特許第6050103号(P6050103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6050103真空加熱加圧封止成形装置及び真空加熱加圧封止成形方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050103
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】真空加熱加圧封止成形装置及び真空加熱加圧封止成形方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20161212BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20161212BHJP
   B29C 43/56 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01L21/56 R
   B29C43/18
   B29C43/56
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-261395(P2012-261395)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-107503(P2014-107503A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】398031248
【氏名又は名称】ミカド機器販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102886
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 光夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 英敏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 豊樹
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−19714(JP,A)
【文献】 特開2002−217523(JP,A)
【文献】 特開2002−217221(JP,A)
【文献】 特開昭62−156931(JP,A)
【文献】 特開2012−59743(JP,A)
【文献】 特開2004−1008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 43/18
B29C 43/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に素子を真空加熱加圧封止/成形するための真空加熱加圧封止/成形装置であって、該真空加熱加圧・成形装置は
1.真空チェンバー形成用下枠体と、
2.真空チェンバー形成用下枠体の上方に配置された真空チェンバー形成用上枠体であって、真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体との間が密封されて内部に真空チェンバーが形成され、真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを離間させた状態で被加工品が外部に取り出せるようになっている真空チェンバー形成用上枠体と、
3.真空チェンバー形成用下枠体の内部に配置され、かつ上に基板を置くようになっている基板置台であって、基板上には素子を配置し、素子の上には封止シートを乗せ、あるいは封止シートの上にさらに封止シートより半径方向外方に延びる加圧剥離フィルムを置くようになっている基板置台と、
4.素子上の封止シートを加熱軟化させる加熱装置と、
5.真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体のいずれかに設けた真空排気及び高圧ガス導入用孔と、
6.真空チェンバー形成用上枠体の内側でかつ下面から下方に延びた内方部材であって、内方部材は下降されその下端部と基板置台との間に加熱軟化された封止シートを気密に挟む、あるいは封止シート上の加圧剥離フィルムを挟むことができるようになっている内方部材と、
7.加熱軟化した封止シートによって素子を基板上に封止した後、依然軟化状態にある封止シートを素子上に押し付けて所定の成形を行う成形型とからなる、真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項2】
真空チェンバー形成用下枠体は下枠部材を有し、真空チェンバー形成用上枠体は上枠部材を有し、真空チェンバー形成用下枠体あるいは真空チェンバー形成用上枠体はさらに気密に下枠部材と上枠部材の内周面あるいは外周面を気密に摺動する摺動部材を有し、摺動枠体を摺動させて下枠部材と、摺動枠体と、上枠部材との間を気密にして内部に真空チェンバーを形成し、一方摺動枠体を摺動させて下枠部材と上枠部材との間を離間させた状態で被加工品を出し入れできるようになっている、請求項1に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項3】
真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを相対移動させその間を密封し内部に真空チェンバーを形成し、一方真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを相対移動させ離間させた状態で被加工品を出し入れできるようになっている、請求項1に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項4】
真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを相対移動させることにより内方部材の下端部と基板置台との間で加熱軟化された封止シートあるいは封止シート及び加圧剥離フィルムを気密に挟むことが可能となっている、請求項3に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項5】
加熱軟化状態の封止シートを素子上に押し付ける成形型が真空チェンバー形成用上枠体の内側に配置され、真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを相対移動させ成形型を加熱軟化状態の封止シートあるいは加圧剥離フィルムおよび封止シートを素子上に押し付ける、請求項4に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項6】
内方部材が、中間移動プレートの下面に取り付けられた押圧シリンダ機構である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項7】
成形型が非成形時には真空チェンバー形成用上下枠部材の内方の非成形位置に退避され、成形時において内方部材の内側の成形位置に移動されるようになっている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項8】
加熱装置が基板置台および成形型に設けてある、請求項1乃至6のいずれかに記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項9】
加熱装置がハロゲンランプ等の光照射装置あるいは赤外線、レーザーあるいは遠赤外線照射装置である、請求項1乃至6のいずれかに記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項10】
真空チェンバー形成用下枠体及び基板置台がスライド移動テーブル上に配置され、スライド移動テーブルによって真空チェンバー形成用下枠体及び基板置台を外部に取り出すことによって基板置台に対して基板及び封止シートあるいは基板、封止シート及び加圧剥離フィルムの着脱が容易となっている、請求項1乃至8のいずれかに記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項11】
真空チェンバー形成のための加圧機構が、エアプレス圧、油圧プレス圧、サーボプレス圧あるいはオートクレーブを利用したものである、請求項1乃至9のいずれかに記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【請求項12】
1.真空チェンバーを開けた状態で真空チェンバー内に配置された基板置台上に基板を置き、基板上には素子が配置され、素子の上には封止シートを配置し、あるいは封止シートの上にさらに封止シートより半径方向外方に延びる加圧剥離フィルムを配置し、
2.真空チェンバーを閉じて真空チェンバーを真空にし、
3.封止シートあるいは封止シート及び加圧剥離フィルムを加熱軟化し、
4.加熱軟化した封止シートあるいは加圧剥離フィルムの外周部を基板置台上に気密に押さえ、加熱軟化した封止シートあるいは加圧剥離フィルムと基板置台で形成される空間を真空状態に保ち、
5.この状態で真空チェンバー内を大気圧に開放し大気を導入し、あるいは必要であればさらに高圧ガスを導入して加圧し、加熱軟化状態の封止シートで素子を基板に封止し、
6.成形型を依然軟化状態にある封止シートあるいは加圧剥離フィルム及び封止シート上に実質的にその位置で押し付け所定の成形を行う、真空加熱加圧封止/成形方法。
【請求項13】
前記工程5の中で真空チェンバーの容積を減少させて真空チェンバー内部の圧力を増圧させて封止シートの接着面の密着度を高める、請求項12に記載の真空加熱加圧封止/成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子を接合した基板を封止シートにより封止し、かつ基板上の素子を封止した封止シートを成型するための真空加熱加圧封止成形装置及び真空加熱加圧封止成形方法に関する。本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置及び真空加熱加圧封止成形方法は、素子を予め基板上に素子を接合した場合、及び素子を接着剤を介して基板上に配置し、素子を基板上に接合するとともに、封止シートにより素子を基板に封止する場合にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
素子を基板上に封止する場合には、封止シートと基板及び素子との間に空気の混入を防ぐため、真空下に加熱軟化した封止シートによって加圧下に素子を基板上に封止接合する。 出願人は、この目的のために真空中でシール層(接合層)への空気の混入を防止しながら、微小な押圧力の調節を可能にして、適度な加圧下で、シール層の厚さを均一にして素子を基板上に良好に封止・接合することを可能とする真空加熱加圧封止装置及び方法を提供した。特許文献1。
【0003】
しかしながら、通常封止した素子付き基板は全体の高さが均一であることが求められ図面で指定されているが、本発明者は、特許文献1の真空加熱加圧封止装置及び方法では、得られた製品の素子上のシール層の上面の平坦度が十分ではなく、また封止した素子付基板の全体の高さを精度よく均一にすることは困難であることを発見した。さらに、基板上の複数の素子の高さが異なる場合に、複数の素子上の封止シートの平坦度がでないと組み付け時に正確な吸着移動ができないという欠点があることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2011−192995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一つの真空加熱加圧封止成形装置を用いて加熱・真空中で素子及び基板と封止シートへの空気の混入を防止しながら、素子を基板上に封止シートにより精度よく封止可能とするとともに、素子を封止した封止シートを軟化された状態で成形することによって、例えば、素子上の封止シートの上面に対して十分な平坦度を付与するとともに、封止した素子付基板の全体の高さを精度よく均一にすることを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、基板上に素子を真空加熱加圧封止/成形するための真空加熱加圧封止/成形装置であって、該真空加熱加圧・成形装置は
1.真空チェンバー形成用下枠体と、
2.真空チェンバー形成用下枠体の上方に配置された真空チェンバー形成用上枠体であって、真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体との間が密封されて内部に真空チェンバーが形成され、真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを離間させた状態で被加工品が外部に取り出せるようになっている真空チェンバー形成用上枠体と、
3.真空チェンバー形成用下枠体の内部に配置され、かつ上に基板を置くようになっている基板置台であって、基板上には素子を配置し、素子の上には封止シートを乗せ、あるいは封止シートの上にさらに封止シートより半径方向外方に延びる加圧剥離フィルムを置くようになっている基板置台と、
4.素子上の封止シートを加熱軟化させる加熱装置と、
5.真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体のいずれかに設けた真空排気及び高圧ガス導入用孔と、
6.真空チェンバー形成用上枠体の内側でかつ下面から下方に延びた内方部材であって、内方部材は下降されてその下端部と基板置台との間に加熱軟化された封止シートを気密に挟む、あるいは封止シート上の加圧剥離フィルムを挟むことができるようになっている内方部材と、
7.加熱軟化した封止シートによって素子を基板上に封止した後、依然軟化状態にある封止シートを素子上に押し付けられ所定の成形を行う成形型とからなることを特徴とする。
【0007】
以下に、本発明に係る真空加熱加圧封止/成形装置の好適な実施態様を示す。
(2) 真空チェンバー形成用下枠体は下枠部材を有し、真空チェンバー形成用上枠体は上枠部材を有し、真空チェンバー形成用下枠体あるいは真空チェンバー形成用上枠体はさらに気密に下枠部材と上枠部材の内周面あるいは外周面を気密に摺動する摺動部材を有し、摺動枠体を摺動させて下枠部材と、摺動枠体と、上枠部材との間を気密にして内部に真空チェンバーを形成し、一方摺動枠体を摺動させて下枠部材と上枠部材との間を離間させた状態で被加工品を出し入れできるようになっている、(1)に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
(3)真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを相対移動させその間を当接密封し内部に真空チェンバーを形成し、一方真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを相対移動させ離間させた状態で被加工品を出し入れできるようになっている、(1)に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
(4)真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを相対移動させることにより内方部材の下端部と基板置台との間で加熱軟化された封止シートあるいは加圧剥離フィルムを気密に挟むことが可能となっている、(3)に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【0008】
(5)加熱軟化状態の封止シートを素子上に押し付ける成形型が真空チェンバー形成用上枠体の内側に配置され、真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを相対移動させ成形型を加熱軟化状態の封止シートあるいは加圧剥離フィルムおよび封止シートを素子上に押し付ける、(4)に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
(6)内方部材が、中間移動プレートの下面に取り付けられた押圧シリンダ機構である、(1)乃至(3)のいずれか1項に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
(7)成形型が非成形時には真空チェンバー形成用上下枠部材の内方の非成形位置に退避され、成形時において内方部材の内側の成形位置に移動されるようになっている、(1)乃至(6)のいずれか1項に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
(8)加熱装置が基板置台および成形型に設けてある、(1)乃至(6)のいずれか1項に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【0009】
(9)加熱装置がハロゲンランプ等の光照射装置あるいは赤外線、レーザーあるいは遠赤外線照射装置である、(1)乃至(6)のいずれか1項に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
(10)真空チェンバー形成用下枠体及び基板置台がスライド移動テーブル上に配置され、スライド移動テーブルによって真空チェンバー形成用下枠体及び基板置台を外部に取り出すことによって基板置台に対して基板及び封止シートあるいは基板、封止シート及び加圧剥離フィルムの着脱が容易となっている、(1)乃至(8)のいずれか1項に記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
(11)真空チェンバー形成のための加圧機構が、エアプレス圧、油圧プレス圧、サーボプレス圧あるいはオートクレーブを利用したものである、(1)乃至(9)のいずれかに記載した真空加熱加圧封止/成形装置。
【0010】
本発明は、さらに以下の工程からなる真空加熱加圧封止/成形方法に関する。
1.真空チェンバーを開けた状態で真空チェンバー内に配置された基板置台上に基板を置き、基板上には素子が配置され、素子の上には封止シートを配置し、あるいは封止シートの上にさらに封止シートより半径方向外方に延びる加圧剥離フィルムを配置し、
2.真空チェンバーを閉じて真空チェンバーを真空にし、
3.封止シートあるいは封止シート及び加圧剥離フィルムを加熱軟化し、
4.加熱軟化した封止シートあるいは加圧剥離フィルムの外周部を基板置台上に気密に押さえ、加熱軟化した封止シートあるいは加圧剥離フィルムと基板置台で形成される空間を真空状態に保ち、
5.この状態で真空チェンバー内を大気圧に開放し大気を導入し、あるいは必要であればさらに高圧ガスを導入して加圧し、加熱軟化状態の封止シートで素子を基板に封止し、
6.成形型を依然軟化状態にある封止シートあるいは加圧剥離フィルム及び封止シート上に実質的にその位置で押し付け所定の成形を行う。
なお、前記工程5の中で真空チェンバーの容積を減少させて真空チェンバー内部の圧力を増圧させることによって、封止シートの接着面の密着度を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱軟化した封止シートあるいは加熱軟化した加圧剥離フィルム及び封止シートで素子を基板上に封止し、素子上の加熱軟化状態を保ったままの封止シートあるいは加圧剥離フィルム及び封止シートを成形加工するので、得られた製品の素子上のシール層の上面について十分な平坦度が得られ、また封止した素子付基板の全体の高さを精度よく均一にすることができる。従って、封止・成形加工した素子付き基板を組み付ける場合に、正確な吸着移動が可能となる。
また、陽圧により素子に沿って封止して平坦の押圧成形する場合には、素子間の隙間に押し出された封止シートが流れ込み基板と複数素子とをより一体化することができる。
さらに、加圧剥離フィルムを介して封止する場合には封止シートが少なくて済み、複数素子ごとの局所封止が可能となり、それらの局所への型押し成型が同時にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様の模式的断面図を示し、真空チェンバー形成用下枠体と真空チェンバー形成用上枠体とを離間させて、被加工品を内部に配置した状態を示す。
図2a】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様の基板、素子及び封止シートのセット工程を示す模式的断面図である。
図2b】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様の真空チェンバー形成、封止シートの加熱・軟化、真空引き工程を示す模式的断面図である。
図2c】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様の封止シート押え工程を示す模式的断面図を示す。
図2d】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様の真空チェンバー内を陽圧加圧する工程を示す模式的断面図である。
図2e】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様の成形型による封止シート成形工程を示す模式的断面図である。
図3】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第2の実施態様の成形型による封止シート成形工程を示す模式的断面図である。
図4a】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第3の実施態様の基板、素子、封止シート及び加圧剥離フィルムのセット工程を示す模式的断面図である。
図4b】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第3の実施態様の真空チェンバー形成、封止シート及び加圧剥離フィルムの加熱・軟化、真空引き工程を示す模式的断面図である。
図4c】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第3の実施態様の封止シート及び加圧剥離フィルムの押え工程を示す模式的断面図を示す。
図4d】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第3の実施態様の真空チェンバー内を陽圧加圧する工程を示す模式的断面図である。
図4e】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第3の実施態様の成形型による封止シート及び加圧剥離フィルムの成形工程を示す模式的断面図である。
図5a】本発明に係るハロゲンランプを使用した真空加熱加圧封止成形装置の第4の実施態様の基板、素子及び封止シートのセット工程を示す模式的断面図である。
図5b】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第4の実施態様の真空チェンバー形成、封止シートの加熱・軟化、真空引き工程を示す模式的断面図である。
図5c】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第4の実施態様の封止シート押え工程を示す模式的断面図を示す。
図5d】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第4の実施態様の真空チェンバー内を陽圧加圧する工程を示す模式的断面図である。
図5e】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第4の実施態様の成形型移動工程を示す模式的断面図である。
図5f】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第4の実施態様の成形型による封止シート成形工程を示す模式的断面図である。
図6】本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第5の実施態様の基板、素子、封止シート及び加圧剥離フィルムのセット工程を示す模式的断面図である。
図7】素子を基板上に封止する構成および成形型による成形例を示す。
図8】陽圧口及び真空口を閉じた状態で、真空チェンバー中の空気の圧力を0.1MPaとして、中間移動プレートを下降させた場合の下降移動距離(下降ストローク)と内圧測定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置及び真空加熱加圧封止成形方法では、封止シートを直接基板上の素子に加圧封止する場合、及び封止シートの上にさらに加圧剥離フィルムを置いて加圧剥離フィルムを通して間接的に封止シートを加圧し基板上の素子に加圧封止する場合に適用できる。また、成形型を加圧封止する工程では成形位置から外方に退避移動させて、成形時に成形位置まで移動させて成形工程を行う場合と、外方に退避移動させない場合とがある。
以下に、図示する具体的実施態様に基づいて本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置及び真空加熱加圧封止成形方法を説明する。これらの実施態様はあくまで例示であって本発明を限定するものではなく、本発明は特許請求の範囲内で種々の変形、変更を容易に加えることができることは当業者には容易であろう。
【0014】
なお、本発明においては、素子及び封止シートとしては以下のものを言う。
本発明では、「素子」とは、IC素子、半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子をいう。また基板とはリジット基板およびフレキシブル基板とし基板上に接合する素子の数は、1つでもよいし、複数の素子でもよく、また高さが同一であっても、異なる高さのものでもよい。「封止シート」は、封止用の接着シートであり、素子の上に封止シートを置き、熱と圧力で樹脂を流動させ、真空加熱加圧封止接合させる。厚みは、例えば0.2〜5mm程度の接着封止用薄膜シートであり、加熱軟化した封止シートは素子を基板に真空加熱加圧封止接合するとともに、素子を基板に外表面から補強的に接合する。封止シートとしては、主としてエポキシ樹脂が用いられ、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどを用いることができ、加熱硬化する接着剤層として機能する。
【0015】
また、「加圧剥離フィルム」は、大気圧中で加熱軟化される耐熱フィルムあるいは耐熱軟質ゴムであって、加熱/加圧下に強度を保ちつつ伸びる性質を有する。本発明において、加熱温度としては、加圧剥離フィルムの軟化温度となるが、例えば、100〜300℃である。加圧剥離フィルムの材質は耐熱性で軟化しやすい樹脂又はゴムとすることができ、例えば、厚さを30〜1000μmとする。加圧剥離フィルムとしては、耐熱剥離フィルムを用いることができ、例えば、PET、オレフィン系樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴムを用いることができる。なお、本発明においては、厚さによっては「フィルム」と表現するより「シート」と表現する方が適切な場合があるが、本発明においては「加圧剥離フィルム」は「加圧剥離シート」をも包含することを意図する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様の模式的断面図を示す。1台の真空加熱加圧封止成形装置より、接着性封止シートを用いて基板上に素子を封止し、成形型を用いて基板上に素子を封止シートによって直接加圧封止成形加工する。
本真空加熱加圧封止成形装置においては、基台1上に加圧シリンダ下板2が配置され、加圧シリンダ下板2の上にはスライド移動テーブル3が置かれ、スライドシリンダ4がロッドを介してスライド移動テーブル3の側方に連結されている。スライド移動テーブル3上には下枠部材置台5が置かれ、下枠部材置台5の上方には下加熱プレート7が配置され、下加熱プレート7上には基板置台8が置かれ、基板置台8の上には素子9付き基板10が配置され、素子9上には封止シート11が配置されるようになっている。
【0017】
また、基板置台8の外側で下枠部材置台5の外周部上面には下枠部材12が気密に固定・立設され、下枠部材置台5と下枠部材12とによって真空チェンバー形成用下枠体が形成されている。真空チェンバーが開いた状態で、スライドシリンダ4によってスライド移動テーブル3を真空加熱加圧封止成形装置内外を移動させることによって、スライド移動テーブル3上の下枠部材置台5、下加熱プレート7、基板置台8及び下枠部材12を一緒に真空加熱加圧封止成形装置に対して出し入れ可能とし、それにより外部で被加工品(素子付き基板及び封止シート)を基板置台8に置いて真空加熱加圧封止成形装置内に移動し、また封止成形加工製品を同装置外部に取出すことが可能となっている。本実施態様では、基板10の上面に複数の素子9が予め接着固定されているが、素子を基板の上面に正確に位置させることができるのであれば、熱可塑性接着剤等の接着剤を介して素子を基板上面に配置させても良い。
【0018】
基台1の上には複数の支柱13が立設され、支柱13の上端部には加圧シリンダ上板14が固定されている。加圧シリンダ上板14の下方には支柱13を通して中間移動プレート15が摺動自在に配置されており、中間移動プレート15の下方には断熱板16を介して上加熱プレート17が固定されている。上加熱プレート17はフィルムの軟化用のヒータとして機能し、下加熱プレート7は基板の予熱用あるいは接着剤熱硬化用のヒータとして機能する。中間移動プレート15の下面から断熱板16の外側で下枠部材12に対応する上枠部材18が下方に気密に延びており、中間移動プレート15と上枠部材18とによって真空チェンバー形成用上枠体が形成されている。上枠部材18の外周には摺動部材19が気密に摺動可能に設けられ、摺動部材19は加圧シリンダ上板上の摺動シリンダ20によって上下に移動され、下降して下枠部材12の外周に摺動可能とされ、下枠部材12、摺動部材19と上枠部材18との間で気密性が保たれることによって内部に真空チェンバーが形成される。
【0019】
断熱板16の下面外周部から下方に延びる内方部材24が固定されている。内方部材24は、断熱板16の下面に一端が固定されたロッド24aと、ロッド下端部に設けられた枠状押え部24bと、ロッド24aの周りに配置されたスプリング24cとからなっている。枠状押え部24bはロッド24aに対してスプリングにより下方に付勢され、下から押されて上方へ移動可能となっており、枠状押え部24bが基板置台8に当接する場合の衝撃を緩衝する。内方部材24の下端部の枠状押え部24bと基板置台8との間に封止シート11が気密に保持されるようになっている。
【0020】
加圧シリンダ上板14の上面には加圧シリンダ22が配置され、加圧シリンダ22のシリンダロッド23は加圧シリンダ上板14を通って中間移動プレート15の上面に固定され、加圧シリンダ22によって、中間移動プレート15と上加熱プレート17と上枠部材18と内方部材24を上下に一体的に移動可能としている。加圧シリンダ22による中間移動プレート15と上加熱プレート17と上枠部材18の下方の移動を規制するストッパー(図示せず)を設け、所定の距離中間移動プレート15が下降した時にそれ以上の下降を阻止するようにすることもできる。加圧シリンダ22及び摺動シリンダ20としては、油圧シリンダ、空圧シリンダ、サーボシリンダ等を用いることができる。
【0021】
上加熱プレート17の下面には成形型21が着脱自在に取り付けられ、成形目的によって成形型を取り換え可能となっている。本実施態様では、中間移動プレートには、陽圧口25と真空口26とが設けられている。但し、陽圧口及び真空口を1つの開口として、この開口を電磁弁およびスイッチを介して陽圧加圧機及び真空排気機とを選択的に接続するようにして、該開口を陽圧口あるいは真空口として兼用・機能させても良い。この態様も本発明に含まれる。
【0022】
(第1の実施態様:加圧剥離フィルムを用いない場合)
以下に、図2(a)乃至図2(e)に基づいて、本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様の動作を説明する。なお、図2(a)乃至図2(e)においては、簡略化のため支柱13、加圧シリンダ上板14、加圧シリンダ22及びロッド23及び配管を省いている。
(1)基板,素子,封止シートをセットする工程
図2(a)は、真空チェンバーを開いた状態でスライドシリンダ4によってスライド移動テーブル3、下枠部材基台5、下枠部材12、下加熱プレート7、基板置台8(簡略化のため、これらの部材をまとめて「下方部材」と呼ぶ)を外側に引き出し、基板基台8上に素子9を上に配した基板10を置き、その上に封止シート11を置いたのちスライドシリンダ4によって下方部材を内方部材12の下方の所定の位置に挿入した状態を示す。
【0023】
(2)真空チェンバー形成、封止シートの軟化、真空引き工程
図2(b)は、摺動シリンダ20により摺動部材19を所定距離下降させ下枠部材12の外周に気密に摺動させ、下枠部材12と摺動部材19と上枠部材18との間を気密に保ち、内部に真空チェンバーを形成し、封止シートを大気中で加熱・軟化させ、真空口26を介して真空引きする工程を示す。この時、図2(b)に示すように、封止シート11は素子9の上面の縁部から外周縁部へと下方に傾斜し、外周部の最外縁部は内方部材24の枠状押え部24bの下面に対応する位置まで延び、基板置台8の上面に触れている。真空引きによって真空チェンバー内及び基板置台8と封止シート11との間の空間は真空状態とされる。なお、真空引きの際には、陽圧口25は閉じられ、真空口26は開かれている。
【0024】
(3)封止シート押え工程
図2(c)は、加熱下真空引きをしながら、加圧シリンダ22によって、中間移動プレート15と上加熱プレート17と上枠部材18と内方部材24(以下に、簡略の為まとめて「上方部材」ともいう)を一体的に下降し、所定の位置で停止させ、加熱軟化した封止シート11の外周部を内方部材24の枠状押え部24bの下面と基板置台8の上面との間に気密に押える工程を示す。この位置では、成形型21は封止シート11の上方に位置し、封止シートに接触していない。また、基板置台8と封止シート11の間に形成される空間は真空状態に保持される。
【0025】
(4)真空チェンバー内を陽圧加圧する工程
次に、図2(d)に示すように、真空口26を閉じ、陽圧口25を開き大気圧を導入し、必要に応じて陽圧口を介して高圧ガスを導入し、加圧状態を維持し、封止シート11によって素子9を基板10上に加圧下に封止する。
【0026】
(5)成形型による封止シート成形工程
図2(e)に示すように、加圧シリンダ22によって、上方部材を一体的に下降させ、成形型の下面を封止シート上に接触させ封止シートに対して所定の成形加工をおこなう。この場合に、加圧シリンダ22用ストットパー(図示せず)を設け、成形型を所定の位置で停止させる。なお、停止させる場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで上枠部材18の下端部下面と下枠部材12の上端部上面とを当接させても良い。なお、真空チェンバー内の圧力を増圧する場合、図2(d)の加圧成形後、さらに決まったストローク押し下げ増圧し成形型を封止シートに当接させ成形する方法に加えて、適当位置で増圧封止完了させて増圧をやめ排気して、さらに下降させて当接させ成形する方法がある。
(6)製品取り出し、新しい素子付基板及び封止シートの配置工程
加圧シリンダ22によって上方部材を上方に移動させ、スライドシリンダ4によって下方部材を外部に取り出し、製品を回収するとともに、基板置台8に新しい素子付基板10と封止シート11を配置し、再度スライドシリンダ4によって下方部材を加圧成形位置へと戻す(図2(a))。
【0027】
(第2の実施態様)
図3は、本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第2の実施態様を示す。
本実施態様は、摺動部材19及び摺動シリンダ20を省き、加圧シリンダ22aによって下枠部材12の上端部上面と上枠部材18の下端部底面とを気密に当接させて内部に真空チェンバーを形成し、シリンダ機構22bによって断熱板16下方の内方部材24及び上加熱プレート17を上下に移動することを除き、真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様と同じである。従って、詳細な説明は省略する。
【0028】
(第3の実施態様:加圧剥離フィルムを用いる場合)
図4(a)乃至図4(e)は、本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第3の実施態様を示す、本実施態様は、発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第1の実施態様と同じものであり、加圧剥離フィルムを用いている点が異なる。図4(a)乃至図4(e)は、それぞれ図2(a)乃至図2(e)に対応している。なお、図4(a)乃至図4(e)においては、簡略化のため支柱13、加圧シリンダ上板14、加圧シリンダ22及びロッド23を省いている。
【0029】
(1)基板,素子,加圧剥離フィルム及び加圧剥離フィルムをセットする工程
図4(a)は、基板10,素子9,封止シート40及び加圧剥離フィルム41をセットする工程を示す。図4(a)と図2(a)の相違点は、封止シート40上にさらに加圧剥離フィルム41が置かれる点のみである。加圧剥離フィルム41の大きさは、内方部材24の下端部の枠状押え部24bと基板置台8との間に加圧剥離フィルムを気密に保持可能であればよい。この場合には、封止シートの大きさは加圧剥離フィルムの大きさと同じにするか、または素子を基板上に封止するのに必要な大きさであればよい。後者の場合は封止シートの使用量を低減することができる。また、複数箇所での局所封止が可能となり、当該局所への型押し成型が同時にできる。
【0030】
(2)真空チェンバー形成、加圧剥離フィルム及び封止シートの加熱軟化、真空引き工程
図4(b)は、摺動シリンダ20により摺動部材19を所定距離下降させ下枠部材12の外周に気密に摺動させ、内部に真空チェンバーを形成し、封止シート40及び加圧剥離フィルム41を大気中で加熱・軟化させ、真空口26を介して真空引きする工程を示す。この時、図4(b)に示すように、加圧剥離フィルム41は封止シート40を介して素子9の上面の縁部から外周縁部へと下方に傾斜し、外周部の最外縁部は内方部材24の枠状押え部24bの下面に対応する位置まで延び、基板置台8の上面に触れている。封止シート40は、加圧剥離フィルム41が下方に傾斜するのに追随して、傾斜させられる。真空引きによって真空チェンバー内及び基板置台8と加圧剥離フィルム41との間の空間は真空状態とされる。
【0031】
(3)封止シート押え工程
図4(c)は、加熱下真空引きをしながら、加圧シリンダ22によって、中間移動プレート15と上加熱プレート17と上枠部材18と内方部材24を一体的に下降し、所定の位置で停止させ、加熱軟化した加圧剥離フィルム41の外周部を内方部材24の枠状押え部24bの下面と基板置台8の上面との間に気密に押える工程を示す。この位置では、成形型21は加圧剥離フィルム41の上方に位置し、加圧剥離フィルム41に接触していない。また、基板置台8と加圧剥離フィルム41の間に形成される空間は真空状態に保持される。
【0032】
(4)真空チェンバー内を陽圧加圧する工程
次に、図4(d)に示すように、真空口26を閉じ、陽圧口25を開き大気圧を導入し、必要に応じて陽圧口を介して高圧ガスを導入し、加圧状態を維持し、加圧剥離フィルム41を介して封止シート40によって素子9を基板10上に加圧下に封止する。
【0033】
(5)成形型による封止シート成形工程
図4(e)に示すように、加圧シリンダ22によって、上方部材を一体的に下降させ、加圧剥離フィルム41を介して成形型の下面を封止シート上に接触させ封止シートに対して所定の加圧成形加工をおこなう。この場合に、加圧シリンダ22用ストットパー(図示せず)を設け、成形型を所定の位置で停止させる。なお、停止させる場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで上枠部材18と下板部材12を当接させて行っても良いことは上述の通りである。
(6)製品取り出し、新しい素子付基板、封止シート及び加圧剥離フィルムの配置工程
加圧シリンダ22によって上方に移動させ、スライドシリンダ4によって下方部材を外部に取り出し、製品を回収するとともに、基板置台8に新しい素子付基板10、封止シート40及び加圧剥離フィルム41を配置し、再度スライドシリンダ4によって下方部材を加圧成形位置へと戻す(図4(a))。
【0034】
(第4の実施態様)
図5(a)乃至図5(f)は、真空加熱加圧封止成形装置の第4の実施態様を示す。
図中、第1と第4の実施態様と同一の部材については同一の番号を付しそれらの説明は省略する。なお、第4の実施態様でも支柱13、加圧シリンダ上板14、加圧シリンダ22及びロッド23を備えるが、図5(a)乃至図5(f)において、簡略化のため支柱13、加圧シリンダ上板14、加圧シリンダ22及びロッド23を省いている。
【0035】
本実施態様では、摺動枠体及び摺動シリンダでも使用できるが摺動シリンダは使用せずに、下枠部材50と上枠部材51によって真空チェンバーを形成している。より詳しくは、下枠部材基台5と、下枠部材置台5の上に気密に置かれた下枠部材50によって真空チェンバー形成用下枠体が形成され、中間移動プレート15とその下面に気密に設けた上枠部材51によって真空チェンバー形成用上枠体が形成されている。上枠部材51の下端部内方には段差51aが設けられていて、加圧シリンダ22によって、中間移動プレート15、上枠部材51を下降させると上枠部材51の段差51aの内周面が下枠部材50の外周面に気密に摺動して、内部に真空チェンバーを形成するようになっている。
【0036】
本実施態様では、ハロゲンランプ等の加熱ランプ52が中間移動プレート15の下面に断熱板を介して取り付けられ、上加熱プレート17及びその下面に取り付けた成形型21は、スライドユニット53によって成形位置と退避位置との間を移動可能となっている。スライドユニット53は、上枠部材51の外側に取り付けたスライドシリンダ53aと、中間移動プレート15の下方に取り付けられたスライドレール53bと、上加熱プレート17と成形型21を下方に固定・保持しスライドレール53bの下面にスライド可能に取り付けられスライダー53cとからなり、スライダー53cはスライドシリンダ53aによって成形位置と退避位置との間を移動可能とされている。中間移動プレート15の下面には押圧シリンダ機構55が設けられ、押圧シリンダ機構55は、中間移動プレート15の下面に取り付けた押圧シリンダ55aと、押圧シリンダ55aから下方に延びるロッド55bと、ロッド55bの下端に取り付けた押圧枠体55cとからなっており、スライドユニット53と押圧シリンダ機構55とは抵触しない位置に配置されている。
【0037】
以下に、図5(a)乃至図5(f)に示す本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第4の実施態様の動作を説明する。
(1)基板,素子及び封止シートをセットする工程
図5(a)に基板,素子及び封止シートをセットする工程を示す。スライドユニット53によって上加熱プレート17と成形型21を退避位置に移動している以外は、基板,素子及び加圧剥離フィルムをセットする工程は、本発明の第1の実施態様の工程(1)(図2(a))とほぼ同一である。
【0038】
(2)真空チェンバー形成、封止シートの軟化、真空引き工程
図5(b)は、真空チェンバー形成、封止シートの軟化、真空引き工程を示す。加圧シリンダ22によって中間移動プレート15を下降させ上枠部材51の段差51aの内周面を下枠部材50の外周面に気密に所定の距離摺動させて停止し、内部に真空チェンバーを形成する。次に、加熱ランプ52をオンして封止シートを大気中で加熱・軟化させ、真空口26を介して真空引きする。この時、図5(b)に示すように、封止シート11は素子9の上面の縁部から外周縁部へと下方に傾斜し、外周部の最外縁部は内方部材24の枠状押え部24bの下面に対応する位置まで延び、基板置台8の上面に触れている。真空引きによって真空チェンバー内及び基板置台8と封止シート11との間の空間は真空状態とされる。
【0039】
(3)封止シート押え工程
図5(c)は、封止シート押え工程を示す。加熱下真空引きをしながら、押圧シリンダ機構55の押圧シリンダ55aによりロッド55bを介して押圧枠体55cによって、封止シート11の外周部を基板置台8との間に気密に押圧することにより、基板置台8と封止シート11の間に形成される空間は真空状態に保持される。
(4)真空チェンバー内を陽圧加圧する工程
図5(d)は、真空チェンバー内を陽圧加圧する工程を示す。図5(d)に示すように、真空口26を閉じ、陽圧口25を開き大気圧を導入し、必要に応じて陽圧口を介して高圧ガスを導入し、加圧状態を維持して、封止シート11によって素子9を基板10上に加圧下に封止する。
【0040】
(5)成形型移動工程
図5(e)は、成形型移動工程を示す。加熱ランプ52をオフとし、上加熱プレート17により加熱しながら、退避位置に位置する上加熱プレート17と成形型21とを保持するスライダー53cをスライドシリンダ53aによってスライドレール53bに沿って成形位置まで移動させる。
【0041】
(6)成形型による封止シート成形工程
図5(f)は、成形型による封止シート成形工程を示す。図5(f)に示すように、加圧シリンダ22によって所定の距離だけ中間移動プレート15、上加熱プレート17と成形型21を所定の距離だけ一体的に押圧シリンダ機構55の押圧力に抗して下降させ、成形型の下面を封止シート上に接触させ封止シートに対して所定の成形加工をおこなう。この場合に、加圧シリンダ22用ストットパー(図示せず)を設け、成形型を所定の位置で停止させる。なお、停止させる場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで上枠部材18と下板部材12を当接させても良い。
【0042】
(7)製品取り出し、新しい素子付基板及び封止シートの配置工程
成形加工後、真空チェンバーを開き、押圧シリンダ55aにより押圧枠体55cを上昇させ、上方部材を加圧シリンダ22によって上方に移動させ、スライドシリンダ4によって下方部材を外部に取り出し、製品を回収するとともに、基板置台8に新しい素子付基板10と封止シート11を配置し、再度スライドシリンダ4によって下方部材を加圧成形位置へと戻す(図5(a))。
【0043】
(第5の実施態様)
図6は、本発明に係る真空加熱加圧封止成形装置の第5の実施態様を示す。第3の実施態様と同様に、封止シート40の上に加圧剥離フィルム41を置いたことを除いて、本第5の実施態様は第4の実施態様と同一であるので、第5の実施態様については図4(a)乃至図4(d)及び図5(a)乃至図5(f)を参照することとし、その説明は省略する。
【0044】
図7は、素子を基板上に封止する構成および成形型による成形例を示す。(a)は直接封止シート11を用いて基板10上に素子9を封止する例を示し、(b)は加圧剥離フィルム41を介して封止シート40により基板10上に素子9を封止する例を示す。(c)は平坦な底面を有する成形型を用いて完成品の厚みを均一とする例を示し、(d)は平坦な底面で複数の列の突起を有する成形型を用いて封止シート上に複数の筋入れをした例を示し、(e)は上面縁部にR部あるいはテーパー部60を付与することを可能とする成形型を用いた例を示す。(e)において、61及び62はそれぞれ突起と外周抜き又はガイド穴を示し、他部品への組み込みの位置合わせに適する。(f)は、上面にマス目あるいは凹凸模様(放熱用等)の模様付けをするための成形型を用いた例を示す。成形型は、これらのものに限定されないのは言うまでもない。
【0045】
図8は、陽圧口及び真空口を閉じた状態、あるいは陽圧口を設けずに真空口を閉じた状態で、真空チェンバー中の空気の圧力を0.1MPaとして、中間移動プレートを下降させた場合の下降移動距離(下降ストローク)と内圧測定値を示す。真空チェンバー内の容積を10mmづつ下降させた場合の真空チェンバー内の圧力の上昇を確認した。通常、真空チェンバー内部を加圧する場合には、空気圧の場合、外部コンプレッサーの空気圧力は0.7MPaが一般に上限としている。この加圧シリンダにより真空チェンバーを縮小(下降ストローク:50mm)させるとストローク50mmで約1,9倍近い更に高い加圧をすることが可能となる。すなわち、加圧封止工程の中で真空チェンバーの容積を減少させて真空チェンバー内部の圧力を増圧させることによって、封止シートの接着面の密着度を高めることができる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・基台、2・・・加圧シリンダ下板、3・・・スライド移動テーブル、4・・・スライドシリンダ、5・・・下枠部材置台、7・・・下加熱プレート、8・・・基板置台、9・・・素子、10・・・基板、11・・・封止シート、12・・・下枠部材、13・・・支柱、14・・・加圧シリンダ上板、15・・・中間移動プレート、16・・・断熱板、17・・・上加熱プレート、18・・・上枠部材、19・・・摺動部材、20・・・摺動シリンダ、21・・・成形型、22,22a・・・加圧シリンダ、22b・・・シリンダ機構、23・・・ロッド、24・・・内方部材、24a・・・ロッド、24b・・・枠状押え部、24c・・・スプリング、25・・・陽圧口、26・・・真空口、40・・・封止シート、41・・・加圧剥離フィルム、50・・・下枠部材、51・・・上枠部材、51a・・・段差、52・・・加熱ランプ、53・・・スライドユニット、53a・・・スライドシリンダ、53b・・・スライドレール、53c・・・スライダー、55・・・押圧シリンダ機構、55a・・・押圧シリンダ、55b・・・ロッド、55c・・・押圧枠体、60・・・テーパー部、61・・・突起、62・・・外周抜き(ガイド孔)
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6
図7
図8