【課題を解決するための手段】
【0006】
そこでこの発明では、計測したデータを杭穴の形状やさらに、セメントミルクの固化強度なども含めて、杭穴の全体性状を掘削立体形状として表示するので、設計データの基準立体形状と比較することにより、前記問題点を解決した。
【0007】
すなわち、この発明は
、掘削手段を有する掘削ヘッドで杭穴を掘削する掘削方法に適用する掘削管理方法であって、以下のようにして、掘削を管理する杭穴掘削管理方法である。
(1) 以下のようにして、掘削ヘッドを構成する。
(a) 杭穴を掘削する掘削手段に前記掘削ヘッドの縦軸から掘削手段の掘削刃までの距離を算定するための位置センサを設ける。
(b) 地上から前記掘削手段の刃先までの距離算定するための深さセンサを設ける。
(c) 前記掘削ヘッドに、注入したセメントミルクが杭穴残存物と混ざった状態の杭穴充填物のセメント濃度を算定するための濃度センサを設ける。
(2) 前記各センサからのデータを受信して処理するデータ処理装置を設ける。
(3) 予め掘削予定の杭穴形状を前記データ処理装置にデータ入力して、基準立体形状を作成しておく。
(4) 前記掘削ヘッドを用いて地上より杭穴を掘削しながら、前記位置センサによる杭穴外周情報と深さセンサによる地上からの深さ情報とで、前記データ処理装置において処理され、深さ方向に連続して又は一定深さ毎に、その深さまで掘削した杭穴の立体形状を作成して、掘削立体形状とする。
(5) 前記データ処理装置において処理され、前記基準立体形状と前記掘削立体形状とを並列して又は重ねて、かつ従来表示されている掘削データと共に、画面に表示される。
(6) 前記基準立体形状に比較して、前記掘削立体形状に欠損が生じた場合には、欠損が生じた部分を再度掘削して、前記データ処理装置において再掘削時の修正掘削立体形状を作成して、前記画面に表示される。
(7) 前記杭穴の掘削が完了したならば、前記杭穴内にセメントミルクを注入し、
(8) 前記濃度センサからのデータをデータ処理装置に送り、前記セメント濃度を推定して、前記セメント濃度から推定される杭穴充填物の固化強度または当該セメント濃度を、掘削濃度情報とする。
(9) 前記データ処理装置において処理され、予めセメントミルクの基準濃度情報を、画面に表示させる。
(10) 前記データ処理装置において処理され、前記濃度センサからの掘削濃度情報を、前記画面に表示させる。
(11) 前記データ処理装置において処理され、前記濃度センサからの掘削濃度情報が、前記基準濃度情報より少ない場合に、前記画面において、前記掘削立体形状に警告表示がされる。
【0008】
また、他の発明は、掘削機に取り付けた掘削ヘッドが、ヘッド本体と拡大掘削のための掘削手段を有する掘削ヘッドで、杭穴の軸部を掘削すると共に、杭穴の軸部の底部又は他の部分に拡大部を形成する掘削方法に適用する掘削管理方法であって、以下のようにして、掘削を管理する杭穴掘削管理方法である。
(1) 以下のようにして、(a)又は(b)、かつ(c)
かつ(d)のようして掘削ヘッドを構成する。
(a) 杭穴の軸部の杭穴壁を掘削する掘削手段に前記掘削ヘッドの縦軸から掘削手段の掘削刃までの距離を算定するための第1位置センサを設け、 かつ杭穴の拡大部の杭穴壁を掘削する掘削手段に前記掘削ヘッドの縦軸から掘削手段の掘削刃までの距離を算定するための第2位置センサを設ける。
(b) 杭穴の軸部及び拡大部を掘削することができる移動可能な掘削手段に、前記掘削ヘッドの縦軸から掘削手段の掘削刃までの距離を算定するための共通位置センサを設ける。
(c) 地上から前記掘削手段の刃先までの距離算定するための深さセンサを設ける。
(d) 前記掘削ヘッドに、注入したセメントミルクが杭穴残存物と混ざった状態の杭穴充填物のセメント濃度を算定するための濃度センサを設ける。
(2) 前記各センサからのデータを受信して処理するデータ処理装置を設ける。
(3) 予め掘削予定の杭穴形状を前記データ処理装置にデータ入力して、基準立体形状を作成しておく。
(4) 前記掘削ヘッドを用いて地上より杭穴の軸部及び拡大部を掘削しながら「前記第1位置センサ、第2位置センサまたは共通センサ」による杭穴外周情報と深さセンサによる地上からの深さ情報とで、前記データ処理装置において処理され、深さ方向に連続して又は一定深さ毎に、その深さまで掘削した杭穴の立体形状を作成して、掘削立体形状とする。
(5) 前記データ処理装置において処理され、前記基準立体形状と前記掘削立体形状とを並列して又は重ねて、かつ従来表示されている掘削データと共に、画面に表示される。
(6) 前記基準立体形状に比較して、前記掘削立体形状に欠損が生じた場合には、欠損が生じた部分を再度掘削して、前記データ処理装置において再掘削時の修正掘削立体形状を作成して、前記画面に表示される。
(7) 前記杭穴の掘削が完了したならば、前記杭穴内にセメントミルクを注入し、
(8) 前記濃度センサからのデータをデータ処理装置に送り、前記セメント濃度を推定して、前記セメント濃度から推定される杭穴充填物の固化強度または当該セメント濃度を、掘削濃度情報とする。
(9) 前記データ処理装置において処理され、予めセメントミルクの基準濃度情報を、画面に表示させる。
(10) 前記データ処理装置において処理され、前記濃度センサからの掘削濃度情報を、前記画面に表示させる。
(11) 前記データ処理装置において処理され、前記濃度センサからの掘削濃度情報が、前記基準濃度情報より少ない場合に、前記画面において、前記掘削立体形状に警告表示がされる。
【0009】
また、前記において、
以下のように構成した記載の杭穴掘削管理方法である。
(1) 基準立体形状と比較して、掘削立体形状に欠損が生じた場合には、前記データ処理装置において、欠損が生じた部分を、色・模様など異なる表示が画面に表示させる。
(2)前記掘削濃度情報を掘削立体形状に模様又は色で付与して表示させる。
【0011】
また、この杭穴掘削装置の発明は、ヘッド本体軸方向と直角に形成した回転軸周りに揺動自在に、先端に掘削刃を有する掘削腕を取り付けた杭穴掘削ヘッドと、各種センサや処理回路とから、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削装置
である。
(1) 前記掘削腕に、掘削腕が下方に垂れた状態から傾斜した角度を計測する加速度センサを設ける。
(2) 前記杭穴掘削ヘッドの内又は外に、前記加速度センサの傾斜情報を、前記掘削ヘッドの縦軸から前記掘削刃までの距離に変換する第1処理回路を設ける。
(3) 前記杭穴掘削ヘッドの内又は外に、地上から前記ヘッド本体までの距離を計測する深さセンサを設ける。
(4) 前記杭穴掘削ヘッドの内又は外に、前記深さセンサの深さ情報を、地上から前記掘削刃までの距離に変換する第2処理回路を設ける。
(5) 前記ヘッド本体に、所定距離を空けて2枚の濃度センサアンテナを設け、両濃度センサアンテナ間の電界強度を計測する電界強度計測回路を設ける。
【0012】
前記の方法において、軸部掘削用の掘削刃と拡大部掘削用の掘削刃を別々に設ける場合にはそれぞれの掘削刃に第1センサ、第2センサを設ける。また、移動式の掘削刃を用いて軸部掘削、拡大部掘削の両方を実施する場合には、掘削刃に1つの共通センサを設けて、この共通センサを第1センサ及び第2センサの共通とすることもできる。
【0013】
また、前記の方法において、掘削ロッドの下端に各種掘削ヘッドを取り付けて、所定の深さまで杭穴を掘削する場合、一般に、掘削ロッドに杭穴壁練り付け用のドラムを取り付けることができ、ドラムにより杭穴壁を均して、設計通りの杭穴形状に形成することができる。したがって、この発明は、特に、(掘削ヘッドが位置するので)練り付け用のドラムを使用しできない杭穴の下端部の掘削に有効である。また、先端支持杭では、下端部は固い地盤であり練り付けにくく、かつ杭穴形状を設計通りに形成することが重要であるので、先端支持杭の下端部、すなわち根固め部、とりわけ拡底掘削する根固め部に有効である。
なお、当然ながら、この発明は、杭穴の上部や中間部に適用することもでき、摩擦杭(比較的弱い地盤)に適用することもできる。また、拡径部が下端部以外に形成された杭穴にも適用できる。