(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部映像入力端子を有するテレビジョン受像機と、前記入力端子に接続する通信ユニットと、リモコンとを有し、前記通信ユニットは、公衆通信網を介して他の通信機器と通信可能な公衆通信回路とリモコンと相互通信可能な無線回路を有し、前記リモコンは、テレビジョン受像機操作のためテレビジョン受像機に信号を送るとともに、前記通信ユニットと相互通信可能な無線回路を有し、他の通信機器が公衆通信網を介して通信ユニットと通信を行い、通信内容を通信ユニットとリモコンで交信することで、リモコンから自動的にテレビジョン受像機の動作制御を行うようにしたことを特徴とするテレビジョン情報システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、家庭内にテレビ受像機TV1が置かれ、PHS回路2
などの通信ユニットがTV1の外部映像端子(HDMI(登録商標)端子が好適)に結合され、テレビのリモコン3が、テレビには通常の赤外線で電源のオンオフや画面選択の信号を送るとともに、PHS回路2とはブルーツース(BT)無線で相互交信できることを示す。また、PHS回路2はPHSなどの公衆無線通信機能を持っているので、公衆通信ネットワーク4を介して、他の通信機器として、携帯電話6や固定電話7、さらに(防災)情報センタあるいは(視聴率測定)情報センタ5と通信できる模様を示す。
【0010】
リモコン3は
図3に示すように赤外線送信回路3−1をもった通常のテレビ操作ボタン3−2(テレビのリモコンボタン)と、PHS回路2にある携帯電話機能などを操作するPHS回路操作ボタン3−4
(通信ユニット制御ボタン)を有する。PHS回路操作ボタン3−4は、BT無線回路3−3を介してPHS回路2と交信する。また、携帯電話として使用するため、会話するためのマイク3−5とスピーカ3−6を有する。
【0011】
図4は、PHS回路2の内部構成を示す。PHS通信部2−3は、ネットワーク4とPHS通信を行うための通信回路で、ネットワーク4を介して固定電話7や携帯電話6や情報センタ5との通信が自由に可能となる。PHS通信部2−3は、一般のPHS携帯電話から音声会話部、キー操作部、液晶表示部を除外したものと考えてよく、除かれたそれらの部分は、リモコン3とTV1の表示部とで代替している。映像信号作成部2−2は、携帯電話の表示部をテレビジョン信号に変換してTV1のHDMI入力映像として表示できるようにするための回路である。BT無線回路2−4は、リモコン3のBT無線回路3−3と交信し、携帯電話に着呼があったことを伝えたり、リモコンから発呼するとき電話番号を伝えたり、HDMI入力映像から表示されるメニュー選択をリモコン3の操作ボタンで行ったとき、その選択した情報をリモコン3からPHS回路2へ伝えたりする。
【0012】
HDMI回路2−1は、映像信号作成部2−2で作成された映像・音声信号をHDMIのコネクタ信号として生成する回路である。メモリ2−5は、携帯電話の留守電やメール情報またテレビの使用履歴情報などを保存するためのものである。PHS回路2はさらに、GPS受信機2−6、電池2−7、時計2−8を有している。電池2−7は、テレビ電源がオンのときは、HDMI端子に出力される直流電源で充電しておくことも可能である。時計2−8は、前記したテレビの使用履歴管理などあらゆる情報のタイムスタンプ機能のために使用される。
【0013】
図5は、リモコン3のボタン配列を示すもので、左側が通常のテレビのリモコンボタン、右側がPHS回路2を操作するためのボタンを示す。
【0014】
使用形態の例1として、防災情報を発信する情報センタ5が地震情報を送信する場合を例にする。
【0015】
情報センタ5は、大地震や津波が発生すると、登録してある携帯電話に一斉に、電子メールで大地震津波警報を送信する。PHS通信部2−3で受信した情報は、映像信号作成部2−2でテレビジョン信号として生成され、HDMI回路2-1に送るとともに、PHS通信部2−3に受信があったことを知らせる制御信号は、BT無線回路2−4でリモコンに送り、TV1が電源オフのときはオンにして、画面表示をHDMI入力にして電子メールで受信した情報をTV画面に表示する。TV1が電源オンで、何かの番組を視聴中のときは、リモコン3で、TV画面を2画面表示にして片方をHDMI入力映像にする。この場合の画面表示の例を
図6(a)に示す。
図6(a)は、2画面表示機能のあるテレビで、画面の左側にテレビ映像、右側にHDMI入力映像が表示されている例である。2画面表示機能のないTVを使用しているときは、視聴中の番組を一旦HDMI入力画面に切り替える。防災情報センタ5から送られる情報に音声が含まれないときは、映像信号作成部2−2で警報的な音を作成し、音量も大きくしておく。また、TV1をオフからオンにするときは、音の発生時間を長くし、TV視聴者が睡眠中であっても地震警報等に気付くようにする。もちろん、視聴者がその情報を見終わると、
図5に示すリモコンボタンの「解除」ボタンで警報が解除される。一般にテレビ視聴中は、地震とかの防災情報は各テレビ局がテロップで表示するので、テレビ視聴中にこれらの情報を受信し、視聴中の番組が切り替わったりするのが嫌なときは、画面表示しないように設定しておくことも、
図5の「表示拒否」ボタンを押しておくことで可能である。
【0016】
使用形態の例2として、テレビ視聴中に電子メールを受信すると、例1に記したようなPHS回路2とリモコン3の動作のようにTV1が2画面表示に自動的に切り替わり、視聴しながらHDMI入力映像として変換された電子メール情報を読むことができる。たとえば、高齢者が、娘から「孫と一緒に明日伺います」とかのメールを受けると、高齢者は、何も操作することなくメール内容をテレビ画面で見ることができる。
図6(b)はこのケースでの表示例を示す。テレビ視聴中に勝手に2画面表示になりメール表示が出ることが嫌なときは、
図5のリモコンボタンの「表示拒否」ボタンを押しておけばよい。この場合、
図5のリモコンボタンの「メール」LEDが点灯し、未読のメールがあることを示す。番組視聴後メールを読むときは、リモコンボタンの「メール表示」ボタンを押せば、携帯電話のメールを読むのと同様に、リモコンボタンの「上下左右スクロール←↑→↓」ボタンと「決定」ボタンの操作で可能である。
【0017】
使用形態の例3として、テレビ視聴中に電話での着信を受けると、TV1の画面は自動的に2画面表示になり、HDMI表示部に「xxxさんから電話」という表示がでる。それを見て、
図5のリモコンボタンの「着信」ボタンを押すと、テレビの音量が自動的に少し小さくなり、リモコン3のマイク3−5、スピーカ3−6で会話可能である。会話したくなければ、
図5のリモコンボタンの「電話拒否」ボタンを押すと、留守番電話モードになり、メッセージが、PHS回路2のメモリ2−5に保存されるとともにリモコンボタンのLED表示部の「電話」が点灯する。テレビ視聴後に留守電の内容を聞くときは、
図5のリモコンボタンの「留守録再生」ボタンを押す。テレビ視聴中に勝手に電話があったことが表示されるのが嫌なときは、リモコンボタンの「表示拒否」ボタンを押しておけばよく、そのとき受けた電話は自動的に留守番電話になる。
【0018】
また、リモコンを使用して携帯電話の発信も可能で、
図5のリモコンボタンの「発信」ボタンを押すと、テレビ視聴中は自動的に2画面表示になり、テレビがオフのときは自動的にオンになり、HDMI入力画面が表示される。このとき、テレビ画面は
図6(c)に示す画面になり、予め登録しておいた宛先を選択するか、ダイアル入力して電話するかの選択画面になる。予め登録しておいた宛先である
図6(c)の中で「娘」を選択すれば、娘宅へ自動発信される。「ダイアル」を選択すると、
図6(d)の画面にかわり、入力したダイアル番号が順次画面に出てくる。ダイアル入力には、チャンネル選局用のテンキー
図5に示した(リモコンボタンでは、1,2、3・・・が例示されている)を用いる。正しくダイアル入力できたことを確認した時点でもう一度「発信」ボタンを押すとダイアルが開始される。電話が繋がるとリモコン3のマイク3−5とスピーカ3−6で会話できる。
【0019】
なお、宛先登録のためには、図示しないがテレビ画面に、フルキーボードを表示し、その中から所望のキーを選択して使用できるよう、今流行の携帯電話のような画面表示ができるようになっている。そのフルキ―ボードを利用することで、メールの作成、送信が可能になるが、その操作法は携帯電話と同じような方法なのでここでは記述を省略する。
【0020】
使用形態の例4として、TV視聴の都度操作するリモコン情報をPHS回路2に送り、その情報をPHS回路2のメモリ2−5に保存しておく。その情報は、その視聴者が、どこのチャンネルを何時間見たかを日時情報とともに示すものであり、多くの視聴者からの情報を集積したものが視聴率を表すものである。視聴率を測定する情報センタ5と契約しておくことで、視聴履歴情報が情報センタ5に自動的に提供されることになる。
【0021】
なお、視聴履歴情報を蓄積しておく場所は、PHS回路2に限らず、リモコン内でもよい。
【0022】
近年、録画機能内蔵型テレビの出荷が増大しているが、録画したものを再生して視聴している実態も、リモコンでの操作情報を吸い上げることで把握できる。
【0023】
図2は家庭内構成の2番目の例で、ガス漏れセンサ8、エアコン9、室内灯10が含まれている。エアコン、室内灯には図示されていないが、赤外線受信部あるいは2−2、3−3と同様のBT無線回路が内蔵されている。ガス漏れセンサ8の内部構成は、
図7に示すように、センサ8−1の出力がAD交換8−2でアナログデジタル交換され、BT無線回路8−3に導かれる。AD変換出力は、異常値がどうかを判定する異常判定回路8−5にもつながり、センサ8−1の出力が予め決めておいた値より大きくなったときは異常と判断される。また、センサ8−1そのものの感度が情報センタ5(
図1)から制御できるようにするために、BT無線回路8−3の出力に接続された感度設定回路8−4が設けられている。
【0024】
使用形態の例5として、ガス漏れセンサ8のセンサ出力8−1が異常判定回路8−5で異常と判定されると、そのことをBT無線回路8−3を介してPHS回路2に伝える。その情報を受信したPHS回路2は、PHS通信部2−3を起動し、ガス漏れセンサ情報を受信する情報センタ5を呼び出し、予め設定されている住所情報とともに、ガス漏れセンサ情報を送る。住所情報を入力するには
図5に示すリモコンボタンの「設定」ボタンを押すと、テレビが2画面表示になり設定メニューが表示される(図示せず)。リモコンボタンの「スクロール」ボタンと「決定」ボタンを押し、住所情報を選択する。情報入力には、
図5のリモコンボタンの左側に例示されているテレビのチャネル操作ボタン(1、2,3、、、とかのテンキー)を使用する。この操作の時は、テレビチャンネル操作ボタン出力は、BT無線回路3−3に送られる。また、前記したフルキーボード画面を利用して行うこともできる。
【0025】
なお、PHS回路2内にGPS受信機2−6を置けば、住所情報に替えてGPS情報を送ることができる。PHS回路2は小型軽量なので、他のテレビに設置することが容易で、勝手に持ち運べたりするのでGPS情報を利用する方がより安全である。情報センタ5は、一定時間、送られてくるガス漏れセンサ情報を観測し、その家庭の人が不在あるいは睡眠中のようで異常状態が回復される兆しがないと判断すると、緊急車両を出動させたり、その家庭の近くで連絡の取れる人にガスの元栓を閉めてもらう等の依頼を行う。ガス漏れ情報に限らず火災報知機が感じる温度や煙情報にたいしても同様な処置が採れる。
【0026】
これらガス漏れセンサや火災センサは、正常に作動しているかについて、半年に1回とか定期的に動作を点検しておく必要がある。従来はそのために検診員が各家庭を巡回しテストしているが、巡回を受ける各家庭にとっても煩わしいものである。このため情報センタ5は、これらセンサの感度を最大に設定したときのセンサ出力信号を確認することでセンサが正常に動作しているかどうかを判断するなどの自己診断手段を内蔵している。
【0027】
情報センタ5からの定期自己診断テストを行うことで、センサに対する人員による定期検診を省略することが可能になる。自己診断手段としては、情報センタ5が、各家庭に発呼し、応答があると、センサの感度を最大値に設定する感度設定情報を送るとともに、その情報が
図7の感度設定回路8−4に導かれる。その設定でのセンサ出力電圧は、
図7のAD変換8−2、BT無線回路8−3を経て情報センタ5に返される。情報センタ5で、一定期間出力電圧を観測し、センサの作動状態があるべき状態と異なり異常と判断すれば、情報センタ5は、検診員が別途その家庭にセンサの交換に伺うように指示する。情報センタ5は正常と判断すれば、通常状態での感度設定情報を送りセンサを正常な感度に戻すことで作動状態に復帰させる。なお、センサが正常かどうかをここでは感度設定で説明したが、センサが目的に応じて所有する他のパラメータを用いてもよい。
また、情報センタ5での診断結果は、前記したセンサを正常な感度設定に戻す信号とともにPHS回路2に届き、映像信号作成部2−2で診断結果画面情報を作成し、自己診断結果をテレビ画面に表示することが可能である。表示例としては、図示しないが、「センサの自己診断を行った結果、すべてのセンサに異常はありません」とか「センサの自己診断を行った結果、火災センサに異常を発見したので、火災センサの交換に伺います」とかがある。
【0028】
使用形態の例6としては、外出先から帰宅するとき、PHS回路2のPHS通信部2−3に電話し、予め決められたボタン操作で、エアコンのスイッチを入れる指令を送る。その指令はBT通信で
図2のエアコン9に電源オンの指令を送る。同じく、室内の電灯を点灯する指示も可能である。
図2に示す室内灯10の点灯を建物外部から携帯電話や固定電話から指示すると、室内灯が点灯し、空き巣犯罪防止などの対策が採れる。
【0029】
本発明では、公衆通信網としてPHSネットワーク、公衆通信回路としてPHS回路を例に説明したが、公衆通信網、公衆通信回路は、3Gや4G携帯ネットワークに対応した携帯電話回路でもよく、また加入電話回線に対応した加入電話回路でもよい。
PHS以外の公衆通信網を使用する場合は、公衆通信回路として存在するPHS回路2にあるPHS通信部2−3は、3G通信部とか4G 通信部、あるいは加入電話回線通信部に代替されることになる。PHSは消費電力という観点では、3G、4Gより有利であり、加入電話回路を使うときは電線を接続する煩わしさという点で不利である。つまり、PHSが一番好適であろう。
【0030】
リモコンとPHS回路間の閉域無線通信として、通信距離が家庭内、建物内という短い距離なので消費電力の少ないブルーツースを例にしたが、WiFiでも構内PHSでもよい。エアコンや室内灯との通信は赤外線通信でも可能であるが、指向性があるので、赤外線中継器を設置することが必要かもしれない。テレビジョン受像機のリモコンが、旧来の赤外線通信に代わってブルーツースになれば(もちろんテレビジョン受像機にブルーツース通信機能を具備することが必要になる)指向性の問題は解決する。テレビ受像機の外部映像入力端子としてはHDMI端子を例にとったが、旧来のアナログコンポジット入力端子でもよい。その場合、画質が劣ることと電源供給されないため、PHS回路2の電池を充電できる工夫が必要である。