(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力発生手段と前記電力変換手段の間に設けられ、前記電力発生手段の出力端における反射波電力が所定値以下となるように、前記出力端から前記負荷側をみたインピーダンスを調整するインピーダンス調整手段を、さらに備える、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の直流電力供給装置。
前記インピーダンス調整手段と前記電力変換手段との間に互いに磁気結合された一対のコイルが設けられ、前記電力発生手段から出力された交流電力が前記一対のコイルを介して非接触で前記電力変換手段に伝送される、
ことを特徴とする請求項9に記載の直流電力供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る直流電力供給装置の実施形態として、電気自動車等に内蔵された二次電池を充電する充電装置を例に説明する。
図1は、本発明に係る充電装置全体の構成例を示すブロック図である。
【0024】
図1に示す充電装置は、非接触電力伝送システム1を利用して受電装置3内の二次電池34(充電式電池。以下、バッテリ34という。)を充電する構成である。非接触電力伝送システム1は、磁気共鳴方式により送電装置2から受電装置3に数MHz〜数百MHzの高周波交流電力を非接触で伝送するシステムである。なお、本実施形態では、13.56MHzの高周波交流電力を非接触で伝送するシステムを例にとって説明する。
図1のブロック構成では、バッテリ34を除いた部分が充電装置の構成となる。バッテリ34を非接触で充電する非接触電力伝送システム1として、電気自動車に搭載されたバッテリを充電する充電システムが周知である。以下の説明では、電気自動車の充電システムを例に説明する。
【0025】
送電装置2は、高周波電源21、インピーダンス整合器22、送電部23、制御部24、および通信ユニット25を含み、受電装置3は、受電部31、整流平滑回路32、電圧・電流検出器33、バッテリ34および通信ユニット35を含んで構成される。
【0026】
高周波電源21は、商用電源から入力される商用電力(交流電力)を全波整流し、直流電力に変換する整流回路211と、整流回路211から入力される直流電力を高周波交流電力に変換する高周波インバータ回路212と、高周波電源21の出力端Aで進行波電力P
fと反射波電力P
rを検出する電力検出器213と、を含んで構成される。高周波インバータ回路212は、制御部24からドライブ信号S
dが入力され、当該ドライブ信号S
dに基づき、内蔵するスイッチング素子をオンオフさせ、所定周波数(13.56MHz)の高周波交流電力がオン状態になるハイレベル期間と、高周波交流電力がオフ状態になるローレベル期間を有するパルス状の高周波交流電力を発生させる。また、高周波インバータ回路212は、所定周波数(13.56MHz)の高周波交流電力の振幅が第1レベルになるハイレベル期間と、高周波交流電力の振幅が第1レベルより低い第2レベルになるローレベル期間と、を有するパルス状の高周波交流電力を発生させるようにしてもよい。(請求項において、「第1期間」が上記ハイレベル期間に、「第2期間」が上記ローレベル期間に相当。)
【0027】
整流回路211は、商用電源より入力される交流電力から高周波インバータ回路212への入力電力P
CC(直流電圧V
CC)を生成するブロックである。整流回路211は、例えば、4個の半導体整流素子をブリッジ接続した整流回路で商用電源から入力される商用電圧(例えば、AC100[V])を全波整流し、整流後のレベルを平滑回路で平滑化して直流電圧V
CCを生成する周知の電源回路で構成される。なお、本発明の実施形態では、整流回路211に平滑回路を備えていなくてもよい。
【0028】
高周波インバータ回路212は、整流回路211から入力される直流電力を、制御部24から入力されるドライブ信号S
dに基づき、ハイレベル期間とローレベル期間とを有するパルス状の高周波交流電力に変換して、出力するブロックである。高周波インバータ回路212の直流入力部には、高周波電流を供給するキャパシタを備えている。
【0029】
高周波インバータ回路212は、例えば、
図2に示すハーフブリッジ型のスイッチング・アンプで構成される。同図に示すスイッチング・アンプは、一対の電源端子b、b’の間に2つの同一タイプの半導体スイッチング素子Q
Bの直列回路を接続したスイッチング回路と、そのスイッチング回路にドライブ信号を入力するドライブ回路と、そのスイッチング回路から出力される高周波交流電力を外部に出力する出力回路と、で構成される。
【0030】
ドライブ回路は、一次巻線に、互いに逆方向に巻かれた2つの二次巻線を結合したトランスT1で構成される。トランスT1の一次巻線には、制御部24から出力されるドライブ信号S
d(出力制御信号S
dともいう)が入力され、トランスT1の一方の二次巻線(
図2では上側の巻線)からドライブ信号S
dと同相の高周波信号v’が出力され、トランスT1の他方の二次巻線(
図2では下側の巻線)からドライブ信号S
dと逆相の高周波信号−v’が出力される。
【0031】
出力回路は、キャパシタC
1とインダクタが直列接続された共振回路と、インダクタとキャパシタC
2がL型接続されたインピーダンス変換回路と、を接続したフィルタ回路と絶縁用のトランスT2で構成される。
図2のインダクタL
1は、共振回路のインダクタとインピーダンス変換回路のインダクタを兼ねている。フィルタ回路は、スイッチング回路よりパルス出力される高周波交流電力から直流成分と不要な高周波成分(ノイズ成分)を除去する。フィルタ回路から出力される高周波交流電力は、トランスT2の一次巻線に入力される。トランスT2の二次巻線からパルス出力された高周波交流電力P
out(高周波交流電圧V
out)は、インピーダンス整合器22に出力される。
【0032】
一対の半導体スイッチング素子Q
BにはNチャネル型のMOSFETが用いられるが、バイポーラトランジスタ等の他の種類のトランジスタを用いることができる。また、一対の半導体スイッチング素子Q
BをNチャネル型とPチャネル型を組み合わせたコンプリメンタル型にしてもよい。この場合は、トランスT1の二次巻線は1つでよく、高周波電圧v’のパルス出力をそれぞれNチャネル型MOSFETとPチャネル型MOSFETのゲートに入力すればよい。本実施形態では、高周波インバータ回路212をハーフブリッジ型のスイッチング・アンプで構成しているが、フルブリッジ型やプッシュプル型のスイッチング・アンプなどにより構成してもよい。また、本実施形態では、ドライブ回路にトランスT1を用いているが、矩形波の信号でドライブする場合は、デジタル・アイソレータを用いて構成することもできる。
【0033】
ドライブ信号S
dをS
d=V・sin(2πf・t+φ)(f:基本周波数、φ:初期位相)とすると、トランスT1の一次巻線にドライブ信号S
dが入力されている期間では、トランスT1の一方の二次巻線から同相の高周波電圧v’=V’・sin(2πf・t+φ)が出力され、トランスT1の他方の二次巻線から逆相の高周波電圧−v’=−V’・sin(2πf・t+φ)が出力される。同相の高周波電圧v’は、一方の半導体スイッチング素子Q
B(
図2では上側の半導体スイッチング素子Q
B)に入力され、逆相の高周波電圧−v’は、他方の半導体スイッチング素子Q
B(
図2では下側の半導体スイッチング素子Q
B)に入力される。2つの半導体スイッチング素子Q
Bは、Nチャネル型MOSFETであるから、一方の半導体スイッチング素子Q
Bは、高周波電圧v’がハイレベルのときにオン動作をし、他方の半導体スイッチング素子Q
Bは、高周波電圧−v’がハイレベルのときにオン動作をする。従って、2つの半導体スイッチング素子Q
Bは、高周波電圧v’の半周期毎に交互にオンオフ動作を繰り返す。
【0034】
2つの半導体スイッチング素子Q
Bが交互にオンオフ動作を繰り返すことによって、接続点aの電圧V
aはv’>0の期間に「V
CC」となり、v’≦0の期間にゼロレベルとなるように矩形波状に変化する。出力回路のフィルタ回路でその矩形波出力から直流成分とスイッチングノイズが除去されて、絶縁用のトランスT2を介して高周波交流電圧V
outが出力端子c、c’から出力される。
【0035】
電力検出器213は、高周波インバータ回路212から出力される高周波交流電力の進行波電力P
fおよび反射波電力P
rを検出するものであり、例えば、双方向性結合器と、その双方向性結合器から出力される進行波検出信号V
fと反射波検出信号V
rを検出する一対の電圧計と、進行波検出信号V
fと反射波検出信号V
rをそれぞれ進行波電力P
fと反射波電力P
rに変換する変換器とで構成される。電力検出器213で検出された進行波電力P
fと反射波電力P
rは制御部24に入力される。
【0036】
インピーダンス整合器22は、高周波電源21から出力された進行波がインピーダンス整合器22の入力部で反射される量(反射波電力P
r)を抑えるために、高周波電源21の出力端Aから負荷側を見たインピーダンスZ
A(以下、「負荷側インピーダンスZ
A」)を調整するものである。インピーダンス整合器22は、例えば、第1のキャパシタ(図示しない)、インダクタ(図示しない)、および第2のキャパシタ(図示しない)をπ型に接続したπ型回路で構成される。高周波電源21は、特性インピーダンスZ
o(例えば、50[Ω])の負荷が接続された場合に最適な伝送効率で高周波交流電力を出力するように設計されている。制御部24は、負荷側インピーダンスZ
Aが特性インピーダンスZ
Oとなって、高周波電源21に戻ってくる反射波電力P
rが小さくなるように、インピーダンス整合器22を制御する。例えば、制御部24は、電力検出器213から入力される反射波電力P
rをモニタしながら、第1、第2のキャパシタの各キャパシタンスやインダクタのインダクタンスを変化させ、反射波電力P
rが所定値以下となる値に設定する。なお、インピーダンス整合器22は、π型回路の他、L型回路、逆L型回路、T型回路などで構成されていてもよい。また、インピーダンス整合器22は、フェライトコアと一次巻線と二次巻線からなるトランスを用い、その巻数比を変化させて、インピーダンスを変化させるものであってもよい。
【0037】
送電部23は、インピーダンス整合器22から出力される高周波交流電力を受電装置3の受電部31に無線で伝送する。送電部23は、例えば、複数ターンの円形コイルからなるインダクタ231とそのインダクタ231に直列に接続されたキャパシタ232との直列共振回路で構成される。送電部23では、直列共振回路の直列共振周波数f
o(=1/[2π・√(L・C)])(L:インダクタ231の自己インダクタンス、C:キャパシタ232のキャパシタンス)が高周波電源21から出力される高周波交流電力の周波数f
g(以下、電源周波数f
g)[MHz]に調整されている。
【0038】
制御部24は、ROM、RAM、CPUなどを備えるマイクロコンピュータやFPGA(Field−Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成される。制御部24は、後述する電圧・電流検出器33から入力される電流値(直流電流)・電圧値(直流電圧)が設定電流や設定電圧になるように、高周波電源21の高周波インバータ回路212にドライブ信号S
dを出力し、高周波電源21から出力される高周波交流電力を制御する。
【0039】
本実施形態では、バッテリ34は、一般に電気自動車に搭載されるリチウム・イオン電池である。リチウム・イオン電池は、定電流で充電を開始し、電池電圧が所定の電圧に上昇すると、定電圧に切り換えて充電電流が所定の電流に変化するまで充電を行う定電流定電圧充電方式の二次電池である。制御部24は、定電流定電圧充電方式によるバッテリ34の充電プロセスにおける定電流充電制御と定電圧充電制御を高周波電源21から出力される高周波交流電力(出力電力)を制御することによって実現する。この制御部24についての詳細は、後述する。
【0040】
通信ユニット25は、受電装置3内に設けられた通信ユニット35と無線通信を行って、受電装置3から電圧・電流検出器33で検出されたバッテリ34の充電電流I
jと電池電圧V
jの検出データを受信する。通信ユニット25は、受信回路、周波数変換回路および復調回路を含み、受信回路で通信ユニット35から送信される無線通信信号を受信し、周波数変換回路でその無線通信信号の周波数を所定の低周波に変換した後、復調回路で充電電流I
jと電池電圧V
jの検出データを復調する。通信ユニット25が受信した充電電流I
jと電池電圧V
jの検出データは制御部24に入力される。
【0041】
受電部31は、送電装置2の送電部23との間で磁界結合をして送電部23からパルス状の高周波交流電力を受電する。受電部31は、送電部23と同一の構成を有し、複数ターンの円形コイルからなるインダクタ311とそのインダクタ311に直列に接続されたキャパシタ312との直列共振回路で構成される。受電部31も、直列共振回路の直列共振周波数f
o(=1/[2π・√(L・C)])(L:インダクタ311の自己インダクタンス、C:キャパシタ312のキャパシタンス)が電源周波数f
g[MHz]に調整されている。
【0042】
整流平滑回路32は、受電部31から出力される高周波交流を整流し、平滑化する。整流平滑回路32は、例えば、4個の整流素子をブリッジ回路構成にした整流回路部と、コンデンサを用いた平滑回路部で構成される。送電部23から出力する周波数がHF帯の場合、4個の整流素子にはショートキーバリアーダイオードが用いられる。なお、整流素子には素子内部に並列にキャパシタが形成され、HF帯では、このキャパシタを通して進相の高周波電流が流れるので、この進相の高周波電流をキャンセルするためにブリッジ回路の入力端に、インダクタを並列接続したり、インダクタを直列接続したりするとよい。
【0043】
電圧・電流検出器33は、直流電圧計と直流電流計を含み、直流電圧計で整流平滑回路32からバッテリ34に印加される直流電圧(電池電圧)V
jを計測し、直流電流計で整流平滑回路32からバッテリ34に供給される直流電流(充電電流)
jを計測する。電圧・電流検出器33で検出された電池電圧V
jと充電電流I
jは、通信ユニット35、25を介して、送電装置2の制御部24に入力される。電圧・電流検出器33が検出する電池電圧V
jと充電電流I
jは、後述するキャリア条件設定部24Hに設定されるキャリア信号の所定周期(例えば1周期)ごとの平均値により測定される。もしくは、キャリア信号発生部24Iから出力されるキャリア信号S
FLの所定周期であってもよく、比較部24Jから出力されるオンオフ信号S
ON-OFFの所定周期であってもよい。さらに、送電装置2から出力されたパルス状の高周波交流電力に基づき、1つのハイレベル期間と1つのローレベル期間とを1周期として、所定周期毎の平均値により測定するようにしてもよい。
【0044】
バッテリ34は、充電により電池として繰り返し使用可能な二次電池で、例えば、ニッケル水素電池、ニッカド電池、リチウム・イオン電池等が含まれる。なお、鉛蓄電池であってもよい。本実施形態では、
図3に示す充電特性を有するリチウム・イオン電池である例を説明する。
【0045】
通信ユニット35は、送電装置2内に設けられた通信ユニット25と無線通信を行って、電圧・電流検出器33で検出されたバッテリ34の充電電流I
jと電池電圧V
jの検出データを送電装置2に送信する。通信ユニット35は、変調信号生成回路、キャリア発生回路、変調回路および送信回路を含み、変調信号生成回路で充電電流I
jおよび電池電圧V
jの情報を含む変調信号を生成し、キャリア発生回路で発生したキャリア信号を所定の変調方式により変調回路で変調して通信用信号を生成し、送信回路でその通信用信号を増幅した後、アンテナを介して空中に放射する(通信ユニット25に送信する)。
【0046】
次に、本実施形態に係る制御部24のフィードバック制御による高周波電源21から出力される高周波交流電力の出力制御について、説明する。
図4は、制御部24の高周波電源21の出力電力を制御する制御系の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、制御部24は、3個の加算器24A、24B、24Fと、3個の誤差増幅部24C、24D、24Gと、制御切換部24Eと、キャリア条件設定部24Hと、キャリア信号発生部24Iと、比較部24Jと、高周波条件設定部24Kと、高周波信号発生部24Lと、ドライブ信号発生部24Mと、出力停止制御部24Nと、を含んで構成される。
【0047】
本実施形態では、高周波電源21の出力電力を制御することによってバッテリ34の定電流充電と定電圧充電の両制御を行うので、制御部24には、定電流充電制御に基づいて出力制御信号S
dを生成する処理回路と定電圧充電制御に基づいて出力制御信号S
dを生成する処理回路とが設けられている。加算器24Aおよび誤差増幅部24Cは、定電圧充電制御に基づいて、出力制御信号S
dを生成する処理回路であり、加算器24Bおよび誤差増幅部24Dは、定電流充電制御に基づいて、出力制御信号S
dを生成する処理回路である。
【0048】
バッテリ34は、使用したい電圧や容量に合わせて直並列できるリチウム・イオン電池が使用される。リチウム・イオン電池は一般に、
図3に示すように、充電開始からバッテリ34の電池電圧V
jが所定の電圧V
thに上昇するまでは定電流充電制御が行われ、電池電圧V
jが電圧V
thに上昇した後は充電電流I
jが最低充電電流I
jminに低下するまで定電圧充電制御が行われる。制御部24には、ユーザによってバッテリ34の定電流充電制御における定電流値I
cjと、定電圧充電制御における定電圧値V
cjと、最低充電電流I
jminと、電圧V
thが設定される。
【0049】
加算器24Aは、定電圧充電制御における定電圧値V
cjと電圧・電流検出器33で検出された電池電圧V
jの差電圧ΔV
j(=V
cj−V
j)を演算し、誤差増幅部24Cはその差電圧ΔV
jに所定のフィードバックゲインを乗じて高周波電源21の出力電力の制御目標値P
CVを生成する処理を行う。加算器24Bは、定電流充電制御における定電流値I
cjと電圧・電流検出器33で検出された充電電流I
jの差電流ΔI
j(=I
cj−I
j)を演算し、誤差増幅部24Dはその差電流ΔI
jに所定のフィードバックゲインを乗じて高周波電源21の出力電力の制御目標値P
CIを生成する処理を行う。
【0050】
制御切換部24Eは、定電圧充電制御と定電流充電制御を切り換える処理を行うものである。具体的には、加算器24Fに出力する、差電圧ΔV
jに基づく制御目標値P
CVと差電流ΔI
jに基づく制御目標値P
CIとを切り換える制御を行う。制御切換部24Eには、ユーザによって設定された電圧V
th(定電流充電制御を定電圧充電制御に切り換える電池電圧V
jの閾値)と電圧・電流検出器33で検出された電池電圧V
jとが入力され、制御切換部24Eは、電池電圧V
jと電圧V
thを比較し、V
j<V
thであれば、差電流ΔI
jに基づく制御目標値P
CIを加算器24Fに出力し、V
j≧V
thであれば、差電圧ΔV
jに基づく制御目標値P
CVを加算器24Fに出力する。
【0051】
加算器24Fと誤差増幅部24Gは、制御目標値P
CVまたは制御目標値P
CIと電力検出器213で検出された進行波電力P
fとの差電力ΔP
fに基づいて、制御信号SΔ
Pを生成する処理回路である。加算器24Fには、電力検出器213で検出された進行波電力P
fが入力され、加算器24Fは、その進行波電力P
fと制御切換部24Eから入力される制御目標値P
CVまたは制御目標値P
CIとの差電力ΔP
f(=P
CV−P
fまたはP
CI−P
f)を演算する。そして、誤差増幅部24Gは、その差電力ΔP
fに所定のフィードバックゲインを乗じた制御信号SΔ
Pを後述する比較部24Jに出力する。
【0052】
キャリア条件設定部24Hは、予め設定されたプログラムによって生成されるキャリア信号S
FLの周波数f
p、振幅A等のパラメータを、キャリア信号発生部24Iに設定する。周波数f
pは、例えば、後述する高周波条件設定部24Kに設定される高周波電圧V
oの周波数f(13.56MHz)に対して百分の1〜千分の1の低い周波数が設定される。なお、キャリア信号S
FLの周波数f
p、振幅A等のパラメータは、利用者によって変更可能なようにしておいてもよい。
【0053】
キャリア信号発生部24Iは、キャリア条件設定部24Hに設定された周波数f
p、振幅A等のパラメータに基づき、鋸波形状(鋸型)または三角波状のキャリア信号S
FLを発生させ、比較部24Jに出力する。以下、鋸型のキャリア信号S
FLを用いて説明する。
【0054】
比較部24Jは、誤差増幅部24Gから入力される制御信号SΔ
Pとキャリア信号発生部24Iから入力されるキャリア信号S
FLとを比較して、後述する高周波信号発生部24Lでの高周波信号の発生を制御するためのパルス信号(以下、オンオフ信号)S
ON-OFFを生成して出力する。具体的には、比較部24Jは、誤差増幅部24Gから入力される制御信号SΔ
Pとキャリア信号発生部24Iから入力される鋸型のキャリア信号S
FLを比較し、制御信号SΔ
Pがキャリア信号S
FLより大きいときにオン電圧となるように、一方、制御信号SΔ
Pがキャリア信号S
FL以下のときにオフ電圧となるように、オンオフ信号S
ON-OFFを生成する。よって、比較部24Jから出力されるオンオフ信号S
ON-OFFは、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pに応じて、パルス幅(あるいはデューティ比)が調整される。
【0055】
高周波条件設定部24Kは、予め設定されたプログラムによって生成される高周波電圧V
oの周波数f(13.56MHz)、初期位相φ等のパラメータを、高周波信号発生部24Lに設定する。なお、高周波電圧V
oの周波数f、初期位相φ等のパラメータは、利用者によって変更可能なようにしておいてもよい。
【0056】
高周波信号発生部24Lは、高周波条件設定部24Kから入力される周波数fおよび初期位相φ、比較部24Jから入力されるオンオフ信号S
ON-OFFに基づき、高周波信号がオン状態または高周波信号の振幅がハイレベルになるハイレベル期間と、高周波信号がオフ状態または高周波信号の振幅がハイレベルより低いローレベルになるローレベル期間と、をオンオフ信号S
ON-OFFの周波数で交互に繰り返すパルス状の高周波信号S
FHを生成する。具体的には、比較部24Jから入力されるオンオフ信号S
ON-OFFがオン電圧のとき、例えばダイレクト・デジタル・シンセサイザーによりA
n・sin(2πf・t+φ)(A
n:既定の振幅)で表わされる正弦波の高周波電圧V
o(高周波信号S
F)を発生させ、オンオフ信号S
ON-OFFがオフ電圧のとき、高周波電圧V
oを発生させない。これにより、高周波信号がオン状態になるハイレベル期間と高周波信号がオフ状態になるローレベル期間とを有するパルス状の高周波信号S
FHが生成される(後述する
図6(c))。そして、高周波信号発生部24Lは、生成したパルス状の高周波信号S
FHをドライブ信号発生部24Mに出力する。
【0057】
または、比較部24Jから入力されるオンオフ信号S
ON-OFFがオン電圧のとき、上記ダイレクト・デジタル・シンセサイザーによりA
1・sin(2πf・t+φ)(A
1:ハイレベルの振幅)で表わされる正弦波の高周波電圧V
o(高周波信号S
F)を発生させ、オンオフ信号S
ON-OFFがオフ電圧のとき、A
2・sin(2πf・t+φ)(A
2:ローレベルの振幅;0≦A
2<A
1)で表わされる正弦波の高周波電圧V
o(高周波信号S
F)を発生させる。これにより、高周波信号の振幅がハイレベルになるハイレベル期間と高周波信号の振幅がローレベルになるローレベル期間とを有するパルス状の高周波信号S
FHが生成される。なお、以下、本実施形態の説明では、高周波信号発生部24Lは、オン状態になるハイレベル期間とオフ状態になるローレベル期間を有するパルス状の高周波信号S
FHを生成する例を説明する。
【0058】
ドライブ信号発生部24Mは、高周波信号発生部24Lにより入力されるパルス状の高周波信号S
FHに基づき、高周波インバータ回路212のドライブ回路を駆動するためのドライブ信号(出力制御信号)S
dを発生させ、高周波インバータ回路212のドライブ回路に出力する。
【0059】
出力停止制御部24Nは、高周波電源21の電力出力を停止させる(バッテリ34の充電を停止する)処理を行う。出力停止制御部24Nは、定電圧充電制御でバッテリ34の充電電流I
jが最低充電電流I
jminに低下すると、充電完了と見做して高周波電源21の電力出力を停止させる。また、電力検出器213による反射波電力P
rの検出値がユーザによって予め設定されたP
rthを超える場合も、反射波電力により高周波電源21の損失が増加したり、高周波電源21とインピーダンス整合器22との間の無効電力が増加したりするため、高周波電源21の電力出力を停止させる。
【0060】
出力停止制御部24Nには、ユーザによって設定された反射波電力の閾値P
rthおよび最低充電電流I
jminと、電圧・電流検出器33による充電電流I
jの検出値と、電力検出器213による反射波電力P
rの検出値が入力される。出力停止制御部24Nは、反射波電力P
rの検出値と閾値P
rthを比較し、P
rth<P
rであれば、出力停止信号S
stopを誤差増幅部24C、24Dに出力する。また、出力停止制御部24Nは、充電電流I
jの検出値と最低充電電流I
jminを比較し、I
j≦I
jminになると、出力停止信号S
stopを誤差増幅部24C、24Dに出力する。誤差増幅部24C、24Dは、出力停止信号S
stopが入力されると、出力電力の制御目標値P
CV、P
CIをゼロにする。これにより、高周波電源21からの出力電力をゼロにする出力制御信号S
dが高周波電源21に出力されるので、高周波電源21の出力電力が強制的にゼロとなるように制御される。
【0061】
次に、本実施形態に係る制御部24が行う高周波電源21の電力出力制御の処理について、
図5、
図6を用いて説明する。以下の説明では、バッテリ34の残容量が「充電要」となったので、電気自動車が所定の充電位置に駐車され、受電装置3から送電装置2に出力される電力供給要求に基づいて制御部24が高周波電源21の出力を制御する場合について説明する。なお、受電装置3から送電装置2に出力される電力供給要求は、例えば、通信ユニット35、25による無線通信によって行われる。また、制御部24は、電力検出器213からの反射波電力P
rの検出値に基づき、インピーダンス整合器22のインピーダンス調整や出力停止処理を行うが、これらの処理についての詳細は割愛する。
【0062】
上述する受電装置3から送電装置2に出力される電力供給要求により、高周波電源21からの電力出力が開始されると、制御部24は、電圧・電流検出器33で検出された電池電圧V
jと充電電流I
jを、通信ユニット35、25を介して、読み込む(ステップS101)。ここで、電圧・電流検出器33は、電池電圧V
jと充電電流I
jを検出するとき、キャリア信号発生部24Iが発生するキャリア信号S
FLの周期または比較部24Jから出力されるオンオフ信号S
ON-OFFの周期毎の平均値によりそれらの値を検出する。そして、制御部24は、電池電圧V
jが予め設定された電圧V
th以上であるか否かを判別する(ステップS103)。制御部24は、V
j<V
thであれば(ステップS103;NO)、ステップS107に移行して定電流充電制御を行う。一方、V
j≧V
thであれば(ステップS103;YES)、電圧・電流検出器33で検出された充電電流I
jと予め設定された最低充電電流I
jminを比較し(ステップS105)、I
j>I
jmin(ステップS105;YES)であれば、ステップS111に移行して定電圧充電制御を行う。
【0063】
通常、バッテリ34が満充電状態でなければ、出力制御の開始後の最初のステップS103の処理ではV
j<V
thとなるので、制御部24は、ステップS107に移行して最初に定電流充電制御で受電装置3への高周波交流電力の供給を制御し(バッテリ34を定電流制御で充電し)、この定電流充電制御で電池電圧V
jが閾値V
thに上昇すると(ステップS103;YES)、定電圧充電制御に切り換えて受電装置3への高周波交流電力の供給を制御する(バッテリ34を定電圧制御で充電する)。
【0064】
定電流充電制御では、制御部24は、予め設定された定電流I
cjと電圧・電流検出器33で検出された充電電流I
jの差電流ΔI
j(=I
cj−I
j)を算出し(ステップS107)、その差電流ΔI
jに所定のフィードバックゲインを乗じて制御目標値P
CIを生成する(ステップS109)。その後、さらに、その制御目標値P
CIと電力検出器213で検出された進行波電力P
fとの差電力ΔP
f(=P
CI−P
f)を算出し、誤差増幅部24Gは、その差電力ΔP
fに所定のフィードバックゲインを乗じて、制御信号SΔ
P(
図6(a)破線)を生成する(ステップS115)。そして、誤差増幅部24Gは、生成した制御信号SΔ
Pを比較部24Jに出力する。このとき、キャリア信号発生部24Iは、キャリア条件設定部24Hに設定されるキャリア条件を満たす鋸波形状のキャリア信号S
FL(
図6(a)実線)を発生させ、比較部24Jに出力する。
【0065】
続いて、比較部24Jは、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pとキャリア信号発生部24Iからの所定周波数のキャリア信号S
FLを比較し、その比較結果となるオンオフ信号S
ON-OFF(
図6(b))を生成し、高周波信号発生部24Lに出力する(ステップS117)。具体的には、比較部24Jは、制御信号SΔ
Pがキャリア信号S
FLより大きいとき(T1)には、オン電圧になるように、一方、制御信号SΔ
Pがキャリア信号S
FL以下のとき(T2)には、オフ電圧となるように、オンオフ信号S
ON-OFFを生成する。
【0066】
高周波信号発生部24Lは、入力されるオンオフ信号S
ON-OFFがオン電圧であるときに、高周波条件設定部24Kに設定される高周波条件の高周波信号を発生させ、オンオフ信号S
ON-OFFがオフ電圧であるときに、高周波信号を発生させない。これにより、高周波信号発生部24Lは、高周波信号がオン状態になるハイレベル期間と高周波信号がオフ状態になるローレベル期間とをオンオフ信号S
ON-OFFの周波数で交互に繰り返すパルス状の高周波信号S
FH(
図6(c))を生成し、ドライブ信号発生部24Mに出力する(ステップS119)。
【0067】
ドライブ信号発生部24Mは、高周波信号発生部24Lから出力されるパルス状の高周波信号S
FHに基づき、ドライブ回路を駆動させるための、ドライブ信号S
d(
図6(c)と同様の波形)を発生させ、高周波インバータ回路212のドライブ回路に出力する(ステップS121)。高周波インバータ回路212は、このドライブ信号S
dに基づき、ドライブ回路を動作させ、パルス状の高周波交流電力を生成し、受電装置3に供給する。高周波インバータ回路212から出力される高周波交流電力は、進行波電力P
fに相当するので、受電装置3にはその進行波電力P
fから反射が電力P
rを差し引いた電力P
L(=P
f−P
r)が供給される。
【0068】
その後、定電流充電制御で電池電圧V
jが閾値V
thに上昇すると(ステップS103;NO)、制御部24は、ステップS105の判定処理を行うが、この時には充電電流I
jはI
jmin<I
jであるので、制御切換部24Eは、ステップS111に移行し、定電圧充電制御に切り換えて高周波電源21の出力電力の制御を行う。
【0069】
定電圧充電制御では、制御部24は、予め設定された定電圧V
cjと電圧・電流検出器33で検出された電池電圧V
jの差電圧ΔV
j(=V
cj−V
j)を算出し(ステップS111)、その差電圧ΔV
jに所定のフィードバックゲインを乗じて制御目標値P
CVを生成する(ステップS113)。その後、さらに、その制御目標値P
CVと電力検出器213で検出された進行波電力P
fとの差電力ΔP
f(=P
CV−P
f)を算出し、誤差増幅部24Gは、その差電力ΔP
fに所定のフィードバックゲインを乗じて、制御信号SΔ
P(
図6(a)破線)を生成する(ステップS115)。その後、定電流充電制御の場合と同様に、ステップS117〜ステップS121の処理が行われ、高周波インバータ回路212のドライブ回路にドライブ信号発生部24Mが生成したドライブ信号S
dが入力され、高周波インバータ回路212からパルス状の高周波交流電力が出力され、受電装置3に電力が供給される。
【0070】
この定電圧充電制御により、バッテリ34に充電が行われていき、充電電流I
jが最低充電電流I
jminに低下し、I
j≦I
jminとなると(ステップS105;NO)、出力停止制御部24Nは、充電が完了したと見做して、ステップS123に移行し、出力停止制御部24Nにより出力停止処理が行われ、電力出力制御を終了する。
【0071】
以上のように、制御部24が高周波電源21の高周波インバータ回路212を制御することで、高周波電源21からパルス状の高周波交流電力が出力され、制御目標値P
CV、P
CIに応じて調整された出力電力がバッテリ34に供給される。
【0072】
次に、バッテリ34に供給される電力(高周波電源21からの出力電力)が制御目標値P
CVまたはP
CIに対して、大きい状態のときと小さい状態のときとの各出力信号の波形を、
図7を用いて説明する。
【0073】
まず、高周波電源21から出力される進行波電力P
fが制御目標値P
CVまたはP
CIよりも大きい状態のときについて説明する。この状態では、進行波電力P
fが制御目標値P
CVまたはP
CIを上回っているため、その差電力ΔP
f(=P
CV−P
fまたはP
CI−P
f)は負の値となる。この状態では、
図7(a)に示すように、差電力ΔP
fに基づく制御信号SΔ
P(図において、破線で示す)は、
図6の場合(一点鎖線で示す)と比べ低い値が出力される。そして、比較部24Jが、この制御信号SΔ
Pとキャリア信号S
FLを比較することで、オンオフ信号S
ON-OFFが生成される。生成されたオンオフ信号S
ON-OFFは、
図6の場合と比べ、オン電圧の期間が短く、オフ電圧の期間が長いオンオフ信号S
ON-OFFとなる。さらに、このオンオフ信号S
ON-OFFに基づきパルス状の高周波信号S
FHが生成されるので、ハイレベル期間が短く、ローレベル期間が長いパルス状の高周波信号S
FHが生成されることになる。そして、このパルス状の高周波信号S
FHと同様の出力波形となるドライブ信号S
dにより高周波インバータ回路212が制御されるので、高周波電源21から出力される高周波電力P
fは小さくなり、制御目標値P
CVまたはP
CIとの差分が小さくなるように制御が行われる。
【0074】
続いて、高周波電源21から出力される進行波電力P
fが制御目標値P
CVまたはP
CIよりも小さい状態の時について説明する。この状態では、進行波電力P
fが制御目標値P
CVまたはP
CIを下回っているため、その差電力ΔP
f(=P
CV−P
fまたはP
CI−P
f)が、正の値となる。この状態では、
図7(b)に示すように、差電力ΔP
fに基づく制御信号SΔ
P(図において、破線で示す)は、
図6の場合(一点鎖線で示す)と比べ高い値が出力される。そして、比較部24Jが、この制御信号SΔ
Pとキャリア信号S
FLを比較することで、オンオフ信号S
ON-OFFが生成される。生成されたオンオフ信号S
ON-OFFは、
図6の場合と比べ、オン電圧の期間が長く、オフ電圧の期間が短いオンオフ信号S
ON-OFFとなる。さらに、このオンオフ信号S
ON-OFFに基づきパルス状の高周波信号S
FHが生成されるので、ハイレベル期間が長く、ローレベル期間が短いパルス状の高周波信号S
FHが生成されることになる。このパルス状の高周波信号S
FHと同様の出力波形となるドライブ信号S
dにより高周波インバータ回路212が制御されるので、高周波電源21から出力される高周波電力P
fは大きくなり、制御目標値P
CVまたはP
CIとの差分が小さくなるように制御が行われる。
【0075】
以上で説明したように、本実施形態に係る送電装置2によれば、バッテリ34の電池電圧V
jと充電電流I
jを制御部24にフィードバックし、定電流充電制御期間では、高周波電源21の出力電力を、充電電流Ijを定電流I
Cjに制御するための補償値である制御目標値P
CIに制御し、定電圧充電制御期間では、高周波電源21の出力電力を、電池電圧V
jを定電圧V
Cjに制御するための補償値である制御目標値P
CVに制御する。これにより、従来のように、バッテリ34の前段にDC/DCコンバータ等の充電制御機器を設け、その充電制御機器でバッテリ34の定電流充電制御や定電圧充電制御を行わせる必要がなく、受電装置3の構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
【0076】
また、高周波電源21から、ハイレベル期間とローレベル期間とを有するパルス状の高周波交流電力を出力するようにしたので、送電装置2にDC/DCコンバータ等の電力制御機器を設け、高周波電源21から出力される電力の調整制御を行わせる必要がなく、送電装置2の構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
【0077】
次に、本実施形態の変形例に係る制御部24’のフィードバック制御による高周波電源21から出力される高周波交流電力の出力制御について、説明する。なお、本実施形態に係る制御部24と同じ構成については、同じ符号番号を付してその説明を省略する。
【0078】
制御部24’は、制御部24に置き換えられたものであり、
図8は、制御部24’の高周波電源21の出力電力を制御する制御系の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、制御部24’は、3個の加算器24A、24B、24Fと、3個の誤差増幅部24C、24D、24Gと、制御切換部24Eと、キャリア条件設定部24Hと、キャリア信号発生部24Iと、比較部24J’と、高周波条件設定部24Kと、高周波信号発生部24L’と、乗算部24Pと、ドライブ信号発生部24Mと、出力停止制御部24Nと、を含んで構成される。
【0079】
比較部24J’は、誤差増幅部24Gから入力される制御信号SΔ
Pとキャリア信号発生部24Iから入力されるキャリア信号S
FLとを比較し、後述する高周波信号発生部24L’で生成される高周波信号をオンオフ制御するためのパルス信号(以下、オンオフ信号)S
ON-OFFを乗算部24Pに出力する。具体的には、比較部24J’は、誤差増幅部24Gから入力される制御信号SΔ
Pとキャリア信号発生部24Iから入力される鋸型のキャリア信号S
FLを比較し、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pがキャリア信号発生部24Iからのキャリア信号S
FLより大きいときにオン電圧となるように、一方、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pがキャリア信号発生部24Iからのキャリア信号S
FL以下のときにオフ電圧となるように、オンオフ信号S
ON-OFFを生成する。
【0080】
高周波信号発生部24L’は、高周波条件設定部24Kから入力される周波数fおよび初期位相φに基づき、例えば、ダイレクト・デジタル・シンセサイザーによりA
n・sin(2πf・t+φ)(A
n:既定の振幅)で表わされる正弦波の高周波電圧V
o(高周波信号S
F)を生成する。そして、高周波信号発生部24L’は、生成した高周波信号S
Fを乗算部24Pに出力する。
【0081】
乗算部24Pは、比較部24J’から入力されるオンオフ信号S
ON-OFFと高周波信号発生部24L’から入力される高周波信号S
Fとを乗算し、高周波信号がオン状態になるハイレベル期間と高周波信号がオフ状態になるローレベル期間とを、オンオフ信号S
ON-OFFの周波数で交互に繰り返すパルス状の高周波信号S
FHを生成する。そして、乗算部24Pは、生成したパルス状の高周波信号S
FHをドライブ信号発生部24Mに出力する。ドライブ信号発生部24Mは、入力されるパルス状の高周波信号S
FHによりドライブ回路を駆動するためのドライブ信号S
dを発生させ、高周波インバータ回路212のドライブ回路に出力する。
【0082】
また他の態様では、比較部24J’は、誤差増幅部24Gから入力される制御信号SΔ
Pとキャリア信号発生部24Iから入力される鋸型のキャリア信号S
FLを比較し、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pがキャリア信号発生部24Iからのキャリア信号S
FLより大きいときにハイレベルの電圧となるように、一方、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pがキャリア信号発生部24Iからのキャリア信号S
FL以下のときにハイレベルより低いローレベルの電圧となるように、オンオフ信号S
ON-OFFを生成するようにしておく。そして、乗算部24Pは、比較部24J’から入力されるオンオフ信号S
ON-OFFと高周波信号発生部24L’から入力される高周波信号S
Fとを乗算し、高周波信号の振幅がハイレベルになるハイレベル期間と高周波信号の振幅がローレベルになるローレベル期間と、を有するパルス状の高周波信号S
FHを生成するようにしてもよい。
【0083】
次に、本実施形態の変形例に係る制御部24’が行う高周波電源21の電力出力制御の処理について、
図9、
図10を用いて説明する。以下の説明では、バッテリ34の残容量が「充電要」となったので、電気自動車が所定の充電位置に駐車され、受電装置3から送電装置2に出力される電力供給要求に基づいて制御部24が高周波電源21の出力を制御する場合について説明する。
図9に示すように、
図5のフローチャートと比べ、ステップS119のパルス状の高周波信号S
FHの生成処理が、ステップS119’に置き換わっている。ステップS119’において、乗算部24Pは、ステップS117で比較部24J’により生成されたオンオフ信号S
ON-OFF(
図10(b))と、高周波信号発生部24L’により生成された高周波信号S
F(
図10(c))と、を乗算し、ハイレベル期間とローレベル期間とを、オンオフ信号S
ON-OFFの周波数で交互に繰り返すパルス状の高周波信号S
FH(
図10(d))を生成する。
【0084】
以上で説明したように、本実施形態の変形例においても、バッテリ34の電池電圧V
jと充電電流I
jを制御部24にフィードバックし、定電流充電制御期間では、高周波電源21の出力電力を、充電電流I
jを定電流I
Cjに制御するための補償値である制御目標値P
CIに制御し、定電圧充電制御期間では、高周波電源21の出力電力を、電池電圧V
jを定電圧V
Cjに制御するための補償値である制御目標値P
CVに制御する。これにより、従来のように、バッテリ34の前段にDC/DCコンバータ等の充電制御機器を設け、その充電制御機器でバッテリ34の定電流充電制御や定電圧充電制御を行わせる必要がなく、受電装置3の構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
【0085】
また、高周波電源21から、ハイレベル期間とローレベル期間とを有するパルス状の高周波交流電力を出力するようにしたので、送電装置2にDC/DCコンバータ等の電力制御機器を設け、高周波電源21から出力される電力の調整制御を行わせる必要がなく、送電装置2の構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
【0086】
上記実施形態では、比較部24J、24J’が誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pとキャリア信号発生部24Iからのキャリア信号S
FLとを比較し、オンオフ信号S
ON-OFFを生成する例を説明したが、これに限らない。例えば、比較部24J、24J’の代わりにオンオフ信号発生部を備え、当該オンオフ信号発生部は、ある一定のオン電圧の期間と、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pの大きさに従ったオフ電圧の期間とからなるオンオフ信号S
ON-OFFを生成するようにしてもよい。具体的には、オンオフ信号発生部は、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pが基準値(ゼロ)(換言すれば、高周波電源21からの出力電力と制御目標値とが同じ)の場合、ある一定期間のオン電圧と、その期間と同一のオフ電圧と、からなるオンオフ信号S
ON-OFFを生成し、誤差増幅部24Gからの制御信号SΔ
Pが基準値より大きくなるに従い(高周波電源21からの出力電力が制御目標値より小さくなるに従い)、オフ電圧の期間を短くさせ、一方、制御信号SΔ
Pが基準値より小さくなる(高周波電源21からの出力電力が制御目標値より大きくなるに従い)にオフ電圧の期間を長くさせたオンオフ信号S
ON-OFFを生成する。よって、誤差増幅部24Gから出力される制御信号SΔ
Pに応じてオンオフ信号S
ON-OFFのデューティ比を変化させ、高周波電源21から出力される高周波交流電力を調整するようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、バッテリ34が定電流定電圧充電方式の二次電池であるので、高周波電源21の出力制御を定電流充電制御と定電圧充電制御を切り換えて行う構成としたが、バッテリ34が定電流充電方式もしくは定電圧充電方式で充電可能であれば、その一方のみを行うような構成であってもよい。この場合、定電流充電方式では、
図4において、定電圧制御に関する加算器24Aと誤差増幅部24C、および、制御切換部24Eの構成を削除し、また、定電圧充電方式では、定電流制御に関する加算器24Bと誤差増幅部24D、および、制御切換部24Eの構成を削除すればよい。
【0088】
さらに、上記実施形態では、高周波電源21から出力される進行波電力P
fを制御していたが、進行波電力P
fに代えて受電装置3に供給される電力P
L(進行波電力P
fから反射波電力P
rを差し引いた電力)を制御するようにしてもよい。この場合は、
図4において、加算器24Fと電力検出器213との間に進行波電力P
fから反射波電力P
rを減算して電力P
Lを算出する電力演算部を設け、その電力演算部から加算器24Fに電力P
Lを入力するようにすればよい。
【0089】
また、進行波電力P
fに代えて高周波電源21から出力される有効電力Pを制御するようにしてもよい。この場合は、電力検出器213に変えてRF検出器を設けるとともに、RF検出器と加算器24Fの間に電力演算部を設け、RF検出器で高周波電源21の出力端Aにおける高周波(RF)電圧v、高周波(RF)電流iおよび位相差θ(RF電圧vとRF電流iの位相差)を検出し、電力演算部でこれらの検出値から有効電力Pを算出し、加算器24Fに入力すればよい。なお、有効電力Pは、RF電圧vとRF電流iの振幅をそれぞれV
m、I
mとすると、P=V
m・I
m・cos(θ)/2の演算式により算出される。
【0090】
また、電力演算部で無効電力Qを演算し、反射波電力P
rに代えて無効電力Qを用いて出力停止の制御をするようにしてもよい。この場合は、出力停止制御部24Nに無効電力Qの閾値Q
thを設定するとともに、電力演算部で算出した無効電力Qを入力し、出力停止制御部24Nでその無効電力Qと閾値Q
thを比較し、Q
th<Qの場合に出力停止信号S
stopを誤差増幅部24C、24Dに出力させるようにすればよい。
【0091】
その他、上記実施形態では、非接触電力伝送システム1を用いた電気自動車の充電システムについて説明したが、本発明は、電気自動車の充電システムに限定されるものではなく、携帯電話や携帯端末等の二次電池を充電する非接触の充電装置にも適用することができる。
【0092】
また、
図11に示すように、
図1において、無線で高周波交流電力をバッテリ34側に伝送する構成(送電部23と受電部31)と無線で電池電圧V
jと充電電流I
jの検出値を制御部24に通信する構成(通信ユニット25、35)を除去し、インピーダンス整合器22と整流平滑回路32を直結するとともに電圧・電流検出器33と制御部24を接続して、充電装置4を有線により高周波交流電力と電池電圧V
jおよび充電電流I
jの検出値を伝送する構成にしてもよい。
【0093】
上記実施形態では、パルス状の高周波交流電力の第1レベルと第2レベルとの切り替えを、制御部24内で生成される高周波信号S
FHにハイレベルとローレベルとを設けることで行っているが、これに限定されるものではない。高周波信号S
FHにハイレベルとローレベルを設けるのではなく、高周波インバータ回路212のスイッチング回路に入力される電圧を切り替えることで行うようにしてもよい。例えば、
図12や
図13に示すように、商用電源から商用周波数の電圧を入力し、全波整流後、コンデンサ(
図12ではC
11とC
12、
図13ではC
21とC
22)を2直列させた回路に入力する。そして、2直列したコンデンサのプラス側出力端子、マイナス側出力端子、および、2直列接続部の端子の計3端子を、高周波インバータ回路212’に接続するようにして、パルス状の高周波電力を出力させるようにしてもよい。なお、
図12に示す構成は、ハーフブリッジ回路を変形した回路構成であり、
図13に示す構成は、フルブリッジ回路を変形した回路構成である。
図12および
図13において、Q
11〜Q
14、Q
21〜Q
26は、上記実施形態のQ
Bと同様に、MOSFETである。
【0094】
図12において、制御部24は、Q
11およびQ
12のゲートにオンオフ信号S
ON-OFFを入力し、Q
13およびQ
14のゲートに高周波信号S
Fに基づくドライブ信号を入力するように高周波電源21を制御する。例えば、
図12(a)においては、Q
11がオンでQ
12がオフの場合、Q
13およびQ
14からなるスイッチング回路には、整流回路から出力される電圧が印加され、高周波交流電力P
out(高周波交流電圧V
out)は第1レベルとなる。また、Q
11がオフでQ
12がオンの場合、Q
13およびQ
14からなるスイッチング回路には、整流回路から出力される電圧をコンデンサC
11とC
12とで分圧した電圧が印加され、高周波交流電力P
out(高周波交流電圧V
out)は第2レベルとなる。これにより、高周波電源21からパルス状の高周波交流電力が出力される。
図12(b)は、Q
11およびQ
12を、Q
13およびQ
14からなるスイッチング回路の負極側に設けたものである。また、
図13においては、制御部24は、Q
21およびQ
22のゲートにオンオフ信号S
ON-OFFを入力し、Q
23ないしQ
26のゲートに高周波信号S
Fに基づくドライブ信号を入力するように高周波電源21を制御することで、高周波電源21からパルス状の高周波交流電力が出力される。これにより、上記実施形態と同様に、高周波電源21からパルス状の高周波交流電力を出力させることができ、さらには、高周波電源21のスイッチングによる電力ロスをより少なくさせることが可能となる。
【0095】
また、上記実施形態では、被充電体として二次電池を例に説明したが、被充電体は、直流で充電されるものであれば、二次電池に限定されるものではなく、畜電器(例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなど)であってもよい。また、上記実施形態では、被充電体を充電する充電装置について説明したが、本発明は、直流で電力の供給を受ける負荷に対して、交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を定電流制御もしくは定電圧制御で負荷に供給する直流電力供給装置に広く適用できる。