(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薄膜蒸着アセンブリーは少なくとも5つ備えられ、前記少なくとも5つの薄膜蒸着アセンブリーの各蒸着源にはそれぞれ、青色発光層材料、補助層材料、緑色発光層材料、補助層材料及び赤色発光層材料が順に備えられることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
前記薄膜蒸着アセンブリーは少なくとも5つ備えられ、前記少なくとも5つの薄膜蒸着アセンブリーの各蒸着源にはそれぞれ、青色発光層材料、補助層材料、赤色発光層材料、補助層材料及び緑色発光層材料が順に備えられることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとは、連結部材により結合されて一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
前記連結部材は、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項9に記載の薄膜蒸着装置。
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを備え、前記2列の蒸着源ノズルは互いに対向する方向にチルトされていることを特徴とする請求項14に記載の薄膜蒸着装置。
前記複数の薄膜蒸着アセンブリーの各蒸着源に備えられた各蒸着物質を順に前記基板上に蒸着することを特徴とする請求項17に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着装置及びこれを利用した有機発光ディスプレイ装置の製造方法について詳細に説明する。
【0048】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリーを概略的に図示した斜視図であり、
図2は、
図1の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側面図であり、
図3は、
図1の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平面図である。
【0049】
図1ないし
図3を参照すれば、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、遮断板アセンブリー130及びパターニングスリットシート150を備える。
【0050】
ここで、
図1ないし
図3には説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、
図1ないし
図3のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0051】
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過させて基板600に所望のパターンに蒸着させるためには、基本的にチャンバ(図示せず)の内部はFMM蒸着方法と同じ高真空状態を維持せねばならない。また、遮断板131及びパターニングスリットシート150の温度が蒸着源の110温度より十分に低くなければならない(約100゜以下)。なぜなら、遮断板131の温度を十分に低くすることで初めて、遮断板131に衝突した蒸着物質115が再び蒸発する現象を防止でき、パターニングスリットシート150の温度を十分に低くすることで初めて、温度によるパターニングスリットシート150の熱膨張問題を最小化できるためである。この時、遮断板アセンブリー130は高温の蒸着源110に向けられており、蒸着源110に近いところは最大167℃ほど温度が上昇するため、必要な場合に部分冷却装置がさらに備えられうる。このために、遮断板アセンブリー130には冷却部材が形成されうる。
【0052】
かかるチャンバ(図示せず)内には被蒸着体である基板600が配される。前記基板600は、平板表示装置用基板になりうるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
【0053】
ここで、本発明の第1実施形態では、基板600が薄膜蒸着アセンブリー100に対して相対的に移動しつつ蒸着が進むことを一特徴とする。
【0054】
詳細には、既存のFMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されねばならない。したがって、基板サイズが増大するほどFMMも大型化せねばならず、したがって、FMM製作が容易ではなく、FMMを引っ張って精密なパターンにアラインすることも容易ではないという問題点があった。
【0055】
かかる問題点を解決するために、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、薄膜蒸着アセンブリー100と基板600とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着アセンブリー100と対向するように配された基板600がY軸方向に沿って移動しつつ、連続的に蒸着を行うようになる。すなわち、基板600が
図1の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われる。ここで、図面には、基板600がチャンバ(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板600は固定されており、薄膜蒸着アセンブリー100自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能であるといえる。
【0056】
したがって、本発明の薄膜蒸着アセンブリー100では、従来のFMMに比べてはるかに小さくパターニングスリットシート150を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリー100の場合、基板600がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート150のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板600の長さよりはるかに小さく形成されうる。このように、従来のFMMに比べてはるかに小さくパターニングスリットシート150を設けることができるため、本発明のパターニングスリットシート150はその製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート150のエッチング作業や、その後の精密引っ張り及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリットシート150がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これはディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0057】
このように、薄膜蒸着アセンブリー100と基板600とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着アセンブリー100と基板600とが所定間隔をおいて離隔することが望ましい。これについては、後述する。
【0058】
一方、チャンバ内で前記基板600と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。前記蒸着源110内に収納されている蒸着物質115が気化することによって基板600に蒸着が行われる。
【0059】
詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が満たされる坩堝111と、坩堝111を加熱させて坩堝111の内部に満たされた蒸着物質115を坩堝111の一側、詳細には、蒸着源ノズル部120側に蒸発させるためのヒータ112と、を備える。
【0060】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110から基板600に向かう側には蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル121は等間隔で形成されうる。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、このような蒸着源ノズル部120を通過して被蒸着体である基板600側に向かう。
【0061】
蒸着源ノズル部120の一側には遮断板アセンブリー130が備えられる。前記遮断板アセンブリー130は、複数の遮断板131と、遮断板131の外側に備えられる遮断板フレーム132とを備える。前記複数の遮断板131は、X軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。ここで、前記複数の遮断板131は等間隔で形成されうる。また、それぞれの遮断板131は、図面において、YZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成される。このように配された複数の遮断板131は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切る役割を行う。すなわち、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、前記遮断板131によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121毎に蒸着空間Sが分離されることを一特徴とする。
【0062】
ここで、それぞれの遮断板131は、互いに隣接している蒸着源ノズル121の間に配されうる。これは、言い換えれば、互いに隣接している遮断板131の間に一つの蒸着源ノズル121が配されるとみてもよい。望ましくは、蒸着源ノズル121は、互いに隣接している遮断板131の間の中央に位置できる。このように、遮断板131が蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切ることによって、一つの蒸着源ノズル121から排出される蒸着物質は、他の蒸着源ノズル121から排出された蒸着物質と混合されず、パターニングスリット151を通過して基板600に蒸着される。言い換えれば、遮断板131は、蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質が分散されずに直進性を維持するように、蒸着物質のZ軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0063】
このように、遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影(shadow)のサイズを大幅に縮めることができ、したがって、薄膜蒸着アセンブリー100と基板600とを所定間隔をおいて離隔させることが可能になる。これについては、後述する。
【0064】
一方、前記複数の遮断板131の外側には遮断板フレーム132がさらに備えられうる。遮断板フレーム132は、複数の遮断板131の上下面にそれぞれ備えられて、複数の遮断板131の位置を支持すると同時に、蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質が分散されないように蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0065】
一方、図面には、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とが所定間隔をおいて離隔しているように図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、蒸着源110から発散される熱が遮断板アセンブリー130に伝導されることを防止するために、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とを所定間隔をおいて離隔させて形成してもよく、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130との間に適切な断熱手段が備えられる場合、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とが結合して接触してもよい。
【0066】
一方、前記遮断板アセンブリー130は、薄膜蒸着アセンブリー100から分離自在に形成されうる。詳細には、従来のFMM蒸着方法は蒸着効率が低いという問題点があった。ここで蒸着効率とは、蒸着源から気化した材料のうち実際に基板に蒸着された材料の比率を意味するものであって、従来のFMM蒸着方法での蒸着効率は約32%ほどである。しかも、従来のFMM蒸着方法では、蒸着に使われていない約68%ほどの有機物が蒸着器内部のあちこちに蒸着されるため、そのリサイクルが容易ではないという問題点があった。
【0067】
このような問題点を解決するために、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100では、遮断板アセンブリー130を利用して蒸着空間を外部空間から分離したので、基板600に蒸着されていない蒸着物質は、ほぼ遮断板アセンブリー130内に蒸着される。したがって、遮断板アセンブリー130を薄膜蒸着アセンブリー100から分離自在に形成して、長時間蒸着後に遮断板アセンブリー130に蒸着物質が多く溜まれば、遮断板アセンブリー130を分離して別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。このような構成を通じて、蒸着物質リサイクル率を高めることによって蒸着効率が向上し、かつコストダウン効果を得ることができる。
【0068】
一方、蒸着源110と基板600との間にはパターニングスリットシート150及びフレーム155がさらに備えられる。フレーム155は窓枠状に形成され、その内側にパターニングスリットシート150が結合される。そして、パターニングスリットシート150にはX軸方向に沿って複数のパターニングスリット151が形成される。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリットシート150を通過して被蒸着体である基板600側に向かう。この時、前記パターニングスリットシート150は、従来のFMM、特に、ストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。
【0069】
一方、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源ノズル121の総数よりパターニングスリット151の総数がさらに多く形成される。また、互いに隣接している2つの遮断板131の間に配された蒸着源ノズル121の数よりパターニングスリット151の数がさらに多く形成される。
【0070】
すなわち、互いに隣接している2つの遮断板131の間には一つの蒸着源ノズル121が配されうる。同時に、互いに隣接している2つの遮断板131の間には複数のパターニングスリット151が配されうる。そして、互いに隣接している2つの遮断板131によって蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間が区切られて、それぞれの蒸着源ノズル121毎に蒸着空間Sが分離される。したがって、一つの蒸着源ノズル121から放射された蒸着物質は、ほぼ同じ蒸着空間Sにあるパターニングスリット151を通過して基板600に蒸着される。
【0071】
一方、前述した遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とは、互いに所定間隔をおいて離隔して形成され、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とは、連結部材135によって互いに連結されうる。詳細には、高温状態の蒸着源110により遮断板アセンブリー130の温度は最大100℃以上上昇するため、上昇した遮断板アセンブリー130の温度がパターニングスリットシート150に伝導されないように、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とを所定間隔をおいて離隔させる。
【0072】
前述したように、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、基板600に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリー100が基板600に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート150は基板600から所定間隔をおいて離隔するように形成される。そして、パターニングスリットシート150と基板600とを離隔させる場合に発生する陰影問題を解決するために、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間に遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮小させる。
【0073】
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影が生じないようにするために基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点があった。また、マスクを基板に対して移動させることができないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化するにつれてマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成し難いという問題点があった。
【0074】
このような問題点を解決するために、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100では、パターニングスリットシート150が被蒸着体である基板600と所定間隔をおいて離隔するように配させる。これは、遮断板131を備えて、基板600に生成される陰影が小さくなることによって実現可能になる。
【0075】
このような本発明によってマスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行えることで、マスク製作が容易になる効果を得ることができる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、基板とマスクとを密着させる工程に要する時間が不要になるため、製造速度が向上する効果を得ることができる。また、遮断板131を備えることによって、基板600に生成される陰影が小さくなり、したがって、パターニングスリットシート150を基板600から離隔させることができる。
【0076】
図4は、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に図示した斜視図である。
【0077】
図4を参照すれば、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着装置は、
図1ないし
図3で説明した薄膜蒸着アセンブリーが複数備えられることを一特徴とする。言い換えれば、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着装置は、青色発光層材料B、緑色補助層材料G’、緑色発光層材料G、赤色補助層材料R’、赤色発光層材料Rが順に蒸着されるマルチ蒸着源を備えることを一特徴とする。
【0078】
詳細には、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着装置は、第1薄膜蒸着アセンブリー100、第2薄膜蒸着アセンブリー200、第3薄膜蒸着アセンブリー300、第4薄膜蒸着アセンブリー400及び第5薄膜蒸着アセンブリー500を備える。このような第1薄膜蒸着アセンブリー100、第2薄膜蒸着アセンブリー200、第3薄膜蒸着アセンブリー300、第4薄膜蒸着アセンブリー400及び第5薄膜蒸着アセンブリー500それぞれの構成は、
図1ないし
図3で説明した薄膜蒸着アセンブリーと同一であるので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0079】
ここで、第1薄膜蒸着アセンブリー100、第2薄膜蒸着アセンブリー200、第3薄膜蒸着アセンブリー300、第4薄膜蒸着アセンブリー400及び第5薄膜蒸着アセンブリー500の蒸着源には、相異なる蒸着物質が備えられうる。
【0080】
例えば、第1薄膜蒸着アセンブリー100には、青色発光層の材料になる蒸着物質Bが備えられ、第2薄膜蒸着アセンブリー200には緑色補助層の材料になる蒸着物質G’が備えられ、第3薄膜蒸着アセンブリー300には緑色発光層の材料になる蒸着物質Gが備えられ、第4薄膜蒸着アセンブリー400には赤色補助層の材料になる蒸着物質R’が備えられ、第5薄膜蒸着アセンブリー500には赤色発光層の材料になる蒸着物質Rが備えられうる。
【0081】
または、図面には図示されていないが、第1薄膜蒸着アセンブリー100には青色発光層の材料になる蒸着物質Bが備えられ、第2薄膜蒸着アセンブリー200には赤色補助層の材料になる蒸着物質R’が備えられ、第3薄膜蒸着アセンブリー300には赤色発光層の材料になる蒸着物質Rが備えられ、第4薄膜蒸着アセンブリー400には緑色補助層の材料になる蒸着物質G’が備えられ、第5薄膜蒸着アセンブリー500には緑色発光層の材料になる蒸着物質Gが備えられうる。
【0082】
このような構成によって、青色発光層(
図5Aの62B参照)と緑色発光層(
図5Aの62G参照)との間に緑色補助層(
図5Aの62G’参照)が配され、緑色発光層(
図5Aの62G参照)と赤色発光層(
図5Aの62R参照)との間に赤色補助層(
図5Aの62R’参照)が配されうる。または、
図5Bに図示されたように、青色発光層と赤色発光層との間に赤色補助層が配され、緑色発光層と赤色発光層との間に緑色補助層が配されうる。すなわち、互いに隣接した発光層の間に中間層が介在されることで、互いに重畳している発光層が直接接触しなくなる。これについては、
図5A及び
図5Bで詳細に説明する。
【0083】
ここで、補助層の材料になる蒸着物質R’、G’と、赤色発光層の材料になる蒸着物質Rと、緑色発光層の材料になる蒸着物質Gと、青色発光層の材料になる蒸着物質Bは、互いに気化する温度が相異なりうるので、前記第1薄膜蒸着アセンブリー100の蒸着源110の温度と、前記第2薄膜蒸着アセンブリー200の蒸着源210の温度と、前記第3薄膜蒸着アセンブリー300の蒸着源310の温度と、前記第4薄膜蒸着アセンブリー400の蒸着源410の温度と、前記第5薄膜蒸着アセンブリー500の蒸着源510の温度とが互いに異なって設定されることもできるといえる。
【0084】
一方、図面には薄膜蒸着アセンブリーが5つ備えられると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、本発明の第1実施形態に関する薄膜蒸着装置は薄膜蒸着アセンブリーを複数備えることができ、前記複数の薄膜蒸着アセンブリーそれぞれに相異なる物質を備えることができる。
【0085】
このように、複数の薄膜蒸着アセンブリーを備えて、複数の薄膜層を一度に形成可能にすることで、製造収率及び蒸着効率が向上する効果を得ることができる。また、製造工程が簡単になってコストダウンの効果を得ることができる。
【0086】
かかる構成の薄膜蒸着装置を利用して、有機発光ディスプレイ装置の発光層を備える有機膜(
図5A及び
図5Bの62参照)を製造できる。ここで、有機発光ディスプレイ装置を製造する方法は、基板600が薄膜蒸着装置に対して所定距離ほど離隔して配する段階、及び薄膜蒸着装置と基板のうちいずれか一方を他方に対して相対的に移動させつつ前記薄膜蒸着装置から放射される蒸着物質を基板に蒸着する段階を含む。
【0087】
これをさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0088】
まず、基板600が薄膜蒸着装置に対して所定距離ほど離隔して配される。前述したように、本発明の薄膜蒸着装置は、基板600より小さく形成されて製造の容易なパターニングスリットシート150を備えるために、薄膜蒸着装置と基板600とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着装置と対向するように配された基板600がY軸方向に沿って移動しつつ、連続的に蒸着が行われる。すなわち、基板600が
図4の矢印B方向に移動しつつ、スキャニング方式で蒸着が行われる。そして、薄膜蒸着装置と基板600とが互いに相対的に移動するためには、薄膜蒸着装置と基板600とが所定間隔をおいて離隔せねばならない。したがって、基板600は、チャンバ(図示せず)内で薄膜蒸着装置と所定距離ほど離隔して配される。
【0089】
次いで、薄膜蒸着装置と基板600のうちいずれか一方が他方に対して相対的に移動しつつ、薄膜蒸着装置から放射される蒸着物質が基板に蒸着される。前述したように、本発明の薄膜蒸着装置は、基板600より小さく形成されて製造の容易なパターニングスリットシート150を備えるために、薄膜蒸着装置と基板600とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われる。
図1などには、薄膜蒸着装置が固定されている状態で基板600が図面のY軸方向に移動すると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板が固定されている状態で薄膜蒸着装置が全体的に移動することも可能であるといえる。
【0090】
ここで、本発明の第1実施形態に関する有機発光ディスプレイ装置の製造方法は、青色発光層材料B、緑色補助層材料G’、緑色発光層材料G、赤色補助層材料R’、赤色発光層材料Rが順に蒸着されるマルチ蒸着源で、複数の有機層が一度に蒸着されることを一特徴とする。すなわち、薄膜蒸着アセンブリーを複数備えることによって、一つのマルチソースで青色発光層(
図5A及び
図5Bの62B参照)、緑色補助層(
図5A及び
図5Bの62G’参照)、緑色発光層(
図5A及び
図5Bの62G参照)、赤色補助層(
図5A及び
図5Bの62R’参照)、赤色発光層(
図5A及び
図5Bの62R参照)を一度に蒸着できるようになり、したがって、有機発光ディスプレイ装置の生産時間が画期的に短縮すると同時に、備えられねばならないチャンバ数が減少することによって、設備コストも顕著に低減する効果を得ることができる。
【0091】
このような薄膜蒸着装置を利用して後述する有機発光ディスプレイ装置の有機膜62などが形成され、これ以外にも、前記薄膜蒸着装置は有機TFTの有機膜または無機膜などの蒸着にも使用でき、その他に多様な素材の成膜工程に適用できる。
【0092】
以下では、
図4の薄膜蒸着装置により製造された有機発光ディスプレイ装置について詳細に説明する。
【0093】
図5A及び
図5Bは、
図4の薄膜蒸着装置により製造された有機発光ディスプレイ装置のうち、一画素を図示した断面図である。
【0094】
図5A及び
図5Bに図示されたように、ガラス材またはプラスチック材の基板50上にバッファ層51が形成されており、この上に薄膜トランジスタTFTと、有機電界発光素子OLEDとが形成される。
【0095】
基板50上のバッファ層51上に所定パターンの活性層52が備えられる。活性層52の上部にはゲート絶縁膜53が備えられ、ゲート絶縁膜53の上部の所定領域にはゲート電極54が形成される。ゲート電極54は、薄膜トランジスタのオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されている。ゲート電極54の上部には層間絶縁膜55が形成され、コンタクトホールを通じてソース/ドレイン電極56、57がそれぞれ活性層52のソース/ドレイン領域52b、52cに接するように形成される。ソース/ドレイン電極56、57の上部には、SiO
2、SiNxなどからなるパッシベーション膜58が形成され、パッシベーション膜58の上部にはアクリル、ポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)などの有機物質で平坦化膜59が形成されている。平坦化膜59の上部に有機電界発光素子OLEDのアノード電極になる第1電極61が形成され、これを覆うように有機物で画素定義膜(Pixel Define Layer)60が形成される。画素定義膜60に所定の開口を形成した後、画素定義膜60の上部及び開口が形成されて、外部に露出された第1電極61の上部に有機層62を形成する。有機層62は、発光層を含むものになる。本発明は必ずしもこのような構造に限定されるものではなく、多様な有機発光ディスプレイ装置の構造がそのまま適用できるということはいうまでもない。
【0096】
有機電界発光素子OLEDは、電流のフローによって赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、薄膜トランジスタのドレイン電極56に連結されて、これからプラス電源を供給される第1電極61と、全体画素を覆うように備えられてマイナス電源を供給する第2電極63、及びこれら第1電極61と第2電極63との間に配されて発光する有機層62とで構成される。
【0097】
第1電極61と第2電極63とは有機層62により互いに絶縁されており、有機層62に逆極性の電圧を加えて有機層62で発光を行わせる。
【0098】
有機層62は低分子または高分子有機膜が使われうるが、低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリノラト−アルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は真空蒸着の方法で形成される。
【0099】
高分子有機膜の場合には、通常、ホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)で構成された構造を持つことができ、この時、ホール輸送層としてPEDOTを使用し、発光層としてPPV(Poly−Phenylenevinylene)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法などで形成できる。
【0100】
このような有機膜は必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な実施形態が適用できるということはいうまでもない。
【0101】
第1電極61はアノード電極の機能を行い、第2電極63はカソード電極の機能を行うが、もちろん、これら第1電極61と第2電極63との極性は逆になってもよい。
【0102】
第1電極61は、透明電極または反射型電極として備えられうるが、透明電極として使われる時には、ITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3で備えられ、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3を形成できる。
【0103】
一方、第2電極63も透明電極または反射型電極として備えられうるが、透明電極として使われる時には、第2電極63がカソード電極として使われるので、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物が有機層62の方向に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3などの透明電極形成用物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われる時には、前記Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を全面蒸着して形成する。
【0104】
このような有機発光ディスプレイ装置で、発光層を備える有機層62などは、詳述する薄膜蒸着装置(
図1の100参照)によって形成されうる。
【0105】
詳細には、有機層62は発光層62R、62G、62Bと補助層62R’、62G’とを備えることができる。使われた物質によって、前記発光層62R、62G、62Bは、赤色、緑色または青色の光を放出できる。一方、補助層62R’、62G’は、前述したホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)と同じ材質で形成され、補助層62R’、62G’を備える中間層の厚さが、赤色、緑色及び青色の光を放出する副画素で相異なる厚さを持つように形成される。これをさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0106】
前記第1電極61と第2電極63のうち、いずれか一方は反射型電極であり、他方は半透明電極または透明電極である。したがって、素子駆動時に前記第1電極61と第2電極63との間に共振現象が起きる。これにより、有機発光ディスプレイ装置の駆動時、前記第1電極61と第2電極63との間の発光層62R、62G、62Bで発生した光が、前記第1電極61と第2電極63との間で共振しつつ有機発光ディスプレイ装置の外部に取出されるので、発光輝度及び発光効率が増大しうる。このような共振構造を形成するために、本発明の第1実施形態による有機発光ディスプレイ装置は、補助層62R’、62G’を備える中間層の厚さが、赤色、緑色及び青色の光を放出する副画素で相異なる厚さを持つように形成されうる。すなわち、第1電極61と第2電極63との間に備えられた有機層のうち、補助層62R’、62G’が発光層の発光カラー毎に最適化された厚さを持つことによって、優れた駆動電圧、電流密度、発光輝度、色純度、発光効率及び寿命特性などを持つことができる。
【0107】
ところが、従来の有機発光ディスプレイ装置では、このような第1電極61の上部に補助層62R’、62G’がまず形成された後、その上に赤色発光層62R、緑色発光層62G、青色発光層62Bが順に形成されることが一般的であった。ところが、本発明のように基板とパターニングスリットシートとが離隔している場合、基板に少なからず陰影が発生しうるという問題点があった。このように陰影が発生して隣接する発光層が互いに混合される場合、発光効率が低下し、駆動電圧が上昇するなどの問題点が発生した。
【0108】
すなわち、下記の表1から分かるように、重畳領域のない標準状態での青色発光層62Bの外部量子効率が6.29%であるのに対し、青色発光層62Bに赤色発光層62Rまたは緑色発光層Gがわずか1%のみ重畳する場合であっても、外部量子効率はそれぞれ1.53%、2.76%に急激に減少することが分かる。
【0109】
【表1】
【0110】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置は、一画素内でサブピクセルが青色(B)、緑色(G)、赤色(R)順に配され、青色発光層62Bの一端部上に緑色補助層62G’及び緑色発光層62Gの一端部がオーバーラップされ、緑色発光層62Gの他端部上に赤色補助層62R’及び赤色発光層62Rの一端部がオーバーラップされるように形成されることを一特徴とする。
【0111】
前述したように、第1薄膜蒸着アセンブリー(
図4の100参照)には青色発光層62Bの材料になる蒸着物質が備えられ、第2薄膜蒸着アセンブリー(
図4の200参照)には緑色補助層62G’の材料になる蒸着物質が備えられ、第3薄膜蒸着アセンブリー(
図4の300参照)には緑色発光層62Gの材料になる蒸着物質が備えられ、第4薄膜蒸着アセンブリー(
図4の400参照)には赤色補助層62R’の材料になる蒸着物質が備えられ、第5薄膜蒸着アセンブリー(
図4の500参照)には赤色発光層62Rの材料になる蒸着物質が備えられうる。
【0112】
この場合、最初に青色発光層62Bが蒸着され、次いで、緑色補助層62G’が蒸着される。この時、青色発光層62Bの右側端部と、緑色補助層62G’の左側端部とがある程度重なりつつ、青色発光層62Bの右側端部上に緑色補助層62G’の左側端部が蒸着される。次いで、緑色補助層62G’の上部に緑色発光層62Gが蒸着される。すなわち、青色発光層62Bと緑色発光層62Gとの間に緑色補助層62G’が介在されることで、互いに隣接した青色発光層62Bと緑色発光層62Gとが直接接触しなくなる。
【0113】
次いで、赤色補助層62R’が蒸着される。この時、緑色発光層62Gの右側端部と、赤色補助層62R’の左側端部とがある程度重なりつつ、緑色発光層62Gの右側端部上に赤色補助層62R’の左側端部が蒸着される。次いで、赤色補助層62R’の上部に赤色発光層62Rが蒸着される。すなわち、緑色発光層62Gと赤色発光層62Rとの間に赤色補助層62R’が介在されることで、互いに隣接した緑色発光層Gと赤色発光層Rとが直接接触しなくなる。
【0114】
すなわち、下記の表2から分かるように、重畳領域のない標準状態での青色発光層62Bの外部量子効率が6.29%であり、赤色補助層R’と赤色発光層62Rとが1%重畳する場合の外部量子効率は5.78%であり、緑色補助層G’と緑色発光層62Gとが1%重畳する場合の外部量子効率は5.42%であり、互いに隣接した発光層の間に中間層が介在されていない表1と比較して発光層の発光効率が大きく向上し、混色現象が消え、色座標改善効果が生じることが分かる。
【0115】
【表2】
【0116】
一方、図面には図示されていないが、第1薄膜蒸着アセンブリーには青色発光層の材料になる蒸着物質が備えられ、第2薄膜蒸着アセンブリーには赤色補助層の材料になる蒸着物質が備えられ、第3薄膜蒸着アセンブリーには赤色発光層の材料になる蒸着物質が備えられ、第4薄膜蒸着アセンブリーには緑色補助層の材料になる蒸着物質が備えられ、第5薄膜蒸着アセンブリーには緑色発光層の材料になる蒸着物質が備えられうる。
【0117】
この場合、最初に青色発光層が蒸着され、次いで、赤色補助層が蒸着される。この時、青色発光層の右側端部と、赤色補助層の左側端部とがある程度重畳しつつ、青色発光層の右側端部上に赤色補助層の左側端部が蒸着される。次いで、赤色補助層の上部に赤色発光層が蒸着される。すなわち、青色発光層と赤色発光層との間に赤色補助層が介在されることで、互いに隣接した青色発光層と赤色発光層とが直接接触しなくなる。
【0118】
次いで、緑色補助層が蒸着される。この時、赤色発光層の右側端部と、緑色補助層の左側端部とがある程度重畳しつつ、赤色発光層の右側端部上に緑色補助層の左側端部が蒸着される。次いで、緑色補助層の上部に緑色発光層が蒸着される。すなわち、赤色発光層と緑色発光層との間に緑色補助層が介在されることで、互いに隣接した赤色発光層と緑色発光層とが直接接触しなくなる。
【0119】
かかる本発明によって、隣接発光層との重畳領域の発生による効率低下及び混色影響が最小化する効果を得ることができる。
【0120】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリーを概略的に図示した斜視図である。
【0121】
図6を参照すれば、本発明の第2実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー700は、蒸着源710、蒸着源ノズル部720、第1遮断板アセンブリー730、第2遮断板アセンブリー740、パターニングスリットシート750及び基板600を備える。
【0122】
ここで、
図6には説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、
図6のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0123】
このようなチャンバ(図示せず)内には被蒸着体である基板600が配される。そして、チャンバ(図示せず)内で基板600と対向する側には、蒸着物質715が収納及び加熱される蒸着源710が配される。蒸着源710は、坩堝711と、ヒータ712とを備える。
【0124】
蒸着源710の一側、詳細には、蒸着源710から基板600に向かう側には蒸着源ノズル部720が配される。そして、蒸着源ノズル部720には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル721が形成される。
【0125】
蒸着源ノズル部720の一側には第1遮断板アセンブリー730が備えられる。前記第1遮断板アセンブリー730は、複数の第1遮断板731と、第1遮断板731の外側に備えられる第1遮断板フレーム732とを備える。
【0126】
第1遮断板アセンブリー730の一側には第2遮断板アセンブリー740が備えられる。前記第2遮断板アセンブリー740は、複数の第2遮断板741と、第2遮断板741の外側に備えられる第2遮断板フレーム742とを備える。
【0127】
そして、蒸着源710と基板600との間には、パターニングスリットシート750及びフレーム755がさらに備えられる。フレーム755は窓枠のような格子状に形成され、その内側にパターニングスリットシート750が結合される。そして、パターニングスリットシート750には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット751が形成される。
【0128】
ここで、本発明の第2実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー700は、遮断板アセンブリーが第1遮断板アセンブリー730と第2遮断板アセンブリー740とに分離されていることを一特徴とする。
【0129】
詳細には、前記複数の第1遮断板731はX軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第1遮断板731は等間隔で形成されうる。また、それぞれの第1遮断板731は、図面からみてYZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成される。
【0130】
また、前記複数の第2遮断板741は、X軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第2遮断板741は等間隔で形成されうる。また、それぞれの第2遮断板741は、図面からみた時にYZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成される。
【0131】
このように配された複数の第1遮断板731及び第2遮断板741は、蒸着源ノズル部720とパターニングスリットシート750との間の空間を区切る役割を行う。ここで、本発明の第2実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー700は、前記第1遮断板731及び第2遮断板741によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル721毎に蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0132】
ここで、それぞれの第2遮断板741は、それぞれの第1遮断板731と一対一対応するように配されうる。言い換えれば、それぞれの第2遮断板741は、それぞれの第1遮断板731とアラインされて互いに平行に配されうる。すなわち、互いに対応する第1遮断板731と第2遮断板741とは互いに同じ平面上に位置する。このように、互いに平行に配された第1遮断板731と第2遮断板741とによって、蒸着源ノズル部720と後述するパターニングスリットシート750との間の空間が区切られることによって、一つの蒸着源ノズル721から排出される蒸着物質は、他の蒸着源ノズル721から排出された蒸着物質と混合されず、パターニングスリット751を通過して基板600に蒸着される。言い換えれば、第1遮断板731及び第2遮断板741は、蒸着源ノズル721を通じて排出される蒸着物質が分散されないように蒸着物質のZ軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0133】
図面には、第1遮断板731のX軸方向の幅と第2遮断板741のX軸方向の幅とが同一であるように図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、パターニングスリットシート750との精密なアラインが求められる第2遮断板741は相対的に薄く形成される一方、精密なアラインが求められない第1遮断板731は相対的に厚く形成されて、その製造を容易にすることも可能であるといえる。
【0134】
一方、図面には図示されていないが、本発明の第2実施形態に関する薄膜蒸着装置には薄膜蒸着アセンブリーが複数備えられうる。すなわち、本発明の第2実施形態に関する薄膜蒸着装置は、青色発光層材料B、緑色補助層材料G’、緑色発光層材料G、赤色補助層材料R’、赤色発光層材料Rが順に蒸着されるマルチ蒸着源を備えることもできる。そして、基板600は、
図6の矢印C方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われる。このような複数の薄膜蒸着アセンブリーについては第1実施形態で詳細に記述したので、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0135】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリーを概略的に図示した斜視図であり、
図8は、
図7の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側面図であり、
図9は、
図7の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平面図である。
【0136】
図7、
図8及び
図9を参照すれば、本発明の第3実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー1100は、蒸着源1110、蒸着源ノズル部1120及びパターニングスリットシート1150を備える。
【0137】
ここで、
図7、
図8及び
図9には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、
図7ないし
図9のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0138】
かかるチャンバ(図示せず)内には被蒸着体である基板600が配される。そして、チャンバ(図示せず)内で基板600と対向する側には、蒸着物質1115が収納及び加熱される蒸着源1110が配される。蒸着源1110は、坩堝1111と、ヒータ1112とを備える。
【0139】
蒸着源1110の一側、詳細には、蒸着源1110から基板600に向かう側には蒸着源ノズル部1120が配される。そして、蒸着源ノズル部1120には、Y軸方向、すなわち、基板600のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル1121が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル1121は等間隔で形成できる。蒸着源1110内で気化した蒸着物質1115は、このような蒸着源ノズル部1120を通過して被蒸着体である基板600側に向かうようになる。このように、蒸着源ノズル部1120上にY軸方向、すなわち、基板600のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル1121が形成される場合、パターニングスリットシート1150のそれぞれのパターニングスリット1151を通過する蒸着物質により形成されるパターンのサイズは、蒸着源ノズル1121一つのサイズのみに影響を受けるので(すなわち、X軸方向には蒸着源ノズル1121が一つのみ存在するので)、陰影が発生しなくなる。また、複数の蒸着源ノズル1121がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間のフラックス差が発生しても、その差が相殺されて蒸着均一度が一定に維持される効果を得ることができる。
【0140】
一方、蒸着源1110と基板600との間には、パターニングスリットシート1150及びフレーム1155がさらに備えられる。フレーム1155は、窓枠状に形成され、その内側にパターニングスリットシート1150が結合される。そして、パターニングスリットシート1150には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット1151が形成される。蒸着源1110内で気化した蒸着物質1115は、蒸着源ノズル部1120及びパターニングスリットシート1150を通過して被蒸着体である基板600側に向かうようになる。この時、前記パターニングスリットシート1150は、従来のFMM、特に、ストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。
【0141】
一方、前述した蒸着源1110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部1120)とパターニングスリットシート1150とは互いに所定間隔をおいて離隔するように形成され、蒸着源1110(及びこれと結合された蒸着源ノズル部1120)とパターニングスリットシート1150とは、連結部材1135によって互いに連結されうる。すなわち、蒸着源1110、蒸着源ノズル部1120及びパターニングスリットシート1150が連結部材1135により連結されて互いに一体に形成されうる。ここで、連結部材1135は、蒸着源ノズル1121を通じて排出される蒸着物質が分散されないように蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、連結部材1135が蒸着源1110、蒸着源ノズル部1120及びパターニングスリットシート1150の左右方向のみに形成されて、蒸着物質のX軸方向のみをガイドすると図示されているが、これは、図示の便宜のためのものであって、本発明の思想はこれに制限されず、連結部材1135がボックス形態の密閉型に形成されて蒸着物質のX軸方向及びY軸方向移動を同時にガイドしてもよい。
【0142】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー1100は、基板600に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリー1100が基板600に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート1150は基板600から所定間隔をおいて離隔するように形成される。
【0143】
このような本発明によってマスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行えることで、マスク製作が容易になる効果を得ることができる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、基板とマスクとを密着させる工程に要する時間が不要になるため、製造速度が向上する効果を得ることができる。
【0144】
一方、図面には図示されていないが、本発明の第3実施形態に関する薄膜蒸着装置には薄膜蒸着アセンブリーが複数備えられうる。すなわち、本発明の第3実施形態に関する薄膜蒸着装置は、青色発光層材料B、緑色補助層材料G’、緑色発光層材料G、赤色補助層材料R’、赤色発光層材料Rが順に蒸着されるマルチ蒸着源を備えてもよい。そして、基板600は、
図7の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われる。このような複数の薄膜蒸着アセンブリーについては第1実施形態で詳細に記述したので、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0145】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態による薄膜蒸着アセンブリーを示す図面である。図面を参照すれば、本発明の第4実施形態による薄膜蒸着アセンブリーは、蒸着源1210、蒸着源ノズル部1220及びパターニングスリットシート1250を備える。ここで、蒸着源1210は、その内部に蒸着物質1215が満たされる坩堝1211と、坩堝1211を加熱させて坩堝1211の内部に満たされた蒸着物質1215を蒸着源ノズル部1220側に蒸発させるためのヒータ1212とを備える。一方、蒸着源1210の一側には蒸着源ノズル部1220が配され、蒸着源ノズル部1220にはY軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル1221が形成される。一方、蒸着源1210と基板600との間にはパターニングスリットシート1250及びフレーム1255がさらに備えられ、パターニングスリットシート1250にはX軸方向に沿って複数のパターニングスリット1251が形成される。そして、蒸着源1210及び蒸着源ノズル部1220とパターニングスリットシート1250とは、連結部材1235によって結合される。
【0146】
本実施形態では、蒸着源ノズル部1220に形成された複数の蒸着源ノズル1221が所定角度チルトされて配されるという点で、前述した実施形態と区別される。詳細には、蒸着源ノズル1221は、2列の蒸着源ノズル1221a、1221bで形成され、前記2列の蒸着源ノズル1221a、1221bは互いに交互に配される。この時、蒸着源ノズル1221a、1221bは、XZ平面上で所定角度チルトされて形成されうる。
【0147】
ここで、第1列の蒸着源ノズル1221aは、第2列の蒸着源ノズル1221bに対向するようにチルトされ、第2列の蒸着源ノズル1221bは、第1列の蒸着源ノズル1221aに対向するようにチルトされうる。言い換えれば、左側列に配された蒸着源ノズル1221aは、パターニングスリットシート1250の右側端部に向かうように配され、右側列に配された蒸着源ノズル1221bは、パターニングスリットシート1250の左側端部に向かうように配されうる。
【0148】
図11は、本発明による薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせていない場合における、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面であり、
図12は、本発明による薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせた場合における、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
図11と
図12とを比較すれば、蒸着源ノズルをチルトさせた時に基板の両端部に成膜される蒸着膜の厚さが相対的に増大して、蒸着膜の均一度が上昇するということが分かる。
【0149】
このような構成によって、基板の中央と終端部分での成膜厚さ差が低減して、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が向上する効果を得ることができる。
【0150】
以下、
図4に示した複数の薄膜蒸着アセンブリーを備える薄膜蒸着装置の全体的なシステム構成について詳細に説明する。
【0151】
図13は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成図であり、
図14は、
図13の変形例を図示したものである。
図15は、静電チャック800の一例を示す概略面である。
【0152】
図13を参照すれば、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、ローディング部910、蒸着部930、アンローディング部920、第1循環部810及び第2循環部820を備える。
【0153】
ローディング部910は、第1ラック912と、導入ロボット914と、導入室916と、第1反転室918とを備えることができる。
【0154】
第1ラック912には蒸着が行われる前の基板600が多く積載されており、導入ロボット914は、前記第1ラック912から基板600を捉えて第2循環部820から移送されてきた静電チャック800に基板600を載置した後、基板600が付着された静電チャック800を導入室916に移す。
【0155】
導入室916に隣接して第1反転室918が備えられ、第1反転室918に位置した第1反転ロボット919が静電チャック800を反転させて、静電チャック800を蒸着部930の第1循環部810に装着する。
【0156】
静電チャック800は、
図15から分かるように、セラミックからなる本体801の内部に電圧が印加される電極802が埋め立てられたものであって、この電極802に高電圧が印加されることによって本体801の表面に基板600を付着させることである。
【0157】
図13からみれば、導入ロボット914は、静電チャック800の上面に基板600を載せ、この状態で静電チャック800は導入室916に移送され、第1反転ロボット919が静電チャック800を反転させることによって、蒸着部930では基板600が下方を向くように位置する。
【0158】
アンローディング部920の構成は、前述したローディング部910の構成と逆に構成される。すなわち、蒸着部930を経た基板600及び静電チャック800を、第2反転室928で第2反転ロボット929が反転させて搬出室926に移送し、搬出ロボット924が搬出室926から基板600及び静電チャック800を取り出した後、基板600を静電チャック800から分離して第2ラック922に積載する。基板600と分離された静電チャック800は、第2循環部820を通じてローディング部910に回送される。
【0159】
しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、基板600が静電チャック800に最初に固定される時から静電チャック800の下面に基板600を固定させて、そのまま蒸着部930に移送させてもよい。この場合、例えば、第1反転室918及び第1反転ロボット919と第2反転室928及び第2反転ロボット929は必要なくなる。
【0160】
蒸着部930は少なくとも一つの蒸着用チャンバを備える。
図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記蒸着部930は第1チャンバ931を備え、この第1チャンバ931内に複数の薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400が配される。
図13に図示された本発明の望ましい一実施形態によれば、前記第1チャンバ931内に第1薄膜蒸着アセンブリー100、第2薄膜蒸着アセンブリー200、第3薄膜蒸着アセンブリー300及び第4薄膜蒸着アセンブリー400の4つの薄膜蒸着アセンブリーが設けられているが、その数は蒸着物質及び蒸着条件によって可変できる。前記第1チャンバ931は、蒸着が進む間は真空に維持される。
【0161】
また、
図14による本発明の他の一実施形態によれば、前記蒸着部930は互いに連係した第1チャンバ931及び第2チャンバ932を備え、第1チャンバ931には第1、2薄膜蒸着アセンブリー100、200が、第2チャンバ932には第3、4薄膜蒸着アセンブリー300、400が配されうる。この時、チャンバの数が追加されうるということは言うまでもない。
【0162】
一方、
図13による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板600が固定された静電チャック800は、第1循環部810により少なくとも蒸着部930に、望ましくは、前記ローディング部910、蒸着部930及びアンローディング部920に順次移動し、前記アンローディング部920で基板600と分離された静電チャック800は、第2循環部820により前記ローディング部910に戻される。
【0163】
前記第1循環部810は、前記蒸着部930を通過する時に前記第1チャンバ931を貫通するように備えられ、前記第2循環部820は、静電チャックが移送されるように備えられる。
【0164】
本発明は、図面に図示された実施形態を参考までに説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならばこれより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲の技術的思想によって定められねばならない。