(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたシートベルトリトラクタでは、各係止突起11d〜11fが各係止孔2h〜2jに係止された際の、各係止孔2h〜2jの深さ方向における掛かり代は、フレーム2の板厚により決定される。このため、軽量化のためにフレーム2の板厚を薄くした場合には、各係止孔2h〜2jの深さ方向における掛かり代を確保できない虞がある。
【0006】
また、各係止孔2h〜2jに嵌入した各係止突起11d〜11fの先端部を各係止孔2h〜2jから突出させて、各係止孔2h〜2jの端縁部に各係止突起11d〜11fの半径方向における引っ掛かり部を設けている。しかし、左側壁2bの内側に突出する各係止突起11d〜11fと、ウエビング巻取部4aに巻き取られるウエビング3との干渉を避けるために、各係止突起11d〜11fの突出量を短くした場合には、各係止突起11d〜11fの各係止孔2h〜2jに対する引っ掛かり強度が低下する虞がある。
【0007】
これらにより、フレーム2の小型化、軽量化を目的としてフレーム2の板厚の薄型化や幅方向の小型化を行った場合に、カバー11のフレーム2への取付強度を確保することが難しいという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができるシートベルト用リトラクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため請求項1に係るシートベルト用リトラクタは、ウエビングを巻回収納する巻取ドラムと、前記巻取ドラムが挿通されて回転可能に取り付けられる相対向する一対の側壁部と、該一対の側壁部を連結する少なくとも1つの連結壁部とを有するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられる取付部材と、を備え、前記ハウジングは、
前記一対の側壁部及び前記連結壁部のうち少なくとも一つに設けられた取付貫通孔の一方の壁面上の周縁部から縁部に沿って、又は、前記一対の側壁部及び前記連結壁部のうち少なくとも一つにおける一方の壁面上の端縁部から縁部に沿ってリブ状に突出するリブ部と、
前記一方の壁面とは反対側の壁面における前記リブ部の基端部に対して反対側の
位置に形成された所定深さ窪む係合凹部と、を有し、前記取付部材は、前記リブ部が嵌入される嵌合凹部と、前記嵌合凹部に嵌入された前記リブ部の
前記縁部側面に当接
した状態で該嵌合凹部から所定長さ突出して、先端部が前記係合凹部に係止される係止部と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記リブ部は、前
記取付貫通孔の
前記一方の壁面上の周縁部の全周に渡って立設され、前記係合凹部は、前記取付貫通孔における前記リブ部に対して反対方向の周縁部に、前記リブ部の基端部の反対側に位置するように全周に渡って形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係るシートベルト用リトラクタは、請求項2に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記係止部は、前記嵌合凹部の底面部の中央部に形成されたピン挿入孔と、前記ピン挿入孔の周縁部に所定の間隔で立設され
て、前記リブ部が前記嵌合凹部に嵌入された状態で、前記リブ部内に嵌入される複数の係止片と、前記複数の係止片の間に
前記ピン挿入孔を介して圧入され
た状態で、前記複数の係止片の先端部を前記係合凹部に係止する圧入ピンと、を有
することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係るシートベルト用リトラクタは、請求項2に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記係止部は、前記嵌合凹部の底面部の略中央部に形成されたピン挿入孔と、前記ピン挿入孔の周縁部の一部分に立設され
て、前記リブ部が前記嵌合凹部に嵌入された状態で、前記リブ部内に嵌入される係止片と、前記係止片と前記リブ部との間に
前記ピン挿入孔を介して圧入され
た状態で、前記係止片の先端部を前記係合凹部に係止する圧入ピンと、を有
することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記リブ部は、前
記取付貫通孔の
前記一方の壁面上の周縁部の一部分に立設され、前記係合凹部は、前記取付貫通孔における前記リブ部に対して反対方向の周縁部に、前記リブ部の基端部の反対側に位置するように形成され、前記係止部は、前記嵌合凹部の底面部に形成されたピン挿入孔と、前記ピン挿入孔の周縁部に
、前記リブ部が前記嵌合凹部に嵌入された状態で、前記リブ部の内側に当接するように立設された係止片と、
前記係止片と前記取付貫通孔の前記リブ部に対向する周縁部との間に前記ピン挿入孔を介して圧入された状態で、前記係止片の先端部を前記係合凹部に係止する圧入ピンと、を有
することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係るシートベルト用リトラクタは、請求項1に記載のシートベルト用リトラクタにおいて、前記リブ部は、前記
一方の壁面上の端縁部から縁部に沿って所定幅で立設され、前記係合凹部は、前記端縁部の前記リブ部の基端部に対して反対方向の縁部に沿って該リブ部の反対側に位置するように形成され、前記係止部は、前記嵌合凹部の端縁部から前記リブ部とほぼ同じ所定幅で前記リブ部に沿って所定長さ突出した係止片と、前記係止片の先端部に前記係合凹部側に突出するように形成され
ており、前記リブ部が前記嵌合凹部に嵌入された状態で前記係合凹部に係止される突起部と、を有
することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係るシートベルト用リトラクタでは、ハウジングの
一対の側壁部及び連結壁部のうち少なくとも一つに設けられた取付貫通孔の一方の壁面上の周縁部から縁部に沿って、又は、一対の側壁部及び連結壁部のうち少なくとも一つにおける一方の壁面上の端縁部から縁部に沿ってリブ状に突出するリブ部が
設けられている。また、一方の壁面とは反対側の壁面におけるリブ部の基端部に対して反対側の位置には、所定深さ窪む係合凹部が設けられている。そして、このリブ部が、取付部材の嵌合凹部に嵌入された場合には、取付部材の係止部は、リブ部の
縁部側面に当接した状態で、先端部がリブ部の基端部に対して反対側の
位置に形成された所定深さ窪む係合凹部に係止される。
【0021】
これにより、取付部材の係止部は、リブ部の
縁部側面に当接しつつ、先端部が係合凹部に係止されるため、
一方の壁面とは反対側の壁
面から突出する係止部の突出量を短くしても、係止部と
リブ部との掛かり代を確保しつつ、
係止部の先端部
が係合凹部の底面部から突出する突出量を確保することができる。従って、ハウジングの板厚の薄型化、軽量化を行うことができると共に、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。
【0022】
また、
一方の壁面とは反対側の壁
面から突出する係止部の突出量を短くして、係止部の先端部と巻取ドラムに巻回されるウエビングとの干渉を避けることができるため、ハウジングの一対の側壁部間の距離を短くすることが可能となり、ハウジングの小型化、軽量化、引いてはシートベルト用リトラクタの小型化、軽量化を図ることができる。また、
一対の側壁部及び連結壁部のうち少なくとも一つに設けられた取付貫通孔の一方の壁面上の周縁部から縁部に沿って、又は、一対の側壁部及び連結壁部のうち少なくとも一つにおける一方の壁面上の端縁部から縁部に沿って立設されたリブ部が、取付部材の嵌合凹部に嵌入されるため、
一方の壁
面に沿った方向における、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。
【0023】
また、請求項2に係るシートベルト用リトラクタでは、取付部材を
ハウジングに取り付けた場合には
、取付貫通孔の
一方の壁面上の周縁部の全周に渡って立設されたリブ部が、取付部材の嵌合凹部に嵌入されるため、
一方の壁
面に沿った全方向における、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。また、係合凹部は、取付貫通孔の
一方の壁面上の周縁部の全周に渡って形成されているため、係止部の先端部を係合凹部に確実に係止することができ、
一方の壁
面に対して垂直方向における、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。
【0024】
また、請求項3に係るシートベルト用リトラクタでは、ピン挿入孔の周縁部に所定の間隔で立設された複数の係止片の間に圧入ピンを圧入することによって、該複数の係止片をリブ部と取付貫通孔の内側面に押し付けた状態で、各係止片の先端部を係合凹部に係止することができる。これにより、圧入ピンを介して各係止片を
取付貫通孔に強固に取り付けることができ、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。また、複数の係止片が、圧入ピンによって、リブ部と取付貫通孔の内側面の複数の半径方向へ押し付けられるため、
一方の壁
面に対して垂直方向における、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。
【0025】
また、請求項4に係るシートベルト用リトラクタでは、圧入ピンを圧入することによって、ピン挿入孔の周縁部の一部分に立設された係止片と圧入ピンとをリブ部と取付貫通孔の内側面に押し付けた状態で、係止片の先端部を係合凹部に係止することができる。これにより、圧入ピンを介して係止片を
取付貫通孔に強固に取り付けることができ、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。
【0026】
また、係止片が、圧入ピンによって、リブ部と取付貫通孔の内側面に押し付けられるため、
一方の壁
面に対して垂直方向における、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。また、係止片をピン挿入孔の周縁部の一部分に立設することによって、係止部の構造を簡略化することができる。また、係止片の
一方の壁面とは反対側の壁
面から突出する突出部分を小さくでき、係止片の先端部と巻取ドラムに巻回されるウエビングとの干渉を容易に避けることができ、ハウジングの小型化、軽量化、引いてはシートベルト用リトラクタの小型化、軽量化を図ることができる。
【0027】
また、請求項5に係るシートベルト用リトラクタでは、リブ部は
、取付貫通孔の周縁部の一部分に立設されているため、スペースや加工の都合上、リブ部を取付貫通孔の周縁部の全周に設けることができない場合でも、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。また、圧入ピンを圧入することによって、圧入ピンを取付貫通孔及びピン挿入孔の内側面に押し付けると共に、ピン挿入孔の周縁部に立設された係止片をリブ部と取付貫通孔の内側面に押し付けた状態で、係止片の先端部を係合凹部に係止することができる。これにより、圧入ピンを介して係止片を
取付貫通孔に強固に取り付けることができ、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。
【0028】
また、係止片が、圧入ピンによって、リブ部と取付貫通孔の内側面に押し付けられるため、
一方の壁
面に対して垂直方向における、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。また、係止片をピン挿入孔の周縁部に立設することによって、係止部の構造を簡略化することができる。また、係止片の
一方の壁面とは反対側の壁
面から突出する突出部分を小さくでき、係止片の先端部と巻取ドラムに巻回されるウエビングとの干渉を容易に避けることができ、ハウジングの小型化、軽量化、引いてはシートベルト用リトラクタの小型化、軽量化を図ることができる。
【0029】
また、請求項6に係るシートベルト用リトラクタでは、リブ部を
一方の壁面
上の端縁部から縁部に沿って設けた場合でも、取付部材を
ハウジングに取り付けた際には、リブ部が取付部材の嵌合凹部に嵌入されるため、取付部材の
一方の壁
面に沿った方向への取付強度を容易に確保することができる。
【0030】
また、係合凹部は、リブ部の基端部に対して反対方向の縁部に沿って形成されているため、係止片の先端部に形成された突起部を係合凹部に確実に係止することができ、
一方の壁
面に対して垂直方向における、取付部材のハウジングへの取付強度を容易に確保することができる。また、係止片の先端部に形成された突起部が所定深さ窪む係合凹部に係止されるため、取付部材の保持強度を確保しつつ、ハウジングの板厚の薄型化、引いてはシートベルト用リトラクタの軽量化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係るシートベルト用リトラクタについて具体化した第1実施形態乃至第4実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0038】
[概略構成]
先ず、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の概略構成について
図1乃至
図3に基づき説明する。
図1は第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の外観斜視図である。
図2はシートベルト用リトラクタ1の分解斜視図である。
図3は
図1のX1−X1矢視の全断面図である。
【0039】
図1乃至
図3に示すように、シートベルト用リトラクタ1は、車両のウエビング3を巻き取るための装置であって、ハウジングユニット5と、巻取ドラムユニット6と、巻取バネユニット7と、メカニズムカバーユニット8とから構成されている。
メカニズムカバーユニット8は、巻取ドラムユニット6を構成するクラッチユニット9の外側を覆った状態でハウジングユニット5の外側に、一体に形成された各ナイラッチ8Aによって固設され、クラッチユニット9と協働してウエビング3の急激な引き出しや車両の急激な加速度の変化に反応してウエビング3の引き出しを停止するロック機構10を構成する。
【0040】
また、巻取バネユニット7は、ハウジングユニット5の外側にバネケース11に一体形成された各ナイラッチ11Aによって固設される。この巻取バネユニット7の各ナイラッチ11Aは、メカニズムカバーユニット8の各ナイラッチ8Aと同じ構成である。
そして、終端部に抜け止めピン12が固定されたウエビング3が巻装される巻取ドラムユニット6は、ハウジングユニット5に固設された巻取バネユニット7とメカニズムカバーユニット8との間に回転自在に支持される。
【0041】
[ハウジングユニットの概略構成]
次に、ハウジングユニット5の概略構成について
図1乃至
図10に基づいて説明する。
図4は
図2のX2−X2矢視の断面図である。
図5は
図2のX3−X3矢視の断面図である。
図6はハウジング15にプロテクタ17を取り付けた状態を示す背面図である。
図7は
図6のX4−X4矢視の断面図である。
図8はハウジング15のメカニズムカバーユニット8側の側面図である。
図9は
図8のX5−X5矢視の断面図である。
図10はハウジング15の巻取バネユニット7側の側面図である。
【0042】
図1乃至
図3に示すように、ハウジングユニット5は、平面視コの字状のハウジング15と、ナイロン等の合成樹脂で形成されて、ウエビング3が引き出される平面視横長四角形の貫通孔16が形成された横長枠状のプロテクタ17とから構成されている。
【0043】
また、ハウジング15は、車体に固定される背板部18と、その背板部18の両側縁部から相対向する一対の側壁部21、22が延出されて平面視コの字状に形成され、これら側壁部21、22は連結部材23によって互いに連結されている。また、背板部18の中央部には、正面視矩形状の開口部19が形成され、軽量化及びウエビング3の取り付け作業の効率化等が図られている。
【0044】
図2及び
図4に示すように、プロテクタ17は、貫通孔16の背板部18側の側縁部から下方に延出された壁部25が形成されている。また、この壁部25の下端中央部には、長手方向所定幅(例えば、幅約10mmである。)で背板部18の板厚にほぼ等しい高さになるように略直角に延出されて、外側方向(
図2中、下側方向である。)へ弾性変形可能に形成された板状の係止片26が設けられている。
【0045】
この係止片26は、平面視細長四角形に形成されると共に、
図4に示すように、背板部18側の先端縁部に、側断面略三角形状にウエビング3の引き出し方向側(
図4中、上方向側である。)へ突出して、突起部の一例として機能する係止突起26Aが長手方向全幅に渡って形成されている。また、係止片26の基端部には、背板部18の板厚にほぼ等しい幅で、係止片26の基端部に沿って貫通する略細横長四角形の嵌合凹部の一例として機能する嵌合孔27が形成されている。
【0046】
また、
図2及び
図5に示すように、ハウジング15は、背板部18の中央部に形成された開口部19の上端縁部の中央部に、プロテクタ17の係止片26の長手方向の幅とほぼ同じ幅で切りかかれた切欠部19Aが形成されている。また、切欠部19A内の上側端縁部には、巻取ドラムユニット6に対して内側方向へ、プロテクタ17の壁部25の板厚にほぼ等しい高さに延出された平面視細長四角形に形成されるリブ部20が設けられている。
【0047】
また、リブ部20の基端部に対して反対側(
図5中、右側である。)の壁面部には、切欠部19A内の上側端縁部に沿って、巻取ドラムユニット6に対して内側方向へ所定深さ(例えば、背板部18の板厚の約半分の深さである。)窪む係合凹部24が、リブ部20の反対側に位置するように全幅に渡って形成されている。また、係合凹部24の上下方向(ウエビング3の引き出し方向である。)の幅は、プロテクタ17の係止突起26Aの突出高さよりも僅かに大きい幅に形成されている。
【0048】
そして、
図2、
図6及び
図7に示すように、プロテクタ17の壁部25を背板部18に当接させつつ、相対向する各側壁部21、22の間に配置するように押し込むことによって、切欠部19Aに設けられたリブ部20が、壁部25に形成された嵌合孔27に嵌入されると共に、係止片26の係止突起26Aが、切欠部19Aの係合凹部24に弾性的に係止され、固定される。
【0049】
また、プロテクタ17の貫通孔16の長手方向の幅寸法は、ウエビング3の幅寸法とほぼ等しい長さに形成されている。また、この貫通孔16の短手方向の幅寸法は、貫通孔16がウエビング3の最小巻き径から最大巻き径までの外周面にほぼ対向するように形成されているため、ウエビング3の引き出し及び巻き取りをスムーズに行うことができる。
【0050】
図2、
図6、
図8及び
図9に示すように、メカニズムカバーユニット8が取り付けられる側壁部21のほぼ中央部には、円形状の貫通孔28が形成され、更に、この貫通孔28の内周面には全周に渡って山形状の係合歯28Aが形成されている。この係合歯28Aは、巻取ドラムユニット6の外周面から出没自在に配置されたパウル29が係合することによって、ウエビング引出方向の巻取ドラムユニット6の回転が停止されるように構成されている。
【0051】
ここで、巻取ドラムユニット6は、
図2及び
図3に示すように、ウエビング3がスリット30Aに挿通されて巻回される巻取ドラム30と、ハウジング15の側壁部21に形成された貫通孔28の係合歯28Aに係合するパウル29と、クラッチユニット9と、ベアリングキャップ71とから構成されている。巻取ドラム30の巻取バネユニット7側の軸方向外側端面の中心位置には、スプリング側シャフト51が立設されている。また、巻取ドラム30のメカニズムカバーユニット8側の軸方向外側端面の中心位置には、メカニズム側シャフト68が立設されている。
【0052】
また、
図2、
図6、
図8及び
図9に示すように、側壁部21には、貫通孔28の背板部18側の周縁部に、巻取ドラム30に対して内側方向へ断面略半円形状に窪む補強溝31が、貫通孔28と同心となるように円弧状に形成されている。また、側壁部21には、上端縁部の両隅と、貫通孔28の中心軸28Bのほぼ真下の下端縁部との3箇所に、メカニズムカバーユニット8の各ナイラッチ8Aが、嵌入される断面円形の各取付貫通孔32が形成されている。
【0053】
また、各取付貫通孔32の巻取ドラム30に対して外側方向の周縁部には、巻取ドラム30に対して外側方向へ所定高さ(例えば、高さ約1.5mm等で、板厚にほぼ等しい高さである。)突出して、リブ部の一例として機能する円筒状の取付リブ部32Aがバーリング加工等によって全周に渡って形成されている。
【0054】
また、
図9に示すように、各取付貫通孔32の巻取ドラム30に対して内側方向の周縁部には、所定深さ(例えば、側壁部21の板厚の約半分の深さである。)窪む円形の係合凹部32Bが、取付リブ部32Aの基端部の反対側に位置するように全周に渡って形成されている。この係合凹部32Bの窪み深さは、取付リブ部32Aの突出高さよりも小さくなるように形成されている。例えば、係合凹部32Bの窪み深さは、取付リブ部32Aの突出高さの約半分に形成されている。
【0055】
また、側壁部21の貫通孔28の下方には、貫通孔28の中心軸28Bのほぼ真下から背板部18側の部分に、略四角形の開口部33が形成されている。この開口部33には、メカニズムカバーユニット8のセンサーカバー35(
図11参照)が、閉じられた状態で嵌入される。また、メカニズムカバーユニット8の各ナイラッチ8Aが、各取付貫通孔32に嵌入されて、後述のように取り付けられる(
図13参照)。
【0056】
図2、
図6及び
図10に示すように、巻取バネユニット7が取り付けられる側壁部22の中央部には、ウエビング引出方向側が貫通孔28の中心軸28Bを中心とする略半円弧状に開設された半円弧状部36と、この半円弧状部36に連続して側壁部22の下端縁部側へ略U字状に開設された拡大部37とから構成された貫通孔38が形成されている。
【0057】
また、
図8及び
図10に示すように、側壁部22に形成された半円弧状部36の内周径は、側壁部21に形成された貫通孔28の係合歯28Aの先端の内周径よりも小さくなるように形成されている。また、半円弧状部36の上端縁部の内周面には、複数個(
図10中、7個である。)の小さな山形突起39が形成されている。また、側壁部22に形成された略U字状の拡大部37は、半円弧状部36の両下端部から少し左右方向外側へ少し広がりつつ下方へ延び、下端縁部が側壁部21の貫通孔28よりも下方に形成された開口部33に対向するように開設されている。
【0058】
また、
図6及び
図10に示すように、側壁部22には、半円弧状部36と拡大部37の背板部18側の周縁部に、巻取ドラムユニット6の軸方向内側(
図6中、左側方向である。)へ略半円形状に窪む補強溝41が形成されている。この補強溝41は、半円弧状部36の周縁部に沿って、当該半円弧状部36と同心の円弧状に形成されると共に、拡大部37の周縁部に沿って、背板部18側へ近づくように少し傾斜しつつ下方へ延出されている。
【0059】
また、側壁部22には、上端縁部の両隅と、補強溝41の下方の下端縁部との3箇所に、巻取バネユニット7のバネケース11に設けられた各ナイラッチ11Aが、嵌入される断面円形の各取付貫通孔42が形成されている。各取付貫通孔42の直径は、各取付貫通孔32の直径と同じ径である。また、各取付貫通孔42の巻取ドラム30に対して外側方向の周縁部には、巻取ドラム30に対して外側方向へ所定高さ(例えば、高さ約1.5mm等で、板厚にほぼ等しい高さである。)突出して、リブ部の一例として機能する円筒状の取付リブ部42Aがバーリング加工等によって全周に渡って形成されている。各取付リブ部42Aは、各取付リブ部32Aと同じ形状である。
【0060】
また、
図2に示すように、各取付貫通孔42の巻取ドラム30に対して内側方向の周縁部には、所定深さ(例えば、側壁部22の板厚の約半分の深さである。)窪む円形の係合凹部42Bが、取付リブ部42Aの基端部の反対側に位置するように全周に渡って形成されている。側壁部22に形成される各係合凹部42Bは、側壁部21に形成される各係合凹部32Bと同じ形状である。そして、巻取バネユニット7のバネケース11に設けられた各ナイラッチ11Aが、各取付貫通孔42に嵌入されて、後述のように取り付けられる(
図13参照)。
【0061】
[巻取バネユニットの概略構成]
次に、巻取バネユニット7の概略構成について
図2及び
図3に基づいて説明する。
図2及び
図3に示すように、巻取バネユニット7は、合成樹脂製のバネケース11と、このバネケース11の内側周縁部の底面から立設されたリブ46に外側端が固定される不図示の渦巻バネと、渦巻バネの内側端が連結されてバネ力が付勢される合成樹脂製のバネシャフト47と、バネケース11に取り付けられて渦巻バネを覆う合成樹脂製のスプリングシート48とから構成されている。
【0062】
バネシャフト47は、バネケース11の底面部の略中心位置に立設されたピン49が、底面部の貫通孔47Aに挿入されて底面部側が回転可能に支持されている。また、バネシャフト47のスプリングシート48側の端部は、スプリングシート48の中央部に設けられた略円筒状のボス部48Aの基端部の周囲に形成された円形状の段差部に回転可能に支持されている。
【0063】
また、巻取ドラム30のスプリング側シャフト51は、基端部がスプリングシート48の中央部に設けられた略円筒状のボス部48Aに嵌挿されて回転可能に支持されると共に、断面H字状に形成された先端部が、バネシャフト47の断面H字状に形成された筒内に嵌挿されて、当該バネシャフト47に対して相対回転不能に連結されている。これにより、バネシャフト47を介して渦巻バネの付勢力が、巻取ドラムユニット6にウエビング3の巻取方向へ回動するように常時付勢する構造とされている。
【0064】
また、スプリングシート48のリブ52の外側には、円筒状の位置決めボス54が立設されている。これにより、側壁部22の半円弧状部36の連結部材23側の周縁部に形成された位置決孔56(
図10参照)に位置決めボス54を嵌入しつつ、各ナイラッチ11Aを各取付貫通孔42に嵌入することによって、後述のように巻取バネユニット7が側壁部22の外側に固定される(
図13参照)。
【0065】
[メカニズムカバーユニットの概略構成]
次に、メカニズムカバーユニット8の概略構成について
図2、
図3、
図11乃至
図13に基づいて説明する。
図11はメカニズムカバーユニット8の分解斜視図である。
図12は
図11のX6−X6矢視の断面図である。
図13はナイラッチ8Aの係止状態を説明する断面図である。
【0066】
図2、
図3及び
図11に示すように、メカニズムカバーユニット8は、ハウジング15の側壁部21の外側に各ナイラッチ8Aによってクラッチユニット9を覆うように取り付けられる合成樹脂製のメカニズムカバー58と、メカニズムカバー58のセンサー収容部59に収容される緊急ロック起動装置としての車両加速度センサ61とから構成されている。
【0067】
メカニズムカバー58は、クラッチユニット9に対向する内側面に、側壁部21の貫通孔28の中心軸28Bに対して同軸に円環状のリブ部62が立設され、このリブ部62の内周面には、クラッチユニット9を構成するロックアーム63の係合爪65が係合するロックギヤ66が形成されている。このロックギヤ66は、クラッチユニット9がウエビング引出方向へ回転したときのみ、ロックアーム63の係合爪65と係合するように構成されている。
【0068】
また、円環状のリブ部62内の中央部には、略円筒状の支持ボス67が立設されている。この支持ボス67には、巻取ドラム30のメカニズム側シャフト68の先端部が、ベアリングキャップ71を介して摺動回転可能に嵌入されて軸支される。
また、センサー収容部59は、略四角形の凹形状に形成されて、両側壁部の奥側に一対の係止孔72が形成されている。
【0069】
そして、車両加速度センサ61の左右両側に設けられた一対の係止爪73を各係止孔72に嵌入して係止後、センサーカバー35の係止爪75をセンサー収容部59の上端部に設けられた係止孔76に嵌入して係止することによって、メカニズムカバーユニット8が構成される。また、円環状のリブ部62の下方にセンサー収容部59に連通する開口部77が形成される。
【0070】
図11に示すように、車両加速度センサ61は、上面に開放される略箱形で底面部にすり鉢状の載置部が形成された樹脂製のセンサーホルダ82と、スチール等の金属で球状体に形成されてセンサーホルダ82の載置部上に移動可能に載置された慣性質量体83と、慣性質量体83の上側に配置されてセンサーホルダ82に揺動可能に支持される樹脂製のセンサーレバー85とから構成されている。
【0071】
そして、車両の衝突や急ブレーキ等によって車体の揺れや傾きなどによる急激な加速度が所定加速度(例えば、約0.4Gである。)を超えた場合には、慣性質量体83がセンサーホルダ82の載置部上を移動して、センサーレバー85が慣性質量体83によって上方へ押動される。これにより、センサーレバー85のロック爪85Aが、メカニズムカバー58の開口部77から突出して、メカニズムカバー58内に収納されたクラッチユニット9のクラッチギヤ86(
図2、
図3参照)に係合される。
【0072】
これにより、
図2及び
図3に示すように、クラッチユニット9の回転が阻止されて、巻取ドラム30の外周面から出没自在に配置されたパウル29が半径方向外側へ突出する。そして、突出したパウル29が側壁部21の貫通孔28の内周面に形成された係合歯28Aに係合することによって、ウエビング引出方向の巻取ドラムユニット6の回転が停止されるように構成されている。
【0073】
ここで、各ナイラッチ8A及び各ナイラッチ11Aの構成は同一であるため、各ナイラッチ8Aの構成について
図11及び
図12に基づいて説明する。
図11及び
図12に示すように、各ナイラッチ8Aは、側壁部21の各取付貫通孔32の周縁部に全周に渡って立設された取付リブ部32Aが嵌入される断面円形の嵌合凹部91が形成されている。各嵌合凹部91の深さは、各取付リブ部32Aの高さよりも所定深さ(例えば、深さ約0.5mm〜1mmである。)深くなるように形成されている。
【0074】
また、各嵌合凹部91の底面部の中央部には、円形のピン挿入孔92が形成されている。各ピン挿入孔92の側壁部21に対向する周縁部には、互いに相対向する断面略半円弧状の一対の係止片93、93が、立設されている。この一対の係止片93、93の周方向両側縁部の間には、所定隙間(例えば、隙間約1.2mmである。)が形成され、互いに内側方向に弾性変形可能に形成されている。
【0075】
また、各係止片93、93は、メカニズムカバー58の側壁部21に当接される当接面58Aから側壁部21の厚さよりも所定高さ(例えば、高さ約0.5mm〜1.0mmである。)高くなるように突出している。また、各係止片93、93の外周面の径は、基端部から先端側に向かって徐々に大きくなるように(例えば、外径で約0.5mm〜0.8mm大きくなるように)形成されている。また、各係止片93、93の先端部の外径は、取付貫通孔32の内径より所定寸法(例えば、約0.3mm〜約0.6mmである。)大きくなるように形成されている。
【0076】
また、嵌合凹部91の底面部に形成されたピン挿入孔92の各係止片93、93の基端部に対して反対側の周縁部、つまり、側壁部21に対して背面側の周縁部には、各係止片93、93の間に嵌入される円柱状の圧入ピン95が立設されている。各圧入ピン95の長さは、メカニズムカバー58の背面部から各係止片93、93の先端までの長さよりも僅かに短い長さ(例えば、約0.3mm〜0.5mm短い長さである。)に形成され、ピン挿入孔92内に圧入した場合に、各係止片93、93の先端側に突出しないように形成されている。
【0077】
次に、各ナイラッチ8Aを各取付貫通孔32に嵌入して係止する構成と、各ナイラッチ11Aを各取付貫通孔42に嵌入して係止する構成について説明する。先ず、各ナイラッチ8Aを各取付貫通孔32に嵌入して係止する構成について
図1、
図2、
図3及び
図13に基づいて説明する。尚、側壁部21に形成された各取付貫通孔32、各取付リブ部32A及び各係合凹部32Bと、側壁部22に形成された各取付貫通孔42、各取付リブ部42A及び各係合凹部42Bとの構成は同一である。
【0078】
図1、
図2、
図3及び
図13に示すように、メカニズムカバーユニット8の各ナイラッチ8Aの一対の係止片93、93を、側壁部21の各取付貫通孔32に嵌入し、メカニズムカバー58の当接面58Aを側壁部21に当接させると共に、各取付リブ部32Aを各嵌合凹部91に嵌入する。そして、各ナイラッチ8Aの圧入ピン95を側壁部21側へ(
図13中、矢印96方向である。)押し込んで、それぞれ一対の係止片93、93間に圧入する。
【0079】
これにより、
図13に示すように、各ナイラッチ8Aの一対の係止片93、93の外周面は、圧入ピン95の外周面によって、取付リブ部32Aと取付貫通孔32の内周面に全長に渡って押圧される。そのため、各係止片93、93は、取付貫通孔32の半径方向外側へ塑性変形されて、先端部が係合凹部32Bに係止され、メカニズムカバーユニット8が側壁部21の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に固定される。
【0080】
また、同様に、
図1乃至
図3に示すように、巻取バネユニット7のバネケース11に設けられた各ナイラッチ11Aの一対の係止片93、93を、側壁部22の各取付貫通孔42に嵌入し、バネケース11を側壁部22に当接させると共に、各取付リブ部42Aを各嵌合凹部91に嵌入する。そして、各ナイラッチ11Aの圧入ピン95を側壁部22側へ押し込んで、それぞれ一対の係止片93、93間に圧入する。
【0081】
これにより、各ナイラッチ11Aの一対の係止片93、93の外周面は、圧入ピン95の外周面によって、取付リブ部42Aの内周面に全長に渡って押圧される。また、各係止片93、93は、取付貫通孔42の半径方向外側へ塑性変形されて、先端部が係合凹部42Bに係止され、巻取バネユニット7が側壁部22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に固定される。
【0082】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1では、メカニズムカバーユニット8を側壁部21に取り付けた場合には、側壁部21に形成された各取付貫通孔32の巻取ドラム30に対して外側方向の周縁部の全周に渡って立設された取付リブ部32Aが、各ナイラッチ8Aの嵌合凹部91に嵌入される。これにより、側壁部21の巻取ドラム30に対して外側の壁面部に沿った全方向における、メカニズムカバーユニット8のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0083】
また、巻取バネユニット7を側壁部22に取り付けた場合には、側壁部22に形成された各取付貫通孔42の巻取ドラム30に対して外側方向の周縁部の全周に渡って立設された取付リブ部42Aが、バネケース11の各ナイラッチ11Aの嵌合凹部91に嵌入される。これにより、側壁部22の巻取ドラム30に対して外側の壁面部に沿った全方向における、巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0084】
また、各ナイラッチ8A、11Aは、各取付リブ部32A、42A及び各取付貫通孔32、42内に嵌入された一対の係止片93、93の間に、圧入ピン95を圧入することによって、一対の係止片93、93の外周面は、圧入ピン95の外周面によって、各取付リブ部32A、42Aと各取付貫通孔32、42の内周面に全長に渡って押圧される。また、各係止片93、93は、各取付貫通孔32、42の半径方向外側へ塑性変形されて、先端部が各係合凹部32B、42Bに係止され、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7が、各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に固定される。
【0085】
これにより、圧入ピン95を介して各係止片93、93を各側壁部21、22に強固に取り付けることができ、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。また、各係止片93、93が、圧入ピン95によって、各取付リブ部32A、42Aと各取付貫通孔32、42の内周面の半径方向外側へ押し付けられるため、各側壁部21、22に対して垂直方向における、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。従って、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0086】
また、各取付リブ部32A、42Aは、各側壁部21、22の巻取ドラム30に対して外側に立設され、各係合凹部32B、42Bは、各側壁部21、22の巻取ドラム30に対して内側に設けられるため、各係止片93、93の先端部の巻取ドラム30側への突出量を低減することができる。これにより、各係止片93、93の先端部と巻取ドラム30に巻回されるウエビング3との干渉を容易に避けることができ、ハウジング15の小型化、軽量化、引いてはシートベルト用リトラクタ1の小型化、軽量化を図ることができる。
【0087】
また、各取付リブ部32A、42Aの各側壁部21、22からの突出高さは、各係合凹部32B、43Bの各側壁部21、22からの窪み深さよりも大きいため、各係止片93、93と各取付リブ部32A、42A及び各取付貫通孔32、42との掛かり代を、ハウジング15の板厚以上に確保することができる。
【0088】
更に、各係合凹部32B、42Bは、各側壁部21、22の巻取ドラム30に対して内側に設けられるため、各係止片93、93が各取付貫通孔32、42から突出する突出高さを容易に確保することができる。これらにより、ハウジング15の板厚を薄くしても、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を確保することができ、ハウジング15の軽量化を容易に図ることができる。
【0089】
また、各係止片93、93は、圧入ピン95が圧入された場合には、塑性変形して、先端部が各係合凹部32B、43Bに係止されるため、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7を各側壁部21、22に容易に取り付けることができ、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を確保しつつ、各側壁部21、22への取付作業の効率化を図ることができる。
【0090】
また、プロテクタ17の壁部25を背板部18に当接させつつ、相対向する各側壁部21、22の間に配置するように押し込むことによって、切欠部19Aに設けられたリブ部20が、壁部25に形成された嵌合孔27に嵌入される。これにより、プロテクタ17を背板部18に取り付けた際には、リブ部20が嵌合孔27に嵌入されるため、プロテクタ17の背板部18に沿った方向への取付強度を容易に確保することができる。
【0091】
また、プロテクタ17の壁部25を背板部18に当接させつつ、相対向する各側壁部21、22の間に配置するように押し込むことによって、係止片26の係止突起26Aが、切欠部19Aの係合凹部24に弾性的に係止され、固定される。これにより、背板部18の巻取ドラム30に対して内側垂直方向における、プロテクタ17のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0092】
また、プロテクタ17の係止片26の先端部に形成された係止突起26Aが、所定深さ窪む係合凹部24に係止されるため、プロテクタ17の保持強度を確保しつつ、ハウジング15の板厚の薄型化、引いてはシートベルト用リトラクタ1の軽量化を図ることが可能となる。また、係止片26の先端部が、背板部18から巻取ドラム30に対して外側方向へ突出する突出量を低減することができるため、シートベルト用リトラクタ1の小型化を図ることができると共に、シートベルト用リトラクタ1の車両への取り付けスペースを容易に確保することができる。
【0093】
更に、メカニズムカバー58、バネケース11及びプロテクタ17は、樹脂成形品であるため、メカニズムカバー58、バネケース11及びプロテクタ17を容易に形成することができると共に、シートベルト用リトラクタ1の軽量化を容易に図ることができる。
【実施例2】
【0094】
次に、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101について
図14乃至
図22に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記
図1乃至
図13に示す第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0095】
この第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101の概略構成は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1とほぼ同じ構成である。
但し、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101は、ハウジング15の各側壁部21、22に形成された各取付貫通孔32、42、各取付リブ部32A、42A及び各係合凹部32B、43Bに替えて、取付貫通孔103、取付リブ部103A及び係合凹部103Bが形成されている点で異なっている。また、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101は、メカニズムカバー58とバネケース11に、各ナイラッチ8A、11Aに替えて、ナイラッチ105が設けられている点で異なっている。
【0096】
先ず、ハウジング15の各側壁部21、22に設けられた取付貫通孔103、取付リブ部103A及び係合凹部103Bの概略構成について
図14乃至
図16に基づいて説明する。
図14は第2実施形態に係るハウジング15一例を示す外側から見た部分外観斜視図である。
図15は第2実施形態に係るハウジング15一例を示す内側から見た部分外観斜視図である。
図16は
図14のX7−X7矢視の断面図である。
【0097】
図14乃至
図16に示すように、各側壁部21、22には、各取付貫通孔32、42に替えて、各取付貫通孔32、42とほぼ同じ大きさの略四角形の各取付貫通孔103が形成されている。また、各取付貫通孔103の巻取ドラム30に対して外側方向の周縁部には、巻取ドラム30に対して外側方向へ所定高さ(例えば、高さ約1.5mmで、板厚にほぼ等しい高さである。)突出して、リブ部の一例として機能する略四角筒状の取付リブ部103Aがバーリング加工等によって全周に渡って形成されている。
【0098】
また、
図15及び
図16に示すように、各取付貫通孔103の巻取ドラム30に対して内側方向の周縁部には、所定深さ(例えば、側壁部21の板厚の約半分の深さである。)窪む略四角形の係合凹部103Bが、取付リブ部103Aの基端部の反対側に位置するように全周に渡って形成されている。この係合凹部103Bの窪み深さは、取付リブ部103Aの突出高さよりも小さくなるように形成されている。例えば、係合凹部103Bの窪み深さは、取付リブ部103Aの突出高さの約半分に形成されている。
【0099】
次に、メカニズムカバー58とバネケース11に設けられた各ナイラッチ105の概略構成について
図17乃至
図19に基づいて説明する。
図17は第2実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ105の一例を示す取り付け側から見た部分外観斜視図である。
図18は第2実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ105の一例を示す背面側から見た部分外観斜視図である。
図19は
図17のX8−X8矢視の断面図である。
【0100】
図17乃至
図19に示すように、メカニズムカバー58とバネケース11には、各ナイラッチ8A、11Aに替えて、各ナイラッチ8A、11Aとほぼ同じ大きさの各ナイラッチ105が形成されている。各ナイラッチ105は、各側壁部21、22の各取付貫通孔103の周縁部に全周に渡って立設された略四角筒状の取付リブ部103Aが嵌入される略四角形の嵌合凹部106が形成されている。各嵌合凹部106の深さは、各取付リブ部103Aの高さよりも所定深さ(例えば、深さ約0.5mm〜1mmである。)深くなるように形成されている。
【0101】
また、各嵌合凹部106の底面部の中央部には、略横長四角形のピン挿入孔107が形成されている。ピン挿入孔107の長手方向の幅は、各側壁部21、22に形成された各取付貫通孔103の相対向する幅よりも僅かに狭くなるように(例えば、約0.1mm狭くなるように)形成されている。また、各ピン挿入孔107の各側壁部21、22に対向する周縁部には、互いに相対向する長辺部から断面略横長四角形の略平板状の一対の係止片108、108が、立設されている。
【0102】
この一対の係止片108、108の間には、ピン挿入孔107の短手方向の幅の隙間(例えば、隙間約2mmである。)が形成され、互いに内側方向に弾性変形可能に形成されている。また、各係止片108、108は、メカニズムカバー58の側壁部21に当接される当接面58Aから側壁部21の厚さよりも所定高さ(例えば、高さ約0.5mm〜1.0mmである。)高くなるように突出している。尚、バネケース11に設けられたナイラッチ105も同様に構成されている。
【0103】
また、各係止片108、108の厚さは、基端部から先端側に向かって徐々に大きくなるように(例えば、先端部で約0.5mm〜0.8mm大きくなるように)形成されている。また、各係止片108、108の先端部の厚さ方向の両外側面の距離は、取付貫通孔103の当該厚さ方向の幅よりも所定寸法(例えば、約0.3mm〜約0.6mmである。)大きくなるように形成されている。
【0104】
また、嵌合凹部106の底面部に形成されたピン挿入孔107の各係止片108、108の基端部に対して反対側の周縁部、つまり、側壁部21に対して背面側の周縁部には、各係止片108、108の間に嵌入される断面横長四角形の板状の圧入ピン111が立設されている。
【0105】
各圧入ピン111の長さは、メカニズムカバー58及びバネケース11の背面部から各係止片108、108の先端までの長さよりも僅かに短い長さ(例えば、約0.3mm〜0.5mm短い長さである。)に形成され、ピン挿入孔107内に圧入した場合に、各係止片108、108の先端側に突出しないように形成されている。
【0106】
次に、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7の各ナイラッチ105を各側壁部21、22に形成された各取付貫通孔103に嵌入して係止する構成について
図20乃至
図22に基づいて説明する。
図20は第2実施形態に係るメカニズムカバーユニット8のナイラッチ105の係止状態を示す部分正面図である。
図21は第2実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ105が取付貫通孔103に嵌入された状態を示す部分断面図である。
図22は
図20のX9−X9矢視の断面図である。
【0107】
図20及び
図21に示すように、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7の各ナイラッチ105の一対の係止片108、108を、各側壁部21、22の各取付貫通孔103に嵌入し、メカニズムカバー58及びバネケース11を各側壁部21、22に当接させると共に、各取付リブ部103Aを各嵌合凹部106に嵌入する。これにより、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7が、各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に着脱可能に取り付けられる。
【0108】
続いて、
図21及び
図22に示すように、各ナイラッチ105の圧入ピン111を各側壁部21、22側へ(
図21中、矢印112方向である。)押し込んで、それぞれ一対の係止片108、108間に圧入する。これにより、
図22に示すように、各ナイラッチ105の一対の係止片108、108の厚さ方向外側面は、圧入ピン111の厚さ方向外側面によって、取付リブ部103Aと取付貫通孔103の内側面に全長に渡って押圧される。
【0109】
そのため、各係止片108、108は、取付貫通孔103の当該係止片108の厚さ方向外側へ塑性変形されて、先端部が係合凹部103Bに係止され、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7が各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に固定される。
【0110】
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101では、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7を各側壁部21、22に取り付けた場合には、各側壁部21、22に形成された各取付貫通孔103の巻取ドラム30に対して外側方向の周縁部の全周に渡って立設された取付リブ部103Aが、各ナイラッチ105の嵌合凹部106に嵌入される。これにより、各側壁部21、22の巻取ドラム30に対して外側の壁面部に沿った全方向における、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0111】
また、各ナイラッチ105は、各取付リブ部103A及び各取付貫通孔103内に嵌入された一対の係止片108、108の間に、圧入ピン111を圧入することによって、一対の係止片108、108の厚さ方向外側面は、圧入ピン111の厚さ方向外側面によって、取付リブ部103Aと取付貫通孔103の内側面に全長に渡って押圧される。また、各係止片108、108は、取付貫通孔103の厚さ方向外側へ塑性変形されて、先端部が係合凹部103Bに係止され、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7が、各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に固定される。
【0112】
これにより、圧入ピン111を介して各係止片108、108を各側壁部21、22に強固に取り付けることができ、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。また、各係止片108、108が、圧入ピン111によって、取付リブ部103Aと取付貫通孔103の内側面の当該厚さ方向外側へ押し付けられるため、各側壁部21、22に対して垂直方向における、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。従って、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0113】
また、各取付リブ部103Aは、各側壁部21、22の巻取ドラム30に対して外側に立設され、各係合凹部103Bは、各側壁部21、22の巻取ドラム30に対して内側に設けられるため、各係止片108、108の先端部の巻取ドラム30側への突出量を低減することができる。これにより、各係止片108、108の先端部と巻取ドラム30に巻回されるウエビング3との干渉を容易に避けることができ、ハウジング15の小型化、軽量化、引いてはシートベルト用リトラクタ101の小型化、軽量化を図ることができる。
【0114】
また、各取付リブ部103Aの各側壁部21、22からの突出高さは、各係合凹部103Bの各側壁部21、22からの窪み深さよりも大きいため、各係止片108、108と各取付リブ部103A及び各取付貫通孔103との掛かり代を、ハウジング15の板厚以上に確保することができる。
【0115】
更に、各係合凹部103Bは、各側壁部21、22の巻取ドラム30に対して内側に設けられるため、各係止片108、108が各取付貫通孔103から突出する突出高さを容易に確保することができる。これらにより、ハウジング15の板厚を薄くしても、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を確保することができ、ハウジング15の軽量化を容易に図ることができる。
【0116】
また、各係止片108、108は、圧入ピン111が圧入された場合には、塑性変形して、先端部が各係合凹部103Bに係止されるため、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7を各側壁部21、22に容易に取り付けることができ、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を確保しつつ、各側壁部21、22への取付作業の効率化を図ることができる。
【実施例3】
【0117】
次に、第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ115について
図23乃至
図28に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記
図1乃至
図22に示す第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1と第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101の構成等と同一符号は、第1実施形態に係るシートベルト用リトラクタ1と第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0118】
この第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ115の概略構成は、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101とほぼ同じ構成である。従って、ハウジング15の各側壁部21、22には、各取付貫通孔103、各取付リブ部103A及び各係合凹部103Bが形成されている。
但し、第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ115は、メカニズムカバー58とバネケース11に、各ナイラッチ105に替えて、ナイラッチ116が設けられている点で異なっている。
【0119】
先ず、メカニズムカバー58とバネケース11に設けられた各ナイラッチ116の概略構成について
図23乃至
図25に基づいて説明する。
図23は第3実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ116の一例を示す取り付け側から見た部分外観斜視図である。
図24は第3実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ116の一例を示す背面側から見た部分外観斜視図である。
図25は
図23のX10−X10矢視の断面図である。
【0120】
図23乃至
図25に示すように、メカニズムカバー58とバネケース11には、各ナイラッチ105に替えて、各ナイラッチ105とほぼ同じ大きさの各ナイラッチ116が形成されている。各ナイラッチ116は、各側壁部21、22の各取付貫通孔103の周縁部に全周に渡って立設された略四角筒状の取付リブ部103Aが嵌入される略四角形の嵌合凹部106が形成されている。各嵌合凹部106の深さは、各取付リブ部103Aの高さよりも所定深さ(例えば、深さ約0.5mm〜1mmである。)深くなるように形成されている。
【0121】
また、各嵌合凹部106の底面部の中央部には、略横長四角形のピン挿入孔117が形成されている。ピン挿入孔117の長手方向の幅は、各側壁部21、22に形成された各取付貫通孔103の相対向する幅よりも僅かに狭くなるように(例えば、約0.1mm狭くなるように)形成されている。また、各ピン挿入孔117の各側壁部21、22に対向する周縁部には、一方の長辺部(
図25中、下側の長辺部である。)から断面略横長四角形の略平板状の係止片108が立設されている。
【0122】
また、ピン挿入孔117の係止片108の基端部に相対向する長辺部は、嵌合凹部106に嵌入された取付リブ部103Aの内側面に対向するように形成されている(
図27参照)。つまり、ピン挿入孔117の係止片108の厚さ方向の幅寸法は、第2実施形態に係るピン挿入孔107の係止片108の厚さ方向の幅よりも、係止片108の基端部の厚さ寸法分だけ大きくなるように形成されている。
【0123】
係止片108は、厚さ方向内側へ弾性変形可能に形成されている。また、係止片108は、メカニズムカバー58の側壁部21に当接される当接面58Aから側壁部21の厚さよりも所定高さ(例えば、高さ約0.5mm〜1.0mmである。)高くなるように突出している。尚、バネケース11に設けられたナイラッチ116も同様に構成されている。また、係止片108の厚さは、基端部から先端側に向かって厚さ方向外側へ徐々に大きくなるように形成され、先端部の厚さが、基端部の厚さよりも所定寸法(例えば、約0.3mm〜約0.6mmである。)大きくなるように形成されている。
【0124】
また、嵌合凹部106の底面部に形成されたピン挿入孔117の係止片108の基端部に対して反対側の周縁部、つまり、側壁部21に対して背面側の周縁部には、係止片108と取付リブ部103A及び取付貫通孔103との間に嵌入される断面横長四角形の板状の圧入ピン118が立設されている(
図28参照)。
【0125】
各圧入ピン118の長さは、メカニズムカバー58及びバネケース11の背面部から係止片108の先端までの長さよりも僅かに短い長さ(例えば、約0.3mm〜0.5mm短い長さである。)に形成され、ピン挿入孔117内に圧入した場合に、係止片108の先端側に突出しないように形成されている(
図28参照)。
【0126】
次に、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7の各ナイラッチ116を各側壁部21、22に形成された各取付貫通孔103に嵌入して係止する構成について
図26乃至
図28に基づいて説明する。
図26は第3実施形態に係るメカニズムカバーユニット8のナイラッチ116の係止状態を示す部分正面図である。
図27は第3実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ116が取付貫通孔103に嵌入された状態を示す部分断面図である。
図28は
図26のX11−X11矢視の断面図である。
【0127】
図26及び
図27に示すように、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7の各ナイラッチ116の係止片108を、各側壁部21、22の各取付貫通孔103に嵌入し、メカニズムカバー58及びバネケース11を各側壁部21、22に当接させると共に、各取付リブ部103Aを各嵌合凹部106に嵌入する。これにより、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7が、各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に着脱可能に取り付けられる。
【0128】
続いて、
図27及び
図28に示すように、各ナイラッチ116の圧入ピン118を各側壁部21、22側へ(
図27中、矢印119方向である。)押し込んで、係止片108と取付リブ部103A及び取付貫通孔103との間に圧入する。これにより、
図28に示すように、各ナイラッチ116の係止片108の厚さ方向外側面は、圧入ピン118の厚さ方向外側面によって、取付リブ部103Aと取付貫通孔103の内側面に全長に渡って押圧される。
【0129】
そのため、係止片108は、取付貫通孔103の当該係止片108の厚さ方向外側へ塑性変形されて、先端部が係合凹部103Bに係止され、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7が各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に固定される。
【0130】
以上詳細に説明した通り、第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ115では、第2実施形態に係るシートベルト用リトラクタ101とほぼ同じ上記効果を奏することができる。また、係止片108をピン挿入孔117の周縁部の一方の長辺部に立設することによって、ナイラッチ116の構造を簡略化することができる。また、係止片108の各側壁部21、22から突出する突出部分を小さくでき、係止片108の先端部と巻取ドラム30に巻回されるウエビング3との干渉を容易に避けることができ、ハウジング15の小型化、軽量化、引いてはシートベルト用リトラクタ115の小型化、軽量化を図ることができる。
【実施例4】
【0131】
次に、第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ125について
図29乃至
図37に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上記
図1乃至
図28に示す第1実施形態乃至第3実施形態に係る各シートベルト用リトラクタ1、101、115の構成等と同一符号は、第1実施形態乃至第3実施形態に係る各シートベルト用リトラクタ1、101、115の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0132】
この第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ125の概略構成は、第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ115とほぼ同じ構成である。
但し、第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ125は、ハウジング15の各側壁部21、22には、各取付リブ部103A及び各係合凹部103Bに替えて、各取付リブ部126及び各係合凹部127が設けられている点で異なっている。また、第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ125は、メカニズムカバー58とバネケース11に、各ナイラッチ116に替えて、ナイラッチ128が設けられている点で異なっている。
【0133】
先ず、ハウジング15の各側壁部21、22に設けられた取付貫通孔103、取付リブ部126及び係合凹部127の概略構成について
図29乃至
図31に基づいて説明する。
図29は第4実施形態に係るハウジング15一例を示す外側から見た部分外観斜視図である。
図30は第4実施形態に係るハウジング15一例を示す内側から見た部分外観斜視図である。
図31は
図29のX12−X12矢視の断面図である。
【0134】
図29乃至
図31に示すように、各側壁部21、22には、断面略四角形の各取付貫通孔103が形成されている。また、各取付貫通孔103の巻取ドラム30に対して外側方向の周縁部の下側約半周部分には、巻取ドラム30に対して外側方向へ所定高さ(例えば、高さ約1.5mmで、板厚にほぼ等しい高さである。)突出して、リブ部の一例として機能する正面視略U字形の取付リブ部126がバーリング加工等によって形成されている。
【0135】
また、
図30及び
図31に示すように、各取付貫通孔103の巻取ドラム30に対して内側方向の周縁部の下側約半周部分には、所定深さ(例えば、側壁部21の板厚の約半分の深さである。)窪む正面視略U字形の係合凹部127が、取付リブ部126の基端部の反対側に位置するように形成されている。この係合凹部127の窪み深さは、取付リブ部126の突出高さよりも小さくなるように形成されている。例えば、係合凹部127の窪み深さは、取付リブ部126の突出高さの約半分に形成されている。
【0136】
次に、メカニズムカバー58とバネケース11に設けられた各ナイラッチ128の概略構成について
図32乃至
図34に基づいて説明する。
図32は第4実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ128の一例を示す取り付け側から見た部分外観斜視図である。
図33は第4実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ128の一例を示す背面側から見た部分外観斜視図である。
図34は
図32のX13−X13矢視の断面図である。
【0137】
図32乃至
図34に示すように、メカニズムカバー58とバネケース11には、各ナイラッチ116に替えて、各ナイラッチ116とほぼ同じ構成の各ナイラッチ128が形成されている。但し、各ナイラッチ128は、嵌合凹部106に替えて、各側壁部21、22の各取付貫通孔103の周縁部の下側約半周部分に立設された正面視略U字形の取付リブ部126が嵌入される正面視略U字形の嵌合凹部131が形成されている。各嵌合凹部131の深さは、各取付リブ部126の高さよりも所定深さ(例えば、深さ約0.5mm〜1mmである。)深くなるように形成されている。
【0138】
また、略横長四角形のピン挿入孔117の嵌合凹部131側の下側の長辺部(
図34中、下側の長辺部である。)から断面略横長四角形の略平板状の係止片108が立設されている。但し、ピン挿入孔117の係止片108とは反対側の上側の長辺部及び両側縁部は、厚さ方向全幅に渡って貫通するように形成され、各側壁部21、22の各取付貫通孔103の周縁部の上側約半周部分に相対向するように形成されている。
【0139】
また、ピン挿入孔117の係止片108の基端部に対して反対側の周縁部、つまり、側壁部21に対して背面側の周縁部には、係止片108と当該ピン挿入孔117及び取付貫通孔103との間に嵌入される断面横長四角形の板状の圧入ピン118が立設されている(
図34参照)。
【0140】
各圧入ピン118の長さは、メカニズムカバー58及びバネケース11の背面部から係止片108の先端までの長さよりも僅かに短い長さ(例えば、約0.3mm〜0.5mm短い長さである。)に形成され、ピン挿入孔117内に圧入した場合に、係止片108の先端側に突出しないように形成されている。
【0141】
次に、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7の各ナイラッチ128を各側壁部21、22に形成された各取付貫通孔103に嵌入して係止する構成について
図35乃至
図37に基づいて説明する。
図35は第4実施形態に係るメカニズムカバーユニット8のナイラッチ128の係止状態を示す部分正面図である。
図36は第4実施形態に係るメカニズムカバー58のナイラッチ128が取付貫通孔103に嵌入された状態を示す部分断面図である。
図37は
図35のX14−X14矢視の断面図である。
【0142】
図35及び
図36に示すように、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7の各ナイラッチ128の係止片108を、各側壁部21、22の各取付貫通孔103に嵌入し、メカニズムカバー58及びバネケース11を各側壁部21、22に当接させると共に、各取付リブ部126を各嵌合凹部131に嵌入する。これにより、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7が、各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に着脱可能に取り付けられる。
【0143】
続いて、
図36及び
図37に示すように、各ナイラッチ128の圧入ピン118を各側壁部21、22側へ(
図36中、矢印132方向である。)押し込んで、係止片108とピン挿入孔117及び取付貫通孔103との間に圧入する。これにより、
図37に示すように、各ナイラッチ128の係止片108の厚さ方向外側面は、圧入ピン118の厚さ方向外側面によって、取付リブ部126と取付貫通孔103の内側面に全長に渡って押圧される。
【0144】
そのため、係止片108は、取付貫通孔103の当該係止片108の厚さ方向外側へ塑性変形されて、先端部が係合凹部127に係止され、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7が各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に固定される。
【0145】
以上詳細に説明した通り、第4実施形態に係るシートベルト用リトラクタ125では、第3実施形態に係るシートベルト用リトラクタ115とほぼ同じ上記効果を奏することができる。また、取付リブ部126は、取付貫通孔103の下側約半周部分に立設されているため、スペースや加工の都合上、取付リブ部126を取付貫通孔103の周縁部の全周に設けることができない場合でも、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0146】
また、圧入ピン118を圧入することによって、圧入ピン118を取付貫通孔103とピン挿入孔117の内側面に押し付けると共に、ピン挿入孔117の周縁部の一方の長辺部に立設された係止片108を取付リブ部126と取付貫通孔103の内側面に押し付けた状態で、係止片108の先端部を係合凹部127に係止することができる。これにより、圧入ピン118を介して係止片108を各側壁部21、22に強固に取り付けることができ、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0147】
また、係止片108が、圧入ピン118によって、取付リブ部126と取付貫通孔103の内側面に押し付けられるため、各側壁部21、22に対して垂直方向における、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0148】
尚、本発明は前記第1実施形態乃至第4実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0149】
(A)例えば、各係止片93、108をアルミや亜鉛等の塑性変形しやすい材料で形成してもよい。この場合には、各係止片93、108は、各圧入ピン95、111、118を圧入することによって、当該各係止片93、108の厚さ方向外側へ塑性変形されて、先端部が各係合凹部32B、42B、103B、127に係止され、メカニズムカバーユニット8及び巻取バネユニット7が各側壁部21、22の巻取ドラム30の回転軸方向外側面に固定される。
【0150】
これにより、各圧入ピン95、111、118を介して各係止片93、108を各側壁部21、22に強固に取り付けることができ、メカニズムカバーユニット8と巻取バネユニット7のハウジング15への取付強度を容易に確保することができる。
【0151】
(B)また、例えば、プロテクタ17の貫通孔16の背板部18側の側縁部から下方に延出された壁部25が、背板部18の巻取ドラムユニット6に対して外側面に当接されて、ハウジング15に取り付けられるように構成してもよい。
【0152】
この場合には、プロテクタ17の板状の係止片26は、壁部25の下端中央部から、巻取ドラムユニット6に対して内側方向へ略直角に延出される。一方、背板部18の切欠部19A内の上側端縁部に設けられるリブ部20は、巻取ドラムユニット6に対して外側方向へ略直角に延出される。また、背板部18には、巻取ドラムユニット6に対して外側方向へ所定深さ(例えば、背板部18の板厚の約半分の深さである。)窪む係合凹部24が、リブ部20の反対側に位置するように全幅に渡って形成される。
【0153】
そして、プロテクタ17の壁部25を、背板部18の巻取ドラムユニット6に対して外側面に当接させつつ、相対向する各側壁部21、22の間に配置するように押し込むことによって、切欠部19Aに設けられたリブ部20が、壁部25に形成された嵌合孔27に嵌入されると共に、係止片26の係止突起26Aが、切欠部19Aの係合凹部24に弾性的に係止され、固定される。
【0154】
これにより、プロテクタ17を背板部18の巻取ドラムユニット6に対して外側面に当接させて取り付けた際には、リブ部20が嵌合孔27に嵌入されるため、プロテクタ17の背板部18に沿った方向への取付強度を容易に確保することができる。また、係止片26の係止突起26Aが、切欠部19Aの所定深さ窪む係合凹部24に弾性的に係止されるため、係止片26の先端部の巻取ドラム30側への突出量を低減することができる。