(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、フレキシブルプリント配線板上に、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(A1)からなる樹脂層(A)を少なくとも一層形成する工程、前記樹脂層(A)上に、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂、光塩基発生剤、及び熱反応性化合物を含む感光性熱硬化性樹脂組成物(B1)からなる樹脂層(B)を少なくとも一層形成する工程、前記工程にて形成した樹脂層(A)と(B)に、パターン状に光を照射する工程、前記工程にて光照射した樹脂層(A)と(B)を加熱する工程、及び、前記光照射された樹脂層(A)と(B)をアルカリ現像して、カバーレイ、及びソルダーレジストのうちの少なくともいずれか一方を形成する工程、を含むことを特徴とするものである。
【0016】
本発明では、樹脂層(B)において、(1)イミド環が分子中に存在する樹脂を用いること、(2)アルカリ溶解性樹脂と熱反応性化合物との付加反応を起こす組成物を用いることにより、樹脂層(B)を強化層として機能させることができる。
すなわち、従前のソルダーレジスト組成物からなる樹脂層(A)を形成し、その樹脂層(A)上に樹脂層(B)を積層することにより、耐衝撃性、屈曲性、及び低反り性などの信頼性と加工精度に優れたカバーレイとソルダーレジストをフレキシブルプリント配線板上に一括して形成することができる。なお、絶縁膜として層間絶縁膜を形成してもよい。
【0017】
以下、本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例を
図1に基づき説明する。
[樹脂層(A)の形成工程]
この工程では、フレキシブルプリント配線板上に、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(A1)からなる樹脂層(A)を少なくとも一層形成する。樹脂層(A)はアルカリ現像が可能であるためパターン形成が可能となる。また樹脂層(A)を積層することにより回路追従性と基板との密着性を向上させることができる。
フレキシブルプリント配線板は、フレキシブル基材1上に銅回路2が形成されたものである。樹脂層(A)を形成する位置は、屈曲部及び非屈曲部のうちのいずれか一方でよいが、屈曲部と非屈曲部の両方であることが好ましい。屈曲部とは、繰り返し折り曲げされ、屈曲性が要求される部分であり、非屈曲部とは、チップ実装部などの折り曲げされない部分である。
【0018】
樹脂層(A)の形成方法としては、塗布法と、ラミネート法が挙げられる。
塗布法の場合、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の方法により、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(A1)をフレキシブルプリント配線板上に塗布し、50〜130℃程度の温度で15〜60分間程度加熱することにより樹脂層(A)を形成する。
ラミネート法の場合、まずは、アルカリ現像型感光性樹脂組成物(A1)を有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して樹脂層(A)を有するドライフィルムを作成する。次に、ラミネーター等により樹脂層(A)が、フレキシブルプリント配線板と接触するように貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥離する。
【0019】
[樹脂層(B)の形成工程]
この工程では、樹脂層(A)上に、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂、光塩基発生剤、及び熱反応性化合物を含む感光性熱硬化性樹脂組成物(B1)からなる樹脂層(B)を少なくとも一層形成する。樹脂層(B)は、アルカリ現像が可能であるため、微細なパターン形成が可能となり、加工精度に優れる。また、樹脂層(B)を積層することにより、耐衝撃性と屈曲性と低反り性を向上させることができる。
樹脂層(B)を形成する位置は、樹脂層(A)上で、屈曲部と非屈曲部の両方であることが好ましい。ただし、樹脂層(A)上のうち、屈曲部のみ、又は、非屈曲部のみに樹脂層(B)を形成してもよい。
また、樹脂層(B)と樹脂層(A)との間には、更なる層を介在させてもよい。
樹脂層(B)は、樹脂層(A)の形成方法と同様の方法で形成できる。
なお、樹脂層(A)と(B)は、これらを1つの積層型ドライフィルムとした後、その積層型ドライフィルムをフレキシブルプリント配線板にラミネートすることにより形成してもよい。
本発明では、銅回路への追従性の観点より、樹脂層(A)を樹脂層(B)よりも厚く形成することが好ましい。
【0020】
[光照射工程]
この工程では、樹脂層(A)と(B)に対して、ネガ型のパターン状に光照射する。この工程により、感光性熱硬化性樹脂組成物に含まれる光塩基発生剤を活性化して光照射部を硬化できる。
光照射機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した光照射機、(超)高圧水銀ランプを搭載した光照射機、水銀ショートアークランプを搭載した光照射機、もしくは(超)高圧水銀ランプ等の紫外線ランプを使用した直接描画装置を用いることができる。
【0021】
光照射に用いる活性エネルギー線としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるレーザー光又は散乱光を用いることが好ましい。また、その光照射量は膜厚等によって異なるが、一般には50〜1500mJ/cm
2、好ましくは100〜1000mJ/cm
2の範囲内とすることができる。
【0022】
[加熱工程]
この工程では、樹脂層(A)と(B)を加熱する。これにより、光照射で発生した塩基によって深部まで十分硬化できる。この工程は、いわゆるPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程と言われる工程である。
加熱温度は、例えば、80〜140℃である。加熱温度を80℃以上とすることにより、光照射部を十分に硬化できる。一方、加熱温度を140℃以下とすることにより、光照射部のみを選択的に硬化できる。加熱時間は、例えば、10〜100分である。なお、未照射部では、光塩基発生剤から塩基が発生しないため、熱硬化が抑制される。
【0023】
[現像工程]
この工程では、光照射された樹脂層(A)と(B)を現像して、カバーレイ、及びソルダーレジストのうちの少なくともいずれか一方を形成する。この現像により、パターン状のカバーレイとソルダーレジストを一括して得ることができる。
現像方法としては、アルカリ現像であり、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等公知の方法によることができる。
アルカリ現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エタノールアミン、イミダゾールなどのアミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液またはこれらの混合液を用いることができる。
【0024】
[その他の工程]
本発明では、必要に応じて以下の工程を追加してもよい。
(第2光照射工程)
現像工程の後に、樹脂層(A)と(B)に光照射してもよい。この光照射により、先の光照射工程において、樹脂層(B)内で活性化せずに残った光塩基発生剤を活性化して、塩基を十分に発生させる。
この光照射における紫外線の波長および光照射量(露光量)は、前記光照射工程と同じであってもよく、異なっていてもよい。光照射量は、例えば、150〜2000mJ/cm
2である。
【0025】
(熱硬化工程)
また、現像工程の後に、さらに、加熱により樹脂層(A)と(B)を熱硬化(ポストキュア)してもよい。熱硬化することにより、樹脂層(A)と(B)を十分に熱硬化させることができる。加熱温度は、例えば、150℃以上である。
【0026】
[樹脂層(A)に用いられるアルカリ現像型感光性樹脂組成物]
樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型感光性樹脂組成物としては、フェノール性水酸基、チオール基およびカルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能な樹脂を含む組成物であれば良く、光硬化性樹脂組成物でも熱硬化性樹脂組成物でも用いることができる。好ましくはフェノール性水酸基を2個以上有する化合物、カルボキシル基含有樹脂、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物、チオール基を2個以上有する化合物を含む樹脂組成物が挙げられ、公知慣用のものが用いられる。
【0027】
例えば、従来からソルダーレジスト組成物として用いられている、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、光重合開始剤と、熱反応性化合物を含む光硬化性熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。
【0028】
ここで、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂、エチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤、熱反応性化合物としては、公知慣用のものが用いられる。
【0029】
[樹脂層(B)に用いられる感光性熱硬化性樹脂組成物]
(イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂)
本発明において、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、カルボキシル基、酸無水物基などのアルカリ溶解性基とイミド環を有するものである。このアルカリ溶解性樹脂へのイミド環の導入には公知慣用の手法を用いることができる。例えば、カルボン酸無水物成分とアミン成分及び/又はイソシアネート成分とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。イミド化は熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して製造することができる。
【0030】
ここで、カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0031】
テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’”,4,4’”−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3””,4,4””−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタンニ無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)などが挙げられる。
【0032】
トリカルボン酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物や核水添トリメリット酸無水物などが挙げられる。
【0033】
アミン成分としては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどのジアミン、脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミンを用いることができるが、これらのアミンに限定されるものではない。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0034】
ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン(PPD)、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミン、2,5−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸などのベンゼン核1つのジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン(o−トリジン)、2,2’−ジメチルベンジジン(m−トリジン)、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのベンゼン核2つのジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−(4−フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ(4−フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンなどのベンゼン核3つのジアミン、3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン核4つのジアミンなどの芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミンが挙げられ、脂肪族ポリエーテルアミンとしては、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコール系の多価アミン等が挙げられる。
【0035】
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート及びその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類及びその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
ジイソシアネートとして、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート及びその異性体、多量体、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシシレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、あるいは前記芳香族ジイソシアネートを水添した脂環式ジイソシアネート類及び異性体、もしくはその他汎用のジイソシアネート類が挙げられる。
【0036】
以上説明したようなイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂はアミド結合を有していてもよい。これはイソシアネートとカルボン酸を反応させて得られるアミド結合であってもよく、それ以外の反応によるものでもよい。さらにその他の付加および縮合からなる結合を有していてもよい。
【0037】
また、このアルカリ溶解性樹脂へのイミド環の導入には、公知慣用のカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有するアルカリ溶解性ポリマー、オリゴマー、モノマーを用いてもよく、例えばこれらの公知慣用のアルカリ溶解性樹脂類を単独でもしくは上記のカルボン酸無水物成分と組み合わせて、上記のアミン/イソシアネート類と反応させて得られる樹脂であってもよい。
【0038】
このようなアルカリ溶解性基とイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂の合成においては、公知慣用の有機溶剤を用いることができる。かかる有機溶媒としては、原料であるカルボン酸無水物類、アミン類、イソシアネート類と反応せず、かつこれら原料が溶解する溶媒であれば問題はなく、特にその構造は限定されない。具体的に例示すると、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、カプロラクタム等のラクタム溶媒、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノ−ル、4−クロロフェノ−ル、4−メトキシフェノール、2,6−ジメチルフェノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレアなどが挙げられる。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども添加して使用することができる。なかでも原料の溶解性が高いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒が好ましい。
【0039】
以上説明したようなカルボキシル基又は酸無水物基などのアルカリ溶解性基とイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、フォトリソグラフィー工程に対応するために、その酸価が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好適には60〜150mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が20mgKOH/g以上の場合、アルカリに対する溶解性が向上し、現像性が向上する。さらには光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。
また、この酸価が200mgKOH/g以下の場合には、後述する光照射後のPEB工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。
【0040】
また、このアルカリ溶解性樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量1,000〜100,000が好ましく、さらに2,000〜50,000がより好ましい。
この分子量が1,000以上の場合、光照射及びPEB後に、十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。また、分子量が100,000以下の場合、アルカリ溶解性が向上し、現像が良好となる。
【0041】
(光塩基発生剤)
樹脂層(B)において用いる光塩基発生剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、後述する熱反応性化合物の重合反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質として、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
光塩基発生剤として、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメイト基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。なかでも、オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン化合物が好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
【0042】
その他の光塩基発生剤として、WPBG-018(商品名:9-anthrylmethylN,N’-diethylcarbamate),WPBG-027(商品名:(E)-1-[3-(2-hydroxyphenyl)-2-propenoyl]piperidine),WPBG-082(商品名:guanidinium2-(3-benzoylphenyl)propionate), WPBG-140 (商品名:1-(anthraquinon-2-yl)ethyl imidazolecarboxylate)等を使用することもできる。
【0043】
α―アミノアセトフェノン化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こり、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成する。α−アミノアセトフェノン化合物の具体例としては、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、商品名、BASFジャパン社製)や4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907、商品名、BASFジャパン社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379、商品名、BASFジャパン社製)などの市販の化合物またはその溶液を用いることができる。
【0044】
オキシムエステル化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物であればいずれをも使用することができる。かかるオキシムエステル化合物としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI−325、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、アデカ社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、特許第4344400号公報に記載された、分子内に2個のオキシムエステル基を有する化合物も好適に用いることができる。
【0045】
その他、特開2004−359639号公報、特開2005−097141号公報、特開2005−220097号公報、特開2006−160634号公報、特開2008−094770号公報、特表2008−509967号公報、特表2009−040762号公報、特開2011−80036号公報記載のカルバゾールオキシムエステル化合物等を挙げることができる。
【0046】
このような光塩基発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感光性熱硬化性樹脂組成物中の光塩基発生剤の配合量は、好ましくは熱反応性化合物100質量部に対して0.1〜40質量部であり、さらに好ましくは、0.1〜30質量部である。0.1質量部以上の場合、光照射部/未照射部の耐現像性のコントラストを良好に得ることができる。また、40質量部以下の場合、硬化物特性が向上する。
【0047】
(熱反応性化合物)
樹脂層(B)において用いる熱反応性化合物は、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂であり、好ましくは、環状(チオ)エーテル基を有する樹脂であり、より好ましくは、エポキシ樹脂、多官能オキセタン化合物等が挙げられる。なお、環状(チオ)エーテル基とは、環状エーテル基及び環状チオエーテル基のうちの少なくともいずれか1方を意味する。
【0048】
上記エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する樹脂であり、公知のものをいずれも使用できる。分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ化合物であってもよい。
【0049】
多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0050】
その他の液状2官能性エポキシ樹脂としては、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルメチル)−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
上記多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0052】
上記熱反応性化合物の配合量としては、アルカリ溶解性樹脂との当量比(カルボキシル基などのアルカリ溶解性基:エポキシ基などの熱反応性基)が1:0.1〜1:10であることが好ましい。このような配合比の場合、現像が容易となる。上記当量比は、1:0.2〜1:5であることがさらに好ましい。
その他、従来公知の熱硬化触媒、熱可塑性樹脂、無機充填剤、着色剤、有機溶剤などを適宜配合できる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。
【0054】
(実施例1,2、比較例1)
<イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂の合成例>
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を12.5g、2,2’−ビス[4―(4―アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを8.2g、NMPを30g、γ−ブチロラクトンを30g、4,4’オキシジフタル酸無水物を27.9g、トリメリット酸無水物を3.8g加え、窒素雰囲気下、室温、100rpmで4時間撹拌した。次いでトルエンを20g加え、シリコン浴温度180℃、150rpmでトルエン及び水を留去しながら4時間撹拌してイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂溶液を得た。
【0055】
<樹脂組成物の調製>
下記表1記載の配合に従って、実施例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、樹脂層(A)及び(B)用の樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り、質量部である。
【0056】
<樹脂層(A)の形成工程>
銅厚18μmで回路が形成されているフレキシブルプリント配線基材を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、前記前処理を行ったフレキシブルプリント配線板に、実施例1、2及び比較例1の樹脂組成物を夫々表1に示すコーティング方法にて乾燥後で25μmになるようにコーティングを行った。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂層(A)を形成した。
【0057】
<樹脂層(B)の形成工程>
上記樹脂層(A)上に実施例1及び2の感光性熱硬化性樹脂組成物を表1に示すコーティング方法にて乾燥後で10μmになるようにコーティングを行った。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂層(B)を形成した。なお、比較例1には、樹脂層(B)の形成は行わなかった。
【0058】
<現像性(パターニング)、硬化特性評価>
実施例1,2では、上記で得られた樹脂層(A)と(B)を備えるフレキシブルプリント配線板に対して、ORC社HMW680GW(メタルハライドランプ、散乱光)にて表1に示す露光量でネガ型のパターン状に光照射した。次いで90℃で60分間加熱処理を行った。その後、30℃の、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液中に基材を浸漬して3分間現像を行い、現像性の可否を評価した。比較例1では、上記で得られた樹脂層(A)を備えるフレキシブルプリント配線板に対して、実施例1と同様に、現像性の可否を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0059】
次いで熱風循環式乾燥炉を用いて150℃/60分間熱処理を行い、パターン状の硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜に対し、MIT試験(R=0.38mm/宇部興産(株)製ユーピレックス12.5μmの基材使用)及び表面硬度試験(鉛筆硬度試験)を実施し、屈曲性及び表面硬度(耐衝撃性)を評価した。得られた結果を下記の表1に示す。
【0060】
【表1】
*1酸価86mgKOH/g Mw:10000
*2ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量:380)(三菱化学(株)製)
*3オキシム型光重合開始剤(BASF社製)
*4ビスフェノールF型エポキシアクリレート(日本化薬(株)製)
*5トリメチロールプロパンEO 変性トリアクリレート(東亞合成(株)製)
*6ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量:900)(三菱化学(株)製)
*7ビスフェノールA型エポキシ樹脂(分子量:500)(三菱化学(株)製)
*8アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤 (BASF社製)
【0061】
表1に示す評価結果から、実施例1及び2のフレキシブルプリント配線板は、比較例1のフレキシブルプリント配線板と同様に微細なパターン形成が可能で、屈曲性及び耐衝撃性(表面硬度)については大幅に優れていることが分かる。