(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドライバーブレーキ力(Fb)により前記第1のピストン部材(24)を変位させることによって、前記ブレーキマスタシリンダ(12)の少なくとも1つの漏れ孔(38,40)を密封可能である、請求項1または2に記載の一次ピストンアッセンブリ(22,28)。
前記第1の一次ピストン構成要素(22)に、該第1の一次ピストン構成要素(22)と少なくとも前記ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構(26)との間の第3の力伝達接触を介して、第2のブレーキ補助力(Fu2)を次のように伝達可能であり、すなわち前記第2のブレーキ補助力(Fu2)により前記第1のピストン部材(24)を変位させることによって、前記液体で充填可能な圧力室容積が減少可能であるように、伝達可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の一次ピストンアッセンブリ(22,28)。
少なくとも1つの入力棒(54)を介して、前記ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素に作用するドライバーブレーキ力(Fb)を伝達可能な、少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素(50,52)であって、前記第1の力伝達接触が生じるように、且つ前記ドライバーブレーキ力(Fb)が前記第1の一次ピストン構成要素(22)に伝達可能であるように、前記第1の一次ピストン構成要素(22)が接触している前記少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素(50,52)と、
前記ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構(26)により変位可能な倍力装置本体(56)であって、前記第2の力伝達接触が生じるように、且つ前記第1のブレーキ補助力(Fu1)が前記第2の一次ピストン構成要素(28)に伝達可能であるように、前記第2の一次ピストン構成要素(28)が接触している前記倍力装置本体(56)と、
を備えた、請求項5に記載のブレーキ装置。
前記倍力装置本体(56)が貫通穴(58)を有し、前記入力棒(54)および/または前記少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素(50,52)が少なくとも部分的に前記貫通穴(58)の内部で案内されている、請求項6または7に記載のブレーキ装置。
前記入力棒(54)と、該入力棒(54)と少なくとも一時的に接触する少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素(50,52)との少なくとも一部分を、倍力装置本体(56)の貫通穴(58)内に配置し、前記第1のピストン部材(24)から前記少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素(50,52)への前記第1の一次ピストン構成要素(22)の第1のパワーカップリングを次のように構成し、すなわち前記ブレーキ装置の作動時に、前記ドライバーブレーキ力(Fb)が前記入力棒(54)から前記少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素(50,52)と前記第1のパワーカップリングとを介して前記第1のピストン部材(24)に伝達されるように、構成し、
前記ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構(26)を前記倍力装置本体(56)に配置し、前記第2のピストン部材(30)から前記倍力装置本体(56)への前記第2の一次ピストン構成要素(28)の第2のパワーカップリングを次のように構成し、すなわち前記ブレーキ装置の作動時に、前記ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構(26)により前記倍力装置本体(56)を変位させることによって、前記ブレーキ補助力(Fu1)が、前記第2のパワーカップリングを介して、前記第1のピストン部材(24)の貫通繰り抜き部(36)内に配置される前記第2のピストン部材(30)に伝達されるように、構成する、
請求項10に記載の製造方法。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、請求項1の構成を備えた、車両のブレーキシステムのブレーキマスタシリンダ用の一次ピストンアッセンブリ、請求項7の構成を備えた車両のブレーキ装置用ブレーキ装置、請求項11の構成を備えた車両用ブレーキシステム、請求項12の構成を備えた、少なくとも1つのブレーキマスタシリンダとブレーキ倍力装置とを備えたブレーキ装置の製造方法、請求項15の構成を備えた、車両のブレーキシステムの製造方法、請求項16の構成を備えた、ブレーキ装置の作動方法を提供する。
【0005】
第1の一次ピストン構成要素および/または第2の一次ピストン構成要素は、それぞれ一次ピストン/バーピストンであってよい。しかし、第1の一次ピストン構成要素および第2の一次ピストン構成要素は一次ピストンまたはバーピストンとしての構成に限定されるものでないことを指摘しておく。特に、第1の一次ピストン構成要素および第2の一次ピストン構成要素の構成は、特定タイプの一次ピストンまたはバーピストンに限定されない。
【0006】
第1の一次ピストン構成要素および/または第2の一次ピストン構成要素は一体に/1つの部材から構成されていてよい。また、第1の一次ピストン構成要素および/または第2の一次ピストン構成要素は組み立てられた複数の分割ユニットから構成されていてもよい。なお、「部材」という概念の使用は第1のピストン部材および/または第2のピストン部材の構成を一体の構成に確定したものでないことを指摘しておく。また、第1のピストン部材および/または第2のピストン部材は付設の一次ピストン構成要素の他の少なくとも1つの構成要素と一体に/1つの部材から構成されていてよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ブレーキマスタシリンダの圧力室内へ変位可能な一次ピストン/バーピストンを種々のセグメント/ピストン/ピン部材への分離/分割を実現させる。実現された分離により、所望の(全)ブレーキ投入面積を変化させることができる。以下でより詳細に述べるように、特に実現された分離により、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構の故障時にドライバーによってもたらされるべき、ブレーキマスタシリンダのそれぞれの圧力室内にブレーキ圧を生成させるためのブレーキ投入力を、減少させることができる。これは、ドライバーにとって、まさにブレーキ倍力装置アクチュエータ機構が故障した時のブレーキマスタシリンダへのブレーキ投入を容易にさせる。
【0008】
有利には、第2の一次ピストン構成要素へのドライバーブレーキ力の伝達は抑止/阻止されている。このようにして、ドライバーは、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構の故障後にブレーキマスタシリンダの圧力室にブレーキ投入する際に、第1の一次ピストン構成要素/第1のピストン部材に作用する圧力に反作用を及ぼすだけでよいように保証できる。このようにして、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構の故障の際にドライバーがもたらすべきブレーキ投入力の前述の減少が確実に保証できる。
【0009】
有利な実施態様では、第1のピストン部材は貫通繰り抜き部を有し、該貫通繰り抜き部の内部に第2のピストン部材が少なくとも部分的に変位可能に配置されている。たとえば、第1のピストン部材はリング状に形成されていてよい。これは、他のピストン部材の位置/ポジションに阻害されることのない、両ピストン部材の変位能の有利な独立性を保証する。従って、特に、圧力室容積部内のブレーキ圧を、第1のピストン部材のみを変位させることにより、または、第2のピストン部材のみを変位させることにより、または両ピストン部材を共に変位させることにより、選択的に変化させることが可能である。
【0010】
有利には、ドライバーブレーキ力により第1のピストン部材を変位させることによって、ブレーキマスタシリンダの少なくとも1つの漏れ孔を密封可能である。これは、第1のピストン部材を外側に形成することによって簡単に実現可能である。従って、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構の故障の場合ですら、ドライバーブレーキ力を用いて、変化可能な圧力室容積部をブレーキ液リザーバーと結合させている少なくとも1つの漏れ孔を簡単に密封することができ、第1のピストン部材を変位させることによって、変化可能な圧力室容積部内のブレーキ圧を確実に増大させることができる。このようにして、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構の故障にもかかわらず、圧力室内への確実なブレーキ投入を簡単に実施できる。
【0011】
好ましくは、第1の一次ピストン構成要素の、第1のピストン部材から離間する方向にある第1の端部部分は、第2の一次ピストン構成要素の少なくとも1つの第2の端部部分であって第2のピストン部材から離間する方向にある少なくとも1つの前記第2の端部部分によって張られる内部空間内へ突出していてよい。このようにして、第2のピストン部材が第1のピストン部材の貫通繰り抜き部の中に配置されているにもかかわらず、たとえば入力棒のような少なくとも1つの第1の力伝達要素および/または特にリアクションディスクのような少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素の間での第1の力伝達接触を生じさせることが可能であり、この場合同時に、第2のピストン部材と、少なくとも1つの第1の力伝達要素を少なくとも部分的に空間的に取り囲んでいる、たとえば倍力装置本体のような少なくとも1つの第2の力伝達要素との間の第2の力伝達接触が存在していてよい。従って、以下で詳細に述べるように、従来のブレーキ倍力装置の構成要素/要素も本発明による一次ピストンアッセンブリとともに使用することができる。
【0012】
第1の一次ピストン構成要素も、該第1の一次ピストン構成要素と少なくともブレーキ倍力装置アクチュエータ機構との間の第3の力伝達接触を介して、第2のブレーキ補助力を次のように伝達可能であり、すなわち第2のブレーキ補助力により第1のピストン部材を変位させることによって、液体で充填可能な圧力室容積が減少可能であるように、伝達可能である。従って、ドライバーは、第1の一次ピストン構成要素/第1のピストン部材を変位させる際に、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構を用いて付加的にパワー補助することができる。
【0013】
上述の利点は、この種の一次ピストンアッセンブリおよびブレーキマスタシリンダおよび/またはブレーキ倍力装置を備えた、車両のブレーキシステム用ブレーキ装置に対しても保証されている。
【0014】
有利な更なる構成では、ブレーキ装置は、少なくとも1つの入力棒を介して、ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素に作用するドライバーブレーキ力を伝達可能な、少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素を含んでいる。この場合、第1の一次ピストン構成要素は少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素と次のように接触しており、すなわち第1の力伝達接触が生じるように、且つドライバーブレーキ力が第1の一次ピストン構成要素に伝達可能であるように、接触している。また、ブレーキ装置は、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構により変位可能な倍力装置本体を有していてもよい。この場合、第2の一次ピストン構成要素は次のように倍力装置本体と接触しており、すなわち第2の力伝達接触が生じるように、且つ第1のブレーキ補助力が第2の一次ピストン構成要素に伝達可能であるように、接触している。ブレーキ装置のこのような構成により、少なくとも第1の力伝達接触と第2の力伝達接触とを確実に実現可能である。
【0015】
さらに、第3の力伝達接触が生じるように、且つ第2のブレーキ補助力が第1のブレーキピストン構成要素に伝達可能であるように、倍力装置本体は少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素と接触している。これは、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構を用いて第1の一次ピストン構成要素を変位させる際のドライバーの有利な補助を保証している。
【0016】
これとは択一的なものとして、または、これを補完するものとして、倍力装置本体は貫通穴を有していてよく、この場合入力棒および/または少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素は少なくとも部分的に貫通穴の内部で案内されている。従って、ブレーキ装置に対しては、従来のブレーキ倍力装置の倍力装置本体、入力棒および/またはたとえばリアクションディスクのような少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素をも使用することができる。このようにして、ブレーキ装置の装備/製造に際しては、すでに大量に生産された低コストの部材を使用することができる。
【0017】
上述した利点は、少なくとも1つのブレーキ回路と、これに対応する一次ピストンアッセンブリおよび/または対応するブレーキ装置とを備えた車両用ブレーキシステムを用いても実現可能である。
【0018】
少なくとも1つのブレーキマスタシリンダとブレーキ倍力装置とを備えたブレーキ装置の対応する製造方法、または、車両のブレーキシステムの対応する製造方法を用いても上述の利点は簡単に実現可能である。
【0019】
さらに、ブレーキ装置を作動させるための対応する方法を実施することによってもこれらの利点を得ることができる。
【0020】
以下に、本発明の更なる構成および利点を図面を用いて説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1Aないし
図1Cは、一次ピストンアッセンブリの第1実施形態の3つの図を示している。
【0023】
図1Aないし
図1Cに図示した一次ピストンアッセンブリは、車両のブレーキ装置または(液圧式)ブレーキシステムにおいて使用可能である。一次ピストンアッセンブリは、ブレーキマスタシリンダ12の第1の圧力室10内の少なくとも1つの第1のブレーキ圧を変化させるために利用することができる。オプションで、ブレーキマスタシリンダ12は第2の圧力室14をも含んでいてよい。この場合、好ましくは、第2の圧力室14内の第2のブレーキ圧は、第1の圧力室10と第2の圧力室14との間で変位可能に配置されている浮動ピストン16を用いて変更可能である。このように、一次ピストンアッセンブリを備えたブレーキシステムは、第1の供給管18aを介して第1の圧力室10に結合されている第1のブレーキ回路20aと、第2の供給管18bを介して第2の圧力室14に結合されている第2のブレーキ回路20bとを含むことができる。しかしながら、2回路型ブレーキシステムとしてのブレーキシステムの、
図1Aないし
図1Cに示した図示は、単に例示的に説明するためのものにすぎない。また、一次ピストンアッセンブリの適用性は、少なくとも1つのブレーキ回路20aと20bおよびこれらを備えたブレーキシステムの特定の構成に限定されるものではない。同様に、タンデム型ブレーキマスタシリンダの代わりに、ブレーキマスタシリンダ12に対しては他のタイプのブレーキマスタシリンダを使用することができる。
【0024】
一次ピストンアッセンブリは、第1のピストン部材24を備えた第1の一次ピストン構成要素22を含んでいる。第1の一次ピストン構成要素22とブレーキシステムに配置されている少なくとも1つのブレーキ操作要素(図示せず)との間の第1の力伝達接触を介して、ドライバーブレーキ力Fbを第1の一次ピストン構成要素22へ伝達可能である。これは、ドライバーブレーキ力Fbによる第1のピストン部材24の変位により、ブレーキマスタシリンダ12の第1の圧力室10の、液体で充填可能な圧力室容積が減少可能であるように実施可能である。このようにして、一次ピストン構成要素22の変位によって、第1の圧力室10内または第1の圧力室10の圧力室容積部内にある第1のブレーキ圧を増大させることができる。
【0025】
また、第1の圧力室10の、液体で充填可能な圧力室容積は、さらに、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26により提供される第1のブレーキ補助力Fu1を用いて減少可能である。これは、第2のピストン部材30を備えた第2の一次ピストン構成要素28によって実現可能である。第1のブレーキ補助力Fu1は、第2の一次ピストン構成要素28と少なくともブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26との間の第2の力伝達接触を介して、第2の一次ピストン構成要素28に次のように伝達可能であり、すなわち第1のブレーキ補助力Fu1による第2のピストン部材30の変位によって、第1の圧力室10の液体で充填可能な圧力室容積が減少可能であるように、伝達可能である。
【0026】
ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26はたとえば電気機械機器またはハイドロリック機構であってよい。しかしながら、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26の構成は前記の例に限定されるものではない。
【0027】
第1の一次ピストン構成要素22と第2の一次ピストン構成要素28とから成る一次ピストンアッセンブリは、第1のブレーキ室10内の第1のブレーキ圧を増大させるために第1のブレーキ室内へ少なくとも部分的に侵入可能な一次ピストン/バーピストンの分離/分割を実現させる。分離/分割を実現することにより、第1のブレーキ室に投入される全ブレーキ投入面を、選択的に、第1のピストン部材24の、圧力室容積部を画成している第1のブレーキ投入面F1のみに設定するか、或いは、第2のピストン部材30の、圧力室容積部を画成している第2のブレーキ投入面F2にのみ設定するか、或いは、第1のブレーキ投入面F1と第2のブレーキ投入面F2の総和に設定することができる。ブレーキ投入面F1とF2とは、それぞれのピストン部材24と30の、第1の圧力室10の圧力容積部を画成している表面であって、圧力室容積を減少させるために変位可能な前記表面と理解することができる。第1の圧力室10内にある第1のブレーキ圧とブレーキ投入面F1またはF2とからブレーキ投入に反作用する反力が生じるので、この反力も分離/分割により簡単に変化させることができる。
【0028】
ブレーキ操作要素(図示せず)と第2の一次ピストン構成要素28との間には力伝達接触がないので有利である。これは、第2の一次ピストン構成要素28/第2のピストン部材30へのドライバーブレーキ力Fbの部分伝達(自体)が抑止/阻止されていると言うこともできる。従ってドライバーはドライバーブレーキ力Fbを用いて、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26が機能障害状態にあるときに第1の一次ピストン構成要素22のみを変位させればよい。従ってドライバーは、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26の故障後に、第1のブレーキ投入面F1だけで第1の圧力室10へブレーキを投入させる。これにより、ドライバーが第1の圧力室10内に第1のブレーキ圧を生成させるために要するドライバーブレーキ力Fbが著しく減少する。
【0029】
オプションで、第2のブレーキ補助力Fu2を、第1の一次ピストン構成要素22と少なくともブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26との間の第3の力伝達接触を介して第1の一次ピストン構成要素22に、次のように伝達可能であってよく、すなわち第2のブレーキ補助力Fu2によって第1のピストン部材24を変位させることにより、第1の圧力室10の、液体で充填可能な圧力室容積が、減少可能であるように、伝達可能であってよい。このようにして、第1のピストン部材24を変位させる際にも、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26によりドライバーを力でアシストすることができる。
【0030】
図示した実施形態では、第1の一次ピストン構成要素22は、第1のピストン部材24と、これとは別個に製造される第1のパワーカップリング32とから構成されている。同様に、第2の一次ピストン構成要素28は、第2のピストン部材30と、これとは別個に製造される第2のパワーカップリング34とを含んでいる。しかし、第1の一次ピストン構成要素22および/または第2の一次ピストン構成要素28は、一体に/1つの部材から形成されていてもよい。択一的な実施形態では、第1のパワーカップリング32および/または第2のパワーカップリング34は、別個に製造される少なくとも3つの分割ユニットから構成されていてもよい。
【0031】
第1の一次ピストン構成要素22は、第2の一次ピストン構成要素28が一緒に移動しなくとも変位可能であるので好ましい。第1の一次ピストン構成要素22の有利な変位可能性は、第2の一次ピストン構成要素28の位置とは(略)独立であってよい。対応的に、第2の一次ピストン構成要素28は第1の一次ピストン構成要素22が一緒に移動しなくとも、および/または、第1の一次ピストン構成要素22の位置とは(略)独立に変位可能であってよい。
【0032】
有利な実施形態では、第1のピストン部材24は貫通繰り抜き部36を有し、この繰り抜き部の内部に第2のピストン部材30が少なくとも部分的に変位可能に配置されている。第1のピストン部材24はたとえばリング状に形成されていてよい。第1のピストン部材24が第2のピストン部材30よりも外側に形成されていることにより、第1のピストン部材24がドライバーブレーキ力Fbを用いて変位することによって、第1の圧力室10をブレーキ液リザーバー(図示せず)と結合させている少なくとも1つの液圧結合/漏れ孔38を簡単に密封可能である。したがって、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26の故障にもかかわらず、ドライバーブレーキ力Fbにより少なくとも1つの液圧結合/漏れ孔38を第1の圧力室10とブレーキ液リザーバーとの間で密封することができ、圧力室容積部に第1のブレーキ圧を生成させることができる。ブレーキマスタシリンダ12をタンデムブレーキマスタシリンダとして構成する場合、生成された第1のブレーキ圧を介して浮動ピストン16をさらに次のように変位させることができ、すなわち少なくとも1つの液圧結合/漏れ孔40が第2の圧力室14とブレーキ液リザーバーとの間で密封されて、第2の圧力室14内に第2のブレーキ圧が生成されるように、変位させることができる。このようにして、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26に機能障害があるにもかかわらず、ドライバーはドライバーブレーキ力Fbを用いて車両のブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ回路20aと20bにブレーキを確実に投入することができる。
【0033】
したがって、第1のピストン部材24は外側ピストン/外側のリングピストンと言い換えることもできる。対応的に、第2のピストン部材30は第1のピストン部材24の中にある内側ピストンと呼ぶこともできる。両ピストン部材24と30の間に、たとえばパッキンリングまたはリップパッキンのような少なくとも1つのパッキン要素25を配置して、両ピストン部材24と30の間から液体が漏れるのを阻止するようにしてよい。対応的に、第2のピストン部材30とブレーキマスタシリンダ12の内壁との間でのブレーキマスタシリンダ12からの液体の漏れを、同様にパッキンリングまたはリップパッキンであってよい少なくとも1つのパッキン要素31によって阻止することができる。両圧力室10と14の間での望ましくない液体交換も、浮動ピストン16に設けたパッキン要素33を介して一時的に阻止することができる。
【0034】
有利な実施形態では、第1の一次ピストン構成要素22の、第1のピストン部材24から離間する方向にある第1の端部部分42は、第2の一次ピストン構成要素28の、第2のピストン部材30から離間する方向にある少なくとも1つの第2の端部部分44によって張られる、内部空間の中へ突出している。これは、第1の一次ピストン構成要素22が、第1の端部部分42において、第1の一次ピストン構成要素22および/または第2の一次ピストン構成要素28の変位方向46に対し垂直に第1の拡がりa1を有し、この第1の拡がりが、第2の端部部分24での第2の一次ピストン構成要素28の、変位方向46に垂直な第2の拡がりa2よりも小さいと言い換えることもできる。同様のことは第2のパワーカップリング34のフォーク部についても言うことができ、すなわち張られたその内部空間内に第1のパワーカップリング32が突出している。以下により正確に説明するように、ここで述べている一次ピストン構成要素22と28の有利な構成により、該一次ピストン構成要素と、生産容易な低コストのブレーキ倍力装置構成要素との協働を保証することができる。
【0035】
図1Aないし
図1Cを用いて図示したブレーキシステムでは、一次ピストンアッセンブリはブレーキ倍力装置48の個々の要素と協働する。なお、ブレーキ倍力装置48の協働要素の構成は以下に説明するブレーキ倍力装置48の構成に限定されるものではないことを指摘しておく。
【0036】
ブレーキ倍力装置48は少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素を有し、たとえばリアクションディスク50とリアクションディスクガイド52とを有している。ブレーキシステムに配置されているブレーキ操作要素に作用するドライバーブレーキ力Fbは、少なくとも1つの入力棒54を介してリアクションディスク50に伝達可能である。しかしながら、以下でより正確に説明するように、入力棒54とリアクションディスク50との間の間隔が一時的にゼロに等しくなくてもよく、その結果リアクションディスク50へのドライバーブレーキ力Fbの伝達は阻止される。
【0037】
ブレーキ操作要素は例えばブレーキペダルであってよい。しかしながら、ブレーキ操作要素の構成はブレーキペダルに限定されるものではない。第1の一次ピストン構成要素22はリアクションディスク50と接触し、その結果第1の力伝達接触が生じ、ドライバーブレーキ力Fbが第1の一次ピストン構成要素22へ伝達可能である。
【0038】
ブレーキ倍力装置48は、さらに、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26により変位させることのできる倍力装置本体56を含んでいる。第2の一次ピストン構成要素28は倍力装置本体56と接触し、その結果第2の力伝達接触が生じ、第1のブレーキ補助力Fu1を第2の一次ピストン構成要素28へ伝達させることができる。
【0039】
オプションで、倍力装置本体56は少なくとも部分的に弾性のある、例えばリアクションディスク50とリアクションディスクガイド52を有する、力伝達構成要素にも接触できる。このようにして、第3の力伝達接触が設けられて作用可能であり、これにより第2のブレーキ補助力Fu2が第1の一次ピストン構成要素22に伝達可能である。
【0040】
このように第1の力伝達接触、第2の力伝達接触および/または第3の力伝達接触とは、直接的な接触または間接的な接触と理解してよい。従って第1の力伝達接触は、第1の一次ピストン構成要素22がブレーキ操作要素と直接的に接触していなくとも行われ得る。同様に、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26と第2の一次ピストン構成要素28との間の第2の力伝達接触は、たとえば倍力装置本体56のような少なくとも1つの力伝達要素を介して生じさせることができる。対応的に、第3の力伝達接触も、第1の一次ピストン構成要素22とブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26との直接的な接触なしに実現可能である。
【0041】
図示した実施形態のブレーキ倍力装置48の場合、倍力装置本体56は貫通穴58を有し、この貫通穴の内部に入力棒56および/または少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素(たとえばリアクションディスク50とリアクションディスクガイド52とから成る)が倍力装置本体56に対し変位可能に配置されている。第1のパワーカップリング32および第2のパワーカップリング34の前述した有利な構成により、ブレーキ倍力装置48の個々の要素からこれに付設のピストン部材24と30への力Fb,Fu1,Fu2の伝達は、貫通穴58内部に入力棒56のガイドおよび/または少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素のガイドがあるにもかかわらず、確実に実施可能である。従って、ブレーキ倍力装置48の実現のために、従来のブレーキ倍力装置の安価な構成要素を使用することができる。しかしながら、もう一度指摘しておくが、ブレーキ倍力装置48の構成は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0042】
図1Aでは、一次ピストンアッセンブリを備えたブレーキシステムが、ドライバーブレーキ力Fbがゼロに等しいときの出発位置で図示されている(ドライバーは、
図1Aに図示したシチュエーションではブレーキ操作要素を操作していない)。対応的に、補助力Fu1とFu2はゼロに等しい。それ故、ピストン部材24と30と倍力装置本体56とは、それらの出発位置にある。第1のピストン部材24の第1のピストンストロークk1と、第2のピストン部材30のピストンストロークk2と、倍力装置本体56の変位距離svとはゼロに等しい。さらに、リアクションディスク50と入力棒54との間にはエアギャップ64/フリートラベルがある。
【0043】
これに対応して、
図1Bと
図1Cは、ドライバーがゼロに等しくないドライバーブレーキ力Fbで操作要素を操作している間のブレーキシステムを示している。
【0044】
図1Bは、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26が設けられている場合のブレーキシステムを機能実施状態で示している。この場合には、補助力Fu1とFu2との総和(ゼロに等しくない)を、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26により倍力装置本体56に作用可能である(好ましくは、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26の制御は、倍力装置本体56に作用する補助力Fu1とFu2との総和を、ドライバーブレーキ力Fbを考慮してゼロでないように設定するよう構成されている)。
【0045】
ブレーキ倍力装置本体56は、補助力Fu1とFu2との総和により、ケーシング60内に配置されている復帰ばね62の復帰力に抗して変位距離sv(ゼロでない)だけ変位可能である。従って、リアクションディスク50と入力棒54との間にエアギャップ64/フリートラベルが少なくとも部分的にまだ存在しているにもかかわらず、補助力Fu1とFu2との総和によって第1の圧力室10へのブレーキ投入を開始することができる。加えて、第1の補助力Fu1により、第1のピストン部材24は第1のピストンストロークk1(ゼロに等しくない)だけ次のように変位し、すなわち第1の圧力室10とブレーキ液リザーバーとの間にある少なくとも1つの漏れ孔38が密封され、且つ第1のブレーキ投入面F1が変位して圧力室容積を減少させるように変位する。さらに、第2の補助力Fu2により、第2のピストン部材30を第2のピストンストロークk2(ゼロに等しくない)だけ第1の圧力室10内へ進入させることができる。
【0046】
図1Cには、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26が故障したにもかかわらず、一次ピストンアッセンブリを有利に機能させる態様が図示されている。ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26による補助力Fu1とFu2が倍力装置本体56に作用できず、倍力装置本体がその出発位置にあるにもかかわらず(svはゼロに等しい)、ドライバーブレーキ力Fb(ゼロに等しくない)を用いてリアクションディスク50と入力棒54との間のエアギャップ64を閉じることができる。これによって実現される、入力棒54と第1の一次ピストン構成要素22との間の第1の力伝達接触により、第2のピストン部材30がその出発位置にあるにもかかわらず(第2のピストンストロークk2はゼロに等しい)、第1のピストン部材24を第1のピストンストロークk1(ゼロに等しくない)だけ変位させることができる。従って、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26の機能障害にもかかわらず、ドライバーはブレーキマスタシリンダ12のブレーキ投入を簡単に行うことができる。
【0047】
ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26の故障/機能障害によって(自動的に)発生する(機械的な)反動局面で、ドライバーは第1のピストン部材24のみを操作する。従って、(機械的な)反動局面では、ブレーキ投入面積は、第1のブレーキ投入面積F1と第2のブレーキ投入面積F2との総和から第1のブレーキ投入面積F1へ減少する。(自動的に)生じるブレーキ投入面積の減少により、ドライバーは同じドライバーブレーキ力Fbでより高いブレーキ圧を達成する。
【0048】
第1のブレーキ投入面積F1は第2のブレーキ投入面積F2に等しくてよい。この場合には、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26の故障/機能障害時に、ブレーキ投入面積は両ブレーキ投入面積F1とF2の総和の半分に減少する。これに伴って、(機械的反動局面での)バックアップブレーキングの間にドライバーによってもたらされるドライバーブレーキ力Fbも半分になる。このようにして、500Nのドライバーブレーキ力を用いて0.64gの車両減速を確実に達成できる。もたらされるドライバーブレーキ力Fbの減少に伴ってブレーキ投入ストロークが長くなったとしても、ほとんどのドライバーにとってはほとんど欠点と見なされない。一般に、ドライバーはバックアップブレーキングの際にブレーキ投入力の増大よりもブレーキ投入ストロークの増大をよしとする。
【0049】
ここで述べている実施形態によるバックアップブレーキングでは、さらに、ドライバーブレーキ力Fbにより第1のピストン部材24を変位させることにより、第1の圧力室10とブレーキ液リザーバーとの間の液圧結合/漏れ孔38を確実に密封可能である。これは、第2のピストン部材30がその出発位置にとどまっているにもかかわらず実現可能である。第1の圧力室10とブレーキ液リザーバーとの切り離しをわずかな労力でドライバーブレーキ力Fbによって実施可能であることにより、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26の故障/機能障害の検知後に液圧結合/漏れ孔38を密封するための付加的な機構を設けずに済む。従って、一次ピストンがここで述べている一次ピストンアッセンブリに分割/分離されているにもかかわらず、コスト的に最適なリザーバー結合/漏れ孔38を使用可能である。
【0050】
図2は、一次ピストンアッセンブリの第2実施形態の図である。
【0051】
図2に図示した一次ピストンアッセンブリは、上述した個々の構成要素を有している。前記実施形態とは異なり、
図2の一次ピストンアッセンブリでは、第2の一次ピストン構成要素28が一体に形成されている。同様に、入力棒54の、リアクションディク50に向けられる端部は、タブレット部分68として形成されている。
【0052】
さらに、貫通繰り抜き部36には、少なくとも1つの貫流穴72を備えた(穿設した)内壁70が形成されている。第2のピストン部材30は、内壁70の、ブレーキマスタシリンダ12の中心から離間する方向にある側に配置されている。少なくとも1つの貫流穴72は、第2のピストン部材30が変位して進入するには小さすぎる内径を有している。しかし少なくとも1つの貫流穴72を介して、第1の圧力室10と、(穿設した)内壁70と第2のブレーキ投入面F2との間にある内側容積部74との間での液体交換が保証されている。
【0053】
(穿設した)内壁70は、第1の圧力室10内に配置されている第1の圧力室ばね76に対し十分な接触面を提供している。さらに、一次ピストンばね78を介して、内側容積部74の容積が第1の圧力室10内にあるブレーキ圧に対応するよう保証可能である。このため、一次ピストンばね78は、第1の端部において、第2の一次ピストン構成要素28の、ブレーキマスタシリンダ12内へ突出している部分の内面で支持され、および/または、第2の端部において、第1の一次ピストン構成要素22の、ブレーキマスタシリンダ12から離間する方向の部分の内面で支持され得る。第2の圧力室ばね80が第2の圧力室14内に配置されていてよい。
【0054】
フォーク部/膨出拡大部を変位方向46に対し垂直に見て、穴82が第2の一次ピストン構成要素28に形成されていてよい。この穴を通じて第1の一次ピストン構成要素22の中間部分84が突出している。このようにして両一次ピストン構成要素22と28の互いに独立な有利な変位可能性を確実に保証できる。
【0055】
上記段落で説明した一次ピストンアッセンブリは次のように簡単に構成可能であり、すなわち500Nのドライバーブレーキ力Fbにより、ブレーキ倍力装置46によって増幅せずとも、少なくとも3m/s
2の車両減速が達成可能であるように、構成可能である。特に、この一次ピストンアッセンブリを用いると、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構26が故障した場合でも、500Nのドライバーブレーキ力により6.45m/s
2の車両減速ですら達成可能である。ドライバーは500Nのドライバーブレーキ力であれば簡単にもたらすことができるので、ブレーキ倍力装置が故障した場合ですら、ブレーキマスタシリンダ12のブレーキ投入を簡単に実施可能である。
【0056】
通常の制動感を維持するため、機械的倍力係数、すなわちリアクションディスク50と第1のパワーカップリング32との面積比率を新たに設定することができる。
【0057】
図3は、製造方法の1実施形態を示すフローチャートである。
【0058】
以下に説明する製造方法を用いると、少なくとも1つのブレーキマスタシリンダとブレーキ倍力装置とを備えたブレーキ装置を製造可能である。特に、この製造方法を用いると、前記実施例を製造可能である。しかし、この製造方法の適用はこの実施形態の製造に限定されるものではない。
【0059】
方法ステップS1で、第1の一次ピストン構成要素を入力棒に対し次のように配置し、すなわちブレーキ装置の作動時に入力棒に伝達されるドライバーブレーキ力が第1の一次ピストン構成要素に伝達され、第1の一次ピストン構成要素の第1のピストン部材がドライバーブレーキ力によって変位することにより、ブレーキマスタシリンダの圧力室の液体充填可能な圧力室容積が減少するように、配置する。
【0060】
方法ステップS2で、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構をブレーキ装置に配置する。前述したように、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構に対しては低コストの液圧式または電気機械式アクチュエータも使用できる。ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構に加えて、さらにブレーキ倍力装置の他の構成要素をも配置することができる。
【0061】
方法ステップS3で、第2の一次ピストン構成要素をブレーキ倍力装置アクチュエータ機構に対し次のように配置し、すなわちブレーキ装置の作動時に、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構によって提供されるブレーキ補助力が第2の一次ピストン構成要素へ伝達されるように、且つブレーキ補助力による第2の一次ピストン構成要素の第2のピストン部材の変位によって、液体で充填可能な圧力室容積が減少するように、配置する。
【0062】
上述の方法ステップS1ないしS3の番号付けは、製造方法を実施する時間的順番を確定するものではない。
【0063】
方法ステップS1ないしS3の特に有利な実施形態では、第1の一次ピストン構成要素は、(貫通する)繰り抜き部を有する管状の第1のピストン部材を含んでいる。第2の一次ピストン構成要素は、第1の一次ピストン構成要素の位置に(ほぼ)関係なく繰り抜き部内を変位可能に配置される第2のピストン部材を有していてよい。この場合、ブレーキマスタシリンダの圧力室の、液体で充填可能な圧力室容積部は、第1のピストン部材の第1の面と第2のピストン部材の第2の面とによって画成される。ここで述べている両ピストン部材相互の配置構成に加えて、第1の一次ピストン構成要素の、第1のピストン部材から離間する方向にある第1の端部部分と、第2の一次ピストン構成要素の、第2のピストン部材から離間する方向にある第2の端部部分とを次のように配置してよく、すなわち第1の端部部分が第2の端部部分によって張られる内部空間内へ突出するように、配置してよい。両一次ピストン構成要素の更なる有利な構成および配置構成の可能性に関しては、前述の説明を参照してもらいたい。
【0064】
本製造方法の場合、オプションで、入力棒と、該入力棒が少なくとも一時的に接触する少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素との少なくとも一部分を、倍力装置本体の貫通穴内部に配置し、第1のピストン部材から少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素への第1の一次ピストン構成要素の第1のパワーカップリングを次のように構成してよく、すなわちブレーキ装置の作動時にドライバーブレーキ力が入力棒から少なくとも部分的に弾性のある力伝達構成要素と第1のパワーカップリングとを介して第1のピストン部材へ伝達されるように、構成してよい。同様に、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構を倍力装置本体に配置し、第2のピストン部材から倍力装置本体への第2の一次ピストン構成要素の第2のパワーカップリングを次のように構成してよく、すなわちブレーキ装置の作動時に、ブレーキ倍力装置アクチュエータ機構により倍力装置本体が変位することにより、ブレーキ補助力が、第2のパワーカップリングを介して、第1のピストン部材の貫通繰り抜き部内に配置されている第2のピストン部材へ伝達されるように、構成してよい。
【0065】
捕捉しておくと、車両のブレーキシステム用の製造方法において、少なくとも1つのブレーキ回路をブレーキ装置に形成させることができる。
【0066】
図4は、ブレーキ装置を作動させる方法の1実施形態を示すフローチャートである。
【0067】
図4により図示した方法は、たとえば前述した一次ピストンアッセンブリを用いて、または、これを備えているブレーキシステムを用いて実施可能である。しかしながら、この方法の実施可能性は前述の実施形態に限定されるものではない。
【0068】
本方法は方法ステップS10を有し、この方法ステップでは、第1のピストン部材を変位させることにより少なくとも1つの漏れ孔を覆い、ブレーキマスタシリンダの圧力室の、液体で充填可能な圧力室容積を減少させるようにドライバーブレーキ力を第1のピストン部材へ伝達させることにより、ブレーキ装置のブレーキマスタシリンダの少なくとも1つの漏れ孔を密封する。この方法ステップS10の間は、液体で充填可能な圧力室の圧力室容積を減少させることができる第2のピストン部材へのドライバーブレーキ力の部分伝達すらも阻止される。
【0069】
この方法はすでに述べた利点を保証する。それ故、この利点を改めて説明することは省略する。