(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力画像データに基づいて、露光装置により感光体に静電潜像を形成させ、現像装置により前記感光体にトナーを付着させることにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成し、前記感光体に形成された前記トナー像を像担持体に転写させる画像形成部と、
前記像担持体上に形成されたトナーパターンを構成するパッチの濃度を検出する濃度検出部と、
前記濃度検出部による検出結果に基づいて階調補正データを生成し、この階調補正データを用いて階調補正を行う階調補正部と、を備える画像形成装置であって、
前記トナーパターンは、前記像担持体の走行方向に沿って濃度が段階的に変化する複数の階調パッチと、前記複数の階調パッチの少なくとも一つを挟んで配置される同一濃度の複数の基準パッチと、を含んで構成され、
前記階調補正部は、前記濃度検出部による前記複数の基準パッチ同士の検出濃度を比較することにより、副走査方向の下流から上流に向かって濃度が低下するゴーストが当該トナーパターンに全体的に生じているか否かを判定し、ゴーストが生じていると判定した場合に、前記複数の基準パッチの検出濃度に基づいて前記階調パッチのパッチ位置と補正量の関係を算出し、前記関係から得られる補正量によって前記階調パッチの検出濃度を補正し、補正後の検出濃度に基づいて前記階調補正データを生成することを特徴とする画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0014】
図1、2に示すように、画像形成装置1は、制御部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、及び定着部60を備える。
【0015】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13等を備える。CPU11は、ROM12から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM13に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0016】
制御部10は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。制御部10は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0017】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部10から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部10に出力する。
【0018】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザ設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部30は、制御部10の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。すなわち、本発明に係る階調補正部は、制御部10と画像処理部30により構成される。
また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施されたデジタル画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0019】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42、及び濃度検出センサー43等を備えている。
【0020】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号を付し、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号を省略している。
【0021】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0022】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0023】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413にレーザー光を照射すると、感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送される。そして、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
【0024】
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーとキャリアーとからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412の詳細な構成については後述する。
【0025】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0026】
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、二次転写ローラー423、駆動ローラー424、従動ローラー425、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0027】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、駆動ローラー424及び従動ローラー425に張架される。中間転写ベルト421は、駆動ローラー424の回転により矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が順次重ねて一次転写される。そして、中間転写ベルト421が二次転写ローラー423によって用紙Sに圧接されると、中間転写ベルト421に一次転写されたトナー像が用紙Sに二次転写される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0028】
濃度検出センサー43は、トナー像が用紙Sに二次転写される二次転写位置よりも中間転写ベルト421の走行方向(副走査方向)上流側に、中間転写ベルト421に対向して配置される。濃度検出センサー43は、例えば中間転写ベルト421の幅方向(中間転写ベルト421の走行方向と直交する方向、主走査方向)の両側部のそれぞれに対向して2つ配置される(
図3参照)。濃度検出センサー43は、階調補正データを生成する際に用いられ、中間転写ベルト421の非画像形成領域(中間転写ベルト421の幅方向両側部)に形成された階調補正用のトナーパターンの濃度を検出する。
【0029】
濃度検出センサー43には、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などの発光素子と、フォトダイオード(PD:Photodiode)などの受光素子を備え、トナーパターンの反射濃度を検出する反射型の光センサーを適用することができる。トナーパターンの反射濃度は、測定対象物への入射光量をI
0、測定対象物からの反射光量をIとしたとき、−log(I/I
0)で表される。
中間転写ベルト421上に形成されたトナー像の濃度が高い(例えば黒ベタ画像)ほど反射光量Iは小さく、反射濃度、すなわち濃度検出センサー43から出力されるセンサー出力値は大きくなる。逆に、中間転写ベルト421上に形成されたトナー像の濃度が低い(例えばトナー像が形成されないベース面)ほど反射光量Iは大きく、反射濃度、すなわち濃度検出センサー43から出力されるセンサー出力値は小さくなる。
【0030】
なお、濃度検出センサー43の数、配置は上述した態様に限定されず、中間転写ベルト421に形成されたトナーパターンの濃度を検出できるようになっていればよい。
また、中間転写ベルト421が透光性の材料で構成されている場合には、濃度検出センサー43として、発光素子と受光素子が中間転写ベルト421を挟んで対向配置される透過型の光センサーを適用することができる。
【0031】
定着部60は、用紙Sを狭持して搬送するためのニップ部(定着ニップ)を形成する加圧部(例えば定着面(画像形成面)側の定着ローラーと裏面側の加圧ローラー)と、トナー像が転写された用紙Sに接触して定着温度で加熱する加熱部(例えば定着ローラー)等を備える。定着部60には、公知の技術を適用することができる。定着部60は、搬送されてきた用紙Sをニップ部で加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。
【0032】
搬送部50は、給紙部51、搬送機構52、及び排紙部53等を備える。給紙部51を構成する2つの給紙トレイユニット51a、51bには、用紙の坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)Sが予め設定された種類ごとに収容される。
【0033】
給紙トレイユニット51a、51bに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー52a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構52により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー52aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面(画像形成面)に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー53aを備えた排紙部53により機外に排紙される。
【0034】
このように、画像形成装置1は、入力画像データに基づいて、露光装置411により感光体ドラム413(感光体)に静電潜像を形成させ、現像装置412により感光体ドラム413にトナーを付着させることにより静電潜像を現像してトナー像を形成し、感光体ドラム413に形成されたトナー像を中間転写ベルト421(像担持体)に転写させる画像形成部40を備えている。
また、中間転写ベルト421上に形成されたトナーパターンを構成するパッチの濃度を検出する濃度検出センサー43(濃度検出部)と、濃度検出センサー43による検出結果に基づいて階調補正データを生成し、この階調補正データを用いて階調補正を行う階調補正部(画像処理部30、制御部10)を備えている。
【0035】
図3は、濃度検出センサー43と階調補正用のトナーパターンTPの位置関係を示す図である。
図3において、画像形成領域は画像形成ユニット41によりトナー像が形成され得る領域であり、非画像形成領域は画像形成ユニット41によりトナー像が形成されない領域である。
図3に示すように、CMYK各色のトナーパターンTPは、中間転写ベルト421の非画像形成領域、すなわち中間転写ベルト421の幅方向両側部に形成される。トナーパターンTPを構成するパッチの幅は、各パッチの濃度が濃度検出センサー43で精度良く検出されるように、濃度検出センサー43の検出幅以上に設定される。
【0036】
図4は、実施の形態で用いるトナーパターンTPのパッチ構成を示す図である。
図4に示すように、トナーパターンTPは、中間転写ベルト421の走行方向に沿って、12個のパッチP0〜P11が連続して配列された構成を有する。パッチP0〜P11は、先頭のパッチP0から順に中間転写ベルト421上に形成され、順次、濃度検出センサー43により濃度(実際に形成されたトナー像の濃度、出力階調値)を検出される。
【0037】
パッチP0〜P4、P6〜P10は、階調補正データを生成するための階調パッチであり、濃度(各パッチを形成するための入力画像の濃度、入力階調値)が段階的に変化する。パッチP0〜P4、P6〜P10の入力階調値は、例えば、濃淡変化を256階調で表現したとき、255から0に段階的に変化する。
【0038】
トナーパターンTPの先端に配置されるパッチP0、トナーパターンTPの中間に配置されるP5、トナーパターンTPの後端に配置されるP11は、ゴーストの発生を検出するための基準パッチであり、同一の濃度(入力階調値)で形成される。また、トナーパターンTPにゴーストが発生している場合に、基準パッチP0、P5、P11の検出濃度(出力階調値、センサー出力値)に基づいて、各階調パッチP0〜P4、P6〜P10の検出濃度が補正される。
【0039】
本実施の形態では、基準パッチP0、P5、P11として、最高濃度(入力階調値が255)の黒ベタ画像を用い、パッチP0に基準パッチと階調パッチを兼用させている。これにより、トナーパターンTPを形成するために消費されるトナー量を抑制することができる。
【0040】
また、トナーパターンTPの先端及び後端に基準パッチP0、P11が配置されている。これにより、トナーパターンTPに全体としてゴーストが発生しているか否かを容易に判定することができる。
さらには、トナーパターンTPの中間に基準パッチP5が配置されている。これにより、トナーパターンTPに発生したゴーストの影響を精度よく推測することができる。
【0041】
図5は、トナーパターンTPにゴーストが発生していた場合の各パッチP0〜P11のセンサー出力値の一例を示す図である。
図6は、トナーパターンTPにゴーストが発生していない場合の各パッチP0〜P11のセンサー出力値の一例を示す図である。
【0042】
図6に示すように、トナーパターンTPにゴーストが発生していない場合は、入力階調値が同じである基準パッチP0、P5、P11のセンサー出力値V
P0、V
P5、V
P11はほぼ同様になる。また、入力階調値が段階的に低くなる階調パッチP0〜P4、P6〜P10のセンサー出力値V
P0〜V
P4、V
P6〜V
P10は、段階的に大きくなる。この場合、各階調パッチP0〜P4、P6〜P10の入力階調値と、センサー出力値V
P0〜V
P4、V
P6〜V
P10から算出された出力階調値を対応付けることで、所望の階調特性曲線が生成される。
【0043】
これに対して、
図5に示すように、トナーパターンTPにゴーストが発生している場合は、中間転写ベルト421に後から形成されたパッチほど濃度が薄くなるため、基準パッチP0、P5、P11の入力階調値が同じであるにも関わらず、基準パッチP0、P5、P11の順にセンサー出力値V
P0、V
P5、V
P11は大きくなる。
【0044】
また、
図5において、階調パッチP0〜P4、P6〜P10のセンサー出力値V
P0〜V
P4、V
P6〜V
P10が段階的に大きくなる点は、ゴーストが発生していない場合と同様であるが、それぞれのセンサー出力値V
P0〜V
P4、V
P6〜V
P10にはゴーストの影響が含まれることとなる。
【0045】
そこで、本実施の形態では、基準パッチP0、P5、P11のセンサー出力値V
P0、V
P5、V
P11を比較することにより、トナーパターンTPにゴーストが発生しているか否かを判定する。そして、ゴーストが発生している場合には、ゴーストの影響(ゴーストによるセンサー出力値の増分)を考慮して、階調パッチP0〜P4、P6〜P10のセンサー出力値V
P0〜V
P4、V
P6〜V
P10を補正し、適切な階調補正データを生成する(階調補正データ生成処理)。具体的には、
図7に示すフローチャートに従って、階調補正データ生成処理が行われる。
【0046】
図7は、階調補正データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示す階調補正データ生成処理は、例えば画像形成装置1の電源が投入されることに伴い、CPU11がROM12に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
また、この階調補正データ生成処理は、前回の階調補正データ生成後、所定時間経過したとき、所定枚数の画像形成が完了したとき、又は現像装置412のトナーが交換されたとき等、定期的に行われるのが望ましい。また、階調補正データ生成処理時は、二次転写ローラー423と駆動ローラー424を離間させておく。
【0047】
図7のステップS101において、制御部10は、階調補正用の画像データに基づいて、各色のトナーパターンTPを画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kにより中間転写ベルト421上に形成させる(
図3、4参照)。階調補正用の画像データは、例えばROM12に記憶されている。
【0048】
ステップS102において、制御部10は、濃度検出センサー43によるベース面(トナー像が形成されていない領域)の検出結果(センサー出力値V
base、階調値0(白ベタ画像)に対応)を取得する。取得されたセンサー出力値V
baseは、一時的にRAM13に記憶される。
【0049】
ステップS103において、制御部10は、濃度検出センサー43による各パッチP0〜P11の検出結果(センサー出力値V
P0〜V
P11)を取得する。取得されたセンサー出力値V
P0〜V
P11は、一時的にRAM13に記憶される。ステップS102、S103により、
図5又は
図6に示す関係が得られる。中間転写ベルト421上に形成されたトナーパターンTPは、濃度検出センサー43の検出領域を通過した後、ベルトクリーニング装置426で除去される。
【0050】
ステップS104において、制御部10は、基準パッチP0、P5、P11のセンサー出力値V
P0、V
P5、V
P11を比較して、トナーパターンTPにゴーストが発生しているか否かを判定する。制御部10は、例えば、基準パッチP0、P11のセンサー出力値V
P0、V
P11の差(
図5におけるΔV)が所定値を超えていた場合にトナーパターンTPにゴーストが発生していると判定する。
そして、制御部10は、トナーパターンTPにゴーストが発生していると判定した場合にはステップS105の処理に移行し、ゴーストが発生していないと判定した場合にはステップS107の処理に移行する。
【0051】
ステップS105において、制御部10は、階調パッチP0〜P4、P6〜P10について補正量を算出する。トナーパターンTPにゴーストが発生している場合、基準パッチP5、P11のセンサー出力値V
P5、V
P11も、当然にゴーストの影響分だけ大きくなる。基準パッチP0のセンサー出力値V
P0と基準パッチP5のセンサー出力値V
P5の差分が基準パッチP5におけるゴーストの影響に相当し、基準パッチP0のセンサー出力値V
P0と基準パッチP11のセンサー出力値V
P11の差分が基準パッチP11におけるゴーストの影響に相当する。
【0052】
したがって、基準パッチP0、P5、P11のセンサー出力値V
P0、V
P5、V
P11を用いて近似演算を行うことにより、パッチ位置とゴーストの影響(ゴーストによるセンサー出力値の増分)の関係を求めることができる(
図8参照)。そして、この関係より、階調パッチP0〜P4、P6〜P10におけるゴーストの影響、すなわち補正量V
ref(P0)〜V
ref(P4)V
ref(P6)〜V
ref(P10)を算出することができる。
【0053】
なお、
図8では、基準パッチP0、P5、P11のセンサー出力値V
P0、V
P5、V
P11に基づいて一次近似を行った場合について示しているが、画像形成装置1のプロセス特性に最適な近似方法を採用するのが望ましい。例えば、高次式近似、対数近似、累乗近似、又はその他の近似演算によって、パッチ位置とゴーストの影響(補正量)の関係を算出するようにしてもよい。
【0054】
図7のステップS106において、制御部10は、ステップS105で算出された補正量V
ref(Pn)を用いて、階調パッチP0〜P4、P6〜P10のセンサー出力値V
P0〜V
P4、V
P6〜V
P10を補正する。便宜上、階調パッチPn(n=0〜4、6〜10)の補正後のセンサー出力値をV
Pn’とする。なお、階調パッチP0における補正量V
ref(P0)は0なので、V
P0=V
P0’となる。
【0055】
ステップS107において、制御部10は、各階調パッチP0〜P4、P5〜P10の出力階調値を算出する。具体的には、制御部10は、各階調パッチP0〜P4、P5〜P10のセンサー出力値V
Pn(V
P0〜V
P4、V
P6〜V
P10)を、基準パッチP0の規格化値が0、ベース面の規格化値が255で表されるように、下式(1)に従って8ビットで規格化し、この規格化値を出力階調値に変換する。
規格化値={(V
Pn−V
P0)/(V
base−V
P0)}×255 ・・・(1)
【0056】
このとき、トナーパターンTPにゴーストが発生している場合(ステップS104で“YES”)は、センサー出力値V
Pnとして、ステップS106で算出された補正後のセンサー出力値V
Pn’が用いられる。すなわち、ゴーストの影響を排除したセンサー出力値に基づいて、出力階調値が算出される。一方、トナーパターンTPにゴーストが発生していない場合は、センサー出力値V
Pnとして実際に検出されたセンサー出力値V
Pnが用いられる。
【0057】
なお、上式(1)において、最高濃度のパッチP0のセンサー出力値V
P0には、画像形成装置1のプロセス特性に応じて、基準パッチP0、P5、P11のセンサー出力値V
P0、V
P5、V
P11の平均値、最大値、又は最小値を採用するようにしてもよい。
【0058】
ステップS108において、制御部10は、各階調パッチP0〜P4、P5〜P10の入力階調値と、ステップS107で算出された出力階調値を対応付けて、階調特性曲線を生成する。この階調特性曲線は、例えば
図9の曲線L1で表される。
【0059】
ステップS109において、制御部10は、ステップS108で生成された階調特性曲線L1に基づいて、入力画像の階調を出力画像に忠実に再現させる、すなわち
図9に示す目標階調特性L0が得られるように入力画像の階調値を補正するための階調補正曲線(ガンマ補正曲線)L2を生成する。この階調補正曲線L2は、目標階調特性L0に関して階調特性曲線L1と線対称な曲線で表される。入力階調値をx、出力階調値をyとし、階調特性曲線L1をy=f(x)で表した場合、目標階調特性L0はy=xとなるので、階調補正曲線L2は階調特性曲線L1の逆関数(y=f
-1(x))となる。
【0060】
ステップS110において、制御部10は、ステップS109で生成された階調補正曲線L2に基づいて、入力階調値と、この入力階調値が補正されるべき補正階調値を対応付けた階調補正データ(階調補正テーブル)を生成し、更新する。生成された階調補正データは、例えばRAM13に記憶される。
以降の画像形成時には、更新された階調補正データを参照して階調補正が行われ、補正階調値に基づいて画像形成条件が決定されることとなる。
【0061】
このように、画像形成装置1においては、階調補正データの生成に用いられるトナーパターンTPが、中間転写ベルト421(像担持体)の走行方向に沿って濃度が段階的に変化する複数の階調パッチP0〜P4、P6〜P10と、複数の階調パッチP0〜P4、P6〜P10の少なくとも一つを挟んで配置される同一濃度の基準パッチP0、P5、P11と、を含んで構成される。
そして、制御部10(階調補正部)は、濃度検出センサー43(濃度検出部)による基準パッチP0、P5、P11のセンサー出力値V
P0、V
P5、V
P11(検出濃度)に基づいて、当該トナーパターンTPにゴーストが生じているか否かを判定し(
図7のステップS104)、ゴーストが生じていると判定した場合に(
図7のステップS104で“YES”)、階調パッチP0〜P4、P6〜P10のセンサー出力値V
P0〜V
P4、V
P6〜V
P10(検出濃度)を補正し(
図7のステップS105、S106)、補正後のセンサー出力値V
P0’〜V
P4’、V
P6’〜V
P10’(検出濃度)に基づいて階調補正データを生成する(
図7のステップS107〜S110)。
【0062】
画像形成装置1によれば、階調補正データを生成するためのトナーパターンTPにゴーストが発生していても、ゴーストの影響を排除した所望の階調特性曲線L1を得ることができ、適切な階調補正データを生成することができる。したがって、適切な画像安定化制御が行われ、入力画像を忠実に再現した画像を形成することができる。
また、特許文献1のように、トナー担持体(現像ローラー)の周長以上で黒ベタ画像を形成する必要はないので、画像安定化制御におけるトナー消費量を抑制することができる。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、トナーパターンTPを構成する基準パッチの数、配置態様は、実施の形態で示したもの(
図4参照)に限定されず、階調パッチの少なくとも一つを挟むように同一濃度の基準パッチが配置されていればよい。ただし、ゴーストの有無を精度よく判定するためには、高濃度のパッチ画像で基準パッチを構成するのが望ましい。
【0064】
また、実施の形態では、本発明における像担持体が中間転写ベルト421で構成される場合について説明したが、本発明は、中間転写ドラム、又は用紙が像担持体となる場合にも適用することができる。
また、本発明は、単色画像を形成するモノクロの画像形成装置や、CMYK4色が一体となった画像形成ユニットを利用したロータリー方式(4サイクル方式)の画像形成装置に適用することもできる。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。