特許第6049912号(P6049912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049912
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】アクセルペダルユニット
(51)【国際特許分類】
   F02D 11/02 20060101AFI20161212BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20161212BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20161212BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20161212BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20161212BHJP
   F16F 1/04 20060101ALI20161212BHJP
   F16F 3/04 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F02D11/02 S
   B60K26/02
   F16F7/00 G
   G05G1/30 E
   G05G5/03 B
   F16F1/04
   F16F3/04
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-555624(P2015-555624)
(86)(22)【出願日】2014年1月8日
(65)【公表番号】特表2016-513196(P2016-513196A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】EP2014050196
(87)【国際公開番号】WO2014117965
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2015年7月29日
(31)【優先権主張番号】102013201378.7
(32)【優先日】2013年1月29日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013205281.2
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル クレスティル
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102010029199(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10250456(DE,A1)
【文献】 特開2013−014259(JP,A)
【文献】 米国特許第06332374(US,B1)
【文献】 国際公開第2005/124500(WO,A1)
【文献】 特開2012−171475(JP,A)
【文献】 特開2006−193012(JP,A)
【文献】 特開2006−176001(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/117965(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 11/02
B60K 26/02
F16F 1/04
F16F 3/04
F16F 7/00
G05G 1/30
G05G 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダル(1)と、
アクチュエータ(2)と、
制御軸(3)と、
を備え、該制御軸(3)を介して前記アクチュエータ(2)が戻しトルクを前記アクセルペダル(1)に伝達可能となっているアクセルペダルユニットであって、
前記制御軸(3)のトルクは、緩衝要素(10)を介して前記アクセルペダル(1)に伝達され
前記アクチュエータ(2)と前記制御軸(3)との間に伝動装置(24)が設けられており、
前記制御軸(3)上に、トルクを伝達する制御レバー(11)が設けられており、前記緩衝要素(10)は、一端において前記制御レバー(11)に、他端において前記制御軸(3)に接続されており、
一端で回動不能なハウジング区分(21)に固定され、他端で前記制御レバー(11)に作用する、予め付勢された状態の調整ばね(20)を備えることを特徴とする、アクセルペダルユニット。
【請求項2】
前記制御レバー(11)は、前記制御軸(3)上に回動可能に支持されている、請求項記載のアクセルペダルユニット。
【請求項3】
前記緩衝要素(10)は、前記制御軸(3)に対応する端部で、前記制御軸(3)に結合されている肩部(12)に取り付けられている、請求項1又は2記載のアクセルペダルユニット。
【請求項4】
前記緩衝要素(10)は、コイルばね、ねじりばね、曲げばね又はゴムばねとして形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のアクセルペダルユニット。
【請求項5】
前記緩衝要素(10)は、少なくとも1巻きの巻回で前記制御軸(3)を取り巻くように延びている、請求項1からまでのいずれか1項記載のアクセルペダルユニット。
【請求項6】
前記制御レバー(11)は、回転可能に支持される転動要素(16)を有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のアクセルペダルユニット。
【請求項7】
前記制御レバー(11)は、前記アクセルペダル(1)の、コーティングが施された面(17)に作用する、請求項1からまでのいずれか1項記載のアクセルペダルユニット。
【請求項8】
前記調整ばね(20)は、前記制御レバー(11)を前記アクセルペダル(1)に押し付けるか、又は逆方向に、前記アクセルペダル(1)から離間したストッパ位置に向かって押圧するように構成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のアクセルペダルユニット。
【請求項9】
前記緩衝要素(10)及び前記調整ばね(20)は、前記制御軸(3)上に回動可能に支持されるそれぞれ1つの軸受ブシュ(22)上に設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のアクセルペダルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念部に記載のアクセルペダルユニットに関する。
【0002】
従来技術
アクセルペダルと、アクチュエータと、制御軸と、を備え、制御軸を介してアクチュエータが戻しトルクをアクセルペダルに伝達可能となっているアクセルペダルユニットは、既に独国特許出願公開第102009021585号明細書において公知である。アクセルペダルユニットは、例えば車両の速度を制御したり、制限したり、あるいは速度超過時の警告装置として機能したりするために、付加的な戻し力をアクセルペダルに働かせることができる。欠点は、アクチュエータとアクセルペダルとが互いに剛結されていることにある。これにより、アクチュエータ、例えばブラシを有する直流モータの短時間のトルク落ち込み(トルクリプル)の相対量は、そのままアクセルペダルに伝達され、運転者にとって煩わしく感じられてしまう。さらなる欠点は、アクチュエータにより発生される付加的な戻し力が、様々な影響により管理不能な変動を被ることにある。一方では、高速でのペダル操作時、アクチュエータが連動して動かされることにより、慣性に起因して戻し力の望ましくない増大が起こる場合がある。他方、機械的な伝達経路には、摩擦がつきものであるため、実際にアクセルペダルに伝達される力は、温度に左右されることになる。生起されるモータトルクと、アクチュエータに印加される電流との間の関係も、温度並びに材料公差及び構成部材公差に左右される予測不能な変動を被る。
【0003】
発明の利点
これに対して、独立請求項の特徴部に記載の特徴を有する本発明に係るアクセルペダルユニットは、制御軸のトルクが緩衝要素を介してアクセルペダルに伝達されることにより、アクチュエータがアクセルペダルから機械的に絶縁されているという利点を有している。こうして、機械的に見て制御軸とアクセルペダルとの間には、ばね要素あるいは緩衝要素が配置されている。緩衝要素により、アクチュエータが生起するトルク変動は、強く緩和され、その結果、これを運転者が認識することはない。
【0004】
従属請求項に記載の構成により、独立請求項に記載のアクセルペダルユニットの好ましい態様及び改良が可能である。
【0005】
好ましい態様において、緩衝要素は、コイルばね、ねじりばね、曲げばね又はゴムばねとして形成されている。
【0006】
制御軸上に、トルクを伝達する制御レバーが設けられており、緩衝要素が、一端において制御レバーに、他端において制御軸に接続されていると、特に好ましい。
【0007】
さらに、制御レバーが、制御軸上に回動可能に支持されていると、戻しトルクがこれにより緩衝要素を介してのみ伝達されるため、好ましい。
【0008】
緩衝要素が、制御軸に対応する端部で、制御軸に結合されている肩部に取り付けられていると、緩衝要素がこれにより特に簡単に制御軸に取り付け可能であるので、極めて好ましい。
【0009】
また、緩衝要素が、少なくとも1巻きの巻回で制御軸を取り巻くように延びていると、緩衝要素がこれにより極めて省スペースに配置されているので、好ましい。
【0010】
さらに、制御レバーが、回転可能に支持される転動要素を有していると、トルクがこれにより低摩擦で制御レバーからアクセルペダルに伝達されるので、好ましい。
【0011】
さらに、制御レバーが、アクセルペダルの、コーティングが施された面に作用すると、トルクがこれによりほぼ摩擦なしにかつ低ノイズに制御レバーからアクセルペダルに伝達されるので、好ましい。
【0012】
アクセルペダルユニットが、一端で回動不能なハウジング区分に固定され、他端で制御レバーに作用する調整ばねを備えていると、好ましい。調整ばねは、その作用方向にかかわらず、アクチュエータとアクセルペダルとの間に配置される伝動装置にテンションを加える。その結果、伝動装置の歯の歯面は、互いに当接しており、これにより、伝動装置の運転中に発生するノイズは、僅かである。
【0013】
さらに、調整ばねが、制御レバーをアクセルペダルに押し付けるか、又は逆方向に、アクセルペダルから離間したストッパ位置に向かって押圧するように構成されていると、好ましい。第1の変化態様において、調整ばねは、戻しばねとして緩衝要素のばね力に抗して作用する。第2の変化態様において、調整ばねは、減衰要素の方向で作用し、アクセルペダルにおける制御レバーの常時の当接を提供し、これによりアクチュエータは、特に迅速に力をアクセルペダルに導入可能である。
【0014】
さらに、緩衝要素及び調整ばねが、制御軸上に回動可能に支持されるそれぞれ1つの軸受ブシュ上に設けられていると、ばねがこれにより良好に案内されており、機械的な負荷が作用しても不特定に破損することがなくなるので、好ましい。
【0015】
本発明の一実施の形態を図面に略示し、以下の説明において詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るアクセルペダルユニットの3次元図である。
図2図1に示した本発明に係るアクセルペダルユニットを上から見た図である。
【0017】
実施の形態の説明
図1は、本発明に係るアクセルペダルユニットを3次元図で示してある。
【0018】
本発明に係るアクセルペダルユニットは、回動可能に支持されたアクセルペダル1と、アクチュエータ2と、制御軸3とを有している。アクチュエータ2は、制御軸3を介して戻しトルクをアクセルペダル1に伝達することができる。こうしてアクセルペダルユニットは、例えば速度を能動的に制限したり、速度超過を示唆したりといった機能を担うことができる。
【0019】
アクセルペダル1は、回動軸線4周りに回動可能に支持されており、足で操作される第1のレバーアーム5と、アクチュエータ2により操作される第2のレバーアーム6とを有している。第1のレバーアーム5と第2のレバーアーム6とは、回動軸線4に関して互いに反対側に位置している。アクチュエータ2は、例えば直流モータ、DCモータ又はブラシレスモータである。
【0020】
制御軸3は、回動可能に支持、例えば少なくとも1つの軸受において回動可能に支持されている。
【0021】
本発明において、制御軸3のトルクは、緩衝要素10を介してアクセルペダル1に伝達されるようになっている。こうして、アクチュエータ2が通電されると、制御軸3は、所定の戻し力をアクセルペダル1に加える。緩衝要素10は、本実施の形態では、コイルばねとして形成されているが、ねじりばね、曲げばね又はゴムばねであってもよい。コイルばねとして形成されている場合、緩衝要素10は、少なくとも1巻きの巻回で制御軸3を取り巻くように延びており、つまり、制御軸3上に配置され、支持されている。本実施の形態では、緩衝要素10は、30Nmm/度〜80Nmm/度の範囲のばね剛性を有している。緩衝要素10は、コイルばねである場合、螺旋状あるいはつるまき線状に取り巻くように延びている。
【0022】
制御軸3には、トルクをアクセルペダル1に伝達する制御レバー11が設けられている。緩衝要素10は、一端において制御レバー11に、他端において制御軸3に接続されている。本実施の形態では、緩衝要素10は、他端において制御軸3に接続されている。制御レバー11は、制御軸3に回動可能に支持、例えば制御レバー11に設けられた開口を制御軸3が貫通することにより、制御軸3に回動可能に支持されて配置されている。こうして、トルクが緩衝要素10を介してのみアクセルペダル1に伝達され、制御軸3からアクセルペダル1に直接伝達されないことが達成される。緩衝要素10は、制御レバー11に対応する端部で、例えば制御レバー11に設けられた開口に挿入されているか、又は収容部に引っ掛けて留められている。緩衝要素10は、制御軸3に対応する端部で、例えば制御軸3に相対回動不能に結合されている肩部12あるいは制御軸3に相対回動不能に結合されているレバーアーム12に取り付けられている。肩部あるいはレバーアーム12は、本実施の形態では、別体のディスク状又はプレート状の構成部材であり、相対回動不能に制御軸3に、例えば形状結合(formschluessig:形状による束縛)及び力結合(kraftschluessig:摩擦力等の力による束縛)を介して取り付けられている。しかし、肩部12は、もちろん素材結合(stoffschluessig:化学結合による束縛)を介して制御軸3に結合されていてもよい。肩部12を省略し、緩衝要素10を制御軸3に直接取り付けてもよい。緩衝要素10は、肩部12側の端部で、例えば肩部12に設けられた開口13に挿入されているか、又は収容部に引っ掛けて留められている。制御レバー11には、回転可能に支持された転動要素16が設けられていてもよい。転動要素16は、アクセルペダル1の第2のレバーアーム6の所定の面17に作用する。この面17と制御レバー11の転動要素16との間の摩擦を低減するために、面17に所定のコーティングが設けられていてもよい。
【0023】
一端で回動不能なハウジング区分21に固定され、他端で制御レバー11に作用する調整ばね20が設けられていてもよい。調整ばね20は、緩衝要素10と同様、例えば制御軸3上に配置されており、例えばコイルばね又は渦巻きばねとして形成されている。調整ばね20は、コイルばねであるとき、螺旋状あるいはつるまき線状に制御軸3を巻回するように延び、渦巻きばねであるとき、渦巻き状に制御軸3を取り巻くように延びている。渦巻きばねが制御軸3に関して軸方向で必要とする構成スペースは、特に僅かである。調整ばね20には、この調整ばね20に当接してノイズ及び/又は振動を和らげる要素(図示せず)が設けられていてもよい。
【0024】
ハウジング区分21は、例えばいわゆる軸受ブラケットにより形成されている。軸受ブラケットによりアクセルペダルユニットは、車両に取り付けられる。調整ばね20は、制御レバー11をアクセルペダル1に押し付けるか、又は逆方向に、アクセルペダル1から離間したストッパ位置に向かって押圧するように構成されていてもよい。第1の変化態様によれば、調整ばね20は、戻しばねとして緩衝要素10のばね力に抗して作用する。第2の変化態様によれば、調整ばね10は、緩衝要素10の方向に作用し、制御レバー11をアクセルペダル1に常時当接させ、これによりアクチュエータ2は、特に迅速に力をアクセルペダル1に導入可能である。両態様において、調整ばね20は、弾性的に付勢された状態で組み付けられている。調整ばね20は、例えば一端で、ハウジング区分21に設けられた開口に挿入されており、他端で、予め付勢された状態で例えば固定されることなく制御レバー11に当接している。
【0025】
緩衝要素10及び調整ばね20は、制御軸3上に回動可能に支持されたそれぞれ1つの軸受ブシュ22上に配置されていてもよい。調整ばね20の軸受ブシュは、制御レバー11と一体的に形成されていてもよい。それぞれの軸受ブシュ22を省略し、制御軸3の直径を、制御軸3自体がばね10,20の案内及び支持を担うように形成してもよい。
【0026】
さらにアクチュエータ2と制御軸3との間に伝動装置24が設けられていてもよい。伝動装置24は、アクチュエータ2の回転運動を所定の減速比で伝達する。調整ばね20は、その作用方向にかかわらず伝動装置24にテンションを加え、その結果、伝動装置24内での歯面の切り換わりは発生しない。これにより伝動装置24は、極めて静粛である。伝動装置24は、例えば円筒歯車伝動装置又はウォーム伝動装置である。ウォーム伝動装置は、セルフロック式に形成されていても、非セルフロック式に形成されていてもよい。緩衝要素10は、伝動装置24が動かなくなってしまった場合に、非常走行運転を可能にするために、アクセルペダル1がなおも少なくとも5°の分だけ変位可能であるように形成されている。つまり、緩衝要素10は、この少なくとも5°の範囲内では変位不能状態に至ってはならない。アクセルペダル1が操作され、伝動装置24が動かないとき、アクセルペダル1によりトルクが緩衝要素10に及ぼされる。その結果、緩衝要素10は、弾性変形される。
【0027】
図2は、図1に示した本発明の係るアクセルペダルユニットを上から見た図である。
【0028】
図2に示したペダルユニットにおいて、図1に示したペダルユニットと同一又は機能同一の部分には、同一の符号を付してある。
【0029】
アクチュエータ2及び伝動装置24は、本実施の形態では、ハウジング区分21の、アクセルペダル1とは反対側に配置されており、制御軸3は、貫通開口23を介してハウジング区分21を貫通している。例えば貫通開口23には、制御軸3のための回転支持部が設けられている。
図1
図2