【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、流動流体からエネルギーを抽出するタービン装置であって、流体が通過する少なくとも1つのタービンユニットと、前記少なくとも1つのタービンユニットに流体を送るためのシミュレーションポンプと、前記流体を貯蔵するリザーバとを含み、前記タービンユニットは、そこを通して前記流体を引き込むように構成されていることを特徴とするタービン装置を提供する。
【0012】
従来技術とは対照的に、本発明は、電力を発生させるために任意の場所に配置して動作させることが可能なタービン装置を提供する。タービン装置は、既存のダム、貯水池、河川、ラグーン、湖、スイミングプール、タンク又はその他の流体塊(自然又は人工のいずれか)の側面に設置することが可能な、自己完結型の独立型装置、又は可搬型の独立型装置のいずれとして動作してもよい。本発明は、タービン装置のタービンユニットを駆動するのに十分な正のヘッドを作り出すために、流水の供給源やダム等の重要なインフラストラクチャを必要としない。
【0013】
少なくとも1つのタービンユニットが、タービンユニットの前方における圧力の上昇を低減するように構成されていてもよい。
【0014】
シミュレーションポンプは、タービン翼の組を駆動するために直接流体を供給してもよい。シミュレーションポンプは、ダムにより従来提供されるような正のヘッドをシミュレートしてもよい。好ましくは、シミュレーションポンプは、少なくともタービンユニットへの流体の供給を変化させるために可変的に動作可能である。好ましくは、シミュレーションポンプは、タービンユニットの開口部の前方に位置している。
【0015】
シミュレーションポンプは、ダム又は貯水池、或いは流体を貯蔵して所定の圧力ヘッド及び流速で放出してタービンを駆動し、エネルギーを生み出すことができるそのような構造体によって通常生み出される流体及び圧力ヘッドをシミュレートするために使用される、流体ポンプである。
【0016】
シミュレーションポンプは、最初に外部電源からのエネルギーの入力を必要とする。タービンユニットを動作させるのに必要なポテンシャルエネルギーのレベルを超えて単一のタービンユニットが全エネルギーのレベルを生成する最小速度を、シミュレーションポンプの効率が決定する。
【0017】
タービンユニット、リザーバ、及びシミュレーションポンプは、配管によって流体的に接続されていてもよい。
【0018】
本発明の一態様では、タービン装置は、実質的に閉じた回路である。好ましくは、リザーバは、配管細工の拡大部により提供される。動作において、リザーバは、少なくとも1つのタービンユニットの下方に位置していてもよい。好ましくは、リザーバの体積は、秒単位でユニットを流れる流体の体積の少なくとも2倍に等しい。即ち、流体の流れが毎秒200Lである場合には、リザーバは少なくとも400L貯蔵することができなければならない。好ましくは、タービン装置は、その内部に流体が存在しない空隙部を有する。この部位は、タービン装置の運転状態に応じて移動してもよい。空隙部は、秒単位でユニットを流れる流体の体積の半分であってもよい。空隙が、装置の圧縮及び失速を防ぐ。
【0019】
タービン装置は、その内部の空気圧と大気の空気圧との均等化を許容するための少なくとも1つの空気弁を含んでいてもよい。
【0020】
タービン装置の向きによって、空隙は自動的に装置の上部になる。従って、空隙部と連通した状態に確保するために、少なくとも1つの空気弁もまた、その上部に位置することになる。
【0021】
本発明の別の態様では、リザーバは、タービン装置の入口と出口とがそこで連通した状態にある開放した流体塊により提供される。
【0022】
好ましくは、タービン装置が複数のタービンユニットを含む場合は、複数のタービンユニットのRPMが実質的に等しくなるように、複数のタービンユニットにわたって速度及び質量が実質的に等しくあり続ける。
【0023】
好ましくは、少なくとも1つのタービンユニットは、ハウジングの通路内に取り付けられたポンプタービン翼の組から上流に位置する駆動タービン翼の組を含む。
【0024】
好ましくは、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは、それらが同じ方向且つ同じ速度で回転するよう制約されるように、共通のシャフトに取り付けられている。
【0025】
駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは、対向した関係で取り付けられていてもよく、それによって、動作において駆動タービン翼の組がポンプタービン翼の組に向かって流体を押し出し、ポンプタービン翼の組が駆動タービン翼の組から流体を引き込むように、ポンプタービン翼の組が駆動タービン翼の組と反対の関係となる。タービン翼の組の同時動作が、駆動タービン翼の組の前方及び駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組との間に低圧領域を生み出してもよく、この圧力は、シミュレーションポンプによりタービンユニットへ供給される流体の圧力よりも低くてもよい。
【0026】
この構成により、通路の開口部の流体圧力と比較して低圧の領域が2つのタービン翼の組の間に作り出される。更に、ポンプタービン翼の組がタービンユニットを通して流体を引き込むと、駆動タービン翼の組から上流にも低圧の領域が形成される。これは、タービンユニットの前方に流れるための最小限の障害が存在することを確実にするので重要であり、従来技術の装置により典型的に経験されたことである。ポンプタービン翼の組とその駆動タービン翼の組に対する逆の配向の結果として、タービンユニットを通って流れる質量が顕著に増加する。更に、駆動タービン翼の組に当たる流体の速度が増加する。
【0027】
流体が高圧領域(タービンユニットの前方)から比較的低圧の領域に移動すると、より大きな圧力差がより大きな質量流量を誘導する。高圧領域は、自然、即ち大気圧、又は強制、即ちポンプや圧力ヘッドのどちらかにより発生し得る。更に、ポンプタービン翼の組は、流体を排出すると同時に、背圧のポテンシャルを低下させる。
【0028】
好ましくは、タービン装置が単一のタービンユニットを含む場合、駆動タービン翼の組に当たる流体の速度は、流体の終端速度よりも大きい。これは、ポンプタービン翼の組の大きさにより影響され得る。
【0029】
各タービン翼の組は、翼に当たる流体の力によって回転させられる翼の組の形態であってもよい。
【0030】
本発明の一態様では、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは離間関係にある。
【0031】
本発明の別の態様では、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは互いに重なり合う。
【0032】
タービン装置は、少なくとも1つの発電機に接続されていてもよい。
【0033】
少なくともタービンユニットは、少なくとも1つの発電機に接続されていてもよい。
【0034】
少なくとも1つのタービンユニットのシャフトは、発電機に接続されていてもよい。
【0035】
接続は、チェーン駆動、ベルト駆動、シャフトからシャフトへの直接接続、ギアボックス、又は他の既知の手段を介して行われてもよい。
【0036】
流体が通路を通って流れると、その流れが駆動タービン翼の組を駆動すると同時に、ポンプタービン翼の組を回転させる。ポンプタービン翼の組が回転すると、それがポンプタービン翼の組に向かって効率的に流体を引き込み、少なくとも2つのタービン翼の組の間に低圧領域を作り出す。
【0037】
ポンプタービン翼の組が回転すると、流体がシステムを通して引き込まれてユニットの外へ押し出され、駆動タービン翼の組の後方及び前方の圧力蓄積と関連する逆流圧及びエネルギー損失を最小化する。通路から流体を押し出す行為はまた、通路の出口に存在し得る圧力ヘッドを克服する。
【0038】
更に、互いに対して設定された各タービン翼の組の向きにより、ポンプタービン翼の組の効果はまた、システム内の乱流を最小にし、流体が駆動タービン翼の組から通過すると流体の流れを整流する効果を有する。
【0039】
タービン装置が複数のタービンユニットを含む場合、隣接するタービンユニットのシャフトの回転軸は互いに対してオフセットされている。これが、電源を容易にシャフトに接続することを許容すると同時に、タービン装置の更なるコンパクト化を可能にする。
【0040】
好ましくは、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは、最大トルクを提供するように構成されている。
【0041】
更に、互いに対して設定された各タービン翼の組の向きにより、ポンプタービン翼の組の効果はまた、システム内の乱流を最小にし、流体が駆動タービン翼の組から通過すると流体の流れを整流する効果を有する。
【0042】
タービン装置は、通路に侵入する破片や動物を防ぐため、通路の駆動端及びポンプ端にスクリーンを更に含んでいてもよい。
【0043】
本発明の一態様では、ポンプタービン翼の組は、駆動タービン翼と同じ大きさとすることができる。
【0044】
本発明の別の態様では、ポンプタービン翼の組は、駆動タービン翼の組よりも大径とすることができる。好ましくは、駆動タービン翼の直径のポンプタービン翼の組に対する最適な比は、1:1.617である。
【0045】
本発明の一態様では、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは、互いに重なり合うように連結することができる。
【0046】
本発明の別の態様では、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは離間関係とすることができる。駆動タービン翼の組とポンプタービン翼とは、駆動タービン翼の組の直径の3.2倍の比で離間されていてもよい。駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組との間隔は、この比から変化させることができる。
【0047】
駆動タービン翼の組とポンプタービン翼とは、ポンプタービン翼の組が駆動タービン翼の組の直径に対して小径、同径、又は大径となることを許容する離間関係とすることができる。
【0048】
通路は、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組との間に位置するチャンバを含んでいてもよい。チャンバは、ポンプタービン翼の組に近づくにつれて収束する前に駆動タービン翼の組から外側に延びていてもよい。
【0049】
通路は、駆動タービン翼の組から上流に位置する収束部を含んでいてもよい。通路は、ポンプタービン翼の組から下流に位置する発散部を含んでいてもよい。
【0050】
収束部は、流体が流れる断面積を減少させて、そこを通過する流体の速度及び圧力を増加させる。一方で、発散部はそこを通過する流体の速度及び圧力を減少させる。各部分は、タービンユニットのチャンバに向かう方向に収束するように構成されている。
【0051】
収束部は、駆動タービン翼の組に向かって移動するにつれて流体速度を増大させるのに役立つ。これが、ポンプタービン翼の組の動作と組み合わせて、流体速度が重力による流体の終端速度(水については7m/s)を超えることを可能にする。また、35m/sを超える流体速度の上昇を誘導し、流体の流れからの最大の運動エネルギーの抽出を可能にし、確実にする。
【0052】
好ましくは、発散部は、流体がタービン翼の組から離れるにつれてタービン翼の組の流体のエネルギー損失によって作り出される背圧の低減に寄与する。
【0053】
駆動タービン翼の組は、駆動タービン翼の組の翼上に流体を導くために、その上流に位置する固定子を有していてもよい。好ましくは、固定子は、シャフトに同軸上に取り付けられている。
【0054】
付加的な固定子を、タービンユニットの他の部分に結合させてもよい。固定子は、一組の静止翼であり、その主な役割は流体を偏向することである。
【0055】
この場合には、ポンプタービン翼の組の、タービン装置内の圧力への影響の結果として、流体の質量流量及び関連する圧力は、先行技術の装置とは異なり、固定子によって妨げられない。従って、高速で妨げられない質量流量は、駆動タービン翼の組に当たる流体の力を増大させ、これが今度は電気エネルギーに変換することができる利用可能なエネルギーを増加させる。
【0056】
ポンプタービン翼の組は、シミュレーションポンプからの通路及び収束部を通って流れる流体によるヘッド損失を最小限にする大きさであり、従って所望の流速でシミュレーションポンプによって生成された流体の流れの質量及び圧力ヘッドが被る損害が最小限となるよう確保し、利用可能な位置エネルギー及び運動エネルギーから生成することが可能な全エネルギーを最大化する。
【0057】
複数のタービンユニットは、直列に配置してもよい。該ユニットは、タービンユニットを出る流体が他の隣接するタービンユニットへと直ちに通過するように、隣接した配置に位置付けられていてもよい。
【0058】
それがなければ駆動タービン翼の組に存在したであろう流体の流れ及び圧力の障害を最小にするポンプタービン翼の組の結果としてのみ、直列の複数のタービンユニットの使用が可能である。
【0059】
本発明の一態様では、タービン装置は、第1のタービンユニットと第2のタービンユニットとを含み、流体がタービン装置を通過すると、第2のタービンユニットの駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とを通過してリザーバ内へと通過する前に、流体が第1のタービンユニットの上流に開口するベンチュリと、第1のタービンユニットの駆動タービン翼の組及びポンプタービン翼の組とを連続して通過するように、各タービンユニットが、実質的に端部から端部への関係である。
【0060】
タービン翼アセンブリは、第3のタービンユニットを含んでいてもよい。第2のタービンユニットを出る流体が第3のタービンユニットに入るように、第3のタービンユニットは第2のタービンユニットに当接していてもよい。
【0061】
互いに対して向き及び構成を変化させながら実質的に直列に配置された、複数のタービンユニットがあってもよい。これらの構成は本発明の範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0062】
各タービンユニットは、独立したシャフトに取り付けられていてもよい。
【0063】
タービンアセンブリの内部及び外部の少なくともいずれかへの流体の流れは、複数の経路を通ってもよく、この変形は本発明により包含されることが理解されるべきである。
【0064】
駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とが互いに逆の関係に配置されているので、本発明の一態様では、2つのタービン翼の間の位置からすると、1つのタービン翼の組のタービン翼は別のタービン翼の組のタービン翼の鏡像である。別の態様では、1つのタービン翼の組のタービン翼は、他のタービン翼の組のタービン翼から180°の角度でオフセットされている。
【0065】
駆動タービン翼の組とポンプタービン翼とは、ポンプタービン翼の組が駆動タービン翼の組の直径に対して小径、同径、又は大径となることを許容する離間関係とすることができる。或いは、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは連結又は重複し、それによって2つの翼の組が互いに僅かに重なり合っていてもよい。
【0066】
駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組とは、互いに対向した関係で配置され、即ち、流体が駆動タービン翼の組に当たって翼がシャフトの回転を開始するように、翼が互いに対して逆になっている。ポンプタービン翼の組と駆動タービン翼の組とが共通のシャフトに接続されているので、ポンプタービン翼の組は、駆動タービン翼の組と同時に同じ速度で回転する。ポンプタービン翼の組が回転すると、それがポンプタービン翼の背後に低圧領域を作り出し、駆動タービン翼の組とポンプタービン翼の組との間だけでなく、駆動タービン翼の組の前方に低圧領域を誘導する。これが、駆動タービン翼を横切る大幅に高圧力に設定された流体の質量流量の増加をもたらし、流体がより大きな力で駆動タービン翼の組に当たるようになる。