(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050161
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】粒形状をした鉄分補助菓子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23G 3/50 20060101AFI20161212BHJP
A23L 33/16 20160101ALI20161212BHJP
【FI】
A23G3/00 109
A23L33/16
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-51776(P2013-51776)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-176333(P2014-176333A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】514004482
【氏名又は名称】石川 郁子
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 郁子
【審査官】
濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−268386(JP,A)
【文献】
特開平04−030772(JP,A)
【文献】
特開平04−365448(JP,A)
【文献】
特開2004−016104(JP,A)
【文献】
特公昭48−000046(JP,B1)
【文献】
特開平03−130057(JP,A)
【文献】
特開平11−075692(JP,A)
【文献】
特開2004−121060(JP,A)
【文献】
特開2002−084976(JP,A)
【文献】
特開2005−151809(JP,A)
【文献】
特開昭54−70468(JP,A)
【文献】
特開2008−99679(JP,A)
【文献】
特開2009−247356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/50
A23L 33/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
FROSTI(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒形状をした鉄分補助菓子の製造方法であって、
粒状のドライフルーツに、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第1粉体を付着させ、第1付着層を形成する第1粉巻き工程と、
前記第1付着層よりも上に、澱粉を主体とする第2粉体を付着させ、第2付着層を形成する第2粉巻き工程と、
前記第2付着層よりも上に、糖蜜を用いて微塵粉を主体とする第3粉体を付着させ、第3付着層を形成する第3粉巻き工程と、
前記第3付着層よりも上に、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第4粉体を付着させ、第4付着層を形成する第4粉巻き工程と、
前記第4付着層が形成されたドライフルーツを焙煎する焙煎工程と、
焙煎したドライフルーツよりも上に、常温で硬化する油脂を用いて鉄含有塩及び葉酸を含む第5粉体を付着させ、第5付着層を形成する第5粉巻き工程と、
を含み、
前記第1粉巻き工程と第2粉巻き工程との間で、ドライフルーツの脱水処理が行われることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、
前記第5粉体は、更に、粉糖とともに複数の粉体を含み、
前記第5粉巻き工程において、所定の配合比率で調合された前記鉄含有塩及び葉酸の粉体を前記粉糖に混合した後に、前記複数の粉体に混合する粉体混合処理が行われる製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の製造方法において、
前記第5付着層の上に、有色粉体を含む第6粉体を付着させる着色工程を含み、
前記着色工程が、前記第5付着層の形成後に一定時間放置する馴化処理を行った後に行われる製造方法。
【請求項4】
粒形状をした鉄分補助菓子であって、
粒状のドライフルーツの周囲に、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第1粉体を付着して形成された第1付着層と、
前記第1付着層よりも上に、澱粉を主体とする第2粉体を付着して形成された第2付着層と、
前記第2付着層よりも上に、糖蜜を用いて微塵粉を主体とする第3粉体を付着して形成された第3付着層と、
前記第3付着層よりも上に、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第4粉体を付着して形成された第4付着層と、
前記第4付着層よりも上に、常温で硬化する油脂を用いて鉄含有塩及び葉酸を含む第5粉体を付着して形成された第5付着層と、
を含む鉄分補助菓子。
【請求項5】
請求項4に記載の鉄分補助菓子において、
前記第1付着層、前記第2付着層及び前記第4付着層は、固化して殻状に形成され、
前記第3付着層は、膨化して厚みの大きな多孔質状に形成されている鉄分補助菓子。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の鉄分補助菓子において、
前記第5付着層よりも上に、有色粉体を含む第6粉体を付着して形成された第6付着層を更に含む鉄分補助菓子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆菓子のような粒形状をした鉄分補助菓子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、大豆の周囲に複数の層を形成し、焙煎等して粒状に形成した骨強化補助食品を先に提案している(特許文献1)。
【0003】
そこでは、骨強化が図れるように、カルシウム粉末やドロマイト粉末が適量配合されていて、おいしく食べられるように、各層の配合や構成、製造方法等が工夫されている。
【0004】
本発明に関連し、ベタベタするという従来の干しぶどう(レーズン)の課題を解消するために、レーズンの表面に、糖蜜層、酸層、砂糖付け層をこの順に積層した干しぶどう入り菓子が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−268386号公報
【特許文献2】特開平8−256693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、カルシウム以外にも、鉄分の不足は重大な問題となっている。そのため、鉄分の補給を目的とした錠剤型のサプリメントも多数市販されているが、食品のように味わうものではないため、継続して摂取し辛い難がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、新規な食感を味わうことができ、適量の鉄分を手軽に補給できる鉄分補助菓子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粒形状をした鉄分補助菓子の製造方法である。
【0009】
この製造方法は、粒状のドライフルーツに、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第1粉体を付着させ、第1付着層を形成する第1粉巻き工程と、前記第1付着層よりも上に、澱粉を主体とする第2粉体を付着させ、第2付着層を形成する第2粉巻き工程と、前記第2付着層よりも上に、糖蜜を用いて微塵粉を主体とする第3粉体を付着させ、第3付着層を形成する第3粉巻き工程と、前記第3付着層よりも上に、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第4粉体を付着させ、第4付着層を形成する第4粉巻き工程と、前記第4付着層が形成されたドライフルーツを焙煎する焙煎工程と、焙煎したドライフルーツよりも上に、常温で硬化する油脂を用いて鉄含有塩及び葉酸を含む第5粉体を付着させ、第5付着層を形成する第5粉巻き工程と、を含む。そして、前記第1粉巻き工程と第2粉巻き工程との間で、ドライフルーツの脱水処理が行われることを特徴とする。
【0010】
この製造方法で製造される鉄分補助菓子は、ドライフルーツの核の周囲に物性の異なる複数の層が形成されているため、多様な食感が味わえる。具体的には、焙煎により、第1付着層、第2付着層及び第4付着層は、固化して薄い殻状になり、第3付着層は、膨化して厚みの大きな多孔質状になるため、一噛みすることで、パリッとした食感と、サクッとした食感と、弾力のある食感とを連続的に味わうことができる。
【0011】
この複雑な食感は、ドライフルーツを、物性の異なる複数の層で被覆し焙煎することによって得られるが、ドライフルーツに残存する水分によって、焙煎時に割れが発生する場合がある。そこで、この製造方法では、第1粉巻き工程と第2粉巻き工程との間で、ドライフルーツの脱水処理を行うことにより、ドライフルーツの水分を減少させ、第1付着層の固化を促進させる。その結果、焙煎時の割れの発生を効果的に防ぐことができ、安定して鉄分補助菓子を量産することができる。
【0012】
また、前記第5粉体は、更に、粉糖とともに複数の粉体を含み、前記第5粉巻き工程において、所定の配合比率で調合された前記鉄含有塩及び葉酸の粉体を前記粉糖に混合した後に、前記複数の粉体に混合する粉体混合処理が行われるようにするとよい。
【0013】
そうすれば、微量の鉄分含有塩や葉酸等を均一に第5粉体に混合することができ、鉄分補助菓子一粒当たりのこれらの含量を精度高く調整できる。
【0014】
更に、前記第5付着層の上に、有色粉体を含む第6粉体を付着させる着色工程を含む場合には、前記着色工程が、前記第5付着層の形成後に一定時間放置する馴化処理を行った後に行われるようにするとよい。
【0015】
そうすれば、少量の第6粉体を第5付着層に均等に付着させることができ、低コストで斑無く着色することができる。
【0016】
本発明はまた、粒形状をした鉄分補助菓子である。
【0017】
その鉄分補助菓子は、粒状のドライフルーツの周囲に、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第1粉体を付着して形成された第1付着層と、前記第1付着層よりも上に、澱粉を主体とする第2粉体を付着して形成された第2付着層と、前記第2付着層よりも上に、糖蜜を用いて微塵粉を主体とする第3粉体を付着して形成された第3付着層と、前記第3付着層よりも上に、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第4粉体を付着して形成された第4付着層と、前記第4付着層よりも上に、常温で硬化する油脂を用いて鉄含有塩及び葉酸を含む第5粉体を付着して形成された第5付着層と、を含む。
【0018】
この鉄分補助菓子によれば、レーズンの上に異なる層が複数積層されているので、単にレーズンを食べるだけでは味わえない食感及び味覚が得られる。従って、継続しておいしく摂取することができ、鉄分を安定して補給することができる。
【0019】
具体的には、前記第1付着層、前記第2付着層及び前記第4付着層は、固化して殻状に形成され、前記第3付着層は、膨化して厚みの大きな多孔質状に形成されているようにするとよい。
【0020】
そうすれば、一噛みすることで、第1付着層や第4付着層のパリッとした食感と、第3付着層のサクッとした食感と、レーズンの弾力のある食感とを、連続的に味わうことができ、多様な食感が味わえる。
【0021】
より具体的には、前記第5付着層よりも上に、有色粉体を含む第6粉体を付着して形成された第6付着層を更に含むようにするとよい。
【0022】
そうすれば、見栄えがよくなって、よりおいしく摂取することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、新規な食感を味わうことができ、適量の鉄分を手軽に補給できる鉄分補助菓子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】鉄分補助菓子の製造方法の主な工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0026】
<鉄分補助菓子>
図1に、本実施形態における鉄分補助菓子(単にFe菓子ともいう)の一例を示す。Fe菓子は、いわゆる豆菓子のような略球形をした粒形状をしており、その一粒の大きさL(外径)は、概ね1〜3cmである。
【0027】
Fe菓子は、所定個数が袋詰めされた形態で提供される。Fe菓子は、所定の数粒(例えば3粒)中に、鉄分及び葉酸の一日分の推奨量が含まれるように設計されている。従って、このFe菓子を継続して数粒食べるだけで、普段の食生活では鉄分が不足しがちでも、鉄分不足の解消が可能になる。
【0028】
本実施形態のFe菓子では、核となるドライフルーツにレーズンRが用いられている。レーズンRの粒ごとに複数の層が形成されていて、本実施形態のFe菓子では、レーズンRの粒の周囲に少なくとも6層の異なる層が積層されている。
【0029】
具体的には、レーズンRの上には、小麦粉を主体とする第1粉体からなる第1付着層1が形成され、第1付着層1の上に、馬鈴薯やコーンの澱粉を主体とする第2粉体からなる第2付着層2が形成されている。第2付着層2の上には、寒梅粉(微塵粉の一例)を主体とする第3粉体からなる第3付着層3が形成され、第3付着層3の上に、小麦粉を主体とする第4粉体からなる第4付着層4が形成されている。
【0030】
第4付着層4の上には、粉乳や粉糖等からなる調味配合と、鉄含有塩及び葉酸からなる機能配合とを含む第5粉体からなる第5付着層5が形成され、第5付着層5の上に、最外層として、有色粉体を含む第6粉体が付着され、Fe菓子は着色されている。このFe菓子では、第6粉体に紫色のブルーベリーパウダーが用いられ、Fe菓子は紫色に着色されている。なお、第6粉体は、抹茶味、ヨーグルト味、柑橘味等を風味づけしたものであってもよい。
【0031】
第1付着層1〜第4付着層4は、豆菓子の製法における糖蜜を用いた粉巻きによって形成されており、第5付着層5は、油脂を用いた粉巻きによって形成されている。焙煎により、Fe菓子に含まれる小麦粉、澱粉、寒梅粉はアルファ化する。また、焙煎により、小麦粉や澱粉は固化し、寒梅粉は膨化するため、第1付着層1、第2付着層2及び第4付着層4は、薄い殻状になり、第3付着層3は、厚みの大きな多孔質状になっている。
【0032】
従って、Fe菓子は、一噛みすることで、第1付着層1や第4付着層4のパリッとした食感と、第3付着層3のサクッとした食感と、レーズンRの弾力のある食感とを、連続的に味わうことができ、多様な食感を味わうことができる。
【0033】
更に、レーズンR本来の風味に加え、第5付着層5の調味配合によって風味付けされているため、味覚的にもおいしく味わうことができる。
【0034】
従って、このFe菓子であれば、単にレーズンRを食べるだけでは味わえない食感及び味覚が得られるため、継続しておいしく摂取することができ、鉄分を安定して補給することができる。
【0035】
<鉄分補助菓子の製造方法>
図2に示すフローチャートを参照しながら、Fe菓子の製造方法について具体的に説明する。
【0036】
Fe菓子の核となるレーズンRには、一般的なレーズンが用いられる。通常、レーズンRは、ブロック状で供給されるため、小麦粉をまぶしながら解すことにより、レーズンRは一粒ごとに分離される。粒状にほぐされたレーズンRは、ドラム状の専用の装置に投入され、第1回目の粉巻きが行われる。
【0037】
各レーズンRの粒の表面に、糖蜜を用いて小麦粉(第1粉体の一例)を付着させ、第1付着層1を形成する(第1粉巻き工程)。第1付着層1の形成により、レーズンRの粒がくっつき合うのを防ぐことができる。
【0038】
レーズンRはドライフルーツであるため、水分含量は少ないが、後で行われる焙煎の際に弾けて割れを生じる場合がある。そのため、このFe菓子では、焙煎時の割れの発生を未然に防止するため、レーズンRの脱水処理が行われる。
【0039】
具体的には、第1粉巻き工程を行った後、予備的な焙煎を行ってレーズンRを加熱することにより、水分含量を減少させる。加熱の条件は、後工程で焙煎する際に、はじけることが防止できればよく、その温度や時間は、レーズンRの水分量が10%以下、好ましくは7%以下になるように、大きさ、含水量等に応じて設定すればよい。
【0040】
例えば、100℃〜140℃の温度範囲で60〜120秒程度の短時間の焙煎を行う。そうすることで、各レーズンRの粒の水分を安定して減少させることができ、第1付着層の固化を促進させることができる。
【0041】
そうして脱水処理を行った後、第1付着層1の上に、糖蜜を用いて澱粉を主体とする第2粉体を付着させ、第2付着層2を形成する(第2粉巻き工程)。第2粉体を付着させることで、寒梅粉の粉付きをよくすることができる。このFe菓子では、更に粉付きをよくするため、澱粉単体で粉巻きを行った後に、澱粉に寒梅粉を混ぜて粉巻きが行われている。
【0042】
第2付着層2の上には、糖蜜を用いて寒梅粉(第3粉体の一例)を付着させ、第3付着層3を形成する(第3粉巻き工程)。続けて、第3付着層3の上に、糖蜜を用いて小麦粉を主体とする第4粉体を付着させ、第4付着層4を形成する(第4粉巻き工程)。このFe菓子では、粉付きをよくするため、小麦粉単体で粉巻きを行う前に、小麦粉に寒梅粉を混ぜて粉巻きが行われている。
【0043】
そうして、第4付着層4が形成されたレーズンRは、専用の流動式焙煎装置を用いて焙煎される(焙煎工程)。焙煎条件は、例えば100℃〜150℃で5分〜15分であり、材料品質に合わせて適宜調整される。予めレーズンRの脱水処理が行われているため、固化する第4付着層4等が形成されていても、割れの発生は効果的に抑制される。
【0044】
焙煎を行ったレーズンRの上に、常温で硬化する油脂を用いて鉄含有塩及び葉酸を含む第5粉体を付着させ、第5付着層5を形成する(第5粉巻き工程)。第5付着層5の形成により、Fe菓子に、特有の風味と及び口溶けのよい食感が付与される。
【0045】
具体的は、ヨーグルトや豆乳、粉乳等の調味粉体及び粉糖等からなる調味配合と、クエン酸第一鉄ナトリウム等の鉄含有塩及び葉酸の粉体からなる機能配合とが、加温して液化させた油脂を用いて粉巻きが行われる。鉄含有塩及び葉酸はいずれも食品添加物であり、予め所定の配合比率で調合されている。
【0046】
機能配合は調味配合に対して微量である。例えば、生地1kg(レーズンR:約360g)当たり、調味配合は500g〜900gであるのに対し、機能配合は10g〜50gである。更に、葉酸の場合は20mg〜70mgである。
【0047】
レーズンRの各粒に付着する機能配合の量を一定にするためには、調味配合に機能配合を均一に混合する必要がある。そこで、このFe菓子では、機能配合を、調味配合の中の粉糖に混合した後に、残りの粉体と混合する処理が行われる(粉体混合処理)。
【0048】
具体的には、粉糖は、吸湿性が小さく流動性に優れた白色の粉体原料であり、調味配合の30〜60重量%を占めている。一方、機能配合は有色粉体であるため、粉糖に機能配合を混合することで、機能配合を粉糖に効果的に分散させることができ、その分散の状態を、色の変化によって目視で容易に識別できる。
【0049】
そして、機能配合が混合された粉糖を残りの粉体と混合すれば、簡単に、微量の機能配合と調味配合とを均一に混合させることができる。その結果、各Fe菓子の一粒当たりの鉄及び葉酸の含有量のばらつきを精度高く抑制することができる。
【0050】
第5付着層5の上に、第6粉体を付着することにより、コーティングが行われる(着色工程)。このとき、Fe菓子では、第5付着層5の形成後に一定時間放置する馴化処理を行った後にコーティングが行われる。
【0051】
具体的には、第5粉巻き工程の後、8時間以上、例えば一昼夜、常温下で放置される。そうすることで、第5付着層5の外表面が安定化するため、第6粉体を効率よく均一に付着させることができる。その結果、第6粉体の付着量が抑制され、材料コストが低減できるとともに、斑無く着色することができ、見栄えをよくすることができる。
【0052】
<実施例>
本実施形態のFe菓子について、鉄分の補給効果を検証する動物実験を行った。
【0053】
試験では、マウスを用い(N=4)、動物標準試料(AIN93)を用いて5週間飼育する群(鉄正常食)、鉄欠乏食を用いて5週間飼育する群(鉄欠乏食)、及び、鉄欠乏食を用いて4週間飼育した後、鉄欠乏食とともに試作したFe菓子の粉砕物(テストサンプル)を与えて1週間飼育する群(鉄欠乏食+テストサンプル)の3群に分けて飼育した。テストサンプルの投与量は、マウス一匹当たり40mg/日とした。
【0054】
飼育後、各群のマウスについて、血清中の鉄濃度(μg/RL)及び血中ヘモグロビン量(g/RL)を測定した。その結果を
図3に示す。
【0055】
図3に示すように、テストサンプルを与えた群のマウスでは、血清中の鉄濃度及び血中ヘモグロビンが、鉄欠乏食のみの群のマウスと比べて有意に上昇する結果が認められた。
【0056】
なお、本発明にかかる鉄分補助菓子は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0057】
例えば、ドライフルーツはレーズンに限らない。ブルーベリー、プルーン等でもよい。ドライフルーツを切断して粒子状にしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 第1付着層
2 第2付着層
3 第3付着層
4 第4付着層
5 第5付着層
6 第6付着層
R レーズン(ドライフルーツ)