【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
(a)RGDドメインが不活性化される修飾オステオポンチンポリペプチド;及び
(b)薬学的に許容される及び/又は化粧品的に許容される添加剤、担体又は希釈剤:を含んでなる哺乳動物の発毛を促進する組成物を提供する。
【0009】
このように、本発明の組成物の活性成分は天然型オステオポンチンタンパク質に由来する(即ち本ポリペプチドは、天然型オステオポンチンタンパク質の修飾、例えば変異バージョンの配列に対応したアミノ酸配列を含む)。
【0010】
骨シアロ蛋白質I(BSP−1又はBNSP)、初期T−リンパ球活性化(ETA−1)、分泌リン蛋白質1(SPP1)、2ar及びリケッチア耐性(Ric)としても公知のオステオポンチンは、幾つかの哺乳動物種に保存されている遺伝子産物である。
【0011】
その遺伝子は7つのエキソンを有し、5キロベース長に及びそしてヒトではそれは染色体4領域13(4q13)のロングアーム上に位置している。タンパク質は〜300アミノ酸から構成されそして酸性残基が多い:30−36%はアスパラギン酸か又はグルタミン酸である。オステオポンチンは、ゴルジ装置での翻訳後修飾中にタンパク質に付着する10のシアル酸残基を含み、〜30の付着糖残基を有する。
【0012】
オステオポンチンは、石灰化骨マトリックス上へ破骨細胞を固定する骨中の新規シアロ蛋白質として最初に発見された(Franzen & Heinegard, 1985, Biochem. J. 232(3)715-24)。オステオポンチンの名前は骨中の(osteo−)タンパク質の存在、及び骨細胞とミネラル相間での架橋(−pons)を形成するその能力から由来する。配列解析及びそれに続く構造研究は、オステオポンチンが、オステオポンチンのミネラル結合特性を媒介すると考えられるある種の10アスパラギン酸残基の高酸性領域から成る32kDaの糖タンパク質であることを示した。更に、オステオポンチン分子の中央部分には、R−G−D配列を通して媒介される細胞接着ドメインもある(Oldberg et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83(23):8819-23)。
【0013】
オステオポンチンは、構成的に骨芽細胞に及び幾つかの上皮細胞タイプに発現され、オステオポンチンが多くの体液中に分泌されるに至る。骨は沈着する唯一の組織タイプであり、そしてそこから大量に再生できる。オステオポンチンの発現はまた血管平滑筋細胞に、種々の癌細胞タイプにそして炎症細胞(具体的にマクロファージ及びTリンパ球)に誘導できる。幾つかの重要な細胞機能は、接着、増殖、移動、抗アポトーシス及び化学誘引などオステオポンチンによって生じる。これら機能の幾つかは、種々のインテグリンと、主としてαvβ3しかしαvβ1、及びαvβ5と相互作用するRGD細胞接着を介して媒介されると考えられる(検討用としてScatena et al., 2007, Arterio. Thromb. Vasc. Biol. 27:2302-2309を参照されたい)。
【0014】
近年、オステオポンチンは炎症及び免疫反応に関与する幾つかの細胞タイプを調節することができる強力なサイトカインとして注目されている。オステオポンチンによって生じる広範囲な機能は複雑で、単一の細胞結合RGD配列ではすべてを説明することができない。オステオポンチン中の11のアミノ酸ペプチドR
145−G−D−S−L−A−Y−G−L−R−S
155(配列番号122)(UniProtコードP10923のアミノ酸144〜154に対応)が同定され、そしてその後機能的にマッピングされたとき、説明ができた。αvβ3インテグリンへの結合を媒介する既知のR
145−G−D
155部位に加えて、オステオポンチン分子中の2つの更なる必須領域、即ち、高特異的トロンビン切断部位、即ちR
154−S
155、及びα9β1インテグリンに結合する潜在的インテグリン結合部位、即ちS
148−L−A−Y−G−L−R
154(配列番号123)が発見された(Scatena et al., 上記参照)。α4β1に対する更なる結合部位もまた同定されている(Scatena et al., 上記参照)。
【0015】
本発明の組成物におけるオステオポンチン誘導ポリペプチドの特徴的機能は、オステオポンチン中に天然に存在するRGDドメインは、それが非機能的であるように(少なくとも部分的に)不活性化されていることである。例えば、RGDドメインの不活性化は、オステオポンチン誘導ポリペプチドが天然型オステオポンチンタンパク質を結合する1つ又はそれ以上のインテグリンに結合するのを阻止し得る。
【0016】
このように、「修飾オステオポンチンポリペプチド」では、RGDドメインは、非機能的である(少なくとも部分的に)天然型オステオポンチンタンパク質の修飾形態に対応するポリペプチド、並びに「完全長」修飾オステオポンチンの毛髪刺激特性を保持するそのフラグメント及びバリアントを含む。例えば、修飾オステオポンチンポリペプチドの非機能的RGDドメインは、インテグリンαvβ3を結合することができないと考えられる(Scatena et al., 上記参照)。
【0017】
有利なこととして、天然型オステオポンチンタンパク質は哺乳動物、例えばヒト由来である。
【0018】
本発明の組成物中に存在する修飾オステオポンチンポリペプチドは哺乳動物の発毛を促進することができる。
【0019】
1つの実施態様では、ポリペプチドはヒトの発毛を促進することができる。
【0020】
更なる実施態様では、ポリペプチドはインビボにおいて発毛を促進することができる。
【0021】
更なる実施態様では、ポリペプチドはインビボにおいて野生型ヒトオステオポンチンより大きな効果で発毛を促進することができる。この文脈において「より大きな効果」とは、より低い用量でより速やかな作用及び/又は効果の発現及び/又はより大きい最大効果(例えばより大きい新卵胞数又は毛髪密度)を含む。1つの実施態様では、ポリペプチドは、同じ用量で、野生型ヒトオステオポンチンよりもより速やかな作用及びより大きい最大発毛効果の発現によって、インビボにおいて発毛を促進することができる(例えば実施例B参照)。
【0022】
当業者には当然のことながら、発毛促進は現存する毛包の効果により及び/又は新しい毛包の形成を誘導することにより媒介され得る。
【0023】
このように、1つの実施態様では、修飾オステオポンチンポリペプチドは現存する毛包(例えば、休止卵胞が活性になるように成長期を延長することにより及び/又は休止期段階を短縮することにより)を刺激することができる。
【0024】
更なる実施態様では、ポリペプチドは、新しい毛包、又はそれを産生するための幹細胞の形成を誘導することができる。
【0025】
天然型オステオポンチンタンパク質は通常約300アミノ酸長である。しかしながら、当業者には当然のことながら、本発明の組成物中に存在する修飾オステオポンチンポリペプチドはこの長さと異なってよい。
【0026】
通常、ポリペプチドは500アミノ酸長未満で、例えば、400、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、200、150、100、50、40、30、20、15、10未満又はより少ないアミノ酸長である。
【0027】
1つの実施態様では、ポリペプチドは250と350アミノ酸長間であり、例えば、280と300アミノ酸長間(例えば293アミノ酸長)である。
【0028】
別の実施態様では、ポリペプチドは10と20アミノ酸長間であり、例えば、12と18アミノ酸長間(例えば15アミノ酸長)である。
【0029】
上記のように、修飾オステオポンチンポリペプチドは、天然型オステオポンチンタンパク質に通常見出される活性トリペプチド配列「アルギニン−グリシン−アスパラギン酸」を欠く。当業者には当然のことながら、このRGDドメインは多くの異なる方法によって不活性化され得る。
【0030】
1つの実施態様では、RGDドメインは、それが天然型オステオポンチンタンパク質に対して1つ若しくはそれ以上の欠失、置換及び/又は付加、又はその組み合わせを含有するように、修飾オステオポンチンポリペプチドにおいて1つ又はそれ以上のアミノ酸で変異される。
【0031】
例えば、RGDドメインは、アルギニン及び/又はグリシン及び/又はアスパラギン酸残基が不存在であるように、少なくとも部分的に欠失され得る。
【0032】
あるいは、又は加えて、RGDドメインは1つ又はそれ以上のアミノ酸で置換され得る。例えば、アルギニン及び/又はグリシン及び/又はアスパラギン酸残基は別のアミノ酸で置換され得る。そのような置換は保存的又は非保存的であってよい。
【0033】
同様に、RGDドメインは、
(a)アルギニン残基の置換並びにグリシン及びアスパラギン酸残基の欠失;
(b)アルギニン及びグリシン残基の置換並びにアスパラギン酸残基の欠失(例えば、−RGD−トリペプチドはジペプチド配列−DI−と置換できる);
(c)アルギニン及びアスパラギン酸残基の置換並びにグリシン残基の欠失;又は
(d)アルギニン及びアスパラギン酸残基の欠失並びにグリシン残基の置換:
を含む置換及び欠失の組み合わせによって不活性化され得る。
【0034】
トリペプチド−RGD−配列はジペプチド−DI−配列によって置換される。
【0035】
理論によって拘束されるものではないが、RGD配列の不活性化は、オステオポンチンポリペプチドの立体配座変化(対応する天然型オステオポンチンタンパク質に対して)をもたらし得ると考えられ、それは周囲の環境へ新たな部位の創出/露出を導く。
【0036】
1つの好ましい実施態様では、修飾オステオポンチンポリペプチドは配列番号1(ここで不活性化RGDドメインを包含する領域には下線が引かれている):
MRLAVICFCLFGIASSLPVKVTDSGSSEEKLYSLHPDPIATWLVPDPSQKQNLLAPQNAVSSEEKDDFKQETLPSNSNESHDHMDDDDDDDDDDGDHAESEDSVDSDESDESHHSDESDETVTASTQADTFTPIVPTVDVPNG
DISLAYGLRSKSRSFQVSDEQYPDATDEDLTSHMKSGESKESLDVIPVAQLLSMPSDQDNNGKGSHESSQLDEPSLETHRLEHSKESQESADQSDVIDSQASSKASLEHQSHKFHSHKDKLVLDPKSKEDDRYLKFRISHELESSSSEVN
配列番号1
又は配列番号1のアミノ酸配列の発毛促進活性を(少なくとも部分的に)保持するそのフラグメント、バリアント、誘導体又は融合物(又は該フラグメント、バリアント又は誘導体の融合物)のアミノ酸配列を含み又はそれから成る。
【0037】
本明細書に使用される用語「アミノ酸」は、標準の20の遺伝子コード化アミノ酸及びそれらの対応する(天然の「L」型と比べて)「D」型の立体異性体、ωアミノ酸及び他の天然型アミノ酸、非従来型アミノ酸(例えば、α、α−ジ置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸など)及び化学誘導アミノ酸を含む(下記参照)。
【0038】
アミノ酸が「アラニン」又は「Ala」又は「A」のように具体的に列挙されるとき、用語は、別に明示しない限りL−アラニン及びD−アラニンの両方をいう。他の非従来型アミノ酸もまた、目的の機能特性がポリペプチドによって保持されている限り、本発明のポリペプチドに好適な成分であり得る。示されたポリペプチドに対して、必要に応じて各コード化アミノ酸残基は、従来型アミノ酸の慣用名に対応して一文字記号表示によって表される。
【0039】
慣例に従って、本明細書に開示のアミノ酸配列はN末端からC末端まで与えられる。
【0040】
通常、本発明の組成物中で使用される修飾オステオポンチンポリペプチドはL−アミノ酸を含み又はそれから成る。
【0041】
1つの実施態様では、ポリペプチドは配列番号1のアミノ酸配列のフラグメント、又はそのバリアントを含み又はそれから成り得る。
【0042】
「フラグメント」では、配列番号1のアミノ酸配列の少なくとも6個の連続するアミノ酸、例えば配列番号1の少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、100、150、200、210、220、230、240、250、255、260、265、270、275、280、285、286、287、288、289、290、291又は292個の連続するアミノ酸を含む。
【0043】
有利なこととして、フラグメントは配列番号2の不活性化RGDドメイン配列、即ち:
DISLAYGLRS 配列番号2
を含み又はそれから成る。
【0044】
例えば、フラグメントは配列番号5〜62のいずれかによるアミノ酸配列を含み又はそれから成り得る。
【0045】
1つの特定の実施態様では、ポリペプチドは配列番号5のアミノ酸配列を含み又はそれから成る。
VDVPNGDISLAYGLR 配列番号5 [「FOL−004」]
【0046】
更なる実施態様では、ポリペプチドは配列番号1、又はそのフラグメントのアミノ酸配列のバリアントを含み又はそれから成る。
【0047】
「バリアント」とは、ポリペプチドは、配列番号1と100%アミノ酸配列同一性を共有しない、即ち配列番号1の1つ又はそれ以上のアミノ酸は変異される必要がないことを意味する。例えば、ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも50%同一性、より好ましくは該配列と少なくとも60%、70%又は80%又は85%又は90%同一性、そして最も好ましくは該アミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一性のアミノ酸配列を含み又はそれから成り得る。
【0048】
百分率同一性は、例えは LALIGNプログラム(Huang and Miller, Adv. Appl. Math. (1991) 12:337-357) を用いて Expasyファシリティサイト
(http://www.ch.embnet.org/software/LALIGN form.html)
で、パラメータとしてグローバルアラインエントオプション、スコアリングマトリックスBLOSUM62、オープニングギャップペナルティー−14、拡大ギャップペナルティー−4を用いて、当技術分野で周知の方法によって決定できる。
【0049】
あるいは、2つのポリペプチド間の百分率配列同一性は、好適なコンピュータープログラム、例えばthe University of Wisconsin Genetic Computing GroupのGAPプログラムを用いて決定され得て、そして当然のことながら、百分率同一性はその配列が最適に配列されているポリペプチドに関して計算される。
【0050】
「変異された」とは、特定位置におけるアミノ酸は、配列番号1によるポリペプチド中のアミノ酸と比べて変わっていることを意味する。例えば、特定位置においてアミノ酸は欠失され、置換され得て、又は1つ又はそれ以上のアミノ酸の挿入/付加の部位であってよい。当業者には当然のことながら、置換は保存的又は非保存的であってよい。
【0051】
あるいは、又は加えて、特定位置においてアミノ酸は化学修飾(誘導体化)され得る;下記参照。
【0052】
1つの実施態様では、バリアントポリペプチドは、1つ又はそれ以上のアミノ酸が保存的に置換される配列番号1、又はそのフラグメントのアミノ酸配列を含み又はそれから成る。「保存的に置換された」とは、ポリペプチドの機能が顕著に変わらないように、1つのアミノ酸の類似の特性(サイズ、疎水性など)をもつ別のアミノ酸との置換を意味する。このように、「保存的置換」とは、Gly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyrなど目的とする組み合わせである。
【0053】
有利なこととして、バリアントは配列番号2の不活性化RGDドメイン配列、即ち:
DISLAYGLRS 配列番号2
を含み又はそれから成る。
【0054】
バリアントポリペプチドはまた、配列番号1のアミノ酸配列内のN−及び/又はC−末端に及び/又は内部に挿入される、1つ又はそれ以上の更なるアミノ酸を含んでよい。例えば、ポリペプチドは、N−及び/又はC−末端に及び/又は内部に少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20の更なるアミノ酸を含み又はそれから成り得る。
【0055】
有利なこととして、バリアントポリペプチドは非天然型である。
【0056】
1つの好ましい実施態様では、修飾オステオポンチンポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列の種相同体(species homologue)である。
【0057】
このように、ポリペプチドは、RGDドメインが不活性化される修飾ヒトオステオポンチンタンパク質、又はそのフラグメントのアミノ酸配列を含み又はそれから成り得る。好適なヒトオステオポンチンタンパク質配列は当技術分野で周知であり、例えばデータベース受入番号AAA59974.1、AAC28619.1、AAA86886.1を参照されたい。
【0058】
例えば、修飾オステオポンチンポリペプチドは、配列番号3(ここで不活性化RGDドメインを包含する領域には下線が引かれている):
MRIAVICFCLLGITCAIPVKQADSGSSEEKQLYNKYPDAVATWLNPDPSQKQNLLAPQTLPSKSNESHDHMDDMDDEDDDDHVDSQDSIDSNDSDDVDDTDDSHQSDESHHSDESDELVTDFPTDLPATEVFTPVVPTVDTYDG
DISVVYGLRSKSKKFRRPDIQYPDATDEDITSHMESEELNGAYKAIPVAQDLNAPSDWDSRGKDSYETSQLDDQSAETHSHKQSRLYKRKANDESNEHSDVIDSQELSKVSREFHSHEFHSHEDMLVVDPKSKEEDKHLKFRISHELDSASSEVN
配列番号3
又は配列番号3のアミノ酸配列の発毛促進活性を保持するそのフラグメント、バリアント、誘導体又は融合物(又は該フラグメント、バリアント又は誘導体の融合物)のアミノ酸配列を含み又はそれから成る。
【0059】
有利なこととして、フラグメント又はバリアントは配列番号4の不活性化RGDドメイン配列、即ち:
DISVVYGLRS 配列番号4
を含み又はそれから成る。
【0060】
例えば、フラグメント又はバリアントは配列番号63〜120のいずれかによるアミノ酸配列を含み又はそれから成り得る(下記に詳述)。
【0061】
1つの特定の実施態様では、ポリペプチドは配列番号63のアミノ酸配列を含み又はそれから成る。
VDTYDGDISVVYGLR 配列番号63 [「FOL−005」]
【0062】
更なる実施態様では、修飾オステオポンチンポリペプチドは、配列番号1若しくは3、又はそのフラグメント、バリアント若しくは融合物のアミノ酸配列の誘導体を含み又はそれから成る。
【0063】
有利なこととして、誘導体は配列番号3又は4の不活性化RGDドメイン配列を含む。
【0064】
例えば、ポリペプチドは配列番号5又は63のアミノ酸配列の誘導体を含み又はそれから成る。
【0065】
1つ又はそれ以上のアミノ酸の化学的誘導体は官能側基との反応によって実現され得る。そのような誘導体化分子は、例えば遊離アミノ基がアミン塩酸塩を形成するために誘導体化されているそれらの分子、p−トルエンスルホニル基、カルボキシベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基又はホルミル基を含む。遊離カルボキシル基は、塩、メチル及びエチルエステル又は他のタイプのエステル及びヒドラジドを形成するために誘導体化され得る。遊離ヒドロキシル基は、O−アシル又はO−アルキル誘導体を形成するために誘導体化され得る。20の標準アミノ酸の天然型アミノ酸誘導体を含有するそれらのペプチドはまた化学的誘導体として含まれる。例えば:4−ヒドロキシプロリンはプロリンと置換され得る;5−ヒドロキシリジンはリジンと置換され得る;3−メチルヒスチジンはヒスチジンと置換され得る;ホモセリンはリジンの代わりにセリン及びオルニチンと置換され得る。誘導体はまた、必要な活性が維持される限り1つ又はそれ以上の付加又は欠失を含有するペプチドを含む。他に含まれる修飾は、アミド化、アミノ末端アシル化(例えば、アセチル化又はチオグリコール酸アミド化)、末端カルボキシルアミド化(例えばアンモニア又はメチルアミンによる)、及び同様の末端修飾である。
【0066】
当業者には更に当然のことながら、上記に詳述した修飾オステオポンチンポリペプチドの立体配座及び望ましい機能を模倣するペプチド類似化合物もまた有用であり得る。このように、「ポリペプチド」では、配列番号1のポリペプチドの発毛促進活性を有するペプチド類似化合物を含む。
【0067】
例えば、本発明のポリペプチドは、アミノ酸残基がペプチド(−CO−NH−)結合によって連結される分子だけでなく、ペプチド結合が保存される分子をも含む。そのようなレトロ−インバースペプチド類似体は当技術分野で公知の方法、例えばMeziere et al. (1997) J. Immunol. 159, 3230-3237に記載のような方法を用いて作製され得て、これは参照することにより本明細書に組み入れられる。このアプローチは骨格に関与する変化を含有する擬似ペプチドを作製することを含み、そして側鎖の配向を含まない。CO−NHペプチド結合の代わりにCO−NH結合を含有するレトロ−インバースペプチドはタンパク質分解にはるかに抵抗性である。あるいは、本発明のポリペプチドは、1つ又はそれ以上のアミノ酸残基が従来のアミド結合に代わりに−y(CH
2NH)−結合によって連結されるペプチド類似化合物であり得る。
【0068】
更なる選択肢では、但しアミノ酸残基の炭素原子間に間隔を保持する適切なリンカー部分が使用されるという条件でペプチド結合は全く省かれ得る;それは、ペプチド結合として、リンカー部分が実質的に同じ電荷分布及び実質的に同じ平面性を有することは有利となり得る。
【0069】
当然なことながら、ポリペプチドは、エキソタンパク質分解消化に対する感受性を下げるのに資するために、そのN−又はC−末端で適宜ブロックされ得る。
【0070】
D−アミノ酸及びN−メチルアミノ酸などの種々の非コード又は修飾アミノ酸はまた、哺乳動物のポリペプチドを修飾するのに使用されている。また、推定生物活性立体配座は、環化のような共有結合修飾によって又はラクタムの取り込み若しくは他のタイプの架橋によって安定化され得て、例えばVeber et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:2636 and Thursell et al., 1983, Biochem. Biophys. Res. Comm. 111:166を参照されたく、これは参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0071】
多くの合成戦略のうちで共通するテーマは、ペプチドベースの骨格へのある環状部分の導入となっている。環状部分はペプチド構造の立体配座空間を限定し、そしてこれはしばしば特定の生物受容体に対するペプチドの特異性増加をもたらす。本方法の更なる利点は、ペプチドへの環状部分の導入もまた細胞性ペプチダーゼの感受性低下を有するペプチドをもたらし得ることである。
【0072】
このように、本発明の例示的ポリペプチドは末端システインアミノ酸を含む。そのようなポリペプチドは、末端システインアミノ酸中のメルカプド基のジスルフィド結合形成によるヘテロデティック(heterodetic)環形に、又は末端アミノ酸間でのアミドペプチド結合形成によるホモデティック(homodetic)形に存在し得る。上記のように、N−とC−末端領域システイン間のジスルフィド又はアミド結合を通した小ペプチドを環化することは、タンパク質分解を減少させそしてまた構造の剛性を増加させることにより、線形ペプチドで時に見られる特異性及び半減期の問題を回避し得て、高特異性化合物をもたらし得る。ジスルフィド結合によって環化されるポリペプチドは、尚タンパク質分解を受けやすい可能性がある遊離アミノ酸及びカルボキシ末端を有し、一方でペプチドはN末端アミンとC末端カルボキシル間のアミド結合の形成により環化され、そしてそれ故にもはや遊離アミノ又はカルボキシ末端を含有しない。このように、本発明のペプチドは、C−N連結又はジスルフィド連結によって連結できる。
【0073】
本発明はペプチドの環化方法がいずれであれ限定されるものではなく、その環状構造がいずれの合成方法によっても実現され得るペプチドを包含する。それ故、ヘテロデティック結合は。限定されるものではないが、ジスルフィド、アルキレン又はスルフィド架橋を介する形成を含んでよい。ジスルフィド、スルフィド及びアルキレン架橋を含む環状ホモデティックペプチド、及び環状へテロデティックペプチドの合成法は、US5,643,872に開示され、参照することにより本明細書に組み入れられる。環化方法の他の例は、クリック化学を通した環化、エポキシド、アルデヒド−アミン反応、並びにUS6,008,058に開示される方法を含み、参照することにより本明細書に組み入れられる。
【0074】
そのような末端修飾は、周知のようにプロテイナーゼ消化による感受性を減少させるのに、そしてそれ故溶液中の、特にプロテアーゼが存在し得る体液中でペプチドの半減期を延長するのに有用である。ポリペプチド環化はまた、環化によって形成される安定構造故に、そして環状ペプチドで認められる生物活性の点で有用な修飾である。
【0075】
このように、1つの実施態様では、本発明の第1態様のポリペプチドは環状である。
【0076】
しかしながら、別の実施態様では、ポリペプチドは線形である。
【0077】
1つの好ましい実施態様では、しかしながら、修飾オステオポンチンポリペプチドは、PEG化、アミド化、エステル化、アシル化、アセチル化及び/又はアルキル化によって修飾又は誘導化される1つ又はそれ以上のアミノ酸を含む。
【0078】
当業者には当然のことながら、修飾オステオポンチンポリペプチドは1つ又はそれ以上のアミノ酸においてグリコシル化され得る。例えば、ポリペプチドは、対応する(「親」)オステオポンチンタンパク質の1つ又はそれ以上のグリコシル化部位を保持し得て、糖質基はそれに結合され得る。
【0079】
更なる実施態様では、修飾オステオポンチンポリペプチドは、配列番号1若しくは3、又はそのフラグメント若しくはバリアントのアミノ酸配列の融合物を含み又はそれから成る。
【0080】
例えば、ポリペプチドは、配列番号5又は63のアミノ酸配列の融合物を含んでよい。
【0081】
ポリペプチドの「融合物」では、その他のポリペプチドに融合物される配列番号1又は3(又はそのフラグメント若しくはバリアント)に対応するアミノ酸配列を含む。例えば、前記ポリペプチドは、該ポリペプチドの精製を容易にするために、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)又はプロテインAのようなポリペプチドに融合され得る。そのような融合物の例は当業者に周知である。同様に、前記ポリペプチドは、His6のようなオリゴ−ヒスチジンタグに又は周知のMycタグエピトープのような抗体によって認識されるエピトープに融合され得る。前記ポリペプチドのいずれのバリアント又は誘導体への融合物も本発明の範囲に含まれ得る。
【0082】
融合物は、本発明の前記ポリペプチドに望ましい機能を与える更なる部分を含んでよく;例えばその部分は発毛促進効果を増加又は延長するのに有用であり得る。例えば、1つの実施態様では、融合物はヒト血清アルブミン又は類似のタンパク質を含む(US2009/0005312に開示され、その開示は参照することにより本明細書に組み入れられる)。
【0083】
あるいは、融合部分は、当業者に公知のように、ポリペプチドの細胞取り込みを促進することができる親油性又はポリペプチドドメインであってよい。
【0084】
更なる実施態様では、修飾オステオポンチンポリペプチドはアミノ酸配列の縦列反復を含み又はそれから成る。例えば、ポリペプチドは、1つ又はそれ以上の介在アミノ酸により互いに直接隣接し又は分離され得る、配列番号2及び/又は4(又はその組み合わせ)の縦列反復を含み又はそれから成り得る。
【0085】
あるいは、ポリペプチドは、配列番号5又は63のアミノ酸配列の縦列反復を含み又はそれから成り得る。
【0086】
しかしながら、1つの好ましい実施態様では、修飾オステオポンチンポリペプチドは、単に配列番号1又は3のアミノ酸配列を含み又はそれから成る。例えば、ポリペプチドは、配列番号1又は3によるポリペプチドから成り得る。
【0087】
更に好ましい実施態様では、修飾オステオポンチンポリペプチドは、単に配列番号5又は63のアミノ酸配列を含み又はそれから成る。例えば、ポリペプチドは、配列番号5又は63によるポリペプチドから成り得る。
【0088】
本発明の組成物で用いるのに好適な修飾オステオポンチンポリペプチドは、当業者に周知のインビトロ細胞ベース発現方法(例えば Sambrook & Russell, 2000, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor, New Yorkを参照されたく、これは参照することにより本明細書に組み入れられる)によって作られ得る。使用しようとする発現ベクター及び宿主細胞の選択は多くの要素によって決まり得る。例えば、修飾オステオポンチンポリペプチドがグリコシル化されようとする場合、哺乳動物発現系が必要とされ得る。
【0089】
好適な発現ベクター及び宿主細胞は多くの供給元から市販されている。
【0090】
あるいは、修飾オステオポンチンポリペプチドは、液相及び固相合成などの公知方法によって合成され得る(例えば、t−Boc固相ペプチド合成及びBOP−SPPS)。
【0091】
当業者には当然ことながら、本発明はまた、上記修飾オステオポンチンポリペプチドの薬学的に及び/又は化粧品的に許容される酸又は塩基付加塩を含む。本発明に有用な前記塩基化合物の薬学的に及び/又は化粧品的に許容される酸付加塩を調製するのに使用される酸は、非毒性酸付加塩、即ち塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、酸性酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びなかんずくパモエート[即ち1,1′−メチレン−bis−(2−ヒドロキシ−3ナフトエ酸塩)]塩などの、薬学的に及び/又は化粧品的に許容されるアニオンを含有する塩を形成する酸である。
【0092】
薬学的に及び/又は化粧品的に許容される塩基付加塩はまた、修飾オステオポンチンポリペプチドの薬学的に及び/又は化粧品的に許容される塩形態を形成するのに使用され得る。事実上酸性である本化合物の薬学的に及び/又は化粧品的に許容される塩基塩を調製するために試薬として使用され得る化学塩基は、そのような化合物と非毒性塩基塩を形成する塩基である。そのような非毒性塩基塩は、限定されるものではないが、アルカリ金属カチオン(例えばカリウム及びナトリウム)及びアルカリ土類金属カチオン(例えばカルシウム及びマグネシウム)のような薬学的に及び/又は化粧品的に許容されるカチオン、アンモニウム又はN−メチルグルカミン(メグルミン)のような水溶性アミン付加塩、及び低級アルカノールアンモニウム及びなかんずく薬学的に許容される有機アミンの他の塩基塩から由来する塩基塩を含む。
【0093】
更に当然のことながら、本発明の修飾オステオポンチンポリペプチドは、貯蔵のために凍結乾燥され得てそして使用より前にて好適な担体中に再構成され得る。いずれの好適な凍結乾燥方法(例えば噴霧乾燥、ケーク乾燥)及び/又は再構成技術も使用できる。当業者には当然ことながら、凍結乾燥及び再構成は種々の程度の活性ロスをもたらし得て、そして使用レベルは補償するのに上方へ調整される必要があり得る。好ましくは、凍結乾燥(フリーズドライ)ポリペプチドは、再水和される(凍結乾燥より前で)その活性の高々約20%、又は高々約25%、又は高々約30%、又は高々約35%、又は高々約40%、又は高々約45%、又は高々約50%を失う。
【0094】
修飾オステオポンチンポリペプチドは、ポリペプチド及び予定の投与経路及び標準的薬学又は美容実践(practice)に関して選択される、薬学的に許容される及び/又は化粧品的に許容される添加剤、担体又は希釈剤を含んでなる組成物の形態で提供される(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995, Ed. Alfonso Gennaro, Mack Publishing Company, Pennsylvania, USAを参照されたく、これは参照することにより本明細書に組み入れられる)。
【0095】
「薬学的に許容される」とは、製剤は無菌でそして発熱物質なしであることが含まれる。好適な医薬品担体は薬剤学の分野で周知である。1つ又は複数の担体は本発明の化合物と適合性であり及びそのレシピエントに有害でないという意味で「許容される」必要がある。通常担体は無菌でそして発熱物質なしになり得る水又は食塩水であり得る;しかしながら他の許容される担体が使用され得る。このように、「薬学的に許容される担体」及び「薬学的に許容される添加剤」は、単に担体として作用することを目的とし、即ちそれ自体生物活性を有することを目的としない、製剤の一部を形成するのに使用されるいずれもの1つ又は複数の化合物を含む。薬学的に許容される担体又は添加剤は、一般的に安全、非毒性、及び生物学的にもその他でも不要ではない。本明細書で使用される薬学的に許容される担体又は添加剤は、1つ及びそれ以上のそういう担体又は添加剤の1つを含む。
【0096】
同様に、用語「化粧品的に許容される」は化粧品として好適な製剤を意味するのに使用される。シャンプー、ローション、クリーム及び他のそのような製品に一般的に使用されるものなど、好適な化粧品担体は当技術分野で周知である。
【0097】
添加剤は、1つ又はそれ以上の糖類、高分子、脂質及びミネラルであってよい。糖類の例は、例えば、凍結乾燥を容易にするために組成物に加えられるラクトース、庶糖、マンニトール、及びシクロデキストリンを含む。高分子の例は、澱粉、セルロースエーテル、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸塩、ポリエチレングリコール/ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド共重合体、異なる加水分解度のポリビニルアルコール/ポリビニルアセタート、及びポリビニールピロリドン、異なる分子量のすべてであり、それらは例えば、粘度調整のため、生体接着を実現するため、又は化学的及びタンパク質分解から脂質を保護するために組成物に加えられる。脂質の例は、脂肪酸、リン脂質、モノ、ジ、及びトリグリセリド、セラミド、スフィンゴ脂質及び糖脂質、異なるアシル鎖長及び飽和度のすべて、卵レシチン、大豆レシチン、水素化卵及び大豆レシチンであり、それらは高分子に対するのと同じ理由で組成物に加えられる。ミネラルの例は、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛及び酸化チタンであり、それらは脂質蓄積減少又は有益な色素特性などの利点を得るために組成物に加えられる。
【0098】
用語「希釈剤」は、医薬製剤中のペプチドを希釈する目的での水溶液又は非水溶液を意味することを目的とする。希釈剤は、1つ又はそれ以上の食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール又はオイル(サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油又はゴマ油)であってよい。
【0099】
希釈剤は又緩衝剤として機能する。用語「緩衝剤」は、pHを安定化する目的で酸−塩基混合物を含有する水溶液を意味することを目的とする。緩衝剤の例は、Trizma、Bicine、Tricine、MOPS、MOPSO、MOBS、Tris、Hepes、HEPBS、MES、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ホウ酸塩、ACES、ADA、酒石酸塩、AMP、AMPD、AMPSO、BES、CABS、カコジル酸塩、CHES、DIPSO、EPPS、エタノールアミン、グリシン、HEPPSO、イミダゾール、イミダゾール酢酸、PIPES、SSC、SSPE、POPSO、TAPS、TABS、TAPSO及びTESである。
【0100】
場合により、組成物は補助剤を含んでよい。用語「補助剤」は、ペプチドの生物学的作用を増加させるために製剤に加えられるいずれの化合物をも意味することを目的とする。補助剤は、異なるアニオン、例えば限定されるものではないが、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアナート、亜硫酸塩、水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、及び異なるアシル組成物の酢酸塩との、1つ又はそれ以上の亜鉛、銅又は銀塩であってよい。
【0101】
本発明の医薬組成物はまた、生分解性ミクロスフェアの形態であってよい。ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)などの脂肪族ポリエステル、PLA及びPGA(PLGA)又はポリ(カルプロラクトン)(poly(carprolactone))(PCL)の共重合体、及びポリ酸無水物は、ミクロスフェアの製造において生分解性高分子として広く使用されている。そのようなミクロスフェアの調製はUS5,851,451 及びEP0213303に見出されることができる。
【0102】
本発明の医薬組成物はまた高分子ゲルの形態であってよく、ここでは、澱粉、セルロースエーテル、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラギーナン、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸、ポリスルホン酸塩などの高分子が含まれる。
【0103】
修飾オステオポンチンポリペプチドは、使用されている特定のポリペプチドの有効性/毒性に応じて、種々の濃度で製剤化され得る。好ましくは、組成物は、1nMと1Mの間、例えば0.1μMと1mMの間、1μMと100μMの間、5μMと50μMの間、10μMと50μMの間、20μMと40μMの間、及び場合により約30μMの濃度で修飾オステオポンチンポリペプチドを含む。エキソビボ及びインビトロ適用では、組成物は、例えば0.0025μMと1μMの間で、より低い濃度の修飾オステオポンチンポリペプチドを含んでよい。
【0104】
当業者には当然ことながら、本発明の組成物は、種々の経路、例えば局所、経皮、非経口又は経口投与によって投与され得る。
【0105】
有利なこととして、本発明の組成物は、局所投与又は皮内投与に好適である。
【0106】
このように、本発明の組成物は、皮膚(例えば、頭皮)に局所投与され得る。例えば、組成物は、例えば、1つ又はそれ以上の下記:鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水との混合物に懸濁又は溶解した活性ポリペプチドを含有する軟膏の形態で提供され得る。あるいは、ポリペプチドは、1つ又はそれ以上の下記:鉱油、ソルビタンモノステアラート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水との混合物に懸濁又は溶解した好適なローション剤又はクリーム剤として製剤化できる。
【0107】
場合により、局所投与のための組成物は、透過促進剤を含んでよい(例えば、 Osborne
& Henke, 1997, Pharmaceutical Technology, November: 58-82 and Pathan & Setty, 2009, Tropical Journal of Pharmaceutical Research 8 (2): 173-179に記載され、その開示は参照することにより本明細書に組み入れられる)。
【0108】
あるいは、本発明の組成物は非経口で、例えば皮内投与され得る。そのような組成物は、他の物質、例えば血液と等張の溶液を作るために十分な塩又はグルコースを含有し得る滅菌水溶液の形態で最もよく使用される。水溶液は、必要に応じて好適に緩衝化され得る(好ましくは3〜9のpHに)。無菌状態下での好適な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準調剤技術によって容易に達成される。
【0109】
非経口投与に好適な組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を予定のレシピエントの血液と等張にする溶質;及び懸濁剤及び増粘剤を含んでよい水性及び非水性滅菌懸濁剤を含有し得る水性及び非水性滅菌注射液を含む。製剤は、1回用量又は複数回用量容器、例えば密封アンプル及びバイアル中にあり得て、そして使用直前に無菌液体担体、例えば注射用水の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存し得る。即時注射液及び懸濁液は既述のような無菌散剤、顆粒剤及び錠剤から調製され得る。
【0110】
修飾オステオポンチンポリペプチドを送達するためのミクロスフェア製剤のような持続放出システムを使用するのは有利であり得る。
【0111】
あるいは、組成物は、活性ポリペプチドを所要の部位(即ち表皮)に直接放出する外科的埋込デバイスによって投与できる。
【0112】
本発明の組成物はまた経皮的方法によって送達され得る。
【0113】
例えば、エレクトロポレーション療法(EPT)及び/又はイオン泳動投与システムは、タンパク質及びポリペプチドの投与に用いられることができる。そのような方法では、デバイスはパルス電場を細胞に送達するのに使用され、薬物に対する細胞膜の透過性増加及び細胞内薬物送達の顕著な増強をもたらす。
【0114】
別の経皮的方法、電気取り込み(electroincorporation)は、エレクトロポレーションで使用されるのと同一又は同様の皮膚経験電気パルスの表面で最大30ミクロンの径の小粒子を利用する。粒子は角質層を通してそして皮膚のより深い層へ推進される。粒子は薬物又は遺伝子を担持又は被覆されることができ、又は単にそれを通して薬物が入ることができる皮膚に孔を生成させる「弾丸」として作用できる。
【0115】
更なる経皮的方法も、PowderJect Pharmaceuticals(現在は Novartis AGがオーナー)によって開発されている。
【0116】
本発明のポリペプチド及び組成物の投与の好適な方法は当技術分野では周知であり、例えば、Therapeutic Protein and Peptide Formulation and Delivery, Zahra Shahrokh et al. (Eds), 1997, American Chemical Society, ISBN13: 9780841235281を参照されたい。
【0117】
本発明の第2の態様は、配列番号63、又は配列番号63のアミノ酸配列の発毛促進活性を保持するそのフラグメント、バリアント、誘導体又は融合物(又は該フラグメント、バリアント又は誘導体の融合物)のアミノ酸配列を含んでなる又はそれから成るポリペプチドを提供する。
【0118】
1つの実施態様では、ポリペプチドは単離される(例えば哺乳動物の体外で)。
【0119】
用語「フラグメント」、「バリアント」、「誘導体」又は「融合物」は本発明の第1の態様に関連して上記のように定義される。
【0120】
関連態様では、ポリペプチドは、(RGDドメインの1つ又はそれ以上のアミノ酸の置換又は欠失により及び/又はRGDドメイン内の1つ又はそれ以上のアミノ酸の付加により)不活性化されるRGDドメインを含んでなるヒトオステオポンチンのフラグメントである。例えば、野生型ヒトオステオポンチンタンパク質の「R−G−D」ドメインの3つのアミノ酸は2つのアミノ酸、「D−I」によって置換され得る。好ましくは、フラグメントは、5と30のアミノ酸長間、例えば10と20のアミノ酸長間にある。
【0121】
例えば、ポリペプチドは、配列番号5〜62のいずれか、又はそのフラグメント、バリアント、誘導体又は融合物のアミノ酸配列を含み又はそれから成り得る。
【0122】
好ましい15−アミノ酸ペプチド
VDVPNG
DISLAYGLR [「FOL−004」] 配列番号5
DVPNG
DISLAYGLRS 配列番号6
好ましい14−アミノ酸ペプチド:
VDVPNG
DISLAYGL 配列番号7
DVPNG
DISLAYGLR 配列番号8
VPNG
DISLAYGLRS 配列番号9
好ましい13−アミノ酸ペプチド:
VDVPNG
DISLAYG 配列番号10
DVPNG
DISLAYGL 配列番号11
VPNG
DISLAYGLR 配列番号12
PNG
DISLAYGLRS 配列番号13
好ましい12−アミノ酸ペプチド:
VDVPNG
DISLAY 配列番号14
DVPNG
DISLAYG 配列番号15
VPNG
DISLAYGL 配列番号16
PNG
DISLAYGLR 配列番号17
NG
DISLAYGLRS 配列番号18
好ましい11−アミノ酸ペプチド:
VDVPNG
DISLA 配列番号19
DVPNG
DISLAY 配列番号20
VPNG
DISLAYG 配列番号21
PNG
DISLAYGL 配列番号22
NG
DISLAYGLR 配列番号23
G
DISLAYGLRS 配列番号24
好ましい10−アミノ酸ペプチド:
VDVPNG
DISL 配列番号25
DVPNG
DISLA 配列番号26
VPNG
DISLAY 配列番号27
PNG
DISLAYG 配列番号28
NG
DISLAYGL 配列番号29
G
DISLAYGLR 配列番号30
DISLAYGLRS 配列番号31
好ましい9−アミノ酸ペプチド:
VDVPNG
DIS 配列番号32
DVPNG
DISL 配列番号33
VPNG
DISLA 配列番号34
PNG
DISLAY 配列番号35
NG
DISLAYG 配列番号36
G
DISLAYGL 配列番号37
DISLAYGLR 配列番号38
ISLAYGLRS 配列番号39
好ましい8−アミノ酸ペプチド:
VDVPNG
DI 配列番号40
DVPNG
DIS 配列番号41
VPNG
DISL 配列番号42
PNG
DISLA 配列番号43
NG
DISLAY 配列番号44
G
DISLAYG 配列番号45
DISLAYGL 配列番号46
ISLAYGLR 配列番号47
好ましい7−アミノ酸ペプチド:
VDVPNG
D 配列番号48
DVPNG
DI 配列番号49
VPNG
DIS 配列番号50
PNG
DISL 配列番号51
NG
DISLA 配列番号52
G
DISLAY 配列番号53
DISLAYG 配列番号54
ISLAYGL 配列番号55
好ましい6−アミノ酸ペプチド:
DVPNG
D 配列番号56
VPNG
DI 配列番号57
PNG
DIS 配列番号58
NG
DISL 配列番号59
G
DISLA 配列番号60
DISLAY 配列番号61
ISLAYG 配列番号62
【0123】
好ましい実施態様では、ポリペプチドは配列番号5のアミノ酸配列を含み又はそれから成る。
【0124】
別の実施態様では、ポリペプチドは配列番号5のアミノ酸配列のバリアントを含み又はそれから成る。
【0125】
例えば、ポリペプチドは、配列番号63〜120のいずれか、又はそのフラグメント、バリアント、誘導体又は融合物のアミノ酸配列を含み又はそれから成り得る。
【0126】
好ましい15−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
DISVVYGLR [「FOL−005」] 配列番号63
VDTYDG
DISVVYGLS 配列番号64
好ましい14−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
DISVVYGL 配列番号65
DTYDG
DISVVYGLR 配列番号66
TYDG
DISVVYGLRS 配列番号67
好ましい13−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
DISVVYG 配列番号68
DTYDG
DISVVYGL 配列番号69
TYDG
DISVVYGLR 配列番号70
YDG
DISVVYGLRS 配列番号71
好ましい12−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
DISVVY 配列番号72
DTYDG
DISVVYG 配列番号73
TYDG
DISVVYGL 配列番号74
YDG
DISVVYGLR 配列番号75
DG
DISVVYGLRS 配列番号76
好ましい11−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
DISVV 配列番号77
DTYDG
DISVVY 配列番号78
TYDG
DISVVYG 配列番号79
YDG
DISVVYGL 配列番号80
DG
DISVVYGLR 配列番号81
G
DISVVYGLRS 配列番号82
好ましい10−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
DISV 配列番号83
DTYDG
DISVV 配列番号84
TYDG
DISVVY 配列番号85
YDG
DISVVYG 配列番号86
DG
DISVVYGL 配列番号87
G
DISVVYGLR 配列番号88
DISVVYGLRS 配列番号89
好ましい9−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
DIS 配列番号90
DTYDG
DISV 配列番号91
TYDG
DISVV 配列番号92
YDG
DISVVY 配列番号93
DG
DISVVYG 配列番号94
G
DISVVYGL 配列番号95
DISVVYGLR 配列番号96
ISVVYGLRS 配列番号97
好ましい8−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
DI 配列番号98
DTYDG
DIS 配列番号99
TYDG
DISV 配列番号100
YDG
DISVV 配列番号101
DG
DISVVY 配列番号102
G
DISVVYG 配列番号103
DISVVYGL 配列番号104
ISVVYGLR 配列番号105
好ましい7−アミノ酸ペプチド:
VDTYDG
D 配列番号106
DTYDG
DI 配列番号107
TYDG
DIS 配列番号108
YDG
DISV 配列番号109
DG
DISVV 配列番号110
G
DISVVY 配列番号111
DISVVYG 配列番号112
ISVVYGL 配列番号113
好ましい6−アミノ酸ペプチド:
DTYDG
D 配列番号114
TYDG
DI 配列番号115
YDG
DIS 配列番号116
DG
DISV 配列番号117
G
DISVV 配列番号118
DISVVY 配列番号119
ISVVYG 配列番号120
【0127】
好ましい実施態様では、ポリペプチドは配列番号63のアミノ酸配列を含み又はそれから成る。
【0128】
本発明のポリペプチドは、脱毛(下記に詳述)に関連する疾患又は病態の処置又は予防において医療用であり得る。
【0129】
本発明は更に、哺乳動物における発毛を促進するための本発明のポリペプチドの使用を提供し、ここでその使用は化粧品用又は商業用である(下記に詳述)。
【0130】
本発明の第3の態様は、哺乳動物の発毛促進に用いるための本発明の第1の態様による組成物を提供する。
【0131】
このように、組成物は、現存する毛包を刺激し及び/又は新しい毛包(又はそれを産生するための幹細胞)の成長を誘導するのに用いられ得る。
【0132】
1つの実施態様では、組成物は、脱毛症のような脱毛に関連する疾患又は病態の処置又は予防に用いるためである。
【0133】
脱毛症は通常、成長期毛の喪失に関連する。しかしながら、当然のことながら、本発明の組成物はまた、休止期毛の喪失に関連する病態の処置に使用され得る。
【0134】
1つの実施態様では、脱毛症は:
(a)男性ホルモン性脱毛症(アンドロゲン性脱毛症、男性型禿頭症又は女性型禿頭症としても知られる);
(b)牽引性脱毛症;
(c)アナゲン脱毛(anagen effluvium);
(d)テロゲン脱毛(telogen effluvium);
(e)円形脱毛症;
(f)完全脱毛症;
(g)全身性脱毛症;
(h)脱毛性毛瘡(alopecia barbae);
(i)ムチン性脱毛症;
(j)腫瘍性脱毛症;
(k)瘢痕性脱毛症(cicatricial alopecia);及び
(l)瘢痕性脱毛症(scarring alopecia);
から成る群から選択される。
【0135】
例えば、脱毛症は男性ホルモン性脱毛症であってよい。
【0136】
あるいは、脱毛症はアナゲン脱毛であってよい。休止期段階への毛髪の早期発現から発生するこの病態は、摂食障害、発熱、出産、慢性疾患、大手術、貧血、重度感情障害、急激なダイエット、甲状腺機能低下症、及び薬物を含む種々の原因に因ると考えられる。
【0137】
このように、1つの実施態様では、脱毛は放射線療法及び/又は化学療法剤によって誘発される。例えば、脱毛はシスプラチン、エトポシド及びパクリタキセルなどの化学療法薬による処置の一般的及び窮迫的副作用である。
【0138】
都合のいいことに、哺乳動物はヒトである。
【0139】
関連した、本発明の第4の態様は、哺乳動物の発毛を促進するための薬剤の調製における本発明の第1の態様に関連して上記に記載の修飾オステオポンチンポリペプチドの使用を提供する。
【0140】
このように、薬剤は、現存する毛包を刺激し及び/又は新しい毛包(又はそれを産生するための幹細胞)の成長を誘導するためであり得る。
【0141】
1つの実施態様では、薬剤は、脱毛症(例えばアナゲン脱毛に伴う)のような脱毛に伴う疾患又は病態の処置又は予防用である。
【0142】
1つの実施態様では、脱毛症は:
(a)男性ホルモン性脱毛症(アンドロゲン性脱毛症、男性型禿頭症又は女性型禿頭症としても知られる);
(b)牽引性脱毛症;
(c)アナゲン脱毛;
(d)テロゲン脱毛;
(e)円形脱毛症;
(f)完全脱毛症;
(g)全身性脱毛症;
(h)脱毛性毛瘡;
(i)ムチン性脱毛症;
(j)腫瘍性脱毛症;
(k)瘢痕性脱毛症;及び
(l)瘢痕性脱毛症;
から成る群から選択される。
【0143】
例えば、脱毛症は、男性ホルモン性脱毛症であってよい。
【0144】
あるいは、脱毛症は、例えば放射線療法及び/又は化学療法剤によって誘発されるアナゲン脱毛であってよい(上記参照)。
【0145】
都合のいいことに、哺乳動物はヒトである。
【0146】
関連した、本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様に関連して上記の修飾オステオポンチンポリペプチドの有効量を投与することを含んでなる、哺乳動物の発毛を促進するための方法を提供する。
【0147】
このように、方法は、現存する毛包を刺激し及び/又は新しい毛包(又はそれを産生するための幹細胞)の成長を誘導するためであり得る。
【0148】
本発明のポリペプチド組成物は有効量を患者に投与される。本明細書に記載の「治療的有効量」、又は「有効量」、又は「治療的有効」は、発毛促進効果をもたらす量をいう。これは、所望の治療効果をもたらすために計算された活性物質の所定の量である。当業者には当然なことながら、化合物の量はその特異活性に応じて変動し得る。好適な投薬量は、所要の希釈剤と関連して所望の治療効果をもたらすために計算された活性組成物の所定の量を含有し得る。本発明の組成物の製造の方法と使用では、治療的有効量の活性成分が提供される。治療的有効量は、当技術分野で周知の、年齢、体重、性別、病態、合併症、他の疾患などのような患者特性に基づいて、通常の技量を持つ医学又は獣医学従事者によって決定できる。
【0149】
1つの実施態様では、方法は、脱毛症(例えば成長期毛の喪失に関連する)のような脱毛に関連する疾患又は病態の処置又は予防のためである。
【0150】
1つの実施態様では、脱毛症は:
(a)男性ホルモン性脱毛症(アンドロゲン性脱毛症、男性型禿頭症又は女性型禿頭症としても知られる);
(b)牽引性脱毛症;
(c)アナゲン脱毛;
(d)テロゲン脱毛;
(e)円形脱毛症;
(f)完全脱毛症;
(g)全身性脱毛症;
(h)脱毛性毛瘡;
(i)ムチン性脱毛症;
(j)腫瘍性脱毛症;
(k)瘢痕性脱毛症;及び
(l)瘢痕性脱毛症;
からなる群から選択される。
【0151】
例えば、脱毛症は、男性ホルモン性脱毛症であってよい。
【0152】
あるいは、脱毛症は、例えば放射線療法及び/又は化学療法によって誘発されるアナゲン脱毛であってよい(上記参照)。
【0153】
都合のいいことに、哺乳動物はヒトである。
【0154】
当業者には当然なことながら、本発明の第1態様の組成物はまた、限定されるものではないが、しかし化粧剤としても使用され得る(それらは、そのように、いずれの身体的健康改善をもたらさず、しかしただ哺乳動物に美的利益をもたらすという意味において)。
【0155】
このように、本発明の第6の態様は、哺乳動物の発毛を促進するための本発明の第1態様による組成物の使用を提供し、ここで使用は化粧用途である。
【0156】
このように、化粧品組成物は、現存する毛包を刺激し及び/又は新しい毛包(又はそれを産生するための幹細胞)の成長を誘導するためであり得る。
【0157】
1つの実施態様では、化粧品組成物は、後退している生え際(receding hairline)及び/又は薄くなっている生え際(thinning hairline)に関連する、禿頭症の処置又は予防に使用される。
【0158】
そのような組成物は、頭皮に使用するためだけではなく、体の他所(髭、睫毛、眉毛などの成長を促進するための顔への適用を含む)に適用され得る。
【0159】
都合のいいことに、哺乳動物はヒトである。
【0160】
当業者には当然なことながら、本発明の組成物は単独で又は治療薬又は化粧剤と併用で使用され得る。例えば、本発明の組成物は、既存毛髪の脱毛を阻止するため及び/又は新しい発毛を促進するために、既存治療法、例えばミノキシジル(Regaine RTM., Pharmacia Corp.)及びジアゾキシドのようなカリウムチャンネル開口薬;フィナステリド(Propecia RTM., Merck & Co.)のような5α−レダクターゼ阻害剤;及び免疫抑制薬シクロスポリンAとの併用で使用され得る。
【0161】
更に当業者には当然なことながら、本発明の組成物はインビボ、エキソビボ又はインビトロで使用され得る。
【0162】
このように、哺乳動物に直接適用又は投与されることに加えて、組成物は、エキソビボで、例えば哺乳動物へ移植より前にて皮膚外植片における発毛促進に使用され得る。
【0163】
あるいは、組成物はインビトロで、例えば細胞培養においてエキソビボで毛包を成長させるのに使用され得て、次いで患者に移植され得る。
【0164】
従って、本発明の更なる態様は、インビトロ又はエキソビボで発毛を促進するための本発明の第1の態様によるポリペプチドの使用を提供する。
【0165】
1つの実施態様では、ポリペプチドは毛包(又はそれの幹細胞前駆体)の成長を促進するために使用される。
【0166】
本発明の尚更なる態様は、本発明の第1の態様により組成物を作製する方法を提供し、その方法は、RGDドメインは薬学的に許容される及び/又は化粧品的に許容される添加剤、担体又は希釈剤で不活性化される、修飾オステオポンチンポリペプチドを混和することを含む。
【0167】
本発明のある態様を具体化する好ましい非限定的実施例がここで下記の図面を参照して記載され得る: