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特許6049905クロロシランを製造する際の微粒状固体を加工する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049905
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】クロロシランを製造する際の微粒状固体を加工する方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/02 20060101AFI20161212BHJP
   C01B 33/107 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B28B3/02 E
   C01B33/107 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-548310(P2015-548310)
(86)(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公表番号】特表2016-506319(P2016-506319A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2013074376
(87)【国際公開番号】WO2014095220
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年10月14日
(31)【優先権主張番号】102012224182.5
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ハナイナ マリナス ペレス
(72)【発明者】
【氏名】エッケハート ミュー
(72)【発明者】
【氏名】ハルトヴィッヒ ラウレーダー
(72)【発明者】
【氏名】フランク クロプフガンス
【審査官】 伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−310690(JP,A)
【文献】 特開2012−017247(JP,A)
【文献】 特開平02−014882(JP,A)
【文献】 特開2010−053011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 3/00− 3/26
C01B 33/00− 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロシランを製造する際の微粒状固体を加工する方法であって、
該微粒状固体を、液圧プレスして、高められた密度の物体とし、
多くとも14kN/cm2であるプレス圧が適用され、
該プレス圧が、
該圧力が、初期にゼロで、該プレス圧に達するまで、0.1〜1kN/cm2sのプレス速度で始動され、引き続き
0.5〜1.5sの期間にわたって保持され、引き続き
0.5〜1.5sの期間にわたって、ゼロに低下されることによって適用されることを特徴とする、微粒状固体を加工する方法。
【請求項2】
プレス空間として、セラミック製の円筒形ケースが使用される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
0kN/cm2〜12kN/cm2であるプレス圧が適用される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
該プレス圧が、
該圧力が、初期にゼロで、該プレス圧に達するまで、0.5kN/cm2sのプレス速度で始動され、引き続
sの期間にわたって保持され、引き続
sの期間にわたって、ゼロに低下されることによって、
適用される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのガス抜き行程を実施し、その際に、各ガス抜き行程が、
該プレス圧と最大でも同じ大きさである少なくとも1つの初期圧力p1iで、この圧力が、
0.5〜1.5sの期間Δ1にわたって、
値p1f低下され、かつ
1fが、0〜1sの期間δ1にわたって保持され、引き続き
該圧力が、該プレス圧に達するまで始動される
ことにより特徴付けられている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
2つのガス抜き行程a及びbを実施し、かつ
aが、初期圧力p1aで、期間Δ1a及びδ1aで、
bが、初期圧力p1bで、期間Δ1b及びδ1bで、
かつp1a及びp1bが、同じか又は異なり
つ期間Δ1a及びΔ1bが、同じか又は異なり
つ期間δ1a及びδ1bが、同じか又は異なる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
プレス体を該プレス空間から7〜8kNの抜出力で抜き出す、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロシランを製造する際に生じる微粒状固体を、液圧プレスすることにより加工する方法、並びに該方法により得られるプレス体に関する。
【0002】
クロロシラン、例えば四塩化ケイ素(SiCl4、STCと略される)、トリクロロシラン(HSiCl3、TCSと略される)及びジクロロシラン(H2SiCl2)は、幅広い応用分野を有する重要な種類の物質である。そして、これらは、SiO2、いわゆるヒュームドシリカの製造用の原料として、オルガノシラン及びケイ酸エステル用の出発物質として、並びに光導波路のため及び半導体級シリコンもしくは太陽電池級シリコンのための出発物質として、使用される。
【0003】
ゆえに、大量のクロロシランを安価にかつ安全に製造できることは、技術的かつ経済的に非常に重要である。
【0004】
シリコン(Si)及び塩化水素(HCl)及び/又は塩素(Cl)が、反応器、例えば流動層反応器又は固定床反応器又は撹拌床反応器中で反応され、それにより、無機クロロシラン、例えばSiCl4及び/又はHSiCl3及び/又はH2SiCl2又はそれらの混合物が形成され、生成物ガスとして該反応器を去り、引き続き更に処理される。
【0005】
該生成物ガスは、製造に起因される固体、例えば、シリコン、鉄、塩化鉄及び/又は塩化アルミニウムを含有する、粉末及び/又はダストを含有する。例えば、塩化鉄及び塩化アルミニウムは、反応副生物であって、使用される粗シリコンが、汚れとして少量のこれらの金属を含有することに由来し、該汚れは、該生成物ガス、いわゆる蒸気の液化後に、該液相中に取り残され、かつ該液相用の容器中で沈降する。それにより、これらは、形成されたクロロシラン混合物から分離することができる。
【0006】
該クロロシラン製造用の反応器中にも、前記の固体が取り残される。特に、トリクロロシラン及び四塩化ケイ素を製造する流動層法の場合に、これらの固体は、粉末、ダスト、例えばフィルタダスト、及び/又は灰、例えば熱ガスフィルタ灰の形態で生じる。そのような固体は、本発明の範囲内で、概念“微粒状固体”でまとめられる。
【0007】
該微粒状固体は、主にシリコン及び鉄を有し、これらは、そのうえ塩素化合物を含有しうる。該反応条件下で気体の反応生成物である塩素化合物、例えばTCS及びSTCと一緒に、該微粒状固体は、該反応器から運ばれる。
【0008】
該流動層法の場合に、約500μmの直径を有する粉砕された金属シリコンが、塩化水素と反応される。該反応の経過中に、該シリコン粒子は、ますます小さくなり、かつ該反応器を、最終的にダストとして去ることができる。これらのダストは通常、フィルタ又はサイクロンを用いて分離されてから、反応生成物TCS及びSTCが凝縮される。これらは、極めて微細であり、かつ鉄に加え、なお多いシリコン含分を含有するので、これらは有益な原料である。
【0009】
更なるシリコン含有固体は、堆積プロセスによるモノシランからのシリコンの製造の際に生じる。そのような固体は、しばしば、ふるいにより該プロセスから分離される粗大な生成物含分の混合物であり、同様に分析残留物及び仕様に適合しない物品である。そのシリコン含分は、しばしば99%を上回る。
【0010】
DE 10 2009 037 155 B3の特許明細書は、該流動層から排出されるダストを、接続された第二の流動層反応器中で変換することを企図する。この方法は、該固体の大部分が、その極端な微粒性に基づき、物質変換されることなく、第二反応器からも排出されるという欠点を有する。
【0011】
DE 10 2009 020 143 A1には、ウェーハ製造からの切断廃棄物を後処理する方法が開示されている。この場合に、シリコン及び有機化合物を含有する切断廃棄物が皿形造粒機上で粒状化され、かつ該クロロシラン製造における更なる使用のために準備するとされる。これらのSi含有切断屑又はダストが分離される切断スラリーは、シリコーン油又はポリエチレングリコール中のこれらの廃棄物のろ過ケーク又は懸濁液として生じる。しかしながら、該個々の成分の分離は煩雑であり、かつこの流れ中のシリコンに加え有機化合物の高い含分は、該クロロシラン反応器中での多数の望ましくない副生物の形成をまねく。そのうえ、該結晶性材料から製造される粒状物は機械的にほんの僅かに安定であり、かつ再び迅速に崩壊する。
【0012】
前記の固体を再びより大きな凝集体もしくはかけらに結合させる更なる可能性は、これらを溶融させるか又は焼結することにある。しかしながら、その際に、その高い溶融温度に基づき必要なエネルギー消費が不利である。
【0013】
ゆえに、該微粒状固体を、これらを再び該クロロシラン製造プロセスに供給することができるように改変するという課題が存在していた。
【0014】
前記課題は、該微粒状固体を加工する方法により、かつこの方法により得られるプレス体により、解決される。
【0015】
本発明の対象は、クロロシランを製造する際の微粒状固体を加工する方法であって、該方法は、該微粒状固体を液圧プレスして、高められた密度の物体とすることにより特徴付けられている。該微粒状固体を液圧プレスする手法は、本発明の範囲内で、該微粒状固体が、液圧プレス中でプレスされることと同義である。液圧プレスする原理に従って機能する装置は、当業者に知られている。
【0016】
請求項に係る方法の利点は、とりわけ、該実施後に、他では普通であるような極度にほこりっぽい粉末を取り扱う必要なく、より単純な方法で、クロロシランの製造プロセスへ返送することができるプレス体が得られることであるとみなすことができる。例えば、本発明により得られるプレス体は、コンベヤーベルト又はコンテナを用いて取り扱うことができ、かつ該クロロシラン製造プロセスへ返送することができる。微粒状固体の有害な渦運動(Verwirbelung)を阻止する空気の遮断、又はフィルタ装置を用いる煩雑な吸引(Absaugung)は、本発明による方法の実施では不必要である。
【0017】
以下に、本発明は、より詳細に説明される。
【0018】
本発明による方法において、プレス空間(Pressvakanz)として、セラミック製、好ましくは高強度の窒化ケイ素セラミック製の円筒形ケースを使用することが有利でありうる。その際に、該液圧プレスの上パンチ及び下パンチは、硬化鋼から選択されていてよい。好ましくは、円筒形のパンチを使用することができるが、しかし、他のあらゆる形状、例えば立方体形又は直方体形のプレス体をもたらす角のあるパンチ、又は半球の形状も可能である。該微粒状固体は塩素化合物を含有するので、該プレス体は、水もしくは大気湿分との接触の際に、それらの表面上に塩酸を有し、該塩酸は、該液圧プレスの不十分に合金化された鋼並びに未塗装の構成要素を腐食させる。ゆえに、プレス空間としての窒化ケイ素、Si34製のセラミックケースの使用は、有利である。
【0019】
塩化水素は同様に、ヒトの粘膜、皮膚及び眼を侵す。ゆえに、該方法を手で実施する場合に、使用される微粒状固体及び本発明により得られるプレス体と、皮膚、眼及び粘膜との直接接触を阻止する、個人用保護具が着用されることが厳しく注意されるべきである。
【0020】
好ましくは、無機結合剤、好ましくはシリカ、アルミン酸塩、ジルコン酸塩、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、セメント、硫酸カルシウム、有機化合物を含有する結合剤、例えばケイ酸エステル、又はこれらの結合剤の混合物を使用することができる。有機結合剤が使用される場合には、その有機含分を、か焼工程において、クロロシラン製造の際に使用する前に、除去しなければならない。結合剤又は前記の結合剤の混合物の使用は、アルカリ性のpH値の利点を有する。なぜなら、該クロロシラン合成からの固体は、クロロシラン製造プロセスにおけるその支配的な反応条件に基づき、HCl及び加水分解可能なシリコン−ハロゲン結合を有し、これらは該固体に付着し、それゆえ、酸性のpH値を有するからである。これは、1種以上の該結合剤により中和される。塩化水素を遊離する該プレス体の不快な性質は、それゆえ、少なくとも部分的に打ち消すことができる。
【0021】
本発明による方法において、多くとも14kN/cm2であり、好ましくは10kN/cm2〜12kN/cm2であるプレス圧を使用することが有利でありうる。
圧力及びプレス圧は、本発明の範囲内で、20℃で1013hPaの周囲圧力を上回り、該微粒状固体に該液圧プレス中で作用される過圧であると理解される。ゼロのプレス圧の場合に、すなわちまさしく周囲圧力が作用され、ひいては圧縮は達成されない。
【0022】
多くとも14kN/cm2のプレス圧で、意外にも安定なプレス体が得られる、なぜなら、これらは、砕けることなく又は破片にばらけることなく、取り扱うことができる、例えば、コンベヤーベルトによりクロロシランの製造用の反応器中へ搬送することができるからである。
【0023】
該プレス圧を、10kN/cm2〜12kN/cm2の範囲から選択する場合には、そのような本発明により得られるプレス体は、2mまでの高さからの落下ですら、粉々になることなく耐える。この原因は、これらのプレス体が、不均質な密度分布を有しないことにあり、これは、該プレス体が、高められた密度勾配を有する帯域、いわゆる層を有しないことと同義である。該層は、該プレス体の体積内部で及び該プレス圧の作用方向を基準として、横方向に、縦方向に又は他のあらゆる方向に広がりうるものであり、かつ不織布状又はレンズ状の形態を有しうる。そのような層の形成、いわゆる層形成は、14kN/cm2のプレス圧を上回ると特に増加して生じる。該層形成が回避される場合に、該プレス体は、該反応器へ特に簡単に返送することができる。
【0024】
本発明による方法の更なる態様において、該プレス圧は、該圧力を、初期にゼロで、選択されるプレス速度で始動することによって、適用されることができる。該プレス速度は、本発明の範囲内で、プレス圧と、該圧力が単調に上昇してプレス圧までに高められるまでの期間との比率であり、これは、該プレス圧がこの期間にわたって始動されると同義である。
【0025】
好ましくは、本発明による方法において、該プレス圧は、該プレス圧に達するまで、0.1〜1kN/cm2s、好ましくは0.5kN/cm2sのプレス速度で始動することができ、引き続き、0.5〜1.5s、好ましくは1sの期間にわたって保持することができ、引き続き、0.5〜1.5s、好ましくは1sの期間にわたって、ゼロへと低下することができる。
【0026】
特に好ましくは、本発明による方法において、少なくとも1つのガス抜き行程(Entlueftungshub)が実施されてよく、その際に、各ガス抜き行程は、
該プレス圧と最大でも同じ大きさである少なくとも1つの初期圧力p1iで、この圧力が、0.5〜1.5s、好ましくは1sの期間Δ1にわたって、値p1fに、好ましくはp1f=0に低下され、かつp1fが、0〜1sの期間δ1にわたって、好ましくは0sにわたって保持され、引き続き、該圧力が、該プレス圧に達するまで始動される
ことにより特徴付けられている。
【0027】
好ましくは、該プレス圧よりも小さい初期圧力が選択される。すなわち、該圧力の始動の前のプレス空間を該微粒状固体で充填する際に、該プレス空間が、77体積%までの空気又はガスを含有することが見出された。該圧力の始動の際に、該微粒状固体は、徐々に圧縮され、かつ該空気もしくは含まれるガスは逃げなければならない。しかし該微粒状固体の粒子のサイズが小さければ小さいほど、含まれる空気もしくはガスが逃げるまでより長い時間がかかる。本発明による方法において、少なくとも1つのガス抜き行程が実施される場合には、少なくとも1つのガス抜き行程なしよりも大きな強さを有するプレス体が得られる。
【0028】
特に堅い(feste)プレス体は、本発明による方法において2つのガス抜き行程a及びbが実施され、かつaが、初期圧力p1aで、期間Δ1a及びδ1aで、bが、初期圧力p1bで、期間Δ1b及びδ1bで、かつp1a及びp1bが、同じか又は異なり、好ましくは異なり、かつ期間Δ1a及びΔ1bが、同じか又は異なり、好ましくは異なり、かつ期間δ1a及びδ1bが、同じか又は異なり、好ましくは異なる場合に、得ることができる。
【0029】
各ガス抜き行程は、真空を適用して又は適用せずに、好ましくは真空を適用せずに、実施することができ、かつプレス圧0.2〜1kN/cm2、好ましくは0.5kN/cm2で及び2〜10s、好ましくは5sの期間にわたって、始動することができる。
【0030】
更に、本発明による方法において、該プレス体を、該プレス空間から7〜8kN/cm2の抜出力(Ausstosskraft)で抜き出すことが有利でありうる。該抜出力は、該プレス体を該空間から取り出すために、適用しなければならない。これは、液圧プレスの分野の当業者に知られている。液圧プレスする結果にとって普通ではないが、しかしながらそれを抜き出す際に、騒音は生じない。
すなわち、技術水準において、滑り摩擦と比べてはるかに大きな静止摩擦に基づき考慮されるであろう、該プレス体を該空間から抜き出す際にがたがたする力の経過は生じない。公知のスリップ−スティック効果は、請求項に係る方法を実施する際に意外なことに起こらない。
【0031】
本発明による方法の実施後に、意外に高い充填率が見出される。充填率は、本発明の範囲内で、該プレス空間が該微粒状固体で充填される高さと、本発明により製造されるプレス体の高さとの比であると理解される。例えば、該空間を96mmの高さまで充填し、かつ本発明による方法の実施後に約22mmの高さを有するプレス体を得た場合に、このプレス体は、
96/22=4.36
の充填率で存在する。この充填率は、通常のプレス材料、例えば市販の砂、タイルを製造するための焼結用のセラミック粒状物の充填率と比べて、予期せずに高い。例えば、純粋な砂の場合及び同じプレス圧での充填率は、概ね2分の1未満である。
【0032】
ゆえに、本発明の対象は同様に、請求項に係る方法により得られており、かつ液圧プレスされうる微粒状固体の3.9〜4.5の充填率により特徴付けられている、プレス体である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】プレス圧に依存した密度及び充填率を示すグラフ。
【0034】
本発明による方法は以下に、実施例に基づいてより詳細に説明される。
【実施例】
【0035】
クロロシラン製造からの微粒状固体のプレス実験。
該微粒状固体は、以下に詳述される例において、クロロシランの製造用の流動層反応器の熱フィルタからのフィルタダスト、いわゆる熱ガスフィルタ灰であった。
【0036】
Alpha Ceramics社の型式Alpha 1500_120の液圧プレスを用いて実施した。その際に、円錐形開口部を有しない円筒形のDM41mmの4穴シリンダ型を使用した。それらの上パンチ及び下パンチは、硬化鋼からなっており、かつプレス空間として、高強度の窒化ケイ素セラミック(Si34)製のケースを使用した。その際に、その型表面が、きれいに除去されることに注意した。これを実行することができない場合には、鏡面板で上からプレスすることもできる。しかしながら、そうすると、該プレス体のその接触面への粘着を考慮すべきである。
【0037】
該実験において、上パンチを動かして該型中へ導入した。その際に、これらの上パンチは位置合わせされ得た。
【0038】
その極めて微細な灰に基づき、多くとも0.05mmの回転するパンチの遊びで移動され、並びに該下パンチの間での意図的な吸引除去が使用された、それというのも、該圧力の始動の際に、該下パンチに沿って材料の吹き出し(Herausblasen)が、観察され得たからである。
【0039】
各プレス空間を、96mmの高さまで、該熱ガスフィルタ灰で充填した。該実験は、プレス圧が相違し、該プレス圧は6、8、10、12もしくは14kN/cm2であり、かつそれぞれ0.5kN/cm2sのプレス速度で始動されていた。
その抜出力は、それぞれ7.5kN/cm2であった。
【0040】
本発明により得られるプレス体の寸法及び密度は、第1表にまとめられている。
【表1】
第1表.該プレス圧の関数としての該プレス体の求められたサイズの概要。
【0041】
第1表に記入されたプレス圧で実施されている各実験で、2つのガス抜き行程を使用した。
圧力2kN/cm2での第一ガス抜き行程を、0.5kN/cm2sで4sにわたって始動させ、保持せず、1s以内に低下させた。
第二ガス抜き行程を、圧力4kN/cm2で0.5kN/cm2sで8sにわたって始動させ、1s保持し、1s以内に低下させた。
【0042】
該熱ガスフィルタ灰が、14kN/cm2のプレス圧で達成されたものよりも多くはたいてい圧縮され得ないことが見出された。むしろ、密度及び充填率が、プレス圧に依存して、図1に示されたように、飽和挙動を示すことが観察された。ここでは示されていない、より高いプレス圧が使用された場合には、該プレス体中での層形成となった。
【0043】
10kN/cm2〜12kN/cm2のプレス圧で、本発明により得られるプレス体は、約2mの高さからの落下に、粉々になることなく耐えた。それゆえ、これらは、十分に良好な安定性を有するので、該反応器へ返送することができた。
図1