特許第6050213号(P6050213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050213
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 137/12 20060101AFI20161212BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20161212BHJP
   C10M 137/04 20060101ALN20161212BHJP
   C10M 137/10 20060101ALN20161212BHJP
   C10M 105/38 20060101ALN20161212BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20161212BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20161212BHJP
   C10N 30/08 20060101ALN20161212BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20161212BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20161212BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20161212BHJP
   C10N 40/12 20060101ALN20161212BHJP
【FI】
   C10M137/12
   C10M169/04
   !C10M137/04
   !C10M137/10 Z
   !C10M105/38
   C10N30:00 C
   C10N30:06
   C10N30:08
   C10N40:02
   C10N40:04
   C10N40:08
   C10N40:12
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-228567(P2013-228567)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-86346(P2015-86346A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】JXエネルギー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100191330
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】八木下 和宏
(72)【発明者】
【氏名】置塩 直史
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−302093(JP,A)
【文献】 特開平05−171174(JP,A)
【文献】 特開平05−148491(JP,A)
【文献】 特開平06−145688(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/015386(WO,A1)
【文献】 特開平11−217577(JP,A)
【文献】 特開2004−269551(JP,A)
【文献】 特開2013−018941(JP,A)
【文献】 米国特許第4333841(US,A)
【文献】 ASLE TRANSACTIONS,2008年,Vol.19(2008), No.4, pp319-328
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M
C10N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油基油、および式(1)で表されるリン化合物を、組成物全量基準、リン量換算で10〜10000質量ppm含有する40℃における動粘度が100mm/s以下である潤滑油組成物。
【化1】
(式中、R、Rは炭素数2〜18の炭化水素基、Rは炭素数1〜4の炭化水素基、Rは水素原子を示す。)
【請求項2】
さらに式(2)で表されるリン化合物を、組成物全量基準、リン量換算で10〜10000質量ppm含有する請求項1に記載の潤滑油組成物。
【化2】
(式中、R、R、Rは水素原子または炭素数2〜18の炭化水素基、X、Xは酸素原子または硫黄原子を示す。)
【請求項3】
潤滑油基油がカルボン酸と多価アルコールのエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱安定性・耐荷重性に優れる潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の産業機械の高速化・高圧化・小型化に伴い、油圧機械、圧縮機械、タービン、歯車要素、軸受などの機械要素がより過酷な条件下で運転されるようになった。そのため、これらの機械に使用する潤滑油には、高圧、高速、高荷重、高温度条件下であっても長期間にわたって機械寿命を充分に保証できる優れた潤滑性能が求められている。
潤滑油はその性能を高めるために種々の添加剤が配合され、従来から耐摩耗性添加剤としてジアルキルジチオリン酸(ZDTP)やトリクレジルホスフェート(TCP)が使用されてきた。
しかし、ZDTPは高温・高圧条件下での熱酸化安定性、水の混入による加水分解安定性に問題があるため過酷な条件下において充分な潤滑性能を得ることは困難であり、また環境保護の観点からZDTPのような亜鉛化合物の使用に対する懸念が増大してきた。他方TCPは、ZDTPと比較して熱安定性や加水分解安定性には優れるものの極圧性の面で劣っている問題があった。
こうした問題の解決に向け、硫黄化合物やリン化合物を組み合わせたリン硫黄系耐摩耗性潤滑油組成物が開発されてきた。例えば硫化炭化水素と酸性リン酸エステルの組み合わせ、トリアリールホスホロチオネートとトリアリールホスフェートの組み合わせ(下記特許文献1参照)、チオホスフェートと酸性リン酸エステルの組み合わせ(下記特許文献2参照)、さらにβ−ジチオホスホリル化プロピオン酸とトリアリールホスフェートの組み合わせ(下記特許文献3参照)などが知られている。
しかしながら、含硫黄化合物は腐食性や臭気の問題を生じ、活性の高い酸性リン酸エステルは加水分解安定性などの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許1415964号公報
【特許文献2】特開2010−260972号公報
【特許文献3】特開2002−265971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、環境保護や安全性の面と潤滑油の実用性能の両面から有用な、熱安定性・耐水性に優れ、さらには高荷重の過酷な環境下でも優れた極圧性および耐摩耗性を有する無灰の耐荷重性潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記課題について鋭意研究した結果、潤滑油基油に特定構造のリン化合物を所定の割合で配合して得られる潤滑油組成物により、課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、潤滑油基油、および式(1)で表されるリン化合物を、組成物全量基準、リン量換算で10〜10000質量ppm含有する40℃における動粘度が100mm/s以下である潤滑油組成物である。
【化1】
(式中、R、Rは炭素数2〜18の炭化水素基、Rは炭素数1〜4の炭化水素基、Rは水素原子を示す。)
【0007】
また本発明は、さらに式(2)で表されるリン化合物を、組成物全量基準、リン量換算で10〜10000質量ppm含有する前記記載の潤滑油組成物に関する。
【化2】
(式中、R、R、Rは水素原子または炭素数2〜18の炭化水素基、X、Xは酸素原子または硫黄原子を示す。)
【0008】
また本発明は、潤滑油基油がカルボン酸と多価アルコールのエステルであることを特徴とする前記記載の潤滑油組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、環境面にも配慮した、熱安定性・耐水性・極圧性および耐摩耗性に優れた潤滑油組成物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳述する。
【0011】
本発明の潤滑油組成物における潤滑油基油は、鉱油系基油または合成油系基油が用いられる。これらは混合物であってもよい。
【0012】
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を1種又は2種以上適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油又はナフテン系鉱油が挙げられる。
【0013】
合成油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル、ジエステル、ポリエステル、ポリオールエステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル、含フッ素化合物、シリコーン油などが挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明における潤滑油基油としては、添加剤の摩耗防止性の観点からエステル化合物が好ましく、特にカルボン酸と多価アルコールのポリオールエステルが好ましい。カルボン酸は一塩基酸でも多塩基酸であってもよく、エステルは完全エステルでも部分エステルであっても良い。
【0015】
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)、これらのトリメチロールアルカンの2〜8量体、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0016】
一塩基酸としては、通常炭素数2〜24の脂肪酸が用いられ、その脂肪酸は直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。具体的には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘンイコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン酸等の不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、潤滑性および取扱性がより高められる点から、特に炭素数3〜20の飽和脂肪酸、炭素数3〜22の不飽和脂肪酸が好ましい。
【0017】
多塩基酸としては炭素数2〜16の二塩基酸およびトリメリット酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分枝のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。具体的には、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘプタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘキセン二酸、ヘプテン二酸、オクテン二酸、ノネン二酸、デセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸、トリデセン二酸、テトラデセン二酸、ヘプタデセン二酸、ヘキサデセン二酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0018】
エステルを形成する多価アルコールとカルボン酸との組み合わせは任意であって特に制限されないが、例えば下記のエステルを挙げることができ、これらのエステルは単独でもよく、また2種以上を組み合わせてもよい。
(a)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(b)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(c)多価アルコールと一塩基酸、多塩基酸との混合物との混合エステル
【0019】
潤滑油基油の40℃における動粘度は特に制限はないが、好ましくは5〜300mm/s、より好ましくは10〜100mm/s、さらに好ましくは15〜70mm/sである。潤滑油基油の40℃での動粘度が300mm/sを超える場合は、低温粘度特性が悪化し、一方、その動粘度が5mm/s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくなるため、それぞれ好ましくない。
【0020】
潤滑油基油の粘度指数は特に制限はないが、100以上であることが好ましく、より好ましくは110以上、さらに好ましくは120以上、特に好ましくは140以上であり、240以下が好ましく、さらに好ましくは200以下である。粘度指数を100以上とすることによって、低温から高温にわたり良好な粘度特性を示す組成物を得ることができる。一方、粘度指数が高すぎると疲労寿命に対して効果が小さい。
【0021】
潤滑油基油の硫黄分については特に制限はないが、100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましい。100質量ppmを超えると酸化安定性が悪化するため好ましくない。
【0022】
本発明の潤滑油組成物は、下記一般式(1)で表されるリン化合物を含有する。
【化3】
【0023】
式(1)中、R、Rは、それぞれ個別に、炭素数2〜18の炭化水素基、Rは炭素数1〜4の2価の炭化水素基、Rは水素原子を示す。
【0024】
、Rの具体例としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基などのアルキルアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基などを挙げることができる。
これらの中では加水分解安定性の観点からアルキル基が好ましく、炭素数2〜10のアルキル基が特に好ましい。
の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
【0025】
式(1)で表されるリン化合物の含有量は、組成物全量基準、リン量換算で、10〜10000質量ppmである。好ましくは30〜5000質量ppm、より好ましくは50〜1000質量ppm、さらに好ましくは100〜500質量ppmである。式(1)で表されるリン化合物の含有量が、組成物全量基準、リン量換算で、10質量ppm未満だと充分な効果を得ることができず、10000質量ppmを超えると潤滑油組成物の酸化安定性が低下する傾向がみられるため、それぞれ好ましくない。
【0026】
本発明の潤滑油組成物は、さらに式(2)で表されるリン化合物を含有することが好ましい。
【化4】
【0027】
式(2)中、R、R、Rは、それぞれ個別に、水素原子または炭素数2〜18の炭化水素基、X、Xは、それぞれ個別に、酸素原子または硫黄原子を示す。
、R、Rの炭化水素基の具体例としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基などのアルキルアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基などを挙げることができる。
これらの中では加水分解安定性の観点からアルキル基が好ましく、炭素数2〜10のアルキル基が特に好ましい。
【0028】
式(2)で表されるリン化合物の含有量は、組成物全量基準、リン量換算で10〜10000質量ppmである。好ましくは30〜5000質量ppm、より好ましくは50〜1000質量ppm、さらに好ましくは100〜500質量ppmである。式(2)で表されるリン化合物の含有量が、組成物全量基準、リン量換算で、10質量ppm未満だと充分な効果を得ることができず、10000質量ppmを超えると潤滑油組成物の酸化安定性が低下する傾向がみられるため、それぞれ好ましくない。
【0029】
本発明の潤滑油組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて各種添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、例えば、金属系清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本発明の潤滑油組成物は、ZDTPなどの金属含有添加剤の配合が少ないことが好ましく、組成物の硫酸灰分を0.5質量%以下とすることが好ましく、0.1質量%以下とすることが特に好ましい。
ここで、硫酸灰分とは、JIS K 2272の5.「硫酸灰分の試験方法」に規定される方法により測定される値を示す。
【0031】
本発明の潤滑油組成物の動粘度は、特に制限されないが、低温流動性の点から、40℃における動粘度は、100mm/s以下であることが好ましく、80mm/s以下であることがより好ましく、60mm/s以下であることがさらに好ましく、50mm/s以下であることが特に好ましい。一方、40℃における動粘度は、5mm/s以上であることが好ましく、10mm/s以上であることがより好ましく、15mm/s以上であることがさらに好ましい。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1〜8および比較例1〜8)
表1および表2に各種の潤滑油基油及び添加剤の配合量と性能を記載した。各添加剤の添加量は潤滑油組成物全量基準(質量%)である。
得られた各組成物の性能を以下に示す試験により評価した。
【0034】
(極圧試験)
シェル高速四球試験機を使用してASTM D2783に準拠し極圧性を評価した。
【0035】
(耐摩耗試験)
シェル高速四球試験機を使用して下記の2条件において耐摩耗性を評価した。
(条件1)
荷重:30kg、回転数:1200rpm、温度:成り行き、試験時間:30分
(条件2)
荷重:30kg、回転数:1200rpm、温度:75℃、試験時間:60分
【0036】
【表1】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の潤滑油組成物は、ZDTPなどの亜鉛化合物を含有しないため、環境リスクが少なく、かつ熱安定性・耐水性・極圧性および耐摩耗性に優れるため有用である。