(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049943
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】流動床反応器に接続可能な粒子分離器アセンブリ及び流動床反応器
(51)【国際特許分類】
B01D 45/12 20060101AFI20161212BHJP
B04C 5/103 20060101ALI20161212BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20161212BHJP
B04C 5/20 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
B01D45/12
B04C5/103
B01J8/24
B04C5/20
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-515972(P2016-515972)
(86)(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公表番号】特表2016-531726(P2016-531726A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】FI2015050442
(87)【国際公開番号】WO2016005655
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】20145664
(32)【優先日】2014年7月9日
(33)【優先権主張国】FI
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506425251
【氏名又は名称】エイメック フォスター ウィーラー エナージア オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランキネン、ペンッティ
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平6−193809(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0024694(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第0763384(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第0205718(EP,A1)
【文献】
米国特許第3814063(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第1009034(GB,A)
【文献】
英国特許出願公開第1015838(GB,A)
【文献】
米国特許第6802890(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0103691(US,A1)
【文献】
特表2010−540246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/12
B01J 8/24
B04C 5/103
B04C 5/081
B04C 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床反応器(10)の反応室(12)から排気されたガスから粒子を分離するために、前記流動床反応器(10)に接続可能な粒子分離器アセンブリであって、少なくとも6つのコーナーを備える多角形の水平横断面を形成する水管パネル壁(22)によって密閉された垂直ボルテックス・チャンバー(21)と、前記水管パネル壁(22)の支持構造体(40)とを備える、粒子分離器アセンブリにおいて、前記支持構造体(40)が、少なくとも1つの水平に配置された円形梁(42)を備え、前記円形梁(42)が、前記水管パネル壁(22)の外側に配置され、径方向に延びる締結手段(50)によって前記水管パネル壁(22)の少なくとも3つに取り付けられ、前記少なくとも1つの円形梁が、完全な円を形成し、又は前記少なくとも1つの円形梁が、完全な円の少なくとも75%を覆う部分的な円を形成し、前記部分的な円が、リジッド支持構造体(18)に取り付けられた端部を備えることを特徴とする、粒子分離器アセンブリ。
【請求項2】
前記締結手段(50)が、前記少なくとも3つの水管パネル壁(22)のそれぞれに取り付けられた複数の締結手段(50)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項3】
前記締結手段(50)が、前記少なくとも3つの水管パネル壁(22)のそれぞれに取り付けられた複数の等間隔をあけて配置された締結手段(50)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの水平に配置された円形梁が、環境から熱絶縁され、前記ボルテックス・チャンバーと同じ空間に入れられることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項5】
等間隔をあけて配置された締結手段(50)が、前記少なくとも3つの水管パネル壁(22)のそれぞれに、前記水管パネル壁(22)の垂直縁部から距離をあけて取り付けられることを特徴とする、請求項4に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの円形梁(42)が、異なるレベルで前記少なくとも3つの水管パネル壁(22)に取り付けられた複数の水平に配置された円形梁を備えることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項7】
前記複数の円形梁(42)が、前記ボルテックス・チャンバー(21)の周りに完全な円を形成する少なくとも1つの円形梁を備えることを特徴とする、請求項6に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項8】
前記複数の円形梁(42)が、完全な円の少なくとも75%を覆う部分的な円を形成する少なくとも1つの円形梁を備えることを特徴とする、請求項6に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項9】
前記複数の円形梁(42)が、完全な円の少なくとも75%を覆う部分的な円を形成する少なくとも1つの円形梁を備え、前記円形梁が、前記ボルテックス・チャンバーの上部部分に取り付けられ、前記ボルテックス・チャンバー(21)の入口チャネル(24)近傍に間隙を有することを特徴とする、請求項8に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの水平に配置された円形梁(42)が、円形若しくは方形の横断面を有し、又は、前記円形梁が、円形に曲げられたIビーム若しくはUビームとして形成されることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項11】
前記径方向に延びる締結手段(50)が、径方向に延びるプレートであることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項12】
前記水管パネル壁(22)が、水管(52)と、前記水管(52)同士の間に配置されたフィン(54)とを備え、前記径方向に延びるプレート(50)が、溶接によって前記フィン(54)に取り付けられることを特徴とする、請求項11に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項13】
前記多角形の横断面が、8〜16個のコーナーを備えることを特徴とする、請求項1に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項14】
前記多角形の横断面が、16個のコーナーを備えることを特徴とする、請求項13に記載の粒子分離器アセンブリ。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一項に記載の粒子分離器アセンブリを備える流動床反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の流動反応器に接続可能な粒子分離器アセンブリ及びそのような粒子分離器アセンブリを備える流動床反応器に関する。より具体的には、本発明は、流動床反応器の反応室から排気されたガスから粒子を分離する粒子分離器アセンブリに関し、粒子分離器アセンブリは、多角形の水平横断面を形成する水管パネル壁によって密閉された垂直ボルテックス・チャンバーと、水管パネル壁の支持構造体とを備える。
【背景技術】
【0002】
流動床反応器は、通常、燃料を燃焼又は気化させる反応室と、反応室からの排気ガス及び固体粒子を粒子分離器へ排出するように反応室の上部部分に接続された少なくとも1つの排出チャネルとを備える。粒子分離器内で固体粒子を排気ガスから分離し、粒子の少なくとも一部分を、戻りチャネルを介して反応室の下部部分へ戻す。
【0003】
流動床反応器内、特に流動床ボイラー内で使用される粒子分離器は、概して、円筒形の上部部分と円錐形の下部部分とを有するサイクロン分離器である。従来の構造によれば、円筒形の上部部分は、円形の横断面を有するが、過去20年にわたって、正方形又は八角形の横断面などの多角形の横断面が、ますます一般的になってきた。それに対応して、円錐形の下部部分の横断面は、円形から異なる多角形の形状へ変動することができる。
【0004】
現在の設計プラクティスによれば、反応室の壁、並びに粒子分離器の壁は、垂直水管と管同士の間のプレート状フィンとからなる水管パネル壁である。そのような水管壁の問題は、壁の寸法を考慮すると壁の強度が比較的弱い可能性があり、したがってこれらの壁は、反応室内に燃料の燃焼によって生成される重い応力又は圧力差に耐えることができない。したがって、水管壁は、概して、支持構造体によって補強され、通常は反応室の各側壁に取り付けられたいわゆるバックステーによって補強される。そのような梁状のバックステーは、概して、各側壁の中心部分にしっかりと取り付けられるが、側壁の縁部部分への接続は、梁の軸方向の相対運動を可能にし、梁及び壁の熱膨張差を可能にする。それによって、壁全体にわたって圧力差によって生成される負荷の補償は、対応する梁の曲げ応力によって助けられる。
【0005】
英国特許出願公開第1,009,034号は、方形の燃焼室の管壁又は蒸気ボイラーのガス通路に対する冷却式の支持フレーム構造を開示している。支持フレーム構造は、燃焼室又はガス通路の周りに水平に配置された連続する又は区分されたリングフレームを備える。リングフレームは、管を通って冷却流体を循環させるように、円形又は方形の横断面の中空の管から構築することができる。そのような冷却式のリングフレームは、構築するのが困難であり、壁の曲げを防止するには弱すぎる傾向がある。英国特許出願公開第1,015,838号は、英国特許出願公開第1,009,034号の設計の改善例を示しており、冷却式のリングフレームが、従来のスチールの支持梁によってさらに支持される。
【0006】
多角形の横断面を有する粒子分離器の壁は、壁のそれぞれに水平梁を接続して粒子分離器の外周に対応するフレームを形成することによって補強することができる。大型の粒子分離器は、異なるレベルで粒子分離器の壁に取り付けられた複数のそのようなフレームによって支持される。しかし、これは溶接又はボルト締めなどの多くの建設段階を必要とすることがあり、建設コストを増加させ、分離器構造の重量を重くする。
【0007】
米国特許出願公開第2010/024694号及び欧州特許出願公開第0763384号は、流動反応器に接続可能な粒子分離器アセンブリ及びそのような粒子分離器アセンブリを開示しており、その分離器は、複数の管パネル壁によって形成される多角形の水平横断面を有するボルテックス・チャンバーを備える。米国特許第6,802,890号は、流動床反応器の反応室に取り付けられた八角形の粒子分離器のアセンブリを開示している。粒子分離器の平行壁、並びに分離器及び反応室の平行壁は、水平支持梁を使用することによって互いに対して支持される。この構造は、重い支持梁を必要とするが、それでもなお、八角形の粒子分離器のパネル壁のそれぞれに対する支持を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許出願公開第1,009,034号
【特許文献2】英国特許出願公開第1,015,838号
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/024694号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0763384号
【特許文献5】米国特許第6,802,890号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の解決策と比較すると重量が低減され、性能が改善された、流動床反応器の粒子分離器アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、本発明は、流動床反応器の反応室から排気されたガスから粒子を分離するために、流動反応器に接続可能な粒子分離器アセンブリを提供し、粒子分離器アセンブリは、多角形の水平横断面を形成する水管パネル壁によって密閉された垂直ボルテックス・チャンバーと、水管パネル壁の支持構造体とを備え、多角形の水平横断面は、少なくとも6つのコーナーを備え、支持構造体は、少なくとも1つの水平に配置された円形梁を備え、円形梁は、水管パネル壁の外側に配置され、径方向に延びる締結手段によって水管パネル壁の少なくとも3つに取り付けられ、少なくとも1つの円形梁は、完全な円を形成し、又は少なくとも1つの円形梁は、完全な円の少なくとも75%を覆う部分的な円を形成し、部分的な円は、
リジッド支持構造体にしっかりと取り付けられた端部を備える。
【0011】
概して、多角形のチャンバの平面の密閉壁全体にわたって圧力差が作用するとき、壁のそれぞれの中心部分は、外方又は内方に曲がるのに対して、チャンバのコーナーは、実質的に静止したままである。従来の水平のバックステーが壁の中心部分にしっかりと固定され、壁の縁部付近の部分に摺動可能に固定されるとき、壁は、バックステーも曲げなければ曲がることができない。それによって、従来のバックステーは、バックステーの曲げモーメントによって壁の曲げに耐える。本発明によれば、径方向に延びる締結手段によって水管パネル壁の少なくとも3つに、少なくとも1つの水平に配置された円形梁が取り付けられる。それによって、円形梁を伸ばさなければ壁を曲げることはできず、したがって円形梁もまた、梁の張力によって壁の曲げに耐える。
【0012】
本発明の一実施例によれば、締結手段は、少なくとも3つの水管パネル壁のそれぞれに取り付けられた複数の締結手段を備え、締結手段は、好ましくは、水管パネル壁のそれぞれに実質的に等間隔をあけて取り付けられる。締結手段の配置のため、特にボルテックス・チャンバーの多角形の横断面内のコーナーの数が比較的多い場合、圧力差の負荷は、円形梁に実質的に均一に分散される。本発明の好ましい実施例によれば、多角形の横断面は、8〜16個のコーナー、最も好ましくは8つ、12個、又は16個のコーナーを備える。場合によっては、特に非常に大型の粒子分離器の場合、コーナーの数は、24個など、16個よりさらに多くすることができる。
【0013】
粒子分離器アセンブリ内の熱膨張差によって引き起こされる張力を最小にするため、円形梁は、有利には、環境から熱絶縁され、ボルテックス・チャンバーと同じ空間に入れられる。水管パネル壁に取り付けられた複数の締結手段は、有利には、ボルテックス・チャンバーと円形梁との間の温度差を最小にするために、ボルテックス・チャンバーから円形梁への熱伝達が比較的良好になるように設計される。
【0014】
締結手段が水管パネル壁に実質的に等間隔をあけて取り付けられた場合でも、好ましくは、締結手段は、多角形の横断面のコーナー、すなわち水管パネル壁同士の間の縁部には取り付けられない。したがって、締結手段は、好ましくは、壁の垂直縁部から距離をあけて、パネル壁の中心部分のみに取り付けられる。この理由は、パネル壁の中心部分は形状を変形することが可能であるのに対して、縁部領域は実質的に
リジッドであるためである。
【0015】
概して、流動床ボイラーの粒子分離器は、垂直に長い全体形状を有し、すなわち幅より実質的に大きい高さを有する。それに対応して、水管パネル壁の支持構造体は、有利には、異なるレベルで水管パネル壁に取り付けられた複数の水平に配置された円形梁を備える。
【0016】
本発明による円形梁は、概して、一定又は少なくとも実質的に一定の曲率を有する。典型的には、複数の円形梁は、ボルテックス・チャンバーの周りに完全な円を形成する1つ又は複数の円形梁を備える。したがって本明細書では、円形梁という用語は、丸い又は少なくとも実質的に丸い形状を有する梁を意味する。したがって、ボルテックス・チャンバーが多角形の水平横断面を有するが、ボルテックス・チャンバーの外部形状と支持構造体の梁の内部形状との間には、明確な違いがある。
【0017】
円形梁の半径は、典型的には、ボルテックス・チャンバーの中心からボルテックス・チャンバーのパネル壁の外縁部までの対応する距離より、1〜5%など、わずかに大きい。当然、パネル壁の中心領域では、円形梁から壁までの距離は、壁の縁部の場合より大きい。したがって、径方向に延びる締結手段の径方向の範囲は、概して、壁の縁部により近い領域内より、パネル壁の中心領域で大きい。
【0018】
本発明による円形梁は、連続する円形梁を集合的に形成するようにともにしっかりと接続された2〜4つなど、複数の円形部分から形成することができる。驚くべきことに、本発明の発明者は、所望の支持効果を提供する支持構造体の設計を、まっすぐな梁を使用することに基づく従来の構造から本発明の構造に変化させることで、支持構造体の重量を60〜80%も節約することができることに気付いた。
【0019】
概して、完全な円を形成する円形梁は、有利には、可能なときは常に使用され、すなわちボルテックス・チャンバーの上部の円筒形の部分並びにボルテックス・チャンバーの下部の円錐形の部分の一部分で使用される。流動床反応器に接続され又は接続可能なボルテックス・チャンバーの上部部分は、流動床反応器の反応室からの入口チャネルを備える。入口チャネルの領域内では、完全な円の形状の円形の支持梁を使用することが可能でない。したがって、本発明の好ましい実施例によれば、支持構造体の円形梁は、完全な円の少なくとも75%を覆う部分的な円を形成する少なくとも1つの円形梁を備える。したがって、部分的な円を形成する円形梁は、有利には、ボルテックス・チャンバーの上部部分に取り付けられ、その結果、ボルテックス・チャンバーの入口チャネル近傍に間隙を有する。所望の有利な支持構造体を提供するために、部分的な円は、有利には、
リジッド支持構造体にしっかりと取り付けられた端部を備える。そのような
リジッド支持構造体は、有利には、ボルテックス・チャンバーの入口チャネルの支持構造体として使用される。
【0020】
本発明による円形梁は、好ましくは、適した組成のスチールから作られる。本発明の好ましい実施例によれば、円形梁は、梁の方向に直交して、円形又は方形の横断面を有する。別法として、梁は、有利には、円形に曲げられたIビーム又はUビームとして作ることができる。
【0021】
径方向に延びる締結手段は、有利には、径方向に延びるプレートである。本発明の好ましい実施例によれば、径方向に延びるプレートは、水管同士の間の垂直に配向されたフィンに溶接によって取り付けられる。別法として、締結手段は、水管の周りに取り付けられたスカロップ棒とすることができる。円形梁は、溶接又は適したクランプの使用など、当業者には一般的に知られている任意の適した方法によって、締結手段に取り付けることができる。
【0022】
別の態様によれば、本発明は、上記のような粒子分離器アセンブリを備える流動床反応器を提供する。したがって、本発明は、多角形のボルテックス・チャンバーを有する粒子分離器アセンブリと、そのような粒子分離器アセンブリを有する流動床反応器とを提供し、粒子分離器アセンブリは、多角形のボルテックス・チャンバーの壁を効率的に強化する簡単且つ軽量の支持構造体を備える。
【0023】
上記の簡単な説明、並びに本発明のさらなる目的、特徴、及び利点は、本発明による現在好ましいがそれにもかかわらず例示的な実施例の以下の詳細な説明を、添付の図面と併せて参照することによって、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例による粒子分離器アセンブリを有する流動床反応器を示す概略図である。
【
図2a】
図1による粒子分離器アセンブリの横断面A−Aを示す概略図である。
【
図2b】
図1による粒子分離器アセンブリの横断面B−Bを示す概略図である。
【
図3】
図2bによる粒子分離器アセンブリの横断面の部分Cを示す概略図である。
【
図4】円形梁を水管パネル壁に取り付ける異なる例示的な可能性を示す概略図である。
【
図5】円形梁を水管パネル壁に取り付ける異なる例示的な可能性を示す概略図である。
【
図6】円形梁を水管パネル壁に取り付ける異なる例示的な可能性を示す概略図である。
【
図7】円形梁を水管パネル壁に取り付ける異なる例示的な可能性を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施例による粒子分離器アセンブリ20に接続された流動床反応器10の側面図を概略的に示す。流動床反応器10は、後壁14を有する反応室12と、反応室12の後壁側に接続された粒子分離器アセンブリ20とを備える。粒子分離器アセンブリ20は、多角形の水平横断面(たとえば、
図2a参照)を形成する水管パネル壁22によって密閉されたボルテックス・チャンバー21を備える。多角形の横断面は、水管パネル壁同士の間に少なくとも6つ、好ましくは8〜16個のコーナーを備える。実際には、流動床反応器は、複数の粒子分離器を備えることができるが、簡単にするために
図1には1つのみを示す。
【0026】
流動床反応器10は、反応室12からのガス及び固体粒子をボルテックス・チャンバー21内へ導入する入口チャネル24を備える。ボルテックス・チャンバー21の上部部分には、精製されたガスをさらに処理するためにボルテックス・チャンバー21から排出する出口導管28が接続される。実際には、反応器10はまた、熱回収及び煙道ガスの洗浄のための手段などの他のユニットを備えるが、これらは本発明にとって本質的ではないため、
図1には図示しない。図全体を通して、同じ要素又は部分を同じ参照文字で示すことに留意されたい。
【0027】
ボルテックス・チャンバー21は、円筒形の上部部分23と、円錐形の下部部分26とを備える。円錐形の下部部分26には、分離された固体粒子をボルテックス・チャンバー21から反応室12の下部部分へ排出する戻りチャネル30が接続される。円錐形の下部部分26は、密閉壁によって密閉される。密閉壁は、ボルテックス・チャンバー21の横断面が戻りチャネル30に向かって減少するように傾斜している。戻りチャネル30は、分離された粒子を冷却する熱交換室を備えることができる(
図1には図示せず)。
【0028】
粒子分離器アセンブリ20は、ボルテックス・チャンバー21の水管パネル壁22に支持構造体40が取り付けられた状態で配置される。支持構造体40は、複数の水平に配置された円形梁42を備え、円形梁42は、ボルテックス・チャンバー21の周りに少なくとも部分的に延びる。言い換えれば、支持構造体40は、異なるレベルで水管パネル壁22に取り付けられた複数の円形梁42を備える。
図1では、5つの円形梁42がボルテックス・チャンバー21に取り付けられているが、実際には、円形梁42の数は、通常、5つより多い。ただし、5つ未満とすることもできる。
【0029】
ボルテックス・チャンバー21の円筒形の上部部分23に取り付けられた円形梁42のうち最も上の2つは、部分的なリングである。
図2aによりよく見ることができるように、部分的なリングは、完全なリングの約85%を覆い、入口チャネル24近傍に間隙を有する。部分的なリングの端部は、有利には、入口チャネル24の側壁に取り付けられた
リジッド支持構造体18にしっかりと取り付けられる。
図1によれば、支持構造体40の円形梁42はまた、ボルテックス・チャンバー21の円筒形の上部部分23の下部部分に取り付けられた2つの完全なリングと、ボルテックス・チャンバー21の円錐形の下部部分26に取り付けられた1つの完全なリングとを備える。
【0030】
図2aは、入口チャネル24のレベルにおけるボルテックス・チャンバー21の上部部分の水平横断面A−Aを概略的に示す。ボルテックス・チャンバー21は、実質的に規則的な八角形の横断面、すなわち水管パネル壁同士の間に8つのコーナーを有する横断面を全体として形成する水管パネル壁22によって密閉される。
水管パネル壁22の支持構造体40は、締結手段50によって
水管パネル壁22に取り付けられた円形梁42.1を備える。締結手段50は、好ましくは、溶接によって水管パネル壁22及び円形梁42に固定されたスチールのプレートである。しかし、円形梁42.1を
締結手段50に取り付け、
締結手段50を水管パネル壁22に取り付けることは、たとえば溶接又は機械式固定要素に基づく任意の従来の手段によって実行することができる。
【0031】
円形梁42.1は、ボルテックス・チャンバー21を部分的に取り囲み、又はより具体的には、支持構造体40の水平横断面は、完全なリングの約85%を覆う。
図2aにはっきり見えるように、円形梁42.1は、ボルテックス・チャンバー21の横断面形状、又は、ボルテックス・チャンバー21の水管パネル壁22の横断面形状を正確にたどるわけではない。逆に、締結手段50が配置される円形梁42.1と水管パネル壁22との間の距離は、それぞれの
水管パネル壁22の位置に応じて変動する。
【0032】
締結手段50は、好ましくは、水管パネル壁22のそれぞれに実質的に等間隔をあけて取り付けられる。しかし、水管パネル壁同士の間のコーナーは、壁の中心部分と比較すると実質的に
リジッドであるため、締結手段50は、好ましくは、水管パネル壁22の垂直縁部から距離をあけた状態でのみ取り付けられる。円形梁42.1の端部25、25’は、有利には、入口チャネル24の側壁27、27’の
リジッド支持構造体18、18’にしっかりと取り付けられる。
【0033】
図2bは、入口チャネル24のレベルより下のボルテックス・チャンバー21の上部部分の水平横断面B−Bを概略的に示す。ボルテックス・チャンバー21は、実質的に規則的な八角形の横断面を形成する水管パネル壁22によって密閉される。
水管パネル壁22の支持構造体40は、円形梁42.2を備える。円形梁42.2は、ボルテックス・チャンバー21を全体的に取り囲むため、
図2aに示す円形梁42.1とは異なる。したがって、円形梁42.2は、完全な円を形成し、すなわち完全なリングを覆う。円形梁42.2は、実質的に等間隔をあけて隔置された径方向に延びる締結手段50によって水管パネル壁に取り付けられる。したがって、
水管パネル壁22にかかる圧力差による力には、特に事実上、円形梁42.2に実質的に均一に分散させることによって耐える。
【0034】
図3は、
図2bによるボルテックス・チャンバー21の横断面B−Bの部分Cをより詳細に概略的に示す。ボルテックス・チャンバー21の水管パネル壁22は、垂直
水管52と、
水管52同士の間に配置されたフィン54とを備える。支持構造体40の円形梁42は、たとえば前述のようなプレートとすることができる締結手段50によって、水管パネル壁22のフィン
54に取り付けられる。締結手段50がプレートである場合、プレートの一方の端部が、水管パネル壁22、特に水管パネル壁22のフィン54に溶接され、プレートのもう一方の端部は、支持構造体40の円形梁42上に溶接される。
【0035】
図3では、パネルに直交して水管パネル壁22に固定された状態の
締結手段50を示す。これは、特に水管パネル同士の間のコーナー付近で、
締結手段50が円形梁42に直交しないことを意味する。別の可能性によれば、プレートは、円形梁に直交して円形梁42に固定されるように水管パネルに取り付けられ、それによって、プレートは、特にコーナー付近では、水管パネルに直交しない。当然、第3の可能性は、前述の可能性同士の間の妥協案である。
【0036】
図4は、支持構造体40の円形梁42をボルテックス・チャンバー21の水管パネル壁22に締結する一例を概略的に示す。したがって、
図4は、水管パネル壁22の垂直横断面を示しており、円形梁42が、水管パネル壁22の中へ、
締結手段50によって取り付けられる。
締結手段50の一方の端部は、たとえば溶接によって水管パネル壁22に取り付けられ、
締結手段50のもう一方の端部は、クランプ44によって円形梁42に取り付けられる。この例では、円形梁42は、円形の横断面を有するパイプであり、
締結手段50は、半円形の空間を備え、その空間内に円形梁42が取り付けられる。
【0037】
図5〜7は、円形梁42を水管パネル壁22に締結する他の例を示し、円形梁は、方形の横断面を有し、又は、それぞれIビーム若しくはUビームから形成される。
図5では、2つの水平スカロップ棒
56の間に、方形の横断面を有する円形梁が取り付けられており、2つの水平スカロップ棒
56は、水管パネル壁22の垂直水管を横切って取り付けられている。
図6及び
図7は、それぞれ円形に曲げられたIビーム及びUビームとして形成された円形梁42を示しており、円形梁42は、機械的に、又は溶接によって、径方向に延びる
締結手段50に取り付けられる。
【0038】
本発明について、現在最も好ましい実施例と考えられるものに関連する例として本明細書に説明したが、本発明は、開示の実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に定義されるように、その特徴の様々な組合せ又は修正例、及び本発明の範囲内に含まれるいくつかの他の適用例を包含することが意図されることを理解されたい。上記のあらゆる実施例に関連して述べた詳細は、そのような組合せが技術的に実現可能であるとき、別の実施例に関連して使用することができる。支持構造体の円形梁の少数の例のみを図に示したが、支持構造体の円形梁の形状は、これだけに限定されるものではないことに留意されたい。加えて、
図1は、1つの粒子分離器のみを示すが、実際には、粒子分離器の数は流動床反応器によって変動することができる。