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ならびにそのアゴニストおよびアンタゴニスト類似体、ソマトスタチンおよびその類似体、例えば黄体化ホルモンおよび卵胞刺激ホルモン等のゴナドトロピン、ペプチドT、サイロカルシトニン、副甲状腺ホルモン、グルカゴン、バソプレッシン、オキシトシン、アンギオテンシンIおよびII、ブラジキニン、カリジン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、インスリン、グルカゴンならびに上述の分子の非常に多数の類似体および同族体が挙げられる。医薬剤は、インスリン;MMR(流行性耳下腺炎、麻疹および風疹)ワクチン、腸チフスワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、単純疱疹ウイルス、細菌性トキソイド、コレラ毒素Bサブユニット、インフルエンザワクチンウイルス、百日咳(bordetela pertussis)ウイルス、ワクシニアウイ
ルス、アデノウイルス、カナリア痘、ポリオワクチンウイルス、熱帯性マラリア原虫、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、クレブシエラ・ニューモニエ、HIVエンベロープ糖タンパク質およびサイトカインからなる群より選択される抗原;ならびにウシソマトロピン(時にはBSTと呼ばれる)、エストロゲン、アンドロゲン、インスリン成長因子(時にはIGFと呼ばれる)、インターロイキンI、インターロイキンIIおよびサイトカインからなる群より選択される他の薬剤から選択することができる。3つのそのようなサイトカインがインターフェロン−β、インターフェロン−γおよびタフトシンである。
【0036】
本発明のEMR方法において使用する組成物に組み込むことができる細菌性トキソイドの例は、破傷風、ジフテリア、シュードモナスA、マイコバクテリウム・ツベルクローシスである。本発明のEMR法において使用する組成物に組み込むことができるものの例は、AIDSワクチンのためのHIVエンベロープ糖タンパク質、例えばgp120またはgp160である。抗潰瘍H2受容体アンタゴニストの例としては、ラニチジン、シメチジンおよびファモチジンが挙げられ、他の抗潰瘍薬は、オンパラジド(omparazide)、セスプリド(cespride)およびミソプロストールである。血糖降下剤の例は、グリジピド(glizipide)である。
【0037】
本発明のEMR方法において使用する組成物に組み込むことができるものに負荷させることができる医薬活性化合物のクラスとしては、抗AIDS物質、抗癌物質、抗生物質、免疫抑制薬(例えば、シクロスポリン)抗ウイルス物質、酵素阻害薬、神経毒、オピオイド、催眠薬、抗ヒスタミン薬、潤滑剤、精神安定剤、抗痙攣薬、筋弛緩薬および抗パーキンソン病薬、鎮痙薬および筋収縮薬、収瞳薬および抗コリン作用薬、抗緑内障化合物、抗寄生虫および/または抗原虫化合物、抗高血圧薬、鎮痛薬、解熱薬および抗炎症剤、例えばNSAID、局所麻酔薬、点眼薬、プロスタグランジン、抗うつ薬、抗精神病物質、制吐薬、造影剤、特異的ターゲッティング剤、神経伝達物質、タンパク質、細胞応答調節薬、およびワクチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明のEMR方法において使用する組成物への組み込みに特に適すると考えられる例示的医薬剤としては、例えばミコナゾール、エコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、イタコナゾール、メトロニダゾール、フルコナゾール、ケトコナゾールおよびクロトリマゾール等のイミダゾール、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)およびその類似体、ノンオキシノール−9、GnRHアゴニストまたはアンタゴニスト、天然または合成プロゲストリン(progestrin)(例えば、プロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン等の17−ヒドロキシプロゲテロン(17-hydroxyprogeterone)誘導体、およびノルエ
チンドロン等の19−ノルテストステロン類似体から選択される)、天然または合成エストロゲン、結合型エストロゲン、エストラジオール、エストロピペート、およびエチニルエストラジオール、ビスホスホネート(エチドロネート、アレンドロネート、チルドロネート、レセドロネート、クロドロネートおよびパミドロネートを含む)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、フェルバマートおよびドルゾラミド等の炭酸脱水素酵素阻害薬、例えばキセステルベルグステロール−A(xesterbergsterol-A)、ロドキサミンおよびクロモリン等の肥満細胞安定剤、ジクロフェナクおよびケトロラク等のプロスタグランジン阻害薬、例えばプレドニゾロン、デキサメタゾン、フルロメチロン(fluromethylone)、リメキソロンおよびロテペドノール(lotepednol)等のステロイド、例えばアンタゾリン、フェニラミンおよびヒスチミナーゼ等の抗ヒスタミン薬、硝酸ピロカルピン、例えばレボブノロールおよびマレイン酸チモロール等のベータ遮断薬が挙げられるが、これらに限定されない。当業者には理解されるように、特定の効果のために2つ以上の医薬剤を併用してもよい。活性成分の必要量は、簡単な実験によって決めることができる。
【0039】
単なる一例として、本発明の方法において使用する精製逆感熱性ポリマーに任意の多数の抗生物質および抗微生物薬を含めてもよい。本発明のEMR方法において使用する組成物に含まれるのに好ましい抗微生物薬としては、ラクタム薬、キノロン薬、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、トリクロサン、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタンブトール、イセチオン酸ヘキサミジン、メトロニダゾール、ペンタミジン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネオマイシン、メタサイクリン、メテナミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾールおよびアマンフ
ァジンなどの塩が挙げられる。
【0040】
単なる一例として、抗炎症薬の場合、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェンおよびブクロクス酸などを含むが、これらに限定されないプロピオン酸誘導体、酢酸、フェナム酸誘導体、ビフェニルカルボン酸誘導体、オキシカムを、本発明のEMR方法において使用する組成物に組み込むことができる。
【実施例】
【0041】
本発明を一般的に説明してきたが、本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解される。これらの実施例は、本発明のある特定の態様および実施形態を単に例証するために含まれるものであり、本発明を限定するものではない。
【0042】
エクスビボ
新鮮なエクスビボのブタ胃において、3つの異なる溶液:規定食塩溶液(n=40);HPMC(n=40);およびLeGoo−endo(商標)(n=40)を使用して、胃の内視鏡的粘膜切除(120)を行った。それぞれの粘膜下注入は、25ゲージ針を有する10mL注射器を使用することによって5mLの溶液を注入することにより行った。視覚的に妥当な粘膜下組織隆起を作った後、針を短時間、適所に保持して穿刺部位をふさぎ、時期尚早の溶液漏出を防止した。定温(35〜37℃)を確保するために温熱パッド上にその胃を置いた。すべての場合において、ブレブの高さおよび大きさならびに粘膜下組織隆起の持続期間を測定した。隆起が適所で120分見え続けたとき、試験を終了した。
【0043】
最初の粘膜組織隆起の高さは、食塩水(8.3±2.6mm、p<0.01)およびHPMC(9.05±2.3mm、p=ns)より、LeGoo−endo(商標)(10.3±2.2mm)のほうが高かった。LeGoo−endo(商標)(34.7±4.4mm)と食塩水(36.7±4mm)またはHPMC(33.7±4mm)の間で隆起の大直径に関する有意な差は観察されなかった。LeGoo−endo(商標)でのすべての粘膜下組織隆起が120分より長く続き、この時間は、食塩水(20.9±11分、p<0.01)およびHPMC(89±32分、p<0.01)より長かった。適所で120分後、LeGoo−endo(商標)で行った隆起は、大きさ、形状および整合性の点での相違を示さなかった。
【0044】
インビボ
2匹のブタの結腸において、23ゲージ硬化療法(scletotherapy)針を有する5mL注
射器およびバルーン拡張器ガンを使用して、LeGoo−endo(商標)で5回のEMRを行った。この介入の間、LeGoo−endo(商標)は氷の上で保持した。ポロキサマー注入直前にカテーテルを冷却するために食塩水が入っている注射器も氷の上で保持した。視覚的に妥当な粘膜下組織隆起を作製した後、それを「小」、「中」または「大」と評定した。その後、ニードルナイフまたはポリペクトミースネアを使用して、病変の「集団」切除を行った。すべての手術を記録し、写真を撮った。すべての場合において、切除した検体の大きさを測定し、組織評価によって表面を評定した。
【0045】
5回のEMRは、肛門縁から18cmと25cmの間のS字結腸内に定めた。最初の粘膜隆起の高さは、2つの場合で大、2つの場合で中、および1つの場合で小であった。ポリマー注入後、針の位置を変えなかった。注入した平均体積は、6±2.5mL(範囲、3〜10mL)であり、切除した検体の平均的な大きさは、2.6±1.1cm(範囲0.9〜4cm)であった。切除の平均時間は、5±2分(範囲、2〜8分)であった。切
除中、粘膜下と粘膜との間に大量のゲルが観察された。漿膜表面における熱傷は観察されず、穿孔は報告されなかった。電気メス設定に変える必要はなかった。1つの場合では、粘膜下血管からの一時的な出血が観察された。組織検査は、粘膜下層がすべての検体中に存在することを示した。
【0046】
均等物
当業者は、本明細書に記載する本発明の特定の実施形態の多くの均等物を、ルーチン実験のみを用いて認識するか、または確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
なお、原出願(特願2010−536215)の出願当初の特許請求の範囲は以下の通りである。
[請求項1] 哺乳動物における胃腸粘膜切除のための内視鏡手術における、精製逆感熱性ポリマーを含む組成物の使用。
[請求項2] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーである請求項1に記載の使用。
[請求項3] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項1に記載の使用。
[請求項4] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407、ポロキサマー338、ポロキサマー118、ポロキサマー237、Tetronic(登録商標)1107およびTetronic(登録商標)1307からなる群より選択される請求項1に記載の使用。
[請求項5] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407である請求項1に記載の使用。
[請求項6] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー237である請求項1に記載の使用。
[請求項7] 前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有する請求項1に記載の使用。
[請求項8] 前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有する請求項1に記載の使用。
[請求項9] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%である請求項1に記載の使用。
[請求項10] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有する請求項1に記載の使用。
[請求項11] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有する請求項1に記載の使用。
[請求項12] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有し、前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項1に記載の使用。
[請求項13] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有し、前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項1に記載の使用。
[請求項14] 前記組成物が、約5%〜約35%の前記精製逆感熱性ポリマーを含む請求項1に記載の使用。
[請求項15] 前記組成物が、約10%〜約30%の前記精製逆感熱性ポリマーを含む求項1に記載の使用。
[請求項16] 前記精製逆感熱性ポリマーが、約1.5〜約1.0の多分散度を有する請求項1に記載の使用。
[請求項17] 前記精製逆感熱性ポリマーが、約1.2〜約1.0の多分散度を有する請求項1に記載の使用。
[請求項18] 前記組成物が、コントラスト増強剤をさらに含む請求項1に記載の使用。
[請求項19] 前記コントラスト増強剤が、放射線不透過性材料、常磁性材料、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料および放射性核種含有材料からなる群より選択される請求項18に記載の使用。
[請求項20] 前記哺乳動物がヒトである、請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
[請求項21] 精製逆感熱性ポリマーを含む有効量の組成物を哺乳動物における胃腸粘膜の1領域に粘膜下投与するステップと、胃腸粘膜の前記領域を外科切除するステップを含む胃腸の粘膜切除方法。
[請求項22] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーである請求項21に記載の方法。
[請求項23] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項21に記載の方法。
[請求項24] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407、ポロキサマー338、ポロキサマー118、ポロキサマー237、Tetronic(登録商標)1107およびTetronic(登録商標)1307からなる群より選択される請求項21に記載の方法。
[請求項25] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407である請求項21に記載の方法。
[請求項26] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー237である請求項21に記載の方法。
[請求項27] 前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有する請求項21に記載の方法。
[請求項28] 前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有する請求項21に記載の方法。
[請求項29] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%である請求項21に記載の方法。
[請求項30] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有する請求項21に記載の方法。
[請求項31] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有する請求項21に記載の方法。
[請求項32] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有し、前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項21に記載の方法。
[請求項33] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でのその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有し、前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項21に記載の方法。
[請求項34] 前記組成物が、約5%〜約35%の前記精製逆感熱性ポリマーを含む請求項21に記載の方法。
[請求項35] 前記組成物が、約10%〜約30%の前記精製逆感熱性ポリマーを含む請求項21に記載の方法。
[請求項36] 前記精製逆感熱性ポリマーが、約1.5〜約1.0の多分散度を有する請求項21に記載の方法。
[請求項37] 前記精製逆感熱性ポリマーが、約1.2〜約1.0の多分散度を有する請求項21に記載の方法。
[請求項38] 前記組成物が、コントラスト増強剤をさらに含む請求項21に記載の方法。
[請求項39] 前記コントラスト増強剤が、放射線不透過性材料、常磁性材料、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種含有材料からなる群より選択される請求項38に記載の方法。
[請求項40] 前記哺乳動物が、ヒトである請求項21〜39のいずれかに記載の方法。
[請求項41] 精製逆感熱性ポリマーを含む組成物、注射器およびそれらの使用説明書を含む、哺乳動物における胃腸の内視鏡的粘膜切除において使用するためのキット。
[請求項42] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーである請求項41に記載のキット。
[請求項43] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項41に記載のキット。
[請求項44] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407、ポロキサマー338、ポロキサマー118、ポロキサマー237、Tetronic(登録商標)1107およびTetronic(登録商標)1307からなる群より選択される請求項41に記載のキット。
[請求項45] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー407である請求項41に記載のキット。
[請求項46] 前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマー237である請求項41に記載のキット。
[請求項47] 前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有する請求項41に記載のキット。
[請求項48] 前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有する請求項41に記載のキット。
[請求項49] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%である請求項41に記載のキット。
[請求項50] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有する請求項41に記載のキット。
[請求項51] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有する請求項41に記載のキット。
[請求項52] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約10℃と約40℃の間の転移温度を有し、前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項41に記載のキット。
[請求項53] 生理温度での前記組成物の体積が、その転移温度より下でその体積の約80%〜約120%であり、前記組成物が、約15℃と約30℃の間の転移温度を有し、前記精製逆感熱性ポリマーが、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される請求項41に記載のキット。
[請求項54] 前記組成物が、約5%〜約35%の前記精製逆感熱性ポリマーを含む請求項41に記載のキット。
[請求項55] 前記組成物が、約10%〜約30%の前記精製逆感熱性ポリマーを含む請求項41に記載のキット。
[請求項56] 前記精製逆感熱性ポリマーが、約1.5〜約1.0の多分散度を有する請求項41に記載のキット。
[請求項57] 前記精製逆感熱性ポリマーが、約1.2〜約1.0の多分散度を有する請求項41に記載のキット。
[請求項58] 前記組成物が、コントラスト増強剤をさらに含む請求項41に記載のキット。
[請求項59] 前記コントラスト増強剤が、放射線不透過性材料、常磁性材料、重原子、遷移金属、ランタニド、アクチニド、染料、および放射性核種含有材料からなる群より選択される請求項58に記載のキット。
[請求項60] 前記哺乳動物が、ヒトである請求項41〜59のいずれかに記載のキット。