【実施例】
【0024】
図1aから
図1dは本発明の実施例の外サイクロイド遊星ギアカム(epicycloid planet gear cam)の構造を示す図である。
【0025】
図1aから
図1dが示すように、本発明の実施例の外サイクロイド遊星ギアカム100は主に、固定ハウジング200、ハウジング外蓋300、外サイクロイド遊星ギア、偏心輪駆動軸、カムフォロアピン600、レンズキャリア700、復原リーフスプリング800、および直流モータ900を含む。
【0026】
固定ハウジング200内部には内固定リングギアを備え、上述の外サイクロイド遊星ギアと偏心輪駆動軸を固定ハウジング200内に設置し、ハウジング外蓋300を固定ハウジング200上に組み付ける。このようにして上述の外サイクロイド遊星ギアと偏心輪駆動軸はハウジング外蓋300と固定ハウジング200中に内設される。
【0027】
モータ伝動軸は直流モータ900の駆動軸上に固設されるので、モータ伝動軸は外サイクロイド遊星ギアカムの中心の偏心輪固定孔中で自由に回転できる。本発明の実施例おいて、直流モータ900が通電し、その偏心輪駆動軸が回転し始めると、外サイクロイド遊星ギアカムは固定ハウジング中の内固定リングギアの周りを回転する。その回転方向は駆動軸の回転方向と逆方向である。
【0028】
このような状況下で外サイクロイド遊星ギアが回転すると、そのカムの回転トラックがカムフォロアピン600を上昇または下降させるが、カムフォロアピン600は復原リーフスプリング800から加えられる圧力により、カムの回転トラック上に接したままで、浮いてずれることがない。
【0029】
また、カムフォロアピン600はレンズキャリア700に付設するので、カムフォロアピン600の移動に伴いレンズキャリア700も位置を移動する。
【0030】
図2aから
図2dは本発明の実施例の固定ハウジングの構造を示す図である。
【0031】
図2aから
図2dが示すように、固定ハウジング200はハウジングボディ295、複数のハウジング固定器210、ハウジング外壁220、複数の外蓋クリアランスホール230、駆動軸クリアランスホール240、複数の組立孔250、出力装置の設置に用いられるハウジングクリアランス270、複数のリングギアローブ280、および複数のリングギアローブクリアランス290を含む。
【0032】
ハウジングボディ295は固定ハウジング200の中心本体であり、ハウジング外壁220はハウジングボディ295の周囲に設置する。複数のハウジング固定器210と複数の外蓋クリアランスホール230は固定ハウジング200のハウジング外壁220に周設する。外蓋クリアランスホール230は、その上にハウジング外蓋300を対応させて設置し、ハウジング外蓋300を固定ハウジング200上に冠着するのに用いる。
【0033】
本発明の実施例では、ハウジング外蓋300は、外蓋クリアランスホール230に嵌合することにより固定ハウジング200上に冠着する。しかし、ハウジング外蓋300と固定ハウジング200の組み付けはこの方式に限らない。
本発明の他の実施例では、ハウジング外蓋300と固定ハウジング200の組み付けを他の方式により実施することもできる。たとえば、ねじ、ボルトまたはその他の締結素子を用いてハウジング外蓋300と固定ハウジング200を組み付けることもできる。
【0034】
駆動軸クリアランスホール240は、固定ハウジング200の本体中に設けられるので、直流モータ900の駆動軸は駆動軸クリアランスホール240を利用して固定ハウジング200に貫設できる。
【0035】
組立孔250は、直流モータ900を固定ハウジング200に固設するのに用いられる。たとえば、留め具や締結素子をこれらの組立孔250に通して直流モータ900を固定ハウジング200に留めるか、または締結することができる。
【0036】
リングギアローブクリアランス290は隣り合う2つのリングギアローブ280の間に設けられる。本発明の実施例では、これらのリングギアローブ280と複数のリングギアローブクリアランス290は固定ハウジング200の内側面上に設けられる。
ここでは
図2dが示すように、外サイクロイド遊星ギア400上のサイクロイドローブとサイクロイドローブクリアランスは、これらのリングギアローブ280とリングギアローブクリアランス290に係合することにより固定ハウジング200の内部で回転できるようになる。
【0037】
ハウジングクリアランス270は固定ハウジング200のハウジング外壁220上に設けられる。本発明の実施例では、ハウジングクリアランス270は、200と出力装置との間に隙間を作るのに用いられる。
【0038】
本発明の実施例では、
図1aから
図1dが示すように、使用される出力装置はレンズキャリア700を含む。
【0039】
本発明の他の実施例では、出力装置は回転式入力を直線出力に変換するその他の装置でもよい。たとえば、工作機械、型打ち機、裁縫ミシン、往復式工具、往復式のこぎり、または鍵/ロック/錠類などがある。
【0040】
図3aから
図3dは本発明の実施例のハウジング外蓋の構造を示す図である。
【0041】
図3aから
図3dが示すように、ハウジング外蓋300は、複数の弾性組付スナップ310、複数の組付スナップ端部315、カムフォロアクリアランスホール320、カムフォロア支持ブラケット330、複数のリーフスプリング固定孔340、複数のリーフスプリングトラック350、および出力装置の設置に用いる外蓋クリアランス360を含む。
【0042】
これらの弾性組付スナップ310は、ハウジング外蓋300の外周を囲むように設置され、ハウジング外蓋300と固定ハウジング200を組み付けるのに用いられる。本発明の実施例では、これらの弾性組付スナップ310は、伸縮可能であり、溝を有するので、ハウジング外蓋300を固定ハウジング200に組み付ける時または取り外す時、弾性組付スナップ310はそれに応じて伸長または収縮する。
【0043】
各弾性組付スナップ310上には、たとえばフランジ、フックまたは楔形の組付スナップ端部315をさらに備える。
【0044】
このため、組み付け時には、上述の弾性組付スナップ310を対応する固定ハウジング200の外蓋クリアランスホール230に挿設し、弾性組付スナップ310上に位置する各組付スナップ端部315をすべて固定ハウジング200のハウジング固定器210内に嵌合する。以上で、ハウジング外蓋300と固定ハウジング200の組み付けが完了する。
【0045】
カムフォロア支持ブラケット330は、ハウジング外蓋300上に設置され、カムフォロア支持ブラケット330中にはカムフォロアクリアランスホール320が穿設される。
この設計により、カムフォロアピン600はカムフォロア支持ブラケット330中のカムフォロアクリアランスホール320を利用して上向きまたは下向きの移動を持続できる。
【0046】
また、本発明の実施例では、ハウジング外蓋300上に複数のリーフスプリング固定孔340とリーフスプリングトラック350をさらに設計する。リーフスプリングトラック350は復原リーフスプリング800の位置を固定するのに用いられ、カムフォロア支持ブラケット330およびカムフォロアピン600に対して正確な位置に固定されるようにできる。リーフスプリング固定孔340は、復原リーフスプリング800をハウジング外蓋300に組み付けるのに用いられる。
【0047】
外蓋クリアランス360は、ハウジング外蓋300の外側面上に設けられる。本発明の実施例では、この外蓋クリアランス360はハウジング外蓋300と出力装置の間に隙間を作るのに用いられる。
【0048】
本発明の実施例では、
図1aから
図1dが示すように、使用される出力装置はレンズキャリア700を含む。
【0049】
本発明の他の実施例では、出力装置は回転式入力を直線出力に変換するその他の装置でもよい。たとえば、工作機械、型打ち機、裁縫ミシン、往復式工具、往復式のこぎり、または鍵/ロック/錠類などがある。
【0050】
図4aから
図4eは本発明の実施例の外サイクロイド遊星ギアの構造を示す図である。
【0051】
図4aから
図4eが示すように、外サイクロイド遊星ギア400は、複数のサイクロイドローブ410、複数のサイクロイドローブクリアランス420、偏心輪固定孔430、カムトラック440、カムトラック起点450、カムトラック終点460、サイクロイドボディ470、およびサイクロイドベース480を含む。
【0052】
複数のサイクロイドローブ410は、サイクロイドボディ470の外表面を取り囲むように設けられ、隣り合う2つのサイクロイドローブ410の間にはサイクロイドローブクリアランス420を設ける。
本発明の実施例では、サイクロイドローブ410とそのサイクロイドローブクリアランス420を固定ハウジング200中の複数のリングギアローブ280および複数のリングギアローブクリアランス290に係合することにより、外サイクロイド遊星ギア400が固定ハウジング200内で回転できるようになる
【0053】
偏心輪固定孔430は、サイクロイドボディ470の中に穿設され、偏心輪駆動軸の外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器と外サイクロイド遊星ギア400を連動させ回転式運動を発生させるために用いられる。
注目すべきは、本発明の実施例では、外サイクロイド遊星ギア400は偏心輪駆動軸に接触せず、外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器も外サイクロイド遊星ギア400の偏心輪固定孔430に貫設されるのみである点である。
【0054】
本発明の実施例では、上述のカムトラック440は勾配が上向きに徐々に大きくなるトラックである。このカムトラック440はサイクロイドボディ470の上表面に設置され、その上表面の勾配は上向きに徐々に大きくなる特徴を有する。つまり、カムトラック440のカムトラック起点450では、トラックの高さは最も低く、カムトラック440のカムトラック終点460に達した時点でトラックの高さは最も高くなる。
【0055】
取り付け時には、カムフォロアピン600のカム接触表面は上述のカムトラック440の上面に接触し、復原リーフスプリング800が下向きの圧力をかけるので、カムフォロアピン600はカムトラック440上にきつく押し付けられる。
外サイクロイド遊星ギア400が回転すると、カムフォロアピン600はカムトラック440の勾配変化に応じて動くようになる。
たとえば、カムトラック440が上向きに傾斜すると、カムフォロアピン600もそれに応じて上向きに動き、カムトラック440が下向きに傾斜すると、カムフォロアピン600もそれに応じて下向きに動く。
【0056】
本発明の実施例では、カムトラック440の勾配は徐々に上昇し、カムトラック起点450とカムトラック終点460を有する。
【0057】
本発明の他の実施例では、カムトラック440はもちろん異なる設計様式でもよい。たとえば、外サイクロイド遊星ギア400上のカムトラック440は、緩慢に上下する勾配設計でもよい。
また急速に上下し高さの変化がより明確な勾配設計をすることも可能であり、これを利用してカムフォロアピンの上昇または下降速度を加速する設計にすることもできる。
【0058】
以上からわかるように、本発明の外サイクロイド遊星ギアカムのトラック様式を簡単に変更することにより、外サイクロイド遊星ギアカムを異なるニーズと用途に応じたものにする目的を達成できる。
【0059】
さらに、本発明では駆動軸の回転方向の変更が同時にカムフォロアピンの移動に影響を与える。たとえば、駆動軸の回転方向が同一方向である場合、カムフォロアピンはカムトラック440の周期的な勾配変化に伴い同一方向に移動する。
しかし、駆動軸が一方向に回転した後、それと逆方向に回転した場合、それに伴いカムフォロアピンの動きも変わる。
図4aから
図4eの実施例(カムトラック440はカムトラック起点450とカムトラック終点460を有する)を用いて説明すると、駆動軸はカムフォロアピンがカムトラック終点460に到達するまでは、一方向に回転し、その後カムトラック終点460からカムトラック起点450に到達するまでは、逆方向に回転する。
このように、駆動軸の回転方向によりカムトラック440の方位とカムフォロアピンの移動方向を制御でき、さらにはレンズキャリアの位置も制御できる。
さらに、本発明の実施例では、駆動軸の回転方向の変更回数を増やすことにより、カムフォロアピンの位置を精確に制御する目的を達成できる。たとえば、オートフォーカスシステムに応用する際は、駆動軸の回転方向の変更調節を精密に設計することにより、出力装置(たとえばレンズキャリア)の位置を精確に制御する目的を達成できる。
【0060】
図5aから
図5cは本発明の実施例の偏心輪駆動軸の構造を示す図である。
【0061】
図5aから
図5cが示すように、偏心輪駆動軸500は、外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510、サイクロイド固定ディスク520、偏心伝動平衡器530、および偏心輪孔540を含む。
【0062】
組み立て時に、外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510は外サイクロイド遊星ギア400の偏心輪固定孔430中に設置する。
注目すべきは、本発明の実施例では、偏心輪駆動軸500は外サイクロイド遊星ギア400上に接触しておらず、外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510は外サイクロイド遊星ギア400の偏心輪固定孔430中で自由に回転できる点である。
【0063】
偏心輪駆動軸500と外サイクロイド遊星ギア400の両者は事実上接触していないため、サイクロイド固定ディスク520は、外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510を外サイクロイド遊星ギア400の偏心輪固定孔430中の位置に固定しその状態を維持するのに用いられる。
【0064】
外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510の位置に相対して、偏心伝動平衡器530はサイクロイド固定ディスク520のもう一端に設置される。本発明の実施例では、偏心伝動平衡器530はその回転角度を外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510の半分に設計することにより、外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510が回転する時の振動を低減する、カウンターバランスの役割を果たす。
【0065】
偏心輪駆動軸500は、偏心輪孔540を利用して、たとえば直流モータの駆動軸のような駆動軸に取り付けられる。
【0066】
図6は本発明の実施例のカムフォロアピンの立体構造を示す図である。
【0067】
図6が示すように、カムフォロアピン600はカムフォロア本体610とカムフォロア接触面620を含む。
【0068】
本発明の実施例では、取り付けを行う際、カムフォロア本体610がレンズキャリアのカムフォロア固定孔中に貫設されることにより、カムフォロアピン600とレンズキャリアは組みつけられる。
【0069】
外サイクロイド遊星ギアが回転し始めると、カムフォロアピン600のカムフォロア接触面620は外サイクロイド遊星ギア上のカムトラック440に接触し、カムトラックに伴って移動する。
本発明の実施例では、カムフォロアピン600がカムトラック440のカムトラック起点上に位置する時、カムトラック起点はトラック上で最も低い位置になるため、カムフォロアピン600もまたその動きの最も低い点に位置することになる。外サイクロイド遊星ギア400が回転し始めると、カムトラック440の上に位置するカムフォロアピン600はトラックの勾配に応じて動く。つまり、カムフォロアピン600はカムトラック440のトラック終点まで移動し、カムトラック終点はトラック上で最も高い位置にあるため、カムフォロアピン600も最も高い位置まで動くことになる。カムフォロアピン600は出力装置に固設されるので、本発明の出力装置とレンズキャリアはカムフォロアピン600に伴い移動する。
【0070】
図7aおよび
図7bは本発明の実施例のレンズキャリアの構造を示す図である。
【0071】
本発明の実施例では、上述のカムフォロアピン600に接続し共に移動する出力装置にはレンズキャリアを用いる。
【0072】
本発明の他の実施例では、出力装置に、回転入力を直線出力に変換するその他の装置を利用できる。たとえば、工作機械、型打ち機、裁縫ミシン、往復式工具、往復式のこぎり、または鍵/ロック/錠類などがある。
以下の実施例においては、レンズキャリアを一例として説明するにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0073】
図7aおよび
図7bが示すように、レンズキャリア700は、レンズボディ710、レンズ720、上固定部730、下固定部740、回転防止部745、およびカムフォロア固定孔750を含む。
【0074】
レンズ720はレンズボディ710中に設置される。本発明の実施例では、レンズ720はたとえばカメラの焦点レンズである。
【0075】
上固定部730と下固定部740はレンズボディ710の外壁上に設置される。
【0076】
カムフォロア固定孔750は上述の上固定部730と下固定部740を貫通するように延伸して形成される。本発明の実施例では、カムフォロア固定孔750は、カムフォロアピン600のカムフォロア本体610をレンズキャリアに貫設するのに用いられ、これによりカムフォロアピン600とレンズキャリア700は組み付けられる。
【0077】
下固定部740は回転防止部745をさらに備える。その作用は、カムフォロアピン600とレンズキャリア700を組み付けた後、両者を一緒に動かすことにある。ここで、回転防止部745はハウジング外蓋300のカムフォロア支持ブラケット330に伴い同時に移動する。レンズキャリア700が移動する時、回転防止部745のアームは、上述のカムフォロア支持ブラケット330に近づき同ブラケットを支持するので、レンズキャリアの予期せぬ回転を防止するのに有効である。
【0078】
図8aおよび
図8bは本発明の実施例の復原リーフスプリングの構造を示す図である。
【0079】
図8aおよび
図8bが示すように、復原リーフスプリング800は、スプリングベース810、スプリングボディ820、スプリング先端830、およびスプリング固定孔840を含む。
【0080】
本発明の実施例では、復原リーフスプリング800は弾性材料により製作され、その形状はS字形状に類似している。スプリングボディ820はスプリングベース810とスプリング先端830の間を接続する。
【0081】
スプリング固定孔840は、スプリングベース810中に穿設され、スプリング固定孔840を利用して復原リーフスプリング800をハウジング外蓋300のリーフスプリング固定孔340に被せて取り付けるのに用いられる。
【0082】
つまり、復原リーフスプリング800のスプリングベース810をハウジング外蓋に組み付ける時、上述のスプリング先端830はカムフォロアピンの頂端に接触することになる。カムフォロアピンが上に移動すると、復原リーフスプリング800は圧縮されカムフォロアピン上に微小の反発力が加わる。
カムフォロアピンが下に移動すると、復原リーフスプリング800は伸長しスプリングが元の状態に戻る。
たとえば、カムフォロアピンが外サイクロイド遊星ギアのカムトラックに沿ってトラック終点まで移動すると、カムフォロアピンがそのトラック終点を通過する瞬間に、復原リーフスプリング800は直ちにカムフォロアピンを下に押し付けて外サイクロイド遊星ギアのサイクロイドボディに近づける。
【0083】
図9aから
図9cは本発明の実施例の直流モータの構造を示す図である。
【0084】
図9aから
図9cが示すように、直流モータ900はモータハウジング910、モータ接点920、モータベース930、モータ上蓋940および駆動軸950を含む。
【0085】
モータベース930とモータ接点920は、モータハウジング910の一端上に設置され、モータ上蓋940と駆動軸950はモータハウジング910の相対するもう他端上に設置される。
【0086】
本発明の実施例では、モータ接点920は1つまたは1つ以上の電気接点を有するので、これらの電気接点は直流電源にカップリングし、直流モータ900はこの直流電源を利用して駆動され作動する。
【0087】
したがって、直流電源を直流モータ900に入力すると、駆動軸950が回転する。偏心輪駆動軸も直流モータ900の駆動軸950に接続されるので、駆動軸950が回転すると同時に偏心輪駆動軸も連動して回転する。
【0088】
図10aから
図10fは本実施例の凹溝状のカムトラックを有する外サイクロイド遊星ギアカムの構造を示す図である。
【0089】
図10aから
図10fが示すように、この実施例では、外サイクロイド遊星ギア400のカムトラック440は凹溝状のトラックである。この凹溝状トラックは、サイクロイドボディ470の上表面の凹みにより凹溝またはグルーブが形成されたものである。
本発明のこの実施例では、この凹溝状のカムトラック440は、外サイクロイド遊星ギア400を囲むように設けられ、凹溝状トラックの半径は、トラックと外サイクロイド遊星ギア400の中心の距離が近づいたり離れたりするのに伴い徐々に減少したり増加したりする。
【0090】
取り付けの際、カムフォロアピン600のカムフォロア接触面620は上述のカムトラック440中に配置されるので、外サイクロイド遊星ギア400が回転すると、カムフォロアピン600は、カムトラック440と外サイクロイド遊星ギア400の中心の距離が離れたり近づいたりするのに伴い移動する。
たとえば、カムトラック440と外サイクロイド遊星ギア400の中心の距離(即ち凹溝状カムトラック440の半径)が起点から終点に進むにつれ次第に短くなると(即ちトラックが偏心輪固定孔430の方向に近づくと)カムフォロアピン600のカムフォロア接触面620はカムトラック440の側壁により内向きに押されると同時に、カムフォロアピン600と接続する出力装置も連動して、外サイクロイド遊星ギア400の方向に接近してゆく。
【0091】
逆に、カムトラック440と外サイクロイド遊星ギア400の中心の距離(即ち凹溝状カムトラック440の半径)が起点から終点に進むにつれ次第に長くなると(即ちトラックが偏心輪固定孔430から離れる方向へ移動すると)カムフォロアピン600のカムフォロア接触面620はカムトラック440の側壁により外向きに押されると同時に、カムフォロアピン600と接続する出力装置も連動して、外サイクロイド遊星ギア400から離れる方向へ移動してゆく。
【0092】
図10gは本発明の実施例のカムフォロアローラーを備えるカムフォロアピンと凹溝状のカムトラックを有する外サイクロイド遊星ギアカムの構造を示す図である。
【0093】
図10gが示すように、この実施例では、カムフォロアピン600上にカムフォロアローラー601をさらに設置する。これにより、外サイクロイド遊星ギア400が回転する時、カムフォロアローラー601は上述のトラック内壁に接触し、凹溝状のカムトラック440に沿って往復滑動し、このカムフォロアローラー601によりカムフォロアピン600とカムトラックの間の摩擦力が低減される。
【0094】
図10hから
図10jは本発明の他の実施例における凹溝状のカムトラックを有する外サイクロイド遊星ギアカムの構造を示す図である。
【0095】
図10hが示すように、カムトラック440はカムトラック起点450とカムトラック終点460を有し、凹溝状のカムトラック440と外サイクロイド遊星ギアの中心の距離(即ち凹溝状カムトラック440の半径)は起点から終点に進むにつれ次第に短くなる(即ちトラックが偏心輪固定孔430の方向に近づく)。
【0096】
この実施例では、外サイクロイド遊星ギア400が回転する時、カムフォロアピン600は一定速度または線形速度で移動する。
【0097】
図10iが示すように凹槽状のカムトラック440はカムトラック起点450とカムトラック終点460を有し、凹溝状のカムトラック440と外サイクロイド遊星ギアの中心の距離(即ち凹溝状カムトラック440の半径)はカムトラック起点450から終点460に進むにつれ加速度的に短くなる。
【0098】
この実施例では、外サイクロイド遊星ギア400が回転する時、カムフォロアピン600は指数間的に速度を増して移動する。
【0099】
本発明の他の実施例では、凹溝状のカムトラック440はその他の軌道形態でもよい。たとえば、凹溝状のカムトラックの半径(外サイクロイド遊星ギアの地中心からの距離)はまず起点から終点に進むにつれて次第に短くなる。これにより、カムフォロアピン600はまず外側から内側に徐々に移動する。
または、
図10jが示すように、凹溝状のカムトラック440の半径は起点から終点に進むにつれて半径の増加と減少を複数回繰り返し、これによりカムフォロアピン600はより速い速度で外側から内側に徐々に移動する。
【0100】
以上よりわかるように、ここで開示する本発明の外サイクロイド遊星ギアカムは、その外サイクロイド遊星ギアのトラック様式を容易に変更することにより、外サイクロイド遊星ギアカムが異なるニーズと用途に適用できるようにする目的を達成できる。
【0101】
前述の
図1aから
図10jを併せて参照されたい。本発明のサイクロイド伝動装置の外サイクロイド遊星ギアカムの組み立て手順について以下のとおり詳細に説明する。
【0102】
まず、直流モータ900を組立孔250中に貫設された1つまたは1つ以上の留め具によって固定ハウジング200中に固定する。
【0103】
そして、偏心輪駆動軸500は、駆動軸950と組み付けた後に駆動軸クリアランスホール240に貫通させ、固定ハウジング200中に設置する。つまり、駆動軸950は、まず偏心輪駆動軸500の偏心輪孔540中に挿設してから、1つまたは1つ以上の留め具を利用して偏心輪駆動軸500上に取り付ける。
【0104】
その後、カムトラック440の表面を上向きにしたまま(即ち固定ハウジング200の底部から離れる方向に向けて)、外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510を偏心輪固定孔430に挿設することにより、外サイクロイド遊星ギア400を偏心輪駆動軸500の上に設置する。
【0105】
こうすると、一部のサイクロイドローブ410とサイクロイドローブクリアランス420がリングギアローブ280とリングギアローブクリアランス290に係合し、外サイクロイド遊星ギア400は固定ハウジング200内に嵌合される。
【0106】
次に、レンズキャリア700またはその他の出力装置にカムフォロアピン600を組み付ける。カムフォロア支持ブラケット330の頂端は、レンズキャリアの上固定部730と下固定部740の間に設置する。この時、回転防止部745は上述のカムフォロア支持ブラケット330の周囲を取り囲む(または部分的に取り囲む)。
【0107】
本発明の実施例ではその後、カムフォロアクリアランスホール320とカムフォロア固定孔750が重なるように位置を合わせて、カムフォロアピン600がカムフォロア固定孔750を貫通するようにする。この時、レンズキャリア700とカムフォロアピン600はカムフォロア支持ブラケット330中で組み付けられる。
【0108】
このようにして、カムフォロアピン600の一端はレンズキャリア700の上固定部730の上まで延伸する。そして、カムフォロアピン600のカムフォロア本体610は、上固定部730のカムフォロア固定孔750中、カムフォロア支持ブラケット330のカムフォロアクリアランスホール320中、下固定部740中のカムフォロア固定孔750、およびカムフォロア支持ブラケット330下のカムフォロアクリアランスホール320中を貫通し、ハウジング外蓋300の内部まで延伸して進入する。この時、カムフォロア接触面620はハウジング外蓋300内部で位置決めされる。
【0109】
続いて、レンズボディ710がハウジングクリアランス270に合致するように位置を合わせ、各弾性組付スナップ310が外蓋クリアランスホール230に合致するよう位置を合わせる。
ハウジング外蓋300と固定ハウジング200を組み付けて、ハウジング外蓋300上の組付スナップ端部315を固定ハウジング200中のハウジング固定器210中に完全に嵌合する。
【0110】
その後、復原リーフスプリング800をハウジング外蓋300上に組み付ける。つまり、スプリングベース810をリーフスプリングトラック350中に設置し、スプリング固定孔840がリーフスプリング固定孔340に合致するよう位置を合わせて、スプリング先端830が上固定部730上部のカムフォロアピン600に覆い被さるようにする。
そして、1つまたは1つ以上の留め具を用いてスプリング固定孔840とリーフスプリング固定孔340を貫通させることにより、復原リーフスプリング800をハウジング外蓋300上に取り付ける。
【0111】
尚、上述の組み付け手順は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の発明範囲を限定するものではない。この技術分野を熟知する者は製品のニーズと規格に応じて自ら調整を行うことができ、ここで開示する本発明の精神に基づいた変更や潤色はすべて、本発明の特許請求の範囲に属する。
【0112】
続いて、前述の本発明の
図1aから
図10jが示す、サイクロイド伝動装置の外サイクロイド遊星ギアカムの作動について、以下のとおり詳細を説明する。
【0113】
本発明の実施例では、直流電源をモータ接点920に入力した後、駆動軸950が回転し始め、それに接続する偏心輪駆動軸500も同時に連動して回転する。このような状況下では、偏心輪固定孔430中の外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510もまた同時に外サイクロイド遊星ギア400を連動させ偏心円のサイクロイド運動が開始される。
本発明の実施例では、外サイクロイド遊星ギア偏心伝動器510が一方向に回転する時、偏心輪固定孔430(および外サイクロイド遊星ギア400)はそれと逆方向に回転する。
【0114】
外サイクロイド遊星ギア400が回転し始めると、カムフォロアピンのカムフォロア接触面620はカムトラック440上に接触し、カムトラック起点450上に位置する。カムフォロア接触面620がカムトラック起点450上に位置する時、カムトラック440はその勾配が最も低い位置にあるので、カムフォロアピン600もその動きの最低点に位置し、またレンズキャリア700は引っ込んだ状態になる。
外サイクロイド遊星ギア400が回転を持続すると、カムフォロア接触面620はカムトラック440に沿って終点まで移動する。この時、カムトラック440の勾配は上向きに大きくなるので、同時にカムフォロアピン600も連動して上向きに動き、レンズキャリア700は外側に移動する(前向き移動に等しい)。
さらに、外サイクロイド遊星ギア400が回転を持続すると、逆に、そのカムトラック440の勾配は徐々に下向きに大きくなり、カムフォロアピン600もそれに伴い下向きに移動するので、レンズキャリア700は内向きに移動する(後向き移動に等しい)。
【0115】
したがって、本発明のサイクロイド伝動装置の外サイクロイド遊星ギアカムは、駆動軸950の回転角度と回転方向を制御し、カムフォロア接触面620のカムトラック440上における位置を制御することにより、出力装置(たとえばレンズキャリア700)の位置を精確に制御する目的を達成する。
【0116】
以上の実施例は本発明の技術思想および特長を説明したものに過ぎず、その目的は、この技術分野を熟知する者が本発明の内容を理解し実施できるようにすることであり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
従って、本発明の精神に基づき加えた変更や潤色は全て、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。