特許第6050192号(P6050192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050192
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】気泡シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/26 20060101AFI20161212BHJP
   B65D 81/02 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B32B3/26 A
   B65D81/02
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-144717(P2013-144717)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-16616(P2015-16616A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 勝美
(72)【発明者】
【氏名】松宮 吉房
【審査官】 安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−311857(JP,A)
【文献】 特開2010−058502(JP,A)
【文献】 特開2007−055234(JP,A)
【文献】 特開2013−029583(JP,A)
【文献】 特開2008−290279(JP,A)
【文献】 特開2004−074725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 57/00−59/08、81/00−81/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ状の突起を有するキャップフィルムと、前記突起の開放側に添着したバックフィルムとを備えて長尺なシート状に形成された気泡シートであって、
前記キャップフィルムの厚み寸法が前記バックフィルムの厚み寸法以上であり、前記バックフィルムの厚み寸法が10μm〜30μmの範囲であり、
前記バックフィルムに環状オレフィン・コポリマーが10〜50%配合されており、前記キャップフィルムに環状オレフィン・コポリマーが含まれておらず、流れ方向に直交する巾方向に易カット性を有することを特徴とする気泡シート。
【請求項2】
前記キャップフィルム及び前記バックフィルムを備えた2層構造を有するものであり、
前記バックフィルムにMFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合されている請求項1記載の気泡シート。
【請求項3】
前記キャップフィルム、前記バックフィルム及びライナーフィルムを備えた3層構造を有するものであり、
前記ライナーフィルムに前記環状オレフィン・コポリマーが10〜50%及びMFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合され、
前記バックフィルムにMFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合されている請求項1記載の気泡シート。
【請求項4】
巾方向の縁部に切欠が形成されてなる請求項1、2又は3記載の気泡シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材等に使用される気泡シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、緩衝材等としての用途として気泡シートを使用する際、予め必要とする気泡シートの量が定まっていないユーザーはロール状に巻かれた気泡シートを購入し、任意の長さに繰り出し、切り出して使用していた。気泡シートの材料としてポリオレフィンフィルムが用いられていた。従来の気泡シートは流れ方向へ配向しており、巾方向への直進カット性に乏しいものであった。そのため、気泡シートを巾方向に必要量カットする際には鋏等の格別の用具を用いる等の手間を要するものとなっていた。
【0003】
そこで気泡シートの巾方向の直進カット性を向上させるため、巾方向に切断しやすいように気泡シートに予めミシン目を入れておくという技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら気泡シートにミシン目を入れるとその場所と重なる気泡に孔が開き、空気が抜けるため緩衝能力が落ちてしまうという不具合が招来してしまう。そのため、緩衝能力を担保しようとすれば予め設けておくミシン目の流れ方向での間隔を密にすることが出来ず、ユーザーの任意の位置にミシン目が存在しないという不具合も生じていた。
【0004】
また、巾方向の直進カット性を向上させるため、横方向に延伸した高密度ポリエチレンフィルムをラミネートするという技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。斯かる技術によれば、流れ方向の任意の位置で巾方向でのカットが可能となるが、高密度ポリエチレンフィルムをラミネートすることで気泡シートの透明性が低下するという問題があった。しかし斯かる構造を有する気泡シートでは流れ方向に前記高密度ポリエチレンフィルムの切替による継ぎ目が存在してしまう。この継ぎ目に該当する箇所では、やはり従来同様に巾方向での直進カット性が低い、すなわち使用者が手により巾方向にカット出来ない箇所が存在していた。また斯かる気泡シートでは、ラミネート材にシワが入ったままラミネートされた箇所ができることにより、斯かる箇所でのカット性が損なわれるというリスクの可能性も有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−255921号公報
【特許文献2】特許第3891876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、緩衝性能や透明性を損なうことなく巾方向の易カット性を備えた気泡シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち本発明に係る気泡シートは、キャップ状の突起を有するキャップフィルムと、前記突起の開放側に添着したバックフィルムとを備えて長尺なシート状に形成された気泡シートであって、前記キャップフィルムの厚み寸法が前記バックフィルムの厚み寸法以上であり、前記バックフィルムの厚み寸法が10μm〜30μmの範囲であり、前記バックフィルムに環状オレフィン・コポリマーが10〜50%配合されており、前記キャップフィルムに環状オレフィン・コポリマーが含まれておらず、流れ方向に直交する巾方向に易カット性を有することを特徴とする。
【0009】
ここで本発明の気泡シートは、2層構造を有するものであっても、3層構造やさらに多層構造を有するものであってもよい。
【0010】
このようなものであれば、気泡シートにミシン目を構成して緩衝能力を低下させてしまうことや格別の層をコーティングして透明性を低下させたり構造を複雑にしたりするという不具合を回避しながら巾方向の直進カット性、つまりユーザーにとっての手切れの行い易さを有効に向上させることができる。すなわち本発明によれば、緩衝性能や透明性を損なうことなく巾方向の易カット性を備えた気泡シートを提供することができる。
【0011】
そして斯かる気泡シートでは、巾方向の直進カット性を維持しつつも気泡の強度を有効に担保し緩衝能力を有効に維持し得るものが望ましい。そのためには、通常気泡シートのフィルムの最薄部を有するキャップフィルムには環状オレフィン・コポリマーが含まれず、バックフィルムやライナーフィルムといったキャップフィルム以外の層にのみ環状オレフィン・コポリマーが含まれることが望ましい。
【0012】
すなわち、上述した特徴を有する気泡シートの具体的な態様の一例として、前記キャップフィルム及び前記バックフィルムを備えた2層構造を有するものであり、前記バックフィルムにMFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合されている態様を挙げることができる。
【0013】
また前記キャップフィルム、前記バックフィルム及びライナーフィルムを備えた3層構造を有するものである場合では、前記ライナーフィルムに前記環状オレフィン・コポリマーが10〜50%及びMFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合され、前記バックフィルムにMFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合されている態様を挙げることができる。
【0014】
ここで上述した各態様が望ましい理由は、環状オレフィン・コポリマーと低密度ポリエチレンを配合すると直進カット性が向上するものの、反面フィルムが脆くなるという弊害があるためである。
【0015】
また、気泡シートを構成する各フィルムのベース原料のMFRが低いと引き裂き時の糸引きが大きくなるため、上述の通りMFR2〜15の低密度ポリエチレンが50〜90%配合されていることが好ましい。またこれにより、引き裂き時の伸びによる抵抗感を低減すること、引き裂き後の端面が伸びる事によりことにより端面がカールするのを防ぐことができる。
【0016】
そして巾方向の直進カット性をさらに有効に高めるためには、巾方向の縁部に切欠が形成されてなることが好ましい。ここで、「切欠」とは、巾方向に間欠的に設けられたものであっても、例えば巾方向の縁部を鋸歯状に形成することにより複数の切欠を設けても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、緩衝性能や透明性を損なうことなく巾方向の易カット性を備えた気泡シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施形態に係る平面図。
図2図1に係る作用説明図。
図3】同実施形態に係る模式的な端面図。
図4】本発明の第二実施形態に係る図3に対応した端面図。
図5】本発明の実施例を表として示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について図1図3を参照して説明する。
【0020】
本実施形態の気泡シート1は、図1図3に示すように、柔軟性を有した中空シート状のもので、合成樹脂により作られている。具体的には、気泡シート1は、多数のキャップ状の突起13を有するキャップフィルム11と、このキャップフィルム11の突起13開放側に添着したバックフィルム12とからなる。気泡シート1は、キャップフィルム11とバックフィルム12とを備えた2層構造を有する点では従来品と同様である。
【0021】
また本実施形態に係る気泡シートは、図1及び図2に示すように、流れ方向に直行する巾方向の縁部を鋸歯状に形成した鋸歯状縁部16とすることで等間隔に切欠17を形成している。これにより、図2に示すように斯かる気泡シート1を巾方向に手指等でカットする際には当該切欠17の位置から優先的に引き裂かれるようにカットされる。
【0022】
キャップフィルム11は、図1図3に示すように、厚み寸法を例えば30μm程度に設定している。なお、キャップフィルム11の厚み寸法は、30μm〜90μmが好ましい。キャップフィルム11は、多数の円柱形状の突起13を有しており、各突起13は、図1に示すように、平面視円形状をなしている。キャップフィルム11の材料としては、常用のポリエチレンをはじめ、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロンそのほか多種類のプラスチックが使用できる。ここで本実施形態では、キャップフィルム11には後述する環状オレフィン・コポリマーは含まれない態様としている。
【0023】
バックフィルム12は、図1図3に示すように、厚み寸法を例えば10μm程度に設定している。なお、バックフィルム12の厚み寸法は、10μm〜30μmが好ましい。バックフィルム12は、凹凸を有しない平坦なものであり、前記キャップフィルム11の突起13開放側に添着されることにより、多数の密閉された気泡14が形成される。
【0024】
気泡14は、図1に示すように、形状が低い円柱状のものであって、寸法は、直径が6mm〜50mm程度、高さが2mm〜30mm程度のものである。本実施形態では気泡14の直径を10mm程度とし、高さを4mm程度に設定してある。なお、気泡14の直径は6.5mm〜10mmが好ましく、気泡14の高さ寸法は2mm〜4mmが好ましい。この気泡14の配置は、流れ方向にはピッチが約11.5mmの千鳥状に配置されているが、巾方向には直線状に並んでいる。
【0025】
しかして、本実施形態の気泡シート1は、バックフィルム12に環状オレフィン・コポリマーが例えば10〜50%添加されたことにより流れ方向に直交する巾方向に易カット性を有するものとしている。具体的には、バックフィルム12に環状オレフィン・コポリマーが10〜50%及びMFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合されている。
【0026】
上記の配合を適用することにより本実施形態では、バックフィルム12は低密度ポリエチレンの間に微細な島状をなす環状オレフィン・コポリマーが無作為に点在する構成となる。斯かる構成により、MFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンよりも環状オレフィン・コポリマーの強度が引くために、巾方向に引き裂かれる際には島状の環状オレフィン・コポリマーが優先的に破壊され、その破壊される作用力が巾方向に隣接する同様の島状の環状オレフィン・コポリマーへ次々と伝播しながら破壊される。その結果本実施形態に係る気泡シート1は、引き裂く方向、換言すれば荷重方向である巾方向からずれることが無い優れた直進カット性を獲得している。
【0027】
以上のように、本実施形態に係る気泡シート1は、ミシン目を構成して緩衝能力を低下させてしまうことや格別の層をコーティングして透明性を低下させたり構造を複雑にしたりするという不具合を回避しながら巾方向の直進カット性、つまりユーザーにとっての手切れの行い易さを有効に獲得している。すなわち本実施形態に係る気泡シート1は、緩衝性能や透明性を損なうことなく高い巾方向の易カット性を実現している。
【0028】
また本実施形態では、通常気泡シート1におけるフィルムの最薄部を有するキャップフィルム11以外の層であるバックフィルム12にのみ環状オレフィン・コポリマーが含まれるようにしている。すなわちバックフィルム12に環状オレフィン・コポリマーが10〜50%及びMFR(メルトフローレート)の値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合されることにより巾方向の易カット性つまり容易にカットし得る特性を担保している。
【0029】
そして本実施形態では前記キャップフィルム11に前記環状オレフィン・コポリマーが含まれない態様を適用することで、気泡14を破壊され難くし、緩衝性能を有効に維持している。
【0030】
特に本実施形態キャップフィルム11に前記環状オレフィン・コポリマーが含まれない態様を適用することで、より直進カット性を向上せしめている。具体的に説明すると、キャップフィルム11を真空成形して突起13を形成する際、本実施形態の通り平面視円形状の突起13の中心から放射状に樹脂が配向する。ここでキャップフィルム11に環状ポリオレフィン・コポリマーを配合していると、易カットの方向性も突起13の中心から全方位に向かって放射状に並ぶ。そのため、引裂荷重の方向が巾方向から並行で無くなった場合、当該荷重方向に沿って引き裂かれる。ここで本実施形態では気泡14を形成している突起13は上述の通り流れ方向に千鳥配列しており、全ての突起13が真空成形されている。そのため、突起13が前記樹脂の配向する方向に沿って斜め方向に引き裂かれると次は当該突起13から斜め方向に位置付けられた突起13に引裂荷重が伝播して、引裂荷重の方向は巾方向から更にずれてしまうからである。また一般にキャップフィルム11に用いられるフィルムはバックフィルム12と比較しても、3層構造を有するものの場合に適用されるライナーフィルム(図示せず)と比較しても、一般に最も厚み寸法が大きく設定される。そのため、キャップフィルム11は気泡シート1のカット方向に最も影響を与えやすい。それ故、キャップフィルム11に環状オレフィン・コポリマーを配合すれば上述したような引き裂き方向のずれという不具合は容易に招来されてしまう。
【0031】
また、上述の通りMFR2〜15の低密度ポリエチレンが50〜90%配合していることにより、気泡シート1を構成する原料のMFRが低いことで引き裂き時の糸引きが大きくなるのを回避するためである。またこれにより、引き裂き時の伸びによる抵抗感を低減すること、引き裂き後の端面が伸びることによりカールしてしまうことを有効に防止している。
【0032】
そして巾方向の直進カット性をさらに有効に高めるために本実施形態では、巾方向の両縁に切欠17を形成すべく鋸歯状縁部16を形成している。これにより、巾方向へ引き裂く際の引裂荷重が優先的に切欠16に働くことになり、ユーザーは小さい力で気泡シート1をカットすることができる。
【0033】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明の気泡シートは、2層構造のものに限られず、以下に記す第二実施形態の通り、本発明の気泡シートはライナーフィルムを備えた3層構造のものであってもよい。
【0034】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態に係る気泡シート10ついて説明する。当該第二実施形態において、上記第一実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付するとともに、その詳細な説明を省略する。よって、本実施形態では、キャップフィルム11及びバックフィルム12の説明を省略する。
【0035】
ライナーフィルム15は、厚さが200μmよりも薄いものであり、本実施形態ではライナーフィルム15の厚み寸法を例えば7μm程度に設定している。なお、ライナーフィルム15の厚み寸法は、7μm〜25μmが好ましい。ライナーフィルム15は、凹凸を有しない平坦なものであり、前記キャップフィルム11の突起13先端側に添着される。
【0036】
しかして、本実施形態の気泡シート10は、ライナーフィルム15においても上記バックフィルム12同様に、環状オレフィン・コポリマーが例えば10〜50%添加されたことにより流れ方向に直交する巾方向に易カット性を有するものとしている。具体的には、バックフィルム12に環状オレフィン・コポリマーが10〜50%及びMFRの値が2〜15である低密度ポリエチレンが50〜90%配合されている。
【0037】
このような3層構造をなす気泡シート10であっても勿論、キャップフィルム11以外、つまりバックフィルム12及びライナーフィルム15に環状オレフィン・コポリマーが含まれているので、上記第一実施形態同様、巾方向への易カット性を有効に担保し得る。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態では気泡シートの主要な態様のみを開示したが勿論、気泡シートには、製造にあたって、任意の添加剤、例えば、着色剤、充填剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、燃焼補助剤等を添加してもよい。また気泡(突起、キャビティ)の形状は、円柱状に限られず、種々変更可能である。また、気泡(突起、キャビティ)の配置も、千鳥配置に限られず、種々変更可能である。
【0040】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は当該実施例に何ら限定されるものではない。
【0042】
<エルメンドルフ引裂試験>
バックフィルム及びライナーフィルムに環状オレフィン・コポリマーを配合した実施例を用いエルメンドルフ引裂試験を行い、比較例との巾方向への引裂荷重の大きさを比較した。
【0043】
<1.供試材料>
実施例として、バックフィルム及びライナーフィルムに環状オレフィン・コポリマー(商品名TOPAS 9605F−500)を20%、MFRの値が7である低密度ポリエチレン(商品名スミカセン G701)を80%配合するとともに、キャップフィルムには環状オレフィン・コポリマーが含まれない素材を適用した3層構造を有する気泡シートを適用した。
【0044】
比較例
上記実施例と同目付である通常の気泡シートを適用した。すなわち3層構造を有し、バックフィルム、キャップフィルム及びライナーフィルムの何れにも環状オレフィン・コポリマーが含まれていない気泡シートを適用した。
【0045】
<2.試験方法>
JIS K 7128に基づいて実施例、比較例ともに32Nまでの引裂荷重を作用させるエルメンドルフ引裂試験を行った。なお本来JIS K 7128では実施例、比較例に対し切り込みを入れて試験を行うところ、本試験では切り込みを入れずに試験を行った。
【0046】
実施例、比較例に対し、流れ方向並びに巾方向の引き裂き強度をそれぞれ計5回測定した。そしてこれら5回の試験の平均値、及び巾方向/流れ方向の引き裂き強度の値(%)を求めることにより、気泡シートの巾方向のカットのし易さ、すなわち易カット性を調査した。
【0047】
<3.試験結果>
試験結果を図5に表として示す。同図に示すように、実施例における1回目、2回目の巾方向の引裂荷重の値が比較例における2回目の巾方向の引裂荷重よりも大きな値となったものの、5回の平均値では比較例の19.17Nに比べて実施例では12.09Nという、明らかに低い値を得た。巾方向/流れ方向の引き裂き強度の値(%)についても比較例の236.54%という値に比べて実施例では200%以下である185.1%という明らかに低い値を得た。これにより、実施例に係る気泡シートは、比較例に比べて巾方向の易カット性が優れていることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は緩衝材等に使用される気泡シートとして利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、10…気泡シート
11…キャップフィルム
12…バックフィルム
15…ライナーフィルム
17…切欠
図1
図2
図3
図4
図5