特許第6049993号(P6049993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6049993アンモニア処理システム及びアンモニア処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049993
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】アンモニア処理システム及びアンモニア処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20161212BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20161212BHJP
   B01J 27/13 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B01D53/86 228
   B01J23/89 A
   B01J27/13 A
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-232974(P2011-232974)
(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公開番号】特開2013-91008(P2013-91008A)
(43)【公開日】2013年5月16日
【審査請求日】2012年1月31日
【審判番号】不服-12381(P-12381/J1)
【審判請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507342478
【氏名又は名称】株式会社 ナノ・キューブ・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 智昭
(72)【発明者】
【氏名】前田 良二
(72)【発明者】
【氏名】緒方 三剣
(72)【発明者】
【氏名】中▲崎▼ 義晃
【合議体】
【審判長】 新居田 知生
【審判官】 三崎 仁
【審判官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−234340(JP,A)
【文献】 特開平5−220335(JP,A)
【文献】 特開2011−147904(JP,A)
【文献】 実願昭48−9798(実開昭49−110045(JP,U))のマイクロフィルム
【文献】 特公昭47−5081(JP,B1)
【文献】 特開2010−207753(JP,A)
【文献】 特開2005−307944(JP,A)
【文献】 特開2003−214142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/00-53/96, B01J21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
240度以上260度以下の第1のガスに含まれるアンモニアの一部を380度以下で分解する第1分解工程と、
前記第1分解工程においてアンモニアの一部が分解されたガスと、アンモニアを含有する第2のガスとを混合することによって、前記第1分解工程において前記アンモニアの一部が分解されたガスのアンモニア濃度を上昇させるアンモニア混合工程と、
前記アンモニア混合工程後のガスを240度以上260度以下に冷却する冷却工程と、
前記冷却工程において冷却されたガスに含まれるアンモニアの一部又は全部を380度以下で分解する第2分解工程と
を含むアンモニア処理方法であって、
前記第1分解工程で用いる第1アンモニア分解触媒、及び前記第2分解工程で用いる第2アンモニア分解触媒は、Pt−CuO又はPt−CuO−Clである触媒成分を含み、前記触媒成分を坦持する多孔質物質がコーティングされた基材からなり、前記基材は、シート状のベース部と、前記ベース部の一方の表面から立ち上がる複数の突出片と、前記ベース部を貫通する複数の貫通孔とを有し、前記ベース部の隙間に前記突出部が介在するように重なり合うことを特徴とするアンモニア処理方法。
【請求項2】
240度以上260度以下の第1のガスに含まれるアンモニアの一部を380度以下で分解する第1分解工程と、
前記第1分解工程においてアンモニアの一部が分解されたガスを冷却する冷却工程と、
前記冷却工程において冷却されたガスと、アンモニアを含有する第2のガスとを混合することによって、前記冷却工程において冷却されたガスのアンモニア濃度を上昇させ、前記混合後のガスの温度を240度以上260度以下にするアンモニア混合工程と、
前記ガス混合工程においてアンモニア濃度が上昇したガスに含まれるアンモニアの一部又は全部を380度以下で分解する第2分解工程と
を含むアンモニア処理方法であって、
前記第1分解工程で用いる第1アンモニア分解触媒、及び前記第2分解工程で用いる第2アンモニア分解触媒は、Pt−CuO又はPt−CuO−Clである触媒成分を含み、前記触媒成分を坦持する多孔質物質がコーティングされた基材からなり、前記基材は、シート状のベース部と、前記ベース部の一方の表面から立ち上がる複数の突出片と、前記ベース部を貫通する複数の貫通孔とを有し、前記ベース部の隙間に前記突出部が介在するように重なり合うことを特徴とするアンモニア処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア処理システム及びアンモニア処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所や下水処理場等からは、アンモニアを含有するガスが発生することが知られている。このガスを大気中に放出するためには、含まれるアンモニアを無害化する必要がある。このため、例えば、火力発電所や下水処理場等から発生するガスに含まれるアンモニアを、触媒を用いて分解するアンモニア処理システムが知られている。
このアンモニア処理システムは、火力発電所や下水処理場等から発生するガスに含まれるアンモニアを、触媒に接触させる触媒塔を備えている。この触媒塔では、例えば、4NH+3O→2N+6HOで示される反応が生じることによって、アンモニアが無害な窒素や水に分解される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−216300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、効率良くアンモニアを分解することができる、アンモニア処理システム及びアンモニア処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るアンモニア処理システムは、第1のガスに含まれるアンモニアの一部を分解する、第1アンモニア分解触媒を備えた第1触媒塔と、第1触媒塔においてアンモニアの一部が分解されたガスと、第1のガス又はアンモニアを含有する第2のガスとを混合することによって、第1触媒塔においてアンモニアの一部が分解されたガスのアンモニア濃度を上昇させるガス混合器と、ガス混合器においてアンモニア濃度が上昇したガスを冷却する冷却器と、冷却器によって冷却されたガスに含まれるアンモニアの一部又は全部を分解する、第2アンモニア分解触媒を備えた第2触媒塔とを備える。
【0006】
また、本発明に係るアンモニア処理システムは、第1のガスに含まれるアンモニアの一部を分解する、第1アンモニア分解触媒を備えた第1触媒塔と、第1触媒塔においてアンモニアの一部が分解されたガスを冷却する冷却器と、冷却器によって冷却されたガスと、第1のガス又はアンモニアを含有する第2のガスとを混合することによって、冷却されたガスのアンモニア濃度を上昇させるガス混合器と、ガス混合器においてアンモニア濃度が上昇したガスに含まれるアンモニアの一部又は全部を分解する、第2アンモニア分解触媒を備えた第2触媒塔とを備えても良い。
【0007】
アンモニア処理システムは、第1触媒塔に供給される第1のガスに含まれるアンモニアの分解が第1触媒塔において起こる温度にまで、第1触媒塔に供給される前の第1のガスを加熱する加熱装置をさらに備えることが好ましい。また、この加熱装置は、第1触媒塔に供給される前の第1のガスと、第1触媒塔又は第2触媒塔から排出された後のガスとを熱交換する、熱交換器を備えることが好ましい。
第1アンモニア分解触媒及び前記第2アンモニア分解触媒は、Pt−CuO及び/又はPt−CuO−Clを含むことが好ましい。
アンモニア処理システムは、第1触媒塔を流れるガスの流路を反転させる第1流路反転装置、及び/又は、第2触媒塔を流れるガスの流路を反転させる第2流路反転装置を、さらに備えても良い。
【0008】
本発明に係るアンモニア処理方法は、第1のガスに含まれるアンモニアの一部を分解する第1分解工程と、第1分解工程においてアンモニアの一部が分解されたガスと、第1のガス又はアンモニアを含有する第2のガスとを混合することによって、第1分解工程においてアンモニアの一部が分解されたガスのアンモニア濃度を上昇させるアンモニア混合工程と、アンモニア混合工程後のガスを冷却する冷却工程と、冷却工程において冷却されたガスに含まれるアンモニアの一部又は全部を分解する第2分解工程とを含む。
【0009】
また、本発明に係るアンモニア処理方法は、第1のガスに含まれるアンモニアの一部を分解する第1分解工程と、第1分解工程においてアンモニアの一部が分解されたガスを冷却する冷却工程と、冷却工程において冷却されたガスと、第1のガス又はアンモニアを含有する第2のガスとを混合することによって、冷却工程において冷却されたガスのアンモニア濃度を上昇させるアンモニア混合工程と、ガス混合工程においてアンモニア濃度が上昇したガスに含まれるアンモニアの一部又は全部を分解する第2分解工程とを含んでも良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、効率良くアンモニアを分解することができる、アンモニア処理システム及びアンモニア処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかる、アンモニア処理システムの構成例を説明するための模式図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる、アンモニア処理システムの外形を示す平面図である。
図3】車載した図2に示すアンモニア処理システムの外形を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる、触媒層の表面の構造を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる、触媒層における基材の表面の一部を示す斜視図である。
図6図5に示す触媒層における基材の全体構造を示す斜視図である。
図7】第1試験の結果を示すグラフである。
図8】(a)は第2試験の結果を示すグラフであり、(b)は(a)に示す結果を説明するための触媒塔Aの模式図である。
図9】本発明のその他の実施形態にかかる、アンモニア処理システムの構成例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
===アンモニア処理システムの全体構成===
図1図2図3を参照しつつ、本実施形態にかかるアンモニア処理システム1の全体構成について説明する。なお、図1は、アンモニア処理システム1の構成を説明するための模式図である。図2は、アンモニア処理システム1の外形を示す平面図である。図3は、トラック100に車載したアンモニア処理システム1の外形を示す平面図である。
【0013】
図1に示すように、アンモニア処理システム1は、加熱装置2と、第1触媒塔3と、冷却器4と、第2触媒塔5と、流量調整装置6A及び6Bと、ガス混合器9とを備えている。これらのうち、第1触媒塔3と第2触媒塔5とにおいて、ガスに含まれるアンモニアを分解する。ここで、「アンモニアを分解する」とは、アンモニアを異なる物質に変換することをいう。例えば、4NH+3O→2N+6HOで示される反応によって、アンモニアを無害な窒素及び水に変換することが好ましい。
【0014】
アンモニア処理システム1は、図2及び図3に示すように、例えば組み立てられた状態でトラック100に車載され、火力発電所や下水処理施設等のアンモニアを含有するガスを発生する設備の付近まで運ばれる。そして、アンモニアを貯蔵するアンモニアタンク7内に残留する、アンモニアガスを分解する。
具体的には、アンモニア処理システム1の流量調整装置6Aおよび6Bは、アンモニアタンク7内から供給されるアンモニアガスの流量をそれぞれ調整する。流量が調整されたアンモニアガスは、それぞれ、別の箇所にアンモニアガスを供給する。流量調整装置6Aによって流量が調整されたアンモニアガスは、空気と混合された後、ブロワ8によってアンモニア処理システム1の加熱装置2に供給される。空気と混合後のアンモニア濃度は、第1触媒塔3におけるアンモニア分解効率を考慮すれば高いことが好ましいが、アンモニアの分解反応は発熱反応であるので、ガスのアンモニア濃度が高いほど、分解反応で生じる発熱量が多くなって触媒塔の温度が上昇しやすく、この結果、環境汚染の原因となるNOxやNO等の副生成物の生成率が増大するという問題が生じた。このため、第1触媒塔3の温度が上昇しすぎないように、ガスに含まれるアンモニア濃度を高くなり過ぎないように、流量調整装置6Aによってアンモニアガスの流量を調整することが好ましい。このように調整するために、例えば、第1触媒塔3から排出されたガスの温度及び/又は組成を測定しながら流量調整装置6Aを制御することで、アンモニアガスの流量を、適宜調整することができる。
また、流量調整装置6Bによって流量が調整されたアンモニアガスは、アンモニア処理システム1のガス混合器9に供給される。流量調整装置6Bによって調整されるアンモニアガスの流量は、上記の流量調整装置6Aの場合と同様に、ガス混合器9によって第1触媒塔3から排気されたガスと混合された後のガスのアンモニア濃度が、第2触媒塔5におけるアンモニアの分解効率を高く保てる程度に高く、第2触媒塔3の温度が上昇しすぎない程度に低くなるように、調整されることが好ましい。アンモニア濃度をこのように調整するために、例えば、第2触媒塔5から排出されたガスの温度及び/又は組成を測定しながら流量調整装置6Bを制御することで、アンモニアガスの流量を、適宜調整することができる。
このように、アンモニア処理システム1は、アンモニア処理システム1の2個所に供給されたアンモニアガスを分解処理する。
【0015】
加熱装置2は、熱交換器20と、ヒータ21とを備える。
熱交換器20は、ブロア8から供給されたアンモニアを含有するガスと、第2触媒塔5から排出されたガスとを熱交換する。これによって、熱交換器20は、ブロア8から供給されたガスを加熱するとともに、第2触媒塔5から排出されたガスを冷却する。アンモニア処理システム1は、熱交換器20を備えることによって、第1触媒塔3に供給される前のガスを加熱することができるので、アンモニアを含有するガスを分解処理する際に必要なエネルギーを低減できる。
ヒータ21は、熱交換器20での加熱が十分でなかった場合、第1触媒塔3に供給される前のガスを、必要に応じてさらに加熱する。加熱する温度は、第1触媒塔3において、第1触媒塔3に供給されたガスに含まれるアンモニアの一部のみが分解されるような温度であることが好ましい。
なお、加熱装置2は、第1触媒塔3に供給される前のガスを加熱することができる装置であれば特に限定されず、例えば、熱交換器20のみであっても良く、ヒータ21のみであっても良い。
加熱装置2は、第1触媒塔3に供給される前のガスを、第1触媒塔3においてガスに含まれるアンモニアの分解が起こる温度以上に加熱することが好ましい。この際に、第1触媒塔3の温度が、副生成物であるNOxやNO等の生成率を低く抑えられる温度を超えないように、第1触媒塔3に供給される前のガスを加熱することがより好ましい。
【0016】
第1触媒塔3は、第1アンモニア分解触媒層30を備え、この第1アンモニア分解触媒30によって、第1触媒塔3に供給されたガスに含まれるアンモニアの一部を分解する。
本実施形態では、第1触媒塔3が備えるアンモニア分解触媒は、第1アンモニア分解触媒層30のように層状になっているが、第1触媒塔3に供給されたガスに含まれるアンモニアと接触することができればどのような形状であっても良く、例えば、第1触媒塔3に供給されたガスの流れに沿った直線状であっても良い。また、本実施形態では、第1触媒塔3は、アンモニア分解触媒として、第1アンモニア分解触媒層30の1つのみを備えるが、複数のアンモニア分解触媒を備えても良い。アンモニア分解触媒が2つ以上ある場合に、それぞれが、同一の形状および/または組成であっても良く、異なる形状および/または組成であっても良い。
【0017】
ガス混合器9は、第1触媒塔3から排出されたガスと、流量調整装置6Bを通じて供給されたアンモニアガスとを混合する。ガス混合器9は、例えばバルブであっても良い。アンモニア処理システム1は、ガス混合器9を備えることによって、第1触媒塔3において低下した、ガスのアンモニア濃度を再度上昇させることができるため、アンモニア処理システム1全体としてより高濃度のアンモニアを分解処理することが可能となる。
【0018】
冷却器4は、熱交換器40と、この熱交換器40に空気を送風するブロワ41とを備えている。熱交換器40は、第1触媒塔3から排出されたガスと、ブロワ41を介して供給される空気とを熱交換させる。これによって、熱交換器40は、第1触媒塔3から排出され、第2触媒塔5に供給される前のガスを冷却する。
冷却器4は、第2触媒塔5の温度が、副生成物であるNOxやNO等の生成率を低く抑えられる温度になるように、第2触媒塔5に供給される前のガスを冷却することが好ましい。この際に、第2触媒塔5においてガスに含まれるアンモニアの分解が起こる温度を下回らないように冷却することが好ましい。
【0019】
第2触媒塔5は、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52を備え、第2触媒塔5に供給されたガスに含まれる、第1触媒塔3で分解されなかった残りのアンモニアの一部又は全部を分解する。
本実施形態では、第2触媒塔5が備えるアンモニア分解触媒は、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52のように層状になっているが、第2触媒塔5に供給されたガスに含まれるアンモニアと接触することができればどのような形状であっても良く、例えば、第2触媒塔5に供給されたガスの流れに沿った直線状であっても良い。また、本実施形態では、第2触媒塔5は、アンモニア分解触媒として、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52の3つを備えるが、アンモニア分解触媒は1つのみであっても良く、複数であっても良い。アンモニア分解触媒が2つ以上ある場合に、それぞれが、同一の形状および/または組成であっても良く、異なる形状および/または組成であっても良い。
なお、本実施形態では、第1触媒塔3の第1アンモニア分解触媒層30、並びに、第2触媒塔5の第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51及び第4アンモニア分解触媒層52は、それぞれ同一の形状および組成であるとし、総称して触媒層とする。この触媒層の詳細については後述する。
【0020】
このように、本発明に係るアンモニア処理システム1は、アンモニア処理システム1の2個所に供給されたアンモニアを、第1触媒塔3と第2触媒塔5との2段階で分解する。
一般的に、アンモニア処理システムでは、触媒塔に供給するガスのアンモニア濃度を高めて、アンモニアの分解効率を高めることが望まれているが、アンモニアの分解反応は発熱反応であるので、ガスのアンモニア濃度が高いほど、分解反応で生じる発熱量が多くなって触媒塔の温度が上昇しやすく、この結果、環境汚染の原因となるNOxやNO等の副生成物の生成率が増大するという問題が生じた。このため、従来の、触媒塔を1つしか備えないアンモニア処理システムでは、副生成物の発生を抑制しつつ、高濃度のアンモニアを分解することは困難であった。
これに対して、本発明にかかるアンモニア処理システム1は、第1触媒塔3において、ガスに含まれるアンモニアの一部のみを分解するので、ガスに含まれるアンモニア全部を分解する場合に比べて、アンモニアの分解反応による発熱量を低減でき、第1触媒塔3の最大温度の上昇を抑制できる。
そして、第1触媒塔3から排出されたガスはアンモニア濃度が低減しているので、第2触媒塔5のアンモニア分解能力に応じて、即ち、第2触媒塔5におけるアンモニアの分解効率を高くしながら、第2触媒塔3の温度が上昇しすぎないアンモニア濃度で、ガス混合器9を用いてアンモニアガスを加えることで、アンモニア濃度を再度上昇させることができる。
アンモニア濃度が上昇したガスを、冷却器4によって冷却してから第2触媒塔5に供給するが、第2触媒塔5に供給されたガスは、第1触媒塔3でアンモニアの一部が分解された後に、ガス混合器9によって適切なアンモニア濃度の調整されているため、アンモニア濃度は、第2触媒塔5のアンモニア分解能力を超えないように調整されている。第2触媒塔5の最大温度は、第2触媒塔5に供給されるガスの温度と、そのガスのアンモニア濃度とに起因して定まることから、第2触媒塔5では、第1触媒塔3においてガスのアンモニア濃度が低減した分及び冷却器4でガスが冷却された分、第2触媒塔5の温度の上昇を抑制できる。
この結果、本発明に係るアンモニア処理システム1では、触媒塔の温度上昇を抑制しながら、第1触媒塔3および第2触媒塔5のいずれにおいても高いアンモニア濃度でアンモニアの分解を行うことが可能となるので、副生成物の発生を抑制しつつ、第1触媒塔3に供給されるガスのアンモニア濃度と第2触媒塔5に供給されるガスのアンモニア濃度との合計(以下、総アンモニア濃度とも記載する)が1.7%を超えるような高濃度のアンモニアを分解できる。
【0021】
===触媒層について===
<<<触媒層の構成について>>>
図4図5、及び、図6を参照しつつ、本実施形態にかかるアンモニア処理システム1の備える触媒層の構成について、第1アンモニア分解触媒層30を例に挙げて説明する。なお、前述の通り、本実施形態では、第1アンモニア分解触媒層30、並びに、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52は、それぞれ同一の形状および組成であるため、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52の形状および組成についての説明は省略する。
図4は、第1アンモニア分解触媒層30の基材31の表面における多孔質物質32及び触媒成分33の構造を説明するための模式図である。図5は、第1アンモニア分解触媒層30における基材31の表面の一部を示す斜視図である。図6は、第1アンモニア分解触媒層30における基材31の全体構造を示す斜視図である。
【0022】
図4に示すように、第1アンモニア分解触媒層30は、基材31と、多孔質物質32と、触媒成分33とを備えている。
多孔質物質32は、触媒成分33を担持する。多孔質物質32は、触媒成分33を担持できれば特に限定されないが、本実施形態では、酸化アルミナ(Al)を用いている。触媒成分33は、ガスに含まれるアンモニアを分解することができれば特に限定されないが、Pt−CuO又はPt−CuO−Clを含有することが好ましく、本実施形態ではPt−CuO−Clを用いている。触媒成分33がPt−CuOの場合、例えば白金コロイド溶液に多孔質物質32を含浸させることで、多孔質物質32に触媒成分33を担持させることができる。また、触媒成分33がPt−CuO−Clの場合、例えば塩化白金酸(HPtCl)水溶液に多孔質物質32を含浸させることで、多孔質物質32に触媒成分33を担持させることができる。
このPt−CuO系又はPt−CuO−Cl系触媒は、例えばFe−Mg系等の他の触媒に比べて、触媒活性が高く、高濃度のアンモニアに対しても高い分解率を有する。しかし、アンモニアの分解反応が速やかに生じる分、アンモニアを含有する又は含有していたガスの温度が上昇しやすい。しかし、本発明にかかるアンモニア処理システム1では、ガスに含まれるアンモニアの一部を第1触媒塔3において分解した後、第2触媒塔5のアンモニア分解能力に応じて、ガス混合器9を用いて、第1触媒塔3から排出されたガスにアンモニアガスを加えることによってアンモニア濃度を上昇させた後、ガスを冷却器4で冷却してから第2触媒塔5に供給して残りのアンモニアの一部又は全部を分解することで、第1触媒塔3及び第2触媒塔5の温度上昇を抑制できる。このため、副生成物の発生を抑制しつつ、触媒成分33を備える触媒層によって、総アンモニア濃度が高いガスを効率的に分解できる。
【0023】
基材31は、表面に、触媒成分33を担持した多孔質物質32がコーティングされている。基材31自体は、触媒成分33を、直接または多孔質物質32を介して担持することができれば特に限定されないが、本実施形態では、ステンレス鋼(SUS)によって形成されている。ここで、図5及び図6を参照しつつ、基材31の構造について具体的に説明する。基材31は、シート状のベース部34と、このベース部34の一方の表面から立ち上がった複数の突出片35とを備えている。
ベース部34は、短尺辺と長尺辺とを有する矩形帯状に形成されている。各突出片35は、ベース部34の表面から直交する角度で立ち上がっている。また、ベース部34における各突出片35の基端部分には突出片35と同じ形状の貫通孔36が形成されている。
基材31は、突出片35や貫通孔36が形成されたベース部34を、一方の短尺辺を中心として巻回された円柱形状を呈している。本実施形態では、ベース部34は、突出片35を備える表面が内側となるように巻回されている。これにより、各突出片35は、円柱形状の中心軸から放射状に向いて設けられ、半径方向に重なり合うベース部34の隙間(層間)に介在する。これによって、ベース部34の隙間は突出片35の高さ以上の間隔に維持され、通気性が確保される。
なお、本実施形態では、基材31は、上述のように、ベース部34の一方の短尺辺を中心として巻回された円柱形状を呈していることとしたが、例えば、複数のベース部34を重ね合わせた積層構造であることとしてもよい。また、基材31は、例えば、金属やセラミックス等から形成され、側面を共有する複数の中空の六角柱を蜂の巣状とした、いわゆるハニカム構造であってもよい。
【0024】
第1アンモニア分解触媒層30では、第1触媒塔3に供給されたガスを、基材31の一方の端面側から他方の端面側に向かって流すことで、ガスに含まれるアンモニアが分解される。具体的には、基材31の層間には、触媒成分33を担持する多孔質物質32がコーティングされた突出片35が介在しているので、ガスが、ベース部34または突出片35と衝突する際に、アンモニアを酸化して窒素と水とに分解する。
この際、突出片35は、ガスの入口側である基材31の一方の端面側から、ガスの出口側である他方の端面側にわたって異なる位置に多数配置されている。これによって、ガスを流すための流路を基材31の内部全体に形成でき、基材31の内部における目詰まりを防止できる。また、突出片35によって、ガスに対する適度な流路抵抗を与えること、ガスの流れ方向に変化を与えることができる。さらに、貫通孔36によって、基材31の内部において層間を跨いで三次元的にガスを流すことができる。従って、第1触媒層30では、基材31の内部全体でアンモニアの分解反応を生じさせることができ、ガスに含まれるアンモニアを効率よく分解できる。
【0025】
本実施形態にかかる第1触媒塔3では、第1アンモニア分解触媒層30が、基材31の一方の端面側から他方の端面側に向かってガスが流れるように配置されている。また、第2触媒塔5では、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52が順に、それぞれの基材の一方の端面側から他方の端面側に向かってガスが流れるように直列に配置されている。
【0026】
<<<触媒層のアンモニア分解特性について>>>
ここで、図7図8を参照しつつ、本実施形態にかかる触媒層のアンモニア分解特性について説明する。なお、図7は、触媒塔Aの最大温度とNOxの発生率との関係を示すグラフである。図8(a)は、触媒塔Aに供給されるガスの温度(以下、入口温度とも記載する)と、各触媒層から排出されるガスの温度(以下、出口温度とも記載する)及びアンモニアの分解率との関係を示すグラフであり、(b)は、触媒塔Aの模式図である。
【0027】
先ず、比較例として、触媒塔Aのアンモニア分解特性について、第1及び第2試験を行った。触媒塔Aは、第1アンモニア分解触媒層30、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52を、それぞれの基材の一方の端面側から他方の端面側に向かってガスが流れるように直列に備えている。
【0028】
第1試験では、触媒塔Aにおいて、アンモニア濃度が1.0%であるガスに含まれるアンモニアを分解した場合に、アンモニアの分解反応に伴って上昇する触媒塔Aの最大温度と、副生成物として発生するNOxの発生率との関係を計測した。
この第1試験では、触媒塔Aに供給されるガスの温度を変化させることで、触媒塔Aの最大温度を約340度〜約385度に変化させた。そして、触媒塔Aから排出されたガスに含まれるNOxの濃度をガス検知管法によって分析し、各最大温度におけるNOxの発生率を算出した。
図7に示す第1試験の結果より、触媒塔Aの最大温度が上昇するほど、NOxの発生率も上昇することが示された。また、NOxの発生率は、触媒塔Aの最大温度が380度以下では3〜5%であるが、380度を超えると8%と急激に上昇することが示された。即ち、副生成物の発生を抑制するという観点から、触媒塔Aの最大温度は380度以下とすることが好ましく、370度以下とすることがより好ましく、360度以下とすることが特に好ましいことが分かった。
【0029】
第2試験では、触媒塔Aにおいて、アンモニア濃度が2.0%であるガスに含まれるアンモニアを分解した場合に、触媒塔Aにおける入口温度と、第1アンモニア分解触媒層30、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52のそれぞれの出口におけるガスの温度及びアンモニアの分解率との関係を計測した。
この第2試験では、触媒塔Aにおける入口温度を250度、275度、及び、300度にそれぞれ変化させた。そして、この入口温度ごとに、各触媒層における出口温度を測定した。また、入口温度を250度とした測定では、第1アンモニア分解触媒層30及び第2アンモニア分解触媒層50からそれぞれ排出されたガスのアンモニアの濃度をガス検知管法によって分析してアンモニアの分解率を算出した。同様に、入口温度を275度、300度とした測定では、それぞれ第1アンモニア分解触媒層30から排出されたガスにおけるアンモニアの分解率を算出した。
【0030】
図8(a)に示す第2試験の結果より、触媒塔Aの入口温度が高いほど、各触媒層の出口温度も高くなる傾向にあることが示された。また、触媒塔Aの入口温度が高いほど、触媒塔Aの入口に近い触媒層(第1アンモニア分解触媒層30)において、速やかにアンモニアが分解されることが示された。
触媒塔Aの入口温度を275度及び300度とした場合、触媒塔Aに供給されたガスが第1アンモニア分解触媒層30を通過した段階で、ガスに含まれるアンモニアの90%以上が分解され、ガスの温度も500度近くまで上昇した。
入口温度を250度とした場合、触媒塔Aに供給されたガスが第1アンモニア分解触媒層30を通過した段階では、ガスに含まれるアンモニアの分解率は50%であり、第1アンモニア分解触媒層30の出口温度も約350度である。しかし、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51、及び、第4アンモニア分解触媒層52においてガスに含まれる残りのアンモニアが分解されることで、触媒塔Aの最大温度は380度を超えた。
【0031】
即ち、第1及び第2試験の結果から、比較例である触媒塔Aにおいて、アンモニア濃度が2%以上である高濃度のアンモニアを分解する場合、アンモニアの分解反応に伴う副生成物の発生率が非常に高くなることが示された。
【0032】
===アンモニア処理システムによる処理について===
第1及び第2試験の結果より、本実施形態にかかるアンモニア処理システム1では、第1アンモニア分解触媒層30のみを備える第1触媒塔3に、加熱装置2によって例えば約240度以上260度以下に加熱したガスを供給することが好ましい。これによって、第1触媒塔3の最大温度を380度以下に維持しつつ、第1触媒塔3に供給されたガスに含まれるアンモニアの一部をまず分解することができる。
そして、第1触媒塔3から排出されたガスに、ガス混合器9を用いてアンモニアガスを加えることによってアンモニア濃度を上昇させた後、冷却器4によって例えば約240度以上260度以下に冷却してから、第2触媒塔5に供給することが好ましい。これによって、第2触媒塔5における入口温度を下げることができ、さらに、ガス混合器9によってアンモニア濃度が調整されているため、第2触媒塔5のアンモニア分解能力を超えない範囲で高濃度のアンモニア濃度を含有するガスを第2触媒塔5に供給できる。これらの結果、第2触媒塔5においても、最大温度を380度以下に維持したまま、高濃度のアンモニアを分解できる。
よって、アンモニア処理システム1では、第1触媒塔3及び第2触媒塔5の入口温度を約240度以上260度以下とし、さらに、第1触媒塔3から排出され、第2触媒塔5の供給される前のガスにアンモニアガスを加えることで、第1触媒塔3及び第2触媒塔5の最大温度を380度以下としながら、第1触媒塔3及び第2触媒塔5のいずれにおいても高濃度のアンモニアを分解することができ、この結果、ガスの総アンモニア濃度が1.7%を超えるような高濃度のアンモニアを分解できる。
【0033】
次に、本発明に係る、図1に示したアンモニア処理システム1を用いて、総アンモニア濃度が1.7%以上であるガスに含まれるアンモニアを分解する第3試験を行った。
SV値を25000(1/h)としたRun1、27000(1/h)としたRun2、及び、29000(1/h)としたRun3を行った。各Runにおいて、第1触媒塔3及び第2触媒塔5の入口温度が260度になるように、加熱装置2または冷却器4を用いて、アンモニアを含有するガスを加熱または冷却した。また、出口温度は、380度、370度または360度になるように、流量調整装置6A及び6Bを用いて、第1触媒塔3の入口及び第2触媒塔5の入口におけるガスのアンモニア濃度を調整した。
それぞれのRunについて、第1触媒塔3の入口、第1アンモニア分解触媒層30の出口、第2触媒塔5の入口、第2アンモニア分解触媒層50の出口、第3アンモニア分解触媒層51の出口及び第4アンモニア分解触媒層52の出口における、ガスに含まれるアンモニアの濃度を測定した。第1アンモニア分解触媒層30の出口及び第4アンモニア分解触媒層52の出口においては、ガスに含まれるNOxの濃度も測定した。
Run1の結果を表1に、Run2の結果を表2に、そしてRun3の結果を表3に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
また、表1〜表3の結果から、アンモニア処理システム1に供給した総アンモニア濃度、アンモニア処理システム1からのNOx発生率、及び、アンモニア処理システム1が処理したアンモニア処理量を算出した。総アンモニア濃度は、第1触媒塔3入口及び第2触媒塔5入口におけるガスのアンモニア濃度の合計値から、第1アンモニア分解触媒層30の出口におけるアンモニア濃度を引くことによって算出した。NOx発生率は、第4アンモニア分解触媒層52の出口におけるガスのNOx濃度を、総アンモニア濃度で割ることによって算出した。また、アンモニア処理量は、SV値と総アンモニア濃度とをかけた値を、100で割ることによって算出した。
Run1の算出結果を表4に、Run2の算出結果を表5に、そしてRun3の算出結果を表6に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
表1〜表3において、第4アンモニア分解触媒層52の出口におけるアンモニア濃度が0ppmであったことから分かるように、アンモニア処理システム1は、ガスの総アンモニア濃度が1.7%以上という高い濃度であっても、全てのアンモニアを分解することができる。
加えて、表4〜6が示すように、アンモニア処理システム1は、高濃度のアンモニアを分解処理しながらも、第1触媒塔3及び第2触媒塔5の最高温度を380度以下に抑えることができるので、副生成物であるNOxの発生を低減することができる。具体的には、表4〜6において、最大温度が360度であった場合に着目すると、平均して、総アンモニア濃度が1.8%であったのに対してNOx発生率が5.4%であり、最大温度が370度であった場合に着目すると、平均して、総アンモニア濃度が2.0%であったのに対してNOx発生率が6.8%であり、そして、最大温度が380度であった場合に着目すると、平均して、総アンモニア濃度が2.2%であったのに対してNOx発生率が7.3%であった。これを、比較例である第1試験の結果、即ち、ガスに含まれるアンモニア濃度は1.0%と低かったにも関わらず、NOx発生率は、触媒塔Aの最大温度が355度の時で4%、そして、最大温度が385度の時で8%であったとの結果と比較すると、アンモニア処理システム1では、分解処理する総アンモニア濃度が1.8倍〜2.2倍と飛躍的に向上しているにも関わらず、NOx発生率は0.9倍〜1.3倍に抑えられていることが分かる。
【0042】
以上のように、アンモニア処理システム1は、第1触媒塔3及び第2触媒塔5の最大温度を抑制しながら、第1触媒塔3および第2触媒塔5のいずれにおいても高いアンモニア濃度でアンモニアの分解を行うことができるので、副生成物の発生を抑制しつつ、総アンモニア濃度が1.7%を超えるような高濃度のアンモニアを分解処理することが可能である。
【0043】
===アンモニア処理方法について===
本実施形態にかかるアンモニアの処理方法について、説明する。このアンモニア処理方法では、まず、第1のガスに含まれるアンモニアの一部のみを分解する第1分解工程を行う。次に、第1分解工程においてアンモニアの一部が分解されたガスと、第1のガス又はアンモニアを含有する第2のガスとを混合することによって、第1分解工程においてアンモニアの一部が分解されたガスのアンモニア濃度を上昇させるアンモニア混合工程を行う。アンモニア混合工程後のガスを冷却する冷却工程を行った後に、冷却工程において冷却されたガスに含まれる残りのアンモニアの一部又は全部を分解する第2分解工程を行う。
また、アンモニア処理方法は、まず、第1のガスに含まれるアンモニアの一部のみを分解する第1分解工程を行い、第1分解工程においてアンモニアの一部が分解されたガスを冷却する冷却工程を行った後に、冷却工程において冷却されたガスと、第1のガス又はアンモニアを含有する第2のガスとを混合することによって、冷却工程において冷却されたガスのアンモニア濃度を上昇させるアンモニア混合工程を行い、そして、ガス混合工程においてアンモニア濃度が上昇したガスに含まれるアンモニアの一部又は全部を分解する第2分解工程を行っても良い。
【0044】
これらのアンモニアの処理方法では、第1分解工程において、ガスに含まれるアンモニアの一部のみを分解するので、ガスに含まれるアンモニア全部を分解する場合に比べて、アンモニアの分解反応による発熱量を低減でき、第1分解工程における温度の上昇を抑制できる。そして、第1分解工程後のガスはアンモニア濃度が低減しているので、アンモニア混合工程において、第2分解工程で行えるアンモニア分解能力に応じてアンモニアガスを加えることで、アンモニア濃度を再度上昇させることができる。また、第1分解工程におけるアンモニアの分解反応によって温度が上昇したガスを冷却工程において冷却してから、第2分解工程を行うことができる。
よって、アンモニアの処理方法は、第1分解工程及び第2分解工程で温度が上昇することを抑制しながら、第1分解工程及び第2分解工程のいずれにおいても高いアンモニア濃度でアンモニアの分解を行うことが可能となるので、副生成物の発生を抑制しつつ、総アンモニア濃度が高いガスを分解処理できる。
【0045】
===その他の実施形態について===
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
前述したアンモニア処理システム1では、第1触媒塔3及び第2触媒塔5においてガスに含まれるアンモニアを分解する。しかし、本発明に係るアンモニア処理システムは、特にこれに限定されるものではなく、ガスに含まれるアンモニアを3以上の触媒塔において分解してもよい。この場合、全ての触媒塔と触媒塔との間に冷却器を備えることが好ましい。
【0046】
また、本発明のアンモニア処理システムは、第1触媒塔3が第1流路反転装置160を備えることによって、第1触媒塔3に供給されるガスの流路が適宜変更されても良く、及び/又は、第2触媒塔5が第2流路反転装置170を備えることによって、第2触媒塔5に供給されるガスの流路が適宜変更されても良い。図9は、第1流路反転装置160及び第2流路反転装置170を備えるアンモニア処理システム10の構成例を示す模式図である。
【0047】
第1流路反転装置160は、切替弁161,162,163及び164を備える。切替弁161,162,163及び164を調整することによって、加熱装置2から供給されたガスを、切替弁161、切替弁162、第1触媒塔3、切替弁163、そして、切替弁164の順に通るように調整したり、切替弁161、切替弁163、第1触媒塔3、切替弁162、そして、切替弁164の順に通るように調整したりできる。即ち、第1触媒塔3に供給されるガスの流れを、切替弁162から切替弁163の方向(本明細書においては、この方向を上流から下流とする)にしたり、逆に、切替弁163から切替弁162の方向(下流から上流)にしたりできる。
第1アンモニア分解触媒層30に対して、上流から下流の一方方向のみにアンモニアを含有するガスを流し続けると、第1アンモニア分解触媒層30の上流側が下流側よりも著しく速く劣化してしまうが、アンモニア処理システム10が第1流路反転装置160を備えることによって、第1アンモニア分解触媒層30に対して、上流から下流への一方方向のみならず、下流から上流への逆方向にもアンモニアを含有するガスを流し、第1アンモニア分解触媒層30に、上流から下流と下流から上流との両方向からアンモニアを含有するガスを接触させることができ、結果として、第1アンモニア分解触媒層30全体を有効に使うことが可能である。
これにより、アンモニア処理システム10は、第1アンモニア分解触媒層30の分解効率が向上し、アンモニア処理システム10においてより効率良くアンモニアを分解することが可能となる。さらに、第1アンモニア分解触媒層30の長寿命化が可能となることから、触媒コストを低減することができる。
【0048】
また、第2流路反転装置170は、切替弁171,172,173及び174を備える。切替弁171,172,173及び174を調整することによって、冷却器4から供給されたガスを、切替弁171、切替弁172、第2触媒塔5、切替弁173、そして、切替弁174の順に通るように調整したり、切替弁171、切替弁173、第2触媒塔5、切替弁172、そして、切替弁174の順に通るように調整したりできる。即ち、第2触媒塔5に供給されるガスの流れを、切替弁172から切替弁173の方向(本明細書においては、この方向を上流から下流とする)にしたり、逆に、切替弁173から切替弁172の方向(下流から上流)にしたりできる。
第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51及び第4アンモニア分解触媒層52に対して、上流から下流の一方方向のみにアンモニアを含有するガスを流し続けると、上流側にある第2アンモニア分解触媒層50が、下流側にある第4アンモニア分解触媒層52よりも著しく速く劣化してしまうが、アンモニア処理システム10が第2流路反転装置170を備えることによって、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51及び第4アンモニア分解触媒層52に対して、上流から下流への一方方向のみならず、下流から上流への逆方向にもアンモニアを含有するガスを流し、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51及び第4アンモニア分解触媒層52に、上流から下流と下流から上流との両方向からアンモニアを含有するガスを接触させることができ、結果として、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51及び第4アンモニア分解触媒層52全てを均一に使うこと、即ち、有効に使うことが可能である。
これにより、本発明に係るアンモニア処理システム10は、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51及び第4アンモニア分解触媒層52の分解効率が向上し、アンモニア処理システム10においてより効率良くアンモニアを分解することが可能となる。さらに、第2アンモニア分解触媒層50、第3アンモニア分解触媒層51及び第4アンモニア分解触媒層52の長寿命化が可能となることから、触媒コストを低減することができる。
【0049】
なお、本発明のアンモニア処理システムでは、少なくとも、2つの触媒塔を備え、この触媒塔同士の間に冷却器を備え、いずれかの触媒塔と冷却器との間にガス混合器を備えていればよい。
この触媒塔、冷却器及びガス混合器の数は、ガスに含まれるアンモニア濃度や、アンモニア処理システムを持ち運ぶ際の可搬性等に応じて定めることができる。例えば、前述したアンモニア処理システム1のように、トラック100等に車載する場合には、持ち運びやすいように触媒塔及び冷却器の数が少ない方が好ましい。一方、より高濃度のアンモニアを分解する場合等には、3以上の触媒塔によってより確実に副生成物の発生を抑制しつつ、アンモニアを分解することが好ましい。
【符号の説明】
【0050】
1、10…アンモニア処理システム,2…加熱装置,3…第1触媒塔,4…冷却器,5…第2触媒塔,6A、6B…流量調整装置,7…アンモニアタンク,8、41…ブロワ,20、40…熱交換器,21…ヒータ,30…第1アンモニア分解触媒層,31…基材,32…多孔質物質,33…触媒成分,34…ベース部,35…突出片,36…貫通孔,50…第2アンモニア分解触媒層,51…第3アンモニア分解触媒層,52…第4アンモニア分解触媒層,100…トラック,160…第1流路反転装置,161、162、163、164、171、172、173、174…切替弁,170…第2流路反転装置
図1
図2
図3
図4
図7
図8
図9
図5
図6