(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車載バッテリの熱容量をC[J/K]、前記車載バッテリの目標冷却温度をK1[K]、前記冷却処理を開始するときの前記車載バッテリの温度をK0[K]、前記車載バッテリの温調効率をA[%]、前記車載エアコンの出力をP[W]、前記車載エアコンの最低起動時間をT3[sec]、前記間欠運転における前記車載エアコンの間欠運転回数をN1としたときに、
間欠駆動回数N1[回]は、下記(1)式を満足することを特徴とする請求項1に記載の車載バッテリの温度調節装置。
N1={C×(K0−K1)×A}÷P÷T3・・・・・・・・・・・・・(1)
前記間欠運転は、前記最低起動時間T3[sec]だけ前記車載エアコンを運転する運転状態と、前記車載バッテリを充電するのに必要な充電必要時間を前記間欠運転回数N1[回]で除したインターバルT4[sec]だけ前記車載エアコンの運転を停止する運転停止状態とを交互に前記間欠運転回数N1[回]繰り返す運転モードであることを特徴とする請求項2に記載の車載バッテリの温度調節装置。
前記車載バッテリの熱容量をC[J/K]、前記車載バッテリの目標昇温温度をK1´[K]、前記昇温処理を開始するときの前記車載バッテリの温度をK0´[K]、前記車載バッテリの温調効率をA[%]、前記車載エアコンの出力をP´[W]、前記車載エアコンの最低起動時間をT3´[sec]、前記間欠運転における前記車載エアコンの間欠運転回数をN1´としたときに、
間欠駆動回数N1´[回]は、下記(1)´式を満足することを特徴とする請求項5に記載の車載バッテリの温度調節装置。
N1´={C×(K1´−K0´)×A}÷P´÷T3´・・・・・・・・・(1)´
前記間欠運転は、前記最低起動時間T3´[sec]だけ前記車載エアコンを運転する運転状態と、前記車載バッテリを充電するのに必要な充電必要時間を前記間欠運転回数N1´[回]で除したインターバルT4´[sec]だけ前記車載エアコンの運転を停止する運転停止状態とを交互に前記間欠運転回数N1´[回]繰り返す運転モードであることを特徴とする請求項6に記載の車載バッテリの温度調節装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0012】
本発明の実施例である車載バッテリの温度調節装置(以下、温度調節装置という)について、
図1を用いて説明する。
図1は、温度調節装置の概略構成図である。温度調節装置100は、バッテリパック1と、車室用熱交換部51と、コンデンサ部52と、ファン53と、コンプレッサ部54と、切替弁部55と、熱交換媒体移動経路L1〜L7と、第1の圧力調節部61と、第2の圧力調節部62と、コントローラ20と、充電終了時刻受付部30と、記憶部40とを含む。
【0013】
バッテリパック1は、組電池(車載バッテリに相当する)10と、チャンバ11と、パック内熱交換部12と、ブロワ13と、循環経路14と、温度取得部15とを含む。組電池10は、単電池10aを直列に接続することにより構成されている。ただし、一部に並列接続された単電池10aが含まれていてもよい。単電池10aには、リチウムイオン電池やニッケル水素電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに電気二重層キャパシタを用いることもできる。組電池10を構成する単電池10aの個数は、組電池10に対して要求される出力などを考慮して、適宜設定することができる。
【0014】
組電池10は、車両走行用モータに電力を供給する。車両には、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両を走行させる動力源として、組電池10に加えて、エンジン又は燃料電池といった、他の動力源を備えている。電気自動車は、車両を走行させる動力源として、組電池10だけを備えている。チャンバ11は、組電池10に組付けられており、組電池10の温度調節に用いられる空気のパック内移動通路を形成する。
【0015】
ブロワ13は、組電池10の電力を用いて駆動され、回転動作することによってチャンバ11の内部に空気を送風する。パック内熱交換部12は、組電池10とブロワ13との間に配置されている。ブロワ13から送風される空気は、パック内熱交換部12を通過する際に、パック内熱交換部12に導入された熱交換媒体と熱交換を行うことにより、温度調節される。ブロワ13から送風される空気が熱交換媒体によって冷却される場合には、この冷却後の空気を用いて組電池10を冷却することができる。ブロワ13から送風される空気が熱交換媒体によって加熱される場合には、この加熱後の空気を用いて組電池10を昇温することができる。
【0016】
循環経路14は、ブロワ13からチャンバ11の内部に送風された空気をチャンバ11の内外で循環させる。温度取得部15は、組電池10の温度情報を取得する。温度取得部15には、サーミスタを用いることができる。サーミスタは、個々の単電池10aに設けられていてもよいし、単電池10aを複数個纏めた電池ブロックの個々に設けられていてもよい。温度取得部15が取得した温度情報は、コントローラ20に出力される。
【0017】
コントローラ20は、温度調節装置100全体の制御を司り、ファン53、コンプレッサ部54、切替弁部55及びブロワ13の駆動を制御したり、組電池10の充放電を制御する。コントローラ20は、一つのECU、或いは複数のECUであってもよい。例えば、車室内の温度調節を行うECUと、組電池10の温度調節を行うECUとが異なっていてもよい。
【0018】
コンプレッサ部54は、電動モータによる駆動部と熱交換媒体の吸入、圧縮、吐出を行う渦巻き型のスクロール部とを備え、組電池10の電力を用いて駆動される。切替弁部55は、熱交換媒体の移動経路を車室用熱交換部51に向かう経路と、パック内熱交換部12に向かう経路との間で切り替える。
【0019】
車室内を冷却する場合、コンプレッサ部54において高温、高圧に圧縮されたガス状の熱交換媒体が、熱交換媒体移動経路L2に吐出される。熱交換媒体移動経路L2に吐出された熱交換媒体は、コンデンサ部52に流入して、ファン53から送風される空気によって冷却される。コンデンサ部52において冷却された熱交換媒体は、熱交換媒体移動経路L1に排出され、第2の圧力調整部62を通過する際に減圧されることにより、さらに冷却される。第2の圧力調整部62を通過する際に減圧された熱交換媒体は、車室用熱交換部51に流入して、車室内に送風される空気を冷却する。車室内に送風される空気を冷却することによって昇温した熱交換媒体は、熱交換媒体移動経路L3に排出され、再びコンプレッサ部54に流入する。
【0020】
組電池10を冷却する場合、コンプレッサ部54において高温、高圧に圧縮されたガス状の熱交換媒体が、熱交換媒体移動経路L2に吐出される。熱交換媒体移動経路L2に吐出された熱交換媒体は、コンデンサ部52に流入して、ファン53から送風される空気によって冷却される。コンデンサ部52において冷却された熱交換媒体は、熱交換媒体移動経路L1に排出され、第2の圧力調整部62の手前で熱交換媒体移動経路L4に流入する。熱交換媒体移動経路L4に流入した熱交換媒体は、切替弁部55を通過して、熱交換媒体移動経路L6に流入する。熱交換媒体移動経路L6に流入した熱交換媒体は、第1の圧力調整部61を通過する際に減圧されることにより、さらに冷却される。第1の圧力調整部61を通過する際に減圧された熱交換媒体は、パック内熱交換部12に流入して、ブロワ13から送風される空気を冷却する。ブロワ13から送風される空気を冷却することによって昇温した熱交換媒体は、パック内熱交換部12から熱交換媒体移動経路L7に排出され、切替弁部55、熱交換媒体移動経路L5及び熱交換媒体移動経路L3を通って、再びコンプレッサ部54に流入する。
【0021】
車室内を暖める場合、コンプレッサ部54において高温、高圧に圧縮されたガス状の熱交換媒体が、熱交換媒体移動経路L3に吐出される。熱交換媒体移動経路L3に吐出された熱交換媒体は、車室用熱交換部51に流入して、車室内に送風される空気を昇温する。車室内に送風される空気を昇温することによって冷却された熱交換媒体は、熱交換媒体移動経路L1に排出され、第2の圧力調整部62を通過する際に減圧されることによって、さらに冷却される。第2の圧力調整部62を通過する際に減圧された熱交換媒体は、コンデンサ部52に流入して、ファン53から送風される空気によって加熱される。コンデンサ部52において加熱された熱交換媒体は、熱交換媒体移動経路L2に排出され、再びコンプレッサ部54に流入する。
【0022】
組電池10を昇温する場合、コンプレッサ部54において高温、高圧に圧縮されたガス状の熱交換媒体が、熱交換媒体移動経路L3に吐出される。熱交換媒体移動経路L3に吐出された熱交換媒体は、車室用熱交換部51の手前で、熱交換媒体移動経路L5に流入する。熱交換媒体移動経路L5に流入した熱交換媒体は、切替弁部55及び熱交換媒体移動経路L7を通過して、パック内熱交換部12に流入する。パック内熱交換部12に流入した熱交換媒体は、ブロワ13から送風される空気を暖める。ブロワ13から送風される空気を暖めることによって冷却された熱交換媒体は、熱交換媒体移動経路L6に排出され、第1の圧力調整部61を通過する際に減圧されることによって、さらに冷却される。第1の圧力調整部61において減圧された熱交換媒体は、切替弁部55、熱交換媒体移動経路L4及び熱交換媒体移動経路L1を介して、コンデンサ部52に流入し、ファン53から送風される空気によって加熱される。コンデンサ部52において加熱された熱交換媒体は、熱交換媒体移動経路L2に排出され、再びコンプレッサ部54に流入する。
【0023】
記憶部40には、コントローラ20が行う処理の処理プログラム、この処理プログラムを実行する際に必要な各種情報が記憶されている。各種情報には、組電池10の熱容量C[J/K]、組電池10を冷却する際の目標冷却温度K1[K]、組電池10を昇温する際の目標昇温温度K1´[K]、組電池10の温調効率A[%]、温度調節装置100の冷却動作時の最低起動時間T3[sec]、温度調節装置100の加熱動作時の最低起動時間T3´[sec]、組電池10を冷却する時の温度調節装置100の出力P[W]、組電池10を昇温する時の温度調節装置100の出力P´[W]等が含まれる。
【0024】
組電池10の熱容量C[J/K]は、各単電池10aの熱容量の総和とすることができる。目標冷却温度K1[K]は、組電池10の劣化を抑制する観点から適宜の値に設定することができる。目標昇温温度K1´[K]は、組電池10の入出力特性を改善する観点から適宜の値に設定することができる。温調効率A[%]は、組電池10から自然放熱される熱の熱量を実験、或いはシミュレーションによって確認して、適宜の値に定めることができる。なお、温調効率A[%]は、組電池10を冷却する場合も昇温する場合も同じである。最低起動時間T3は、コンプレッサ部52が作動してからパック内熱交換部12の温度が安定するまでの時間であり、例えば、パック内熱交換部12に図示しないサーミスタを設け、このサーミスタにより検出される検出温度の単位時間あたりの変化量が0(誤差を含む)になるまでの時間を最低起動時間T3とすることができる。最低起動時間T3´の定義は、最低起動時間T3の定義と同じであるから、説明を繰り返さない。出力P及び出力P´は、例えば、ブロワ13、ファン53及びコンプレッサ54の出力の総和であってもよい。また、出力P及び出力P´は、温度調節装置100の性能に応じて適宜定めることができ、互いに異なる数値であってもよいし、同じ数値であってもよい。
【0025】
次に、
図2を参照しながら、組電池10を外部充電する外部充電システムについて説明する。組電池10の正極端子には、正極ラインPL2が接続されており、組電池10の負極端子には、負極ラインNL2が接続されている。
【0026】
正極ラインPL2には、充電リレーCHR1が設けられており、負極ラインNL2には、充電リレーCHR2が設けられている。充電リレーCHR1,CHR2は、
図1に図示するコントローラ20からの制御信号を受けて、オンおよびオフの間で切り替わる。
【0027】
充電器71は、ラインPL2,NL2を介して、組電池10と接続されている。充電器71は、後述する外部電源74から供給される交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池10に供給する。これにより、外部電源74からの電力を用いて、組電池10を充電することができる。なお、外部電源74からの電力を組電池10に供給するとき、充電器71は、電圧を変換することもできる。
【0028】
充電器71には、インレット72が接続されており、インレット72は、プラグ73と接続される。ここで、充電器71およびインレット72は、車両に搭載されており、プラグ73は、車両の外部に配置されている。プラグ73は、外部電源74と接続されており、プラグ73をインレット72に接続することにより、外部電源74からの電力を充電器71に供給することができる。
【0029】
外部電源74は、車両の外部において、車両とは別に設置された電源であり、外部電源74としては、例えば、商用電源がある。組電池10の出力を用いて車両を走行させることにより、組電池10のSOC(State of Charge)が低下したときには、外部充電処理を行うことにより、組電池10のSOCを上昇させることができる。ここで、SOCとは、満充電容量に対する、現在の充電容量の割合である。
【0030】
外部充電処理を行うシステムとしては、
図2に示すシステムに限るものではない。すなわち、外部電源74の電力を組電池10に供給することができればよい。具体的には、
図2に示すシステムに代えて、
図3に示すシステムを用いることができる。
図3において、
図2で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を用いている。
【0031】
組電池10には、正極ラインPL2および負極ラインNL2を介して、インレット72が接続されている。ここで、インレット72は、車両に搭載されている。インレット72と接続されるプラグ73は、車両の外部において、充電器71と接続されている。充電器71は、外部電源74から供給された交流電力を直流電力に変換する。プラグ73がインレット72に接続されているときには、充電器71からの直流電力が組電池10に供給される。これにより、組電池10を充電することができる。
【0032】
図3に示すシステムにおいて、コントローラ20は、充電器71との間で通信することにより、外部充電処理を開始させたり、外部充電処理を停止させたりすることができる。コントローラ20および充電器71の通信は、無線又は有線を介して行うことができる。なお、外部電源74の電力を組電池10に供給する経路では、有線だけでなく、無線を用いることもできる。すなわち、電磁誘導や共振現象を利用した、いわゆる非接触充電方式を採用することもできる。
【0033】
次に、
図4、
図5及び
図7のフローチャートを参照しながら、コントローラ20が外部充電中に行う組電池10の温度調節処理について説明する。
図4を参照して、コントローラ20は、プラグ73がインレット72に接続されると(ステップS101)、現在時刻T0を確認して記憶部40に記憶する(ステップS102)。コントローラ20は、現在時刻T0を確認した後、充電終了時刻受付部30を介して入力された充電終了時刻TCを記憶部40に記憶する(ステップS103)。充電終了時刻の入力は、ユーザが行うことができる。
【0034】
コントローラ20は、組電池10の現在のSOCを算出し(ステップS104)、充電後の目標SOCと現在のSOCとの差分から、充電に必要な時間T1[sec]を算出する(ステップS105)。つまり、コントローラ20は、組電池10を目標SOCまで充電するのに必要な充電必要時間T1[sec]を算出する。目標SOCは、過充電を防止する観点から適宜の値に設定することができる。
【0035】
コントローラ20は、充電終了時刻TCと現在時刻T0との差分から充電可能時間を算出し、この算出された充電可能時間(TC−T0)[sec]と充電必要時間T1[sec]との長短を比較する(ステップS106)。つまり、コントローラ20は、ステップS106において、充電可能時間(TC−T0)[sec]内に組電池10を目標SOCまで充電できるか否かを判別する。組電池10を目標SOCまで充電できない場合(ステップS106 NO)、コントローラ20は、組電池10の温度調節処理を実施せずに、組電池10の充電を開始する(ステップS110)。
【0036】
ここで、組電池10を温度調節する場合、組電池10の電力を用いてファン53、コンプレッサ部54及びブロワ13を駆動する必要があるため、外部充電している組電池10の電力の一部がコンプレッサ部54などの動作エネルギとして消費されてしまう。そこで、組電池10を目標SOCまで充電できないと判別した場合(ステップS106 NO)には、組電池10の温度調節よりも組電池10の充電処理を優先させる。これにより、組電池10のSOCを目標SOCにより近付けることができる。
【0037】
コントローラ20は、組電池10の充電を開始すると、組電池10のSOCを算出し(ステップS111)、組電池10のSOCが目標SOCに到達するまで充電を継続する(ステップS112)。
【0038】
一方、充電可能時間(TC−T0)[sec]内に組電池10を目標SOCまで充電できる場合(ステップS106 YES)、コントローラ20は、温度取得部15の検出結果に基づき、現在の組電池10の温度を検出し、この検出温度を現在電池温度K0として記憶部40に記憶する(ステップS107)。コントローラ20は、外気が極低温であるか否かを判別する(ステップS108)。極低温は、組電池10の入出力特性を維持する観点から適宜の値に設定することができる。また、極低温であるか否かは、車両の外気温度センサー(不図示)によって検出される一日の平均温度に基づき判別することができる。ただし、外気温度センサーではなく、例えば、一日の平均温度をインターネットを介してサーバから取得することにより、極低温であるか否かを判別してもよい。
【0039】
外気が極低温でない場合(ステップS108 NO)、コントローラ20は、さらに、外気が所定温度よりも高いか否かを判別する(ステップS109)。所定温度は、充電時の温度上昇による組電池10の劣化を抑制する観点から適宜の値に設定することができる。外気が所定温度よりも高くない場合(ステップS109 NO)、外部充電による組電池10の発熱を放置しても、組電池10が大きく劣化しないため、処理はステップS110に進む。つまり、外気が極低温でもなく、所定温度よりも高くない場合には、温度調節装置100を運転せずに、組電池10の外部充電を行う。これにより、温度調節装置100の運転に伴う、組電池10の電力喪失を無くすことができる。
【0040】
一方、外気が所定温度よりも高い場合(ステップS109 YES)、外部充電中に組電池10を冷却する必要があるため、処理はステップS113に進む。続いて、
図5を参照しながら、ステップS113以降の処理について説明する。ステップS113以降は、
温度調節装置100を間欠運転する際にコントローラ20が行う処理を示している。ここで、間欠運転とは、温度調節装置100を動作させて組電池10を温度調節する運転状態と、温度調節装置100を停止させる運転停止状態とを交互に繰り返す運転方式のことである。
【0041】
コントローラ20は、外部充電中における温度調節装置100の運転回数、つまり、間欠運転回数N1[回]を算出する(ステップS113)。具体的には、コントローラ20は、最初に組電池10の冷却処理に必要なエネルギ量E[J]を算出する。エネルギ量E[J]は、下記の式(A)から算出することができる。コントローラ20は、記憶部40から組電池10の熱容量C[J/K]、組電池10の目標冷却温度K1[K]、組電池10の現在電池温度K0[K]及び温調効率A[%]を読み出し、演算処理することにより、エネルギ量E[J]を算出することができる。
E={C×(K0−K1)×A}・・・・・・・・・・・(A)
【0042】
エネルギ量E[J]を算出後、コントローラ20は、下記の式(B)から冷却に必要な総時間T2[sec]を算出する。つまり、コントローラ20は、温度調節装置100の出力Pを記憶部40から読み出し、エネルギ量E[J]を出力Pで除することにより、冷却に必要な総時間T2[sec]を算出する。
T2=E÷P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (B)
【0043】
冷却に必要な総時間T2[sec]算出後、コントローラ20は、下記の式(C)から間欠運転回数N1[回]を算出する。つまり、コントローラ20は、温度調節装置100の最低起動時間T3を記憶部40から読み出し、冷却に必要な総時間T2[sec]を最低起動時間T3で除することにより、間欠運転回数N1[回]を算出する。
N1=T2÷T3・・・・・・・・・・・・・・・・・・(C)
なお、請求項2に記載された式(1)は、式(A)及び式(B)を式(C)に代入したものである。
【0044】
コントローラ20は、間欠運転回数N1[回]を算出した後に、充電必要時間T1[sec]を間欠運転回数N1[回]で除して、インターバルT4[sec]を算出する(ステップS114)。インターバルT4[sec]とは、温度調節装置100が運転を停止してから運転を再開するまでの時間である。
【0045】
コントローラ20は、運転スケジュールを確定して、これを記憶部40に記憶する(ステップS115)。具体的には、コントローラ20は、温度調節装置100を最小起動時間T3[sec]運転する運転状態と、温度調節装置100をインターバルT4[sec]停止する運転停止状態とを交互にN1回繰り返す間欠運転モードを運転スケジュールとして確定する。温度調節装置100を用いて組電池10を冷却する方法については、上述したので説明を繰り返さない。
【0046】
コントローラ20は、ステップS115において確定した間欠運転の実施時間(T3+T4)N1[sec]と、充電可能時間(TC−T0)[sec]との大小を比較する(ステップS116)。充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3+T4)N1[sec]より長い場合(ステップS116 YES)、充電可能時間(TC−T0)[sec]内に予定通りの間欠運転を実施できるため、コントローラ20は、確定した運転スケジュールに従い、温度調節装置100を間欠運転するとともに、組電池10を外部充電する(ステップS117)。
【0047】
図6は、時々刻々と変化する組電池10の温度変化を示しており、横軸が時刻、縦軸が組電池10の温度を示している。点線は、外部充電中に温度調節装置100を連続運転した場合の組電池10の温度変化を示しており、実線は、外部充電中に温度調節装置100を間欠運転した場合の組電池10の温度変化を示している。1日の平均温度が20℃と比較的高いため、外部充電とともに組電池10を冷却する処理が実施された。また、コントローラ20による演算処理の結果、間欠運転回数N1[回]は3回と算出された。実線と点線を比較して、外部充電中の組電池10の平均温度は、連続運転の場合も間欠運転の場合も殆ど変わらないことがわかった。間欠運転の場合、インターバルT4に対応する時刻は温度調節装置100が停止しているため、連続運転の場合よりも、コンプレッサ部54の使用時間が短くなり、コンプレッサ部54の寿命低下を抑制できる。
【0048】
再び、
図5のフローチャートを参照して、コントローラ20は、組電池10の外部充電開始後に、組電池10のSOCを算出し(ステップS118)、組電池10のSOCが目標SOCに到達するまで充電を継続する(ステップS119)。
【0049】
充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3+T4)N1[sec]より短い場合(ステップS116 NO)、充電可能時間(TC−T0)[sec]内に予定した間欠運転を実施できないため、組電池10が冷却不足となる。そこで、ステップS120以降の処理を実施することにより、運転スケジュールを変更する。コントローラ20は、間欠運転回数N1[回]を前回より1回少ない間欠運転回数Nn[回]に変更する(ステップS120)。例えば、前回の間欠運転回数N1[回]が3回である場合、コントローラ20は、新しい間欠運転回数Nn[回]として2回を設定する。
【0050】
コントローラ20は、間欠運転回数Nn[回]を算出した後に、間欠運転回数Nn[回]で充電必要時間T1[sec]を除して、新しいインターバルTn[sec]を再計算する(ステップS121)。コントローラ20は、運転スケジュールを確定して、これを記憶部40に記憶する(ステップS122)。具体的には、コントローラ20は、最小起動時間T3[sec]だけ温度調節装置100を運転する運転状態と、インターバルTn[sec]だけ温度調節装置100を停止する停止状態とを交互にNn回繰り返す間欠運転モードを運転スケジュールとして確定する。
【0051】
コントローラ20は、ステップS122において確定した間欠運転の実施時間(T3+Tn)Nn[sec]と、充電可能時間(TC−T0)[sec]との大小を比較する(ステップS123)。充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3+Tn)Nn[sec]より長い場合(ステップS123 YES)、充電可能時間(TC−T0)[sec]内に予定通りの間欠運転を実施できるため、コントローラ20は、確定した運転スケジュールに従い、温度調節装置100を間欠運転するとともに、組電池10を外部充電する。充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3+Tn)Nn[sec]より長くない場合(ステップS123 NO)、ステップS120に戻り、充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3+Tn)Nn[sec]より長くなるまで、ステップS120〜ステップS123の処理を繰り返す。
【0052】
上述の方法によれば、組電池10の冷却に必要なエネルギ量を算出し、充電可能時間(TC−T0)[sec]内にこのエネルギ量分だけ組電池10を冷却できるため、組電池10が冷却不足となることを防止できる。これにより、組電池10の温度上昇による劣化をより確実に抑止することができる。
【0053】
再び
図4を参照して、外気が極低温である場合(ステップS108 YES)、外部充電中に組電池10を昇温する必要があるため、処理は
図7のステップS124に進む。続いて、
図7を参照しながら、ステップS124以降の処理について説明する。ステップS124以降は、温度調節装置100を間欠運転する際にコントローラ20が行う処理を示している。間欠運転の定義については、説明を繰り返さない。
【0054】
コントローラ20は、外部充電中における温度調節装置100の運転回数、つまり、間欠運転回数N1´[回]を算出する(ステップS124)。具体的には、コントローラ20は、最初に組電池10の昇温処理に必要なエネルギ量E´[J]を算出する。エネルギ量E´[J]は、下記の式(A)´から算出することができる。コントローラ20は、記憶部40から組電池10の熱容量C[J/K]、組電池10の目標昇温温度K1´[K]、組電池10の現在電池温度K0´[K]及び温調効率Aを読み出し、演算処理することにより、エネルギ量E´[J]を算出することができる。
E´={C×(K1´−K0´)×A}・・・・・・・・・・・(A)´
【0055】
エネルギ量E´[J]を算出後、コントローラ20は、下記の式(B)´から昇温に必要な総時間T2´[sec]を算出する。つまり、コントローラ20は、温度調節装置100の出力P´を記憶部40から読み出し、エネルギ量E´[J]を出力P´で除することにより、昇温に必要な総時間T2´[sec]を算出する。
T2´=E´÷P´・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(B)´
【0056】
昇温に必要な総時間T2´[sec]算出後、コントローラ20は、下記の式(C)´から間欠運転回数N1´[回]を算出する。つまり、コントローラ20は、温度調節装置100の最低起動時間T3´を記憶部40から読み出し、昇温に必要な総時間T2´[sec]を最低起動時間T3´で除することにより、間欠運転回数N1´[回]を算出する。
N1´=T2´÷T3´・・・・・・・・・・・・・・・・・・(C)´
なお、請求項
6に記載された式(1)´は、式(A)´及び式(B)´を式(C)´に代入したものである。
【0057】
コントローラ20は、間欠運転回数N1´[回]を算出した後に、充電必要時間T1[sec]を間欠運転回数N1´[回]で除して、インターバルT4´[sec]を算出する(ステップS125)。インターバルT4´[sec]の定義については、説明を繰り返さない。
【0058】
コントローラ20は、運転スケジュールを確定して、これを記憶部40に記憶する(ステップS126)。具体的には、コントローラ20は、温度調節装置100を最小起動時間T3´[sec]運転する運転状態と、温度調節装置100をインターバルT4´[sec]停止する運転停止状態とを交互にN1´回繰り返す間欠運転モードを運転スケジュールとして確定する。温度調節装置100を用いて組電池10を昇温する方法については、上述したので説明を繰り返さない。
【0059】
コントローラ20は、ステップS126において確定した間欠運転の実施時間(T3´+T4´)N1´[sec]と、充電可能時間(TC−T0)[sec]との大小を比較する(ステップS127)。充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3´+T4´)N1´[sec]より長い場合(ステップS127 YES)、充電可能時間(TC−T0)[sec]内に予定通りの間欠運転を実施できるため、コントローラ20は、確定した運転スケジュールに従い、温度調節装置100を間欠運転するとともに、組電池20を外部充電する(ステップS128)。
【0060】
図8は、時々刻々と変化する組電池10の温度変化を示しており、横軸が時刻、縦軸が組電池10の温度を示している。点線は、外部充電中に温度調節装置100を連続運転した場合の組電池10の温度変化を示しており、実線は、外部充電中に温度調節装置100を間欠運転した場合の組電池10の温度変化を示している。1日の平均温度が0℃と比較的低いため、外部充電とともに組電池10を昇温する処理が実施された。また、コントローラ20による演算処理の結果、間欠運転回数N1[回]は3回と算出された。実線と点線を比較して、外部充電中の組電池10の平均温度は、連続運転の場合も間欠運転の場合も殆ど変わらないことがわかった。間欠運転の場合、インターバルT4´に対応する時刻は温度調節装置100が停止しているため、連続運転の場合よりも、コンプレッサ部54の使用時間が短くなり、コンプレッサ部54の寿命低下を抑制できる。
【0061】
再び、
図7のフローチャートを参照して、コントローラ20は、組電池10の外部充電開始後に、組電池10のSOCを算出し(ステップS129)、組電池10のSOCが目標SOCに到達するまで充電を継続する(ステップS130)。
【0062】
充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3´+T4´)N1´[sec]より短い場合(ステップS127 NO)、充電可能時間(TC−T0)[sec]内に予定した間欠運転を実施できないため、組電池10が昇温不足となる。そこで、ステップS131以降の処理を実施することにより、運転スケジュールを変更する。コントローラ20は、間欠運転回数N1´[回]を前回より1回少ない間欠運転回数Nn´[回]に変更する(ステップS131)。例えば、前回の間欠運転回数N1´[回]が3回である場合、コントローラ20は、新しい間欠運転回数Nn´[回]として2回を設定する。
【0063】
コントローラ20は、間欠運転回数Nn´[回]を算出した後に、間欠運転回数Nn´[回]で充電必要時間T1[sec]を除して、新しいインターバルTn´[sec]を再計算する(ステップS132)。コントローラ20は、運転スケジュールを確定して、これを記憶部40に記憶する(ステップS133)。具体的には、コントローラ20は、最小起動時間T3´[sec]だけ温度調節装置100を運転する運転状態と、インターバルTn´[sec]だけ温度調節装置100を停止する停止状態とを交互にNn´回繰り返す間欠運転モードを運転スケジュールとして確定する。
【0064】
コントローラ20は、ステップS134において確定した間欠運転の実施時間(T3´+Tn´)Nn´[sec]と、充電可能時間(TC−T0)[sec]との大小を比較する(ステップS134)。充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3´+Tn´)Nn´[sec]より長い場合(ステップS134 YES)、充電可能時間(TC−T0)[sec]内に予定通りの間欠運転を実施できるため、コントローラ20は、確定した運転スケジュールに従い、温度調節装置100を間欠運転する。充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3´+Tn´)Nn´[sec]より長くない場合(ステップS134 NO)、ステップS131に戻り、充電可能時間(TC−T0)[sec]が間欠運転の実施時間(T3´+Tn´)Nn´[sec]より長くなるまで、ステップS131〜ステップS134の処理を繰り返す。
【0065】
上述の方法によれば、組電池10の昇温に必要なエネルギ量を算出し、充電可能時間(TC−T0)[sec]内にこのエネルギ量分だけ組電池10を昇温できるため、組電池10が昇温不足となることを防止できる。これにより、外部充電終了後の組電池10の入出力特性を所望のレベルに維持することができる。
【0066】
(変形例1)
上述の実施形態では、ユーザが充電終了時刻受付部30に充電終了時刻を入力して、組電池10をタイマー充電する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。本願発明は、タイマー充電機能を有しない場合にも適用することができる。この場合、
図4のフローチャートにおいて、ステップS102、ステップS103、ステップS106の処理が省略される。すなわち、コントローラ20は、ステップS105において充電必要時間T1[sec]を算出した後、ステップS106の処理を省略してステップS107の処理を実施する。この場合、組電池20の温調制御が、組電池20の外部充電を優先するために省略されることがないため、組電池20の寿命低下、入出力特性の確保をより確実に行うことができる。