特許第6049971号(P6049971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6049971エンドエフェクタを備えたロボット及びその運転方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049971
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】エンドエフェクタを備えたロボット及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20161212BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20161212BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20161212BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/06 A
   B65G49/07 C
   B25J15/00 C
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-94947(P2015-94947)
(22)【出願日】2015年5月7日
(62)【分割の表示】特願2014-53755(P2014-53755)の分割
【原出願日】2010年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-167250(P2015-167250A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2015年6月3日
(31)【優先権主張番号】61/202,579
(32)【優先日】2009年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】橋 本 康 彦
(72)【発明者】
【氏名】吉 田 哲 也
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0067974(US,A1)
【文献】 特開2002−141405(JP,A)
【文献】 特開平05−152266(JP,A)
【文献】 特開平10−335427(JP,A)
【文献】 特開2008−141158(JP,A)
【文献】 特開平09−270450(JP,A)
【文献】 特開平09−205127(JP,A)
【文献】 特開2009−065165(JP,A)
【文献】 特開2005−311306(JP,A)
【文献】 特開2000−277600(JP,A)
【文献】 特開2002−313769(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0287769(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0013503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/00
B65G 49/06
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットのアームに装着されるように構成されたエンドエフェクタにおいて、
各々が基板を保持できるように構成された複数のブレード部材であって、前記複数のブレード部材のうちの少なくとも1つのブレード部材が他のブレード部材に対して移動可能に構成されている、複数のブレード部材と、
前記複数のブレード部材を支持するブレード支持部であって、前記ロボットによって前記複数のブレード部材と一体的に駆動されるブレード支持部と、
前記少なくとも1つのブレード部材を前記他のブレード部材に対して移動させるブレード駆動手段であって、前記ブレード部材に保持された前記基板の表面に対して垂直な基板垂線方向において、前記少なくとも1つのブレード部材の基板保持面が前記他のブレード部材の基板保持面よりも基板保持側に位置する状態と、前記他のブレード部材の前記基板保持面が前記少なくとも1つのブレード部材の前記基板保持面よりも基板保持側に位置する状態とを切り換えるブレード駆動手段と、を備え、
前記複数のブレード部材の各々が、前記基板を搬送する際に前記ブレード部材から前記基板が離脱しないように前記基板を固定する固定手段を有し、
前記固定手段は、前記基板の縁部に解放可能に当接される可動当接部を有するエッジガイド機構を含み、
前記複数のブレード部材の各々の前記エッジガイド機構は、互いに独立に駆動されるように構成されている、エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記複数のブレード部材が、前記基板垂線方向に見たときに互いに重ならないように構成されている、請求項1記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記ブレード駆動手段による前記ブレード部材の移動方向が、前記基板垂線方向である、請求項1又は2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのブレード部材の前記基板保持面と前記他のブレード部材の前記基板保持面との間の前記基板垂線方向における最大距離が、前記基板の複数段載置部における基板配置ピッチの範囲内である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記基板垂線方向における前記複数のブレード部材の全体の最大厚さが、前記基板の複数段載置部における隣接する載置部の間のブレード存在可能厚さ以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタが装着されたアームと、を備えたことを特徴とするロボット。
【請求項7】
前記アームには、前記エンドエフェクタに加えて、前記エンドエフェクタとは独立して駆動可能な追加のエンドエフェクタが設けられている、請求項6記載のロボット。
【請求項8】
前記エンドエフェクタの前記ブレード部材の前記基板保持面と前記追加のエンドエフェクタのブレード部材の基板保持面との間隔が、前記基板の複数段載置部における基板配置ピッチである、請求項7記載のロボット。
【請求項9】
前記追加のエンドエフェクタは、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンドエフェクタである、請求項7記載のロボット。
【請求項10】
前記追加のエンドエフェクタは、各々が前記基板を保持できるように構成された複数のブレード部材を有し、前記追加のエンドエフェクタの前記ブレード部材同士の間隔が固定されている、請求項7に記載のロボット。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか一項に記載のロボットの運転方法であって、
前記エンドエフェクタ及び前記追加のエンドエフェクタの両方を用いて複数の前記基板を同時に搬送する工程と、
前記エンドエフェクタ又は前記追加のエンドエフェクタのいずれか一方を用いて1枚又は複数の前記基板を搬送する工程と、を備えたことを特徴とするロボットの運転方法。
【請求項12】
請求項6記載のロボットの運転方法であって、
前記少なくとも1つのブレード部材と前記他のブレード部材とで適用条件を変えることを特徴とするロボットの運転方法。
【請求項13】
前記適用条件が、クリーン用と非クリーン用との使い分け、及び/又は、高温用と低温用との使い分けに関するものである、請求項12記載のロボットの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドエフェクタを備えたロボット及びその運転方法に関わり、特に、複数枚の基板を同時に搬送可能なエンドエフェクタを備えたロボット及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、液晶表示パネル等の製造においては、ウェハやガラス板等の基板の高速搬送、高クリーン化対応が益々求められている。特に、半導体製造分野においては、例えば、ウェハを収納したカセットから高速にてウェハを取り出し、搬入先の装置(又はカセット)内に搬送する(或いは逆に当該装置からカセットに搬送する)ための有効な手段が求められている。
【0003】
一方で、ある種の装置からウェハを取り出すに際しては、その装置の特徴に応じて、その装置による処理を行う前のウェハと、処理後のウェハとで、搬送に用いるロボットのハンド(エンドエフェクタ)を区別する必要がある場合がある。
【0004】
例えば、ウェハの洗浄装置におけるロボットにおいては、洗浄前の汚れた状態のウェハをハンドリングするためのハンドと、洗浄後のクリーンなウェハをハンドリングするためのハンドとを厳密に区別する必要がある。また、高温状態でウェハを処理する装置からウェハを搬出し又は搬入するためのロボットにおいては、高温のウェハをハンドリングするためのハンドと、常温のウェハをハンドリングするためのハンドとを区別する必要がある。
【0005】
上述のウェハ搬送用ロボットにおいては、ロボットが2つのハンドを備えているものの、それぞれが特定のウェハのための専用のハンドとなっているために、2つのハンドの運用方法を工夫してスループットを高めようとしても限界がある。
【0006】
ウェハ搬送のスループットを高めるためには、例えばロボットを複数台設置することが考えられるが、これでは設備コストが増大してしまい、スループットの増加によるコスト削減効果が相殺されてしまう。また、1つのウェハカセットに対して同時に2台のロボットがアクセスすることはできないので、スループットを高めるにも限界がある。
【0007】
上述した状況に対応するためには、例えば、1本のロボットアームに対して、複数のハンドを、カセット内のウェハ配置ピッチにあわせて上下にずらして固定的に装着し、ウェハカセットから複数枚のウェハを同時に搬出し又は搬入することが者えられる。例えば、2つのハンドをウェハ配置ピッチにあわせて上下にずらしてロボットアームに装着すれば、2枚のウェハを同時に搬送することができる。
【0008】
しかしながら、このように1本のロボットアームに複数のハンドを上下にずらして固定的に装着した場合、ウェハカセット内のスロット位置によっては、ウェハ挿入時に、未使用側のハンドが挿入済みのウェハ又はカセットと干渉して挿入不能となってしまうという問題がある。
【0009】
例えば、1本のロボットアームに2つのハンドを装着したロボットによって、25枚のウェハを収納可能なウェハカセットにウェハを搬入する場合を考える。搬出側の装置又はカセットから2枚ずつ取り出されたウェハはカセット内に順次移し替えられるが、最後の1枚のウェハを取り出してウェハカセット内に挿入しようとすると、ウェハを保持していない方のハンドが、搬入済みのウェハ又はカセットと干渉してしまう可能性がある。このため、25枚目のウェハを搬送できないという事態が生じてしまう。
【0010】
また、搬出側カセットの任意のスロット(例えばスロットNo.1)から、搬入側カセットの任意の同じ又は別のスロット(例えばスロットNo.3)に挿入する場合にも、既に挿入済みのウェハとの干渉の問題が生じる場合がある。
【0011】
このように1つのロボットアームに複数のハンドを上下にずらして固定的に取り付けたロボットでは、その運用方法に制約があり、フレキシビリティに欠けるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述した状況に鑑みて成されたものであり、その目的は、基板搬送のスループットを高めることができると共に、基板搬送の運用方法におけるフレキシビリティの高いエンドエフェクタを提供することにある。また、本発明の目的は、同エンドエフェクタを備えたロボット及び同ロボットの運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明(1)は、ロボットのアームに装着されるように構成されたエンドエフェクタにおいて、各々が基板を保持できるように構成された複数のブレード部材であって、前記ブレード部材同士のブレード間隔を変更可能に構成された複数のブレード部材と、前記複数のブレード部材を支持するブレード支持部であって、前記ロボットによって前記複数のブレード部材と一体的に駆動されるブレード支持部と、前記複数のブレード部材のうちの少なくとも1つを他のブレード部材に対して移動させて前記ブレード間隔を変更するブレード駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明(2)は、上記発明(1)において、前記複数のブレード部材が、前記ブレード部材に保持された前記基板の表面に対して垂直な基板垂線方向に見たときに互いに重ならないように構成されている。
【0015】
本発明(3)は、上記発明(1)又は(2)において、前記ブレード間隔が、前記ブレード部材に保持された前記基板の表面に対して垂直な基板垂線方向における間隔である。
【0016】
本発明(4)は、上記発明(3)において、前記ブレード駆動手段による前記ブレード部材の移動方向が、前記基板垂線方向である。
【0017】
本発明(5)は、上記発明(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記複数のブレード部材の各々は、前記基板が当接される基板保持部を有し、前記ブレード駆動手段によって前記ブレード間隔を縮めることにより、前記複数のブレード部材の基板保持部同士が略面一になるように構成されている。
【0018】
本発明(6)は、上記発明(1)乃至(5)のいずれかにおいて、前記ブレード駆動手段によって前記ブレード間隔を縮めることにより、前記基板の表面に対して垂直な基板垂線方向における前記複数のブレード部材の全体の厚さが所定の厚さよりも小さくなるように構成されている。
【0019】
本発明(7)は、上記発明(6)において、前記所定の厚さは、前記基板の複数段載置部における基板配置ピッチに対応する。
【0020】
本発明(8)は、上記発明(6)において、前記所定の厚さは、前記基板の複数段載置部における隣接する載置部の間のブレード存在可能厚さである。
【0021】
本発明(9)は、上記発明(1)乃至(8)のいずれかにおいて、前記ブレード駆動手段は、前記ブレード間隔について最大間隔と最小間隔のいずれかを選択的に規定するように構成されている。
【0022】
本発明(10)は、上記発明(9)において、前記ブレード駆動手段は、流体圧シリンダを含む。
【0023】
本発明(11)は、上記発明(1)乃至(8)のいずれかにおいて、前記ブレード駆動手段は、前記ブレード間隔について最大間隔と最小間隔との問で任意に規定できるように構成されている。
【0024】
本発明(12)は、上記発明(11)において、前記ブレード駆動手段は、サーボモータを含む。
【0025】
本発明(13)は、上記発明(9)乃至(12)のいずれかにおいて、前記複数のブレード部材は、少なくとも3つのブレード部材を含み、前記最大間隔は、隣接する一対の前記ブレード部材の組によって異なる。
【0026】
本発明(14)は、上記発明(9)乃至(13)のいずれかにおいて、隣接する前記ブレード部材同士の間隔が前記最大間隔にある場合、隣接する前記ブレード部材同士の間隔をDとし、前記基板の複数段載置部における基板配置ピッチをPとすると、nP<D<(n+1)P(nは0を含む自然数)である。
【0027】
本発明(15)は、上記発明(1)乃至(14)のいずれかにおいて、前記複数のブレード部材の各々が、前記基板を搬送する際に前記ブレード部材から前記基板が離脱しないように前記基板を固定する固定手段を有する。
【0028】
本発明(16)は、上記発明(15)において、前記固定手段は、前記基板の縁部に解放可能に当接される可動当接部を有するエッジガイド機構を含む。
【0029】
本発明(17)は、上記発明(16)において、前記ブレード駆動手段は、前記ブレード間隔について最大間隔と最小間隔のいずれかを選択的に規定するように構成されており、隣接する前記ブレード部材の前記可動当接部同士の間隔が前記最大間隔にあわせて設定されている。
【0030】
本発明(18)は、上記発明(15)において、前記固定手段は、前記基板を真空吸着する吸着部を含む吸着機構を有する。
【0031】
上記課題を解決するために、本発明(19)は、ロボットのアームに装着されるように構成されたエンドエフェクタにおいて、各々が基板を保持できるように構成された複数のブレード部材であって、前記複数のブレード部材のうちの少なくとも1つのブレード部材が他のブレード部材に対して移動可能に構成されている、複数のブレード部材と、前記複数のブレード部材を支持するブレード支持部であって、前記ロボットによって前記複数のブレード部材と一体的に駆動されるブレード支持部と、前記少なくとも1つのブレード部材を前記他のブレード部材に対して移動させるブレード駆動手段であって、前記ブレード部材に保持された前記基板の表面に対して垂直な基板垂線方向において、前記少なくとも1つのブレード部材の基板保持面が前記他のブレード部材の基板保持面よりも基板保持側に位置する状態と、前記他のブレード部材の前記基板保持面が前記少なくとも1つのブレード部材の前記基板保持面よりも基板保持側に位置する状態とを切り換えるブレード駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
本発明(20)は、上記発明(19)において、前記複数のブレード部材が、前記基板垂線方向に見たときに互いに重ならないように構成されている。
【0033】
本発明(21)は、上記発明(19)又は(20)において、前記ブレード駆動手段による前記ブレード部材の移動方向が、前記基板垂線方向である。
【0034】
本発明(22)は、上記発明(19)乃至(21)のいずれかにおいて、前記少なくとも1つのブレード部材の前記基板保持面と前記他のブレード部材の前記基板保持面との間の前記基板垂線方向における最大距離が、前記基板の複数段載置部における基板配置ピッチの範囲内である。
【0035】
本発明(23)は、上記発明(19)乃至(22)のいずれかにおいて、前記基板垂線方向における前記複数のブレード部材の全体の最大厚さが、前記基板の複数段載置部における隣接する載置部の問のブレード存在可能厚さ以下である。
【0036】
本発明(24)は、上記発明(19)乃至(23)のいずれかにおいて、前記複数のブレード部材の各々が、前記基板を搬送する際に前記ブレード部材から前記基板が離脱しないように前記基板を固定する固定手段を有する。
【0037】
本発明(25)は、上記発明(24)において、前記固定手段は、前記基板の縁部に解放可能に当接される可動当接部を有するエッジガイド機構を含む。
【0038】
本発明(26)は、上記発明(24)において、前記固定手段は、前記基板を真空吸着する吸着部を含む吸着機構を有する。
【0039】
本発明(27)によるロボットは、上記発明(1)乃至(18)のいずれかのエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタが装着されたアームと、を備えたことを特徴とする。
【0040】
本発明(28)によるロボットは、上記発明(19)乃至(26)のいずれかのエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタが装着されたアームと、を備えたことを特徴とする。
【0041】
本発明(29)は、上記発明(27)において、前記アームには、前記エンドエフェクタに加えて、前記エンドエフェクタとは独立して駆動可能な追加のエンドエフェクタが設けられている。
【0042】
本発明(30)は、上記発明(28)において、前記アームには、前記エンドエフェクタに加えて、前記エンドエフェクタとは独立して駆動可能な追加のエンドエフェクタが設けられている。
【0043】
本発明(31)は、上記発明(30)において、前記エンドエフェクタの前記ブレードの前記基板保持面と前記追加のエンドエフェクタのブレードの基板保持面との間隔が、前記基板の複数段載置部における基板配置ピッチである。
【0044】
本発明(32)は、上記発明(29)又は(30)において、前記追加のエンドエフェクタは、請求項1乃至26のいずれか一項に記載のエンドエフェクタである。
【0045】
本発明(33)は、上記発明(29)又は(30)において、前記追加のエンドエフェクタは、各々が前記基板を保持できるように構成された複数のブレード部材を有し、前記追加のエンドエフェクタの前記ブレード部材同士の間隔が固定されている。
【0046】
本発明(34)は、上記発明(27)のロボットの運転方法であって、前記エンドエフェクタの2つ以上のブレード部材を用いて2枚以上の前記基板を同時に搬送する工程と、前記ブレード駆動手段によって前記ブレード間隔を縮めた状態で、前記エンドエフェクタによって1枚の前記基板を搬送する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0047】
本発明(35)は、上記発明(29)乃至(33)のいずれかのロボットの運転方法であって、前記エンドエフェクタ及び前記追加のエンドエフェクタの両方を用いて複数の前記基板を同時に搬送する工程と、前記エンドエフェクタ又は前記追加のエンドエフェクタのいずれか一方を用いて1枚又は複数の前記基板を搬送する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0048】
本発明(36)は、上記発明(28)のロボットの運転方法であって、前記少なくとも1つのブレード部材と前記他のブレード部材とで適用条件を変えることを特徴とする。
【0049】
本発明(37)は、上記発明(36)において、前記適用条件が、クリーン用と非クリーン用との使い分け、及び/又は、高温用と低温用との使い分けに関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、本発明の一実施形態によるエンドエフェクタを備えたロボットを示した斜視図である。
図2図2は、図1に示したロボットのエンドエフェクタの部分を拡大して示した斜視図である。
図3図3は、図1に示したロボットのエンドエフェクタの概略構成を示した図であり、上下のブレードが離間した状態を示している。
図4図4は、図1に示したロボットのエンドエフェクタの概略構成を示した図であり、上下のブレードが近接した状態を示している。
図5図5は、図1に示したロボットにおいてエンドエフェクタの上下のブレードが近接した状態を示している。
図6図6は、図5に示したロボットのエンドエフェクタの部分を拡大して示した斜視図である。
図7図7は、図2に示したエンドエフェクタのエッジガイド機構の可動当接部及びその周辺部分を拡大して示した図である。
図8図8は、図1に示したロボットのエンドエフェクタの変形例として、3つのブレード部材を備えたエンドエフェクタを示した概略平面図である。
図9図9は、図8に示したエンドエフェクタの概略側面図である。
図10図10は、図1に示したロボットのエンドエフェクタのためのブレード昇降駆動機構の変形例を示した概略斜視図である。
図11図11は、図1に示したロボットのエンドエフェクタの変形例として、ウェハ吸着機構を設けたエンドエフェクタを示した概略平面図である。
図12図12は、図1に示したロボットのエンドエフェクタの変形例として、ウェハ落し込み機構を設けたエンドエフェクタを示した概略側面図である。
図13図13は、図1に示したロボットのエンドエフェクタの変形例として、ウェハ囲い込み機構を設けたエンドエフェクタを示した概略側面図である。
図14図14は、図1に示したエンドエフェクタを、図1に示したロボットとは異なるタイプのロボットに装着した状態を示した概略斜視図である。
図15図15は、本発明によるロボットを用いたウェハ搬送シーケンスのパターン1を示した図である。
図16図16は、本発明によるロボットを用いたウェハ搬送シーケンスのパターン2を示した図である。
図17図17は、本発明によるロボットを用いたウェハ搬送シーケンスのパターン3を示した図である。
図18図18は、本発明によるロボットを用いたウェハ搬送シーケンスのパターン4を示した図である。
図19図19は、本発明によるロボットを用いたウェハ搬送シーケンスのパターン5の前半を示した図である。
図20図20は、本発明によるロボットを用いたウェハ搬送シーケンスのパターン5の後半を示した図である。
図21図21は、本発明の他の実施形態によるロボットのエンドエフェクタの概略構成を示した図であり、可動ブレードが最上位置にある状態を示している。
図22図22は、図21に示したエンドエフェクタにおいて、可動ブレードが最下位置にある状態を示している。
図23図23は、本発明によるロボットを用いたウェハ搬送シーケンスの他のパターンの前半を示した図である。
図24図24は、図23に示したウェハ搬送シーケンスの後半を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の一実施形態によるエンドエフェクタを備えたロボット及びその運転方法について、図面を参照して説明する。
【0052】
図1に示したように本実施形態によるロボット1は、ロボットベース2を備え、このロボットベース2には昇降主軸3が設けられている。この昇降主軸3は、ロボットベース2内に設けられた昇降駆動機構及び回転駆動機構によって、第1垂直軸Llに沿って昇降可能且つその周りに回転可能である。
【0053】
昇降主軸3の上端には第1アーム4の基端部が装着されており、第1アーム4の先端部には、第2アーム5の基端部が第2垂直軸」2周りに回転可能に装着されている。第2アーム5の先端部には、第1エンドエフェクタ6及び第2エンドエフェクタ7が、第3垂直軸L3周りに互いに独立して回転可能に上下に設けられている。
【0054】
なお、ロボット1の第1エンドエフェクタ6及び第2エンドエフェクタ7は、基本的に共通の構成を備えており、半導体ウェハWの搬送に適したものである。
【0055】
図2に示したようにロボット1の第1エンドエフェクタ6は、ブレード支持部8を備えており、このブレード支持部8は、第2アーム5の先端部に、第3垂直軸L3周りに回転可能に装着されている。ブレード支持部8には、ウェハWをそれぞれ保持できるように構成された可動ブレード9及び固定ブレード10が設けられている。
【0056】
同様に、第2エンドエフェクタ7は、第2アーム5の先端部に第3垂直軸L3周りに回転可能に設けられたブレード支持部11を備えており、このブレード支持部11には、ウェハWをそれぞれ保持できるように構成された可動ブレード12及び固定ブレード13が設けられている。
【0057】
第1エンドエフェクタ6のブレード支持部8は、ロボット1の支持部駆動手段30によって第3垂直軸L3周りに回転駆動される。また、第2エンドエフェクタ7のブレード支持部11は、ロボット2の支持部駆動手段31によって第3垂直軸L3周りに回転駆動される。第1エンドエフェクタ6と第2エンドエフェクタフとは、それぞれの支持部駆動手段30、31によって、第3垂直軸L3周りに互いに独立して回転駆動される。
【0058】
さらに、第1エンドエフェクタ6には、ウェハWの縁部に解放可能に当接される可動当接部14と、この可動当接部14を進退駆動するエアシリンダ15と、を備えたエッジガイド機構(固定手段)16が設けられている。このエッジガイド機構16は、上側のウェハWと下側のウェハWのそれぞれに対応して設けられ、互いに独立に駆動される。
【0059】
なお、これらのエッジガイド機構16は、ウェハWの固定に用いられると共に、ウェハWの存在を確認するための検出手段としても機能する。
【0060】
第2エンドエフェクタ7にも、同様の上下一対のエッジガイド機構が設けられている。
【0061】
次に、図3及び図4を参照して、第1エンドエフェクタ6において可動ブレード9を昇降駆動するブレード駆動手段について説明する。なお、図3及び図4においては、理解を容易にするために可動ブレード9と固定ブレード10の各先端部を前後方向に揃えて表示している(実際には図2に示したように各先端部は前後にずれている)。
【0062】
第1エンドエフェクタ6のブレード支持部8内にはエアシリンダ17が設けられており、このエアシリンダ17のプランジャ18の先端に可動ブレード9の基端部が取り付けられている。さらにブレード支持部8内には、可動ブレード9の昇降動作を案内支持するための昇降ガイド19が設けられている。昇降ガイド19には、可動ブレード9の上限位置及び下限位置を規定する上側ストッパー19A及び下側ストッパー19Bが設けられている。
【0063】
そして、エアシリンダ17のプランジヤ18を上下に進退駆動することにより、可動ブレード9を昇降駆動することができる。これにより、可動ブレード9と固定ブレード10の垂直方向の間隔(第3垂直軸L3方向の間隔)を変更することができる。
【0064】
なお、第2エンドエフェクタ7は、上述した第1エンドエフェクタ6と共通の構成を備えている。
【0065】
図4乃至図6に示したように本実施形態においては、エアシリンダ17によって可動ブレード9を下限位置まで降下させることにより、固定ブレード10が可動ブレード9の内側に位置する(図6参照)。すなわち、可動ブレード9と固定ブレード10とが入子模様となっており、ブレードに垂直な方向に見たときに互いに重ならないように構成されている。そして、エアシリンダ17によって可動ブレード9が下限位置まで降下されることにより、可動ブレード9のウェハ保持面9Aと国定ブレード10のウェハ保持面10Aとが略面一になる。
【0066】
また、ウェハ保持面9A、10Aに隣接して、ウェハWのエッジが当接されてブレード9、10上でウェハを位置決めする位置決め部9B、10Bがそれぞれ設けられている。そして、図4に示したようにウェハ保持面9Aとウェハ保持面10Aとが略画一になった状態においては、位置決め部9Bと位置決め部10Bとが共に、ウェハWのエッジに沿った円周上に位置しており、位置決め部9B及び位置決め部10Bの両方が1枚のウェハWのエッジに当接されてウェハWが位置決めされる。
【0067】
このように本実施形態においては、エアシリンダ17のプランジャ18を上下に進退駆動することにより、可動ブレード9と固定ブレード10との上下方向の間隔について、最大間隔(図3:ブレード離間状態)と最小間隔(図4:ブレード近接状態)のいずれかを選択的に規定することができる。好ましくは、最小間隔は0である。
【0068】
なお、図2に示した上下一対のエッジガイド機構16の可動当接部14は、可動ブレード9と固定ブレード10との上下方向の間隔が最大間隔(図3:ブレード離間状態)にある場合に各ウェハWの縁部に当接できるように配置されている。
【0069】
すなわち、本実施形態においては、各エンドエフェクタ6、7における上下一対の可動当接部14、14同士の上下間隔が固定されており、図7に示したように、上下一対のブレード9、10の上下間隔が最大である場合に、各可動当接部14、14が各ブレード9、10に保持された各ウェハWの縁部に当接できるように位置決めされている。
【0070】
なお、可動ブレード9に連動して上側の可動当接部14が上下動するように構成することもできるが、本実施形態において上側の可動当接部14によるウェハWの固定が必要となるのは可動ブレード9が上方に位置しているときなので、エッジガイド機構16の構造の複雑化を避けるために上下一対の可動当接部14の上下間隔を固定している。
【0071】
可動ブレード9と固定ブレード10との上下方向の最大間隔をDとし、複数のウェハWを収納するためのカセット(FOUP:Front Opening Unified Pod)におけるウェハ配置ピッチをPとした場合、n P<D<(n+1)P(nは0を含む自然数)となるように最大間隔Dを設定する。或いは、好ましくは、nP<D≦(n+1)P(nは0を含む自然数)である。
【0072】
好ましくは、n=0、即ち、最大間隔Dが0よりも大きく、ウェハ配置ピッチP(1ピッチ)よりも小さい。ここで、カセット(FOUP)は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に基づいて製造されたものとすることができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、外側のブレードを可動ブレード9とし、内側のブレードを固定ブレード10としたが、これとは逆に内側のブレードを可動ブレードとし、外側のブレードを固定ブレードとしても良い。或いはまた、両方のブレードを可動ブレードとしても良く、要するに両ブレード間の上下間隔を変更できる構成であれば良い。
【0074】
上記実施形態の変形例としては、図8及び図9に示したように2つ(又は3つ以上)の可動ブレード9、9’(及びそれぞれの駆動手段)を設けることもできる。この場合、図9に示したように、上側の可動ブレード9と下側の可動ブレード9’との最大間隔Dlと、下側の可動ブレード’と固定ブレード10との最大間隔D2とを変えても良いし、同じにしても良い。なお、図9においては、理解を容易にするために各ブレード9、9’、10の先端部を前後方向に揃えて表示している。
【0075】
また、可動ブレード9の昇降駆動手段として、エアシリンダ17に代えてサーボモータを用いることもできる。この例においては、可動ブレード9と固定ブレード10との上下方向の間隔を、最大間隔(図3:ブレード離間状態)と最小間隔(図4:ブレード近接状態)との間で任意に規定することができる。この場合、可動ブレード9用のエッジガイド機構16の可動当接部14は、可動ブレード9の昇降範囲にあわせて、上下方向にある程度幅広に形成する。
【0076】
また、可動ブレード9の昇降駆動手段として、エアシリンダ17に代えて、図10に示したような回転による昇降駆動機構を採用することもできる。この昇降駆動機構においては、図10(A)に示した寝かせた状態にある一対の可動支持部材20を、図10(B)に示したように落とすことにより、可動ブレード9が可動支持部材20によって押し下げられ、固定ブレード10に対して下降させることができる。
【0077】
また、図11に示したように、エッジガイド機構16に代えて、ウェハを真空吸着する吸着部21(本例では3つ及び1つ)を有する吸着機構を設けても良い。
【0078】
また、図12に示したようにウェハWの外形に合わせて配置した複数の爪部材22で形成した凹部の中にウェハWを落とし込むようにしても良い。
【0079】
また、図13に示したようにウェハWの外形に合わせて配置した複数のピン部材23でウェハWを囲い込むようにしても良い。
【0080】
また、ウェハWとブレードのウェハ保持面との間に摩擦を生じさせる摩擦保持方式によってウェハWを保持するようにしても良いし、非接触式(流体式、静電気式、超音波等)の保持方法によってウェハWを保持することもできる。
【0081】
また、上記実施形態の説明ではブレード9を可動としてブレード10を固定としたが、ブレード9を固定としてブレード10を可動としても良く、ブレード9及びブレード10の両方を可動としても良い。要するに複数のブレードの間隔を変更できる構成であれば良い。
【0082】
また、上記実施形態の説明ではエッジガイド機構16は上側のウェハWと下側のウェハWのそれぞれに対応して設けられるとしたが、上下のウェハWに共通のエッジガイド機構を設けても良い。この場合、上下のウェハWの位置ずれを吸収するためにエッジガイド機構に弾性要素を含むことが望ましい。
【0083】
また、上記実施形態の説明ではブレード9とブレード10の各先端部が前後にずれているとしたが、ブレードの形状によっては前後に揃っていても良い。
【0084】
また、上記実施形態の説明ではストッパー19A、19Bはエアシリンダ17とは独立して設けられるとしたが、ストッパーはエアシリンダに内蔵されていても良い。
【0085】
また、上記実施形態の説明では複数のウェハの載置部としてカセット(FOUP)を例にとったが、カセットに限らず、複数のウェハを載置できる複数段載置部であれば良い。この場合、複数段に配置されるウェハ同士の間隔は一定でなくても良い。また、複数段載置部が複数種類存在する場合には、少なくともその中の1つについて前述の関係が成り立てばよい。
【0086】
また、本実施形態においては2台のエンドエフェクタ6、7を設けているが、これを1台とすることもできるし、3台以上装着することもできる。或いは、2台のエンドエフェクタの内の一方を、上下間隔が固定された複数の固定ブレードを有する固定ブレード式のエンドエフェクタにすることもできる。要するに、本実施形態における可動ブレード式のエンドエフェクタと固定ブレード式のエンドエフェクタとを適宜組み合わせることができる。
【0087】
また、本実施形態においては、ブレード近接状態において、可動ブレード9のウェハ保持面9Aと固定ブレード10のウェハ保持面10Aとが略面一になるようにしたが、ブレード近接状態において両ブレード9、10全体の上下方向の厚さが、ウェハカセットのウェハ配置ピッチよりも小さくなるようにすれば、必ずしも略面一にしなくても良い。
【0088】
両ブレード9、10全体の上下方向の厚さが、隣接する載置部の間のブレード存在可能厚さ(ブレードが存在可能な厚さの最大値)以下となるようにすれば良い。ここで、隣接する載置部の間のブレード存在可能厚さとは、ブレード又はブレード上にウェハが存在する場合にはブレード及びウェハが、載置部及び載置部に載置されているウェハと干渉することなく隣接する載置部の間に挿入され得るようなブレード又はブレード上にウェハが存在する場合にはブレード及びウェハ全体の最大厚さのことをいう。
【0089】
なお、ここで言及している「両ブレード9、10全体の上下方向の厚さ」とは、あくまでもウェハカセット(FOUP)の中に挿入される部分のブレードに関するものであり、ウェハカセットの中に挿入されない部分の厚さについては、ここでは不問である。
【0090】
また、本実施形態によるエンドエフェクタ6は、図14に示したようなロボット1’に装着することもできる。このロボット1’は、エンドエフェクタ6を水平方向に駆動する水平駆動アーム24と、この水平駆動アーム24を垂直軸L周りに回転駆動する回転駆動アーム25と、この回転駆動アーム25を支持する水平支持部材26を昇降駆動する昇降駆動アーム27を備えている。
【0091】
また、図1及び図14では基板を水平状態で搬送するロボットを例示したが、本発明によるエンドエフェクタを装着可能なロボットはこのようなロボットに限定されず、非水平状態(例えば垂直状態)で基板を搬送するロボットに装着することもできる。
【0092】
このように、ロボットとしては、エンドエフェクタを自動で所望の位置に位置させることができる任意の装置が採用され得る。
【0093】
また、本発明によるエンドエフェクタの搬送対象は、上述した半導体ウェハ(円形基板)に限定されるものではなく、例えば、液晶表示パネルのガラス基板(方形基板)や、ソーラーパネルのガラス基板(方形基板)等を搬送することもできる。
【0094】
次に、本実施形態によるロボットの運転方法について説明する。
【0095】
本実施形態によるロボットの運転方法は、第1エンドエフェクタ6の可動ブレード9及び固定ブレード10の両方を用いて2つのウェハWを同時に搬送する第1の工程(図2)と、可動ブレード部材9と固定ブレード10とを上下方向に近接させて(ブレード近接状態)、第1エンドエフェクタ6によって1枚のウェハを搬送する第2の工程(図6)と、を備える。
【0096】
第1の工程においては、第1エンドエフェクタ6と同時に第2エンドエフェクタ7を使用しても良いし、第1エンドエフェクタ6を単独で使用しても良い。
【0097】
また、第1の工程に先だって第2の工程を実施することもできるし、第1の工程と第2の工程とを適宜組み合わせて所望のシーケンスでウェハWを搬送することもできる。
【0098】
図15乃至図20に、各種のウェハ搬送シーケンスを例示する。
【0099】
図15に示したパターン1においては、まず、図中右側のカセット29から第1エンドエフェクタ6によって一番下のウェハ2枚を取り出し、それを図中左側のカセット29の一番下に入れ込む。次に、右のカセット29から、先ほど取ったウェハのさらに上のウェハ2枚を取り出し、それを左のカセット29の先ほど置いたウェハの上に入れ込む。次に、第1エンドエフェクタ6の可動ブレード9を駆動して、可動ブレード9のウェハ保持面9Aと固定ブレード10のウェハ保持面10Aとを略面−の状態にして、右のカセット29の一番上のウェハを取り出し、それを左のカセット29の一番上に入れ込む。
【0100】
この図15に示したパターン1では、第1エンドエフェクタ6を用いて、最上段ではウェハWを1枚移載し、その他の段ではウェハを2枚移載することで、ロボット1とウェハカセット29との干渉を回避できる。
【0101】
図16に示したパターン2においては、まず、右のカセット29から第1エンドエフェクタ6によって一番上のウェハ2枚を取り出し、それを左のカセット29の一番上に入れ込む。次に、右のカセット29から、先ほど取ったウェハのさらに下のウェハ2枚を取り出し、それを左のカセット29の先ほど置いたウェハの下に入れ込む。次に、第1エンドエフェクタ6のウェハ保持面9Aとウェハ保持面10Aとを略面−の状態にして、右のカセット29の一番下のウェハを取り出し、それを左のカセット29の一番下に入れ込む。
【0102】
この図16に示したパターン2では、最下段ではウェハWを1枚移載し、その他の段ではウェハWを2枚移載することで、ロボット1とウェハWとの干渉を回避できる。
【0103】
図17に示したパターン3においては、左のカセット29の一番上と中段にそれぞれ一枚のウェハがある状態において、右のカセット29から第1エンドエフェクタ6によってウェハ2枚を取り出し、それを左のカセット29の一番下に入れ込む。次に、第1エンドエフェクタ6のウェハ保持面9Aとウェハ保持面10Aとを略面−の状態にして、右のカセット29の一番下のウェハを取り出し、それを左のカセット29の一番上のウェハと中段のウェハの間に入れ込む。
【0104】
この図17に示したパターン3では、2段連続で空いている段にはウェハWを2枚移載し、それ以外の段ではウェハWを1枚移載することで、ロボット1とウェハWとの干渉を回避できる。
【0105】
図18に示したパターン4においては、第1エンドエフェクタ6のウェハ保持面9Aとウェハ保持面10Aとを略面−の状態にして、右のカセット29からウェハ1枚を取り出し、それを載置可能な場所28に移載する。この図18に示したパターン4では、まとめてウェハWを移載するときは2枚ずつ移載でき、ウェハWを1枚だけ移載する必要があるとき(例えば、1枚のウェハWのみを載置可能な場所28にウェハWを移載する場合や、ウェハカセット29の中の特定の1枚のウェハWのみを移載する場合等)は、1枚のウェハWのみを移載できるので、ウェハWのハンドリングが柔軟かつ短時間で行える。
【0106】
図19及び図20に示したパターン5においては、まず、右のカセット29から第2エンドエフェクタフによって一番下のウェハ2枚を取り出し、続いて第1エンドエフェクタ6によって、その上のウェハ2枚を取り出す。次に、第2エンドエフェクタ7上のウェハ2枚を左のカセット29の一番下に入れ込み、続いて、第1エンドエフェクタ6上のウェハ2枚を、先ほど置いたウェハの上に入れ込む。次に、第1エンドエフェクタ6のウェハ保持面9Aとウェハ保持面10Aとを略面−の状態にして、右のカセット29の一番上のウェハ1枚を取り出し、左のカセット29の一番上に入れ込む。
【0107】
この図19及び図20に示したパターン5では、第1エンドエフェクタ6と第2エンドエフェクタフの両方を用いることにより、一度で4枚(2枚+2枚)、3枚(2枚+1枚)、2枚(1枚+1枚、2枚+0枚)、1枚(1枚+0枚)の移載が可能となり、ウェハWのハンドリングが柔軟かつ短時間に行える。
【0108】
なお、ウェハ及びカセットの代表的な寸法を以下に例示する。
【0109】
直径150mm(6インチ)のウェハの厚さは0.625mmであり、カセットのピッチは4.76mmである。
【0110】
直径200mm(8インチ)のウェハの厚さは0.725mmであり、カセットのピッチは6.35mmである。
【0111】
直径300mm(12インチ)のウェハの厚さは0.775mmであり、カセットのピッチは10mmである。
【0112】
例えば、直径300mmのウェハの場合、隣接する載置部の間のブレード存在可能厚さは、10mm−0.775mmで9.225mmである。
【0113】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0114】
上述した実施形態は、主として、1つのエンドエフェクタに複数枚のウェハを保持させる場合と1枚のウェハを保持させる場合とを切り換えることを狙ったものである。これに対して次に述べる実施形態は、1つのエンドエフェクタにおいて、その適用によってブレード面を切り換えることを主に狙ったものである。
【0115】
すなわち、本実施形態においては、上述した第1エンドエフェクタ6及び第2エンドエフェクタ7の少なくとも一方において(以下、第1エンドエフェクタ6を例にとって説明する。)、可動ブレード9及び固定ブレード10とで適用を変える。例えば、可動ブレード9をクリーンブレードとして使用し、国定ブレード10を非クリーンブレードとして使用する。或いは、可動ブレード9を高温用ブレードとして使用し、国定ブレード10を低温用ブレードとして使用する。なお、本実施形態においては一方のブレード9を可動とし、他方のブレード10を固定としているが、両方を可動ブレードとすることもできる。
【0116】
そして本実施形態においては、図3及び図4に示した上側ストッパー19A及び下側ストッパー19Bの位置を、図21及び図22に示したように変更している。即ち、上側ストッパー19Aが、上述した実施形態(図3図4)の場合に比べて低い位置にあり、下側ストッパー19Bも、上述した実施形態の場合に比べて僅かに低い位置にある。
【0117】
図22に示したように本実施形態においては、可動ブレード9が最下位置(下側ストッパー19Bに当接する位置)にある場合、可動ブレード9のウェハ保持面9Aと固定ブレード10のウェハ保持面10Aとが面一にはならず、固定ブレード10のウェハ保持面10Aが基板保持側(図22中の上側)に僅かに突出した状態になる。
【0118】
一方、可動ブレード9が最上位置(上側ストッパー19Aに当接する位置)にある場合には、可動ブレード9のウェハ保持面9Aが、固定ブレード10のウェハ保持面10Aよりも、基板保持側に僅かに突出した状態になる。
【0119】
なお、図21及び図22においては、水平方向に見て両ブレード9、10が重ならない構成を示しているが、両ブレード9、10の一部が重なり合うような位置関係とすることもできる。
【0120】
このように本実施形態においては、エアシリンダ17によって可動ブレード9を昇降駆動することにより、可動ブレード9が固定ブレード10よりも基板保持側に突出する状態と、逆に固定ブレード10が可動ブレード9よりも基板保持側に突出する状態とを切り換えることができる。
【0121】
また、本実施形態においては、可動ブレード9又は固定ブレード10が、搬送対象のウェハWが載っているカセット(FOUP)29内のスロットに隣接するスロットと干渉することを防止するために、使用する適用のブレードのウェハ保持面と使用しない適用のブレードのウェハ保持面との距離が基板配置ピッチPの範囲内となるように、上側ストッパー19Aと下側ストッパー19Bとの上下間隔が設定されている。
【0122】
本実施形態においては、可動ブレード9が、固定ブレード10と面一になる状態を0mmとして、上方及び下方に移動可能であるが、その昇降距離については、(a)使用しない適用のブレードが、使用する適用のブレードを避け、かつ、(b)使用しない適用のブレードが、搬送対象のウェハWが載っているカセット(FOUP)29内のスロット以外のスロット及びこれらのスロットに載っているウェハWに干渉しない範囲で任意に設定することができる。
【0123】
前記(a)の条件を満たすためには、使用する適用のブレードのウェハ保持面と使用しない適用のブレードのウェハ保持面との距離が少なくとも0mmより大きいことが必要である。また、前記(b)の条件を満たすためには、例えば、基板垂線方向における複数のブレードの全体の最大厚さが、基板の複数段載置部における隣接する載置部の間のブレード存在可能厚さ(ブレードが存在可能な厚さの最大値)以下となるようにすれば良い。ブレード、エンドエフェクタ(ハンド)、カセット(FOUP)の製作誤差や搬送装置動作時の振動等を考慮して、使用する適用のブレードのウェハ保持面と使用しない適用のブレードのウェハ保持面との距離を、ウェハ配置ピッチの5〜30%とすることが特に好ましい。
【0124】
なお、固定ブレード10の位置を基準とした、可動ブレード9の上方への移動距離と下方への移動距離は、必ずしも一致させる必要はない。
【0125】
本実施形態においては、第1エンドエフェクタ6によって1度に2枚のウェハを取ることはできないが、第1エンドエフェクタ6と第2エンドエフェクタ7との間隔を基板配置ピッチPに設定することにより、全体として2枚のウェハを一度に取るようにすることができる。
【0126】
本実施形態によれば、例えば、可動ブレード9をクリーン用とし、固定ブレード10を非クリーン用とすることができる。そして、クリーンなウェハWを取る際には可動ブレード9を固定ブレード10よりも上方(基板保持側)に位置させ、一方、非クリーンなウェハWを取る際には可動ブレード9を下方に退避させて固定ブレード10が上方に突出した状態とする。このように本実施形態においては、1つのエンドエフェクタを、クリーン用と非クリーン用とで共用することが可能となる。
【0127】
なお、本実施形態においては、使わない適用のブレードを下方に避ける構成としているが、使わない適用のブレードを上方に避ける構成を採用することもできる。
【0128】
図3及び図4に示した上述の実施形態においても、例えば、第1エンドエフェクタ6の2つのブレード9、10をクリーン用として、第2エンドエフェクタ7の2つのブレード12、13を非クリーン用として、エンドエフェクタ毎に適用を変えるという運用方法も考えられるが、上記特徴を備えた本実施形態(図21及び図22)においては、以下で図23及び図24を参照して説明するように、ウェハWを2枚ずつ搬送することが可能になる。
【0129】
図23及び図24に示した例においては、第1エンドエフェクタ6及び第2エンドエフェクタフの両方が図21及び図22に示した構成を備えており、それぞれの可動ブレード9がクリーン用とされ、それぞれの固定ブレード7が非クリーン用とされている。
【0130】
本例においては、まず、図23に示したように、第2エンドエフェクタ7の可動ブレード12によって、カセット29の一番下のクリーンなウェハWを取り出す。続いて、図24に示したように、第1エンドエフェクタ6の可動ブレード9によって、カセット29の一番上のクリーンなウェハWを取り出す。このようにして2枚のクリーンなウェハWを同時に保持した状態で、ロボット1を駆動して、2枚同時に搬送先の他のカセット等に移送する。
【0131】
なお、図23及び図24においては単純化のため、使用しないエンドエフェクタ(ハンド)が前後方向に退避することとしているが、紙面上下方向軸周りの回転によって紙面奥行き方向に退避させるようにしても良い。
【0132】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の範囲内で適宜変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24