(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貼り合わせ空間において上側ワークを上側保持部材に保持するとともに下側ワークを下側保持部材に保持し、前記上側保持部材と前記下側保持部材の相対的な接近移動により、前記上側ワークと前記下側ワークを減圧雰囲気で貼り合わせる貼合デバイスの製造装置であって、
前記貼り合わせ空間に配置されて前記上側ワークが着脱自在に保持される上側チャック面を有する前記上側保持部材と、
前記貼り合わせ空間に配置されて前記下側ワークが着脱自在に保持される平滑な下側チャック面を有する前記下側保持部材と、
前記上側保持部材又は前記下側保持部材のいずれか一方か若しくは両方を相対的に接近移動させて前記上側ワーク及び前記下側ワークを重ね合わせる昇降駆動部と、
前記貼り合わせ空間を減圧させる減圧用駆動部と、
前記上側チャック面,前記下側チャック面,前記昇降駆動部及び前記減圧用駆動部をそれぞれ作動制御する制御部と、を備え、
前記上側保持部材は、前記上側ワークが移動不能に保持される保持部を有し、
前記下側保持部材は、前記下側ワークとの間にそれぞれ逆向きの離隔圧力及び接近圧力を発生させる手段が具備される浮揚部と、前記離隔圧力及び前記接近圧力を調整する手段が具備される接触保持部と、を有し、
前記制御部は、前記下側ワークを前記下側保持部材に対し、前記浮揚部の前記離隔圧力及び前記接近圧力をバランスさせて、前記下側ワークが前記下側チャック面から浮くように非接触で支持され、前記減圧用駆動部により前記貼り合わせ空間が減圧完了する前の時点で、前記浮揚部から前記接触保持部に切り換え、前記離隔圧力よりも前記接近圧力を徐々に増大させて、前記下側チャック面に前記下側ワークが接触保持され、前記昇降駆動部により前記上側保持部材又は前記下側保持部材のいずれか一方か若しくは両方を相対的に接近移動させて、前記減圧用駆動部による前記貼り合わせ空間の減圧が完了してから、前記上側チャック面に前記保持部で保持された前記上側ワークと前記下側ワークとが重なり合うように制御することを特徴とする貼合デバイスの製造装置。
貼り合わせ空間において上側ワークを上側保持部材に保持するとともに下側ワークを下側保持部材に保持し、前記上側保持部材と前記下側保持部材の相対的な接近移動により、前記上側ワークと前記下側ワークを減圧雰囲気で貼り合わせる貼合デバイスの製造方法であって、
前記上側保持部材の上側チャック面に前記上側ワークを保持させ、前記下側保持部材の平滑な下側チャック面に前記下側ワークを保持させる保持工程と、
前記上側保持部材又は前記下側保持部材のいずれか一方か若しくは両方の相対的な接近移動により前記上側ワーク及び前記下側ワークを重ね合わせる合着工程と、を含み、
前記保持工程は、前記下側ワークを前記下側保持部材に対し、浮揚部により前記下側ワークとの間にそれぞれ逆向きに発生した離隔圧力及び接近圧力がバランスされて、前記下側ワークを前記下側チャック面から浮くように非接触で支持し、これに続き減圧用駆動部により前記貼り合わせ空間が減圧完了する前に、接触保持部により前記接近圧力が前記離隔圧力よりも徐々に増大されて、前記下側ワークを前記下側チャック面に接触して移動不能に保持し、
前記合着工程は、前記減圧用駆動部による前記貼り合わせ空間の減圧が完了してから前記上側ワークと前記下側ワークとを重ね合わせることを特徴とする貼合デバイスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る貼合デバイスWの製造装置A及び製造方法は、
図1〜
図7に示すように、貼り合わせ空間S1に上側保持部材1と下側保持部材2が対向して配置され、上側保持部材1に上側ワークW1を保持し、下側保持部材2に下側ワークW2を保持する。その後、上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方か若しくは両方を相対的に移動させることにより、上側ワークW1及び下側ワークW2が相対的に位置合わせされるとともに、減圧雰囲気で両者を重ね合わせてから所定のギャップで貼り合わせ(合着し)ている。
特に、上側ワークW1と下側ワークW2を貼り合わせ空間S1に向けて搬入し、上側保持部材1と下側保持部材2にそれぞれ受け渡して保持させることが好ましい。また、貼り合わせ空間S1で貼り合わせが完了した貼合デバイスWを、貼り合わせ空間S1から搬出され、それ以降は前述した作動が繰り返されることで、複数の貼合デバイスWを連続的に作製することが好ましい。
すなわち、貼合デバイスWの製造装置Aは、貼合デバイスWを作製するための真空ワーク貼り合わせ装置である。
【0011】
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る貼合デバイスWの製造装置Aは、貼り合わせ空間S1に配置されて上側ワークW1を保持する上側保持部材1と、貼り合わせ空間S1に配置されて下側ワークW2を保持する下側保持部材2と、上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方か若しくは両方を相対的に接近或いは離隔するように移動させて上側ワークW1及び下側ワークW2を重ね合わせる昇降駆動部3と、を主要な構成要素として備えている。
これに加え、貼り合わせ空間S1に向けて少なくとも下側ワークW2を搬入する搬入部材4と、貼り合わせが完了した貼合デバイスWを貼り合わせ空間S1から外部空間S2に向けて搬出する搬出部材5と、貼り合わせ空間S1が形成されるチャンバ6と、上側保持部材1,下側保持部材2,昇降駆動部3,搬入部材4及び搬出部材5などをそれぞれ作動制御する制御部7と、を備えることが好ましい。
なお、上側ワークW1及び下側ワークW2は、
図1〜
図7に示されるように、通常、上下方向へ対向するように配置され、上側ワークW1と下側ワークW2が重ね合わされる方向、すなわちワーク貼り合わせ方向を「Z方向」という。Z方向と交差する上側ワークW1及び下側ワークW2の貼り合わせ面に沿った方向を以下「XY方向」という。
【0012】
貼合デバイスWは、例えばFPDやセンサーデバイスなどのような複数の構成部品が一体的に組み付けられた薄板状の構造体である。
貼合デバイスWの具体例して
図1〜
図7に示される例の場合には、上側ワークW1がLCMやFPCなどからなる矩形の薄板である。下側ワークW2は、上側ワークW1よりも薄いタッチパネルやカバーガラスやカバーフィルムなどからなる矩形の薄板であり、上側ワークW1を覆うように接着されることで、FPDやセンサーデバイスなどを構成している。
上側ワークW1及び下側ワークW2において膜面などからなる貼り合わせ面のいずれか一方又は両方には、ディスペンサなどの定量吐出ノズルによりシール材(図示しない)を塗布することが好ましい。このシール材としては、紫外線などの光エネルギーを吸収して重合が進行することにより硬化して接着性を発現する、UV硬化性の光学透明樹脂(OCR)などの光硬化型接着剤を用いることが好ましい。
前記シール材で囲まれた空間には、液晶などの封入材料(図示しない)が充填される。
また、その他の例として図示しないが、下側ワークW2よりも薄い上側ワークW1を貼り合わせたり、前記シール材として光硬化型接着剤に代え、熱エネルギーの吸収により重合が進行して硬化する熱硬化型接着剤や二液混合硬化型接着剤などを用いたり、前記シール材や前記封入材料を含まずにワーク同士を直接貼り合わせたり変更することも可能である。
【0013】
上側保持部材1と下側保持部材2は、例えば金属やセラミックスなどの剛体で歪み(撓み)変形しない厚さの平板状に形成された定盤などで構成され、Z方向へ対向するそれらの上側チャック面11と平滑な下側チャック面21を有している。
上側保持部材1及び下側保持部材2は、貼り合わせ空間S1において上側チャック面11と下側チャック面21がそれぞれ平行となるように設置されている。
上側保持部材1の上側チャック面11は、後述する搬入部材4により搬入した上側ワークW1が着脱自在で且つ移動不能に保持される保持部11aを有している。
上側チャック面11の保持部11aとしては、負圧吸引による吸着力や粘着力や静電吸着力又はそれらの組み合わせなどが用いられる。これらを上側チャック面11の略全体に亘って面状に配置するか又は、上側チャック面11全体に複数個それぞれ分散して配置することで、貼り合わせ空間S1が真空まで減圧されても、上側ワークW1を落下させず保持し続けるように構成されている。
【0014】
さらに、上側保持部材1は、上側チャック面11の他に、後述する搬入部材4により搬入された上側ワークW1を保持して、後述する下側チャック面21から上側チャック面11に受け渡すための受け渡し機構12を有している。受け渡し機構12は、リフトピンやその他の構造体から構成され、後述する搬入部材4で搬入された上側ワークW1に接近し保持して上側チャック面11に受け渡すための受け渡し用駆動部12aを有している。
受け渡し機構12の具体例として
図1〜
図3に示される例の場合には、Z方向へ移動自在なリフトピン12bが用いられ、
図1(b)に示されるように、下降したリフトピン12bの先端面で上側ワークW1の非貼り合わせ面(上面)を着脱自在に吸着保持する。その後は、
図2(a)に示されるように、受け渡し用駆動部12aの作動によりリフトピン12bが上昇し、上側ワークW1の非貼り合わせ面を上側チャック面11に接触させると同時に、保持部11aによるワーク保持に切り替えて、上側ワークW1の受け渡しを可能にしている。
図示例では、リフトピン12bがXY方向へ所定間隔毎に複数配置され、これらの末端を連結部材12cで一体化し、受け渡し用駆動部12aにより連結部材12cを介して全てのリフトピン12bがZ方向へ往復動自在に構成されている。
また、その他の例として、受け渡し機構12をリフトピン12bに代え、他の構造体に変更することも可能である。
【0015】
下側保持部材2の平滑な下側チャック面21は、後述する搬入部材4により搬入した下側ワークW2が下側チャック面21から浮くように非接触で移動可能に支持する浮揚部22と、下側チャック面21と接触して着脱自在で且つ移動不能に保持する接触保持部21aと、を有している。
下側チャック面21の浮揚部22は、気体の噴出力や超音波力などが用いられ、下側チャック面21と下側ワークW2の非貼り合わせ面との対向空間に、下側チャック面21側から下側ワークW2側に向かう離隔圧力と、これと逆に下側ワークW2側から下側チャック面21側に向かう接近圧力とをそれぞれ同時に発生させるように構成されている。これら離隔圧力及び接近圧力をバランスさせることにより、下側チャック面21と下側ワークW2との間にZ方向へ空気膜22aが形成され、下側チャック面21から下側ワークW2が浮いた非接触状態を維持している。
浮揚部22の具体例として、
図1〜
図7に示される例の場合には、多孔質材料からなる板状の多孔質層22bが下側チャック面21の表面に積層形成され、多孔質層22bの全体から下側ワークW2に向け気体を噴出することで前記離隔圧力を発生させると同時に、多孔質層22bに開設される微小な複数の吸気孔(図示しない)から負圧吸引することで前記接近圧力を発生させている。
接触保持部21aは、負圧吸引による吸着力や静電吸着力又はそれらの組み合わせなどが用いられ、後述する制御部7で浮揚部22による前記離隔圧力及び前記接近圧力のバランスを調整して、前記離隔圧力よりも前記接近圧力が徐々に増大するように作動制御する。これによって、空気膜22aの厚みが徐々に薄くなり、下側ワークW2の非貼り合わせ面が下側チャック面21の表面に対しスムーズに着地して、前記接近圧力により下側ワークW2を移動不能に接触保持している。
接触保持部21aの具体例として、
図1〜
図7に示される例の場合には、多孔質層22bの全体から下側ワークW2に向け噴出される気体の流量を徐々に減少させて前記離隔圧力が抑えられると同時に、多孔質層22bに開設される微小な複数の前記吸気孔から負圧吸引を維持又は増大させている。
また、その他の例として図示しないが、多孔質層22bに代えて下側チャック面21の表面に板状のソノトロードが一体的に積層され、通電によりソノトロードの表面の空気を超音波による周期的な圧縮と圧縮解除が行われることで前記離隔圧力を発生させると同時に、ソノトロードに開設される微小な複数の吸気孔から負圧吸引することで前記接近圧力を発生させるように変更することも可能である。
【0016】
さらに、上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方か、若しくは上側保持部材1及び下側保持部材2の両方は、Z方向へ移動自在に支持され、昇降駆動部3によって上側保持部材1と下側保持部材2を相対的に接近或いは離隔するように移動させている。
昇降駆動部3は、アクチュエーターなどから構成され、後述する制御部7により上側ワークW1と下側ワークW2を、それらの貼り合わせ面にいずれか一方又は両方に塗布された前記シール材を介して互いに重なり合うように、上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方か若しくは両方をZ方向へ相対的に接近移動させるように作動制御している。
昇降駆動部3の具体例として
図1〜
図7に示される例の場合には、上側保持部材1を下側保持部材2に向けて下降させている。
また、その他の例として図示しないが、上側保持部材1に代えて下側保持部材2を上昇させるか、又は上側保持部材1及び下側保持部材2の両方を互いに接近移動させたり、上側保持部材1を回転移動し反転して下側保持部材2とZ方向へ対向させ、その後に上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方若しくは両方をZ方向へ相対的に接近移動させたり変更することも可能である。
【0017】
搬入部材4は、外部空間S2から上側ワークW1と下側ワークW2を貼り合わせ空間S1に向けて搬入するワーク搬入用の搬送機構である。
搬入部材4としては、その平滑な搬送面41から上側ワークW1や下側ワークW2が浮くように非接触で搬送する浮上搬送方式と、搬送ロボット(図示しない)で上側ワークW1や下側ワークW2を搬送するロボット搬送方式と、搬送コンベア(図示しない)で上側ワークW1や下側ワークW2を搬送するコンベア搬送方式などがある。これら浮上搬送方式やロボット搬送方式やコンベア搬送方式などは、外部空間S2から貼り合わせ空間S1に向けて搬送面41又は前記搬送ロボットや前記搬送コンベアなどを接近或いは離隔するように移動させる搬入用駆動部42を有している。
特に、搬入部材4が浮上搬送方式である場合には、平滑な搬送面41と、上側ワークW1や下側ワークW2が搬送面41から浮いたまま非接触で搬送する浮上搬送部43と、を有することが好ましい。
搬入部材4の搬入用駆動部42は、アクチュエーターなどから構成され、後述する制御部7により上側ワークW1や下側ワークW2の搬入時に、搬送面41又は前記搬送ロボットや前記搬送コンベアなどを下側保持部材2の下側チャック面21に向けてX方向やY方向などへ接近移動させるように作動制御している。上側ワークW1や下側ワークW2の搬入後は、搬送面41又は前記搬送ロボットや前記搬送コンベアなどを下側保持部材2の下側チャック面21からX方向やY方向などへ離隔移動させている。
【0018】
さらに、浮上搬送方式の搬入部材4において平滑な搬送面41は、Z方向と交差するX方向やY方向などへ往復動自在に支持され、上側ワークW1や下側ワークW2が搬送面41から浮くように非接触で移動可能に支持する搬入用浮揚部41aを有している。
搬入用浮揚部41aは、気体の噴出力や超音波力などを用い、搬送面41と下側ワークW2の非貼り合わせ面との対向空間に、搬送面41側から下側ワークW2側に向かう離隔圧力と、これと逆に下側ワークW2側から搬送面41側に向かう接近圧力とをそれぞれ同時に発生させている。これら離隔圧力及び接近圧力をバランスさせることにより、搬送面41と下側ワークW2との間にZ方向へ空気膜41bが形成されて、搬送面41から下側ワークW2が浮いた状態を維持するように構成されている。
【0019】
気体の噴出力を用いる搬入用浮揚部41aとしては、負圧の空気膜41bと大気雰囲気の圧力差により非接触で上側ワークW1や下側ワークW2を保持する「ベルヌーイ型」と、多孔質材料の全体から下側ワークW2に向け気体を噴出することで前記離隔圧力を発生させると同時に、多孔質材料に開設した複数の吸気孔(図示しない)から負圧吸引することで前記接近圧力を発生させる「多孔質型」がある。
前記の「ベルヌーイ型」は、搬送面41側から下側ワークW2側に向け気体を噴出することで形成される負圧の空気膜41bと、大気雰囲気の圧力差によって、下側ワークW2が搬送面41側へ引き寄せられる。それに伴い負圧の空気膜41bの間隔が狭くなって急激に圧力上昇すると、下側ワークW2を押し離して、空気膜41bの均衡した圧力が保たれる。これにより、非接触保持時に大量の気体噴出を必要とする。
そのため、搬入用浮揚部41aとして
図1〜
図7に示される例の場合には、前記の「ベルヌーイ型」に比べて、気体の瞬間的な噴出流量が少なくとも、上側ワークW1や下側ワークW2との間に空気膜41bが形成され、搬送面41から上側ワークW1や下側ワークW2を浮かせることが可能な、前記の「多孔質型」を採用している。
【0020】
浮上搬送方式の搬入部材4において浮上搬送部43は、搬入用浮揚部41aにより搬送面41から浮くように非接触で支持された上側ワークW1や下側ワークW2を把持するハンドリング機構(図示しない)などを有している。
このハンドリング機構は、アクチュエーターなどを用いて、搬送面41に沿ったXY方向へ移動自在に支持されるように構成されている。
さらに、ハンドリング機構は、上側ワークW1や下側ワークW2を吸引などにより全体的に把持するか、又は上側ワークW1や下側ワークW2の端部を部分的に把持するチャック部(図示しない)を有し、搬送面41から浮上させたままX方向やY方向などへ移動して下側保持部材2の下側チャック面21に受け渡すように構成されている。
【0021】
搬入部材4の具体例として
図1〜
図7に示される例の場合には、搬入用駆動部42により搬送面41が下側保持部材2の下側チャック面21に向けてX方向へ接近移動され、浮上搬送部43により上側ワークW1と下側ワークW2をX方向へ順次浮上搬送して、下側保持部材2の下側チャック面21に搬入している。
また、その他の例として図示しないが、搬入用駆動部42による搬送面41の移動方向と上側ワークW1や下側ワークW2の搬入方向をX方向以外に変更したり、搬入部材4で上側ワークW1や下側ワークW2を搬送面41から浮上させずに貼り合わせ空間S1に向け搬入したり、搬入部材4として浮上搬送方式に代え前記搬送ロボットや前記搬送コンベアなどを用いるように変更することも可能である。
【0022】
搬出部材5は、貼り合わせ空間S1から貼り合わせが完了した貼合デバイスWを外部空間S2に向けて搬出するワーク搬出用の搬送機構である。
搬出部材5としては、搬入部材4と同様に、第二搬送面51から貼合デバイスWが浮くように非接触で搬送する浮上搬送方式と、搬送ロボット(図示しない)で貼合デバイスWを搬送するロボット搬送方式と、搬送コンベア(図示しない)で貼合デバイスWを搬送するコンベア搬送方式などがある。これら浮上搬送方式やロボット搬送方式やコンベア搬送方式などは、外部空間S2から貼り合わせ空間S1に向けて第二搬送面51又は搬送ロボットを接近或いは離隔するように移動させる搬出用駆動部52を有している。
特に、搬出部材5が浮上搬送方式である場合には、平滑な第二搬送面51と、貼合デバイスWが第二搬送面51から浮くように非接触で搬送する第二浮上搬送部53と、を有することが好ましい。
搬出部材5の搬出用駆動部52は、アクチュエーターなどから構成され、後述する制御部7により上側ワークW1及び下側ワークW2の貼り合わせ後に、第二搬送面51又は前記搬送ロボットや前記搬送コンベアなどを下側保持部材2の下側チャック面21に向けてX方向やY方向などへ接近移動させるように作動制御している。貼合デバイスWの搬出後は、第二搬送面51又は前記搬送ロボットや前記搬送コンベアなどを下側保持部材2の下側チャック面21からX方向やY方向などへ離隔移動させている。
【0023】
搬出部材5の具体例として
図1〜
図7に示される例の場合には、搬出用駆動部52により第二搬送面51が外部空間S2から下側保持部材2の下側チャック面21に向けてX方向へ接近移動され、第二浮上搬送部53により貼合デバイスWを下側保持部材2の下側チャック面21から浮上搬送して、第二搬送面51に向け搬入方向と一直線上に搬出している。
また、その他の例として図示しないが、搬出用駆動部52による第二搬送面51の移動方向と貼合デバイスWの搬出方向をX方向以外に変更したり、搬入部材4によるワーク搬入方向と搬出部材5によるワーク搬出方向をXYθ方向へ所定角度に屈曲させたり、搬入部材4と搬出部材5を一体化してワーク搬入方向と逆向きに搬出したり、搬出部材5で貼合デバイスWを第二搬送面51から浮上させずに搬出するように変更したり、搬出部材5として浮上搬送方式に代え前記搬送ロボットや前記搬送コンベアなどを用いるように変更することも可能である。
【0024】
そして、貼り合わせ空間S1は、変圧可能なチャンバ6の内部に形成され、チャンバ6の壁で外部空間S2と区切り、チャンバ6内の貼り合わせ空間Sには上側保持部材1及び下側保持部材2を配備することが好ましい。
チャンバ6は、搬入部材4や搬出部材5によって上側ワークW1及び下側ワークW2が通過する出入口61と、出入口61を開閉させる開閉用駆動部62と、貼り合わせ空間S1を減圧させるためのコンプレッサなどからなる減圧用駆動部6aと、を有している。
さらに、上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方か若しくは両方には、予め上側ワークW1や下側ワークW2に付されたマークやコーナー部などを検知するカメラなどの位置検出部(図示しない)と、上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方を他方に対して相対的にXYθ方向へ移動させる位置合わせ用駆動部(図示しない)と、を備えている。前記位置検出部から出力に基づいて前記位置合わせ用駆動部を作動させ、上側保持部材1及び下側保持部材2を相対的にXYθ方向へ移動させることにより、上側ワークW1と下側ワークW2をXYθ方向へ位置合わせしている。
詳しく説明すると、大気雰囲気において搬入部材4により、外部空間S2からチャンバ6内の貼り合わせ空間S1へ上側ワークW1と下側ワークW2をそれぞれ搬入し、減圧された貼り合わせ空間S1で上側ワークW1と下側ワークW2の重ね合わせを行うと同時にXYθ方向への位置合わせを行う。その後は、大気雰囲気において搬出部材5により、上側ワークW1及び下側ワークW2の貼り合わせが完了した貼合デバイスWを、貼り合わせ空間S1から外部空間S2へ搬出している。
【0025】
チャンバ6の具体例として
図1〜
図7に示される例の場合には、チャンバ6において上側保持部材1を配備した蓋壁63が、下側保持部材2を配備した底壁64に対してZ方向へ分割可能に構成され、Z方向へ相対的に接近又は離隔するように往復動させることにより、貼り合わせ空間S1が開閉自在で且つ密封構造となるように構成している。開閉用駆動部62によりチャンバ6の蓋壁63を底壁64からZ方向へ離隔した時に、出入口61として搬入路61aと搬出路61bを開口させると同時に、上側保持部材1と下側保持部材2を相対的に離隔移動させている。
そのため、チャンバ6の開閉用駆動部62と昇降駆動部3を一つの駆動源で構成することも可能である。
さらに、チャンバ6の底壁64に対して下側保持部材2がXYθ方向へ移動自在に支持され、前記位置合わせ用駆動部の作動により下側保持部材2を介して下側ワークW2が、上側保持部材1に保持された上側ワークW1に対し、XYθ方向に位置合わせされる。
また、その他の例として図示しないが、Z方向へ分割されたチャンバ6のいずれか一方を他方に向け反転させることで開閉自在で且つ密封構造となるように構成したり、チャンバ6の分割式に代えて、チャンバ6の一部に開閉自在な扉を設けて、貼り合わせ空間S1が開閉自在で且つ密封構造となるように構成したり、チャンバ6の開閉用駆動部62と昇降駆動部3を別の駆動源で構成したり、下側保持部材2の下側ワークW2に対して上側保持部材1の上側ワークW1をXYθ方向に位置合わせしたり変更することも可能である。
【0026】
制御部7は、上側保持部材1の保持部11a,受け渡し機構12の受け渡し用駆動部12a,下側保持部材2の浮揚部22,昇降駆動部3,搬入部材4の搬入用駆動部42及び浮上搬送部43,搬出部材5の搬出用駆動部52及び第二浮上搬送部53にそれぞれ電気的に接続するだけでなく、チャンバ6の開閉用駆動部62及び前記変圧用駆動部や、上側ワークW1と下側ワークW2をXYθ方向へ相対的に移動させるための前記位置合わせ用駆動部や、前記シール材を硬化させる硬化機構などにも電気的に接続するコントローラーである。
制御部7となるコントローラーは、その制御回路(図示しない)に予め設定されたプログラムに従って、予め設定されたタイミングで順次それぞれ作動制御している。
【0027】
詳しく説明すると、制御部7は、例えば
図1(a)や
図5(a)に示されるように、開閉用駆動部62(昇降駆動部3)によりチャンバ6の出入口61(搬入路61a)が開動して、チャンバ6内の貼り合わせ空間S1を大気雰囲気となるように作動制御している。
この状態で、制御部7は、搬入部材4の搬入用駆動部42により搬送面41又は搬送ロボットなどを、下側保持部材2の下側チャック面21に向けて接近させ、浮上搬送部43又は搬送ロボットなどにより上側ワークW1が、出入口61(搬入路61a)を通って大気雰囲気中の下側チャック面21に向け搬入されるように作動制御している。
その後、制御部7は、
図1(b)や
図5(b)に示されるように、受け渡し機構12の受け渡し用駆動部12aにより上側ワークW1を、上側保持部材1の上側チャック面11に受け渡し、保持部11aで移動不能に保持するように作動制御している。
【0028】
これに続いて、制御部7は、
図2(a)や
図6(a)に示されるように、浮上搬送部43又は搬送ロボットなどにより下側ワークW2が、外部空間S2から搬送ガイド44で位置規制しながら出入口61(搬入路61a)を通って、大気雰囲気中の下側チャック面21に向けて搬入されるように作動制御している。
この際、浮上搬送部43又は搬送ロボットなどのいずれか一つで、上側ワークW1や下側ワークW2が下側保持部材2の下側チャック面21に向け搬入されても、上側ワークW1や下側ワークW2が先ずは浮揚部22により平滑な下側チャック面21から浮くように非接触で移動可能に支持されるように作動制御している。
その次に、浮揚部22から接触保持部21aに切り換え、下側ワークW2が下側チャック面21に接触して移動不能に保持されるように作動制御している。
【0029】
その後に、制御部7は、
図2(b)や
図6(b)に示されるように、開閉用駆動部62昇降駆動部3によりチャンバ6の出入口61(搬入路61a)が閉動され、チャンバ6内の貼り合わせ空間S1を減圧用駆動部6aにより減圧開始するように作動制御している。
これと略同時に、昇降駆動部3で上側保持部材1と下側保持部材2が相対的に接近移動され、このタイミングにおいて、前記位置合わせ用駆動部により上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方を他方に対して相対的にXYθ方向へ調整移動することで、上側ワークW1と下側ワークW2の位置合わせ(アライメント)を行うように制御している。
この位置合わせの完了後に、制御部7は昇降駆動部3で、上側保持部材1の上側チャック面11と下側保持部材2の下側チャック面21を更に接近移動させ、上側チャック面11に保持された上側ワークW1と、下側チャック面21に接触保持された下側ワークW2とが、それらの間に前記シール材及び前記封入材料をZ方向へ挟んで重なり合うように制御している。
前述した位置合わせが完了する頃には、貼り合わせ空間S1を減圧用駆動部6aで真空又は真空に近い減圧雰囲気まで減圧し、真空雰囲気中において上側ワークW1と下側ワークW2をZ方向へ重ね合わせるように制御している。
【0030】
これに続いて、制御部7は、
図3(a)や
図7(a)に示されるように、開閉用駆動部62(昇降駆動部3)によりチャンバ6の出入口61(搬出路61b)が開動、チャンバ6内の貼り合わせ空間S1を外気空間S2と連通させて大気雰囲気となるように作動制御している。
このため、大気圧により上側ワークW1と下側ワークW2が所定ギャップまで押し潰されて貼合デバイスWとなる。
その後に、制御部7は、
図3(b)や
図7(b)に示されるように、搬出部材5の搬出用駆動部52により第二搬送面51又は搬送ロボットなどを、下側保持部材2の下側チャック面21に向けて接近させ、第二浮上搬送部53又は搬送ロボットなどにより貼合デバイスWが、下側チャック面21から出入口61(搬出路61b)を通って、外部空間S2に向けて搬出されるように作動制御している。
【0031】
さらに、制御部7の制御回路に設定されたプログラムを貼合デバイスWの製造方法として説明する。
本発明の実施形態に係る貼合デバイスWの製造方法は、上側保持部材1の上側チャック面11に上側ワークW1を保持させるとともに下側保持部材2の平滑な下側チャック面21に下側ワークW2を保持させる保持工程と、上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方か若しくは両方の相対的な接近移動により上側ワークW1及び下側ワークW2を重ね合わせる合着工程と、を主要な工程として含んでいる。
これに加え、保持工程の前工程として、外部空間S2から貼り合わせ空間S1に配置される上側保持部材1の上側チャック面11に向け搬入部材4で上側ワークW1を搬入させ、貼り合わせ空間S1に配置される下側保持部材2の平滑な下側チャック面21に向け搬入部材4で下側ワークW2を搬入させる搬入工程を、含むことが好ましい。
さらに、保持工程は、搬入部材4で貼り合わせ空間S1に搬入された下側ワークW2を下側保持部材2に対して、浮揚部22により下側チャック面21から浮くように非接触で支持し、これに続き減圧用駆動部6aにより貼り合わせ空間S1が減圧完了する前に、接触保持部21aにより下側ワークW2を下側チャック面21に接触保持している。
合着工程では、昇降駆動部3により上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方を他方に向けてZ方向へ相対的に接近移動させるか、若しくは上側保持部材1及び下側保持部材2の両方を互いにZ方向へ相対的に接近移動させて、減圧用駆動部6aによる貼り合わせ空間S1の減圧が完了した後に、上側ワークW1と下側ワークW2を、それらの間に前記シール材や前記封入材料がZ方向へ挟まれるように重ね合わせるか、或いはワーク同士を直接的に重ね合わせている。
【0032】
このような本発明の実施形態に係る貼合デバイスWの製造装置A及び製造方法によると、搬送ロボットによる搬入などで、下側ワークW2に部分的な伸縮による歪みが残留しても、下側チャック面21において浮揚部22により下側ワークW2を下側チャック面21から浮くように非接触で支持することにより、下側ワークW2の部分歪みが開放され、下側ワークW2を下側保持部材2の平滑な下側チャック面21に沿った平滑状態にして保持することが可能となる。
これに続き、貼り合わせ空間S1が減圧雰囲気となる前に、下側チャック面21において接触保持部21aにより、平滑状態の下側ワークW2が下側チャック面21に着地して移動不能に接触保持される。
その後、上側ワークW1と下側ワークW2の相対的な位置合わせを行ってから、制御部7で昇降駆動部3が上側保持部材1又は下側保持部材2の一方若しくは両方を相対的に接近移動させる。
これにより、真空又は真空に近い減圧雰囲気において、平滑状態の下側ワークW2と、上側チャック面11に保持部11aで保持される上側ワークW1と、が位置ズレせずに重ね合わせ可能になる。
したがって、下側ワークW2に残留した部分歪みを除去して平滑状態で上側ワークW1と真空貼り合わせすることができる。
その結果、下側保持部材2の表面にリフトピン用の貫通孔や溝などの凹みが無く平滑な下側チャック面21を有するため、下側ワークW2の一部がその自重により部分的に伸び縮みして凹凸状に撓むことがない。これにより、上側ワークW1及び下側ワークW2の貼り合せ精度を向上させることができる。これと同時に、剛性が少ない極薄い板状ワーク(基板)であっても上側ワークW1及び下側ワークW2の間の貼り合わせ面に気泡が発生することを防止できて、気泡の無い均一な貼り合せを行える。
さらに、搬送ロボットのアームや下側リフトピンが板状ワーク(基板)に接触させずに板状ワーク(基板)の搬送を行えるため、搬送ロボットのアームや下側リフトピンの接触によるゴミなどの異物が付着を防止できて、その他の箇所との間にムラを起こすことなく、非常に均一な貼り合せを行うことが可能となる。
その具体例としてG8サイズの厚みが0.2mmの液晶用ガラス基板を従来からの位置合わせ方法で貼り合わせたとしても、上側ワークW1及び下側ワークW2の位置合わせ誤差をサブミクロンの精度まで改善でき、歩留りの向上が図れる。
また、真空又は真空に近い減圧雰囲気で下側ワークW2と上側ワークW1を貼り合わせるため、上側ワークW1及び下側ワークW2の重ね合わせ面に貼り合わせ空間S1から空気が混入することを確実に防止できる。これにより、上側ワークW1及び下側ワークW2の重ね合わせ面に気泡が入ることで、部分的に所定ギャップが不均一になることも防止でき、更に高品質な貼合デバイスWの製作が可能になる。
【0033】
特に、上側保持部材1及び下側保持部材2が、変圧可能なチャンバ6の内部に配備され、チャンバ6は、搬入部材4が通過する開閉自在な出入口61を有することが好ましい。
この場合には、大気雰囲気においてチャンバ6の出入口61が開き、搬入部材4により下側ワークW2が下側保持部材2の下側チャック面21に向け搬入される。その後、チャンバ6の出入口61を閉じて減圧した状態で、上側保持部材1又は下側保持部材2の一方若しくは両方を相対的に接近移動させることにより、減圧雰囲気において平滑状態の下側ワークW2と上側ワークW1が位置ズレせずに重ね合わされる。
したがって、残留した部分歪みが除去された平滑状態の下側ワークW2と上側ワークW1とを真空雰囲気で貼り合わせることができる。
その結果、上側ワークW1及び下側ワークW2を無気泡で且つ高い位置精度に貼り合わせて、更に高品質な貼合デバイスWを製作できる。
【0034】
さらに、搬入部材4が、その平滑な搬送面41から少なくとも下側ワークW2が浮くように非接触で搬送する浮上搬送部43を有することが好ましい。
この場合には、搬入部材4により少なくとも下側ワークW2を下側保持部材2へ向け搬入する際に、浮上搬送部43で搬入部材4の平滑な搬送面41から下側ワークW2が浮くように非接触で搬送することにより、下側ワークW2の一部に部分歪みが発生せず、下側ワークW2が平滑な浮上状態のまま下側保持部材2の下側チャック面21に受け渡される。
したがって、下側ワークW2に残留した部分歪みを更に除去してより平滑な状態で上側ワークW1と貼り合わせることができる。
その結果、搬送ロボットのアームやリフトピンの真空吸着により下側基板の一部に部分歪みを残留したまま受け渡す従来のものに比べ、搬送ロボットやリフトピンが不要となるため、下側ワークW2は実質的に凹凸が無い状態で搬入できる。これにより、下側ワークW2を下側保持部材2の平滑な下側チャック面21に保持させても部分的な歪みが完全に残らず、上側ワークW1及び下側ワークW2を貼り合わせた際に貼り合わせ面内が均一に高精度な合せを実現できる。
さらに、従来の搬送ロボットによる搬入によると、厚みが数10umのガラスやプラスチックフィルムを搬送するのが困難であり、特にG8サイズなどの大型の薄型基板では、搬送不能であった。しかし、浮上搬送部4bによる下側ワークW2の搬入では、搬送ロボットやリフトピンを用いずに直接的な搬入が実現でき、補助的なキャリアや治具を用いなくても直接的に薄型の基板同志を高精度に貼り合せることができる。
【実施例1】
【0035】
次に、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の実施例1に係る貼合デバイスWの製造装置Aは、
図1(a)(b)〜
図4(a)(b)に示すように、搬入部材4が前述した搬送ロボットによるロボット搬送方式ではなく、前述したワークが浮上搬送される浮上搬送方式を採用しており、ワークの位置決め用ガイドを設けたものである。
詳しく説明すると、搬入部材4は、浮上搬送部43によるワーク搬送中に上側ワークW1や下側ワークW2と接して、浮上搬送部43によるワーク搬送方向(X方向)と交差する方向(Y方向)に位置規制する搬送ガイド44を有している。
搬送ガイド44は、浮上搬送部43によるワーク搬送方向となるX方向と交差するY方向に、上側ワークW1や下側ワークW2の幅寸法に略相当する間隔を空けて複数配置することが好ましい。
複数の搬送ガイド44を配置する場合は、浮上搬送部43によるワーク搬送時には、搬送ガイド44のいずれか一方又は両方をワーク搬送方向(X方向)と交差する方向(Y方向)に接近移動させ、ワーク搬送以外の待機時には、搬送ガイド44のいずれか一方又は両方を離隔移動させることが好ましい。
【0036】
図1(a)(b)〜
図4(a)(b)に示される例では、搬送ガイド44が一対のガイドレールである。浮上搬送部43により搬送面41から浮いたまま非接触で搬送される上側ワークW1や下側ワークW2の端部と一対の搬送ガイド44をそれぞれ直接的又は間接的に接触させることで、上側ワークW1や下側ワークW2がY方向へ位置ずれすることなく、下側保持部材2の下側チャック面21の定位置に向け導かれる。
図示例の場合には、搬送ガイド44となる一対のガイドレールの内側面に対し、上側ワークW1や下側ワークW2の端部をそれぞれ摺接させている。
また、その他の例として図示しないが、搬送ガイド44となるガイドレールの内側面にローラーなどの回転体を配置することで、ワークとの摩擦抵抗が低下するようにしたり、一方のガイドレールの内側面からワークに対し圧縮空気などの気体を吹き付けて、他方のガイドレールの内側面に向けワークを押し付けたり、搬送ガイド44としてワークをX方向へ位置決めするストッパーを付加したり種々の変更が可能である。
【0037】
下側保持部材2の下側チャック面21は、搬入部材4の浮上搬送部43で搬入された上側ワークW1や下側ワークW2と接してワーク搬送方向(X方向)及び交差方向(Y方向)に位置規制する位置決めガイド23を有している。
位置決めガイド23は、Y方向に一対配置されるガイドレール23aと、ワークをX方向へ位置決めするストッパ23bなどから構成される。
一対のガイドレール23aは、搬入部材4の浮上搬送部43によるワーク搬送時において、ワーク搬送方向(X方向)の交差方向(Y方向)へそれぞれ接近移動し、ワーク搬送以外の待機時にはそれぞれ離隔移動させて、昇降駆動部3による上側保持部材1の移動と干渉しない位置に待機させることが好ましい。
図1(a)(b)〜
図4(a)(b)に示される例では、搬送ガイド44のガイドレールと同様に構成される一対のガイドレール23aを、浮上搬送部43により搬送面41から浮いたまま非接触で搬送される上側ワークW1や下側ワークW2の端部とそれぞれ直接的又は間接的に接触させることで、上側ワークW1や下側ワークW2がY方向へ位置ずれすることなく、下側保持部材2の下側チャック面21の定位置に向け導かれる。
ストッパ23bは、下側チャック面21に対して突出又は没入自在に設けられ、ワークのX方向先端面が突き当たることで位置決めしている。
【0038】
このような本発明の実施例1に係る貼合デバイスWの製造装置Aによると、浮上搬送部43により少なくとも下側ワークW2が、搬入部材4の搬送面41から下側保持部材2へ向け浮上搬送される際に、搬送ガイド44及び位置決めガイド23と順次接して、ワーク搬送方向(X方向)と交差する方向(Y方向)に位置決めされる。
したがって、下側保持部材2上の所定位置まで下側ワークW2を正確に浮上搬送することができる。
その結果、上側ワークW1と下側ワークW2の貼り合わせ精度が向上し、より高品質な貼合デバイスWを製作できるという利点がある。
【0039】
そして、本発明の実施例1に係る貼合デバイスWの製造方法は、前記合着工程の後工程として、上側ワークW1及び下側ワークW2の貼り合わせが完了した貼合デバイスWを搬出部材5で貼り合わせ空間S1から外部空間S2に向けて搬出する搬出工程を含んでいる。
前記搬出工程では、搬出部材5の第二浮上搬送部53により、貼合デバイスWを下側保持部材2の下側チャック面21から搬出部材5の第二搬送面51に向けて浮いたまま外部空間S2に搬出させている。
浮上搬送方式の搬出部材5の第二搬送面51は、搬入部材4と同様に、貼合デバイスWが第二搬送面51から浮くように非接触で支持する搬出用浮揚部51aを有している。搬出用浮揚部51aは、気体の噴出力や超音波力などを用いて、第二搬送面51と貼合デバイスWの下側ワークW2との対向空間にZ方向へ第二空気膜51bが形成されて、第二搬送面51からと貼合デバイスWが浮いた状態を維持するように構成されている。
【0040】
このような本発明の実施例1に係る貼合デバイスWの製造方法によると、貼り合わせ空間S1で上側ワークW1と下側ワークW2の貼り合わせが完了した後、貼り合わせが完了した貼合デバイスWを搬出部材5の第二搬送面51から浮いたまま浮上搬出する。
そのため、特に下側ワークW2がフィルムのような薄板状基板であっても、一度貼り合わせた上側ワークW1と下側ワークW2が部分的に伸び縮みして両者が相対的に位置ズレしたり、歪みが生じたりせず、貼り合わせ時の精度を保ったままの状態で搬出される。
したがって、フィルム状の下側ワークW2が貼り合わされた貼合デバイスWを高い位置精度に貼り合わせまま搬出することができるという利点がある。
その結果、搬送ロボットやリフトピンによって搬出する従来の方法に比べ、より高品質な貼合デバイスWを製作できる。
【実施例2】
【0041】
本発明の実施例2に係る貼合デバイスWの製造装置Aは、
図5(a)(b)〜
図7(a)(b)に示すように、上側保持部材1の受け渡し機構12として、上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方か若しくは両方の相対的な接近移動により、上側ワークW1を上側チャック面11に受け渡す構成が、
図1〜
図4に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は
図1〜
図4に示した実施例1と同じものである。
詳しく説明すると、実施例2のものでは、上側保持部材1の受け渡し機構12として、
図1〜
図3に示されるリフトピン12bに代え、
図5(b)及び
図6(a)に示されるように、昇降駆動部3による上側保持部材1と下側保持部材2の相対的な接近移動で、下側保持部材2の浮揚部22により下側チャック面21から浮くように非接触で保持された上側ワークW1を、浮いたまま上側チャック面11の保持部11aに対して面状に受け渡している。
さらに、受け渡し先となる上側チャック面11の保持部11aは、
図1〜
図3に示されるリフトピン12bのような部分的な保持ではなく、負圧吸引による吸着力と粘着力又は静電吸着力組み合わせによって上側ワークW1を、上側チャック面11に沿った平滑な面状に保持する構造に構成することが好ましい。
【0042】
制御部7は、
図5(b)に示される上側ワークW1の受け渡し時において、昇降駆動部3により上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方を他方に向け接近移動させることで、上側チャック面11の保持部11aが、浮揚部22により下側チャック面21から浮いた上側ワークW1の非貼り合わせ面と面接触するように作動制御している。
上側保持部材1の上側チャック面11が上側ワークW1と面接触した後は、保持部11aによるワーク保持に切り替えて、上側ワークW1の受け渡しを可能にしている。
これに続いて、
図5(b)の二点鎖線及び
図6(a)に示されるように、昇降駆動部3により上側保持部材1又は下側保持部材2のいずれか一方を他方から離隔移動させることで、後続する下側ワークW2の搬入を可能にしている。
【0043】
図5(a)(b)〜
図7(a)(b)に示される例では、チャンバ6の開閉用駆動部62と昇降駆動部3が一つの駆動源で構成され、開閉用駆動部62によりチャンバ6の蓋壁63を底壁64に向け接近移動して出入口61(搬入路61a)が閉動するのと略同時に、昇降駆動部3により上側チャック面11の保持部11aを、上側ワークW1の非貼り合わせ面と面接触させて保持する。これによって、上側ワークW1は、下側チャック面21から浮いたままの状態で上側チャック面11の保持部11aに受け渡される。
また、その他の例として図示しないが、チャンバ6の開閉用駆動部62と昇降駆動部3とがそれぞれ別個の駆動源で構成し、開閉用駆動部62によるチャンバ6の出入口61(搬入路61a)の閉動と関係なく、昇降駆動部3により上側保持部材1を、上側チャック面11の保持部11aが下側チャック面21から浮いた上側ワークW1の非貼り合わせ面と面接触する位置まで接近移動させることも可能である。
【0044】
このような本発明の実施例2に係る貼合デバイスWの製造装置A及び製造方法によると、下側保持部材2の浮揚部22で下側チャック面21から浮上保持した上側ワークW1が、浮上したまま上側保持部材1の上側チャック面11に対し面状に受け渡される。
したがって、上側ワークW1を完全な部分歪み無しで上側保持部材1の上側チャック面11に受け渡すことができる。
その結果、上側ワークW1と下側ワークW2の貼り合わせ精度が向上し、より高品質な貼合デバイスWを製作できるという利点がある。
さらに、上側保持部材1の受け渡し機構12として、
図1〜
図3に示されるようにチャンバ6の蓋壁63を貫通することでZ方向へ移動自在なリフトピン12bを用いる実施例1に比べ、チャンバ6の蓋壁63とリフトピン12bとの間にOリングなどの密閉部材を設ける必要がなく、受け渡し機構12及びチャンバ6の構造を簡素化できるという利点もある。
【0045】
なお、前示実施例では、搬入部材4及び搬出部材5として、前述した搬送ロボットによるロボット搬送方式ではなく、ワークが浮上搬送される浮上搬送方式を採用したが、これに限定されず、搬入部材4又は搬出部材5の一方若しくは両方をロボット搬送方式やコンベア搬送方式に変更しても良い。
【解決手段】下側ワークW2に部分的な伸縮による歪みが残留しても、浮揚部22にて下側ワークW2を下側チャック面21から浮く様に非接触での支持により、下側ワークW2の部分歪みが開放され、下側ワークW2を下側保持部材2の平滑な下側チャック面21に沿った平滑状態となり、その後貼り合わせ空間S1が減圧雰囲気となる前に、接触保持部21aで平滑状態の下側ワークW2が下側チャック面21に接触して移動不能に保持され、その後、制御部7で昇降駆動部3が上側保持部材1又は下側保持部材2の一方若しくは両方を相対的に接近移動させることで、真空又は真空に近い減圧雰囲気で平滑状態の下側ワークW2と、上側チャック面11に保持部11aで保持された上側ワークW1と、が位置ズレせずに重ね合わせ可能な貼合デバイスの製造装置。