(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持ユニットは複数設けられ、該複数の支持ユニットは、前記ブレードの基端に最も接近して位置する1以上の基端側支持ユニットを含み、前記基端側支持ユニットは前記ブレードの基端と先端を結ぶ方向に進出及び後退可能に構成され、且つ進出位置における前記基端側支持ユニットと、該基端側支持ユニットに対向する前記支持ユニットとによって、前記複数の板状部材の周縁部を押圧把持するように構成されている、請求項1に記載のエンドエフェクタ装置。
前記複数の支持ユニットは、前記基端側支持ユニットに対向し、且つ前記ブレードに固定された1以上の先端側支持ユニットを含み、前記進出位置における前記基端側支持ユニットと該1以上の先端側支持ユニットとによって前記複数の板状部材を把持するように構成されている、請求項2に記載のエンドエフェクタ装置。
前記1以上の弾性部材は、夫々が可動爪片を一体に備え上下方向に延びる複数のコイルバネであり、該複数のコイルバネは、ブレード上に多段に積み重ねられて、互いに連結されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(エンドエフェクタ装置の第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態を、図を用いて詳述する。本発明は基板搬送用ロボットのアームの先端部に、取り付けられるエンドエフェクタ装置に関するが、先ず該搬送用ロボットの全体を説明する。本発明の実施の形態は、本発明における「1つの平面」として、水平面を例示する。また、搬送用ロボットが搬送する板状部材として、円板状の半導体ウエハを例示するが、板状部材は該半導体ウエハに限定されない。例えば、板状部材は、半導体プロセスによって処理される薄型液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ用のガラス基板であってもよい。また、半導体ウエハは、半導体デバイスの基板材料であり、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、サファイアウエハ等を含む。更に、半導体ウエハは素材である必要はなく、板状部材に回路や構造物が形成されていても良い。形状も円形状に限定されない。
また、半導体ウエハの処理には例えば処理ブース内における熱処理や成膜処理が含まれる。処理前の複数枚の半導体ウエハは、処理ブースから離れたフープ(FOUP; Front Opening Unified Pod)内に、水平姿勢にて上下に整列されて収納されている。
処理ブース内には、複数枚の半導体ウエハを上下に整列して水平に保持する半導体ウエハ処理用の処理棚が設けられている。処理時にはフープから複数枚の半導体ウエハを一度に取り出して、処理棚へ搬送する。ところが、処理棚内にて互いに隣り合う半導体ウエハのピッチは、フープ内における半導体ウエハのピッチとは異なる場合がある、具体的には処理棚内のピッチがフープ内のピッチよりも短い場合がある。このような場合に、フープから複数枚の半導体ウエハを取り出し、処理棚への搬送途中で、ピッチを変えるピッチ変更機構が用いられる。この点は、従来と同じである。
半導体ウエハを収納するのは、FOUPや処理棚に限定されない。要するに、半導体ウエハが異なるピッチで収納されていればよい。
【0012】
図1は、基板搬送用ロボット2の全体斜視図である。基板搬送用ロボット2は、上下に整列された複数枚の半導体ウエハを搬送するロボットであり、例えば所謂水平多関節型の3軸ロボットである。該基板搬送用ロボット2は、半導体処理設備に固定される基台22上に、昇降可能なアーム支持部23を設け、該アーム支持部23の上端部に水平方向に延びた第1アーム20の一端部が取り付けられている。該第1アーム20はアーム支持部23に対して回転可能に設けられ、該第1アーム20の他端部には第2アーム21の一端部が枢支されている。
該第2アーム21の末端部には、後記するエンドエフェクタ装置1が取り付けられている。第1アーム20がアーム支持部23に対して回転し、第2アーム21が第1アーム20に対して水平面内を回転することにより、前記エンドエフェクタ装置1は水平面内を移動する。また、前記エンドエフェクタ装置は、前記アーム支持部23の昇降によって高さ方向に動くことができる。
基板搬送用ロボット2は、基板処理装置に備えられても良い。また、該基板処理装置は基板処理設備に備えられても良い。該基板処理装置及び基板処理設備については、後記する。
【0013】
前記エンドエフェクタ装置1は、第2アーム21の先端部に基端部が取り付けられたブレード10と、該ブレード10から上向きに延びる複数、
図1では例えば3つの支持ユニット3、3、3aを備える。各支持ユニット3、3aは複数枚の半導体ウエハ9を水平姿勢にて互いに上下間隔を空けて把持する。尚、ブレード10の下面に或いは上下両面に支持ユニット3を設けたエンドエフェクタ装置1も、本発明の技術的範囲に含まれるが、説明の便宜上、以下の例では支持ユニット3はブレード10から上向きに延びているとする。
図2は、エンドエフェクタ装置1を拡大して示す斜視図であり、
図3は、その平面図である。3つの支持ユニット3、3、3aのうち、2つの支持ユニットがブレード10の先端部に位置する先端側支持ユニット3、3であり、他の1つがブレード10の基端部に位置する基端側支持ユニット3aである。ブレード10の基端部には、該ブレード10の基端部から先端側に向かって延びた長孔11が開設されており、基端側支持ユニット3aは、第2アーム21の先端部上に設けられて、前記長孔11を通ってブレード10から上向きに突出する。このように、基端側支持ユニット3aが、第2アーム21の先端部上に設けられて、前記長孔11を通ってブレード10から上向きに突出する形態も、「基端側支持ユニット3aがブレード10に位置するよう設けられた」形態に含まれる。基端側支持ユニット3aは、第2アーム21に設けられたプランジャ(図示せず)によって、第2アーム21の先端部上又はブレード10上を移動し、具体的にはブレード10の先端に向かって動いた進出位置と、該進出位置からブレード10の基端部に向かって動いた後退位置との間を移動する。
説明の便宜上、以上の実施形態では、先端側支持ユニット3、3がブレード10上に固定され、基端側支持ユニット3aが長孔11に沿って移動するとした。しかし、これに代えて、先端側支持ユニット3、3の一方又は両方を半導体ウエハ9の中心もしくはブレード10の基端部の方向に移動させてもよい。要するに、支持ユニット3、3間の距離が小さくなればよい。
【0014】
各支持ユニット3、3aは、互いに上下方向に離れて配置されて、各々が半導体ウエハ9の周縁部を支持する複数の爪片30、30と、該複数の爪片30、30の上下間隔を変更するピッチ変更機構4を備える。各支持ユニット3、3aの同じ高さにある3つの爪片30、30、30が1枚の半導体ウエハ9の周縁部を支持する。
図3に示すように、半導体ウエハ9の中心Cに対して、各支持ユニット3の同じ高さにある3つの爪片30、30、30が放射状に配置される。3つの爪片30、30、30によって半導体ウエハ9が位置すべき水平面が定まるから、各半導体ウエハ9は3つの爪片30、30、30に略水平に安定して支持される。
図4は、爪片30の斜視図である。爪片30は、本体31の下端部から受け片32を側方に突出して2段に構成され、該受け片32の上面は前記半導体ウエハ9の周縁部下面を受ける受け面33を形成する。本体31の内側側面は、該受け面33に略直交し、前記半導体ウエハ9に周縁端面に接する当接面34を形成する。爪片30は合成樹脂から形成されるが、これに限らない。爪片30は半導体ウエハ9を傷つけない材料から形成されるのが好ましい。
【0015】
図5は、爪片30にて半導体ウエハ9を保持した状態の側面図である。前記の如く、爪片30は当接面34にて半導体ウエハ9の周縁を内向きに押して半導体ウエハ9を安定して保持するエッジグリップタイプである。
支持ユニット3が進出位置にあるときには、同じ高さ位置にある爪片30、30が半導体ウエハ9を保持する。これにより、半導体ウエハ9の水平面内の位置が安定する。更に、エンドエフェクタ装置1の全体を高速で搬送しても、半導体ウエハ9がずれない。このように、エッジグリップタイプの爪片30は半導体ウエハ9を安定して保持・搬送するのには有利であるが、
図6に示す別の構成の爪片30も考えられる。
【0016】
(爪片の応用例)
図6は、別の爪片30を示す側面図である。爪片30は本体31の上端部から下方に向かって内向きに傾斜した第1斜面320と、該第1斜面320の下側に該第1斜面32に連続して形成されて、下方に向かって内向きに傾き、前記第1斜面32よりも傾斜角度が緩やかな第2斜面330を有している。半導体ウエハ9の周縁部は、爪片30の内側にて第1斜面320と第2斜面330の境目SMに載置されて保持される。
【0017】
この構成によれば、半導体ウエハ9は爪片30に保持される際には、爪片30の第1斜面320を滑って該第1斜面320と第2斜面330の境目SMに載置される。これにより、半導体ウエハ9のピッチ変更機構4に対する水平位置及び水平姿勢が矯正されて安定に保持される。また、爪片30と半導体ウエハ9は線接触するから、爪片30と半導体ウエハ9との接触面積が小さい。これにより、半導体ウエハ9への異物付着が減少する。
【0018】
(エンドエフェクタ装置の動作)
(ステップ1)
エンドエフェクタ装置1は、複数枚の半導体ウエハ9、9を上下間隔を空けて収納したフープに対向した位置にある。基板搬送用ロボット2を用いて、該フープから複数枚の半導体ウエハを上下間隔を空けたまま、エンドエフェクタ装置1に位置させる。前記プランジャにより、基端側支持ユニット3aが後退位置から進出位置に向かって移動し、半導体ウエハ9を把持する。
図2の基端側支持ユニット3aが進出位置にあるときに、基端側支持ユニット3aの各爪片30は、受け面33が半導体ウエハ9の周縁部下面を受けるとともに、当接面34が半導体ウエハ9の周縁端面を進出方向に押す。該半導体ウエハ9は周縁端面が、先端側支持ユニット3の同じ高さ位置にある爪片30、30の当接面34、34に押圧され、半導体ウエハ9は前記エンドエフェクタ装置1内で、3つの爪片30、30、30にて周縁部下面と周縁端面が保持される。即ち、半導体ウエハ9は周縁部下面の一部のみが爪片30にて受けられ、爪片30は半導体ウエハ9の下面全面に被さらない。
(ステップ2)
この状態で、第1アーム20及び第2アーム21(
図1参照)が回転し、アーム支持部23が昇降し、前記エンドエフェクタ装置1に保持された複数枚の半導体ウエハ9、9が半導体の処理ブース内の処理棚(図示せず)の手前に搬送される。該処理棚には、半導体ウエハ9の下面を受ける支持部(図示せず)が設けられている。
【0019】
(ステップ3)
エンドエフェクタ装置1が、複数枚の半導体ウエハ9、9を半導体の処理ブースに搬送すると、前記支持部が半導体ウエハ9の下面に対向するように移動されて、該半導体ウエハ9の下面露出部分に当接する。基端側支持ユニット3aが後退位置に移動すると、基端側支持ユニット3aの爪片30は受け面33が半導体ウエハ9の周縁部下面から離れ、もはや爪片30に保持されない。複数枚の半導体ウエハ9は前記支持部に支持されて処理ブース内の処理棚に搬送され、熱処理や成膜処理が施される。アーム支持部23が昇降し、第1アーム20及び第2アーム21が回転して、前記エンドエフェクタ装置1はフープに対向した位置に戻る。
【0020】
従来と同様に、フープから複数枚の半導体ウエハを処理ブースの処理棚に搬送するまでに、互いに隣り合う半導体ウエハの上下間隔を変える、具体的には狭くする必要がある。前記の如く、支持ユニット3には、このために複数の爪片30、30の上下間隔を変更するピッチ変更機構4が設けられており、以下にピッチ変更機構4の種々の態様を記載する。説明の便宜上、ブレード10上に立設した先端側支持ユニット3のピッチ変更機構4を説明するが、基端側支持ユニット3aにも同様のピッチ変更機構4が設けられている。
【0021】
(ピッチ変更機構の第1実施形態)
図7(a)、(b)は、第1実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図7(a)はピッチが大きい初期状態を、
図7(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。
ブレード10上には断面円形のピストン軸50が昇降可能に設けられ、該ピストン軸50の上端部にはフランジ51が取り付けられている。ピストン軸50には上下に延びた螺旋状のコイルバネ40が嵌まり、該コイルバネ40はバネピッチが等間隔に形成されている。コイルバネ40は1本の圧縮コイルバネであり、該コイルバネ40の外周部には、前記複数の爪片30、30が先端部を半導体ウエハ9の中心部に向けて上下に間隔を空けて配置されている。爪片30は具体的には5つ設けられ、最下位の爪片30がブレード10上に接して昇降せず、それ以外の4つの爪片30、30が、昇降する。尚、爪片30の数は5つに限定されない。
【0022】
また、隣り合う爪片30、30間の間隔は初期状態から処理ブースに搬送するまでの間に、夫々10mmから夫々6mmに等しく縮められ、以下の記載では上位の爪片30を押し下げて縮めるとする。即ち、最下位の爪片30に対し上位で隣り合う爪片30は4mm押し下げられるが、最上位の爪片30は16mm押し下げられ、上位の爪片30ほど下降量が大きい。勿論、下位の爪片30を押し上げて、爪片30、30間の間隔を縮めてもよい。爪片30の押し上げと押し下げを両方行っても良い。
本実施形態にあっては、ピストン軸50がコイルバネ40を上下方向に弾性変形させて爪片30、30間の間隔を変える作動機構5の一部となる。該ピストン軸50を昇降させる機構は、例えばソレノイドやエアシリンダにピストン軸50を接続する等の構成が考えられる。
【0023】
図7(a)に示す初期状態にて、コイルバネ40は自由長又はフランジ51によって軽く下向きに押圧されている。爪片30、30の上下間隔は、バネピッチ1つ分に等しく、該爪片30とコイルバネ40は合成樹脂により一体に形成されている。最上位の爪片30はフランジ51の下面に接している。
図7(a)に示す初期状態から、ピストン軸50が下降すれば、フランジ51がコイルバネ40を下向きに押し、コイルバネ40は弾性付勢力に抗して、隣り合うコイルが密着するまで縮まる。ピッチ間距離が短くなるから、隣り合う爪片30、30間の間隔も短くなる。前記の如く、爪片30は半導体ウエハ9の周縁部下面を受けているから、上下で隣り合う半導体ウエハ9、9の間隔も短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハは、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。処理ブースにて複数枚の半導体ウエハが取り出された後は、ピッチ変更機構4を備えたエンドエフェクタ装置1はフープに対向する位置に戻る。その際に、
図7(b)から
図7(a)に示すように、ピストン軸50が上昇する。コイルバネ40は弾性復帰力により上向きに延び、隣り合う爪片30、30の上下間隔が広がり、ピッチ変更機構4は初期状態に戻る。即ち、ピストン軸50がコイルバネ40を引き上げなくても、コイルバネ40は初期状態に戻る。勿論、フランジ51にコイルバネ40を取り付け、ピストン軸50にてコイルバネ40を引き上げてもよい。
【0024】
ここで、ピストン軸50は断面円形であるから、コイルバネ40及び爪片30がピストン軸50周りに不用意に回転する虞がある。これでは、爪片3が半導体ウエハ9の下面からずれるように回転して、該半導体ウエハ9を受けることができない虞がある。この点に鑑みて、
図8に示す回り止めの構成がブレード10上に設けられている。
図8は、最下位の爪片30を
図7(a)のA1方向から見た平面図である。ブレード10上には、最下位の爪片30を囲むように回止め片12が設けられ、該回止め片12に形成された凹み13に、前記最下位の爪片30が嵌まる。凹み13の内側壁に爪片30の側部が当接して、最下位の爪片30がピストン軸50を中心として不用意に回転することが規制される。爪片30とコイルバネ40は一体に形成されているから、コイルバネ40のピストン軸50を中心とした回転も規制される。
【0025】
爪片30は半導体ウエハ9の周縁部下面の一部のみを支持し、該半導体ウエハ9の下面全面に被さらない。従って、半導体ウエハ9の下面全面を支持する従来のピッチ変更機構4に比して、ピッチ変更機構4を小型化、軽量化することができる。これにより、ピッチ変更機構4はロボットアームの先端部に取り付けられるエンドエフェクタ装置1に組み込むのに適した構成となる。
【0026】
(ピッチ変更機構の第2実施形態)
図9(a)、(b)は、第2実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図9(a)はピッチが大きい初期状態を、
図9(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。本実施形態のピッチ変更機構4は、
図7(a)に示すピッチ変更機構4のコイルバネ40のバネピッチを短く、具体的には半分に形成し、1バネピッチおきに爪片30を配備している。この例にあっても、
図9(a)に示す初期状態からピストン軸50が下降すれば、コイルバネ40が縮まって、隣り合うコイルが密着する。隣り合う爪片30、30間の間隔が短くなり、
図9(b)に示すように、上下で隣り合う半導体ウエハ9、9の間隔も短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚のウエハは、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。この後のピッチ変更機構4の動作は、第1実施形態と同様であるから、記載を省く。
【0027】
(ピッチ変更機構の第3実施形態)
図10(a)、(b)は、第3実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図10(a)はピッチが大きい初期状態を、
図10(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。本実施形態では、ピストン軸50は断面が矩形の角軸であり、該ピストン軸50に複数のコイルバネ40、40が多段に積み重ねられた状態で嵌まっている。コイルバネ40は、第1、第2実施形態と同様に圧縮コイルバネであるが、両実施形態のコイルバネ40よりも短い。各コイルバネ40の上端部に爪片30が取り付けられ、各爪片30は先端部を半導体ウエハ9の中心部に向けている。1の爪片30と該爪片30の上面に接するコイルバネ40は連結されている、即ち上下で隣り合うコイルバネ40は爪片30を介して互いに連結されている。第1実施形態と同様に、上下で隣り合う爪片30、30は上下に間隔を空けて配置されており、各爪片30はピストン軸50に嵌まって昇降を案内される。
図10(a)に示すように、爪片30、30間の間隔が広い初期状態では、コイルバネ40は自由長又は軽く下向きに押圧された状態である。爪片3は5つ設けられ、最下位の爪片30aがブレード10上に固定された固定爪片であり、それ以外の4つの爪片30、30が、昇降する可動爪片である。
【0028】
図10(a)に示す初期状態から、ピストン軸50が下降すれば、コイルバネ40はフランジ51に下向きに押さえられ、上向きの弾性付勢力に抗して、隣り合うコイルが密着するまで縮められる。コイルバネ40のピッチ間距離が縮まるから、隣り合う爪片30、30間の間隔が短くなり、
図10(b)に示すように、上下で隣り合う半導体ウエハ9、9の間隔も短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。
処理ブースから、ピッチ変更機構4を備えたエンドエフェクタ装置1がフープに対向する位置に戻った際には、
図10(a)に示すように、ピストン軸50は上昇する。下向きに押圧されたコイルバネ40は弾性復帰力によって上向きに延び、隣り合う爪片30、30の上下間隔が広がる。
【0029】
尚、爪片30とコイルバネ40は一体に形成されてもよいが、必ずしも一体に形成されている必要は無い。従って、爪片30とコイルバネ40を別個の材料、例えば爪片30を合成樹脂、コイルバネ40を金属線材から形成することもできる。コイルバネ40は、金属線材から形成されたものが汎用品として市場に流通しているのが一般的である。従って、該汎用品である金属製のコイルバネ40を用いることにより、ピッチ変更機構4を安価に形成することができる。
また、ピストン軸50は角軸であるから、このピストン軸50を用いて爪片30のピストン軸50周りの回転を規制することができる。
図11は、第3実施形態のピッチ変更機構4に用いる爪片30の斜視図である。爪片30の本体31には、上下に貫通した矩形状の透孔35が開設され、該透孔35がピストン軸50に摺動可能に嵌まる。これにより、爪片30がピストン軸50周りに不用意に回転することが防止され、爪片30は確実に半導体ウエハ9の下面を支持する。尚、前記の第1及び第2の実施形態において、ピストン軸50を角軸に形成し、該ピストン軸50に嵌まるコイルバネ40の内側開口を矩形に形成してもよい。要するにピストン軸50とコイルバネ40の相対的な回転が制限されるように形成すればよい。
【0030】
(ピッチ変更機構の第4実施形態)
図12(a)、(b)は、第4実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図12(a)はピッチが大きい初期状態を、
図12(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。
図13は、該ピッチ変更機構4に用いる円筒体8の側面図である。本実施形態にあっても、最下位の爪片30aがブレード10上に固定された固定爪片であり、他の4つの爪片30、30が可動爪片である。
ピッチ変更機構4は、ブレード10上に設けられた円筒体8を備え、該円筒体8の内側には爪片案内軸81が上下に延びて設けられている。該円筒体8は該爪片案内軸81の周りにて水平面内を回転可能に設けられ、該円筒体8の周面には、該円筒体8の外側と内側を貫通して、爪片30、30に対応した複数の螺旋溝80、80が開設されている。螺旋溝80の、円筒体8の外周面1周分の上下長さを螺旋ピッチと呼ぶ。螺旋溝80は上位の螺旋溝80ほど螺旋ピッチが大きく、下位の螺旋溝80ほど螺旋ピッチが小さく形成されている。これは前記の如く、隣り合う爪片30、30間の間隔を等しく縮めるためには、上位の爪片30ほど下降量が大きくする必要があるからである。
各爪片30は、基端部が爪片案内軸81に嵌まり、先端部が螺旋溝80を貫通して、半導体ウエハ9の中心部を向いている。爪片案内軸81は角軸であり、本実施形態における爪片30は、前記
図11に示すように、本体31に矩形状の透孔35を形成している。従って、円筒体8が回転しても、爪片30は連動して回転せず、昇降のみが許される。
円筒体8を回転させる機構は、種々考えられるが、一例として
図12(a)、(b)に示すように、円筒体8の下端部にタイミングベルト82の一端部を巻き付け、該タイミングベルト82の他端部を第2アーム21に設けたモータやエアシリンダ等の直動駆動装置(図示せず)に繋ぐ構成が考えられる。このようなモータやエアシリンダは、ブレード10に設けられてもよい。
【0031】
図12(a)に示すように、上下で隣り合う爪片30、30が所定間隔で離れている初期状態から、円筒体8を上から見て時計方向に回転させる。各爪片30、30は螺旋溝80に沿って下降する。前記の如く、上位の螺旋溝80ほど螺旋ピッチが大きく、下位の螺旋溝80ほど螺旋ピッチが小さいから、最上位の爪片30は最も下降量が大きく、下位の爪片30ほど下降量が短くなる。最上位の爪片30が下降完了状態では、
図12(b)に示すように、各隣り合う爪片30、30の間隔は、
図12(a)に示す初期状態に比して短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。
処理ブースにて複数枚の半導体ウエハ9、9が取り出された後は、ピッチ変更機構4を備えたエンドエフェクタ装置1はフープに対向する初期状態に戻る。その際に、円筒体8を上から見て反時計方向に回転させ、
図12(b)から
図12(a)に示すように、爪片30、30を上昇させる。ピッチ変更機構4は初期状態に戻る。
尚、爪片案内軸を円筒体8の外側に設け、爪片30を円筒体8の螺旋溝80に嵌めてもよい(
図13参照、
図13では爪片案内軸を図示せず)。この場合、螺旋溝80は円筒体8の外側と内側を貫通している必要は無く、周面に形成されていればよい。
【0032】
(ピッチ変更機構の第5実施形態)
図14(a)、(b)は、第5実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、爪片30、30を昇降させる前記作動機構5の別の例を示す。
図14(a)はピッチが大きい初期状態を、
図14(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。
作動機構5は、前記ブレード10に立設された中空の固定軸6と、下面が開口し、該固定軸6の上側から固定軸6に昇降可能に嵌まる伸縮軸60を備える。固定軸6と伸縮軸60の外側に、第1実施形態と同様に、複数の爪片30、30を1ピッチ毎に備えたコイルバネ40が嵌まる。前記伸縮軸60の上端部にはフランジ61が設けられ、該フランジ61に最上位の爪片30が取り付けられる。これにより、伸縮軸60が昇降すれば、コイルバネ40が伸縮し、隣り合う爪片30、30の上下間隔が変わる。尚、フランジ61に最上位の爪片30が取り付けられず、該最上位の爪片30はコイルバネ40の付勢力によって押圧接触していてもよい。
また、作動機構5は、第2アーム21の基端部側に位置するシリンダ(図示せず)を備え、該シリンダと前記フランジ61は固定軸6及び伸縮軸60内を通るワイヤ62にて接続される。該ワイヤ62はフランジ61の下面から下向きに延び、ブレード10内にて固定軸6の下方に配備されたプーリ63に巻き付いた後に水平に延びて、前記シリンダに繋がる。プーリ63の回転中心軸は、プーリ63とシリンダ間のワイヤ62とは略直交している。
【0033】
図14(a)に示す初期状態から、シリンダがワイヤ62を水平に引くと、該ワイヤ62はプーリ63によって下向きの引張り移動に変換されて、前記フランジ61を下向きに引く。コイルバネ40は弾性付勢力に抗して下向きに押されて、隣り合うコイルが密着するまで縮み、その結果、
図14(b)に示すように、各隣り合う爪片30、30の間隔は、
図14(a)に示す初期状態に比して短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。
処理ブースにて複数枚の半導体ウエハ9、9が取り出された後は、ピッチ変更機構4を備えたエンドエフェクタ装置1はフープに対向する位置に戻る。その際に、シリンダはワイヤ62の引き込みを解除する。コイルバネ40は弾性復帰力によって上昇し、各隣り合う爪片30、30の間隔が広がって、ピッチ変更機構4は初期状態に戻る。
本実施形態にあっては、作動機構5の駆動源であるシリンダは、ブレード10の外側であって、第2アーム21の基端部側に設けられる。即ち、シリンダはブレード10内又はブレード10上には設けられない。従って、これによっても、ピッチ変更機構4をエンドエフェクタ装置1に組み込むのに適するように小型化することができる。
また、本実施形態にあっては、シリンダの重量は、第2アーム21の先端部に加わらないから、該第2アーム21の先端部上の重量を軽くでき、該第2アーム21の先端部をスムーズに動作させることができる。
【0034】
(ピッチ変更機構の第6実施形態)
図15(a)、(b)は、第6実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図15(a)はピッチが大きい初期状態を、
図15(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。作動機構5が、固定軸6と伸縮軸60を備え、該固定軸6と伸縮軸60の外側に、複数の爪片30、30を1ピッチ毎に備えたコイルバネ40が嵌まり、伸縮軸60のフランジ61がワイヤ62にて下向きに引かれる構成は、第5実施形態と同様である。しかし、本実施形態にあっては、第2アーム21に設けたモータ又はロータリアクチュエータ(図示せず)から延びた回転シャフト64の先端部を、ブレード10内にて固定軸6の下方に配備されたプーリ63に繋ぎ、プーリ63を回転シャフト64で直接回転させる。プーリ63の回転中心軸は、回転シャフト64の長手方向と略平行である。
図15(a)に示す初期状態から、モータ又はロータリアクチュエータに通電して、回転シャフト64及びプーリ63を回転させ、ワイヤ62を下向きに引く。すると、コイルバネ40はフランジ61によって下向きに押されて、弾性付勢力に抗して、隣り合うコイルが密着するまで縮む。その結果、
図15(b)に示すように、各隣り合う爪片30、30の間隔は、
図15(a)に示す初期状態に比して短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。その後の動作は、第5実施形態と同様であり、記載を省く。
【0035】
(ピッチ変更機構の第7実施形態)
図16(a)、(b)は、第7実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図16(a)はピッチが大きい初期状態を、
図16(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。作動機構5が、固定軸6と伸縮軸60を備え、両軸6、60の外側に、複数の爪片30、30を1ピッチ毎に備えたコイルバネ40が嵌まり、伸縮軸60のフランジ61が下向きに引かれるのは、第5及び第6実施形態と同様である。しかし、本実施形態では、フランジ61はワイヤ62ではなく、伸縮軸60内に配置されたエアシリンダ55にて昇降される。該エアシリンダ55は円筒形のシリンダ本体56にピストンロッド57を出没自在に設け、シリンダ本体56にエアを導入、又はシリンダ本体56からエアを吸引することによって、往復動される複動式である。該ピストンロッド57の先端部がフランジ61に繋がって、フランジ61を昇降させる。
図16(a)に示す初期状態では、シリンダ本体56からピストンロッド57が上向きに突出している。シリンダ本体56からエアを吸引すれば、
図16(b)に示すように、ピストンロッド57が下降し、フランジ61が下降する。コイルバネ40は弾性付勢力に抗して下向きに押されて、隣り合うコイルが密着するまで縮み、その結果、各隣り合う爪片30、30の間隔は、初期状態に比して短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。その後の動作は、第5実施形態と同様であり、記載を省く。
【0036】
(ピッチ変更機構の第8実施形態)
図17(a)、(b)は、第8実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図17(a)はピッチが大きい初期状態を、
図17(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。作動機構5が、固定軸6と伸縮軸60を備え、両軸6、60の外側に、複数の爪片30、30を1ピッチ毎に備えたコイルバネ40が嵌まり、伸縮軸60のフランジ61がエアシリンダ55にて下向きに引かれる構成は、第7実施形態と同様である。しかし、本実施形態にあっては、エアシリンダ55はエアの吸引、又はエアの導入の何れか一方のみを行って、ピストンロッド57を一方向にのみ動かす単動式である。かかる単動式のエアシリンダ55にあっては、エアの吸引又は導入が遮断された際には、ピストンロッド57はシリンダ本体56に内蔵されたバネによって、エアの吸引又は導入がなされる前の位置に戻る。説明の便宜上、エアシリンダ55はエアの吸引のみを行うとする。
図17(a)に示す初期状態では、シリンダ本体56からピストンロッド57が上向きに突出している。シリンダ本体56がエアを吸引すれば、
図17(b)に示すように、ピストンロッド57が下降し、フランジ61が下降する。コイルバネ40は弾性付勢力に抗して下向きに押されて、隣り合うコイルが密着するまで縮み、その結果、各隣り合う爪片30、30の間隔は、初期状態に比して短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。シリンダ本体56がエアの吸引を解除すれば、シリンダ本体56に内蔵されたバネによって、ピストンロッド57が上昇し、初期状態に戻る。
一般的に、単動式のエアシリンダ55は、複動式のエアシリンダ55に比して構造が簡単で安価である。従って、エンドエフェクタ装置1に組み込み可能なピッチ変更機構4を簡素な構成で安価に構成することができる。
【0037】
(ピッチ変更機構の第9実施形態)
図18は、第9実施形態に係るピッチ変更機構4の平面図であり、
図19は、該ピッチ変更機構4の要部斜視図、
図20(a)、(b)は、
図18に示すピッチ変更機構4をB1方向から見た側面図である。
図20(a)はピッチが大きい初期状態を、
図20(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。本実施形態にあっても、ピッチ変更機構4は異なる高さ位置にある4つの爪片30、30を昇降させ、各爪片30が対応する半導体ウエハ9の周縁部を支持する。上位の爪片30ほど移動ストロークが大きい点も上記各実施形態と同じである。
ピッチ変更機構4は、ブレード10の内側であって、半導体ウエハ9の装着位置の内側に中心軸70を中心として垂直面内を揺動する細長の揺動板7を備え、該揺動板7が爪片30、30を昇降させる。揺動板7を揺動させる構成には種々のものが考えられるが、例えば中心軸70に小型モータを連結させる等が考えられる。該揺動板7には、爪片30の数に対応して複数の長孔71、71が揺動板7の長手方向に沿って開設されている。爪片30、30は、夫々略L字形の支え軸72に取り付けられ、各支え軸72は縦向きに延びて上端部に爪片30を取り付けた垂直軸73と、該垂直軸73の下端部から水平に延びる水平軸74を一体に備えている。該水平軸74の先端部は、対応する長孔71に嵌まり、支え軸72はその垂直軸73が支持する爪片30の高さが低いほど、その水平軸74は揺動板7上の中心軸70側の長孔71に嵌まっている。これにより、上位の爪片30ほど昇降ストロークが長くなる。
各垂直軸73が真っ直ぐに昇降すべく、各垂直軸73はブレード10上に設けられたスラスト軸受け(図示せず)に嵌まっている。
【0038】
図20(a)に示す初期状態では、揺動板7は実線で示すように、先端部を上に向けて傾き、先端部がブレード10内の上側ストッパ77に接している。このときの揺動板7の水平面に対する傾き角をθとする。初期状態では、上下で隣り合う爪片30、30は、略等間隔に位置する。
該初期状態から、揺動板7が中心軸70を中心に下向きに揺動すれば、各支え軸72、72が一度に下がる。上位の爪片30は下位の爪片30よりも下降ストロークが長いから、上下で隣り合う爪片30、30間の間隔は狭くなり、
図20(b)に示すように、上下で隣り合う半導体ウエハ9、9の間隔も短くなる。
揺動板7が先端部を下に向けて傾き、水平面との角度がθとなったとき、即ち、揺動板7が初期状態から角度2θだけ下向きに回転すると、揺動板7はブレード10内の下側ストッパ78に接して停止する。上下で隣り合う爪片30、30は、略等間隔に位置し、該間隔は初期状態よりも短い。
これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。
処理ブースにて複数枚の半導体ウエハが取り出された後は、ピッチ変更機構4を備えたエンドエフェクタ装置1はフープに対向する位置に戻る。その際には、中心軸70を中心として、揺動板7を角度2θだけ上向きに回転させれば、爪片30、30は初期状態に戻る。
【0039】
(ピッチ変更機構の第10実施形態)
図21(a)、(b)は、第10実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図21(a)はピッチが大きい初期状態を、
図21(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。また、
図21(c)は、
図21(a)のピッチ変更機構4を背面から見て、矢印C1-C1を含む面にて破断し、矢視した断面図である。
本実施形態にあっては、複数の爪片30、30は、上端部にフランジ51を設けた角軸であるピストン軸50に嵌まる。ピストン軸50の昇降機構は、第3実施形態と同様である。上下で隣り合う爪片30、30は、弾性部材であるクリップ45にて接続されている。クリップ45は円弧状の支持片46の上下端から夫々脚片47、47を外向きに互いに広がるように突出しており、脚片47、47間の角度を狭めるように押圧すると、押圧方向とは反対向きに弾性力を生じる。
図21(c)に示すように、クリップ45は、爪片30の幅方向端部に位置するが、上下で隣り合うクリップ45は、互い違いに反対側の爪片30端部に設けられる。これにより、爪片30の幅方向両端部に均等にクリップ45の弾性力を及ぼしている。
【0040】
図21(a)に示す初期状態から、ピストン軸50が下降すれば、フランジ51がクリップ45の脚片47を、脚片47、47間の角度が小さくなる向きに押し、クリップ45は弾性付勢力に抗して縮まる。ピッチ間距離が短くなるから、隣り合う爪片30、30間の間隔も短くなる。前記の如く、爪片30は半導体ウエハ9の周縁部下面を受けているから、上下で隣り合う半導体ウエハ9、9の間隔も短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚のウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。
処理ブースにて複数枚の半導体ウエハが取り出された後は、ピッチ変更機構4を備えたエンドエフェクタ装置1はフープに対向する位置に戻る。その際に、
図21(b)から
図21(a)に示すように、ピストン軸50を上昇させる。クリップ45は脚片47、47間の角度が広くなる向きに弾性復帰し、ピッチ変更機構4は初期状態に戻る。即ち、ピストン軸50がクリップ45を引き上げなくても、ピッチ変更機構4は初期状態に戻る。
【0041】
(ピッチ変更機構の第11実施形態)
図22(a)、(b)は、第11実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図22(a)はピッチが大きい初期状態を、
図22(b)はピッチが小さい状態を夫々示す。作動機構5が、固定軸6と上端部にフランジ61を設けた伸縮軸60を備え、該固定軸6と伸縮軸60の外側に、複数の爪片30、30を1ピッチ毎に備えたコイルバネ40が嵌まる構成は、第5実施形態と同様である。本実施形態にあっては、ブレード10内に設けた中心軸70を中心として垂直面内を揺動する略三角形の揺動子67を設けている。該揺動子67の一端部と伸縮軸60のフランジ61を垂直ワイヤ65で接続し、第2アーム21に設けたシリンダ又はモータ(図示せず)と揺動子67の他端部を水平ワイヤ62又は棒で接続している。
【0042】
図22(a)に示す初期状態から、シリンダ又はモータにて水平ワイヤ62又は棒を引っ張ると、揺動子67が中心軸70を中心として時計方向に回転する。このため、垂直ワイヤ65が下向きに引っ張られ、フランジ61が下降し、コイルバネ40は弾性付勢力に抗して下向きに押されて、隣り合うコイルが密着するまで縮む。その結果、
図22(b)に示すように、各隣り合う爪片30、30の間隔は、
図22(a)に示す初期状態に比して短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。
水平ワイヤ62又は棒の引っ張りを解除すると、コイルバネ40が弾性復帰し、フランジ61は上昇する。各隣り合う爪片30、30の間隔が広がって、ピッチ変更機構4は初期状態に戻る。
図22(a)、(b)において、揺動子67の一端部と垂直ワイヤ65との接続点をS1、揺動子67の他端部と水平ワイヤ62又は棒との接続点をS2とする。中心軸70から接続点S1までの距離L1は、中心軸70から接続点S2までの距離L2よりも長く形成されている。これにより、シリンダ又はモータにて水平ワイヤ62を引く距離が短くても、垂直ワイヤ65がフランジ61を下降させる距離を長くすることができる。即ち、第2アーム21のシリンダ又はモータがたとえコンパクトであっても、コイルバネ40を大きく縮めさせることができる。
揺動子67はL字形でも良い。要するに中心軸70と接続点S1と接続点S2の位置関係を上の説明のように維持できれば良い。
【0043】
(ピッチ変更機構の第12実施形態)
図23(a)、(b)は、第12実施形態に係るピッチ変更機構4の側面を一部破断した図であり、
図23(a)はピッチが大きい初期状態を、
図23(b)はピッチが小さい際の状態を夫々示す。
本実施形態は、上記の第11実施形態と基本的に同様の構成であるが、第11実施形態に比して、中心軸70から接続点S2までの垂直距離L3を短くしている。これにより、ブレード10の厚さが薄い場合でも、揺動子67を用いて、爪片30を設けたコイルバネ40を縮めることができる。
【0044】
(ピッチ変更機構の第13実施形態)
図24は、第13実施形態に係るピッチ変更機構4の分解斜視図であり、図示の便宜上、コイルバネ40を省く。
図25(a)、(b)は、該ピッチ変更機構4を
図24のD1方向から見て破断した断面図である。
図25(a)は、ピッチが大きい初期状態を、
図25(b)は、ピッチが小さい状態を夫々示す。
本実施形態にあっては、複数の爪片30、30は第1実施形態と同様に、コイルバネ40の外周面に上下に亘って等間隔に取り付けられており、最下位の爪片30aが固定爪片である。該コイルバネ40はブレード10に縦向きに設けられる昇降軸100に嵌まる。該昇降軸100は上端部に鍔体101を備え、長手方向の中央部から下向きにネジ軸102を形成しており、該ネジ軸102の長さは最上位の爪片30の昇降量、即ち最長の昇降ストロークに応じて決定される。ネジ軸102は周面の一部が縦長の切欠部103を形成しており、ネジ軸102は断面が略D字状に形成される。最下位の爪片30aは、ブレード10上に固定された受け輪14と一体に形成されており、該受け輪14内に前記ネジ軸102のD字形の断面形状に対応した規制孔15が開設されている。ネジ軸102が規制孔15に嵌まることによって、ネジ軸102は長手方向の軸線を中心とした回転が規制され、昇降動作のみが許される。
【0045】
図25(a)、(b)に示すように、ブレード10の下面にて、昇降軸100に対応する位置には上面に凹み111を設けたブラケット110が取り付けられ、該ブラケット110の凹み111の下面と前記ブレード10の下面には、夫々軸受け112、112が取り付けられている。ブレード10の下面とブラケット110との間には、プーリアセンブリ120(
図24参照)が配置される。プーリアセンブリ120は、従動プーリ121の上下面から夫々受け筒122、122を突出して構成される。従動プーリ121は中空であって、各受け筒122の内面には、前記のネジ軸102が螺合するネジ面123が形成されている。各受け筒122は前記の軸受け112、112に回転自在に嵌まる。
第2アーム21(
図1参照)には従動プーリ121を回転させるモータ(図示せず)が設けられ、該モータと従動プーリ121の間に無端ベルト124が架けられる。モータが回転すると、従動プーリ121が回転し、受け筒122が回転する。受け筒122はネジ軸102に回転力を与えるが、前記の如く、ネジ軸102は規制孔15に嵌まって回転を規制されているから、ネジ軸102は従動プーリ121の回転により昇降のみが許される。
【0046】
図25(a)に示す初期状態から、モータに通電して従動プーリ121を回転させる。ネジ軸102が下降し、これに伴って鍔体101も下降し、コイルバネ40を弾性付勢力に抗して下向きに押す。その結果、
図25(b)に示すように、コイルバネ40の隣り合うコイルが密着し、各隣り合う爪片30、30の間隔は、
図25(a)に示す初期状態に比して短くなる。これにより、フープから取り出された複数枚の半導体ウエハ9、9は、上下間隔を短くされて、処理ブースに送られる。
処理ブースにて複数枚の半導体ウエハが取り出された後は、ピッチ変更機構4を備えたエンドエフェクタ装置1はフープに対向する位置に戻る。その際には、モータを逆転させ、ネジ軸102を上昇させるコイルバネ40は弾性復帰力により上向きに延び、隣り合う爪片30、30の上下間隔が広がり、ピッチ変更機構4は初期状態に戻る。
尚、
図25(a)、(b)では、コイルバネ40は上から見て右巻きとなっているが、該コイルバネ40が嵌まるネジ軸102は一般に上から見て右回りに形成される。従って、コイルバネ40を伸縮させる際に、該コイルバネ40の内側がネジ軸102に引掛かる虞がある。従って、コイルバネ40は左巻きに形成するのが好ましい。
【0047】
尚、上記の実施形態のエンドエフェクタ装置1では、隣り合う爪片30、30間の間隔は初期状態から処理ブースに搬送するまでの間に、縮められるとした。
しかし、これに代えて、初期状態から処理ブースに搬送するまでの間に、隣り合う爪片30、30間の間隔を広げてもよいのは勿論である。
また、上記記載ではピッチが2通りの場合について説明したが、最大ピッチと最小ピッチの間の任意のピッチを実現することが出来る。
以上では、半導体ウエハ9は爪片30、30、30によって略水平に支持されるという前提で説明したが、略水平であることは必ずしも必要ではない。
ブレード10は、
図1に示したような板状でなくてもよい。例えば骨組みを組み合わせたラーメン構造のような構造でもよい。要するに支持ユニットを保持でき、複数枚の半導体ウエハを支えることが出来る構造であればよい。
本願において「把持」とは、エンドエフェクタ装置によって半導体ウエハを搬送可能な状態とすることを意味し、エッジグリップ以外の態様を含む。例えば、半導体ウエハ9は下面のみを支持されても良い。この場合には、半導体ウエハ9と爪片30のずれは摩擦力によって制限されることになる。
また、ピッチ変更機構4のコイルバネ40は隣り合うコイル同士が密着するまで縮められる必要はない。
【0048】
(エンドエフェクタ装置の第2実施形態)
図26は、第2実施形態に係るエンドエフェクタ装置1の拡大斜視図である。エンドエフェクタ装置1は、第2アーム21の先端部に基端部が取り付けられた平板状のブレード10と、該ブレード10の先端部に互いに離間して取り付けられた2つのピッチ変更機構4、4と、該ブレード10の基端部に対向して第2アーム21上に設けられた支持ユニット3を備える。ピッチ変更機構4は、前記の如く、互いに上下に離れて配置された複数枚の半導体ウエハ9の上下ピッチを変換するが、構成が上記実施形態のピッチ変更機構4とは異なる。前記支持ユニット3は、箱体350の外面にピッチ変更機構4を設け、該ピッチ変更機構4の両側に半導体ウエハ9の周縁に僅かな隙間を空けて対向する第1ガイドピン310、310を設けて構成される。第2アーム21上にて、支持ユニット3の側方には、後記する駆動源ユニット600が配置されている。
該箱体350は第2アーム21に設けられたプランジャ(図示せず)によって、第2アーム21の先端部上を移動する。具体的には、該箱体350はブレード10の先端に向かって動いた進出位置と、該進出位置からブレード10の基端部に向かって動いた後退位置との間を移動する。
ブレード10の先端部に位置するピッチ変更機構4は、ブレード10の上面に設けられる。尚、ピッチ変更機構4はブレード10に設けられればよく、例えば、ブレード10の下面にピッチ変更機構4を設けてもよい。しかし、説明の便宜上、以下の例ではピッチ変更機構4はブレード10から上向きに設けられているとする。
【0049】
図27(a)、(b)は、支持ユニット3の動作を示すエンドエフェクタ装置1の平面図であり、(a)が後退位置を、(b)が進出位置を夫々示す。各ピッチ変更機構4は、互いに上下方向に離れて配置されて、各々が半導体ウエハ9の周縁部を保持する複数の爪片30、30を備える。爪片30の形状は、
図4に示すものと同じであり、該爪片30が本発明における「保持部」を構成する。各ピッチ変更機構4の同じ高さにある3つの爪片30、30、30が1枚の半導体ウエハ9の周縁部を保持する。
図27(a)に示す後退位置では、支持ユニット3のピッチ変更機構4は半導体ウエハ9を保持すべき位置から外れている。この状態で、前記のフープから取り出された互いに上下方向に離れて配置された複数枚の半導体ウエハ9がブレード10上に搬送される。
該半導体ウエハ9がブレード10上に搬送されると、
図27(b)に示すように、支持ユニット3が進出位置に向かって移動する。支持ユニット3のピッチ変更機構4の爪片30が半導体ウエハ9の周縁部を保持する。
【0050】
図27(b)に示すように、半導体ウエハ9の中心Cに対して、各ピッチ変更機構4の同じ高さにある3つの爪片30、30、30が放射状に配置される。3つの爪片30、30、30によって半導体ウエハ9が位置すべき水平面が定まるから、各半導体ウエハ9は3つの爪片30、30、30に略水平に安定して保持される。
図27(b)に示す支持ユニット3の進出位置では、前記の第1ガイドピン310、310から離れて位置する2本の第2ガイドピン500が立設して半導体ウエハ9の周縁に対向する。この理由は後記する。
説明の便宜上、支持ユニット3がブレード10上を進出位置と後退位置との間で移動するとした。しかし、これに代えて、またはこれとともに、ピッチ変更機構4の一方又は両方を半導体ウエハ9の中心もしくはブレード10の基端部の方向に移動させてもよい。
【0051】
(ピッチ変更機構の第14実施形態)
図28(a)、(b)、(c)は、第14実施形態に係るピッチ変更機構4の構成及び動作を示す図であって、
図26に示すブレード10の先端部に位置するピッチ変更機構4をB方向から見ている。ピッチ変更機構4は、水平線を中心として垂直面内を回動する回動部材450を有している。該回動部材450は、長板状の第1リンク部材400と該第1リンク部材400と平行リンクを構成するように設けられた第2リンク部材410と、両リンク部材400、410を連結する複数の接続リンク部材420を備えている。複数の接続リンク部材420は、両リンク部材400、410の長手方向に沿って互いに等間隔に設けられている。
図28(a)に示すように、該接続リンク部材420は両リンク部材400、410に対し斜めに設けられ、且つ両リンク部材400、410上に設けられた回動軸430によって両リンク部材400、410に対して回動可能に取り付けられている。前記爪片30は接続リンク部材420の上端部に、半導体ウエハ9の周縁部を保持可能な姿勢にて設けられている。第2リンク部材410は、一端部(
図28(a)では左端部)に設けられた回動軸430と同軸に駆動軸440を配置しており、該駆動軸440が回転することによって垂直面内を回動する。
図28(a)に示す状態では、各爪片30が略同一水平面上に位置しており、このときの爪片30及び両リンク部材400、410の位置を「待機位置」とする。
【0052】
駆動軸440の回動により、
図28(b)に示すように、第2リンク部材410が待機位置から反時計方向に回動すると、接続リンク部材420によって第1リンク部材400も回動する。接続リンク部材420は回動軸430によって両リンク部材400、410に対して回動可能に取り付けられているから、接続リンク部材420及び爪片30は、回動する前の姿勢を保つ。爪片30は駆動軸440から遠い位置にある爪片30ほど上昇し、隣り合う爪片30間の上下間隔が待機位置に比して広くなる。複数の爪片30はピッチが互いに等間隔に設けられる。このときの爪片30及び両リンク部材400、410の位置を「中間位置」とする。
【0053】
駆動軸440の更なる反時計方向の回動により、第2リンク部材410が中間位置から反時計方向に回動すると、両リンク部材400、410は
図28(c)に示すように垂直状態となる。爪片30は、半導体ウエハ9の周縁部を保持可能な姿勢を保つ。隣り合う爪片30間のピッチは最大となる。このときの爪片30及び両リンク部材400、410の位置を「上昇位置」とする。即ち、ピッチ変更機構4は両リンク部材400、410を垂直面内で回動させることにより、半導体ウエハ9を保持する複数の爪片30のピッチを変換する。
【0054】
エンドエフェクタ装置1を使用しないときは、支持ユニット3が後退位置にある。各ピッチ変更機構4の爪片30及び両リンク部材400、410は待機位置にある。
エンドエフェクタ装置1を使用し、フープから複数枚の半導体ウエハ9がエンドエフェクタ装置1に搬送される前には、全てのピッチ変更機構4は駆動軸440の回転により、爪片30を
図28(c)に示す上昇位置に到達させる。
複数枚の半導体ウエハ9がエンドエフェクタ装置1に搬送されると、支持ユニット3はピッチ変更機構4の爪片30を上昇位置に維持したまま、後退位置から進出位置に移動する。各半導体ウエハ9は、前記の如く、同じ高さの3つの爪片30、30、30によって保持される。
この状態から、ピッチ変更機構4の駆動軸440が回転して、両リンク部材400、410を時計方向に回転させて、爪片30を
図28(b)に示す中間位置に到達させると、隣り合う半導体ウエハ9のピッチが縮まる。第1アーム20及び第2アーム21を回転させて、エンドエフェクタ装置1を処理棚へ移動させ、半導体ウエハ9の処理が行われる。
【0055】
本実施形態のエンドエフェクタ装置1では、3つのピッチ変更機構4にて半導体ウエハ9を保持しているが、各ピッチ変更機構4の駆動軸440は互いに同期して回動する。駆動軸440を同期して回動させる機構は後記する。これにより、3組の両リンク部材400、410は互いに同期して回動し、同じ高さの半導体ウエハ9を保持する3つの爪片30は互いに同期して昇降する。従って、半導体ウエハ9は爪片30に保持された姿勢を保ちながら安定して昇降する。
また、3つのピッチ変更機構4の両リンク部材400、410は何れも同一方向に回動して、爪片30を昇降させてもよい。この場合、半導体ウエハ9は
図27(a)、(b)に示す中心Cを中心として少し回動しながら、昇降する。各ピッチ変更機構4の同じ高さに位置する各爪片30は、昇降時に全て同じ水平量だけずれる。即ち、爪片30は、半導体ウエハ9の裏面を擦らない。これにより、爪片30が半導体ウエハ9と擦れることによる粉塵の発生を防ぐことができる。
【0056】
上記記載では、隣り合う半導体ウエハ9のピッチを広げるのに、両リンク部材400、410を反時計方向に回動させるとした。しかし、これに代えて、
図29(a)、(b)に示すように、第2リンク部材410の他端部(
図29(a)では右端部)に駆動軸440を設け、接続リンク部材420を
図28(a)、(b)に示した接続リンク部材とは左右を逆向きに傾け、駆動軸440の時計方向の回動によって、複数の爪片30のピッチを広げてもよい。即ち、
図29(a)、(b)に示すピッチ変更機構4では、
図28(a)、(b)に示すピッチ変更機構4とは、ピッチ変換時にリンク部材400、410が逆向きに回動する。
そして、3つのピッチ変更機構4のうち、2つのピッチ変更機構4を
図28(a)、(b)に示す構成とし、他の1つのピッチ変更機構4を
図29(a)、(b)に示す構成としてもよい。
このようにピッチ変更機構4を構成すれば、各爪片30が半導体ウエハ9を保持した状態で、駆動軸440及びリンク部材400、410が回動すると、該回動の前後にて半導体ウエハ9の水平面内の位置がずれる。しかし、2つの駆動軸440 及びリンク部材400、410を互いに逆向きに回動させれば、半導体ウエハ9の水平面内の位置ズレが互いに相殺される。これにより、半導体ウエハ9の水平面内の位置ズレを抑えることができる。
【0057】
(ピッチ変更機構の駆動機構)
前記の複数、具体的には3本の駆動軸440は、前記第2アーム21上の駆動源ユニット600内の1つのモータで回動される。この具体的な構成を以下に示す。
図30は、エンドエフェクタ装置1の内部構成を示す平面図であり、
図31は、
図30に示す駆動源ユニット600をD1方向から見た拡大図である。
ブレード10の先端部に設けられた2つのピッチ変更機構4は、何れもブレード10の基端部と先端部を結ぶ仮想線KS1に対して、リンク部材400、410を傾けて配置している。支持ユニット3のピッチ変更機構4は仮想線KS1に対してリンク部材400、410を直交させて設けている。この仮想線KS1に直交する方向をKS2とする。ブレード10の先端部に設けられた2つのピッチ変更機構4は、仮想線KS2に沿って離間している。
【0058】
駆動源ユニット600は、モータMと該モータMに噛合した中間ギア列610と、該中間ギア列610の下流端に位置する揺動ギア602と、該揺動ギア602の中心部に揺動中心が設けられた揺動部材800を備える。該揺動部材800は
図31に示すように、揺動中心から揺動ギア602の半径方向に沿って外向きに伸びた第1脚片801と第2脚片810を有して、仮想線KS1に直交する面内を揺動する。
第1脚片801の先端部は、長手方向を仮想線KS2に向けた介在リンク830を介して、仮想線KS2に沿って駆動源ユニット600から離れて位置する第1小リンク840の自由端部に連結される。該第1小リンク840は、下端部に第1揺動中心軸850を設け、該第1揺動中心軸850は仮想線KS1に沿って設けられた第1ユニバーサルジョイント115を介して、ブレード10の先端部に位置する一方のピッチ変更機構4の駆動軸440に繋がる。該第1ユニバーサルジョイント115は、第1揺動中心軸850から仮想線KS1に沿って延びた後に、該一方のピッチ変更機構4に向かって仮想線KS1に対して傾いている。
揺動部材800の第2脚片810の先端部は、長手方向を仮想線KS2に沿って向けた線形ガイド部材650を介して、揺動部材800と第1小リンク840との間に位置する第2小リンク860の自由端部に連結される。該線形ガイド部材650にて、第2脚片810との連結箇所と、第2小リンク860との連結箇所との間隔(
図31のKA)は、後記の如く伸縮可能に設けられている。
該第2小リンク860は、一端部に第2揺動中心軸870を設け、該第2揺動中心軸870は支持ユニット3のピッチ変更機構4の駆動軸440に繋がる。
【0059】
揺動部材800の揺動中心と同心に設けられた第3揺動中心軸820は、仮想線KS1に沿って延びた第2ユニバーサルジョイント125を介して、ブレード10の先端部に位置する他方のピッチ変更機構4の駆動軸440に繋がる。該第2ユニバーサルジョイント125は、第3揺動中心軸820から仮想線KS1に沿って延びた後に、該他方のピッチ変更機構4に向かって仮想線KS1に対して傾いている。
第1、第2ユニバーサルジョイント115、125の外側には、第1エアシリンダ700、第2エアシリンダ701が設けられ、この動作は後記する。前記モータM及びエアシリンダ700、701は、ブレード10の外側に設けられた制御手段900によって動作を制御される。
図30に示すように、支持ユニット3のピッチ変更機構4は、第2リンク部材410の右端部に駆動軸440を設けた、
図29(a)に示す構成である。ブレード10の先端部側に設けられた2つのピッチ変更機構4は何れも第2リンク部材410の左端部に駆動軸440を設けた、
図28(a)に開示された構成である。即ち、爪片30及び半導体ウエハ9を昇降させるには、支持ユニット3のピッチ変更機構4の駆動軸440と、ブレード10の先端部側に設けられたピッチ変更機構4の駆動軸440は互いに逆方向に回転する必要がある。
【0060】
(駆動力伝達動作)
前記の如く、支持ユニット3が進出位置にあるときには、爪片30は上昇位置(
図28(c))にある。モータMを回転させて、爪片30を上昇位置から中間位置(
図28(b))に移動させてピッチを縮めるには、以下の動作を行う。
図32(a)、(b)は、揺動部材800の回動動作を示す図である。
制御手段900はモータMに通電して、モータMを回転させる。モータMの回転により、
図32(a)に示すように、揺動部材800が時計方向に揺動する。揺動部材800の第3揺動中心軸820は、ブレード10の先端部に位置するピッチ変更機構4の駆動軸440を時計方向に回動させる。
揺動部材800の第1脚片801は、介在リンク830を介して、第1小リンク840を時計方向に回転させる。該第1小リンク840の回動により、第1揺動中心軸850が回動し、第1ユニバーサルジョイント115を介して、ブレード10の先端部に位置するピッチ変更機構4の駆動軸440を時計方向に回動させる。
一方、揺動部材800の第2脚片810は、線形ガイド部材650を介して、第2小リンク860を反時計方向に回動させる。該第2小リンク860の第2揺動中心軸870は支持ユニット3のピッチ変更機構4の駆動軸440を反時計方向に回動させる。線形ガイド部材650は、揺動部材800の第3揺動中心軸820よりも下側に位置する。
ブレード10の先端部に位置するピッチ変更機構4は、
図28(a)に開示された構成を有するから、駆動軸440が時計方向に回動することにより、隣り合う爪片30間のピッチが縮まる。一方、支持ユニット3のピッチ変更機構4は、
図29(a)に開示された構成を有するから、駆動軸440が反時計方向に回動すれば、隣り合う爪片30のピッチが縮まる。
【0061】
尚、隣り合う爪片30間のピッチを広げるには、上記と逆の動作を行う、即ち、
図32(b)に示すように、揺動部材800を反時計方向に揺動させる。介在リンク830を介して第1脚片801に繋がった第1小リンク840も反時計方向に回動する。第3揺動中心軸820と第1揺動中心軸850が反時計方向に回動して、ブレード10の先端部に位置するピッチ変更機構4の隣り合う爪片30間のピッチが広がる。
一方、第2小リンク860は時計方向に回動する。第2揺動中心軸870が時計方向に回動して、支持ユニット3のピッチ変更機構4の駆動軸440を時計方向に回動させて、隣り合う爪片30間のピッチが広がる。
ここにおいて、第2小リンク860が時計方向に回動すると、線形ガイド部材650は第3揺動中心軸820よりも下側の位置から、上側の位置に移動する。即ち、第2小リンク860の時計方向の回動時に、第2脚片810の自由端部と第2小リンク860の自由端部間の距離(
図31のKA)が変化することになる。
これに対応すべく、
図33に示すように、線形ガイド部材650は仮想線KS2(
図10参照)に沿って延びた本体660内に、該仮想線KS2に沿って移動可能な移動片670を設けて構成される。第2小リンク860の自由端部は本体660の一端部に回動可能に取り付けられ、第2脚片810の自由端部は移動片670に回動可能に取り付けられる。これにより、第2脚片810の自由端部と第2小リンク860の自由端部間の距離が変化しても、揺動部材800の回動を第2小リンク860に正確に伝達することができる。第2小リンク860の自由端部と第2脚片810の自由端部を直動ガイドを介して接続してもよい。
【0062】
本実施形態のエンドエフェクタ装置1にあっては、1つのモータMにて3本の駆動軸440の回動を互いに同期させて、3つのピッチ変更機構4のピッチ変換動作を行っている。これにより、モータMをピッチ変更機構4の数に合わせて多数設ける必要が無く、エンドエフェクタ装置1全体の製造コストを抑えることができる。
また、駆動源ユニット600は、前記ブレードよりもロボットアームの基端部側、即ち第2アーム21上に設けられている。これにより、駆動源ユニット600の重量は、ロボットアームの先端部に加わらないから、該ロボットアームの先端部上の重量を軽くでき、該ロボットアーム先端部をスムーズに動作させることができる。
また、ブレード10の先端部に位置する2つのピッチ変更機構4は、駆動源ユニット600から仮想線KS1(
図30参照)に沿って配列されていない。従って、駆動源ユニット600と該2つのピッチ変更機構4とを、直線状の部材で接続するのは困難である。しかし、駆動源ユニット600と該2つのピッチ変更機構4との接続に、第1、第2ユニバーサルジョイント115、125を用いることにより、駆動源ユニット600と該2つのピッチ変更機構4とを接続できる。これにより、駆動源ユニット600からの動力を該2つのピッチ変更機構4に伝達することができる。
【0063】
(ガイドピンの起立動作)
前記の如く、リンク部材400、410が回動して、爪片30を昇降させる際には、該回動の前後にて半導体ウエハ9の水平面内の位置がずれることがある。これでは、半導体ウエハ9を処理ブース内の処理棚に正確に搬送することができない。そこで、
図27(b)に示すように、支持ユニット3が進出位置にあって爪片30が半導体ウエハ9の周縁を保持した状態にて、両リンク部材400、410を回動させて、爪片30を昇降させる前に、第1、第2ガイドピン310、500を半導体ウエハ9の周縁に僅かな隙間を設けて位置させ、半導体ウエハ9の水平面内の位置ズレを防いでいる。
即ち、爪片30が半導体ウエハ9の周縁を保持すると、次に第1、第2ガイドピン310、500を半導体ウエハ9の周縁に位置させる。そして、隣り合う爪片30のピッチ変換動作を行う。爪片30のピッチ変換動作後は、第1、第2ガイドピン310、500を引っ込めてから、支持ユニット3を後退させる。この動作制御は、前記の制御手段900(
図30)によって実行される。
第1ガイドピン310は、前記の如く支持ユニット3に設けられ、支持ユニット3の進出位置にて半導体ウエハ9の周縁に位置する。第2ガイドピン500は、爪片30が半導体ウエハ9の周縁を保持した状態にて、第1、第2エアシリンダ700、701によって、ブレード10の下面から突出する。以下に、第2ガイドピン500をブレード10の下面から突出させる機構を説明する。
【0064】
図34(a)、(b)、(c)は、
図30に示す第1エアシリンダ700をE1方向から見た側面図である。説明の便宜上、ブレード10上面に位置する部材を図示しない。尚、第2エアシリンダ701も第1エアシリンダ700と同様の構成を有する。第1エアシリンダ700は
図34(a)に示すように、ハウジング710からピストン720を水平面内にて出没自在に設けている。該ピストン720の先端部には、縦孔730が開設されている。ブレード10の下側にて、ピストン720の突出側には第2ガイドピン500が水平に配置され、該第2ガイドピン500の基端部には当て部材501が設けられている。該当て部材501の上端部には当てローラ510が設けられて、該当て部材501からは前記縦孔730に嵌まる小軸520が突出している。ブレード10には、ピストン720の最大突出量に対応して、当て壁130が設けられている。
図34(a)に示す状態では、第2ガイドピン500は水平な伏臥姿勢であり、小軸520は縦孔730の下端部に位置する。
【0065】
図34(b)に示すように、ピストン720がハウジング710から突出して、当て部材500の当てローラ510が当て壁130に接する。第2ガイドピン500はそれ以上に水平方向に進むことを規制される。
図34(c)に示すように、ピストン720がなおもハウジング710から突出する向きに進んで第2ガイドピン500を押すと、第2ガイドピン500は進行を規制されているから、第2ガイドピン500は当てローラ510を中心として上向きに回動する。第2ガイドピン500が上向き回動するから、第2ガイドピン500の小軸520は縦孔730の上端部に移動する。第2ガイドピン500は軸方向を鉛直方向に向けた起立姿勢となる。第2ガイドピン500をハウジング710に収納する際には、ピストン720を引っ込め、上記と逆の動作を行う。尚、
図34(c)に示すように、半導体ウエハ9の高さに対応して、第2ガイドピン500に緩衝体であるガイドリング530を設けても良い。
【0066】
図35(a)、(b)は、第2ガイドピン500をブレード10の下面から突出させる別の機構を示す側面図である。説明の便宜上、ブレード10上面に位置する部材を図示しない。第2ガイドピン500の基端部は、ピストン720の先端部に回動自在に取り付けられ、該取り付け箇所に、第2ガイドピン500を反時計方向に付勢するネジリバネ540が設けられている。ブレード10の下面には、下端が第2ガイドピン500に接する複数のローラ550、550が取り付けられ、
図35(a)に示すように、ピストン720がハウジング710内に引っ込んだ状態では、該ローラ550によって第2ガイドピン500は押さえられる。該第2ガイドピン500は、ネジリバネ540の付勢力に抗して伏臥姿勢を保つ。
図35(b)に示すように、ピストン720がハウジング710から突出すると、第2ガイドピン500が押されて、徐々にローラ550との接触から外れていく。第2ガイドピン500がローラ550との接触から完全に外れると、
図35(b)に示すように、ネジリバネ540の付勢力によって第2ガイドピン500は起立姿勢となる。第2ガイドピン500をハウジング710に収納する際には、ピストン720を引っ込め、ネジリバネ540の付勢力に抗して第2ガイドピン500を伏臥姿勢に戻す。
【0067】
上記の各実施形態に係るエンドエフェクタ装置には、以下の利点がある。
1.上記の実施形態では、組み込んでいる支持ユニットにピッチ変更機能を持たせることにより、エンドエフェクタ装置にて、エッジグリップタイプでピッチ変更する機構を実現した。また、本発明によれば、ブレードは少なくとも1つの支持ユニットを備える部材であり、1枚で済む。従って、エンドエフェクタ装置の軽量化、コスト削減を達成することができた。
2.半導体ウエハ9の中心Cに対して、各支持ユニット3の同じ高さにある3つの爪片30、30、30が放射状に配置される(
図3、
図27(a)、(b)参照)。3つの爪片30、30、30によって半導体ウエハ9が位置すべき水平面が定まるから、各半導体ウエハ9は3つの爪片30、30、30に略水平に安定して支持される。
3.一部の実施形態にあっては、ピッチ変更機構4を作動させる駆動源が、ブレード10の外側であって、第2アーム21の基端部側に設けられる。即ち、駆動源はブレード10内又はブレード10上には設けられない。従って、これによっても、ピッチ変更機構4をエンドエフェクタ装置1に組み込むのに適するように小型化することができる。
また、駆動源の重量は、第2アーム21の先端部に加わらないから、該第2アーム21の先端部上の重量を軽くでき、該第2アーム21の先端部をスムーズに動作させることができる。しかし、前記の各駆動源を第2アーム21の基端部側に設けることは必須ではない。前記の各駆動源はどこに設けても良く、例えばブレード10内又はブレード10上に設けても良い。
【0068】
(ピッチ変更機構の第15実施形態)
リンク部材を垂直面内にて回動して、隣り合う半導体ウエハ9間のピッチを変換する機構には、以下の簡素な機構も考えられる。
図36(a)、(b)、(c)は、別のピッチ変更機構4を示す図であり、
図37は
図36(b)をF1方向から見た図である。本実施形態では、第1リンク部材400の一端部、
図36(a)、(b)、(c)では左端部に駆動軸440を設け、第1リンク部材400の長手方向に沿って半導体ウエハ9の下面を受ける複数本の断面円形の軸体470を等間隔に設けている。即ち、軸体470が本発明における「保持部」を構成する。
図36(a)に示す待機位置では、全ての軸体470が水平面内に位置する。
駆動軸440の回動により、
図36(b)に示すように、第1リンク部材400が待機位置から反時計方向に回動すると、軸体470は駆動軸440から遠い位置にある軸体470ほど上昇し、隣り合う軸体470間の上下間隔が待機位置に比して広くなる。複数の軸体470は上下間隔が互いに等間隔に設けられる。軸体470は中間位置に達する。
図37に示すように、第1リンク部材400は半導体ウエハ9と擦らないように、半導体ウエハ9との間に隙間を設けている。
【0069】
駆動軸440の更なる回動により、第1リンク部材400が中間位置から反時計方向に回動すると、
図36(c)に示すように、第1リンク部材400は垂直となる。隣り合う軸体470間のピッチは最大となる。軸体470は上昇位置に達する。
待機位置から上昇位置に達するまで、軸体470は半導体ウエハ9の裏面を擦りながら昇降する。従って、軸体470は半導体ウエハ9との摩擦が小さな材料から形成することが望ましいが、これに限定されない。
図36(a)、(b)、(c)のピッチ変更機構4では、半導体ウエハ9の周縁部を内向きに押圧することはできない。
しかし、例えば
図38に示すように、軸体470に半導体ウエハ9の周縁に接する当接部材480を設けて、該当接部材480と第1リンク部材400との間に押しバネ490を嵌め、該当接部材480を半導体ウエハ9の周縁に押圧させてもよい。これにより、該ピッチ変更機構4をエッジグリップタイプのエンドエフェクタ装置1に好適に適用することができる。
【0070】
図39は、
図1に示した基板搬送用ロボット2が配置される基板処理装置250及び該基板処理装置250を備えた基板処理設備260の平面図である。基板処理装置250は、前記基板搬送用ロボット2を収容した第1ケーシング950の一側部に、後記の第2ケーシング960を設けて形成される。第1ケーシング950の他側部には、複数のフープ230が設けられている。該複数のフープ230は、半導体ウエハ9がフープ230に出入りする方向に対して直交する向きに連なって並べられている。
前記第2ケーシング960と第1ケーシング950の境目部分には、ドア980が設けられている。第1ケーシング950は大気圧に保たれ、一方、第2ケーシング960はドア980によって略真空に保たれる。該ドア980よりも、第2ケーシング960内側には、基板搬送用ロボット2が搬送した複数枚の半導体ウエハ9がドア980を通って達する受け渡し領域970が設けられている。
【0071】
第2ケーシング960内には、中央部にハンド装置270が配置されており、該ハンド装置270を囲むように第2ケーシング960内に4つの前記処理棚280が配置されている。ハンド装置270は受け渡し領域970に達した複数枚の半導体ウエハ9を把持して各処理棚280に搬送し、1つの処理棚280にて処理が施された半導体ウエハ9を別の処理棚280に搬送する。尚、第2ケーシング960内の処理棚280の数は4つに限定されない。
前記基板処理装置260は、複数の前記基板処理装置250を備え、半導体の製造工程の全部または一部を行う。
【0072】
前記の如く、第2ケーシング960内は真空に保たれているから、クリーンな環境で処理を行うことが出来る。
基板処理用ロボット2は、先端部に設けたエンドエフェクタ装置1にてフープ230内の複数の半導体ウエハ9を把持する。基板処理用ロボット2は、互いに上下に離間した複数枚の半導体ウエハ9をフープ230から取り出すと、アーム支持部23を中心として回転し、半導体ウエハ9を把持したエンドエフェクタ装置1を受け渡し領域970に到達させる。半導体ウエハ9をフープ230から取り出して受け渡し領域970に到達させるまでの間に、エンドエフェクタ装置1のピッチ変更機構4(
図2参照)が作動して、隣り合う半導体ウエハ9のピッチを狭める。該ピッチが狭められて受け渡し領域970に搬送された複数枚の半導体ウエハ9は、ハンド装置270によって各処理棚280に搬送される。