【0018】
[成形]
成形品の形状は板状とする。板状の平面視形状は、矩形、円形、楕円形等とすることができる。この成形品(焼結前の成形物を以下「成形品」という。)の寸法は、本願板状乾燥剤の乾燥対象物によって適宜選択することができる。
成形方法に限定はないが、下記の方法が例として挙げられる。水酸化カルシウムと上述の粘土鉱物をよく混合して成形材料を得て、これに水を加えて混練機で混練した後、型に入れて成形する。また、転動造粒機に上述の成形材料を投入しつつ水を噴霧して顆粒状の成形材料を得たのちに、この顆粒状の成形材料をプレス成形機に充填して、80Kg/cm
2〜400Kg/cm
2の圧力でプレス成形する。また、この顆粒状の成形材料は水酸化カルシウムと粘土鉱物を流動性の大きいペースト状に混練してスプレードライ法で得ることもできる。
【実施例】
【0022】
[原料の調整]
本願発明に使用した材料は下記のとおりである。
(1)水酸化カルシウムは、片山化学工業株式会社JISK8575適合品を使用した。
(2)ベントナイトは、クニミネ工業株式会社製のメッシュ100以下のものを使用した。
(3)セピオライトは、株式会社セピオライト製のメッシュ100以下のものを使用した。
(4)下記表1に記載した水酸化カルシウム1000gとベントナイト及び/又はセピオライトを転動造粒機に投入して、30分撹拌した後に水200mlを用いて、転動造粒機中に噴霧して顆粒状にした。この顆粒状の原料の粒度は1190μm以下のものを使用した。
【0023】
[板状乾燥剤の作製]
上記(1)〜(4)に基づいて、原料を調整し、この顆粒状の配合物を成形機の型に
入れて150kg/cm
2で圧縮成形した。この焼結前の成形品は縦60mm、横4
0mm、厚さ3mm、重量14gであった。
【0024】
この焼結前の成形品を電気炉で焼結し、板状乾燥剤を作製した。
本願板状乾燥剤は実施例として表し、本願板状乾燥剤に相当しないものは比較例として記載した。
図1(a)は、実施例で作製した本願板状乾燥剤の斜視図である。
表1中のA、B及びCは下記の原材料である。
A:水酸化カルシウム
B:ベントナイト
C:セピオライト
【0025】
[外観テスト]
【表1】
表1より、粘土鉱物の配合量が5重量部未満であると板状乾燥剤にヒビ割れが多く、脆いことがわかる。このため、粘土鉱物の配合量が5重量部未満は商品価値の無いものである。
【0026】
[吸湿速度テスト]
上記実施例4の本願板状乾燥剤と他社の袋入り粒状乾燥剤(石灰乾燥剤10g)との吸湿速度の比較を行った。
テストは関係湿度90%、25℃の雰囲気で吸湿率を測定した。相対湿度90%の調整は日本工業規格JISZ0701の表4に基づいてデシケータ中にRH90%の環境を調整し、デシケータを25℃の恒温器に置いた。
結果は
図2に表す。本願板状乾燥剤は包装されていないため吸湿速度は極めて大きい。一方、袋入り乾燥剤に使用する袋の材質は、透湿性があるものの包装袋の強度を担保するために、その透湿性は極めて低く袋入り乾燥剤の吸湿速度は小さい。
【0027】
[吸湿テスト]
外観検査で「良」のものについて、相対湿度90%、温度25℃で吸湿テストを行い、その結果を表2に示す。
(1)
相対湿度90%の調整:日本工業規格JISZ0701の表4に基づいてデシケータ中にRH90%の環境を調整し、デシケータを25℃の恒温器に置いた。
(2)水分吸収率の測定:日本工業規格JISZ0701に基づいて、水分吸湿率を測定した。吸湿率は下記の式を用いた。
吸湿率=(W1−W0)×100/W0
W1:吸湿後の板状乾燥剤
W0:吸湿前の板状乾燥剤
【0028】
【表2】
【0029】
表2中の比較例4及び比較例5は、水分吸湿率が小さい。これらは、粘土鉱物が多いため、水分吸湿率が小さいと考えられる。
【0030】
[強度テスト]
図3は本願板状乾燥剤の焼結助剤の配合量と強度の関係を示す図である。この
図3は、焼結助剤としてベントナイトを使用し、焼結前の成形品の強度も合わせて示している。
焼結助剤の配合量が5重量部未満であると、本願板状乾燥剤及び焼結前の成形品も強度が低いことを示す。
この強度試験の測定は、木屋製作所製の木屋式硬度計を用いて行った。
【0031】
[形状の変化テスト]
表2にし記載した本願板状乾燥剤(実施例1〜実施例8)を相対湿度90%、温度25℃の環境において10日間放置した後の形状の変化を外観視でテストして表3にまとめた。
【0032】
【表3】
【0033】
表3に示すように、実施例1〜実施例8の本願板状乾燥剤の全ては、粉状化が認められない。また、外観視で膨張も認められなく当初の形状が2〜9片に割れた。実施例8は形状の変化はなく、当初の形状を保持した。
【0034】
[焼結温度と吸湿率のテスト]
図4及び
図5は本願板状乾燥剤の焼結温度と吸湿率の関係を示す図である。これらの図が示すように500℃で成形品を焼結した場合には、水酸化カルシウムが一部酸化カルシウムに変化しないものと考えられ、吸湿率が低い。また、650℃以上焼結温度を高めても吸湿率はあまり変わらないことを示している。