(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多重コイルは、隣接する次のコイルに比べて拡径されたコイルとして形成された末端のコイル部分を備え、前記末端のコイル部分は、前記コイル部分が前記僧帽弁輪の上および下に位置する状態で前記多重コイルが前記コイルガイドカテーテルから完全に送出されたときに、前記心臓の左心房壁と係合するように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記僧帽弁に対する相対的な前記螺旋状アンカーの配置を案内するために前記螺旋状アンカーと結合するように構成された接続要素を有する制御カテーテルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
前記螺旋状アンカーの位置決めを補助するために前記コイルガイドカテーテルから送出されるように構成された位置決め用螺旋状部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
前記第2の湾曲部分と結合されると共に、前記螺旋状アンカーが送出されるときに前記僧帽弁の上への前記第2の湾曲部分の位置決めを補助するように構成された延長部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
アンカー送出カテーテルとアンカーとをさらに備え、前記アンカー送出カテーテルは、前記アンカーを前記僧帽弁の位置の組織内に送出させるために前記コイルガイドカテーテルと結合される、請求項1に記載のシステム。
前記膨張可能なステントは、膨張可能な心房部分と膨張可能な弁保持部分とをさらに備え、前記膨張可能な心房部分は心臓内の前記僧帽弁の位置で膨脹したときに左心房壁と係合するように構成され、前記弁保持部分は前記僧帽弁の弁尖と係合するように適合され、前記固着アームは前記弁保持部分と結合される、請求項18に記載のデバイス。
僧帽弁プロテーゼをドッキングするための螺旋状アンカーであって、コイルガイドカテーテル内に受容されて前記コイルガイドカテーテルから送出されるように構成された螺旋状アンカーにおいて、
前記螺旋状アンカーは、前記コイルガイドカテーテルから送出された後に、予め形成された螺旋状の構成を有する多重コイルを備え、且つ、前記コイルガイドカテーテルから完全に送出されてコイル部分が僧帽弁輪の上および下に埋め込まれる際に、人工僧帽弁を支持するように構成されており、
前記螺旋状アンカーは、遠位端部分を備え、前記遠位端部分は、前記遠位端部分が隣接する次のコイルから離間されるように、隣接する次のコイルに対して半径方向外側に向かって下向きに延在し、自然僧帽弁の交連部の間に送出されるように構成される、螺旋状アンカー。
僧帽弁プロテーゼをドッキングするための螺旋状アンカーであって、コイルガイドカテーテル内に受容されて前記コイルガイドカテーテルから送出されるように構成された螺旋状アンカーにおいて、
前記螺旋状アンカーは、前記コイルガイドカテーテルから送出された後に、予め形成された螺旋状の構成を有する多重コイルを備え、且つ、前記コイルガイドカテーテルから完全に送出されてコイル部分が僧帽弁輪の上および下に埋め込まれる際に、人工僧帽弁を支持するように構成されており、
前記多重コイルは、自然僧帽弁輪の上方に配置されるように構成された上側心房コイルと、前記自然僧帽弁輪の下方に配置されるように構成された下側心室コイルとを備えており、前記上側心房コイルと前記下側心室コイルとは隣り合っていると共に、前記上側心房コイルと前記下側心室コイルとの間には、埋め込みの際に前記上側心房コイルおよび前記下側心室コイルが僧帽弁の弁尖組織を捕捉しないように、前記多重コイルの埋め込み前に空間を形成する間隙がさらに設けられている、螺旋状アンカー。
僧帽弁プロテーゼをドッキングするための螺旋状アンカーであって、コイルガイドカテーテル内に受容されて前記コイルガイドカテーテルから送出されるように構成された螺旋状アンカーにおいて、
前記螺旋状アンカーは、前記コイルガイドカテーテルから送出された後に、予め形成された螺旋状の構成を有する多重コイルを備え、且つ、前記コイルガイドカテーテルから完全に送出されてコイル部分が僧帽弁輪の上および下に埋め込まれる際に、人工僧帽弁を支持するように構成されており、
前記多重コイルは、自然僧帽弁輪の上方に配置されるように構成された上側心房コイルと、前記自然僧帽弁輪の下方に配置されるように構成された下側心室コイルとを備えており、前記上側心房コイルの平面から外に延在して前記上側心房コイルから離間する延長部が、心臓内への埋め込みの際に心房の壁と係合して安定化をもたらすように、さらに備えられている、螺旋状アンカー。
僧帽弁プロテーゼをドッキングするための螺旋状アンカーであって、コイルガイドカテーテル内に受容されて前記コイルガイドカテーテルから送出されるように構成された螺旋状アンカーにおいて、
前記螺旋状アンカーは、前記コイルガイドカテーテルから送出された後に、予め形成された螺旋状の構成を有する多重コイルを備え、且つ、前記コイルガイドカテーテルから完全に送出されてコイル部分が僧帽弁輪の上および下に埋め込まれる際に、人工僧帽弁を支持するように構成されており、
前記多重コイルは、複数の上側心房コイルと複数の下側心室コイルとを備え、前記上側心房コイルは、自然僧帽弁輪の上方に配置されると共に上向きに延在するように構成され、それによって、前記僧帽弁プロテーゼの位置が、僧帽弁輪に対する相対的な所望の高さに調整可能に位置決めされる、螺旋状アンカー。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図1B】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図1C】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図1D】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図1E】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図1F】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図1G】
図1Fに示されている螺旋状アンカーを示す断面図である。
【
図1H】
図1Fおよび
図1Gに示されている螺旋状アンカーによって保持される弁プロテーゼを示す断面図である。
【
図1I】心房内の配置されているコイルが弁尖と接触しないが心房の壁に当接して固着する、心臓の僧帽弁位置に配置されている螺旋状アンカーの代替的実施形態の断面図である。
【
図1J】
図1Iに示されている螺旋状アンカーによって保持される弁プロテーゼを示す断面図である。
【
図1K】心臓の僧帽弁位置に配置されている螺旋状アンカーの別の代替的実施形態によって保持されている弁プロテーゼの断面図である。
【
図2】コイルから外向きに延在する初期領域を特徴とする、僧帽弁プロテーゼに対する別の代替的螺旋状アンカーの斜視図である。
【
図3】
図2に示されている螺旋状アンカーの側面図である。
【
図4】
図2および
図3に示されている螺旋状アンカーの底面図である。
【
図5】自然僧帽弁内の交連部を介して心臓の僧帽弁位置に配置されている螺旋状アンカーの俯瞰図である。
【
図6】テーパーはないが、最初にわずかな外向きの曲がりを有することを特徴とする、僧帽弁プロテーゼの別の代替的螺旋状アンカーの斜視図である。
【
図7】心房壁と係合することができる幅広のテール部分または延長部を有する別の代替的螺旋状アンカーの斜視図である。
【
図8】心臓の僧帽弁位置に配置されているように示されている、
図7のテール部分より実質的に幅広であるテール部分または延長部を有する別の代替的螺旋状アンカーの斜視図である。
【
図9A】固着アームを有し、鞘内の圧縮状態から展開状態に膨脹する代替的螺旋状アンカーの斜視図である。
【
図9B】固着アームを有し、鞘内の圧縮状態から展開状態に膨脹する代替的螺旋状アンカーの斜視図である。
【
図9C】固着アームを有し、鞘内の圧縮状態から展開状態に膨脹する代替的螺旋状アンカーの斜視図である。
【
図10A】部分断面図で示されている、鞘内に保持され、心臓の僧帽弁位置に配置されている、
図9Aの螺旋状アンカーを示す斜視図である。
【
図10B】弁尖と係合する固着アームを示す心臓の僧帽弁位置に配置されている
図9A〜
図10Aの螺旋状アンカーを示す断面図である。
【
図11A】圧縮状態から展開状態に膨張する固着アームを示す、
図9A〜
図9Cの螺旋状アンカーの側面図である(わかりやすくするためほとんどの固着アームを取り外してある)。
【
図11B】圧縮状態から展開状態に膨張する固着アームを示す、
図9A〜
図9Cの螺旋状アンカーの側面図である(わかりやすくするためほとんどの固着アームを取り外してある)。
【
図11C】圧縮状態から展開状態に膨張する固着アームを示す、
図9A〜
図9Cの螺旋状アンカーの側面図である(わかりやすくするためほとんどの固着アームを取り外してある)。
【
図12A】ステントドッキングが膨張し、短くなるときに持ち上がるフックを有するステントドッキングの一実施形態の側面図である。
【
図12B】ステントドッキングが膨張し、短くなるときに持ち上がるダブルワイヤフックを有するステントドッキングの別の実施形態の側面図である。
【
図13A】ワイヤが真っ直ぐにされるときに上方に持ち上げられ、ステントドッキング内に組み込まれうる、蛇行ワイヤにそって広がるフックの側面図である。
【
図13B】ワイヤが真っ直ぐにされるときに上方に持ち上げられ、ステントドッキング内に組み込まれうる、蛇行ワイヤにそって広がるフックの側面図である。
【
図14A】蛇行ワイヤが真っ直ぐにされるときに上方に持ち上げられ、螺旋状アンカー内に組み込まれうる、蛇行ワイヤにそって広がる中央保持ワイヤおよびフックに取り付けられた蛇行ワイヤの側面図である。
【
図14B】蛇行ワイヤが真っ直ぐにされるときに上方に持ち上げられ、螺旋状アンカー内に組み込まれうる、蛇行ワイヤにそって広がる中央保持ワイヤおよびフックに取り付けられた蛇行ワイヤの側面図である。
【
図14C】鞘内に配置され、ワイヤが鞘に引き通されるときに上方に持ち上げられるワイヤ上に形成されたフックの断面図である。
【
図14D】鞘内に配置され、ワイヤが鞘に引き通されるときに上方に持ち上げられるワイヤ上に形成されたフックの断面図である。
【
図15A】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にあるステントドッキングの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図15B】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にあるステントドッキングの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図15C】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にあるステントドッキングの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図15D】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にあるステントドッキングの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図15E】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にあるステントドッキングの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図15F】弁尖および心房壁と係合するときの
図15Eのステントドッキングの断面図である。
【
図15G】
図15Fに示されているステントドッキングによって保持される弁プロテーゼを示す断面図である。
【
図16A】閉状態から開状態に遷移する心房コンポーネントを有するステントドッキングの斜視図である。
【
図16B】閉状態から開状態に遷移する心房コンポーネントを有するステントドッキングの斜視図である。
【
図17A】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使って螺旋状アンカーを配置する代替的手技を示す斜視図である。
【
図17B】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使って螺旋状アンカーを配置する代替的手技を示す斜視図である。
【
図17C】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使って螺旋状アンカーを配置する代替的手技を示す斜視図である。
【
図17D】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使って螺旋状アンカーを配置する代替的手技を示す斜視図である。
【
図18A】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使って螺旋状アンカーを配置する別の代替的手技を示す斜視図である。
【
図18B】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使って螺旋状アンカーを配置する別の代替的手技を示す斜視図である。
【
図18C】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使って螺旋状アンカーを配置する別の代替的手技を示す斜視図である。
【
図19A】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使ってステントドッキングを配置する代替的手技を示す斜視図である。
【
図19B】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使ってステントドッキングを配置する代替的手技を示す斜視図である。
【
図19C】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使ってステントドッキングを配置する代替的手技を示す斜視図である。
【
図19D】部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に静脈系を使ってステントドッキングを配置する代替的手技を示す斜視図である。
【
図19E】部分断面図で示されている、弁プロテーゼがステントドッキングの弁保持部分内に一体化され、心臓の僧帽弁位置に配置されている、本発明の代替的実施形態の断面図である。
【
図20】アンカーの螺旋部分が展開され、固着ループが鞘内に保持されている、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図21】螺旋部分を心房内に、固着ループを心室内に展開するように鞘が引っ込められている、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置に配置された
図20の螺旋状アンカーの近景図である。
【
図22】カフの補助を用い
図20〜
図21の螺旋状アンカーによって保持される弁プロテーゼを示す断面図である。
【
図23A】右心房内に配置されたガイドワイヤおよび左心室を介して左心房内に配置された位置決め螺旋部の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図23B】右心房内に配置されたガイドワイヤおよび左心室を介して左心房内に配置された位置決め螺旋部の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図23C】右心房内に配置されたガイドワイヤおよび左心室を介して左心房内に配置された位置決め螺旋部の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図23D】右心房内に配置されたガイドワイヤおよび左心室を介して左心房内に配置された位置決め螺旋部の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図24A】経中隔送出を介して左心房内に配置されている位置決め用螺旋部の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図24B】経中隔送出を介して左心房内に配置されている位置決め用螺旋部の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図24C】経中隔送出を介して左心房内に配置されている位置決め用螺旋部の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図25A】自然僧帽弁の弁尖の下にコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルを引き込む引きひもの補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図25B】自然僧帽弁の弁尖の下にコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルを引き込む引きひもの補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図25C】自然僧帽弁の弁尖の下にコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルを引き込む引きひもの補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図26A】自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込むスネアの補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図26B】自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込むスネアの補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図26C】自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込むスネアの補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図27B】下向きに湾曲した先端部を有する
図27Aのコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルを示す図である。
【
図28A】自然僧帽弁弁尖の下で左心房から左心室内に延在するガイドワイヤの補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図28B】自然僧帽弁弁尖の下で左心房から左心室内に延在するガイドワイヤの補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図29A】自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込む把持具の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図29B】自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込む把持具の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図29C】自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込む把持具の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図31A】自然僧帽弁に関してシステムを中央に位置決めし、自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込む把持具の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図31B】自然僧帽弁に関してシステムを中央に位置決めし、自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込む把持具の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図31C】自然僧帽弁に関してシステムを中央に位置決めし、自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込む把持具の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図31D】自然僧帽弁に関してシステムを中央に位置決めし、自然僧帽弁の弁尖の下に螺旋状アンカーを引き込む把持具の補助を用いる、部分断面図で示されている、心臓の僧帽弁位置にある螺旋状アンカーの一実施形態の配置を示す斜視図である。
【
図32A】カテーテルのステムが部分断面図で示されている心臓の僧帽弁の第1の交連部内に配置されたときに、終端部の先端部が僧帽弁の第2の交連部に実質的に近い位置に配置されるような形状の終端部を有するコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルの一実施形態の斜視図である。
【
図32B】コイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルのU字形部分が僧帽弁輪を辿ることを示す
図32Aのコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルの上面図である。
【
図32C】アンカーが
図32Aのコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルから押し出されるときに先端部の近位で螺旋状アンカーに取り付けられるように心房内に挿入される把持具を示す斜視図である。
【
図32D】先端部の近位で螺旋状アンカーに取り付けられるときの
図32Cの把持具の近景図である。
【
図32E】把持具が螺旋状アンカーに取り付けられ、アンカーがコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルから押し出されているときに螺旋状アンカーをガイドするために使用されている、
図32Eのシステムの斜視図である。
【
図33】断面図で示されている、左心房の壁に据え付けられている帆に似た延長部を有するコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルの代替的実施形態の斜視図である。
【
図33A】
図33のコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルおよび帆に似た延長部を示す断面図である。
【
図34A】断面図で示されている、心臓の心房内にコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルから延在する螺旋状アンカーの端部の近くにスネアカテーテルが取り付けられている本発明によるシステムの斜視図である。
【
図34B】僧帽弁輪がコイル送出カテーテルまたはコイルガイドカテーテルのU字形部分より実質的に大きいことを示している、
図34Aのシステムの上面図である。
【
図34C】スネアカテーテルを介して交連部のところの僧帽弁弁尖間のアンカーの配置を示す、
図34Aのシステムの斜視図である。
【
図34D】スネアカテーテルを介して前と後の両方の僧帽弁弁尖を通るアンカーの配置を示す、
図34Aのシステムの上面図である。
【
図34E】第1の交連部が褶襞形成された後に組織アンカー送出カテーテルを介して第2の交連部のところの僧帽弁弁尖などの組織を通る組織アンカーの配置を示す
図34A〜
図34Dのシステムの斜視図である。
【
図34H】心臓の僧帽弁位置に配置されている螺旋状アンカーのコイルと係合するように設計されている螺旋状の溝を持つ表面を有する人工僧帽弁の断面図である。
【
図34I】螺旋状アンカーのコイルと係合している人工僧帽弁の溝の断面図である。
【
図34J】僧帽弁弁尖の下に配置されているアンカーのコイルが弁尖を上方に圧迫するか、または上方に付勢されて弁尖と当接するように心臓の僧帽弁位置に配置されている代替的螺旋状アンカーの断面図である。
【
図34K】僧帽弁弁尖の下に配置されているアンカーのコイルが弁尖を上方に圧迫して交連部を閉じる間の、心房壁を圧縮する僧帽弁弁尖の上に配置されているアンカーのコイルを示す
図34Jの螺旋状アンカーの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
最初に
図1A〜
図1Fを参照すると、患者の心臓の僧帽弁位置に螺旋状アンカーを位置決めするためのデバイス、システム、および方法が図示されている。この一連の図において、システムは、左室心尖から送出される。しかし、システムは、心房、心室、または大動脈から開いている心臓内に直接埋め込むことによっても使用されうるか、または埋め込みは、左心房内に送出されるカテーテルから埋め込みが行われうるか、または大動脈弁から左心室内に逆行しうることは理解されるであろう。同様に、システムは、開いている胸部内で心房内に、または心尖を介して経皮的に導入されうる。
【0040】
図1Aは、小開胸、胸骨切開によって、または上側腹部切開で横隔膜の下から、患者の心臓14の左心室10の心尖6内に挿入される導入器2を示している。特に有利なアプローチの1つは、左心室10の心尖6の近くの患者の胸部を小切開し、次いで、心臓14の心尖6を通して小切開することである。心尖6からの血液の漏れを防ぐために、標準的な巾着縫合を利用して、導入器2を適所に保持し、取り外すときに欠陥部を閉じることが可能である。また、入口と出口に閉塞器デバイスを使用することも可能である。大動脈18、大動脈弁22、および右心室26は、例示を目的として図示されている。ガイドワイヤ30は、左心室10を通して導入器2の内腔34から、自然僧帽弁44の前弁尖38と後弁尖42との間に送られ、これにより、ガイドワイヤ30の一部が左心房46内に位置決めされる。ガイドワイヤ30と腱索48またはその付随する乳頭筋56、60とが絡み合うのを回避するためにガイドワイヤ30を送るときに注意が必要である。送出カテーテル64(
図1B)は、次いで、ガイドワイヤ30上で送られうる。導入器2の内腔34は、さまざまな送出システムコンポーネントの進入を許す十分な大きさであるべきである。
【0041】
別の実施形態では、導入器2は、血液の漏れを防ぐため逆止弁(図示せず)を組み込むことができる。多数のそのようなデバイスが説明されており、多くは1つまたは複数のダックビル弁を採用している。ガイドワイヤ30は、真っ直ぐであるか、またはU字形先端部もしくは左心房46内への進入を許す都合のよい形状をとることができる。
【0042】
図1Bに示されているように、送出カテーテル64は、ガイドワイヤ30上で左心房46内に導入される。送出カテーテル64は、コイルガイドカテーテル68の導入を可能にする。コイルガイドカテーテル68は、螺旋状アンカー72の導入を補助するように設計された予備成形形状を有し、任意の材料からなり、および/または予備成形形状に合わせて使用する際に活性化するのを許す様式で設計されうる。例えば、真っ直ぐにすることができ、解放後にその予備成形形状を保持するように設計することもできる。例えば、コイルガイドカテーテル68は、ニチノール(NiTi)などの形状記憶材料またはその形状を保持するプラスチックから形成されうる。また、コイルガイドカテーテル68は、複数の層かなる複合体とすることも可能である。例えば、これは、ポリマーカバーを有するニチノールチューブを備えることができる。これはまたカバーを有する、またはカバーを有しないニチノールのメッシュもしくは織物で構成することも可能である。内側は、螺旋状アンカー72を導入できるようより滑らかで滑りやすくする潤滑コーティング材料などの摩擦低減材料で裏打ちすることも可能である。コイルガイドカテーテル68は、コイルガイドカテーテル68に比べて比較的剛性の高い、送出カテーテル64による導入のため真っ直ぐにされる。予備成形形状を得るための他のオプションとして、コイルガイドカテーテル68の遠位端を比較的真っ直ぐな要素として導入し、次いで、以下で説明される、螺旋状アンカー72の適切な導入および位置決めを支援する1つまたは複数の湾曲などによる、所望の予備成形形状をとるように活性化することが挙げられる。このような活性化可能な設計の1つは、一緒に引っ張ったときに、所望の形状をとる面取り部を持つ小さなコイルセグメントを含む。当業者であれば、コイルガイドカテーテル68は、送出カテーテル64などの、送出デバイスを使用することなく僧帽弁位置に導かれうることを理解するであろう。本発明の実施形態において使用されるコイルガイドカテーテル68または他のカテーテルデバイスを操作することを目的として、遠位端を曲げるさまざまな知られている方法のうちのどれかが利用されうる。
【0043】
一実施形態では、コイルガイドカテーテル68は、左心房46内、または僧帽弁交連部80の近くの左心室10のすぐ内側に位置決めされる。交連部80は、僧帽前弁尖38および僧帽後弁尖42が互いに接触して弁周または輪84のところで僧帽弁44を閉じる点である。この位置は、心臓14が開いている場合に視覚的に確認できる。しかし、閉じられた鼓動している心臓14でこの手技を実施することが好ましい。この場合、蛍光透視、X線、CT、またはMR撮像などのイメージングモダリティが使用されうる。2Dまたは3Dの心エコー検査法も、この位置をガイドするのを助けるために使用されうる。コイルガイドカテーテル68も、螺旋状アンカー72の配置のため左心室10内に位置決めされうる。
【0044】
送出カテーテル64が取り出されるときに、コイルガイドカテーテル68は、
図1Cに示されているように、その予備成形形状をとり、螺旋状アンカー72の導入をしやすくする。コイルガイドカテーテル68は、ステム88とU字形部分92とを備える。コイルガイドカテーテル68は、これが送出する螺旋状アンカー72に類似する直径を持つほぼ円形の内腔96を有する。コイルガイドカテーテル68のU字形部分92は、僧帽弁44の平面に概して平行になるように配向され、螺旋状アンカー72が僧帽弁44の平面内に押し出されるように心臓14の内側にコイルガイドカテーテル68の深さを正しく位置決めするのを助ける。これは、螺旋状アンカー72が弁尖38、42の下に近づく形で導かれることを保証する。螺旋状アンカー72の先端部100も、弁尖38、42の下に螺旋状アンカー72が導かれうるようにわずかな外向き、下方の曲がりを有することができる。コイルガイドカテーテル68は、弁46と平行に置かれているU字形部分92の前のステム88のところでわずかの上向きの曲がりを持つように示されている。これは、必要ないが、螺旋状アンカー72を適所に押し込む難しさを軽減するのに役立つ。コイルガイドカテーテル68の遠位部分は、図示されているように、弁44と輪84とに平行である必要はないことも理解されるであろう。これはその代わりに角度を付けていてもよく、それでも螺旋状アンカー72の遠位端は自然に下方へ、弁尖38、42の間に向き、次いで、適切な位置に押し出されるか、コイル状に巻いて、または螺旋を描いて適所に入る。また、本明細書のそれぞれの実施形態において、弁、弁尖、または心臓組織の穿刺を行う必要はないことにも留意されたい。
【0045】
図1Cに示されているように、螺旋状アンカー72は、螺旋状アンカー72の端部が後弁尖42の下へ辿り始めるように送られている。コイルガイドカテーテル68の先端部100は、弁46の平面の上に配置されるが、これは、後弁尖42の下に配置されてもよい。組織のどの領域をも貫通する必要はないことに留意されたい。螺旋状アンカー72は、交連部80の近くの弁尖38、42の間を通る。弁尖38、42を通る貫通が使用されうるが、弁尖38、42のデリケートな性質によりあまり望ましくないことは理解される。また、螺旋状アンカー72を、交連部80から遠位にある配置を含む、任意の配置に通すことが可能である。この結果、螺旋状アンカー72が配置された後、開始点が交連部80のところ、またはその近くにない場合に弁尖38、42の一方または両方の折り畳みもしくは曲げを生じうる。
【0046】
螺旋状アンカー72は、コイルガイドカテーテル68に押し通すことによってさらに送られる。
図1Dは、僧帽弁44の下に位置決めされた螺旋状アンカー72の1回転のほとんどを示している。螺旋状アンカー72の下側コイル104の数は、1未満から手術者が有用と考える数まで変えられる。アンカー72の下側コイルが僧帽弁輪84の下に配置された後、螺旋状アンカー72の上側コイル108は、螺旋状アンカー72が送られるときにコイルガイドカテーテル68を回転させることによって輪84の上に位置決めされる。これは、
図1Eに示されている。
【0047】
形状記憶材料は、正しい位置をとるので、螺旋状アンカー72を僧帽弁輪84の上に送出するときに回転を回避することが可能である。しかし、螺旋状アンカー72は、回転がない場合に、ジャンプし、コイルガイドカテーテル68に力を加えうることは理解される。コイルガイドカテーテル68の回転を行わせる必要なく螺旋状アンカー72を挿入するための別の有益なオプションは、コイルガイドカテーテル68を真っ直ぐにすることである。コイルガイドカテーテル68が真っ直ぐにされた場合、円形予備成形形状を有する螺旋状アンカー72は、コイルガイドカテーテル68の予備成形形状と競合しなくてよく、心房46の内側でその予備成形形状を再びとることができる。
【0048】
螺旋状アンカー72が埋め込まれた後、コイルガイドカテーテル68が取り外される。
図1Fは、2つほどのコイル108が僧帽弁輪84の上に配置されており、また2つのほどのコイル104が僧帽弁輪84の下に配置されていることを示している。他の実施形態では、図示されている配置構成は変えられる。手術者が嵌っていることを確認するときに、コイル104、108はいくつあってもよい。輪84の上または下のコイル104、108の一部であっても、螺旋状アンカー72を保持するのに十分であるものとしてよいことに留意されたい。螺旋状アンカー72のサイズは、輪84の直径にかなり一致するように配置前に事前選択できることに留意されたい。これは、螺旋状アンカー72の内側に配置されうる置換弁埋め込み物のサイズを最大にし、交連部80で漏れが生じる危険性を低減するのに役立つ。
【0049】
コイル104と108との間の間隙は、螺旋状アンカー72を形成するときに調整することができる。輪の上および下にあるコイル104、108の間にわずかに大きい間隙を残しておくことによって、心臓14が収縮するときに弁尖38、42のわずかな量の運動を許容することで弁組織44が交連部80において閉じるようにすることが可能である。これは、螺旋状アンカー72の周りに漏れがないことを保証する一戦略である。コイル104、108は、弁尖組織38、42を捕捉する必要がない。実際、心室および心房のコイル104、108の間に間隙を残すことで、弁尖組織38、42を交連部80のところで閉じさせて、それらの場所における血流の漏れを防ぐことができるという点で有利であるものとしてよい。少なくともコイル104、108の間に十分な間隙(つまり、アンカー72が埋め込まれるときの輪84に及ぶ間隙)を残すことに加えて、輪組織の捕捉を防ぐ他の方法も可能である。例えば、1つまたは複数の心房コイル108は、輪84の上に心房壁46aの一部と係合する延長部を備えるように「コイル」に比べて大きい直径またはさらには異なる形状をとることができる。心房および/または心室アンカー安定化のためのさまざまな他の設計も可能である。
【0050】
図1Fは、大動脈弁22の近くにある僧帽弁46の前弁尖38の周りに巻き付くコイル104を示している。前弁尖38は、螺旋状アンカー72の下側コイル104と係合され、これにより、大動脈弁22内に入る血流を遮ることのないように制限される。コイル104は、僧帽前弁尖38の追加の制御が望ましい場合に示されている以上に低い位置に据え付けられるように調整することもできる。他の実施形態では、螺旋状アンカー72内の下側コイル104の数は、僧帽前弁尖38のより多くをカバーするように調整されうる、下側コイル104は、輪84に対して、高い位置に置かれるか、または心室10内で低くなっているものとしてよい。
【0051】
螺旋状アンカー72が本明細書で説明されているように挿入された後、患者の自然僧帽弁44は作動し続ける、つまり、弁尖38、42が必要に応じて心臓の拍動において開閉を続けることに留意されたい。弁44は、コイル104による開放のある程度の制限があるとしても通常どおり開閉することができ、したがって、機能的に、患者は安定を保つことができる。これにより、手術者は、患者を血行動態の悪化の位置に置く危険を冒すことなくアンカー72内に弁プロテーゼを埋め込むことができる。したがって、この手技は、人工心肺装置なしで鼓動している心臓14に対して実施されうる。この設計の別の特徴は、置換弁(つまり、プロテーゼ)が位置決めされたときに、置換弁の配置(例えば、輪内、輪より比較的高い位置、または心室内)がコイル104、108の配置によって、また弁プロテーゼの最適な配置に関する医師の決定によって選択できる点にある。これにより、弁プロテーゼまたは置換弁埋め込み部を螺旋状アンカー72の特定の設計ならびに患者の解剖学的構造および臨床的症状に応じて輪84内の低いまたは高い位置に置くことができる。
【0052】
図1Gは、左心房46内の僧帽弁輪84の上の3個ほどのコイル108および左心室10内の輪84の下の2個ほどのコイル104とともに埋め込まれている螺旋状アンカー72を示している。前弁尖38および後弁尖42は、螺旋状アンカー72のコイル104、108と係合される。特に、前弁尖38は、大動脈弁22内に入る血流を遮ることが防止されるようにコイル104、108によって拘束される。この実施形態では、輪の下のコイル104のうちの少なくとも1つまたは複数が、輪84の上のコイル108のうちの少なくとも1つまたは複数の直径より大きい直径を有する。この種類の設計には、多くの利点がありうる。例えば、交連部80を閉鎖するのを補助し、これにより、手技が完了した後にこれらの配置での血液の漏れを防止することができる。これは、最初により大きな直径のコイルを押し出すステップを開始し、次いで、より小さな直径のコイルで続行するように、螺旋状アンカー72の挿入を補助することもできる。
図1Hを参照すると、僧帽弁プロテーゼ120が埋め込まれる場所でより小さな直径のコイル108を使用することにより、よりサイズの小さなプロテーゼ120を埋め込むことが可能になり、これは、さまざまな理由から有利であるものとしてよいことがわかる。何人かの患者は、大きな直径の輪84を有していることがあり、医者は、より小さなプロテーゼ120を埋め込むことを望んでいる場合がある。これは、大動脈弁22の閉塞を防ぐのにも役立つ。弁プロテーゼ保持コイル108、例えば、より小さなコイルは、プロテーゼがより高い、大動脈弁22から離れた位置に置かれるように左心房46内により高く貫入することもできる。螺旋状アンカーのコイル104、108が同じ直径を有している必要はないことは理解されるであろう。むしろ、直径はそれぞれの曲がりまたはコイル104、108で変化することが適切である場合がある。同様に、コイル104、108は、正確に円形である必要もない。いくつかの実施形態は、より卵形または楕円形の形状をとるコイルの曲がりを有すると有益である場合がある。例えば、楕円形の形状は、輪84の上のコイル108が自然僧帽弁44それ自体にではなく、心房壁46aに当接して置かれる場合に有用な場合がある。
【0053】
なおも
図1Hを参照すると、弁プロテーゼ120は、僧帽弁位置で螺旋状アンカー72によって保持される。弁プロテーゼ120は、膨張したステント構造126内に装着された一対の人工弁尖122、124を備える。人工弁尖122、124は、ウシ、ブタ、もしくはウマ心膜または動物弁組織などのしなやかな動物組織を含むことができる。経皮弁120の多くの変更形態が、大動脈弁置換に使用されるものなどのカテーテルによる埋め込みについて説明されている。弁プロテーゼ120は、ニチノール(NiTi)などの形状記憶ステントに基づくすでに説明されている経皮弁などの自己膨脹性を有するもの、またはステンレスもしくは非形状記憶ステント材料などのバルーン膨脹性を有するものとすることができる。弁プロテーゼ120は、左心室10の心尖6に最初に示されている導入器2を通して導入されうる。手技のこの部分は、数千もの経皮弁埋め込みが毎年実施されているのでよく知られており、弁プロテーゼ120を挿入し、それを図示されているように螺旋状アンカー72内に固着するためにすべての適切な技術および方法が使用されうる。螺旋状アンカー72は、弁プロテーゼ120を位置決めし手技を実施するのを助けるために、X線、MR、CT、および心エコー検査法で見られる。X線識別を改善するため金などの放射線不透過性マーカーが形状記憶材料の表面に追加されうる。
【0054】
この実施形態では、前弁尖組織38および後弁尖組織42がアンカー72と弁プロテーゼ120との間に固定されるように、弁プロテーゼ120が螺旋状アンカー72にドッキングされる。これは、アンカー72を適所に係止し、移動または転位を防ぐ働きをする。弁尖組織38、42は、弁プロテーゼ120と螺旋状アンカー72との間の血流を妨げる自然シールも形成する。他の実施形態では、アンカー72の係止は、上側コイル108が弁尖38、42を圧縮しないがその代わりに心房壁46aに当接するように僧帽弁44の上にアンカー72のコイル108を配置することによっても完全に行える。
【0055】
置換弁120は、輪84の上、輪84の下、またはその両方の、アンカー72のコイル108に当接して固着されうる。
図1Hは、比較的中心に位置し、輪84の上および下にほぼ等しい量だけコイル104、108に当接して固着されている弁120を示している。正確な位置は、手術者によって選択されうる。また、コイル104、108は、弁120を配置しやすいように調整することもできる(心房側または心室側のコイル104、108を増やす)。
【0056】
螺旋状アンカー72が移動するか、または滑るのを防ぐために、弁プロテーゼ120と輪84の下の螺旋状アンカー72の少なくとも1つの部分との間で弁尖38、42を圧縮すると都合がよい。弁プロテーゼ120を螺旋状アンカー72内に挿入することで、アンカー72が適所に係止される。弁プロテーゼ120を弁44の上および下の両方のコイル104、108に圧し当てるステップの利点は、コイル104、108の運動が停止される点である。プロテーゼ120は、これが当接するコイル104、108を堅く動かせない位置に係止する。これは、鼓動毎に心臓14内に移動があるため、重要な場合がある。ニチノールおよび他の形状記憶材料は強いが、繰り返し荷重に対する抵抗力に制限があり、急速に材質が疲労し破砕することが知られている。したがって、移動を防ぐことが非常に重要になってくる。
【0057】
他の実施形態では、弁プロテーゼ120は、輪84の上および下の両方で螺旋状アンカー72に取り付けることができないことは理解されるであろう。輪84の上のコイル108は、弁プロテーゼ120に当接する必要は必ずしもない。さらに、弁プロテーゼ120を固着するステップは、前弁尖38および後弁尖42を輪84の下のコイル104に対して係合させることのみで達成されうる。輪の上にある螺旋状アンカー72のコイル108は最小限度であるか、またはまったくないものとしてよい。
【0058】
すでに説明されているように、手技全体は、心房46を通して、または経中隔穿刺を介して実行されうる。経中隔手技の詳細は図示され、以下で説明される。
【0059】
螺旋状アンカー72のコイル104、108を弁尖38、42の両側と係合させる必要はない。
図11は、本発明による螺旋状アンカー72の一実施形態を示している。前弁尖38および後弁尖42は、左心室10内の僧帽弁輪84の下の螺旋状アンカー72のコイル104によって係合される。特に、前弁尖38は、大動脈弁22内に入る血流を遮ることが防止されるようにコイル104によって拘束される。しかし、左心房46内の弁44の反対側にあるコイル108は、弁尖38、42と接触しないが、心房壁46aと当接して固着する。この配置構成により、前の説明のようにアンカー72は移動を妨げられるが、上側コイル108を支持するために弁尖38、42ではなく心房壁46aに頼る。螺旋状アンカー72は、弁44の下の弁尖38、42との接触により心房46に向かって上方に移動することができず、心房壁46aとの接触により下方に移動することができない。
【0060】
他の実施形態では螺旋状アンカーの変更形態の組み合わせが使用されるものとしてよく、容易に製作できることは理解されるであろう。例えば、螺旋状アンカー72は、コイル104、108が弁44の下、および弁44の上に置かれるが、弁44の下のコイル104と弁44の上のコイル108との間に間隙があるように製作することが可能である。弁尖38、42は、螺旋状アンカー72のコイル104、108の間に捕捉されない。この配置構成により、弁尖組織38、42がコイル104、108の間に捕捉されず、交連部80のところの漏れを防ぐことができるため、僧帽弁44は交連部80に自然に接近することができる。別の実施形態では、心房壁46aに当接して固着するように左心房46内のすでに説明されているコイル108の上から延在する追加のコイル104、108が追加される。この配置構成により、弁プロテーゼ120を輪84の上および下のコイル104、108に留めて、弁プロテーゼの安定性を改善し、心房壁46aに固着するようにできる。コイル104と108との間の間隙に加えて、螺旋状アンカー72の直径およびコイル104、108の形状の両方を変えることが可能であることに留意されたい。螺旋状アンカー72は、直径またはプロファイルに関して均一である必要はない。例えば、輪84の上のコイル108は、心房壁46aへの取り付け強度を高めるため、輪84の下のコイル104より厚くすることもできる。強度または機能の必要に応じて、コイル104、108の領域を厚くしたり、または薄くしたりすることも可能である。さらに、コイル104、108の断面形状は、円形である必要はない。
【0061】
図1Jは、
図1Iに示されている螺旋状アンカー72に固着されている弁プロテーゼ120を示している。この実施形態では、弁プロテーゼ120は、膨張可能なステント構造126内に装着された一対の人工弁尖122、124を備える。人工弁尖122、124は、ウシ、ブタ、もしくはウマ心膜または動物弁組織などのしなやかな動物組織を含むことができる。さまざまな好適な弁プロテーゼがすでに説明されている。この実施形態では、前弁尖組織38および後弁尖組織42がアンカー72と弁プロテーゼ120との間に固定されるように、弁プロテーゼ120が螺旋状アンカー72にドッキングされる。これは、アンカー72を適所に係止し、移動または転位を防ぐ働きをする。弁尖組織38、42は、弁プロテーゼ120と螺旋状アンカー72との間の血流を妨げる自然シールも形成する。
【0062】
説明されているように、他の実施形態では、
図1Hを参照しつつ前に説明されているように、弁プロテーゼ120が輪84の上および下の螺旋状アンカー72のコイル104、108に固着できるように輪84の上に(心房壁46aと接触するコイル108に加えて)さらに多くのコイル108を配置することも可能である。輪84の上のコイル108は、弁尖38、42に容易に当接しえないが、むしろ、コイル104、108の間に弁尖組織38、42が捕捉されないように輪84の上のコイル108と下のコイル104との間に間隙がありうる。
【0063】
図1Kは、変更されたコイル構成をとる螺旋状アンカー72の一実施形態を示している。アンカー72は、心房壁46aに当接する輪84の上に延在するコイル108aによって、また心室壁10aに当接する輪84の下に延在するコイル104によって適所に保持される。輪84の上の追加のコイル108bは、前弁尖38または後弁尖42のいずれかと接触することなく弁プロテーゼ120と係合し保持する。弁プロテーゼ120は、膨張可能なステント構造126内に装着された一対の人工弁尖122、124を備える。人工弁尖122、124は、ウシ、ブタ、もしくはウマ心膜または動物弁組織などのしなやかな動物組織を含むことができる。さまざまな好適な弁プロテーゼがすでに説明されている。この実施形態では、輪84の下の螺旋状アンカー72のコイル104は、螺旋状アンカー72と弁プロテーゼ120との間にシールを形成するか、または前弁尖38が大動脈弁222内に入る血流を遮るのを防ぐためにアンカー72と弁プロテーゼ120との間で前弁尖組織38および後弁尖組織42を十分に捕捉しえない。しかし、別の実施形態では、弁尖38、42の下のコイル104は、心室壁10aに当接するのではなく、弁プロテーゼ120に対して弁尖38、42を確実に固定するように調整されうる。本明細書で説明されている方法のちのどれかなどで前弁尖38を固定するステップは、左心室10から大動脈弁22を通る血流が閉塞するのを防ぐ目的のために重要な場合がある、すでに述べているように、コイル108aおよび108bは、プロテーゼ120が輪84に関して所望の高さに埋め込まれるように構成されうる。プロテーゼ120で大動脈弁22の閉塞を防ぐことに加えて、これは、プロテーゼが左心室10の壁と接触して左心室10を破裂させてしまうおそれを防ぐことができる。この後者の場合は、特に、小さな左心室を持つ患者にとっては重要である。
【0064】
本発明の螺旋状アンカーを製作する際に、多数の変更形態が考えられうる。
図2、
図3、および
図4は、アンカー130の下側コイル132、または第1の2個ほどのコイルが残りの上側コイル134の直径より大きい直径を有する螺旋状アンカー130の一実施形態を示している。これは、挿入時に僧帽弁輪84(
図1A)との係合をしやすくする。それに加えて、アンカー130の下側コイル132は、下側コイル132が互いに圧迫しないようにわずかに下方に延在し間隙を形成するが、上側コイル134は互いに接触しているように示されている。この特徴により、初期下側コイル132は、挿入されるときに僧帽弁弁尖38、42の反対側にスリップし、アンカー130が適所に押し込まれるときに望ましくない摩擦または抗力を生じるのを回避することができる。これらの変更形態の両方は、他の実施形態において一緒に、または別々に含まれているかどうかに関係なく、アンカーの配置を助け、保持力を改善することができる。図示されていない、さらなる実施形態は、直径が可変であるコイル、間隙サイズが可変である相隔てて並ぶコイル、および先細りであるか、膨脹するか、広がるか、または窄まるコイルを有するアンカーを備えることができる。コイルは、弁プロテーゼ120(
図1H)が螺旋状アンカー72もしくは130内に配置されるか、または膨脹するときに半径方向外向きに伸長することができることに留意されたい。これは、特に中間のコイルにおいて見られる。したがって、コイルが異なる直径を最初に有している場合であっても、コイルは、すべて、弁プロテーゼ120と接触することができる。また、弁プロテーゼ120が可変の直径を有することができ、これは螺旋状アンカー72または130の所望の数のコイルと最適な形で接触し、保持力を改善するように設計されうることに留意されたい。
【0065】
図5は、弁プロテーゼ(図示せず)をドッキングするための螺旋状アンカー140が僧帽弁44の2つの交連部80のうちの一方を通過する本発明の一実施形態を示している。アンカー140のコイル142、144は、輪84の上および下に配置され、接続セグメント146は、弁組織を通過することなく交連部80を横切って配置される。
【0066】
図6は、螺旋状アンカー150の別の例示的な実施形態を示しており、アンカー150は、テーパーがなく、一端でわずかな外向きの曲がり152がある単純な螺旋の形状を有し、これにより、輪84(
図1A)の下で螺旋状アンカー150の最初の曲げがしやすい。それに加えて、アンカー150のコイル156の間に間隙154が設けられ、アンカー150が適所に押し込まれるときに望ましくない摩擦もしくは抗力が生じるのを防ぐ。わずかな外向きの曲がり、または外向きの延長部は、次の隣接するコイルに比べてアンカー150の中心から大きな半径を有する。遠位端または外向きの曲がり152は、図示されているように、概して螺旋状アンカー150の中心軸にそった方向で次の隣接するコイルから下方に、または遠ざかる方向に配向することもできる。この実施形態では、遠位端152は、次の隣接するコイル154に関して半径方向外向き、下方に延在し、端部152と埋め込みの前に存在しているコイル154との間に間隙を設けるか、または間隔をあける。この設計特徴は、螺旋状アンカー150の挿入時に、またより小さなプロテーゼ120が埋め込まれるときにダウンサイジングのニーズとともに、腱索48および/または弁尖38、42との絡み合いまたは干渉を回避するのにも役立つ。
【0067】
螺旋状アンカーが埋め込まれてから、弁プロテーゼがそこに留められるまでの間に、アンカーは、適所からスリップして外れるか、または完全に転位しうる。心房固着特徴は、この望ましくない移動を防ぐために追加されうる。例えば、螺旋状アンカー160は、
図7に示されているようなテール状延長部162を備えることができる。一番上の螺旋回旋体162は、
図8に示されているように心房壁46aと接触するか、または当接するように下側コイル164より大きな直径を有する。すでに説明されているように、左心室10内の僧帽弁輪84の下の螺旋状アンカー160のコイル164aは、前弁尖38および後弁尖42と係合する。特に、前弁尖38は、大動脈弁22内に入る血流を遮ることが防止されるようにコイル164aによって拘束される。スプリング力を心房壁46aに印加することによって、テール状延長部162は、螺旋状アンカー160の移動を防ぐのを補助する。他の実施形態では、テール状延長部162は、螺旋形状を備えていなくてもよいことは理解されるであろう。例えば、テール状延長部162は、約90度の角度で螺旋状アンカー160から外向きに通る単純な直線セグメントを備えることができる。さまざまなテール状延長部または他の心房固着特徴は、まだまだ実施形態において組み込まれうる。テール状延長部162は、弁尖38、42の上のコイル164bが弁尖38、42と係合する必要性を完全になくすことができる。弁尖38、42の上のコイル164bは、排除することができるか、または弁尖38、42の上のコイル164bは、弁尖38、42の上に間隙を形成するように配置構成されうる。この間隙により、螺旋状アンカー160は、弁プロテーゼ120(
図1H)とかなり長く接触していられる。これは、左心室10および心房46内を適切に目指すように弁プロテーゼ120を配向するのに役立ちうる。弁プロテーゼ120の心室内への流入が、左心室10の後壁10aに当接しないことを確実にすることが重要であるが、それは、当接が心臓14の摩耗または破裂を引き起こし、または左心室10内への流れを損なう可能性があるからである。
【0068】
本発明の一実施形態が、本明細書ですでに説明されているように、螺旋状アンカーの上側コイルと下側コイルとの間に間隙を組み込む場合、破砕しがちであるシステム内の弱点がありうる。弁44の上のコイルを弁44の下のコイルに接続する螺旋状アンカーのセグメントは、心臓の収縮および破砕とともに律動的に移動しうる。この望ましくない移動を防ぐために、弁プロテーゼ120を弁尖38、42の上と下の両方のコイルに固着するステップで、これら2つの螺旋状コイル部分を一緒に係止し、相対運動を防ぐ。上側コイル部分と下側コイル部分との間の接続セグメントが破砕する場合であっても、弁プロテーゼ120は、添え木のように、弁尖38、42の上、および弁尖38、42の下でコイルを一緒に保持する。これは、部分の塞栓を防ぐ。また、上側螺旋状部と下側螺旋状部との間の接続セグメントは、置換弁の埋め込みの後は不要であるということも可能である。上側および下側コイル部分の接続は、螺旋状アンカーの挿入にのみ必要である。上側コイル部分と下側コイル部分との間の接続セグメントは、意図的に、使い捨て(小さく薄い)または取り外しできるようにすることも可能である。
【0069】
次に
図9A〜
図9Cを参照すると、本発明の一実施形態は、送出装置180が外部鞘182、および収束先端部186を有する内部シャフト184を備えるものとして図示されている。螺旋状アンカー190は、シャフト184の上に配置され、鎖線で示されている、鞘182内に拘束され、これにより、埋め込む前にアンカー190のコイル192を締め付ける。収束先端部186は、手術者が装置180を経皮的に使用される場合には患者の静脈系を通るように、または患者の心臓を通るようにガイドするのを補助するために設けられている。フックなどの固着アーム194は、螺旋状アンカー190のコイル192aにそって設けられ、形状記憶材料で製作される。固着アーム194は、組織を保持するために強いアンカー点を備えるように2つの相隔てて並ぶワイヤ部分194a、194bを有する。固着アーム194は、外部鞘182内で下方の向きで拘束され、真っ直ぐにされる。送出装置180が取り外されるときに、アンカー190のコイル192が解放され、スプリング力でその自然な直径まで径方向外向きに動き、固着アーム194は上方の方向に折り畳まれてフックを形成して組織と係合するが、これは
図9Bおよび
図9Cに示されているとおりである。
【0070】
次に
図10A〜
図10Cおよび
図20〜
図22を参照すると、本発明の一実施形態では、送出カテーテル200が、患者の心臓14の左心室10内に挿入されていることがわかる。送出カテーテル200は、例えば、外部鞘182および収束先端部186を持つシャフト184を有する、すでに説明されているような送出装置180を運ぶ内腔202を備える。固着アーム194を有する螺旋状アンカー190は、シャフト184上で圧縮され、アンカー190のコイル192が締め付けられるように鞘182によって保持される。先端部186は、
図10Aに示されているように、僧帽弁44の前弁尖38と後弁尖42との間の送出装置180を左心室10から左心房46内に送り込むのを補助する。外部鞘182が後退させられると、
図10Bおよび
図20に示されているように螺旋状アンカー190はスプリング力で元のサイズまで開く。この螺旋状アンカー190は、他の実施形態と同様に、直径一定のコイルおよび/または弁組織と接触または係合するのとは反対に心房壁46aと係合するコイルの代わりに異なる直径のコイル192を使用するなど、さまざまな形態をとりうる。環境目的のために、
図20は、右心房210、下大静脈212、上大静脈214、大動脈弁22、および大動脈18(鎖線で示されている)を示している。外部鞘182が、アンカー190に関して下方に摺動するときに、固着アーム194が展開し膨脹して、例えば、フック内に入る。
図10Bおよび
図21に示されているように、フック194は前弁尖38および後弁尖42の周りに巻き付き、アンカー190を適所に保持する。固着アーム、またはこの実施形態ではフックも、弁尖38、42を捕らえるか、または他の何らかの方法で固定し、前弁尖38が大動脈弁22を通して左心室10から出る血流を妨げないよう防ぐのを助ける。弁尖38、42の縁は、乳頭筋56、60から延在する腱索48に取り付けられることに留意されたい。この実施形態では、フック194は、腱索48の間を通るように遠位端194cのところで比較的狭くなっている形状になるように製作される(
図9Bおよび
図9Cを参照)。しかし、フック194は、本発明の範囲から逸脱することなくさまざまな形状で製作されうることは理解される。例えば、
図21は、遠位端194cのところで広くなりループを形成するフック194を有する代替的一実施形態を示している。
図21のワイドループフック194は、弁尖の保持力を改善しているが、腱索48の周りに位置決めすることは困難な場合がある。再度
図10A〜
図10Cを参照すると、弁プロテーゼ120は、
図10Cおよび
図22に示されているように螺旋状アンカー190内に位置決めされ保持されることがわかる。
図10Cおよび
図22の実施形態では、弁プロテーゼ120は、ステント126内に装着され、一対の人工弁尖122、124を備える。人工弁尖122、124は、ウシ、ブタ、もしくはウマ心膜または動物弁組織などのしなやかな動物組織を含むことができる。弁プロテーゼ120は、自己膨脹性を有するかまたはバルーン膨脹可能であるものとしてよい。弁尖組織38、42は、弁プロテーゼ120の方へフック194によって保持され、前弁尖38が大動脈弁22を通る血流を妨げるのを防ぐ。
図22に示されている実施形態では、周カフ220が螺旋状アンカー190と弁プロテーゼ120との間に挿入され、これにより、心房46内の弁プロテーゼ120の保持力を改善し、アンカー190と弁プロテーゼ120との間にシールを形成し漏れを防ぐ。
【0071】
図11A〜
図11Cは、真っ直ぐな位置(
図11A)から活性化された位置(
図11C)への固着アーム194の遷移を示している。すでに述べているように、固着アーム194は、形状記憶材料から製作されうる。
図11Aは、それぞれがコイル192aにそって配置されている固定端部222と自由端部224とを有する固着アーム194を示している。固着アーム194が真っ直ぐな位置(
図10A)から解放されたときに、自由端部224が固定端部222から離れて行き、固着アーム194の基部を伸長させることができ、固着アーム194の遠位先端部194cは、
図11Bに示されているように上方に曲がり始めるか、または折り畳まれ始まるものとしてよい。固着アーム194は、遠位先端部194cが
図11Cに示されているように元の形状に曲げられフックを形成するときに活性化される。別の実施形態では、固着アーム194は、固定端部222を有さず、むしろ、両端において螺旋状アンカー194にそって摺動できるように2つの自由端部224を有することができる。実現される固着アーム194の個数および構成は、変更することができる。
【0072】
図12Aは、本発明の別の実施形態による底部のフック232などの固着アームを持つステントドック230を示している。フック232は、ステントドック230の構造物内に別々に取り付けられるか、または一体化されうる。ステントドック230の中点は、鎖線または軸234として示されている。フック232は、ステントドック230のいずれの一番下側のセル238の頂点236に取り付けられる。他の実施形態は、一方のセル238上の1つの基部および別のセル238上の1つの基部で固着されている両面フック(
図11A〜
図11Cに示されているような)を組み込むことができる。ステントドック230が膨脹すると、セル238は縦方向に縮み、弁尖組織と係合するなどのためにフック232を上昇させる。この方法で、ステントドック230の短縮(つまり、その半径方向の膨脹)を機能的な形で利用してフック232を活性化する。
【0073】
図12Bは、ステントドック240が短くなり、両面フック242などの固着アームが
図12Aを参照しつつ説明されているのと似た方法で持ち上げられるように膨脹するときのステントドック240の別の実施形態を示している。追加の実施形態は、さまざまなフックタイプおよびアタッチメント構造を備えることができる。例えば、ダブルワイヤフックは、ステントドック240の第1のセル244の底部の一方のワイヤ端部と、ステントドック240の隣接するセル244の底部の他方のワイヤ端部とともに取り付けることができる。この配置構成をとると、フック242の基部はステントドック240が膨脹するときに長くなる。この方法では、フック242は、狭い形状で組織と係合し始め、ステントドック240が膨脹するときに広がるものとしてよい。これは、フック242が腱索の間の弁尖に取り付けられるときに有用な特徴となりうる。
【0074】
次に
図13Aおよび
図13Bを参照すると、フック250が、蛇行ワイヤ252にそって広がるように図示されている。ワイヤ252の曲がり254が、フック250を分離する。ワイヤ252が真っ直ぐにされると、
図13Bに示されているように、フック250は広がって離れ、高くなる。このようにして、フック250は、組織を保持するように活性化されうる。
【0075】
同様に、
図14Aおよび
図14Bは、中央保持ワイヤ256上に装着された蛇行ワイヤ252にそって広がるフック250を示している。
図14Bに示されているように蛇行ワイヤ252が中央保持ワイヤ256にそって真っ直ぐにされると、フック250は広がって離れ、高くなる。中央保持ワイヤ256は、例えば、その上に蛇行ワイヤ252を載せる螺旋状アンカー(本明細書で説明されているような)を備えることができる。
【0076】
図14Cおよび
図14Dは、本発明のオプションの態様によるフック展開のさらに別の方法を例示している。ワイヤ260は、V字形部分を有するフック262などの複数の固着アームが備えられるように折り畳まれる。ワイヤ260は、フック262が
図14Cに示されているように開口266を貫通することができるように開口266を有する外殻または中空構造物264内に配置される。ワイヤ260が殻264を通して引かれると、V字形部分270が後退し、殻264内で真っ直ぐになり、
図14Dに示されているようにフック262を上方に持ち上げる。本発明の原理に従ってワイヤ、ステントドック、または螺旋状アンカーを長くするステップに関連するフックを作動させる他の手段は多数ある。
【0077】
次に
図15A〜
図15Fを参照すると、患者の心臓14の僧帽弁位置または配置にステントドック280を位置決めするためのシステムおよび方法が図示されている。
図15Aは、小開胸、胸骨切開によって、または上側腹部切開で横隔膜の下から、左心室10の心尖6内に挿入される導入器2を示している。特に有利なアプローチの1つは、左心室10の心尖6の近くの患者の胸部を小切開し、次いで、心臓14の心尖6を通して小切開することである。心尖6からの血液の漏れを防ぐために、標準的な巾着縫合を利用して、導入器2を適所に保持し、取り外すときに欠陥部を閉じることが可能である。また、入口と出口に閉塞器デバイスを使用することも可能である。ガイドワイヤ30は、ガイドワイヤ30の一部が左心房46内に位置決めされるように送られる。ガイドワイヤ30と腱索48またはその付随する乳頭筋56、60とが絡み合うのを回避するようにガイドワイヤ30を送るときに注意が必要である。送出カテーテル64は、次いで、ガイドワイヤ30上で送られうる。
【0078】
送出カテーテル64は、ステントドック280を収納し、左心房46内に導かれる。ステントドック280の心房部分280aは、ステントドック280が
図15Bおよび
図15Cに示されているように適所に保持されるときに送出カテーテル64を引き出すことによって押し出される(つまり、伸長する)。これは、ステントドック280を送出カテーテル64から外向きに押すことによって達成されうる。ステントドック280は、さまざまな方法で製作することができるけれども、ニチノールなどの形状記憶材料からステントドック280を製作すると有益である。ステントドック280は、チューブ材または材料片から切り出されるか、または形状記憶材料のスレッドまたは形状記憶材料片から織って作ることができることに留意されたい。好ましくは、ステントドック280は、血液をその周りに流すか、またはその中に通すことを許すオプションを有する。これは、
図15Bに示されているようにステントマトリックスによって円滑になされる。本発明の一実施形態では、ステントドック280の部分は、布、ポリマー、および生物由来物質のうちの1つまたは複数でコーティングされうる。布コーティングは、僧帽弁44の輪84の周りで漏れを防ぎ、組織の成長侵入を促すうえで特に有用であるとことに留意されたい。好適な布として、ダクロンおよびテフロン(登録商標)材料が挙げられる。
【0079】
ステントドック280の心房部分280aが解放された後、ステントドック280は、
図15Cおよび
図15Dに示されているように一緒に下げられ、これにより、ステントドック280の心房部分280aは、心房壁46aと接触し、
図15Dに示されているようにステンドドック280の弁固着部分280bが僧帽弁44内に位置決めされる。弁固着部分280bは、組織成長侵入を促進し、漏れを防ぐのを補助するダクロンまたはテフロン(登録商標)などの材料でもコーティングされうる。
図15Eに例示されているように、送出カテーテル64は、さらに後退し、ステントドック280の心室フック284の形態の固着アームを解放し、フック284が腱索48の間を移動し、僧帽弁弁尖38、42の周りに巻き付くようにできる。心房部分280aは、ステントドック280を左心房46内に保持し、ステントドック280は、心臓14の内側に安定に保たれる。弁固着部分280bは、閉位置にあるが、弁プロテーゼ120(
図15G)の挿入後に矢印の方向に膨脹しうる。自然僧帽弁44は、心臓14がそのまま機能し、患者が手技の最中に安定を保つようにそのまま開閉することができることに留意されたい。したがって、弁プロテーゼ120を埋め込む準備をしている間に手術者にきわどい時間的制約は課されない。
【0080】
ステントドック展開の他の方法は、本発明の範囲内で使用することができることは理解される。例えば、他の実施形態(図示せず)は、ステントドック280が2つの端部から解放されるように製作された1つまたは複数の送出カテーテルデバイスを組み込むことができる。一実施形態では、カテーテルは、デバイスの弁固着部分280bを使用して、または使用せずに心房部分280aを保持することが可能であり、別のカテーテルは、心室フック284を保持することが可能である。より近位にあるカテーテルを引き出して、フック284を最初に開かせることも可能である。このステップは、心室10内で低くなっているフック284で実行することが可能であり、ステントドック280全体を弁44に向けて前方に押し、弁尖38、42がフック284によって保持されるようにすることが可能である。撮像(例えば、心エコー検査)を使用し、これが、弁尖38、42の一部がフックされていないことを示している場合、ステントドック280を引き戻し、再度位置決めすることができる。フック284が弁尖38、42と適切に係合しているときに、より遠位のカテーテルを引き出して、心房部分280aを膨脹させることが可能である。
【0081】
追加の操作で、ステントドック280の位置決めを補助することができる。例えば、弁尖の運動を制限することで、フック284ですべての弁尖コンポーネントを固定しやすくできる。これは、負の変力物質または血管拡張剤を介して僧帽弁を通る流れを低減し患者の末梢の血液をプールすることによって、またはテーブル位置決めによって薬理学的に実施することが可能である。閉塞器またはバルーンなどの機械的デバイスを僧帽弁の近くで膨らませることにより流れを制限することが可能である。あるいは、ステントドック280の心房部分280aは、流れを損なうように適合されうるか、またはステント構造物を損なう流れが、それに組み込まれうる。別の実施形態では、心房部分280aでは、布を一部取り付けるか、または表面全体を覆って流れを制限することが可能である。この布は、組織成長侵入および長期生体適合性を促進するためにも使用することが可能である。
【0082】
次に
図15Fを参照すると、ステントドック280が位置決めされていることがわかる。ドック280の弁保持部分280bは、膨脹もしくは拡張し、これにより、フック284はドック280の心房部分280aに向かって持ち上がるか、または上方に移動する。フック284は、弁44がもはや開閉しなくなるように僧帽弁組織を上向きに引っ張る。また、僧帽弁弁尖組織38、42は、フック284によって圧縮され、ステントドック280の周りに優れたガスケットまたはシールを形成する。僧帽弁弁尖組織38、42は、ドック280の強度を高め、ステントドック280の周りの漏れを防ぐ圧縮された自然生物由来物質のリングを形成する。したがって、弁保持部分280bの膨脹で、心房部分280aおよびフック284はドック280を適所に保持する。弁保持部分280bの膨脹は、さまざまな手段によってもたらすことができる。一実施形態では、フック284を心房部分の方へ引くために、引き紐(図示せず)を使用することが可能である。同様に、心房部分280aのフック284およびセグメントを一緒に引くために、一連の引き紐(図示せず)を使用することが可能である。
【0083】
心房部分280aおよびこのデバイス280の心室フック284の両方が多くの変更形態を揺することができることに留意されたい。例えば、心房部分280aは、完全なセルで構成されていなくてもよい。一実施形態では、心房部分280aは、外向きに延在する半径方向アーム(図示せず)を備え、ステント材料の完全な円を備えない場合がある。別の実施形態では、心房部分280aは、
図8の心房内の螺旋状アンカーを固着させるように前に示されているテール状延長部162に類似している材料の螺旋状部を備えることが可能である。
【0084】
ステンドドック280の配置が成功した後に、別の弁プロテーゼ120が
図15Gに示されているように弁保持部分280b内に埋め込まれる。弁プロテーゼ120は、例えば、すでに説明されているとおりのものであってよい。弁プロテーゼ120の膨脹は、保持部分280bが膨脹することを引き起こし、これによりフック284および心房部分280aがステントドック280を確実に保持することができる。あるいは、弁プロテーゼ120は、二次ステップを回避するために埋め込み前にステントドック280内に一体化することができる。
【0085】
図16A〜
図16Cは、拡大した詳細が見えるように送出カテーテルを除いてステントドックの展開を示している。心房部分280aは、
図16Aおよび
図16Bにおいて開いて示されている。心房部分のストラット290の間の空間は、血流の阻害を最小限度に抑えるか、またはまったくなくすことができる。
図16Cは、鎖線で示されている、僧帽弁の平面292内に静止している心房部分280aを示している。弁保持部分280aが膨脹し始めると、フック284は上昇する。
図16Dは、弁保持部分280bが完全に膨脹した状態を示しており、この結果フック284は展開された位置まで持ち上がっている。
【0086】
次に
図17A〜
図17Dを参照すると、患者の心臓14の僧帽弁位置に螺旋状アンカー300を位置決めするためのシステムおよび方法が図示されている。カテーテル302は、よく知られているように、経皮的穿刺によって、または患者の鼠径部のところで小さな外科的切開を行うことによって患者の静脈系内に導入される。あるいは、カテーテル302は、下腹部または腹膜後腔部内のどこかに、または鎖骨下動脈もしくは腋窩静脈もしくは首の頸静脈系を介して首もしくは肩に導入されうる。この実施形態では、カテーテル302は、
図17Aに示されているように、下大静脈212を上り、右心房210に入り、心房中隔304を横切り、左心房46内に入る。患者の心臓14の三尖弁306、右心室210、上大静脈214、および大動脈18は、例示することを目的として図示されている。コイルガイドカテーテル310は、カテーテルによって運ばれ、僧帽弁44の前弁尖38と後弁尖42との間を通り左心室内に貫入する。
【0087】
この実施形態では、システムは、好ましくは、圧力が低く、大きなカテーテルおよびガイドを受け入れることができる、静脈系を介して挿入される。これにより、遠隔僧帽弁置換のためのカテーテル、システム、デバイス、および方法を自由に開発し、導入することができる。しかし、システムは、経静脈的アプローチなしで、または大動脈18を介して、左心房46内に直接導入されうることは理解される。例えば、カテーテル302は、大動脈18から左心室10に入り、次いで、左心房46に入ることができる。大動脈18は、観血療法手技の場合のように直接的に、または枝のどれかからアクセスすることができ、これにより、システムは、患者の鼠径部、肩、後腹膜、胸部、または腹部内に導入されうる。
【0088】
図17Bでは、コイルガイドカテーテル310は、左心室10内に貫入し、元の形状に戻る。この実施形態では、コイルガイドカテーテル310は、ステム312とU字形部分314とを備える。螺旋状アンカー320の下側コイル316(
図17C)は、心室10の内側のコイルガイドカテーテル310から押し出される(つまり、伸長する)。下側コイル316は、腱索48と僧帽弁44との周りに巻き付く。下側コイル316が押し出される正確なレベルは、左心室10内のコイルガイドカテーテル310のレベルを調整することによって決定されうる。この実施形態では、押し出しは、腱索48および弁44が取り囲まれるように弁44のレベルの下から始まる。より高いレベルで取り囲むとなお都合がよいと思われる。腱索48は、実質的に僧帽弁44の下に配置されている2つの乳頭筋頭56、60から出る。乳頭筋頭56、60の近くの腱索48の集中度が高いため、より低いレベルで乳頭筋48を取り囲むことが望ましい場合がある。
【0089】
螺旋状アンカー320の下側コイル316が望むとおりに僧帽弁44の下に送出されているときに、コイルガイドカテーテル310は、左心房46内に引きずり込まれる。
図17Cを参照のこと。コイルガイドカテーテル310を心房46内に引き込む活動は、
図17Cに示されているように僧帽弁44と接触するために心室10内に配置されている螺旋状アンカー320の下側コイル316をより高いレベルに引くために使用されうる。螺旋状アンカー320の上側コイル322は、カテーテル302の内側のコイルガイドカテーテル310を後退させることによって心房46内で解放される。螺旋状アンカー320が、
図17Dに示されているように適所に送出されたときに、コイルガイドカテーテル310は後退し、カテーテル302が引き出される。この実施形態では、アンカー320のコイル316、322は、弁尖38、42の上と下の両方で僧帽弁44と接触する。しかし、他の実施形態は、すでに説明されているものを含むさまざまな配置構成を有することができることは理解される。例えば、上側コイル322は、僧帽弁44と接触しないが、心房壁46aに当接して支持されうる。また、下側コイル316と上側コイル322との間に間隙を有する螺旋状アンカーは、弁尖38、42がコイル316、322の間に捕捉されないように、またその後配置される弁プロテーゼ(図示せず)の向きを改善するように位置決めすることが可能である。
図17Dは、心室コイル316が弁尖38、42を収容することも示している。コイル316の間に間隙、および/またはコイル322の間に間隙がありえること、また図面に示されているのと異なる数のコイルが利用されうることも理解されるであろう。さらに一例として、追加のコイル316が心室10内で使用される場合、これは、さらなる人工弁支持を行い、大動脈弁22の阻害がないように前弁尖38をさらに収容しやすくすることができる。心房46内の追加のコイル322は、さらなる人工弁の安定化を進めることもでき、また、大動脈弁22を阻害しないように人工弁を心房46内でより高い位置に置くこともできる。
【0090】
螺旋状アンカー320がこのようにして送出されるときに、下側および上側コイル(つまり、心室および心房コイル)316、322は、弁尖38、42に配置されているアンカーのセグメントによって結ばれることに留意されたい。これは、弁尖の閉鎖を損ない、弁44の漏れを引き起こす可能性がある。しかし、アンカー320を配置した直後に経皮置換弁120が展開されうるので、この状況は長くは続かない。また、心房コイル322と心室コイル316とを結ぶアンカー320のセグメントは、交連部80(
図15A)の近くに置かれ、弁の閉鎖に干渉しえない。別の実施形態では、アンカー320のワイヤは、自然僧帽弁44の中心を通って移動し、2つの僧帽弁弁尖38、42が互いに近づくことを許すように予備成形しておくことも可能である。本明細書ですでに説明されているような、さまざまな螺旋状アンカー構成を組み込むことができる。
【0091】
次に
図18A〜
図18Cを参照すると、患者の心臓14の僧帽弁位置に螺旋状アンカー330を位置決めするためのシステムおよび方法が図示されている。カテーテル332は、よく知られているように、経皮的穿刺によって、または患者の鼠径部のところで小さな外科的切開を行うことによって患者の静脈系内に導入される。あるいは、カテーテル332は、下腹部または腹膜後腔部内のどこかに、または鎖骨下動脈もしくは腋窩静脈もしくは首の頸静脈系を介して首もしくは肩に導入されうる。この実施形態では、カテーテル332は、
図18Aに示されているように、下大静脈212を上り、右心房210に入り、心房中隔を横切り、左心房46内に入る。コイルガイドカテーテル340は、カテーテル332から左心房46内に貫入し、その遠位先端部340aは僧帽弁44のところ、またはその近くにある。螺旋状アンカー330は、前弁尖38と後弁尖42との間の交連部80を通り僧帽弁44の下のコイルガイドカテーテル340の先端部340aから押し出される。コイルガイドカテーテル340は、ステム342とU字形部分344とを備え、螺旋状アンカー330の押し出しを補助する。
【0092】
この実施形態では、システムは、好ましくは、圧力が低く、大きなカテーテルおよびガイドを受け入れることができる、静脈系を介して挿入される。これにより、遠隔僧帽弁置換のためのカテーテル、システム、デバイス、および方法を自由に開発し、導入することができる。しかし、システムは、経静脈的アプローチなしで、または大動脈18を介して、左心房46内に直接導入されうることは理解される。例えば、カテーテル332は、大動脈18から左心室10に入り、次いで、左心房46に入ることができる。大動脈18は、観血療法手技の場合のように直接的に、または枝のどれかからアクセスすることができ、これにより、システムは、患者の鼠径部、肩、後腹膜、胸部、または腹部内に導入されうる。
【0093】
下側コイル346が、望むとおりに心室10内の僧帽弁44の下に位置決めされた後、上側コイル348が心房46内の僧帽弁44の上に位置決めされうる。この実施形態では、アンカー330の2つほどの下側コイル346が、僧帽弁44の下に位置決めされる。所望の数のコイル346を僧帽弁44の下に位置決めすることができることは理解される。アンカー330の上側コイル348は、
図18Bに示されているようにコイルガイドカテーテル340を回転させることによって僧帽弁44の上のコイルガイドカテーテル340から解放される。この実施形態では、カテーテル332は、その遠位端のところに曲がり332aを有する。他の実施形態では、曲がり332aは、上側コイル348が心房中隔304に近い位置から弁44の上に送出されるように非活性化されうる。これにより、コイル348は、比較的容易に予備成形された位置をとり、カテーテル332を回転させる必要がなくなる。
図18Cは、僧帽弁位置に螺旋状アンカー330を完全に配置している状態を示しており、これにより、アンカー330の2つほどの下側コイル346は僧帽弁44の下に位置決めされ、2つほどの上側コイル348が僧帽弁44の上に位置決めされる。この実施形態では、弁44の両側のコイル346、348が、弁尖38、42と接触する。アンカーの配置が完了した後、コイルガイドカテーテル340が後退し、カテーテル342が引き出されるものとしてよい。
【0094】
次に
図19A〜
図19Eを参照すると、患者の心臓の僧帽弁位置にステントドック350を位置決めするためのシステムおよび方法が図示されている。ステントドック350は、
図16A〜
図16Dに関連して説明されているように、または本明細書で説明されているように本発明の原理を実施する他の好適な方法で、製作することができる。カテーテル352は、よく知られているように、経皮的穿刺によって、または患者の鼠径部のところで小さな外科的切開を行うことによって患者の静脈系内に導入される。あるいは、カテーテル352は、下腹部または腹膜後腔部内のどこかに、または鎖骨下動脈もしくは腋窩静脈もしくは首の頸静脈系を介して首もしくは肩に導入されうる。この実施形態では、カテーテル352は、
図19Aに示されているように、下大静脈212を上り、右心房210に入り、心房中隔304を横切り、僧帽弁44に向かいつつ左心房46内に入る。送出カテーテル354は、カテーテル352から僧帽弁44を横切り左心室10内に貫入する。ステントドック350は、ステントドック350のフック356が送出カテーテルから解放され、
図19Bに示されているように僧帽弁弁尖38、42の周りに位置決めされるように左心室10内の送出カテーテル354から押し出される。前弁尖38および後弁尖42の両方のすべての部分がフック356によって係合されることを確実にするため、ステントドック350は、
図19Cに示されているように弁44の方へ引っ張られうる。この方法が失敗した場合、ステントドック350は、前方に押され、このプロセスが繰り返されうる。さらに、両方の弁尖38、42と係合するのが困難な場合にこのプロセスを再始動または放棄するために、フック356が後退して送出カテーテル354内に戻ることができる。フック356が正常に位置決めされた後、ステントドック350全体が送出カテーテル354から解放され、これにより、弁保持部分350は僧帽弁44の前弁尖38と後弁尖42との間に配置され、心房部分350aは
図19Dに示されているように膨脹して左心房46内で元の形状に戻る。弁保持部分350bは、自然に膨脹することを可能にする形状記憶特性を有することができるか、または弁保持部分350bは、バルーンによって膨脹させることができる。弁保持部分350bの膨脹により、フック356は上方に移動し、弁尖38、42を固定し、これにより、ステントドック350のフック356および心房部分350aは僧帽弁44上で締め付けて、ステントドック350を適所に安定化し、ステントドック350の周りにシールを形成する。この実施形態では、弁プロテーゼ360は、
図19Eに示されているようにシステム内に一体化される。弁プロテーゼ360は、弁保持部分350b内に装着される2つの人工弁尖362、364を備える。人工弁尖362、364は、他の実施形態と同様に、ウシ、ブタ、もしくはウマ心膜または動物弁組織または他の好適な材料などのしなやかな動物組織を含むことができる。他の実施形態は、ステントドック350の弁保持部分350b内に個別の弁プロテーゼを埋め込む追加のステップを必要とする場合があることは理解される。
【0095】
別の実施形態では、僧帽弁44に関する向きが与えられうる。前弁尖38は、後弁尖42より大きく、大動脈弁22に隣接して置かれるが、後弁尖42は、心臓14の後壁と密接に関連している。例えば、僧帽弁前弁尖38に取り付けられるステントドック350上により長いフック356を設けると有益である場合がある。プロテーゼ360の向きを決めるために、手術者は、ガイドワイヤまたは他の配向物体(図示せず)を大動脈弁44に導いて通すことができる。これは、最適な形で位置合わせするためにプロテーゼ360をどれだけ回すか向きを手術者に示すことができる。より具体的には、大動脈弁22は、前弁尖38に隣接して配置される。したがって、ガイドワイヤを大動脈弁22内に入れて通すことで、例えば、蛍光透視で視覚化することができ、手術者に、ステントドック350を配向し、また前弁尖38を保持し、固定して大動脈弁22を阻害することのないように固着アーム、例えば、フック356の向きを決めるか、または配置する仕方を示す。あるいは、配向は、ガイドワイヤがステントドック350に対して送出システム、例えば、送出カテーテル352上の内腔を通過するようにガイドワイヤを大動脈弁44内に導き通すことによって自動的に実行することができる。ガイドワイヤ(図示せず)は、送出カテーテル352に通され、左心室10を経由して大動脈弁22を通って外に出ることができる。これにより、手術者は、例えば、蛍光透視装置を使用して送出システムの向きを見ることができる。次いで、ステントドック350は、ガイドワイヤを保持する送出カテーテル内のチャネルが前弁尖38に当接するステントドック350の一部に隣接し、前弁尖38を固定するフックまたは他の固着アームに隣接するように送出カテーテル352に導き通されうる。ガイドワイヤまたは他の配向構造物の配置により、ステントドック350は、このようにして僧帽弁前弁尖38に向くように曲がる。
【0096】
次に
図23A〜
図23Dを参照すると、大動脈ガイドワイヤ372および位置決め用螺旋状部374の助けを借りて患者の心臓14の僧帽弁位置に螺旋状アンカー370を位置決めするためのシステムおよび方法が図示されている。ガイドワイヤ372は、導入器378の内腔376から左心室10内に入り、大動脈弁22を横切り、大動脈18に送り込まれる。右心室210は、例示を目的として図示されている。ガイドワイヤ372は、大動脈弁22に近い、前弁尖38を配置するために使用されうる。ステム382とU字形部分384とを有するコイルガイドカテーテル380は、導入器378の内腔376から送られ、
図23Bに示されているように左心房46内の遠位先端部380aにより位置決めされ、これにより、コイルガイドカテーテル380の遠位先端部380aは、図示されているように、ガイドワイヤ372から離れる方を指すか、またはガイドワイヤ372の方を指すものとしてよい。手術者は、蛍光透視または心エコー検査法を使用して、ガイドワイヤ372に関して遠位先端部380aの方向を決定することができる。遠位先端部380aが、ガイドワイヤ372から離れる方を指している場合、手術者は、その後の位置決め用螺旋状部374が、コイルガイドカテーテル380から後弁尖42の方に押し出されることを確信する。逆に、遠位先端部380aが、ガイドワイヤ372の方を指している場合、その後の位置決め用螺旋状部374は、コイルガイドカテーテル380から前弁尖38の方に押し出される。このタイプのガイドワイヤの補助は、ガイドワイヤ372がカテーテルを介して心房46から送出され、次いで僧帽弁44を通り、上方に曲がって大動脈弁22を通る心房アプローチを介しても使用されうることは理解されるであろう。
【0097】
螺旋状アンカー370を僧帽弁位置に配置する前に、
図23Bに示されているように位置決め用螺旋状部374またはバネをコイルガイドカテーテル380から左心房46内に送り込むことができる。左心房46は、弁44がドレインに似るように僧帽弁44の場所で狭くなる。図示されている位置決め用螺旋状部374は、輪84の直径より大きい。例えば、最大直径が40mmである位置決め用螺旋状部374は、30mmのリン84に使用することができる。位置決め用螺旋状部374は、螺旋状部374が完全に膨脹するようにコイルガイドカテーテル380が心房46の中間にあるときに送られる。コイルガイドカテーテル380が僧帽弁44の方へ後退するときに、手術者は、輪84に隣接する心房壁36aに当たる螺旋状部374の力を感じることができ、また蛍光透視または心エコー検査法が使用されるときに弁44の平面から離れる方向の螺旋状部374の曲がりを見ることもできる。この位置決め用螺旋状部またはバネ374は、輪84を配置しやすくするために僧帽弁44の配置を識別するのに役立つ。螺旋状部374は、適切な金属および特に形状記憶材料から作ることができる。図示されている螺旋状部374は、1つほどの曲がりまたはコイルを有しているけれども、コイルをいくつでも組み込める。
【0098】
位置決め用螺旋状部374が僧帽弁44を配置した後、螺旋状アンカー370は、
図23Cに示されているように、コイルガイドカテーテル380から心房46内に送られ、僧帽弁44の交連部80を通り、弁44の下の心室10に送り込まれる。次いで、位置決め用バネ374が心房46から取り外されうる。この実施形態では、螺旋状アンカー370の2つほどのコイル390が、コイルガイドカテーテル380から螺旋状アンカー370を押し出すことによって弁44の下に配置される。螺旋状アンカー370の上側コイル392は、
図23Dに示されているように螺旋状アンカー380が前方に押されるときにコイルガイドカテーテル380を回転させることによって弁44の上に配置される。位置決め用螺旋状部またはバネ374が、本明細書で説明されている患者の心臓の僧帽弁位置に螺旋状アンカーを位置決めするためのシステムおよび方法のどれかに組み込まれうる。
【0099】
次に
図24A、
図24B、および
図24Cを参照すると、位置決め用螺旋状部402の助けを借りて患者の心臓14の僧帽弁位置に螺旋状アンカー400を位置決めするためのシステムおよび方法の別の実施形態が図示されている。カテーテル404は、よく知られているように、経皮的穿刺によって、または患者の鼠径部のところで小さな外科的切開を行うことによって患者の静脈系内に導入される。あるいは、カテーテル404は、下腹部または腹膜後腔部内のどこかに、または鎖骨下動脈もしくは腋窩静脈もしくは首の頸静脈系を介して首もしくは肩に導入されうる。この実施形態では、カテーテル404は、
図24Aに示されているように、下大静脈212を上り、右心房210に入り、心房中隔304を横切り、左心房46内に入る。コイルガイドカテーテル406は、カテーテル404から左心房46内に貫入し僧帽弁44に向かう。コイルガイドカテーテル406は、ステム408とU字形部分410とを備え、位置決め用螺旋状部402および螺旋状アンカー400の押し出しを補助する。位置決め用螺旋状部402は、コイルガイドカテーテル406から押し出され、僧帽弁44の近くの左心房46の底部に押し当てられる。これは逆向きの力を発生し、手術者はこれを感じ取って僧帽弁44の配置を確認することができる。次いで、螺旋状アンカー400は、
図24Bに示されているようなガイドとして位置決め用螺旋状部402を使用して僧帽弁弁尖38、42の下のコイルガイドカテーテル406から押し出される。位置決め用螺旋状部402は、螺旋状アンカー400の一部が弁尖38、42の下に配置された後に取り出すことができる。それぞれ弁の上および下のコイル404、406とともに螺旋状アンカー400の配置を完了した後にカテーテル404を取り出すステップが
図24Cに示されている。他の実施形態では、位置決め用螺旋状部402は、追加の特徴部を有することも可能であることに留意されたい。例えば、これは、左心室を通過し遠位端のところで大動脈(図示せず)内に入り込むことができるテール状延長部を組み込むことができる。この特徴は、位置決め用螺旋状部402が僧帽弁輪84の実質的に中心に来ることを確実にする。それに加えて、位置決め用螺旋状部402は、心房46の基部に押し当てられたときにずれる。このようなずれは、蛍光透視装置上に現れ、螺旋状部402の位置を示すので、手術者は確認できる。
【0100】
すでに本明細書で説明されているように、アンカー送出システムの端部が、心房46の内側に配置されたときに、螺旋状アンカーは、弁尖38、42の下に導かれなければならない。したがって、これから説明する追加のデバイスおよび方法は、アンカーのコイルが最終的に弁尖38、42の上と下の両方に配置されるようにアンカーの開始点の配置を視覚化する必要なく、または視覚化を最小限度に抑え、確実さを最大にして、弁尖38、42の下の螺旋状アンカーの開始の位置決めを補助するのに役立つ。
【0101】
次に
図25A〜
図25Cを参照すると、患者の心臓14の僧帽弁位置に螺旋状アンカー420を位置決めするためのシステムおよび方法が図示されている。ガイドワイヤ422は、導入器424から左心室10を通り、僧帽弁424を経由して左心房46内に送り込まれる。取り付けられた引き紐430および中央内腔432を有するコイルガイドカテーテル428を収納するカテーテルは、コイルガイドカテーテル428が
図25Aに示されているように左心房46内に貫入するようにガイドワイヤ422上で送られる。別の実施形態では、コイルガイドカテーテル428は、ガイドワイヤ422および螺旋状アンカー420のそれぞれに対する2つの内腔を有することができる。この変更形態は、2本のワイヤ420、422が同時に適所に置かれている場合に互いの容易な通過を妨げるのを防ぐ。干渉は、内腔432を通るガイドワイヤ422の移動を損なうよじれを生み出す、形状記憶材料を含む螺旋状アンカー420を挿入するときに単一の内腔を有するコイルガイドカテーテル428において特に問題となるおそれがある。両方の内腔がコイルガイドカテーテル428の端部に達する必要はない。引き紐430は、コイルガイドカテーテル428の周りに結ばれるか、またはコイルガイドカテーテル428の構造内に組み込まれうるか、または、固定のためコイルガイドカテーテル428内のループ(図示せず)を通過することができる。
【0102】
ガイドカテーテル428は、最初に真っ直ぐであり、
図25Bに示されているように螺旋状アンカー420の送出を円滑に行えるように複雑な湾曲形状に活性化される。一般に、活性化されたコイルガイドカテーテル428の特徴部は2方向に湾曲する。特に、コイルガイドカテーテル428のステム436は、その遠位端が僧帽弁44とおおよそ平行な平面内に入るように曲げられている。第2の湾曲部438は、僧帽弁輪84の経路とおおよそ平行である。螺旋状アンカー420は、コイルガイドカテーテル428から外へ出て、僧帽弁弁尖38、42の下に入るように図示されている。弁尖38、42の下のアンカー送出は、引き紐430によって円滑に行われるようになっている。引き紐430は、導入器424の内側から引かれ、これにより、コイルガイドカテーテル428は僧帽弁44の弁尖の下に引き込まれる。コイルガイドカテーテル428は、それが弁尖38、42の下に落ち着くまで、左心室10の内側で一時的に引き下げられるものとしてよい。螺旋状アンカー420は、コイルガイドカテーテル428から外へ押し出されるものとしてよく、その曲がりまたはコイルは、弁尖38、42の下で始まる。引き紐430は、コイルガイドカテーテル428が弁尖38、42の間の下へ確実に引かれるように弁尖38、42の間を通ることに留意されたい。コイルガイドカテーテル428は、螺旋状アンカー420が弁尖38、42の下で曲がりの開始を確実にするように過剰に(つまり、左心室10のずっと奥まで)下方に引き込むことができる。アンカー420のセグメントが送出された後、引き紐430の張りが緩められ、これにより、コイルガイドカテーテル428は弁尖38、42の下の位置に戻り、螺旋状アンカー420は、コイルガイドカテーテル428から単に押し出すことによって弁尖38、42の真下に位置決めされる。この実施形態では、この手技は、左心室10の心尖6を介して実行される。この手技が経中隔穿刺を用いて実行される場合、引く動作は働かない。押す動作は必要になり、したがって、ある程度の剛性を持つデバイスは、弁尖38、42の下のコイルガイドカテーテル428の端部を移動させる必要がある。一実施形態では、これは、引き紐430をチューブまたはカテーテルに通し、カテーテル(図示せず)を押すことによって単純に実行することも可能である。
図25Bに示されているように、引き紐430の端部を引くと、結び目440が解け、引き紐430を取り外すことができる。結び目440を切断するステップ、または引き紐430を自由に引っ張れるループに通すステップを含む他のオプションがある。
【0103】
図25Cは、引き紐430を取り外し、弁44の下のアンカー配置が完了した後の弁44の上の螺旋状アンカー420の配置を示している。螺旋状アンカー420の2つのコイルまたは曲がり442が、僧帽弁44の下に置かれ、追加の曲がり444が、螺旋状アンカー420を押し出すのとコイルガイドカテーテル428を曲げるのとを同時に行うことによって弁44の上に置かれる。螺旋状アンカー420を同時に押し出し、また同時にコイルガイドカテーテル428を曲げる必要はない。この2つのステップは、別々に実行できる。別の実施形態では、螺旋状アンカー420のコイルは、アンカー420の先端部420aが弁尖38、42(
図25B)の下へ押される前に心房46内に送出されうる。例えば、アンカー420の2つのコイルを、アンカー420の端部420aが僧帽弁弁尖38、42の下に導かれる前にコイルガイドカテーテル428から左心房46内に押し出すことも可能である。次いで、アンカー420の先端部420aは、弁尖38、42の下に通され、さらに2つの曲がりが螺旋状アンカー420を単純に押すことによって送られるようにすることが可能である。この結果、螺旋状アンカー420は弁尖38、42の上の2つの曲がり、および弁尖38、42の下の2つの曲がりで位置決めされる。すでに述べているように、異なる数の曲がりを弁44の上および/または下に設けることができる。僧帽弁弁尖38、42と係合させる前にアンカー420の曲がりを送出することによって、コイルガイドカテーテル428を回転させる必要をなくす。押す動作のみでよい。この配置構成では、螺旋状アンカー428を、手術者が単に患者からカテーテルおよび工具を出しするだけでよい形で埋め込まれうる。カテーテルを、特に離れた場所から、曲げて回転させる必要性があるため、手技はなお困難になる。カテーテルにそってトルクを伝えるのは難しく、また予測不可能であり、その結果、カテーテルはまったく移動しないか、または心臓に障害を及ぼす危険性を伴って予想外にジャンプする可能性がある。出し入れ動作のみで実行されるカテーテル手技は、かなり簡単で安全である。
【0104】
次に
図26A〜
図26Cを参照すると、僧帽弁弁尖38、42の下に螺旋状アンカー450を導くシステムおよび方法が図示されている。この一連の図は、螺旋状アンカー450それ自体が中立位置からスプリング力で飛び出て、弁尖38、42の下に引かれる状態を示している。スネア452は、カテーテルまたはチューブ454内で絞られうる縫合糸またはワイヤのループからなる。一実施形態では、材料をループ452に加えて、蛍光透視装置で視覚化することができる(つまり、放射線不透過物質)。あるいは、スネア452は、ワイヤまたは縫合糸もしくはポリマーコーティングなどのカバーの内側のワイヤで構成することも可能である。スネア452は、スネアカテーテル454を左心房46内に挿入し、次いで、ループ452を開いて、螺旋状アンカー450を通す実質的に大きいターゲットを形成することによって図示されているように施すことができる。
図26Aは、スネア452が心臓14の内側のアンカー450の端部に取り付けられている状態を示している。しかし、これは難しい場合がある。あるいは、スネア452を螺旋状アンカー450の端部に事前に取り付けられているスネア452とともに患者体内に挿入することも可能である(これは、コイルガイドカテーテル456の端部からわずかに押し出され、導入器2の内側に配置される前にガイドカテーテル456の端部にしっかり取り付けることも可能である)。あるいは、ループ452を患者体内に入る前に、または心臓内にあるときに、コイルガイドカテーテルの端部に結合することができる。ループ452をコイルガイドカテーテル456の先端部または螺旋状アンカー450の先端部もしくは端部に事前に捕捉しておくことは、一般的には容易であることは理解されるであろう。
【0105】
スネアカテーテル454およびコイルガイドカテーテル456は、左心室10の心尖6内の同じ導入器2を通過する。2つの物体が同じ導入器を通過するときに、閉鎖機構が2つの物体の間の空間の周りを封止することができないので血液の漏れを生じる傾向がある。コイルガイドカテーテル456の壁および/またはスネアカテーテル454の設計を変更すると有益な場合があり、したがって2つ合わせて、簡単に閉じられる周を形成する。例えば、スネアカテーテル454は、平坦に、または楕円形もしくは三日月形の形状にされる場合もあり、これは導入器2を通過して封止を改善することによって血液が漏れる危険性を低減する。またスネアカテーテル454を受け入れる溝を導入器2内に設けることも可能である。
【0106】
図26Bでは、スネア452は、コイルガイドカテーテル456の端部を超えて押し出されている螺旋状アンカー450の端部の周りで締め付けられている。螺旋状アンカー450は、スネア452がアンカー450の端部から滑り落ちるのを防ぐため拡大された先端部460を有する。手術者は、スネア452を引っ張って、螺旋状アンカー450の先端部460を僧帽弁44の下に送出する。スネア452は僧帽弁弁尖38、42の間を通過するので、螺旋状アンカー450は、僧帽弁弁尖38、42の間も通過する。アンカー450が弁尖38、42の真下に確実に来るようにするために、アンカー450を心室10内に過剰に引っ張り込み、それからコイル450をコイルガイドカテーテル456から送り出すことができる。スネア452は、縫合糸のループを通して引くか、または患者体内もしくは体外の縫合糸を切断することによって解放することができる。
【0107】
別の実施形態では、スネア452が導かれ、偏向可能なようにすると都合がよい場合がある。アンカー450が弁尖38、42の下に引っ張られた後、アンカー450の先端部460を弁44の周に、特に腱索48との絡み合いを回避するために、導くと有益な場合がある。これは、例えば、事前整形された、または可鍛性のある棒をスネアカテーテル454の下に渡して好ましい形状を付けることによって達成することが可能である。可鍛性を有する棒を使用すると、手術者はその湾曲を変えることができる。スネアシステムは、コイルガイドカテーテルに関してすでに説明されているような操縦可能な特徴部も有することが可能である。患者の体外のハンドルは、スネアシステム上の曲がりを調整するために使用することが可能である。
【0108】
螺旋状アンカー450が腱索48のすべてに広く入ることが確実になるようにするため、螺旋状アンカー450が弁尖38、42の下に引っ張られた後にスネア452または縫合糸を弁44の周の方へ曲がるようにすると有益であろう。これは、スネアチューブ454の内側の探り針によって行うことが可能であるか、またはスネア452がコイルガイドカテーテルに関してすでに説明されているような、わずかな外向きの曲げで形状を変えることを許す特徴を有することが可能である。次いで、アンカー450は、たぶん2もしくは3cmまたは約1/4回転だけ弁尖38、42の下に安全に入る(つまり、これにより、アンカー450はスプリング力で左心房46内に戻ることはない)まで押し出すことができる。アンカー450が安全な量だけ弁尖38、42の下に押された後に、スネア452は解放されうる。アンカー送出は、所望の数の曲がりが弁尖38、42の下に入るまでアンカー450を押し出すことによって続けられる。縫合糸が使用される場合には、それを切断することも可能である。補強棒も縫合糸452とは別の内腔内に通し、それでも同じ有益な効果を得ることも可能である。
【0109】
図26Cは、弁44の下に位置決めされ、スネア452から解放された螺旋状アンカー450の先端部460を示している。スネアからアンカー先端部460を係脱する簡単な方法は、アンカーが下へ曲げられて左心室10内に入るまでスネア452を押し下げて、次いでスネア452を解放し、アンカー450がスプリング力でスネア452から飛び出るようにすることである。縫合糸は、患者体外で切断され、次いでスネア452に引き通されることも可能である。縫合糸も、アンカー450の先端部460内の予備成形されたループ(図示せず)を通過することが可能である。あるいは、コイルガイドカテーテル456の遠位端は、アンカー450の先端部460が弁尖38、42の下に入った後、回転させることによって弁尖38、42の下に送ることができる。次いで、スネア452はわずかに緩められ、次いで、螺旋状アンカー450は、コイルガイドカテーテル456の内側で引き戻され、これにより、スネア452は強制的にアンカー450の端部から外される。縫合糸452およびスネアチュービング454は、左心室10の心尖6内の導入器2を通して引き出すことができる。アンカー挿入は、本明細書ですでに説明されているように、弁尖38、42の下でアンカー450の残り部分を押し出すことによって完了させることができる。
【0110】
次に
図27Aおよび
図27Bを参照すると、すでに説明されているようなコイルガイドカテーテル470は、追加の位置設定特徴ともに示されている。
図27Aは、螺旋状アンカー472の送出が円滑に行えるように複雑な湾曲した形状に合わせて活性化されたコイルガイドカテーテル470を示している。活性化されたコイルガイドカテーテル470の特徴部は2方向に湾曲する。特に、コイルガイドカテーテルのステム474は、コイルガイドカテーテル470の遠位端476が僧帽弁44とおおよそ平行な平面内に入るように曲げられている。第2の湾曲部478は、僧帽弁輪84の経路とおおよそ平行である。
図27Bにおいて、コイルガイドカテーテル470は、その先端部482がさらに下方に曲げられるように追加の湾曲部480とともに示されている。この下方の曲がりにより、コイルガイドカテーテル470の先端部482は僧帽弁弁尖38、42の下に容易に入ることができる。例えば、コイルガイドカテーテル470は、螺旋状アンカーが数センチメートルだけ僧帽弁弁尖38、42の下に送出されている間に、
図27Bに示されている形状をとることができ、次いで、
図27Aに示されている形状に戻り、確実にアンカー472が弁尖38、42の下に正しく置かれるようにできる。
【0111】
次に
図28Aおよび
図28Bを参照すると、僧帽弁弁尖38、42の下に螺旋状アンカー490を導くシステムおよび方法が図示されている。この一連の図は、螺旋状アンカー490がガイドワイヤ492上で送出される状態を示している。ガイドワイヤ492は、
図28Aに示されているように、ガイドワイヤ492が僧帽弁弁尖38、42の下をくぐり左心室10内に入るようにコイルガイドカテーテル494の端部を通して送出される。内腔490aを有する螺旋状アンカー490は、
図28Bに示されているように、アンカー490が僧帽弁弁尖38、42の下をくぐり左心室10内に入るようにガイドワイヤ492の上で送られる。ガイドワイヤ492は、アンカー490が左心室10内に正常に入った後いつでも引き出せる。この実施形態では、螺旋状アンカー490は、中身の詰まったチューブまたはステント状構造物で製作される。
【0112】
次に
図29A〜
図29Cを参照すると、僧帽弁弁尖38、42の下に螺旋状アンカー500を導くシステムおよび方法が図示されている。この一連の図は、把持具502によって、螺旋状アンカー500が中立位置から引き出され、弁尖38、42の下に引かれる状態を示している。コイルガイドカテーテル504は、螺旋状アンカー500が中に保持されている状態の左心房46の内側にあるように図示されている。螺旋状アンカー500の端部506(
図29C)は、別の把持具502の顎部508、510によって保持される。あるいは、把持具502は、アンカー500の長さにそって螺旋状アンカー500に取り付けることができる。把持具502は、本明細書ですでに説明されているスネアと似た機能を果たし、コイルガイドカテーテル504の内側に延在するか、または
図29Aに示されているようにコイルガイドカテーテル500の外側の螺旋状アンカー500の端部506を保持することができる。
【0113】
この例示的な例では、把持具502は、螺旋状アンカー500の端部506を把持できるように把持具502の顎部508、510を適切に位置決めするためのU字形曲がり512を備える。U字形曲がり512の必要性は、把持具502の端部と螺旋状アンカー500の端部506との間に自在継手の接続部などの、枢動する接合部を単に有することによってなくすことが可能である。あるいは、螺旋状アンカー500の端部506上のボールが把持具502の顎部508、510内の溝と嵌合し、これにより、任意に角度で係合させることが可能である。把持具502は、
図29Bに示されているように僧帽弁弁尖38、42の下に螺旋状アンカー500を引くために使用されうる。把持具502は、湾曲している必要はないが、むしろ、直線コースで左心房46内に入るものとしてよい。螺旋状アンカー500が弁尖38、42の下に位置決めされたときに、把持具502は解放され、
図29Cに示されているように心臓14から引き出されうる。次いで、アンカー500は、本明細書ですでに説明されているように僧帽弁弁尖38、42の下の適所に送り込むことができる。把持具502は、生検鉗子と似た機能を果たしうる。
【0114】
図30Aおよび30Bは、本発明による代替的把持具520を示している。把持具520は、一対の顎部522、524と顎部522、524を開閉できるカテーテル526とを備える。カテーテル526は顎部522、524に向けて送られ、これにより、
図30Aに示されているように、顎部を閉じ、螺旋状アンカー500の端部506を保持する。カテーテル526が後退すると、
図30Bに示されているように、顎部522、524は開き、螺旋状アンカー500が解放される。この把持具520は、生検鉗子に比べてかなり柔軟性があり、薄くできている。また、アンカー500は、把持具520の顎部522、524の内側で回転することができる。この接合部は、把持具520の内側で旋回することを許されている螺旋状アンカー500のボール形端部506を持つ自在継手として働く。これにより、コイルガイドカテーテル504および把持具520は
図29AのU字形曲がり512の必要なく平行経路内に挿入されうる。すでに本明細書で説明されているように、把持具520が螺旋状アンカー500の端部506を保持する必要はない。むしろ、把持具520は、その長さにそった任意の地点で螺旋状アンカー500上にラッチすることができる。把持具520が螺旋状アンカー500の側部にラッチされている状態で、アンカー500が顎部522、524を通って摺動することを許すことが可能であり、したがってアンカー500は、顎部522、524が閉じられ、把持具520が適所に保持されている間に適所に押し込まれうる。
【0115】
次に
図31A〜
図31Dを参照すると、患者の心臓14の僧帽弁位置に螺旋状アンカー500を位置決めするためのシステムおよび方法が図示されている。コイルガイドカテーテル504および別の把持具520が、導入器2を通して左心房46内に送り込まれる。螺旋状アンカー500の端部506(
図31C)は、コイルガイドカテーテル504から延在するボール形先端部を備え、把持具520の顎部522、524によって保持される。螺旋状アンカー500の一部は、
図31Aに示されているように、アンカー500をコイルガイドカテーテル504に押し通すことによって心房46内に位置決めされる。2つのほどのコイル530、532が心房46内に位置決めされた後、把持具520は、交連部80を通して後退し、
図31Bに示されているように僧帽弁輪84の下に端部506を引き込む。螺旋状アンカー500の端部506が輪84の下に引き込まれたときに、把持具520はアンカー500の端部506を解放し、
図31Cに示されているように心臓14から引き出される。次いで、螺旋状アンカー500は、
図31Dに示されているようにアンカー500の2つほどのコイル534、536が輪の下に位置決めされるようにコイルガイドカテーテル504からさらに押し出される。この実施形態は、コイルガイドカテーテル540を捻るか、または回すことを必要としないが、むしろ、螺旋状アンカー500の送出は押し出しのみによってなされることに留意されたい。
【0116】
把持具520が螺旋状アンカー500の先端部506に固定されたときに、把持具520は、アンカー500の曲がりが押し出されるときにコイルガイドカテーテル504のステムの周りに巻き付きうることに留意されたい。この巻き付きに対して、心臓の内側に挿入される前に反対方向にコイルガイドカテーテル504のステムの周りに把持具520を単純に事前に巻き付けることによって対抗することも可能である。あるいは、把持具520は、アンカー500の曲がりまたはコイル530、532が心房46内に押し出された後、螺旋状アンカー500の先端部506に固定されうる。しかし、これは、最小限度の視覚化、またはまったく視覚化なしでは、実行が非常に困難である場合がある。また、遠位端を近づけたときにくっつくように把持具520と螺旋状アンカー500端部に磁性体を加えることも可能である。把持具およびアンカー500の遠位端の一方または両方に磁性を持たせることも可能である。一方のみが磁性体である場合、他方の端部は、鉄などの磁界を有するように誘導することができる材料を含んでいなければならない。磁石の助けを借りたとしても、このプロセスは、最小限度でも、または視覚化を使用しても、実行がまだ非常に困難である場合がある。したがって、把持具とコイルガイドカテーテルの絡み合いを防ぐために他の手段を備えることができる。また、把持具およびスネアカテーテルは特に本明細書においてコイルガイドカテーテルおよび/または螺旋状アンカーなどのシステムの他のコンポーネントをガイドする目的に使用される好適な制御要素として開示されているが、他の制御要素も代わりに使用することができることは理解されるであろう。他の可能なオプションの1つとして、単純なケーブル、縫合糸、または他の引張部材が、本発明のコイルガイドカテーテルなどのカテーテルの遠位端を引っ張るか、または位置決めを目的として螺旋状アンカーそれ自体を他の何らかの方法で直接的にまたは間接的に引っ張るために使用されうる。
【0117】
次に
図32A〜
図32Eを参照すると、僧帽弁弁尖38、42の下に螺旋状アンカー500を導くシステムおよび方法が図示されている。コイルガイドカテーテル504は、コイルガイドカテーテル504のステムが僧帽弁44の交連部80内に配置されるように導入器2を使って左心房46内に送り込まれる。コイルガイドカテーテル504の末端部504aは、他の交連部80の近くに配置されるような形状を有する。コイルガイドカテーテル504の長さは、螺旋状アンカー500が
図32Aに示されているように押し出されるときに、アンカー500の端部506が極めて正確に交連部80を通過する把持具504によって掴まれうるように選択される。複数のコイルガイドカテーテルが、僧帽弁の異なるサイズと一致するさまざまな寸法で製造されうる。例えば、手術者は、約30mmの僧帽弁直径で患者に手技を実施するときにステムの端部とガイド504の先端部504aとの間で約30mmの長さを有するコイルガイドカテーテル504を選択することができる(一般的に心エコー検査法で、またCTおよびMRスキャンで示される)。
【0118】
図32Bは、上から見た僧帽弁44を示している。コイルガイドカテーテル504は、右に示されている交連部80ところで僧帽弁44を通過している。コイルガイドカテーテル504のステム504bは、交連部80のうちの1つに到達するように心エコー検査法によってガイドすることができる。コイルガイドカテーテル504の端部は後僧帽弁輪の弧に似たU字形部分504cを有し、遠位先端部504aは、螺旋状アンカー500がそこから押し出され把持具540によって弁尖38、42の下に引かれるように他の交連部80の近くに置かれている。交連部80のところでアンカー500の入口点を位置決めする必要はないことに留意されたい。しかし、例えば、螺旋状アンカー500が僧帽弁前弁尖38の中間領域内で始まる場合に、弁尖38のこの部分はコイル内に捕捉され、アンカー500が挿入された後に弁44からの漏れを引き起こすなどの問題の原因となりうることを認識することは重要である。弁44から漏れが生じた場合、患者は、血行動態的に不安定になり、僧帽弁プロテーゼを挿入する手技を大急ぎで行うことになりうる。
【0119】
図32Bに示されているように、コイルガイドカテーテル504のU字形部分504cは、弁44の輪84を辿る。U字形部分504cは、輪84を超えて辿る可能性もあり、したがって、コイルガイドカテーテル504は、心臓14の基部の上で左心房壁46aに当接する。これは、コイルガイドカテーテル504が当接するタイプの棚部を構成する。手術者は、コイルガイドカテーテル504のステム504bを引き下げ、コイルガイドカテーテル504が心臓14の基部に当たって係合することを感じ取る。これは、心臓14の内側のコイルガイドカテーテル504の深さの比較的盲目的な位置決めを可能にする。
【0120】
把持具540は、把持具540が
図32Cに示されているように交連部80に近い僧帽弁輪84を通過するように導入器2を通して左心房46内に送り込まれる。把持具540は、螺旋状アンカー500を受け入れるため最初に開いている顎部542、544を備える。次いで、把持具540は、
図32Dに示されているように、アンカー500が摺動して把持具540の顎部542、544を通るように先端部506の近くの螺旋状アンカー500を締め付けることができる。一実施形態では、把持具540は、手術者が把持具540を閉じたままにしなくてすむように顎部542、544上に係止部を有することができる。このような係止部は、よく知られており、内視鏡生検鉗子などの多くの道具について説明されている。手術者は、心臓14の内側にコイルガイドカテーテル504および把持具540を挿入する前に患者体外の螺旋状アンカー500上で把持具540を締め付けることを好む場合があることに留意されたい。
図32Eは、把持具540がアンカー500を弁尖38、42の下に送り込むステップをガイドするように顎部542、544の間に摺動する螺旋状アンカー500を示している。顎部542、544は、弁44の上に配置されるが、顎部542、544は、代替的に、アンカー500の経路を目指すように、弁44の下に、または弁44と同じレベルにあるものとしてよいことは理解される。把持具540は、アンカー500を輪84の下に引き込むだけでなく、アンカー500の動作を制御し、アンカー500を適所にガイドするためにも使用される。アンカー500が、回している間に動かなくなってしまった場合、アンカー500を把持具540上で前進させ、上方および下方の動きで引き出して、アンカー500を解放することができる。別の実施形態では、把持具540は、アンカー500とともに回るように螺旋状アンカー500の先端部506に取り付けることもできる。螺旋状アンカー500の先端部506が、前進できない場合、把持具540を、アンカー500を用い、把持具540を押したり引いたりして回転させることができ、アンカー500の先端部506を、弁44の下側で完全に1回転するように促すことができる。
【0121】
コイルガイドカテーテル504のステム504bから先端部506までのU字形部分504cにそったコイルガイドカテーテル504の距離は、僧帽弁輪の直径または交連部80の間の距離に近いものとしてよい。コイルガイドカテーテル504のステム504bの端部から端部506までの距離が、おおよそ僧帽弁の直径または交連部間の距離である場合、把持具540およびステム504bは、システムが僧帽弁44の内側の中心に来るように僧帽弁の直径または交連部間の距離で隔てられうる。交連部80は、心エコー検査法で容易に識別できる。ステム504bおよび把持具540が交連部80に置かれるのを確実にすることによって、コイル500の送出は、弁尖38、42に関して正しく配向されうる。大半の手術者は、交連部80から開始するコイル500を送出することを望んでいる可能性が高く、したがって、コイルガイドカテーテル504および把持具540を図示されているように配向することで、螺旋状アンカー500の入口点に対する正しい開始位置が保証される。
【0122】
交連部80のところで螺旋状アンカー500を送出する必要はないことを再度述べておく。コイルガイドカテーテル504は、入口点が使用されるように回転されうる。しかし、交連部80は、コイルガイドカテーテル504のステム504bおよび把持具540の位置が確認できるような有用な開始点とすることができる。次いで、コイルガイドカテーテル504および把持具540は、螺旋状アンカー500に対する所望の入口点まで回転されうる。
【0123】
ときには、僧帽弁弁尖38および/または42の下にカルシウムがある。螺旋状アンカー500は、カルシウムの堆積物に当たると容易に摺動することができなくなる。把持具540は下方に引っ張られ、アンカー500をわずかに低い位置に移動してカルシウムを避けて通るようにすることが可能である。同様に、螺旋状アンカー500は、弁44の真下の、および弁44の平面内の、位置に向かうよりはむしろ、コースを外れ、曲がったコースをとりうる。把持具540は、この問題を防ぐか、または是正するために使用されうる。螺旋状アンカー500を摺動させて顎部542、544の間に入れることによって、アンカー500を所望のコースに向かい続けるようにすることが可能である。把持具540を容易に取り外せることに留意されたい。顎部542、544は開かれ、把持具540は、導入器鞘2から単純に引き出されうる。
【0124】
次に
図33および
図33Aを参照すると、左心房46内でコイルガイドカテーテル560を位置決めするための特徴部が図示されている。膜延長部564を有するコイルガイドカテーテル560は、僧帽弁44の交連部80を通して左心房44内に送り込まれる。延長部564は、コイルガイドカテーテル560のU字形部分570と同じ平面内に置かれ、左心房46の壁46a上に置かれるように僧帽弁輪84の周を超えて移動する。あるいは、延長部564は、コイルガイドカテーテル560のU字形部分570の周りにアーチ形の通路を形成する下方の曲がりを有することができる。この下方への曲がりは、手術者がアンカー572の先端部574が僧帽弁44の下に配置される前に螺旋状アンカー572のコイルを押し出すことを望んでいる場合に、コイルを輪84の上に置く空間を形成する。
図33を参照すると、延長部564は心房壁46aに当接し、手術者がコイルガイドカテーテル560を引き戻すときに完全停止点を形成することによって手術者に触覚フィードバックを与えることがわかる。これは、コイルガイドカテーテル560を左心房46の内側に、弁44の平面に平行な平面内に保つ働きをする。このようにして、延長部564は、コイルガイドカテーテル560の正しい深さ位置決めを補助し、螺旋状アンカー572の送出を弁44の平面とおおよそ平行に続けるのを助ける。この実施形態では、延長部564は、コイルガイドカテーテル560のU字形部分570の長さにわたって延在している。しかし、他の実施形態では、延長部564は、短くても、長くてもよく、そうであっても、延長部564は僧帽弁輪84の周りに完全な円を形成することができる。また、図示されているように連続的突出部を含むのではなくむしろ、延長部564は、類似の機能を実行する多数のより小さい個別の突出部もしくは延長部を備えることが可能である。
【0125】
延長部564は、プラスチック材料または生物由来物質の膜を備えることができる。ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、PTFE、またはePTFEなどの、好適な生体適合物質を使用することも可能である。動物もしくはヒトの心膜または動物腸由来膜などの生物由来物質も使用することが可能である。ワイヤ状構造物576は、形状と完全性とを膜564に与えることができる。ワイヤは、帆状膜564を活性化するように移動可能であるものとすることも可能である。例えば、ワイヤを押すことで、帆状膜564を膜564がコイルガイドカテーテル560の近くに置かれているつぶれた状態の位置から膜564が膨脹し、心房壁46a上のコイルガイドカテーテル560を支持する活性位置まで移動することが可能である。ワイヤ材料は、ステンレス鋼またはニチノールなどの好適な材料から作ることが可能である。
【0126】
次に
図34A〜
図34Gを参照すると、僧帽弁44の交連部80を閉じるデバイス、システム、および方法が図示されている。
図34Aでは、スネアカテーテル580は、すでに説明されているように、左心房46内のコイルガイドカテーテル504の端部から延在する螺旋状アンカー500の端部に取り付けられる。縫合糸582は、結び目584で結ばれ、スネアカテーテル580を螺旋状アンカー500の端部に接続する。他の実施形態では、この接続に結び目を使用する必要はない場合がある。例えば、縫合糸582は、アンカーの先端部内のループを通過することが可能である。または、スネアをアンカーの端部の周りに締め付けることができる。しかし、この実施形態では、結び目584は、螺旋状アンカー500への取り付けを維持し、螺旋状アンカー500の制御を維持するためにスネアカテーテル580が緩められたときに使用されうる。縫合糸582は、手技の終わりに、または手技の実行中の任意の時点において、切断することができる。カテーテルを通る縫合糸を切断するために使用できる説明されているデバイスは多数あった。スネアカテーテル580は、交連部80の近くの僧帽弁44の弁尖38、42の間を通り、コイルガイドカテーテル504は、
図34Bに示されているような対向する交連部80の近くの僧帽弁44の弁尖38、42の間を通る。ここで示されている僧帽弁輪84大きく、それぞれの交連部80で弁尖38、42の間の間隙約4mmから5mmが図示されている。これは、螺旋状アンカー500および弁プロテーゼ120が取り付けられた後に重大な漏れを引き起こす可能性がある。この漏れを防ぐために、手術者は、続いて本明細書で説明されているように僧帽弁プロテーゼ120を埋め込み、その後、布カフ(
図22)を徐々に量を増やしながら追加して弁プロテーゼ120と僧帽弁輪84との間の間隙を塞ぐことができる。しかし、カテーテルベースの埋め込みでは、材料がかさばるため十分な量の布カフを追加することが困難である。代替的一方法は、大きな僧帽弁輪84を収容できる大きさの弁プロテーゼを用意することである。しかし、大きな弁プロテーゼもまた、カテーテルを介して埋め込むことが困難である。大きなサイズの弁プロテーゼとカフ材料を伴うプロテーゼは両方とも、心臓または脈管系内に進入するために大きく切開し、外科的に切り詰める必要のある大型送出システムを要求する。
【0127】
あるいは、僧帽弁弁尖38、42は一緒に閉じるか、または弁尖38、42の間の空間に栓をするか、または塞ぐということも可能である。交連部80の漏れ部を塞ぐためにさまざまなデバイスが利用可能である。Amplatzerのようなデバイスは、ニチノールまたはステンレスなどの金属のコイルからなる。これらは、布カバー、または布を内部に有することで、血栓形成を高め、漏れを減らすことができる。これらの栓デバイスは、心房中隔欠損症、卵円孔開存症、弁周囲逆流など部位を閉じるために使用される。これらは、この状況で使用することも可能である。他のデバイスおよび方法も、交連部80を閉じるために使用することが可能である。綿撒糸を、間隙を閉じるために使用することが可能である。砂時計形状の布構造物は、布の狭い部分が交連部80内に位置決めされ、布の広い部分が弁尖38、42の上および下に配置されるように挿入することができ、この目的のために役立つ一変更形態である。栓材料で螺旋状アンカー500の周りを巻くことが可能である。これは、アンカー500のすぐ外側に置かれている必要はない。アンカー500は、栓材料を保持することが可能であるため、材料が転位する危険性はない。また、アンカー500のコイル上に一体化されるか、載ることが可能な閉塞器デバイス、システムを製作し、方法を提供することも可能である。綿撒糸またはAmplatzerまたは他の閉塞器デバイスをコイルに固着させて、交連部のところで閉じることも可能である。例えば、挿入前に2つの閉塞器をコイルに事前に取り付けることが可能である。一方の閉塞器は、第1の交連部80に送出されるようにすることが可能である。コイル500は、反対側の交連部80に送られ、第2の閉塞器がこの位置に送出されるようにすることが可能である。閉塞器は、ガイドレールのようなコイル500にそって移動することが可能であり、例えば、アンカー500上で送られるカテーテルを使用することによって、螺旋状アンカーの周りに押し込むことが可能である。また、螺旋状アンカー500を挿入し、次いで、後から栓材料を螺旋状アンカー500のトラックまたはレールにそって送出することも可能である。漏れのないことを確認するために、撮像システムを使用することが可能である(例えば、心エコー検査法を用いる)。漏れが出現しなくなるまで、閉塞器を追加してゆくことも可能である。別の実施形態では、交連部80を閉じ、漏れを防ぐために、自立型の閉塞器を使用することも可能である。閉塞器は、螺旋状アンカー500の位置決めを行っている間、またはその後に送出されうることにも留意されたい。
【0128】
アンカーの周りの漏れを防ぐための別のオプションは、螺旋状アンカー500の周りで前弁尖38と後弁尖42とを一緒に近づけることである。
図34Cは、僧帽弁弁尖42を通して配置される弁尖アンカー590を示している。螺旋状アンカー500が、正しい位置にあるときに、スネアカテーテル580は、緩められ、操縦されて、螺旋状アンカー500の外側に、弁尖38、42のうちの一方に出される。蛍光透視法および心エコー検査法または他の技術による撮像で、このステップを補助することができる。補強棒またはカテーテル制御操縦システムは、カテーテルを操作するうえで役立つ可能性がある。スネアカテーテル580、またはそれに関連するカテーテルもしくは内腔も、弁尖アンカー590を送出する。スネアカテーテル580は、例えば、単純なダブルルーメンカテーテルであるか、または弁尖アンカー590を送出するための別のカテーテルを、先端部の近くでスネアカテーテル580に連結することができる。
【0129】
一実施形態では、弁尖アンカー590はT字形であり、Tの長いステムおよび短いステムが挿入時に平行になるように衣類に付けて一般的に使用される布ラベルアンカーのように挿入される。Tアンカー590は、組織を貫通するために使用される1つの尖った端部を有する。尖った端部は、カテーテル592に通して送られ、弁尖42内に押し通される。別の実施形態では、弁尖アンカー590は、円筒形チューブを通して送出され、尖った端部が弁尖組織を貫通することができる。針状の遠位先端カテーテルが、アンカー590を弁尖組織に通して送出するために使用されうる。いかなる場合も、カテーテルは、T字形アンカーが押し出された後に引き出される。これで、T字形アンカーを弁尖42の心房側に残し、アンカーのテール594は弁組織を通りカテーテル592内に移動する。
【0130】
弁尖アンカー590が組織を通過した後、これは最初のT字形に戻る。次いで、弁尖アンカー590は、弁組織と同一の平面で引っ張られる。同じプロセスが、
図34Dに示されているように別のアンカー590で他の弁尖38について繰り返される。次いで、個別のアンカー590が、
図34Gに示されているように縫合糸端部またはテール594を一緒に留めることによってきつく締め上げられる。接続部を強化するために組織縫合糸ロッカー596が使用されうる。ロッカー596は、プラスチックおよび金属材料の1つまたは複数で構成されうる。褶襞形成の完了時に、縫合糸のテール594が切断される。
【0131】
図34Eは、僧帽弁の第2の交連部80の方へ縫合糸接続部602を使用してコイルガイドカテーテル504上で送られる第2のスネアカテーテル600を示している。Tアンカーの褶襞形成プロセスは、前弁尖38および後弁尖42について繰り返される。
図34Fは、両方の交連部80における完了した褶襞形成を示している。
【0132】
あるいは、第2の交連部80で褶襞形成を行えるように、螺旋状アンカー500が使用されうる。螺旋状アンカー500は、前方に押すことによって第2の交連部80に送られうる。螺旋状アンカー500の端部およびアンカー送出システムに対する正しい位置は、ステム504bの配置、および蛍光透視、エコー、MR、およびCTを含みうる撮像方法の使用によって示すことができる。螺旋状アンカー500は、弁尖38、42または輪84に褶襞を形成するためにアンカーまたはシステムの送出を行うこと、および位置決めすることの両方を行う。左に示されている交連部80上で正しい位置に達した後、固定具またはアンカー590は再び望むとおりに前弁尖38、後弁尖42、または輪84を通して配置される。次いで、アンカー590が一緒に係止され、縫合糸のテール594が切断されて、この手技は完了する。交連部の褶襞形成は、これらの特定のアンカー590を用いて実行されなくてもよいことを再度述べておく。多くの説明されているシステムはどれも、本開示で説明されている配向および送出の方法およびデバイスにと併せて使用することができる。
【0133】
別の実施形態では、アンカーを前弁尖38および後弁尖42のそれぞれに送出する単一のアンカーを形成することが可能である。2つのアンカーは縫合糸または弾性材料によって一緒に保持され、弁尖38、42が螺旋状アンカーと輪との間で近づくように送出後にバネで閉じるようにすることが可能である。アンカー同士を連結するこの考えは、T字形アンカーだけに応用されるのではなく、どのようなアンカーにも応用される。
【0134】
螺旋状アンカー500および/またはコイルガイドカテーテル504は、弁尖および/または輪アンカー590の送出のためのガイドとして使用される。スネアカテーテル580、600は、アンカー590を送出するために使用されうる。スネアカテーテルは、輪84の縁の周りで摺動するときに螺旋状アンカー500に相乗りすることができる。手術者は、スネアを緩め、次いで、撮像(蛍光透視法、心エコー検査法、MR、またはCT)を使用して、スネアカテーテル580、600を螺旋状カテーテル500に関して移動することができる。これは、スネアカテーテル580、600を交連部80などの正しい場所の方へ移動する。スネア580、600を緩める量は、アンカー590を配置するのに必要は場所に合わせて調整することができる。例えば、螺旋状アンカー500と交連部との間の間隙が5mmである場合、手術者は、アンカー590を螺旋状アンカー500と交連部80との間の中間あたり--螺旋状アンカー500の外側から約2.5mmmのところまで送出することを決定することができる。この処置は、撮像システムによって見ることができる。アンカー590は、一方の弁尖38または42に送出され、次いで他方の弁尖38または42に送出されるようにすることが可能である。次いで、弁尖38、42を近づけることができる。
【0135】
交連部80のところの間隙が大きいか、または第1のアンカーの対590を埋め込むステップが弁尖38、42の間の間隙を閉じるのに成功しなかった場合に、複数の位置で弁尖38、42に一緒に褶襞形成をすることも役立ちうる。弁尖を閉じるのが、自然に成功しなかった場合、弁尖38、42に向けて輪84に褶襞形成することは、漏れを防ぐのに非常に役立ちうる。これは、アンカー590を交連部80の近くで、または交連部80で輪84内に配置し、それをアンカー590とともに弁尖38、42に接合することによって単純に達成することが可能である。
【0136】
弁尖38、42を近づけるために考案された方法は多数ある。クリップは、Abbott's eValveが先駆者である。アンカーは、必ずしも弁尖組織を貫通しなくてもよい。非貫通アンカーも、すでに説明されている手技において使用することが可能である。イタリア人外科医Ottavio Alfieriが先駆者である切端弁尖修復(edge-to-edge leaflet repair)についてEdwardsがさまざまなアンカーを説明している。Mitralignは、輪内のアンカーの使用について発表している。これらのアンカーまたは好適なアンカーはどれも、交連部を閉じ、弁周囲逆流を防止する仕事をするために使用することが可能である。
【0137】
これらのオプションは、多くのシステムデバイスおよび方法を弁尖および輪組織に近づくために使用できることを示すように説明されている。これらのデバイスおよび方法はどれも、この送出システムと一体化することが可能である。アンカー590は、螺旋状アンカー500上に載せられるか、またはスネア送出カテーテル580、600とともに運ぶことができる。
【0138】
また、弁尖38、42への輪84に褶襞形成することも可能である。アンカー590を、輪84および弁尖38、42内に配置し、交連部80に対して「三角形」の閉鎖部を形成し、漏れを防ぐことが可能である。
【0139】
漏れは、交連部80以外の場所で発生しうる。例えば、割れ目、または弁尖38、42の間の間隙がある場合が多い。これらの割れ目は、漏れの原因となりうる。螺旋状アンカー500は、螺旋状アンカー500の周りに近づくと都合がよい場所にアンカー590をガイドするために使用されうる。
【0140】
また、弁尖38、42の一部が螺旋状アンカー500の内側に完全には位置しないこともありうる。ここに示されている方法、システム、およびデバイスは、漏れを防止し、なくすために使用することができる。例えば、弁尖38、42のセグメントを一緒に折り畳むことによって間隙に褶襞形成することが可能である。綿撒糸材料(ポリエステル、ダクロン、PTFE)または閉塞器デバイス(すでに説明されているような)も使用することが可能である。
【0141】
弁尖、輪、および栓の組み合わせも有用な場合があるこれらはすべて、螺旋状アンカーおよびスネア送出カテーテル580、600と一体化するが可能である。弁尖38、42の下、または弁尖38、42の上で1つの平面において同心コイルを使用し、コイルを僧帽弁44に平行な単一の平面内に置くことも、僧帽弁弁尖38、42を閉じ、弁周囲逆流を防ぐのに役立ちうる。
【0142】
図34Eは、弁44の心室側から導入されるカテーテル592を使用して実行される褶襞形成を示している。心房アプローチからも、弁尖38、42、交連部80、または輪84に褶襞形成することは明確に可能である。
【0143】
アンカー送出は、相対的に真っ直ぐなカテーテル592を使用しても示されている。カテーテル592は、Jなどの他の形状を有することも可能である。J字形は、カテーテルの入口の弁尖38または42の反対側からアンカー590を送出することを可能にする。例えば、J字形先端部を持つカテーテルは、左室心尖から送出され、左心房46内に導かれるようにすることも可能である。アンカー590は、心室10に向かって心房46から弁尖38または42内に送出されうる。
【0144】
スネアカテーテルは、アンカー590を送出しなくてもよい。スネアアンカー送出カテーテルを使用することが可能である。これは、螺旋状アンカー500またはステアカテーテルに取り付けることが可能である。ダブルルーメンカテーテルは、この目的にふさわしいと考えられる。スネア送出カテーテルの一方の内腔が螺旋状アンカーに取り付ける取り付け部を構成することが可能である。他方は、弁尖の褶襞形成を送出するのに役立つ可能性がある。ダブルルーメンカテーテルまたは2カテーテルシステムの2つの内腔の端部間に間隙があるものとしてよい。例えば、内腔間の2.5mmの間隙は、螺旋状アンカーの縁から2.5mmのところにある褶襞を形成するのに役立つ可能性がある。多数の固定された間隙が、状況に応じて利用可能である。例えば、交連部のところの間隙が7mmでありうる場合、間隙が3.5mmのカテーテルを形成することが可能である。あるいは、さまざまな解剖学的状況に対応できるように2つの内腔の端部の間の間隙を調整可能なものとすることも可能である。間隙は、カテーテルの端部の一方の先端部を引っ張ることによって調整することが可能であるか、または完全に操縦可能な先端部を形成することが可能である。操縦システムを使用することで、2つの内腔を固定された距離に保つことが可能になるが、カテーテル全体を手術者側で操縦することが可能である。
【0145】
コイルガイドカテーテル504のステム504bは、交連部80の場所に対する有用なマーカーとすることができる。一方のアンカー612を螺旋状部と交連部80との間のガイドカテーテル504のステム504bの外部に送出することが可能である。他方のアンカー612を端部と交連部80との間のガイドカテーテル504の遠位端のところに送出することができる。
【0146】
次に
図34Hおよび
図34Iを参照すると、心臓14の僧帽弁位置に弁プロテーゼ630を保持するデバイスおよび方法が図示されている。弁プロテーゼ630は、
図34Hで僧帽弁位置に配置されている螺旋状コイル632内に配置する前のものとして図示されている。弁プロテーゼ630は、螺旋状アンカー632の曲がりまたはコイル636に対応するスレッドまたは溝634を特徴とする。弁プロテーゼは、本明細書で説明されているように、望むとおりに他の何らかの方法で形成されうる。
図34Iは、溝634は螺旋状アンカー632と係合している、螺旋状アンカー632によって保持されている弁プロテーゼ630を示している。アンカー632のコイルと弁プロテーゼ630との嵌合は、僧帽弁弁尖38、42の上で極めて正確であるが、弁尖38、42がコイル636とプロテーゼ630との間に固定される場合、この嵌合はそれほど正確でない。したがって、弁尖38、42の下に配置されている溝634は、コイル636に加えて弁尖の組織が適合するようにより大きなものとすることができる。プロテーゼ630内の溝634は、コイル636を正確に反映することが可能である。これは、カテーテル上で送出される弁プロテーゼ630が正確にランディングするか、またはコイル636に関して正確に-上方または下方に-摺動して係止することを最適な形で必要とする。嵌合がスリップせずに成功する可能性を高めるために、人工弁630内の溝634を大きくし、螺旋状アンカー632に関して弁プロテーゼ630の送出の不正確さに対応することが可能である。溝634は、連続するスレッドを形成することが可能であるか、または溝634は間欠的であるものとすることも可能である。例えば、プロテーゼ630と係合している螺旋状アンカー632の1/3は、転位を十分防げる。人工僧帽弁630にそって異なるレベルでセグメントにそって進むコースを辿る溝634のパターンは、同じ効果をもたらすことが可能である。コイル636は、よりランダムに係合し、さらに確実な接続をもたらすことが可能である。
【0147】
人工僧帽弁630内の溝634は、螺旋状アンカー632のコイル636よりかなり広いものとすることが可能である。例えば、螺旋状アンカー632の2つの曲がりが、弁プロテーゼ630内の単一の溝634内に配置することが可能である。これにより、人工弁630と螺旋状アンカー632との間の相互作用をよりランダムなものにし、安全な接続を形成することができる。製造のため、弁プロテーゼ630は、設計で中に組み込まれた溝付き形状を有することが可能であるか、または追加のステントもしくは他の材料を人工弁構造に加え得て溝を形成することが可能である。例えば、ステントまたはつぶすことができるチューブを、拡大したときに、螺旋状アンカー632のコイル636と係合する溝を形成する人工僧帽弁の縁の周りに螺旋状に巻き付けることが可能である。人工弁630のステントは、折り重なって(鱗状に重なって)溝を形成することが可能である。これは、ステントのセグメントを互いの上につぶすことによって達成することが可能である。溝634または鱗状の重なりは、連続する溝または間欠的な溝を含む任意のパターンで配置構成することが可能である。人工弁ステントの外面上の布コーティングは、螺旋状アンカーと係合するように嵌合構造を形成するために使用することが可能である。例えば、溝は、溝を形成するために布カバーを周りに巻き付けて、人工弁の外側に形成することが可能である。凸凹した表面は、多くの場所で螺旋状アンカーと係合するように布のセグメントを施すことによって形成することが可能である。例えば、矩形の布を人工弁ステントの外面に加えて、コイルと係合させることが可能である。
【0148】
別の実施形態では、人工弁ステントは、コイルと係合する場合につぶれることが可能な隆起部を有することが可能である。これらの特徴部はコイルに合わさり、人工弁をコイル632に対して係合させるのに役立つ。あるいは、人工僧帽弁ステントのセグメントは、外向きに移動することが可能である。ニチノールで作られた弁は、螺旋状アンカーの場所に合わさる、ゆっくりと外向きに移動してざらざらした、または凸凹の表面を形成するセグメントを有することができる。あるいは、ニチノールステントはゆっくりと膨脹することができ、膨脹の結果、人工弁をコイルの内側により安全に保持するステントの周りの溝付きパターンを形成する。ニチノールステントは、その縁がコイルの溝に合わさるように設計することができる。
【0149】
螺旋状アンカー632は、人工弁630の上または下に延在し、人工弁630の端部と係合することが可能である。螺旋状アンカー632は、さらに修正することが可能である。完全な円形である代わりに、アンカー632は、人工弁ステント630と係合するように内向きに延在するセグメントを持つ一般的に円形の設計を有することが可能である。内向きに曲がるセグメントは、上方または下方のバイアスを有することも可能である。あるいは、螺旋状アンカー632は、ボールとチェーンの連鎖から作ることが可能であり、ボールは人工弁のステントの表面内で相互作用することができる。円以外の拡大も、使用することが可能である。
【0150】
螺旋状アンカー632または人工弁630の表面、および螺旋状アンカー、ドック、またはプロテーゼなどの、本発明の埋め込まれるコンポーネントのどれかが、摩擦の促進および組織侵入成長などの、さまざまな目的のために外側被覆またはコーティングを備えることができる。例えば、外面は、埋め込まれたコンポーネントのスリップまたは意図しない移動の発生の可能性を小さくするように粗面化されうる。埋め込まれたコンポーネントは、例えば、表面をサンドブラストするか、または表面を化学的にエッチングすることによって粗面化することができる。生体適合物質のスリーブなどのコーティングまたは被覆を追加することも可能である。これらは、シリコーン、ポリエステル、ウレタン、または他の望ましい材料を含むことが可能である。本発明の螺旋状アンカーは、人工弁との係合をしやすくするために布から、またはニチノールもしくはステンレスからすらも形成される他の摩擦促進および/または組織成長侵入表面を有することが可能である。
【0151】
人工弁ステント630は、一方の端部または両端でフレア状に広がることもできる。これは、上または下の転位を防ぐために使用されうる。多くの人工弁がバルーン膨脹し、ステントを膨らませるバルーンは砂時計の形状をとりうるか、または一方の端部のみが弁を膨脹させるようにフレア状に広がりうる。
【0152】
僧帽弁弁尖の弁尖交連部は、加圧されると閉じる。弁尖にかかっている圧力が縁を一緒にする働きをするので、弁修復の後に重大な交連部の漏れはめったにない。これらの螺旋状アンカーの設計は、心室が加圧されたときにそれらがとる位置と同じ位置に弁尖を配置することによって弁交連部の閉鎖を促すように修正することが可能である。前の図の大部分における弁尖の下のコイルは、互いの上に「積み重ね」られている、つまり、それぞれのコイルは、僧帽弁の平面を考慮したときに僧帽弁からコイルが遠ざかるときに異なる平面にある。
【0153】
弁尖38、42の下のコイルは、同心上にあることも可能であり、それと同時に、コイルは、弁尖の下の比較的同じ平面内に置くことが可能である。それぞれの曲がりの径は、コイルがほぼ同じ平面内にすべて置かれている場合にわずかに広いか、または狭いものとすることができる。これは、コイルが僧帽弁44の尖部38、42のすぐ下に置かれることを意味する。輪84または弁尖38、42にスプリング力をかけることによって、弁尖38、42は、心室10が収縮期に加圧されたときにとる閉鎖位置に向かって上方に押し上げられる。スプリング力は、心房壁46aに当接している弁尖38、42の反対側のコイルに由来するものとすることができる。コイルは、製造の際に上方に付勢され(自然僧帽弁弁尖の下側に当接する)、交連部80で弁尖の付加をさらに促すこともできる。交連部80の閉鎖は、僧帽弁弁尖38、42に対して圧縮力を発生し、交連部80を閉じるように配置構成された弁尖38、42の上、および弁尖38、42の下の一連の同心コイルにより最もよく実施されうる。この配置構成において、弁尖38、42の下のコイルのより小さな直径の曲がりは、人工僧帽弁を保持することができる。より大きな曲がり、またはコイルは、交連部を閉鎖することができる。
【0154】
製造に関して、1つの平面内にすべて置かれている3つの同心の曲がりからなる螺旋状アンカーはよく機能しうる。螺旋状アンカーが弁尖の下に2つの曲がり、および心房壁46aに当接する1つの曲がりで挿入される場合、スプリング力は、螺旋状アンカーの曲がりを交連部80の下および上に一緒に引っ張り、交連部80を閉じる傾向を有する。
【0155】
さらに、さらなるコイルを螺旋状アンカーに追加することは単純であり、また手術者がコイルを適所に押すのも単純である。人工僧帽弁44を保持するコイルで上方のスプリング力を加えることによって交連部80を閉じるコイルの組み合わせは、最適な構造を備えることができる。螺旋状アンカーの下のコイルは、弁尖38、42を閉鎖位置に押し上げるコイル(自然弁の平面に比較的平行なコイル)と弁尖38、42を保持するコイル(自然弁平面に対してより垂直である)の一連のコイルからなるものとしてよい。弁尖38、42の上のコイルは、心房側または心房壁それ自体における弁尖38、42に当接することができる。
【0156】
交連部80を閉じるコイルの使用と、「栓」デバイスおよび方法、弁尖38、42と輪84とに近づくシステムおよびデバイスとを組み合わせることができる。例えば、輪84の下に配置されているコイルは、交連部80の領域内のコイル上に位置決めされた栓または閉塞デバイスと組み合わせることも可能である。
【0157】
次に
図34J〜
図34Lを参照すると、本発明による螺旋状アンカー650の代替的実施形態が示されている。上で概要を述べたように、螺旋状アンカー650は、被覆(例えば、布)などの組織成長侵入表面であってもよい被覆650a、またはコーティングもしくはスリーブ、または単純に、表面処理を含む。本明細書で説明されているオプションは、埋め込みプロセスおよび/または埋め込み後手技の質を改善することを目的として使用されうる。
図34Jは、左心房46内の僧帽弁44の上に1つの曲がり652を有する螺旋状アンカー650を示し、これは弁44に近い心房壁46aを圧迫する。2つの曲がり654、656は、弁尖38、42の下に入り、弁尖を上方に押して、前弁尖38および後弁尖42の縁を一緒にして、
図34Kに示されているように交連部80を閉じる。これは、人工僧帽弁が固着された後の弁周囲逆流を防ぐ。螺旋状アンカー650の周上にコイルを追加することで、弁プロテーゼがアンカー650の中心に位置決めされることが確実になされる。これは、弁プロテーゼがアンカーから何らかの形で滑るか、または転位を生じる可能性があるため、弁プロテーゼが患者の自然僧帽弁輪84より実質的に小さいときに特に有利である。僧帽弁位置に挿入する前に、螺旋状アンカー650は、1つの平面内に平坦に置かれうる。したがって、埋め込まれた後、僧帽弁弁尖38、42を上方に一緒に押すアンカー650によってスプリング力がかけられる。別の実施形態では、アンカー650が、僧帽弁位置に挿入される前に、輪84の下に置かれている2つの曲がり654、656が弁尖38、42の上に示されている曲がりまたはコイル652より高い位置に自然に位置決めするように配置構成されるように製作された場合になおいっそう大きなスプリング力が印加されうる。挿入時に、コイル654、656は、心室10内に、また腱索48の周りに螺旋を描くように最初に導かれ、次いで、最終の1巻きのまたは2巻き以上のコイル652が弁44の上側に送出される。下側コイル654、656は、その通常位置(コイル652の上)の方へ移動するので、
図34Jに示されているようにコイル654、656によって上方に圧縮力が印加される。
図34Lは、下側コイル654、656によって僧帽弁弁尖38、42上に加えられる上方力を示す
図34Kの直線34L-34Lにそって取った断面である。輪84の上のアンカーの第2のコイル660の一部が図示されている。
【0158】
付録Aが添付されており、本明細書の一部をなす。付録Aは、本発明の実施形態により製作され、本明細書で説明されているような僧帽弁プロテーゼドッキングに使用される螺旋状アンカーの例を示すプロトタイプ1から8のカタログである。それぞれのプロトタイプの螺旋状アンカーは、それぞれの上面および側面の写真、さらには埋め込み後の前および僧帽弁後弁尖(下方に湾曲する線で表される)に関する螺旋状コイル構成の側断面線図で表されている。
【0159】
螺旋状アンカーを伴う他の実施形態において、本発明による代替的構成が使用されうる。例えば、弁尖38、42の上の螺旋状アンカーのコイルのうちのいくつかは、弁尖38、42と接触し、弁尖38、42の上の螺旋状アンカーのコイルのうちのいくつかは、心房壁46aと接触しうる。コイルの数および接触の順序は、変えることが可能である。例えば、コイルは、弁尖38、42との接触と心房壁46aとの接触との間で交互することもできる。あるいは、弁尖の上の螺旋状アンカーのコイルのうちのいくつかは、弁尖38、42と接触せずに弁プロテーゼを保持し、弁尖38、42の上のコイルのうちのいくつかは、心房壁46aと接触しうる。心房壁46aと接触しているコイルは、僧帽弁44から遠ざかるように上方に、または僧帽弁44に近い心房壁46aと接触するように下方に通ることも可能である。一実施形態では、コイルは、弁プロテーゼを保持するコイルの外側と接触し、二重コイルを形成するように下方に通ることができる。二重コイルの利点として、螺旋状アンカーの構造強度の改善およびコイルの血栓形成または塞栓の危険性の低減が挙げられる。
【0160】
螺旋状アンカーを伴うさらなる実施形態において、アンカーのコイルは、閉塞器デバイスのためのキャリアであってよい。例えば、綿撒糸またはAmplatzerデバイスは、コイル上に通され、漏れが発生する可能性のある位置に移動されるようにすることが可能である。閉塞材料も、コイルの間に位置決めすることが可能である。前および後弁尖38、42を一緒に近づけるためのすでに説明されているデバイス、システム、および方法は、そのような閉塞と併せて使用することができ、それにより漏れ抵抗を改善することができる。
【0161】
他の実施形態では、説明されているようなデバイスおよびシステムは、心房46、心室10、もしくは大動脈18から、または左心房46内に送出される、または大動脈弁22から左心室10内に逆行する、カテーテルからの心臓切開または穿刺アプローチを使用して導入することができる。同様に、システムは、開いている胸部内で心房46内に、または心尖部閉塞器により心尖6を介して経皮的に導入されうる。あるいは、導入は、他の手段を使って、例えば、心臓14内の小切開を通じて行うことができる。
【0162】
それに加えて、説明されているようなデバイスおよびシステムは、大動脈18を介して一部だけまたは完全にアプローチを使用して導入されうる。コイルガイドカテーテルまたは送出カテーテルは、周辺位置(鼠径部、肩領域、または腕/手首)または中央大動脈位置から大動脈弁22に送ることができる。これらの進入アプローチはすべて、大動脈弁22および冠状動脈に接近するために一般的に臨床的に使用される。次いで、コイルガイドカテーテルまたは送出カテーテルは、大動脈弁22を横切って左心室10内に送り込まれうる。次いで、すでに説明されているデバイス、システム、および方法を採用し、左心室10からのアプローチを使用して僧帽弁プロテーゼを埋め込むことができる。本明細書で説明されている補助具(例えば、スネアカテーテル、把持具など)も、大動脈18を経由して導入することができる。螺旋状アンカーまたはステントドック送出の経路(例えば、経中隔、経心室、経大動脈)が、弁プロテーゼ送出の経路(例えば、経中隔、経心室、経大動脈)と併せて使用することができる。
【0163】
一実施形態では、把持具は、縫合糸またはスレッドによって螺旋状アンカーの端部に接続することができる。縫合糸またはスレッドは、縫合糸で一般的に使用されているポリプロピレンなどのプラスチック材料、または縫合糸に編み込まれることの多いポリエステルのような別の合成材料を含みうる。縫合糸は、摺動させて把持具内の開口に通し、アンカーの端部まで導くことによって把持具を螺旋状アンカーの端部につなぐ。手技の終了時に、縫合糸が切断されうる。把持具は、この目的のためにハサミを組み込んでいるか、または別の道具で縫合糸を剪断することができる。別の実施形態では、縫合糸を螺旋状アンカーの端部の上に巻き付け、解放するには強く引くというようにすることも可能である。螺旋状アンカーの端部は、好ましくは拡大されたボール形状を特徴とするが、縫合糸を通す開口を備えることができ、縫合糸は圧接または接着によって保持されうる。手技の後、縫合糸を切断するか、または強く引くことが可能である。把持具で縫合糸を取り外すための有益な操作方法は、ボールの端部に置かれるように縫合糸の上に把持具を摺動させることである。次いで、把持具を回転させて、ボールの内側から縫合糸を強く引き、取り外すことができる。また、把持具と螺旋状アンカーの端部との間の接続または連結が堅くならないようにし、縫合糸の使用を避けることが望ましい場合もある。その代わりに、そのような自在継手などの枢動する継手が望ましい場合もある。
【0164】
コイルガイドカテーテルについて考慮すべきいくつかの重要な寸法がある。第1の寸法は、ガイドの遠位先端部とガイドのステムもしくは直線部との間の距離である。この距離は、コイルガイドカテーテルのステムが一方の交連部に通されるときに、コイルガイドカテーテルの遠位先端部が他方の交連部で静止するように僧帽弁輪の直径または交連部の間の距離にほぼ等しくなるように構成されうる。これは、システムが弁の内側の中心に来るように把持具がステムの反対側の交連部のところで僧帽弁も通過することを意味している。また、これは、僧帽弁弁尖に関してアンカー送出の開始点に対する明確な配向も行う。コイルガイドカテーテルの先端部は、交連部が螺旋状アンカーの始まりを確実に受け入れるように交連部の近くにある。僧帽弁の交連部は、心エコー検査法で比較的識別しやすく、コイルガイドカテーテルのステムおよび把持具は、これにより、僧帽弁の反対側の交連部を通過しているように識別されうる。この解剖学的ランドマークを使用することによって、手術者は、自分が交連部のところの僧帽弁弁尖の下に螺旋状アンカーを押していることを確認することができる。この単純な関係により、アンカーの正しい配置が比較的容易に行える。ステムおよび把持具が、交連部を通過しない場合、コイルガイドカテーテルは、そうするように回転されうる。向きは、交連部のところでなくてもよいことは理解される。弁にそった任意の点が選択されうるが、交連部は、非侵襲的撮像により特に識別が容易である。手術者が、交連部と異なる地点でアンカーを導入することを望んでいる場合、僧帽弁輪に関するステムおよび把持具の位置を弁と比較して、アンカーの入口点を正確に位置決めすることができる。
【0165】
コイルガイドカテーテルに対する別の重要な寸法は、曲線の最も広い点からコイルガイドカテーテルの先端部をコイルガイドカテーテルのステムの遠位端につなぐ直線までの距離である。この寸法は、コイルガイドの湾曲部(概してまたはおおよそ僧帽弁輪の経路を辿る)が心臓の基部上の自然僧帽弁の端部を超えて置かれるように調整されうる。次いで、手術者は、心エコー検査法のガイドで交連部のところの心臓の内側の適所にコイルガイドカテーテルを配置し、次いで、左心房壁と同一平面となるまでコイルガイドカテーテルを引き戻すことができる。これは、手術者に触覚位置決めを知らせ、コイルガイドカテーテルの深さを正確に調整することを可能にする。視覚的に、蛍光透視法または心エコー検査法の例では、停止は、心房壁に当たったときにコイルガイドカテーテルのわずかな移動で認識することができる。自然僧帽弁から遠ざかるときに左心房のわずかに上向きの湾曲があるので、この湾曲部上のコイルガイドカテーテル内の上方の湾曲は、心臓の形状を辿るうえで有益な場合がある。
【0166】
本発明は好ましい実施形態の記述により例示され、またこれらの実施形態はある程度詳細に記述されているが、付属の請求項の範囲をそのような詳細に制限するか、またはどのような形であれ限定することは出願人の意図するものではない。追加の利点および修正点は、当業者に容易にわかるであろう。本発明のさまざまな特徴および概念は、手術者の必要条件と選好に応じて単独で、または組み合わせて使用することができる。これは、現在知られているように本発明を実施する好ましい方法と併せた、本発明の説明であった
。しかし、本発明それ自体は、付属の請求項によってのみ定められるべきである。